減価げんか償却しょうきゃく

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減価げんか償却しょうきゃく(げんかしょうきゃく、えい: depreciation)とは、企業きぎょう会計かいけいにおける購入こうにゅう費用ひよう認識にんしき計算けいさん方法ほうほう長期間ちょうきかんにわたって使用しようされる固定こてい資産しさん取得しゅとく設備せつび投資とうし)にようした支出ししゅつを、その資産しさん使用しようできる期間きかんにわたって費用ひよう配分はいぶんする手続てつづきである。

英語えいごでは、有形ゆうけい固定こてい資産しさんにかかるものを depreciation無形むけい固定こてい資産しさんにかかるものを amortization という。

概要がいよう[編集へんしゅう]

減価げんか償却しょうきゃく本質ほんしつ[編集へんしゅう]

減価げんか償却しょうきゃくとは、一般いっぱん有形ゆうけい固定こてい資産しさん固定こてい資本しほん)の価値かち減価げんか測定そくていし、その減価げんか帳簿ちょうぼからくことをいう[1]

これらの減価げんか原因げんいんにはつぎのようなものがある。

  • 物質ぶっしつてき減価げんか物理ぶつりてき摩滅まめつ) - 使用しようによる損耗そんこう(wear and tear)やとき経過けいかによる自然しぜん損耗そんこう[2]
  • 機能きのうてき減価げんか経済けいざいてき減価げんか) - 旧式きゅうしき陳腐ちんぷによる減価げんか(depreciation due to obsolescence)およ不適合ふてきごう[1][2]
  • 災厄さいやくてき減価げんか - 事故じこ災害さいがいによる減価げんか[1]

一部いちぶ特許とっきょけん商標しょうひょうけん漁業ぎょぎょうけんソフトウェアなど各種かくしゅ権利けんり無形むけい固定こてい資産しさんについても、減価げんか償却しょうきゃくおこなうことがある。

なお、「償却しょうきゃく」には、資産しさん原価げんか将来しょうらいわたって費用ひよう配分はいぶんする、という意味いみがある。会計かいけい用語ようごでは、とく有形ゆうけい固定こてい資産しさん(Tangible assets)を償却しょうきゃくすることを「減価げんか償却しょうきゃく」(Depreciation)とび、無形むけい固定こてい資産しさん(Intangible assets)を償却しょうきゃくすることをたんに「償却しょうきゃく」(Amortization)とんで区別くべつしている。
一方いっぽうかしたおせ損失そんしつを「かしたおせ償却しょうきゃく」とぶことがあり、減価げんか償却しょうきゃく償却しょうきゃくかしたおせ償却しょうきゃくふくめた広義こうぎの「償却しょうきゃく」(Amortization)もあるので注意ちゅうい必要ひつようである。

減価げんか償却しょうきゃく資産しさん[編集へんしゅう]

固定こてい資産しさんであっても減価げんか償却しょうきゃくしないものがある。減価げんか償却しょうきゃくしないものは減価げんか償却しょうきゃく資産しさんばれ、減価げんか償却しょうきゃく資産しさん以下いかよう時間じかんによっても価値かち減少げんしょうするとはかぎらないものが該当がいとうする。

また、株式かぶしきなどの有価ゆうか証券しょうけんも、減価げんか償却しょうきゃく資産しさんとされない。

減価げんか償却しょうきゃく計算けいさん要素ようそ[編集へんしゅう]

減価げんか償却しょうきゃく計算けいさんの3要素ようそとして、取得しゅとく価額かがく耐用たいよう年数ねんすう残存ざんそん価額かがくの3つがある[4]

