マジックナンバー (野球やきゅう)

マジックナンバー（magic number）とは、プロ野球やきゅうの用語ようごで、「他たのチームの試合しあい結果けっかに関かかわらず、自じチームの優勝ゆうしょうに繋つながる勝利しょうり数すう」と言いえる勝かち数すうを意味いみする。

日本にっぽんでは一般いっぱんにマジックと呼よばれる。

他たチームが残のこり試合しあいに全勝ぜんしょうすることを仮定かていして算出さんしゅつされる数かずであるため、実際じっさいに優勝ゆうしょうまでにあと何なん回かい勝かたねばならないかよりも大おおきめの値ねとなるのが普通ふつうである。

日本にっぽんでは他たの全ぜんチームに自力じりき優勝ゆうしょうの可能かのう性せいがなくなった状況じょうきょうでのみこの値ねを用もちい、この条件じょうけんを満みたすことをマジックナンバーが「点灯てんとう」したという。野球やきゅうチームは優勝ゆうしょうまでに、マジック点灯てんとう⇒マジックナンバーを減へらす⇒優勝ゆうしょう決定けっていという経過けいかを通常つうじょうたどる。マジックナンバーはチームが優勝ゆうしょうするまでの道筋みちすじとして用もちいられる。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、自力じりき優勝ゆうしょうの条件じょうけんが満みたされない場合ばあいでもマジックナンバーを用もちいるために、そもそも「マジック点灯てんとう」と言いう概念がいねんはなく、野球やきゅう以外いがいのスポーツでもマジックナンバーを用もちいる。

概要がいよう

定義ていぎ

プロ野球やきゅうのリーグ戦せんは、総そう当あたり戦せん（×複ふく数すう回かい）の勝率しょうりつにより順位じゅんいが決きまるため、チームBがチームCに勝かって勝率しょうりつを上あげたかどうかが、それらとは別べつのチームAの順位じゅんいに影響えいきょうする。したがって、チームA,Bの順位じゅんいはA対たいBの試合しあい（A,Bの直接ちょくせつ対決たいけつという）の結果けっかだけでなく、AとCとの試合しあい結果けっかやBとCとの試合しあい結果けっかにも影響えいきょうされる。

リーグ戦せんの途中とちゅう段階だんかいで、

• チームAが自力じりき優勝ゆうしょう可能かのうであるとは、Aが残のこりの試合しあいに全勝ぜんしょうすれば、それ以外いがいの試合しあい（A以外いがいのチームB,C間あいだの試合しあい）がどのような結果けっかになろうともAが優勝ゆうしょうできることを意味いみする。すなわちチームAの自力じりき優勝ゆうしょう消滅しょうめつとは、Aが残のこりの試合しあいに全勝ぜんしょうしても、それ以外いがいの試合しあいの結果けっか次第しだいではAが優勝ゆうしょうできない場合ばあいがあることを意味いみする。
• Aの優勝ゆうしょうが確定かくていするとは、今後こんご行おこなわれる試合しあいがどのような結果けっかになろうとも、リーグの最後さいごにはAが優勝ゆうしょうすることを指さす。すなわちA以外いがいの任意にんいのチームBに対たいし、Bが全すべての残のこり試合しあいに勝かって、かつAが全すべての残のこり試合しあいに負まけたとしても、Bの勝率しょうりつがAの勝率しょうりつを超こえることができないことを指さす。

チームAのマジックナンバーとは、

• （Aが今後こんごn 勝かちしてリーグが終了しゅうりょうした時ときのAの勝率しょうりつ） >（Xが残のこり全すべての試合しあいに勝かってリーグが終了しゅうりょうした時ときのXの勝率しょうりつ）

が全すべてのチームXに対たいして成なり立たつ最小さいしょうのn のことである。以上いじょうの定義ていぎからわかるように、Aのマジックナンバーを計算けいさんするには、上うえ式しきの左辺さへんを上うえ式しきの右辺うへんが最もっとも大おおきくなるチーム（（マジック）対象たいしょうチーム）と比較ひかくする。

性質せいしつ

AのマジックナンバーはAが勝かつ度たびに大抵たいてい1減へり、マジックナンバーが0になると優勝ゆうしょうが確定かくていする。またリーグ中ちゅうマジックナンバーは減へることはあっても増ふえることはない。またマジック対象たいしょうチームBが負まけた場合ばあいにもAとBとの勝利しょうり数すうの差さが増加ぞうかするので、マジック対象たいしょうチームが負まけた場合ばあいも、Aのマジックナンバーが大抵たいてい1減へる。そのため、マジックナンバーは大抵たいてい、優勝ゆうしょうが確定かくていするまでに必要ひつような勝利しょうり数すうよりも多おおめの数かずになる。

しかし例外れいがい的てきなケースではこれらが成なりたず、試合しあいに勝かってもマジックナンバーが減へらない、また逆ぎゃくに2減へるといったことがあるので、マジックナンバーは必かならずしも優勝ゆうしょう確定かくていまでの勝利しょうり数すうと一致いっちしない。

例外れいがい

マジックナンバーが不規則ふきそくな振ふる舞まいをするケースは3つある。

第だい一いちに、マジック対象たいしょうチームが入いれ替かわるケースがある。マジック対象たいしょうチームBが負まけても、新あたらしくマジック対象たいしょうチームになった別べつのチームCに対たいするマジックナンバーが減へるとは限かぎらないので、この場合ばあいマジックナンバーが減へるとは限かぎらない。

（NPBでの事例じれい）2003年ねん7月がつ23日にち、セントラル・リーグ優勝ゆうしょうへのマジック39を点灯てんとうさせていた阪神はんしんタイガースが、対たいヤクルトスワローズ戦せんに勝利しょうりして62勝しょう23敗はい1分ふんとなったが、この結果けっかマジック対象たいしょうチームだったヤクルトは44勝しょう41敗はいとなり、マジック対象たいしょうチームがこの日ひの横浜よこはまベイスターズ戦せんに勝利しょうりし44勝しょう40敗はいとなった中日ちゅうにちドラゴンズに変かわったため、マジックは1つしか減へらず38となった。これは、この時点じてんで阪神はんしんが残のこり54試合しあい（当時とうじは140試合しあい制せい）で37勝しょうすれば、99勝しょう40敗はい1分ふん（勝率しょうりつ.712）となり、ヤクルトが残のこり54試合しあいに全勝ぜんしょうした場合ばあいの98勝しょう41敗はい（勝率しょうりつ.705）を上回うわまわるが、中日ちゅうにちが残のこり56試合しあいに全勝ぜんしょうすると100勝しょう40敗はい（勝率しょうりつ.714）となり、阪神はんしんを上回うわまわるためである。なお阪神はんしんが残のこり54試合しあいで38勝しょうすれば100勝しょう39敗はい1分ふん（勝率しょうりつ.719）となり、中日ちゅうにちが残のこり56試合しあいに全勝ぜんしょうした場合ばあいを上回うわまわる。

第だい二にに、Aがマジック対象たいしょうチームBと直接ちょくせつ対決たいけつするケースがある。両者りょうしゃが直接ちょくせつ対決たいけつした場合ばあい、「Aの勝利しょうりによるマジックナンバーの減少げんしょう」と「Bの敗北はいぼくによる（Aの）マジックナンバーの減少げんしょう」が両方りょうほう起おこるので、通常つうじょうはマジックナンバーが2減へる。これはマジックナンバーの定義ていぎで、AとXとの直接ちょくせつ対決たいけつが残のこっている場合ばあいには、「Aが今後こんごn 勝かちした時とき」と「Xが残のこり全すべての試合しあいに勝かった時とき」とが同時どうじに起おこらないことを無視むししているからである（Xとの直接ちょくせつ対決たいけつで「Aがn 勝かちし た場合ばあい」、Xはn 回かい敗北はいぼくするので、「Xが残のこり全すべての試合しあいに勝かつ」と言いう条件じょうけんが満みたされない）。したがって、AとXとの直接ちょくせつ対決たいけつの場合ばあいには、Aの勝利しょうりとXの敗北はいぼくが二に重じゅうカウントされる。

