電 池

化 学 電 池
[「
一 次 電 池
[- マンガン
乾 電 池 - アルカリマンガン
乾 電 池 - ニッケル
系 一 次 電 池 - オキシライド
乾 電 池 →パナソニック(旧 松 下 電 器 産 業 )の商 品 名 で、ニッケルマンガン電 池 に含 まれる 酸 化 銀 電 池 水 銀 電 池 空 気 亜 鉛 電 池 - リチウム
電 池 海 水 電 池 - レモン
電 池
二 次 電 池
[

燃 料 電 池
[- リン
酸 形 燃 料 電 池 (PAFC):電 解 質 にリン酸 を用 いるもの。100℃-1,000℃の中 温 域 で使 用 する 固 体 高 分 子 形 燃 料 電 池 (PEFC):電 解 質 に水 を含 む高 分 子 を用 いるもの。100℃付 近 の低 温 域 で使 用 する溶 融 炭 酸 塩 形 燃 料 電 池 (MCFC):電 解 質 に溶 融 したアルカリ金 属 の炭 酸 塩 を用 いるもの。100℃-1,000℃の中 温 域 で使 用 する固 体 酸 化 物 形 燃 料 電 池 (SOFC) :電 解 質 に酸 素 イオン伝 導 性 のセラミックスを用 いるもの。1,000℃付 近 の高 温 域 で使 用 する直 接 メタノール型 燃 料 電 池 (DMFC) :燃 料 にメタノールを使 用 する。
生 物 電 池
[化 学 電 池 の基 本 構 成
[電 極 /活 物 質 電 池 は直 流 電 力 を生 み出 し、その電 流 の取 出 口 として「正 極 」「負 極 」の2つの電 極 がある。電 位 の高 い方 が正 極 であり、電 位 の低 い方 が負 極 である。電 池 では正 極 側 で還 元 反 応 が起 こり、負 極 側 で酸 化 反 応 が起 こる。還 元 反 応 が起 こる正 極 を「カソード」と呼 び、酸 化 反 応 が起 こる負 極 を「アノード」と呼 ぶ[注 釈 1]。電 極 は「集 電 体 」とも呼 ばれる。また、「活 物 質 」は電 池 反 応 の中 心 的 役 割 を担 い、電 子 を送 り出 し受 け取 る酸 化 /還 元 反 応 を行 う物 質 である。実 際 には活 物 質 だけでなく活 物 質 の凝 集 を防 ぎ分 散 させるための分 散 剤 や電 解 液 と良 好 に接 触 させる濡 れ性 を維 持 するためのレベリング剤 に導 電 性 を向 上 させる導 電 助 剤 やバインダーと呼 ばれる結 着 材 が混 合 されてスラリーとなったペースト状 のものが用 いられ、これは「合 材 」や「合 剤 」「ミクスチャー」とも呼 ばれる。電 極 には電 気 伝 導 率 が高 く、活 物 質 や電 解 液 に対 して化 学 的 に安 定 であることが求 められる。活 物 質 には化 学 当 量 の小 さなものが望 まれる。出 力 される電 圧 は2つの電 極 電 圧 の差 が主 要 な要 素 であるため、正 極 側 の活 物 質 は電 極 電 位 が高 い方 が良 く、負 極 側 の活 物 質 は電 極 電 位 が低 い方 が良 い。単 純 な構 造 の電 池 の中 には電 極 が活 物 質 を兼 ねているものがある。電 解 質 - 「
電 解 質 」はイオン導 電 性 が高 いものが求 められ、電 解 質 が電 気 分 解 されない電 圧 である「電 位 窓 」も広 い方 が良 い[注 釈 2]。活 物 質 などに対 して化 学 的 に安 定 であることも求 められ、生 物 毒 性 や発 火 性 も無 いことが望 まれる。電 池 の電 解 質 は電 解 液 と呼 ばれる液 体 のものが多 いが、固 体 の固 体 電 解 質 もある。 - セパレータ
- 「セパレータ」は「