取得しゅとく価額かがく
減価げんか償却しょうきゃく資産しさん取得しゅとく関連かんれんして支出ししゅつした費用ひようで、資産しさん購入こうにゅう代価だいかのほか、引取ひきと運賃うんちん荷役にやく運送うんそう保険ほけんりょう購入こうにゅう手数料てすうりょう関税かんぜいなどの付随ふずい費用ひようふくめる[4]具体ぐたいてきには税法ぜいほう取得しゅとく価額かがく算入さんにゅうする範囲はんい規定きていされる[4]
耐用たいよう年数ねんすう
建物たてもの車両しゃりょう運搬うんぱん工具こうぐ器具きぐ備品びひんとうのようにいち資産しさん種類しゅるいごとにさだめられている個別こべつ耐用たいよう年数ねんすうと、機械きかい装置そうちのように設備せつび種類しゅるいごとにさだめられている総合そうごう耐用たいよう年数ねんすうがある[4]
残存ざんそん価額かがく
減価げんか償却しょうきゃく資産しさん耐用たいよう年数ねんすう経過けいかして本来ほんらい用役ようえき困難こんなんになった場合ばあいに、売却ばいきゃくられるべき見積みつもり価額かがく処分しょぶん価額かがく)あるいは転用てんようられるべき利用りよう価額かがくをいう[4]残存ざんそん価額かがく税法ぜいほう資産しさん種類しゅるいべつ画一かくいつてき規定きていされている[4]

4つの減価げんか償却しょうきゃく方法ほうほう[編集へんしゅう]

減価げんか償却しょうきゃくは、定額ていがくほう定率ていりつほう級数きゅうすうほう年数ねんすう総和そうわほう)、生産せいさんだか比例ひれいほうの4つの方法ほうほうがある。

いずれの方法ほうほう対象たいしょう資産しさん取得しゅとく価額かがくから残存ざんそん価額かがくいたよう償却しょうきゃくがくたいして、それぞれの方式ほうしきごとにことなった割合わりあいでの比率ひりつによって、償却しょうきゃく期間きかん配分はいぶんされる。減価げんか償却しょうきゃく対象たいしょう資産しさん取得しゅとくがつ起算きさんされ、月割つきわりでの計算けいさんおこなわれる。

取得しゅとく原価げんか(Cost)にはその資産しさん代金だいきんだけでなく、運賃うんちん手数料てすうりょう保険ほけんりょう登録とうろくりょうなどの付随ふずいするすべての費用ひようふくまれる。

おおくの資産しさん耐用たいよう年数ねんすう期間きかんだけ使用しようしたのちでも、まだ便益べんえききょうすることが可能かのう状態じょうたいであるために、そういった資産しさん耐用たいよう年数ねんすうぶん使用しよう売却ばいきゃく処分しょぶんした場合ばあいられると予想よそうされる金額きんがく残存ざんそん価額かがく(Salvage value)として設定せっていしている。取得しゅとく原価げんかから残存ざんそん価額かがくいたよう償却しょうきゃくがくたいしてだけ償却しょうきゃく期間きかんつうじた費用ひよう配分はいぶんおこなわれる。

理論りろんじょう減価げんか償却しょうきゃく[編集へんしゅう]

企業きぎょう会計かいけい原則げんそく注解ちゅうかい」[ちゅう20]では固定こてい資産しさん減価げんか償却しょうきゃく方法ほうほうとして、

  1. 定額ていがくほう 固定こてい資産しさん耐用たいよう期間きかんちゅう毎期まいき均等きんとうがく減価げんか償却しょうきゃく計上けいじょうする方法ほうほう
  2. 定率ていりつほう 固定こてい資産しさん耐用たいよう期間きかんちゅう毎期まいき期首きしゅ償却しょうきゃく残高ざんだか一定いっていりつじょうじた減価げんか償却しょうきゃく計上けいじょうする方法ほうほう
  3. 級数きゅうすうほう年数ねんすう総和そうわほう 固定こてい資産しさん耐用たいよう期間きかんちゅう毎期まいき一定いっていがく算術さんじゅつ級数きゅうすうてき逓減ていげんした減価げんか償却しょうきゃく計上けいじょうする方法ほうほう
  4. 生産せいさんだか比例ひれいほう 固定こてい資産しさん耐用たいよう期間きかんちゅう毎期まいき当該とうがい資産しさんによる生産せいさんまた用役ようえき提供ていきょう度合どあい比例ひれいした減価げんか償却しょうきゃく計上けいじょうする方法ほうほう