特殊とくしゅなケースとして、直接ちょくせつ対決たいけつによるBの敗北はいぼくの結果けっか、『マジック対象たいしょうチームが別べつのチームCに入いれ替かわれば』Aのマジックナンバーの減少げんしょうが0の場合ばあいも1の場合ばあいもある。

さらに特殊とくしゅなケースとして、引ひき分わけ数すうに差さがある場合ばあいや同率どうりつだった場合ばあいの順位じゅんい決定けっていルールによっては、マジックナンバーが一いち度どに3つ減へることもありうる。

順位じゅんい決定けっていのルールによりマジックナンバーが一いち度どに3つ減へった例れいは、これまで3度ど発生はっせいしている。

• 2013年ねん9月がつ11日にち、パシフィック・リーグでマジック18を点灯てんとうさせていた東北とうほく楽天らくてんゴールデンイーグルス（70勝しょう49敗はい2分ふん）が、マジック対象たいしょうチームの千葉ちばロッテマリーンズ（66勝しょう55敗はい2分ふん）に勝利しょうりし起おこった。これは、楽天らくてんの勝利しょうりとロッテの敗北はいぼくによるマジックナンバーの2減少げんしょうに加くわえ、この勝利しょうりによって楽天らくてんが同年どうねんのロッテとの対戦たいせん成績せいせきを13勝しょう8敗はい（当時とうじ同一どういつチームとの対戦たいせんは24試合しあい制せい）としてシーズンにおける直接ちょくせつ対決たいけつの勝かち越こしを決きめたことによるものである。順位じゅんい決定けっていの規定きていにおいては、2チームが勝率しょうりつ、勝利しょうり数すうで並ならんだ際さいに直接ちょくせつ対決たいけつで勝かち越こしているチームが上位じょういとなる規定きていがあるため、楽天らくてんはこの勝利しょうりでロッテ戦せん勝かち越こしを決きめたことでロッテより上位じょういになるためにはロッテの勝率しょうりつ、勝利しょうり数すうに並ならべばよくなり、上回うわまわる必要ひつようがなくなったため、ロッテより上位じょういになるために必要ひつような勝利しょうり数すうがさらに1減へることになったからである。
• 2020年ねん9月がつ16日にち、セントラル・リーグでマジック38を点灯てんとうさせていた読売よみうりジャイアンツ（46勝しょう22敗はい4分ふん）が、マジック対象たいしょうチームの阪神はんしんタイガース（36勝しょう33敗はい4分ふん）との直接ちょくせつ対決たいけつに勝利しょうりしてマジックナンバーは2減少げんしょうに加くわえ、同年どうねんの対たい阪神はんしん戦せんの勝率しょうりつ5割わり以上いじょうを決きめたことで、「2球団きゅうだんの最終さいしゅう勝率しょうりつ、勝かち数すうがいずれも同おなじの場合ばあいは当該とうがいカードの勝かち越こし球団きゅうだんが優勝ゆうしょう。当該とうがいカードの対戦たいせん成績せいせきも同率どうりつの場合ばあいは前年ぜんねんの上位じょういが優勝ゆうしょう」としているセ・リーグの規定きてい（巨人きょじんはこの日ひの勝利しょうりで24試合しあい制せいの対たい阪神はんしん戦せんは12勝しょう3敗はいとし、前年ぜんねん順位じゅんいも優勝ゆうしょうで阪神はんしんより上位じょういであった）により、マジックナンバーはさらに1減少げんしょうし、巨人きょじんはマジックを35とした。
• 2023年ねん9月がつ9日にち、セントラル・リーグでマジック10を点灯てんとうさせていた阪神はんしんタイガース（75勝しょう44敗はい4分ふん）が、マジック対象たいしょうチームの広島東洋ひろしまとうようカープ（68勝しょう55敗はい4分ふん）との直接ちょくせつ対決たいけつに勝利しょうりしてマジックナンバーは2減少げんしょうした。加くわえて、翌よく10日にち以降いこう、広島ひろしまが残のこり15戦せん（うち対たい阪神はんしん戦せんは5試合しあい）を全勝ぜんしょうし、一方いっぽうの阪神はんしんが7勝しょう12敗はいで終おえた場合ばあい、両りょうチームともに最終さいしゅう成績せいせきはともに83勝しょう56敗はい4分ふん（勝率しょうりつ5割わり9分ふん7厘りん）、両りょうチーム間あいだの対戦たいせん成績せいせきも12勝しょう12敗はい1分ふんで全まったくの五ご分ふんとなるが、この場合ばあいセ・リーグの規定きていでは「交流こうりゅう戦せんを除のぞいたセ・リーグ球団きゅうだん同士どうしでのリーグ戦せん上位じょういを優勝ゆうしょう球団きゅうだんとする」としているため、それに倣ならいセ・リーグ球団きゅうだん同士どうしのリーグ戦せん成績せいせきを反映はんえいさせると、交流こうりゅう戦せんの成績せいせきを差さし引ひいて阪神はんしんは76勝しょう46敗はい3分わけ（勝率しょうりつ6割わり2分ふん3厘りん。交流こうりゅう戦せんは7勝しょう10敗はい1分ふん）、広島ひろしまは74勝しょう47敗はい4分ふん（勝率しょうりつ6割わり1分ふん2厘りん。交流こうりゅう戦せんは9勝しょう9敗はい）となり、『阪神はんしんがリーグ戦せん成績せいせきに限かぎると勝率しょうりつで広島ひろしまを上回うわまわる』ためマジックナンバーはさらに1減少げんしょうし7となった。

また過去かこには、マジック対象たいしょうチームとの引ひき分わけ数すうの差さにより、一いち度どにマジックを3減へらした事例じれいもあった。

• 1984年ねん9月がつ22日にち、パ・リーグで阪急はんきゅうブレーブスのマジックが4から1に減へった。
• 1993年ねん9月がつ29日にち、同おなじくパ・リーグの西武せいぶライオンズのマジックが9から6に減へった。

第だい三さんのケースはAが試合しあいで引ひき分わけた場合ばあいである。日本にっぽんプロ野球やきゅうでは、リーグでの順位じゅんいは勝かち数すうでなく勝率しょうりつで決きまり、勝率しょうりつの分母ぶんぼに引ひき分わけを入いれない。その影響えいきょうで、引ひき分わけが起おこると、AとBとで勝率しょうりつ計算けいさんの分母ぶんぼが異ことなってしまう。これが原因げんいんで、Aが引ひき分わけた場合ばあい、状況じょうきょうによってAのマジックナンバーが1減へる場合ばあいも減へらない場合ばあいもある。また、Aの引ひき分わけ数すうとBの引ひき分わけ数すうが極端きょくたんに大おおきい状況じょうきょう下かでは、Bの敗北はいぼくによりマジックナンバーが減へらないことも2減へることもありうる。これは、引ひき分わけ数すうが偏かたよると、勝率しょうりつの分母ぶんぼから引ひき分わけ数すうを引ひいていることが原因げんいんで、勝率しょうりつの分母ぶんぼがチームごとに異ことなるので、勝率しょうりつの分子ぶんしである1勝しょうの価値かちがチームごとに違ちがってくるためである。より正確せいかくにいうと「計算けいさん方法ほうほう」の節ふしで述のべた計算けいさん式しきの比例ひれい係数けいすう$(T-E_{A})/(T-E_{B})$が1以外いがいの値ねになってしまうためである。

