ダイオウグソクムシ

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ダイオウグソクムシ
ダイオウグソクムシ Bathynomus giganteus
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
つな : 軟甲つな Malacostraca
: とうあし Isopoda
: ウオノエ Cymothoida
: スナホリムシ Cirolanidae
ぞく : オオグソクムシぞく Bathynomus
たね : ダイオウグソクムシ
B. giganteus
学名がくめい
Bathynomus giganteus
A. Milne-Edwards1879
和名わみょう
ダイオウグソクムシ(大王だいおう具足ぐそくちゅう
英名えいめい
Giant Isopod
正面しょうめんからたダイオウグソクムシ
だいあご部分ぶぶん

ダイオウグソクムシBathynomus giganteus大王だいおう具足ぐそくちゅう大王だいおう具足ぐそくちゅう)は、とうあしスナホリムシぞくするうみせい甲殻こうかくるいの1しゅである。最大さいだいとうあしとしてられる。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

メキシコわんや、西にし大西おおにしひろし周辺しゅうへん深海しんかい200 - 1000メートルほどのふかさの海底かいていすなどろ生息せいそくする。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

とうあしるいとしては世界せかい最大さいだいであり、体長たいちょうは20 - 40センチメートルで、最大さいだい50センチメートルちかくにもなる巨大きょだいしゅである。日本にっぽん近海きんかい生息せいそくする最大さいだいとうあしるいとしてられるオオグソクムシ最大さいだい15センチメートルほどなのとくらべて、はるかに大型おおがたとなり、体重たいじゅうは1キログラム上回うわまわる。外見がいけんダンゴムシのようだが、分類ぶんるいではフナムシちかい。 頭部とうぶくろ複眼ふくがんやく3500から形成けいせいされており、節足動物せっそくどうぶつ複眼ふくがんとしては最大さいだいきゅうである。触角しょっかくは2たいあり、とうあしるい特徴とくちょうであるだいいち触角しょっかくは、フナムシ程度ていどおおきさでは肉眼にくがんでも判別はんべつしにくいほどちいさいが、ほんしゅはそのおおきさから容易よういだいいち触角しょっかくつけることができる。くち部分ぶぶんは2つい格子こうしじょうあごかさなっている。

あしは、とうあしるい特徴とくちょうである7つい符節ふせつから構成こうせいされている。あしあいだにはたまごいだ保育ほいく嚢があり、受精卵じゅせいらん節足動物せっそくどうぶつとしては最大さいだいきゅうである。とげえており、一番いちばんうしろのあしのさらに末端まったんには、ヒレじょう発達はったつしている遊泳ゆうえいあしがある。それをもちいて背面はいめん海底かいていけながら、身体しんたいをくねらせて遊泳ゆうえいおこなう。外敵がいてき攻撃こうげきけた場合ばあい背面はいめんにはならずおよいでげることもあり、不完全ふかんぜんながらダンゴムシのように身体しんたいまるめ、かぶとまもるともいわれる。

脱皮だっぴする過程かていが、日本にっぽん鳥羽水族館とばすいぞくかんで2016ねん2がつ12にち撮影さつえい記録きろくされた[1][2][3][4][5][6][7]脱皮だっぴ過程かてい記録きろくできた映像えいぞうすくなくとも日本にっぽん国内こくないでははつ世界せかいはつ記録きろく可能かのうせいもある。だが、4がつ1にち死亡しぼうした。原因げんいん不明ふめいである。

生態せいたい[編集へんしゅう]

深海しんかい掃除屋そうじや」とばれるほんしゅは、深海ふかうみそこ沈降ちんこうしてきた大型おおがた魚類ぎょるいクジラなどの死骸しがいよわったものとう有機物ゆうきぶつ摂食せっしょくする。とうあしるいのようによわった仲間なかま死体したいべる共食ともぐおこなっている可能かのうせいもあるが、詳細しょうさい不明ふめいである。

ほんしゅ大型おおがたわりきわめて少食しょうしょく飢餓きがつよい。鳥羽水族館とばすいぞくかんにおいて2007ねん9がつから飼育しいくされていた体長たいちょう29センチメートルの個体こたい「No.1」は、2009ねん1がつ2にちに50グラムのアジをべて以来いらい、2014ねん2がつ14にち死亡しぼうするまでの5ねん1かげつあいだ(1869日間にちかん)にわたりえさくちにしなかった[8]。2013ねん2がつ飼育しいく開始かいしし、4かげつあいだ絶食ぜっしょくしたのち死亡しぼうした個体こたい「No.9」を解剖かいぼうしたところ、消化しょうかかん消化しょうかさかなが106gほどのこっていた[9][10]