例示れいじされている。前者ぜんしゃの3つは時間じかんもとづいて減価げんか償却しょうきゃくするのにたいして、生産せいさんだか比例ひれいほう活動かつどうりょうもとづいて減価げんか償却しょうきゃくする方法ほうほうである。また、定率ていりつほう級数きゅうすうほう加速度かそくどてき償却しょうきゃくほうである。なお、日本にっぽんでは、無形むけい固定こてい資産しさん減価げんか償却しょうきゃくについては定額ていがくほうだけがみとめられている。

以下いかでは、取得しゅとくがくA0耐用たいよう年数ねんすうu残存ざんそん価額かがくAu償却しょうきゃくりつr とする。

定額ていがくほう[編集へんしゅう]

定額ていがくほう(Straight-Line method, SL)は、毎年まいとし一定いっていがく償却しょうきゃくしてゆく償却しょうきゃくほう毎年まいとし減価げんか償却しょうきゃく平準へいじゅんできるという特徴とくちょうがある一方いっぽう使用しようにより、維持いじ修繕しゅうぜん逓増ていぞうする場合ばあいには、耐用たいよう年数ねんすう後半こうはんにおいて費用ひよう負担ふたん増大ぞうだいするという欠点けってんがある。年間ねんかん減価げんか償却しょうきゃくは、取得しゅとく原価げんか残存ざんそん価額かがくとの差額さがく耐用たいよう年数ねんすうじょしてもとめる。

償却しょうきゃくりつrもとめる場合ばあい原理げんりてきには、Au = (1-u r )A0 より、

もとめられる。日本にっぽんでは残存ざんそん価額かがくAu = 0 としてかく耐用たいよう年数ねんすうにおける法定ほうてい償却しょうきゃくりつさだめられている。

定率ていりつほう[編集へんしゅう]

定率ていりつほうは、毎年まいとしその期首きしゅ償却しょうきゃく残高ざんだかたいして一定いっていりつ償却しょうきゃくしてゆく償却しょうきゃくほうであり、加速度かそくどてき減価げんか償却しょうきゃくほうひとつである。投下とうか資本しほん早期そうき回収かいしゅう可能かのうであるが、取得しゅとく原価げんか期間きかん配分はいぶんというてんでは非合理ひごうりてきである。年間ねんかん減価げんか償却しょうきゃくは、取得しゅとく原価げんか減価げんか償却しょうきゃく累計るいけいがくとの差額さがく償却しょうきゃくりつじょうじてもとめる。

償却しょうきゃくりつrもとめる場合ばあい原理げんりてきには、Au = (1 - r )u A0 から、

もとめられる。残存ざんそん価額かがくAu = 0 のとき、定率ていりつほう適用てきようできない。

定率ていりつほうには、ばい定率ていりつほう(Double-Declining Balance method, DDB)がある。償却しょうきゃく期間きかんはや時期じきおおきく償却しょうきゃくすることで利益りえき圧縮あっしゅくできるという特徴とくちょうがある。これは上記じょうき算式さんしきによらずに、定額ていがくほう償却しょうきゃくりつとして定額ていがくほう償却しょうきゃくりつばいもちいる方法ほうほうである。日本にっぽんでは上記じょうき算式さんしきによりAu = A0×10%としてかく耐用たいよう年数ねんすうにおける法定ほうてい償却しょうきゃくりつさだめられていたが、平成へいせい19ねん(2007ねん)4がつ1にちより250%定率ていりつほう採用さいようされ、平成へいせい24ねん(2012ねん)4がつ1にちより200%定率ていりつほう採用さいようされた。

級数きゅうすうほう年数ねんすう総和そうわほう[編集へんしゅう]

級数きゅうすうほう(Sum of the Years' Digits method, SYD)は、耐用たいよう年数ねんすうから経過けいか年数ねんすういた残存ざんそん耐用たいよう年数ねんすう分子ぶんしとし、そのまでの残存ざんそん耐用たいよう年数ねんすう合計ごうけいはつこうを1、こうすうすえこう残存ざんそん耐用たいよう年数ねんすうとした等差とうさ数列すうれつ総和そうわのこと)を分母ぶんぼとした数値すうちに、取得しゅとく原価げんか(Cost)から残存ざんそん価額かがく(Salvage value)をいたよう償却しょうきゃくがくじょうじて、その減価げんか償却しょうきゃく算出さんしゅつする償却しょうきゃくほうであり、加速度かそくどてき減価げんか償却しょうきゃくほうひとつである。