さらに言いえば、引ひき分わけによってマジック対象たいしょうチームが入いれ替かわることも考慮こうりょする必要ひつようがある。

引ひき分わけがない場合ばあい

引ひき分わけがない場合ばあい、勝率しょうりつの大小だいしょうは勝かち数すうの大小だいしょうに一致いっちするので、チームAのマジックナンバーは

$W_{B}+R_{B}-W_{A}+1$

の式しきで求もとめることができる。ここでBはマジック対象たいしょうチーム、$W_{A}$、$W_{B}$ はそれぞれ現時点げんじてんでのA,Bの勝かち数すう、$R_{B}$ はBの残のこり試合しあい数すう（最後さいごの+1はAの勝かち数すう$\gneqq$Bの勝かち数すうを保障ほしょうするために必要ひつよう）。引ひき分わけがある場合ばあいは前述ぜんじゅつした理由りゆうでより複雑ふくざつな計算けいさんが必要ひつようになる。詳細しょうさいは計算けいさん方法ほうほうの項こうを参照さんしょうのこと。 なお引ひき分わけがなく、さらに今後こんごマジック対象たいしょうチームの入いれ替かわりもないとすれば、

• マジックナンバー = 優勝ゆうしょう確定かくていまでに必要ひつような勝利しょうり数すう + マジック対象たいしょうチームとの直接ちょくせつ対決たいけつ数すう + 1

となるため、優勝ゆうしょうとマジックナンバーとの関係かんけいが明解めいかいである。

マジックナンバーの点灯てんとう

日本にっぽんでは「A以外いがいのチームの自力じりき優勝ゆうしょう可能かのう性せいがなくなった」という条件じょうけんを満みたした場合ばあいのみマジックナンバーを用もちい、Aがこの条件じょうけんを満みたした場合ばあいにAのマジックが点灯てんとうしたという。またAのマジックが一旦いったん点灯てんとうした後のちにA以外いがいのチームの自力じりき優勝ゆうしょうの可能かのう性せいが復活ふっかつした場合ばあいには、Aのマジックが消滅しょうめつしたという。

上述じょうじゅつしたことからわかるように、マジック点灯てんとうという概念がいねん・条件じょうけんは日本にっぽんにおける慣習かんしゅうにすぎず、原理げんり的てきにはマジック点灯てんとうの条件じょうけんを満みたしていなくてもマジックナンバーを定義ていぎできる。マジックが点灯てんとうしていない状態じょうたいでのマジックナンバーを隠かくれマジックということがあり、マジック消滅しょうめつ後ご再さい点灯てんとうしそうな状況じょうきょうやシーズン最終さいしゅう盤ばんの僅差きんさでの優勝ゆうしょう争あらそいにおいて直接ちょくせつ対決たいけつを残のこす複数ふくすうチームがいずれも自力じりき優勝ゆうしょうの可能かのう性せいを残のこしている場合ばあい（例たとえば、優勝ゆうしょう争あらそいをする2チームが直接ちょくせつ対決たいけつ1戦せんを残のこすのみとなり勝かったチームが優勝ゆうしょうというケースでは両りょうチームとも隠かくれマジック1といえる）などで用もちいられる。また、状況じょうきょうにより残のこり試合しあい数すうよりも多おおい数かずの隠かくれマジックが定義ていぎされる場合ばあいがある（後述こうじゅつ）。

「マジック対象たいしょうチームBが残のこり試合しあいを全勝ぜんしょうした場合ばあい」というマジックナンバー計算けいさんの仮定かていをする場合ばあい、マジック点灯てんとうチームAの残のこり試合しあいのうち、Bとの直接ちょくせつ対戦たいせんでAの負まけを想定そうていすることになる。「それでもBとの対戦たいせん以外いがいを勝かてば、Aが優勝ゆうしょうできる」ということを意味いみする「マジック点灯てんとう」には、1位いと2位いが歴然れきぜんとして残のこり試合しあいが多おおいケースで合理ごうり性せいがある。

6チームのリーグ戦せんで試合しあい消化しょうかが均等きんとうであると仮定かていすれば、1位いと2位いのゲーム差さが残のこり試合しあいの5分ぶんの1より大おおきいときにマジックが点灯てんとうする。早はやい段階だんかいでのマジックナンバー点灯てんとうはそれだけ大おおきなリードを意味いみするので、過去かことの比較ひかくもそれなりに意味いみがある。

順位じゅんい決定けってい方法ほうほうによっては、マジックナンバーが2種類しゅるい点灯てんとうすることもある。セントラル・リーグでは2001年ねんから2006年ねんまでの間あいだ、勝率しょうりつ1位い球団きゅうだんが勝利しょうり数すうで勝率しょうりつ2位い球団きゅうだんを下回したまわった場合ばあい（2001年ねんのみ勝率しょうりつ1位い球団きゅうだんが勝利しょうり数すう1位いでない場合ばあい）はプレーオフを行おこなうという取とり決きめがあり、マジックも勝率しょうりつ1位い決定けっていマジックと優勝ゆうしょう決定けっていマジックの2つが存在そんざいしていた。

点灯てんとう概念がいねんの限界げんかい

以下いかのケースでは、マジックナンバーの「点灯てんとう」は優勝ゆうしょうに対たいする適切てきせつな指標しひょうにならない。

自力じりき優勝ゆうしょう可能かのうな2チームの直接ちょくせつ対決たいけつしか残のこっていない場合ばあい

この場合ばあい、「自分じぶん以外いがいのチームの自力じりき優勝ゆうしょう可能かのう性せいがない」という条件じょうけんが満みたされず、いずれのチームにもマジックが点灯てんとうしない。なおこの状況じょうきょうでも隠かくれマジックは定義ていぎできるので、隠かくれマジックを指標しひょうとして使つかえる。

過去かこの例れいとして1994年ねんのセ・リーグにおいて巨人きょじんと中日ちゅうにちが同どう勝率しょうりつの状態じょうたいで迎むかえた、両りょう軍ぐんにとってのシーズン最終さいしゅう戦せんとなる直接ちょくせつ対決たいけつ（10.8決戦けっせん）が挙あげられる。また、2014年ねんのパ・リーグは、1位いの福岡ふくおかソフトバンクホークスがシーズン最終さいしゅう戦せんとなる2位いオリックス・バファローズとの直接ちょくせつ対決たいけつを、マジックが点灯てんとうしないままゲーム差さなしの状態じょうたいで迎むかえ、ソフトバンクが延長えんちょう戦せんの末すえに勝利しょうりしたことで優勝ゆうしょうが決定けってい。優勝ゆうしょうしたチームに最後さいごまでマジックが点灯てんとうしないまま優勝ゆうしょう決定けっていとなった。