隔 膜 」とも呼 ばれ、正 極 と負 極 を分 離 する機 能 を担 っている。熱 や応 力 に対 する耐 久 力 と同 時 に電 池 内 の他 の物 質 に対 しても化 学 的 にも安 定 でありながら、電 解 液 中 のイオンの移 動 を妨 げないように多 孔 質 で薄 い膜 が求 められる。 容 器 - 「
容 器 」は電 池 の外 形 を成 し、電 極 /活 物 質 、電 解 液 、セパレータといった内 部 の構 成 物 質 を収 めて閉 じ込める役 割 をする。力 学 的 に丈 夫 で耐 薬 品 性 に優 れた素 材 が求 められる。
標 準 電 極 電 位
[Li+/Li | -3.040 | Cu2+/Cu | 0.347 | |
Zn2+/Zn | -0.763 | Fe3+/Fe2+ | 0.771 | |
Cd2+/Cd | -0.403 | Br3-/Br- | 1.087 | |
Pb2+/Pb | -0.126 | O2/H2O | 1.229 | |
CdSO4/Pb | -0.355 | Ce4+/Se3+ | 1.61 | |
H+/H2 | -0.000 | PbO2/PbSO4 | 1.685 | |
H2SO3/CH3OH | 0.044 | MnO2/MnOOH | 0.15 | |
ZnSO22-/Zn | -1.22 | Ag2O/Ag | 0.342 | |
H2/OH- | -0.828 | O2/OH- | 0.342 | |
Cd(OH)2/Cd | -0.825 | NiOOH/Ni(OH)2 | 0.49 |
化 学 電 池 の性 能
[電 圧
[過 電 圧 抵 抗 過 電 圧 :イオンが電 解 質 中 を流 れる時 や電 子 が電 極 内 を流 れる時 に生 じる抵 抗 によるエネルギー活 性 化 過 電 圧 :反 応 物 質 と電 解 液 との間 での電 子 移 動 のために消 費 されるエネルギー濃 度 過 電 圧 :反 応 物 質 が電 極 表 面 に移 動 するためや電 極 表 面 で生 じた生 成 物 質 が電 解 液 へ拡 散 するために消 費 されるエネルギー
主 な電 池 の公 称 電 圧 -
一 次 電 池
- マンガン
乾 電 池 :1.5V - アルカリマンガン
乾 電 池 :1.5V 酸 化 銀 電 池 :1.55V空 気 亜 鉛 電 池 :1.4V- フッ
化 黒 鉛 リチウム一 次 電 池 :3V 塩 化 チオニルリチウム一 次 電 池 :3.6V
-
二 次 電 池
鉛 蓄 電 池 :2.0V- ニッケルカドミウム
蓄 電 池 :1.2V - ニッケル
水 素 蓄 電 池 :1.2V 全 固 体 電 池 : 2.3V- リチウムイオン
蓄 電 池 :3.7V - コバルトチタンリチウム
二 次 電 池 : 3.0V
二 次 電 池 では一 般 に「充 電 電 流 」と「充 電 時 間 」が標 準 と急 速 のそれぞれに存 在 し、最 大 充 電 電 圧 も定 められている。「最 大 充 電 電 圧 」を越 えて充 電 しようとすると「過 充 電 」となって電 池 が劣 化 したり最 悪 では破 壊 に至 る危 険 性 もある。一 次 電 池 と二 次 電 池 では放 電 終 止 電 圧 も定 められている。一 般 に「放 電 終 止 電 圧 」はその電 圧 に至 った時 点 でそれ以 上 放 電 してはいけない電 圧 であり、放 電 終 止 電 圧 を越 えてさらに放 電 状 態 を続 ければ「過 放 電 」となって電 池 が劣 化 したりする[2]。
容 量
[1クーロンとは、1
〔Ah/g〕 | 〔Ah/cm3〕 | |
---|---|---|
Li( |
3.86 | 2.06 |
Al( |
2.98 | 8.06 |
Na( |
1.17 | 1.08 |
Fe( |