償却しょうきゃく期間きかんはや時期じきおおきく償却しょうきゃくすることで利益りえき圧縮あっしゅくできるという特徴とくちょうがある。 年間ねんかん減価げんか償却しょうきゃくは、取得しゅとく原価げんか減価げんか償却しょうきゃく累計るいけいがくとの差額さがく償却しょうきゃくりつじょうじてもとめる。

経過けいか年数ねんすうn とすれば、減価げんか償却しょうきゃく以下いか数式すうしきもとめられる。

減価げんか償却しょうきゃく =

生産せいさんだか比例ひれいほう[編集へんしゅう]

生産せいさんだか比例ひれいほう(Productive output method)は、資産しさん使用しようして生産せいさん活動かつどうなどをおこなう場合ばあいに、予想よそうされるそう活動かつどうりょうたいするその活動かつどうりょう割合わりあいおうじて減価げんか償却しょうきゃく算出さんしゅつする方法ほうほうである。予想よそうされるそう活動かつどうりょう分母ぶんぼに、当期とうき活動かつどうりょう分子ぶんしとした数値すうちに、取得しゅとく原価げんか(Cost)から残存ざんそん価額かがく(Salvage value)をいたよう償却しょうきゃくがくじょうじて、その減価げんか償却しょうきゃく算出さんしゅつする。収益しゅうえき費用ひよう対応たいおう合理ごうりてきであるが、適用てきよう資産しさん鉱業こうぎょうよう設備せつび航空機こうくうき自動車じどうしゃとうかぎられている。

減価げんか償却しょうきゃく以下いか数式すうしきもとめられる。

減価げんか償却しょうきゃく = (当期とうき活動かつどうりょう予想よそうされるそう活動かつどうりょう) × (取得しゅとく原価げんか残存ざんそん価額かがく

日本にっぽんにおける減価げんか償却しょうきゃく[編集へんしゅう]

日本にっぽんにおける減価げんか償却しょうきゃく計算けいさん方法ほうほう[編集へんしゅう]

かく計上けいじょうされる費用ひよう減価げんか償却しょうきゃくえい: Depreciation Expense)という。全体ぜんたい支出ししゅつがく取得しゅとく原価げんか)をかく年度ねんど費用ひようとして配分はいぶんすることにより、かく年度ねんどにおける損益そんえきキャッシュ・フローとの差異さいしょうじることになる。

取得しゅとくした資産しさん実際じっさい使用しよう可能かのう寿命じゅみょうをあらかじめることは困難こんなんで、たとえば建物たてもののように使用しよう限界げんかい時期じき明確めいかくでないものもある。本来ほんらいならば、減価げんか償却しょうきゃくにおける耐用たいよう年数ねんすうえい: the Estimated useful life)は、なんらかの科学かがくてき統計とうけいてき手法しゅほうにより見積みつもられるべきであるが、実務じつむじょうは、法人ほうじん税法ぜいほうにおいて資産しさん種類しゅるいごとにさだめられた耐用たいよう年数ねんすうもちいられており、これを法定ほうてい耐用たいよう年数ねんすうという。

減価げんか償却しょうきゃく会計かいけい処理しょりにあたっては、かく減価げんか償却しょうきゃく相当そうとうするがくだけ、固定こてい資産しさん減額げんがくする必要ひつようがある。そのため、貸借たいしゃく対照たいしょうひょうの「固定こてい資産しさん」において、かく資産しさん取得しゅとく原価げんかから減価げんか償却しょうきゃく累計るいけいがくえい: Accumulated Depreciation)を控除こうじょするかたち表示ひょうじされる。

減価げんか償却しょうきゃくは、あらかじめさだめられた償却しょうきゃくほう耐用たいよう年数ねんすうにより、かく資産しさんごと年間ねんかん償却しょうきゃくがく算出さんしゅつする。ただし、その会計かいけい期間きかんちゅう取得しゅとく(または使用しよう中断ちゅうだん)した資産しさん場合ばあいは、年間ねんかん償却しょうきゃくがく月割つきわり計算けいさんしたがくとなる。