残のこり試合しあい数すうがチームによって大おおきく偏かたよっている場合ばあい

野球やきゅうの試合しあいは雨天うてんなどでの中止ちゅうしやそこから派生はせいした変則へんそく日程にっていが生しょうじることがあるため、残のこり試合しあい数すうが偏かたよることも起おこりうる。大半たいはんの試合しあいを消化しょうかしたチーム同士どうしが互たがいに潰つぶしあっている状況じょうきょうでは、上位じょういチームでも自力じりき優勝ゆうしょうの可能かのう性せいが消滅しょうめつすることもあり、こうした状況じょうきょうではあまり試合しあいを消化しょうかしておらず多おおく残のこり試合しあいを抱かかえる下位かいチームにマジックが点灯てんとうすることがある。しかしこの場合ばあいのマジックナンバーは「優勝ゆうしょうへのカウントダウン」というよりは、残のこり試合しあいから逆算ぎゃくさんして「あと何なん試合しあい負まけたら終おわり」と実感じっかんさせるような残のこり試合しあい数すうとほぼ同数どうすうという厳きびしい条件じょうけんを示しめす数字すうじになってしまいがちで、実際じっさいにチームが2位いの時点じてんでそのシーズン最初さいしょのマジックが点灯てんとうした例れいはパ・リーグが1シーズン制せいに復帰ふっきした1983年ねん以降いこう両りょうリーグ合あわせて6例れいあるが、そのうちマジックを減へらして逆転ぎゃくてん優勝ゆうしょうしたのは1998年ねんの西武せいぶライオンズ（当時とうじ）の1例れいのみである。

過去かこの例れいとして、1988年ねんのパ・リーグが有名ゆうめいである。1位いながら試合しあい消化しょうかが進すすみ、優勝ゆうしょうの決きまらない状態じょうたいで130試合しあいを終おえた西武せいぶを対象たいしょうとして、2位いの近鉄きんてつバファローズに優勝ゆうしょうマジックが灯ともったが、近鉄きんてつが10月19日にちの対たいロッテ戦せんのダブルヘッダー（10.19）に1勝しょう1分ふんで優勝ゆうしょうを逃のがしている。その他た2010年ねんのセ・リーグでも1位い・中日ちゅうにちドラゴンズの試合しあい消化しょうかが早はやかった影響えいきょうで、9月26日にち時点じてんで中日ちゅうにちより残のこり試合しあいが8試合しあい多おおい2位い阪神はんしんに優勝ゆうしょうマジックが点灯てんとうした（更さらに9月28日にちには3位いに転落てんらくしたが、マジックは変かわっていない）例れいや、2021年ねんのパ・リーグで、10月14日にち時点じてんで1位いオリックスとの直接ちょくせつ対決たいけつを全すべて終おえて1ゲーム差さで追おう2位いロッテがオリックスより残のこり試合しあいが3試合しあい多おおいためマジックが点灯てんとうした例れい、また直接的ちょくせつてきなリーグ優勝ゆうしょうへのマジックではないものの、2006年ねんパ・リーグでのレギュラーシーズン1位いマジックが灯ともる状況じょうきょうでありながら、直接ちょくせつ対決たいけつの結果けっかによる順位じゅんい変動へんどうで上位じょうい3チームが三さんすくみのような状態じょうたいになってなかなか灯ともらないというケースもあった。

なお、このようなケースにおいて自力じりき優勝ゆうしょうが不可能ふかのうな1位いチームの「隠かくれマジック」が報ほうじられる場合ばあいがある（自力じりき優勝ゆうしょうが不可能ふかのうであることから残のこり試合しあい数すうを上回うわまわる数値すうちとなる）。これは2位い以下いかのマジック点灯てんとうチームがほとんど負まけが許ゆるされない状況じょうきょうで、寧むしろ自力じりき優勝ゆうしょうが不可能ふかのうな1位いチームのほうが有利ゆうりな状況じょうきょうにおいて、「自じチームがこれだけ勝かてば優勝ゆうしょうできる」というよりも「マジックが点灯てんとうしている2位い以下いかの対象たいしょうチームがこれだけ負まければ優勝ゆうしょうできる」という意味合いみあいが強つよい。

このような隠かくれマジックが比較的ひかくてき長期間ちょうきかんわかりやすい状態じょうたいで定義ていぎされていた例れいとしては上述じょうじゅつの2021年ねんのパ・リーグがあり、10月21日にち時点じてんで、残のこり6試合しあいの2位いロッテがマジック5の状態じょうたいだったが、残のこり1試合しあいの1位いオリックスとは1ゲーム差さであり、ロッテが残のこり6試合しあいで3敗はいするとオリックスの残のこり試合しあいの結果けっかに関かかわらずロッテの優勝ゆうしょうが消滅しょうめつ（オリックスの優勝ゆうしょうが決定けってい）するため、オリックスの隠かくれマジックが3であるとされた。10月25日にちにはオリックスが最終さいしゅう戦せんを勝利しょうりし（この間あいだにロッテは3戦せん消化しょうかし2勝しょう1敗はい）、首位しゅいながら優勝ゆうしょうが決定けっていしないまま全ぜん日程にっていを終了しゅうりょう。この時点じてんで3試合しあいを残のこしたロッテがマジック3で、ロッテが1敗はいすればオリックスの優勝ゆうしょうが決きまるという状況じょうきょうのため、対象たいしょうチーム（ロッテ）の敗戦はいせんを前提ぜんていとした隠かくれマジックを1とした。結果けっか的てきに次つぎ戦せんでロッテが敗やぶれたことでオリックスの優勝ゆうしょうが決定けっていした。

計算けいさん方法ほうほう

チームA,Bに対たいし、

• （Aが今後こんごn 勝かちしてリーグが終了しゅうりょうした時ときのAの勝率しょうりつ）＞（Bが残のこり全すべての試合しあいに勝かってリーグが終了しゅうりょうした時ときのBの勝率しょうりつ）

を満みたす最小さいしょうのn を$M_{A,B}$とすれば、Aのマジックナンバーは

• $\max _{X\neq A}M_{A,B}$

により表あらわされるので、以下いか$M_{A,B}$の計算けいさん方法ほうほうを説明せつめいする。

リーグの総そう試合しあい数すうが$T$ 、チームBの現時点げんじてんでの成績せいせきが、勝かち数すう$W_{B}$、負まけ数すう$L_{B}$、勝かち越こし数すう$D_{B}(=W_{B}-L_{B})$、引ひき分わけ数すう$E_{B}$、残のこり試合しあい数すう$R_{B}(=T-(W_{B}+L_{B}+E_{B}))$のとき、チームAが今後こんご$n$ 試合しあい勝かってリーグが終了しゅうりょうした場合ばあいのAの勝率しょうりつ$r_{A}$ は

$r_{A}={\frac {W_{A}+n}{T-E_{A}}}$

である。チームBをマジック対象たいしょうチームとするとき、チームBが全すべての残のこり試合しあいに勝かった場合ばあいのBの勝率しょうりつ$r_{B}$ は

$r_{B}={\frac {W_{B}+R_{B}}{T-E_{B}}}$

である。

Aの勝率しょうりつがBの勝率しょうりつを上回うわまわるには$r_{A}>r_{B}$ である必要ひつようがある。これに上うえ式しきを代入だいにゅうして整理せいりすると、

$n>{\frac {T-E_{A}}{T-E_{B}}}\cdot (W_{B}+R_{B})-W_{A}$

$M_{A,B}$は上うえの式しきを満みたす最小さいしょうの整数せいすうnなので、チームAのBに対たいするマジックナンバー$M_{AB}$は

$M_{A,B}=\left\lfloor {\frac {T-E_{A}}{T-E_{B}}}\cdot (W_{B}+R_{B})\right\rfloor -W_{A}+1$

となる。ここで$\lfloor \cdot \rfloor$ は床ゆか関数かんすう。

引ひき分わけ数すうが同どうじ、または引ひき分わけが無ない場合ばあい、すなわち$E_{A}=E_{B}(=0)$ の場合ばあい、$(T-E_{A})/(T-E_{B})=1$ でしかも$W_{B}+R_{B}$ は整数せいすうなので、$M_{A,B}$はは前述ぜんじゅつした式しき