0.96 | 7.52 |
Zn( |
0.82 | 5.85 |
Cd( |
0.48 | 4.12 |
Pb( |
0.26 | 2.93 |
CH3OH( |
5.02 | 3.97 |
H2( |
26.3 | 0.00216 |
〔Ah/g〕 | 〔Ah/cm3〕 | |
---|---|---|
(CF)n( |
0.86 | 2.56 |
Ag2O( |
0.43 | 3.24 |
MnO2( |
0.31 | 1.55 |
NiOOH( |
0.29 | 2.03 |
Li(0-1)CoO2( |
0.27 | 2.89 |
PbO2( |
0.22 | 2.10 |
Li(0-1)Mn2O2( |
0.15 | 0.74 |
SOCl2( |
0.60 | 0.98 |
O2( |
3.36 | 0.00439 |
エネルギー密 度
[Li+/Li | -3.040 | Cu2+/Cu | 0.347 | |
Zn2+/Zn | -0.763 | Fe3+/Fe2+ | 0.771 |
放 電 特 性
[物 理 特 性
[その他
[物 理 電 池
[「
揚 水 発 電
[「
太 陽 電 池
[「
熱 電 池
[「
原 子 力 電 池
[「
歴 史
[世 界
[紀 元 前 250年 頃 のイラクで、世 界 最 古 の電 池 であるバグダッド電 池 が作 られる(実 際 には電 池 ではないという説 があり、実 際 に電 池 として使 用 された明 確 な証 拠 は未 発 見 である)。- 1791
年 ルイージ・ガルヴァーニ(イタリア)、ガルバニ電 池 を発 見 。 - 1800
年 アレッサンドロ・ボルタ(イタリア)、ボルタ電 池 を発 明 。 - 1802
年 物 理 学 者 ヨハン・ウィルヘルム・リッター(ドイツ)、小 型 一 次 電 池 を発 明 。 - 1812
年 ジュゼッペ・ザンボーニ(イタリア)、ザンボニー電 池 を発 明 。 - 1866
年 ジョルジュ・ルクランシェ(フランス)、ルクランシェ電 池 (マンガン乾 電 池 の原 型 )を発 明 。今 までの電 池 で使 われていた電 解 液 をゲル状 にしたもので、これが現 行 使 われる乾 電 池 の原 型 となる。 - 1881
年 ジュール・アルフォキ・ティエボー (Jules Alphokee Thiebaut) が亜 鉛 の容 器 に負 極 と多 孔 質 の容 器 の両 方 の役 割 を持 たせた最 初 の電 池 で特 許 を取 る。 - 1887
年 カール・ガスナー(ドイツ)、乾 電 池 の特 許 を取 得 。 - 1899
年 ヴァルデマル・ユングネル(スウェーデン)、ニッケル・カドミウム蓄 電 池 を発 明 。 - 1900
年 トーマス・エジソン(米 国 )、ニッケル・鉄 蓄 電 池 を発 明 。 - 1959
年 エバレディ (Eveready)(米 国 )、アルカリ乾 電 池 を開 発 。 - 1985
年 ジョン・グッドイナフ(米 国 )、ラシド・ヤザミ(フランス)、吉 野 彰 (日 本 )らはリチウムイオン電 池 を発 明 し、1991年 に西 美 緒 らが勤 務 するソニーにより世 界 で初 めて商 品 化 した。小 型 で軽 量 なモバイル電 子 機 器 (携 帯 電 話 やスマートフォンなど)の実 現 に大 きく貢 献 し、電 気 自 動 車 用 にも普 及 している。 - 2019
年 各 大 学 ・企 業 の研 究 機 関 により性 能 向 上 を果 たした小 型 全 固 体 電 池 が実 用 化 された[3]。また2023年 からは大 容 量 全 固 体 電 池 も実 用 化 された[4]。この全 固 体 電 池 はリチウムイオン電 池 より高 性 能 を示 し、今 後 は電 気 自 動 車 用 にも搭 載 予 定 となっている。