なお、法人ほうじん税法ぜいほう規定きていによれば、耐用たいよう年数ねんすうえて使用しようする場合ばあいでも償却しょうきゃく可能かのう限度げんどがく日本にっぽん場合ばあい有形ゆうけい固定こてい資産しさんでは取得しゅとくがくの95%)をえて償却しょうきゃくすることはできない。会計かいけい基準きじゅんにおいては、このてんについて特別とくべつ規定きていはない。

平成へいせい19年度ねんど税制ぜいせい改正かいせいにより、平成へいせい19ねん4がつ1にち以降いこう新規しんき取得しゅとくかんしては備忘びぼう価額かがくの1えんまで償却しょうきゃく可能かのうとなった。また、平成へいせい19ねん3がつ31にち以前いぜん取得しゅとく資産しさんかんしても、平成へいせい19ねん4がつ1にち以降いこう開始かいしする事業じぎょう年度ねんどから1えんまで償却しょうきゃく可能かのうとなった。なお無形むけい固定こてい資産しさんについては、償却しょうきゃく方法ほうほう定額ていがくほう限定げんていで、残存ざんそん価額かがくがゼロとなるまで償却しょうきゃくする。

日本にっぽんにおける税法ぜいほうじょう減価げんか償却しょうきゃく[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、平成へいせい19ねん税制ぜいせい改正かいせいにおいて制度せいど改正かいせいがされたため、取得しゅとく平成へいせい19ねん3がつ31にち以前いぜん平成へいせい19ねん4がつ1にち以後いごとで方法ほうほうことなる。そのため税法ぜいほうじょうでは6種類しゅるい償却しょうきゃく方法ほうほう存在そんざいする。

  • 平成へいせい19ねん3がつ31にち以前いぜん取得しゅとくをした減価げんか償却しょうきゃく資産しさんについての償却しょうきゃく方法ほうほう
    • きゅう定額ていがくほう
    • きゅう定率ていりつほう
    • きゅう生産せいさんだか比例ひれいほう
  • 平成へいせい19ねん4がつ1にち以後いご取得しゅとくする減価げんか償却しょうきゃく資産しさんについての償却しょうきゃく方法ほうほう
    • 定額ていがくほう
    • 定率ていりつほう(250%定率ていりつほう)
    • 生産せいさんだか比例ひれいほう

なお、法人ほうじん税法ぜいほうにおける建物たてもの償却しょうきゃくほうについては、平成へいせい10ねん4がつより、新築しんちく増築ぞうちくについてはきゅう定率ていりつほうならびに定率ていりつほうもちいることはみとめられなくなっている。

減価げんか償却しょうきゃく方法ほうほう[編集へんしゅう]

きゅう定額ていがくほう平成へいせい19ねん3がつ31にち以前いぜん[編集へんしゅう]

1. つぎ計算けいさんしきもとめられる金額きんがく償却しょうきゃく限度げんどがくとする。

償却しょうきゃく限度げんどがく=(取得しゅとく価額かがく残存ざんそん価額かがく)×きゅう定額ていがくほう償却しょうきゃくりつ

ここで、残存ざんそん価額かがくについては

残存ざんそん価額かがく取得しゅとく価額かがく×減価げんか償却しょうきゃく資産しさん耐用たいよう年数ねんすうとうかんする省令しょうれい耐用たいよう年数ねんすう省令しょうれい別表べっぴょうだいじゅういち規定きていされている残存ざんそん割合わりあい[5]

上記じょうき計算けいさんしきもとめられる金額きんがくもちい、きゅう定額ていがくほう償却しょうきゃくりつ耐用たいよう年数ねんすう省令しょうれい別表べっぴょうだいなな規定きていされたもちいる[6]

2. 償却しょうきゃく累積るいせきがくが、取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがく到達とうたつする事業じぎょう年度ねんど償却しょうきゃく限度げんどがくは、取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがくえた部分ぶぶん控除こうじょしたがくとする。