$M_{A,B}=W_{B}+R_{B}-W_{A}+1$ …(1)式しき

に一致いっちする。

他たの計算けいさん方法ほうほう

引ひき分わけのあるなしに関かかわらず、$M_{A,B}$は以下いかの方法ほうほうでも求もとめられることが簡単かんたんな計算けいさんで確たしかめられる。

$M_{A,B}=\left\lfloor {\frac {1}{2}}\{(W_{B}-L_{B}+R_{B}){\frac {T-E_{A}}{T-E_{B}}}-(W_{A}-L_{A}-R_{A})\}\right\rfloor +1$

$=\left\lfloor {\frac {1}{2}}\{(D_{B}+R_{B})(1-{\frac {E_{A}-E_{B}}{T-E_{B}}})-(D_{A}-R_{A})\}\right\rfloor +1$

$=\left\lfloor {\frac {D_{B}+R_{B}-D_{A}+R_{A}}{2}}-{\frac {D_{B}+R_{B}}{2}}\cdot {\frac {E_{A}-E_{B}}{T-E_{B}}}\right\rfloor +1$

また上述じょうじゅつの(1)式しきを変形へんけいすることにより導みちびかれる。

$M_{A,B}=\left\lfloor {\frac {L_{B}(E_{A}-E_{B})}{T-E_{B}}}\right\rfloor +T-(W_{A}+E_{A})-L_{B}+1=\left\lfloor {\frac {L_{B}(E_{A}-E_{B})}{T-E_{B}}}\right\rfloor +L_{A}+R_{A}-L_{B}+1$ …(2)式しき

の式しきを用もちいても$M_{A,B}$の計算けいさんができる。

マジックナンバーの増減ぞうげん

定義ていぎより、マジックナンバーが増加ぞうかすることはありえないが、リーグ戦せんが進すすむとマジックナンバーが減へることがある。マジック点灯てんとうチームAおよびマジック対象たいしょうチームBの勝敗しょうはいにより、Aのマジックナンバーは以下いかの挙動きょどうを示しめす。

• マジック点灯てんとうチームAが1勝しょうすると、マジックナンバーは1つ減へる。
• マジック点灯てんとうチームAが1敗はいした場合ばあい、マジックナンバーは変化へんかしない。
• マジック点灯てんとうチームAの引ひき分わけが1つ増ふえると、マジックナンバーは$1+(N_{M}-N_{EA})$ だけ減へる。
• マジック対象たいしょうチームBが1勝しょうした場合ばあい、マジックナンバーは変化へんかしない。
• マジック対象たいしょうチームBが1敗はいすると、マジックナンバーは$1+(N_{M}-N_{LB})$ だけ減へる。
• マジック対象たいしょうチームBの引ひき分わけが1つ増ふえると、マジックナンバーは$(N_{M}-N_{EB})$ だけ減へる。

ここで$N_{M}$ 、$N_{EA}$ 、$N_{LB}$ 、$N_{EB}$ は、

$N_{M}=\left\lfloor {\frac {L_{B}(E_{A}-E_{B})}{T-E_{B}}}\right\rfloor$　　$N_{EA}=\left\lfloor {\frac {L_{B}(E_{A}-E_{B}+1)}{T-E_{B}}}\right\rfloor$

$N_{LB}=\left\lfloor {\frac {(L_{B}+1)(E_{A}-E_{B})}{T-E_{B}}}\right\rfloor$　　$N_{EB}=\left\lfloor {\frac {L_{B}(E_{A}-E_{B}-1)}{T-E_{B}-1}}\right\rfloor$

で表あらわされる整数せいすうとする。

以上いじょうをまとめると次つぎのようになる。

マジックナンバー $M_{AB}$の変化へんか		Bの勝敗しょうはい
		試合しあいなし	勝かち	負まけ	分わけ
Aの勝敗しょうはい	試合しあいなし	$0$	$0$	$-1-N_{M}+N_{LB}$	$N_{EB}-N_{M}$
	勝かち	$-1$	$-1$	$-2-N_{M}+N_{LB}$	$-1+N_{EB}-N_{M}$
	負まけ	$0$	$0$	$-1-N_{M}+N_{LB}$	$N_{EB}-N_{M}$
	分わけ	$-1-N_{M}+N_{EA}$	$-1-N_{M}+N_{EA}$	$-2-2N_{M}+N_{EA}+N_{LB}$	$-1-2N_{M}+N_{EA}+N_{EB}$

ただし、マジック対象たいしょうチームが交代こうたいする場合ばあいには上記じょうきのような挙動きょどうには必かならずしも当あてはまらない。

引ひき分わけの場合ばあいは1つ減へるかどうかは勝率しょうりつにより左右さゆうされるが、引ひき分わけ再さい試合しあい制せいでない場合ばあい、点灯てんとうチームと対象たいしょうチームの双方そうほうが引ひき分わければ通常つうじょうは1つ減へるが、引ひき分わけ数すうにばらつきがある場合ばあいに変則へんそく的てきな減へり方かたをすることがまれにある。

2009年ねん9月がつ20日はつか、セ・リーグの読売よみうりジャイアンツ（以下いか、巨人きょじん）には、試合しあい前まえに優勝ゆうしょうマジック6が点灯てんとうしていた。この日ひの試合しあいは、巨人きょじんが勝かち、マジック対象たいしょうチームの中日ちゅうにちドラゴンズ（以下いか、中日ちゅうにち）は敗やぶれたが、巨人きょじんの優勝ゆうしょうマジックは1つしか減へらず「5」となった。巨人きょじんは残のこり14試合しあいで4勝しょう10敗はいの場合ばあい、勝率しょうりつが.6222。一方いっぽう、中日ちゅうにちが残のこり12試合しあいに全勝ぜんしょうすると.6223となり、巨人きょじんを上回うわまわる。このため、巨人きょじんが優勝ゆうしょうするには、自力じりきでの5勝しょうが必要ひつような計算けいさんとなる。当該とうがいシーズンは、巨人きょじんの引ひき分わけが突出とっしゅつして多おおかった（巨人きょじんが9、中日ちゅうにちが1）ためこうした影響えいきょうが出でた。

いったん消滅しょうめつした後のちに再さい点灯てんとうした場合ばあいも、消滅しょうめつした時ときの数字すうじより小ちいさくなる。それは各かくチームがそれぞれに個別こべつにマジックナンバーがあり、はじめは直接ちょくせつ対決たいけつなどの考慮こうりょに入いれないいわゆる隠かくれマジックとなっており、隠かくれマジックの状態じょうたいでも試合しあいに勝利しょうりしたり対戦たいせん相手あいてが敗やぶれれば数字すうじが減少げんしょうするからである。なお、マジックナンバーが点灯てんとうしたチームが変かわれば数字すうじ上じょうは増ふえることはありうる。

マジック点灯てんとうのスピード記録きろく

※パ・リーグの前ぜん後期こうき優勝ゆうしょうおよびプレーオフ進出しんしゅつマジックは含ふくまない

• M53 7月がつ2日にち 東京とうきょうヤクルトスワローズ（2022年ねん） - 日本にっぽんプロ野球やきゅう界かい史上しじょう最速さいそくのマジック点灯てんとう
• M62 7月がつ6日にち 南海なんかいホークス（1965年ねん） - パシフィック・リーグ史上しじょう最速さいそくのマジック点灯てんとう
• M46 7月がつ22日にち 阪神はんしんタイガース（2008年ねん） - 非ひ優勝ゆうしょうチームのマジック最速さいそく点灯てんとう記録きろく

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの「Magic Number」

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの場合ばあいは、他たチームの自力じりき優勝ゆうしょうの可能かのう性せいを考慮こうりょしない。よって、「点灯てんとう」という概念がいねんがない。