日 本
[- 1849
年 (嘉 永 2年 )佐 久 間 象 山 がオランダのショメール百 科 全 書 を参 考 にして電 信 実 験 の為 にダニエル電 池 を作 成 [1]。これが日 本 初 の電 池 となった。 - 1854
年 (安 政 元 年 ) マシュー・ペリーが2度 目 の渡 日 の際 、将 軍 への献 上 品 としてボルタ電 池 4箱 を持 ち込んだ。 - 1887
年 (明 治 20年 )屋 井 先 蔵 が乾 電 池 を作 る[注 釈 5]。
名 称
[一 次 電 池 と二 次 電 池 一 次 電 池 (primary cell) と二 次 電 池 (secondary cell) の「一 次 」「二 次 」は電 池 の使 用 開 始 時 における操 作 に由 来 する。すなわち、一 次 電 池 は電 極 構 成 材 料 を組 み上 げた時 点 で、両 極 間 に起 電 力 が発 生 するため、すぐに電 池 として利 用 することができる。しかしながら、二 次 電 池 は両 極 の構 成 材 料 の電 位 差 が低 く、外 部 から充 電 を行 うことによって初 めて使 用 可 能 な起 電 力 を生 じさせることが一 般 的 である。電 池 が発 明 された当 初 は安 定 な直 流 電 源 を使 用 することが難 しく、一 次 電 池 を用 いて二 次 電 池 を充 電 していた。従 って「すぐに使 える電 池 =一 次 電 池 」に対 して「充 電 してから使 える電 池 =二 次 電 池 」となった。電 池 日 本 語 の「電 池 」は「電 気 」の「池 」であるが、必 ずしも電 気 を蓄 えていなくても「電 池 」という名 称 が使 われている。組 電 池 - 「パック
電 池 」とも呼 ばれ、単 電 池 をニッケルのような金 属 板 と熱 収 縮 フィルムで固 定 したもの[7]。
方 言
[脚 注
[注 釈
[出 典
[- ^ “
電 池 とは”. コトバンク. 2021年 1月 11日 閲 覧 。 - ^ a b c d
梅 尾 良 之 著 、『新 しい電 池 の科 学 』、講 談 社 、2006年 9月 20日 第 1刷 発 行 、ISBN 4062575302 - ^ “トヨタ、
村 田 製 、TDK...大 注 目 の全 固 体 電 池 !早 くもシェア争 奪 戦 ニュースイッチ by日 刊 工 業 新 聞 社 ”. ニュースイッチ by日 刊 工 業 新 聞 社 . 2023年 7月 15日 閲 覧 。 - ^ “マクセル、
京 都 に全 固 体 電 池 量 産 体 制 6月 から出 荷 -化 学 工 業 日 報 電 子 版 ”.化 学 工 業 日 報 電 子 版 -化 学 工 業 をコアに周 辺 産 業 を網 羅 する「化 学 工 業 日 報 電 子 版 」のWebサイトです (2023年 5月 7日 ). 2023年 7月 15日 閲 覧 。 - ^ “
屋 井 先 蔵 ”. でんきの礎 (電 気 学 会 ) 6: 24-25. (2013-03-10) . - ^
吉 田 和 正 (2007-03-30). “一 次 電 池 技 術 発 展 の系 統 化 調 査 ”.国 立 科 学 博 物 館 技 術 の系 統 化 調 査 報 告 第 9集 (国 立 科 学 博 物 館 ): 173 . - ^ 「
組 電 池 」 - BAYSUN
関 連 項 目
[外 部 リンク
[電 池 工 業 会 - バグダッドの
古 代 電 池 - 『
電 池 』 - コトバンク - 「
物 理 と化 学 の境 界 領 域 :第 一 原 理 計 算 を用 いた電 池 研 究 」(スパコンことはじめ)高 度 情 報 科 学 技 術 研 究 機 構 (RIST)