3. 2.の事業じぎょう年度ねんどよく年度ねんど以後いごは、つぎ計算けいさんしきもとめられる金額きんがく償却しょうきゃく限度げんどがくとして、残存ざんそん簿1えんまで償却しょうきゃくすることができる。

償却しょうきゃく限度げんどがく=(取得しゅとく価額かがく取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがく − 1えん)×かく事業じぎょう年度ねんど月数げっすう/60
きゅう定率ていりつほう平成へいせい19ねん3がつ31にち以前いぜん[編集へんしゅう]

1. つぎ計算けいさんしきもとめられる金額きんがく償却しょうきゃく限度げんどがくとする。

償却しょうきゃく限度げんどがく期首きしゅ帳簿ちょうぼ価額かがく×きゅう定率ていりつほう償却しょうきゃくりつ

ここで、きゅう定率ていりつほう償却しょうきゃくりつ耐用たいよう年数ねんすう省令しょうれい別表べっぴょうだいなな規定きていされたもちいる[6]

2. 償却しょうきゃく累積るいせきがくが、取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがく到達とうたつする事業じぎょう年度ねんど償却しょうきゃく限度げんどがくは、取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがくえた部分ぶぶん控除こうじょしたがくとする。

3. 2.の事業じぎょう年度ねんどよく年度ねんど以後いごは、つぎ計算けいさんしきもとめられる金額きんがく償却しょうきゃく限度げんどがくとして、残存ざんそん簿1えんまで償却しょうきゃくすることができる。

償却しょうきゃく限度げんどがく=(取得しゅとく価額かがく取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがく − 1えん)×かく事業じぎょう年度ねんど月数げっすう/60
きゅう生産せいさんだか比例ひれいほう平成へいせい19ねん3がつ31にち以前いぜん[編集へんしゅう]

1. つぎ計算けいさんしきもとめられる金額きんがく償却しょうきゃく限度げんどがくとする。

償却しょうきゃく限度げんどがく={(鉱業こうぎょうよう減価げんか償却しょうきゃく資産しさん取得しゅとく価額かがく残存ざんそん価額かがく)/その資産しさん耐用たいよう年数ねんすう(ちゅう)の期間きかんないにおけるその資産しさんぞくする鉱区こうく採掘さいくつ予定よてい数量すうりょう}×その事業じぎょう年度ねんどにおけるその鉱区こうく採掘さいくつ数量すうりょう
(ちゅう)その資産しさんぞくする鉱区こうく採掘さいくつ予定よてい年数ねんすうがその資産しさん耐用たいよう年数ねんすうよりみじか場合ばあいには、その採掘さいくつ予定よてい年数ねんすう

ここで、残存ざんそん価額かがくについては

残存ざんそん価額かがく取得しゅとく価額かがく×耐用たいよう年数ねんすう省令しょうれい別表べっぴょうだいじゅういち規定きていされている残存ざんそん割合わりあい[5]

上記じょうき計算けいさんしきもとめられる金額きんがくもちいる。

2. 償却しょうきゃく累積るいせきがくが、取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがく到達とうたつする事業じぎょう年度ねんど償却しょうきゃく限度げんどがくは、取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがくえた部分ぶぶん控除こうじょしたがくとする。

3. 2.の事業じぎょう年度ねんどよく年度ねんど以後いごは、つぎ計算けいさんしきもとめられる金額きんがく償却しょうきゃく限度げんどがくとして、残存ざんそん簿1えんまで償却しょうきゃくすることができる。

償却しょうきゃく限度げんどがく=(取得しゅとく価額かがく取得しゅとく価額かがくの95%相当そうとうがく − 1えん)×かく事業じぎょう年度ねんど月数げっすう/60
定額ていがくほう平成へいせい19ねん4がつ1にち以後いご[編集へんしゅう]

つぎ計算けいさんしきもとめられる金額きんがく償却しょうきゃく限度げんどがくとし、残存ざんそん価額かがくが1えんになるまで償却しょうきゃくおこなう。

償却しょうきゃく限度げんどがく取得しゅとく価額かがく×定額ていがくほう償却しょうきゃくりつ

ここで、定額ていがくほう償却しょうきゃくりつ耐用たいよう年数ねんすう省令しょうれい別表べっぴょうだいじゅう規定きていされたもちいる[7]