2001年ねんにアメリカンリーグ西にし地区ちくのシアトル・マリナーズが独走どくそうした時とき、シーズン前半ぜんはんにして早はやくも地区ちく優勝ゆうしょうマジック97が点灯てんとうしていたが、話題わだいにしていたのは日本にっぽんのメディアのみで、現地げんちのメディアは取とり上あげなかった。なお、現地げんち時間じかんの2001年ねん5月がつ31日にちの試合しあいを終おえた時点じてんで、アメリカンリーグ西にし地区ちくの成績せいせきは

順位じゅんい	チーム	成績せいせき	勝率しょうりつ	残のこり試合しあい	ゲーム差さ
1位い	マリナーズ	40勝しょう12敗はい	.769	110	-
2位い	アスレチックス	26勝しょう26敗はい	.500	110	14
3位い	エンゼルス	24勝しょう28敗はい	.462	110	2
4位い	レンジャーズ	19勝しょう33敗はい	.365	110	5

で、この時点じてんでのマリナーズとアスレチックスとの残のこり直接ちょくせつ対決たいけつ数すうは13試合しあいあった。アスレチックスが残のこり110試合しあいに全勝ぜんしょうすれば136勝しょう26敗はい（勝率しょうりつ.840）になるが、マリナーズがアスレチックス戦せんを除のぞいた97試合しあいに全部ぜんぶ勝かつと137勝しょう25敗はい（勝率しょうりつ.846）となるため、アスレチックスの自力じりき優勝ゆうしょうは消滅しょうめつした。エンゼルス・レンジャーズも自力じりき優勝ゆうしょうは消滅しょうめつしていた。

メジャーリーグでは引ひき分わけがないので、マジックナンバーの計算けいさんに前述ぜんじゅつした簡単かんたんな式しきが用もちいられる。

語源ごげん

ビンゴゲームで、日本にっぽんでいう「リーチ」状態じょうたいの時ときに、ビンゴ完成かんせいのために必要ひつような番号ばんごうをマジックナンバーと呼よぶのが語源ごげんとされている。「この数字すうじが出でてちょうだい」と呪文じゅもん（magic word）のようにお祈いのりする数字すうじ（magic number）で、それが転用てんようされて「実現じつげんを願ねがう数字すうじ」を意味いみする語かたりとして使つかわれるようになり、特とくにリーグ戦せん方式ほうしきのスポーツでは「そのチームの優勝ゆうしょうまでに必要ひつような最小さいしょう勝利しょうり数すう」の意味いみに使つかわれるようになった。野球やきゅうでは1947年ねんには使つかわれていたとされる。

ただし原義げんぎはあくまで「呪文じゅもんのように唱となえる数字すうじ」であり、「ファンなら誰だれもが口くちにする過去かこの大だい記録きろく」やキリ番ばん、それを越こえそうな場合ばあいの残のこり数すうも magic number と呼よぶことがある。多おおくは文脈ぶんみゃくで明あきらかだが、「優勝ゆうしょうへの」「プレーオフ進出しんしゅつへの」といった言葉ことばを添そえたり、clinching number など別べつの語かたりを用もちいる場合ばあいもある。

日本にっぽんでは、ビンゴに独自どくじに「リーチ」という言葉ことばが定着ていちゃくしているため、語源ごげんまでは伝つたわらなかったので、いろいろな俗説ぞくせつが流布るふしている。「ついたり消きえたりするから」という説せつがあるが、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは他たチームの自力じりき優勝ゆうしょうの可能かのう性せいと関係かんけいなく数かぞえる（「あと何なん勝しょう」の他ほかに「××が負まけろ！」という条件じょうけんが「呪文じゅもん」に含ふくまれているケースがまれにある）。また「（カレンダーのように）マジックで数字すうじを消けしていくから」という説せつもあるが、日本にっぽんのマジックインキ（マーカー）とアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのマジックマーカーはいずれも1950年代ねんだいの発売はつばいで、「マジックナンバー」の語かたりが使つかわれ始はじめた1940年代ねんだいよりも後ごである。

特異とくい例れい

NPBでは、マジックナンバーが点灯てんとうするには「（マジックが点灯てんとうする）Aチーム以外いがいに自力じりき優勝ゆうしょうの可能かのう性せいがなくなること」のほかに、「Aチームを自力じりきで勝率しょうりつで上回うわまわることが出来できるチームがないこと」も条件じょうけんであるため、Aチーム以外いがいに自力じりき優勝ゆうしょうの可能かのう性せいがなくなっても、Aチームにマジックナンバーが点灯てんとうしないというケースも起おこりうる。

このようなケースが実際じっさいに発生はっせいした例れいとして、2006年ねん9月がつ22日にちのパシフィック・リーグが挙あげられる。9月22日にち試合しあい終了しゅうりょう時点じてんでの上位じょうい3チームの順位じゅんい表ひょうと、上位じょうい3チームが残のこり試合しあいを全勝ぜんしょうした場合ばあいの勝率しょうりつを下したに記しるす。なお、当時とうじのパ・リーグはプレーオフの結果けっかにより1位いから3位いまでを決定けっていしていたため、マジックの名称めいしょうは「レギュラーシーズン1位い決定けっていマジック」である。

9月22日にち終了しゅうりょう時点じてんの上位じょうい3チームの順位じゅんい

順位じゅんい	チーム	成績せいせき	勝率しょうりつ	残のこり試合しあい
1位い	北海道ほっかいどう日本にっぽんハムファイターズ	80勝しょう52敗はい0分ふん	.606	4（ソフトバンク2・ロッテ2）
2位い	西武せいぶライオンズ	78勝しょう52敗はい2分ふん	.600	4（ロッテ2・楽天らくてん2）
3位い	福岡ふくおかソフトバンクホークス	75勝しょう51敗はい5分ふん	.595	5（日本にほんハム2・オリックス2・楽天らくてん1）

※4位い以下いか（ロッテ・オリックス・楽天らくてん）はすでにBクラスが確定かくてい

残のこり試合しあいを全勝ぜんしょうした場合ばあいの勝率しょうりつ

チーム	成績せいせき	勝率しょうりつ
日本にほんハム	84勝しょう52敗はい0分わけ	.618
西武せいぶ	82勝しょう52敗はい2分わけ	.612
ソフトバンク	80勝しょう51敗はい5分わけ	.611

直接ちょくせつ対決たいけつが終了しゅうりょうしている関係かんけいで、西武せいぶは日本にほんハムの、ソフトバンクは西武せいぶの勝率しょうりつをそれぞれ自力じりきで上回うわまわることが出来できなかったため、西武せいぶとソフトバンクの自力じりきシーズン1位いの可能かのう性せいは消滅しょうめつしていた。一方いっぽう、唯一ゆいいつ自力じりきシーズン1位いの可能かのう性せいがある日本にほんハムであるが、ソフトバンクとの直接ちょくせつ対決たいけつを2試合しあい残のこしていたため、ソフトバンクが対たい日本にほんハム戦せん2試合しあいを含ふくめて4勝しょう以上いじょうした場合ばあいは、日本にほんハムは必かならずソフトバンクの勝率しょうりつを下回したまわるという状況じょうきょうであった。

自力じりきシーズン1位いの可能かのう性せいがあるのは日本にほんハムのみだが、ソフトバンクは自力じりきで日本にほんハムの勝率しょうりつを上回うわまわる可能かのう性せいが残のこっているため、この時点じてんでは日本にほんハムのレギュラーシーズン1位い決定けっていマジックは点灯てんとうしていない。最終さいしゅう盤ばんまで3チームによる混戦こんせんだったことや、残のこり試合しあいの関係かんけいでこのような珍事ちんじが生しょうじたが、この日ひの試合しあい前まえには2位いの西武せいぶにマジック5が点灯てんとうしていた。