しかし、えさすくない環境かんきょうでここまでの巨体きょたいになることは、ダイオウイカならんで深海しんかい巨大きょだいしょうれいとしてよく引用いんようされるが、その巨大きょだいのメカニズムについてはいまだにおおくの部分ぶぶん解明かいめいされていない。

人間にんげんとのかかわり[編集へんしゅう]

ほんしゅ1878ねんにオスがメキシコわん海底かいていから発見はっけんされ、1891ねんにはメスも発見はっけんされた。漁網ぎょもうかごにかかった有用ゆうよう魚類ぎょるいらすことから、漁師りょうしたちにはきらわれている。

ほんしゅ巨躯きょくわりにくすくなく、くさみもつよいために食用しょくようにはてきさないといわれる[11]が、地域ちいきによっては食用しょくよう利用りようされるという[12]もとげにするとうまみがつよ美味びみというはなしもある。

エノスイグソクムシ[編集へんしゅう]

神奈川かながわけんしん江ノ島えのしま水族館すいぞくかんでダイオウグソクムシとして飼育しいくしていたメキシコわんさん個体こたいなかに、ほんしゅ非常ひじょうによく別種べっしゅじっていたと、台湾たいわん国立こくりつだいみなみ大学だいがくめいこころざし博士はかせ執筆しっぴつ、2022ねん8がつに「Journal of Natural History」に掲載けいさいされた論文ろんぶん報告ほうこくされた。この新種しんしゅは、和名わみょうしん江ノ島えのしま水族館すいぞくかん略称りゃくしょうエノスイグソクムシ学名がくめいはメキシコわんかこむユカタン半島はんとうからBathynomus yucatanensis)と名付なづけられた。しん江ノ島えのしま水族館すいぞくかん飼育しいくしていたどう産地さんちべつ個体こたいはダイオウグソクムシであることが確認かくにんされている。

りょうたね判別はんべつ非常ひじょうむずかしく、現在げんざいどう水族館すいぞくかん飼育しいく展示てんじちゅう個体こたいかんしてはどちらのたねであるか未確認みかくにんであるとして、展示てんじ水槽すいそうかかげた名称めいしょうは「オオグソクムシぞくの1しゅ」に変更へんこうされている。[13]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ ダイオウグソクムシの脱皮だっぴ国内こくないはつ確認かくにん動画どうが撮影さつえい成功せいこう!!
  2. ^ ダイオウグソクムシが脱皮だっぴ
  3. ^ 鳥羽水族館とばすいぞくかん「ダイオウグソクムシが脱皮だっぴ国内こくないはつ世界せかいはつ可能かのうせい
  4. ^ 世界せかいはつ可能かのうせいも ダイオウグソクムシが脱皮だっぴ 鳥羽水族館とばすいぞくかん国内こくないはつ確認かくにん
  5. ^ ダイオウグソクムシの脱皮だっぴ国内こくないはじめて確認かくにん
  6. ^ 脱皮だっぴ国内こくないはつ確認かくにん 鳥羽水族館とばすいぞくかん
  7. ^ ダイオウグソクムシの脱皮だっぴ鳥羽水族館とばすいぞくかん国内こくないはつ確認かくにん
  8. ^ 新井あらいあつし (2014ねん2がつ14にち). “ダイオウグソクムシ:絶食ぜっしょく1869にち深海ふかうみ生物せいぶつついに”. ニュースサイト「毎日新聞まいにちしんぶん. 2014ねん2がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2014ねん2がつ14にち閲覧えつらん
  9. ^ 消化しょうかかん画像がぞう[リンク]
  10. ^ 内容ないようぶつ重量じゅうりょうかんする訂正ていせいコメント
  11. ^ たちばな悠紀ゆき (2007ねん10がつ8にち). “世界せかい最大さいだいの“ダンゴムシ”を展示てんじ”. かがくナビ. 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん科学かがく技術ぎじゅつ振興しんこう機構きこう. 2012ねん8がつ3にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2010ねん5がつ29にち閲覧えつらん
  12. ^ 『すごいしんかいぎょ!』 壽屋ことぶきや[よう曖昧あいまい回避かいひ] ISBN 4775307363
  13. ^ しん江ノ島えのしま水族館すいぞくかん「オオグソクムシぞく新種しんしゅ名前なまえが「エノスイグソクムシ」に!!」

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]