実際じっさいの経過けいか

• 9月19日にち 2位いの西武せいぶが3位いソフトバンクとの直接ちょくせつ対決たいけつに勝利しょうりしマジック5が点灯てんとう。
• 9月22日にち 西武せいぶ● で上記じょうきの状況じょうきょう。新聞しんぶん各社かくしゃ「マジック消滅しょうめつ」と報ほうじる。
• 9月23日にち 日本にほんハム● 西武せいぶ○ ソフトバンク● ※西武せいぶが首位しゅいに立たち3試合しあいを残のこしてマジック3が点灯てんとう。
• 9月24日にち 3チームとも● ※西武せいぶのマジックは残のこり2試合しあいで2となる。
• 9月26日にち 西武せいぶ● 日本にほんハム○ ソフトバンク● 日本にほんハムとソフトバンクの直接ちょくせつ対決たいけつ。※西武せいぶのマジックが消滅しょうめつ。日本にほんハムが首位しゅいに立たち1試合しあいを残のこしてマジック1が点灯てんとう。直接ちょくせつ対決たいけつに敗やぶれたソフトバンクは2試合しあいを残のこし1位いの可能かのう性せいがなくなる。
• 9月27日にち 日本にほんハムが勝かちシーズン1位いを決きめる。シーズン最終さいしゅう戦せん、ソフトバンクとの直接ちょくせつ対決たいけつを制せいしての優勝ゆうしょうだった。同日どうじつの試合しあいで全ぜん日程にっていを終了しゅうりょうした西武せいぶが2位い、1試合しあいを残のこしていたソフトバンクが3位いとなった。

派生はせい用法ようほう・関連かんれん語ご

単たんに「目標もくひょうまであといくつ」という意味いみで用もちいられることもある。自力じりき優勝ゆうしょうに関係かんけいなく「優勝ゆうしょうまであとn勝かち」など、トーナメント戦せんでも決勝けっしょう進出しんしゅつのことを「マジック1」など、「2000本ほん安打あんだまでマジック9」などのような使つかわれ方かたをする場合ばあいもある。これらはすべて派生はせい的てきな用法ようほうである。

逆ぎゃくマジック

マジックナンバー点灯てんとうチームが、必かならずしもその時点じてんでの首位しゅいのチームとは限かぎらない。これは、ある日付ひづけに残のこり試合しあい数すうが異ことなっていると、残のこり試合しあいの多おおい方ほうが最終さいしゅう勝率しょうりつ・勝利しょうり数すうを高たかめられる場合ばあいがあるためである。マジックナンバー点灯てんとうチームよりマジックナンバー対象たいしょうチームが上位じょういにいる場合ばあい「逆ぎゃくマジック」ともいう。

なお「逆ぎゃくマジック」は、あと何なん敗はいすると最下位さいかいが決定けっていするか、もしくは優勝ゆうしょうやポストシーズン進出しんしゅつが消滅しょうめつするかといった、敗北はいぼく状態じょうたいへのカウントダウンのために用もちいられる場合ばあいもある。最下位さいかいが決定けっていするという意味いみでは「裏うらマジック」・「最下位さいかいマジック」という言葉ことばもある。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは優勝ゆうしょうやポストシーズン進出しんしゅつが消滅しょうめつするという意味いみで「エリミネーション・ナンバー」が用もちいられ、ポストシーズン進出しんしゅつが消滅しょうめつしたチームには「E」で表あらわされる。

プレーオフマジック（クライマックスマジック）

2004年ねんからパシフィック・リーグがプレーオフを導入どうにゅう。また、2007年ねんから両りょうリーグでクライマックスシリーズ（以下いか「CS」という。）がスタートした。これに進出しんしゅつできるまでのマジックを、それぞれ「プレーオフ進出しんしゅつマジック」「クライマックスシリーズ進出しんしゅつマジック（略りゃくしてCSマジック、あるいはCMと表記ひょうきされる）」。自力じりきで今いまいる順位じゅんいに入はいる可能かのう性せいがなくなったチームが3チーム以上いじょうになった場合ばあいにそのチームに点灯てんとうする。なお、パシフィック・リーグでは2004年ねんからの3年間ねんかんはプレーオフの結果けっかでリーグ順位じゅんいを決定けっていしていたので、従来じゅうらい指標しひょうによるマジックナンバーは「レギュラーシーズン1位い決定けっていマジック」としていた。

対象たいしょうとなるチームは4位い以下いか（Bクラス）の全ぜんチームであることが多おおいが、残のこり試合しあい数すうに差さがあれば、優勝ゆうしょうマジックと同様どうようにBクラスのチームに点灯てんとうする可能かのう性せいもある。主おもな概要がいようは優勝ゆうしょうマジックと同おなじである。また、下位かいのチームの勝率しょうりつが5割わり以下いかになることが確定かくていした場合ばあい、マジックが3減へることもある。

例れいとして、点灯てんとうチームが70勝しょう70敗はい1分ふん、対象たいしょうチームが68勝しょう70敗はい3分ふんで残のこり試合しあいがともに3試合しあいの場合ばあい、対象たいしょうチームは全勝ぜんしょうすると71勝しょう70敗はい3分ふん、勝率しょうりつ.50354で、点灯てんとうチームがこれを上回うわまわるには3勝しょうする必要ひつようがあるので（3勝しょうすると73勝しょう70敗はい1分ふんで勝率しょうりつ.5105だが、2勝しょう1敗はいだと72勝しょう71敗はい1分ふんで勝率しょうりつ.50350となる）CM3となるが、点灯てんとうチームが勝利しょうりして対象たいしょうチームが敗北はいぼくした場合ばあい、残のこり2試合しあいを点灯てんとうチームが全敗ぜんぱいすると71勝しょう72敗はい1分ふんで勝率しょうりつ.49650、対象たいしょうチームは全勝ぜんしょうしても70勝しょう71敗はい3分ふんで.49645となり、点灯てんとうチームを上うえ回まわれなくなる。このケースではCSマジックが一気いっきに3減へって0になったことを意味いみする。対象たいしょうチームの負まけ越ごしが決きまったときにこの状況じょうきょうが起おこり得えるが、優勝ゆうしょうマジックでは、対象たいしょうチームと勝率しょうりつが並ならんだ場合ばあいに上位じょういとなることが確定かくていした場合ばあいを除のぞき、通常つうじょう起おこらない。

最速さいそく点灯てんとう記録きろくは7月がつ8日にちの阪神はんしん（2008年ねん・M55）。CSへは、各かくリーグ6チーム中ちゅう上位じょうい3チームが出場しゅつじょうできるので、自じチームが残のこり試合しあい全敗ぜんぱいで、他たチームのうち、残のこり試合しあい全勝ぜんしょうでも自じチームより勝率しょうりつが上うえ回まわれないチームが3チーム以上いじょうあれば、自じチームのCS進出しんしゅつが決きまる（CSマジックがゼロになる）。CSマジックの場合ばあい、マジック点灯てんとうチーム、マジック対象たいしょうチームのいずれも複数ふくすうのため、その計算けいさんはリーグ優勝ゆうしょうマジックよりも複雑ふくざつである。特とくにリーグ戦せんでは、下位かいチームの試合しあい消化しょうかが遅おそいと現在げんざいより下したの順位じゅんいに自力じりきで入いれないケースが生しょうずるため、計算けいさんがさらに煩雑はんざつになりやすい。例たとえば2位い甲かぶとが71勝しょう65敗はい6分ふん、3位い乙おつが68勝しょう64敗はい5分ふん、4位い丙へいが63勝しょう63敗はい5分ぶんの場合ばあい、甲かぶとは残のこり2試合しあいに全勝ぜんしょうすると73勝しょう65敗はい6分ふん（勝率しょうりつ.52899）となるが、乙おつが残のこり7試合しあいを6勝しょう1敗はいで、丙へいが残のこり13試合しあいを11勝しょう2敗はいで終おえると、乙おつと丙へいが74勝しょう65敗はい5分ふん（勝率しょうりつ.53237）で並ならぶので、甲かぶとは残のこり2試合しあいがともに乙おつ戦せんでない限かぎり、2位いでありながらより下したの3位いに自力じりきで入いれない。

プレーオフマジックの発生はっせいを、メディアが見落みおとすこともまれにある。メディアの多おおくは、共同通信社きょうどうつうしんしゃが配信はいしんする順位じゅんい表ひょうに依存いぞんしている。2009年ねん9月がつ19日にち付づけ以降いこう、共同通信社きょうどうつうしんしゃの配信はいしん記事きじを転載てんさいしている新聞しんぶんで、プロ野球やきゅうの順位じゅんい表ひょうには、CS進出しんしゅつ決定けっていの☆マークのみの掲載けいさいとなった。これは、配信はいしん元もとである共同通信社きょうどうつうしんしゃの「マジックナンバー計算けいさんプログラム」の一部いちぶに不具合ふぐあいが生しょうじたためである。ただし、リーグ優勝ゆうしょうへのマジックナンバーは掲載けいさいされているので、同どうプログラムの不具合ふぐあいはCSマジックのみだと思おもわれる。なお、記事きじ本文ほんぶんにはCSマジックの状況じょうきょうは記載きさいされているほか、残のこる1枠わく（3位い）に対たいしての進出しんしゅつマジックについても、優勝ゆうしょうマジックの条件じょうけんと大差たいさないので数値すうちが記載きさいされることもあった。

こうした経緯けいいもあって、共同通信社きょうどうつうしんしゃでは2010年ねんシーズンはCS進出しんしゅつ決定けっていとなるまでの勝利しょうり数すうの指標しひょうとして「CSクリンチナンバー」を配信はいしんすることとした。

詳細しょうさいはクライマックスシリーズ#クリンチナンバーを参照さんしょう。

不具合ふぐあいの事例じれい

共同通信社きょうどうつうしんしゃの「マジックナンバー計算けいさんプログラム」の不具合ふぐあいとして、以下いかの事例じれいが挙あげられる。

2009年ねん9月がつ12日にちに、CMが1となった2位いの巨きょ人じんのクライマックスシリーズ進出しんしゅつ決定けっていが報ほうじられた。9月11日にち終了しゅうりょう時じ、セ・リーグで、巨人きょじんは75勝しょう39敗はい9分ふんで勝率しょうりつ.658。CM「1」と報ほうじられていた。巨人きょじんは残のこり21試合しあい全敗ぜんぱいした場合ばあいの最終さいしゅう勝率しょうりつ.556（75勝しょう60敗はい9分ふん）となる。6位いの横浜よこはま（43勝しょう78敗はい0分ふん）は残のこり23試合しあいに全勝ぜんしょうしても最終さいしゅう勝率しょうりつは.458、5位いの広島ひろしま（55勝しょう63敗はい4分ふん）も残のこり22試合しあいに全勝ぜんしょうしても最終さいしゅう勝率しょうりつ.550であり、この2チームはいずれも巨人きょじんを上うえ回まわれない。一方いっぽう、3位いのヤクルトは56勝しょう61敗はい1分ふんで、残のこり26試合しあい全勝ぜんしょうすると最終さいしゅう勝率しょうりつは.573、4位いの阪神はんしんは56勝しょう62敗はい4分ふんで、残のこり22試合しあいに全勝ぜんしょうすると最終さいしゅう勝率しょうりつは.557となり、いずれも巨人きょじんが残のこり試合しあい全敗ぜんぱいした場合ばあいの最終さいしゅう勝率しょうりつを上回うわまわるので、共同通信社きょうどうつうしんしゃの配信はいしん記事きじは、巨人きょじんのCMを「1」としていた。

しかし、この時点じてんで阪神はんしんは残のこり試合しあいに全勝ぜんしょうしないと巨きょ人じんの勝率しょうりつを上うえ回まわれない状態じょうたいにあり、一方いっぽうのヤクルトは2敗はい以内いないであれば巨人きょじんを上回うわまわる可能かのう性せいはあったものの、ヤクルトと阪神はんしんの直接ちょくせつ対決たいけつが6試合しあい残のこっていたために両りょうチームが揃そろって巨人きょじんを上回うわまわる可能かのう性せいはなく、同時どうじに巨人きょじんが4位い以下いかになる可能かのう性せいもなくなっていたので、CS進出しんしゅつが既すでに確定かくていしていたことが発覚はっかくした。

この事例じれいでは、阪神はんしんとヤクルトが「巨人きょじんを上うえ回まわれる最低さいてい成績せいせきでの敗戦はいせん数すうの合計ごうけい」が「阪神はんしん・ヤクルトの直接ちょくせつ対決たいけつの数かず（6）」未満みまんとなれば、いずれか一方いっぽうはその他たの試合しあいを全勝ぜんしょうしても巨きょ人じんの成績せいせきを上うえ回まわれなくなるので、その時点じてんで巨人きょじんの3位い以上いじょうは確定かくていするので、実際じっさいには9月11日にちの前日ぜんじつの9月がつ10日とおかの時点じてんで、巨人きょじんのCS進出しんしゅつは決定けっていしていたことになる。

9月9日にち

• 巨人きょじん 敗戦はいせん（73勝しょう39敗はい9分ふん .652）残のこり23試合しあい 全敗ぜんぱい時じ73勝しょう62敗はい9分ふん .541
• ヤクルト 敗戦はいせん（55勝しょう60敗はい1分ふん .478）残のこり28試合しあい
• 阪神はんしん 勝利しょうり（55勝しょう61敗はい4分ふん .474）残のこり24試合しあい

阪神はんしんは残のこり21勝しょう3敗はいであれば.542となり巨人きょじんを上回うわまわる。ヤクルトも残のこり23勝しょう5敗はいであれば.543で巨人きょじんを上回うわまわるので、この日ひの時点じてんでは確定かくていしていない。

9月がつ10日とおか

• 巨人きょじん 勝利しょうり（74勝しょう39敗はい9分ふん .655）残のこり22試合しあい 全敗ぜんぱい時じ74勝しょう61敗はい9分ふん .548
• ヤクルト 敗戦はいせん（55勝しょう61敗はい1分ふん .474）残のこり27試合しあい
• 阪神はんしん 敗戦はいせん（55勝しょう62敗はい4分ふん .470）残のこり23試合しあい

阪神はんしんは残のこり22勝しょう1敗はいで.550となるが、この場合ばあいのヤクルトの最高さいこう勝率しょうりつは22勝しょう5敗はい（阪神はんしんとの直接ちょくせつ対決たいけつで最低さいてい5敗はいを要ようするため）で.538となる。逆ぎゃくにヤクルトが24勝しょう3敗はいとした場合ばあいは.552となるものの、阪神はんしんの最高さいこう勝率しょうりつは20勝しょう3敗はい時じの.536となるので、両りょうチームが同時どうじに巨人きょじんを上うえ回まわれる可能かのう性せいが消滅しょうめつした。

（9月がつ11日にち時点じてんでの成績せいせきから、それ以前いぜんの試合しあい結果けっかを元もとに成績せいせき及および最低さいてい・最高さいこう勝率しょうりつを算出さんしゅつ）