定率ていりつほう平成へいせい19ねん4がつ1にち以後いご[編集へんしゅう]

1. まず、つぎの2つのしき調整ちょうせいぜん償却しょうきゃくがく償却しょうきゃく保証ほしょうがく金額きんがくもとめる。

調整ちょうせいぜん償却しょうきゃくがく期首きしゅ帳簿ちょうぼ価額かがく×定率ていりつほう償却しょうきゃくりつ
償却しょうきゃく保証ほしょうがく取得しゅとく価額かがく×耐用たいよう年数ねんすうおうじた保証ほしょうりつ

ここで、定率ていりつほう償却しょうきゃくりつ耐用たいよう年数ねんすうおうじた保証ほしょうりつはそれぞれ耐用たいよう年数ねんすう省令しょうれい別表べっぴょうだいじゅう規定きていされたもちいる[7]

2. 調整ちょうせいぜん償却しょうきゃくがく償却しょうきゃく保証ほしょうがく金額きんがく比較ひかくし、当期とうき償却しょうきゃく限度げんどがくもとめる。

(1) 調整ちょうせいぜん償却しょうきゃくがく償却しょうきゃく保証ほしょうがく場合ばあい
償却しょうきゃく限度げんどがく調整ちょうせいぜん償却しょうきゃくがく
(2) 調整ちょうせいぜん償却しょうきゃくがく<償却しょうきゃく保証ほしょうがく場合ばあい
償却しょうきゃく限度げんどがく改定かいてい取得しゅとく価額かがく×改定かいてい償却しょうきゃくりつ

ここで改定かいてい取得しゅとく価額かがくには期首きしゅ簿もちい、改定かいてい償却しょうきゃくりつには耐用たいよう年数ねんすう省令しょうれい別表べっぴょうだいじゅう規定きていされたもちいる[7]。また、残存ざんそん簿1えんまで償却しょうきゃくできる。

生産せいさんだか比例ひれいほう平成へいせい19ねん4がつ1にち以後いご[編集へんしゅう]

つぎ計算けいさんしきもとめられる金額きんがく償却しょうきゃく限度げんどがくとする。

償却しょうきゃく限度げんどがく=(鉱業こうぎょうよう減価げんか償却しょうきゃく資産しさん取得しゅとく価額かがく/その資産しさん耐用たいよう年数ねんすう(ちゅう)の期間きかんないにおけるその資産しさんぞくする鉱区こうく採掘さいくつ予定よてい数量すうりょう)×その事業じぎょう年度ねんどにおけるその鉱区こうく採掘さいくつ数量すうりょう
(ちゅう)その資産しさんぞくする鉱区こうく採掘さいくつ予定よてい年数ねんすうがその資産しさん耐用たいよう年数ねんすうよりみじか場合ばあいには、その採掘さいくつ予定よてい年数ねんすう

米国べいこくにおける加速かそく原価げんか回収かいしゅう制度せいど[編集へんしゅう]

米国べいこくでは1980年代ねんだいからのレーガン税制ぜいせいにより従来じゅうらい減価げんか償却しょうきゃく(Depreciation)の概念がいねん放棄ほうきして、加速かそく原価げんか回収かいしゅう制度せいど(Accelerated Cost Recovery System…ACRS)というしん制度せいど導入どうにゅうされた[8]。この制度せいど従来じゅうらい減価げんか償却しょうきゃく制度せいどにおける固定こてい資産しさんのもつ有用ゆうよう期間きかんである耐用たいよう年数ねんすうとは直接的ちょくせつてき関係かんけいのない、人為じんいてき政策せいさくてきにこれよりもみじかあらためられた償却しょうきゃく期間きかんもちいられることになった[8]具体ぐたいてきには1981ねん改正かいせい償却しょうきゃく資産しさんを4つに区分くぶんし、その償却しょうきゃく期間きかんを3ねんから最高さいこう18ねんまでの期間きかん大幅おおはば短縮たんしゅくした[8]

ACRSは1986ねん公平こうへい簡素かんそ経済けいざい成長せいちょうのための税制ぜいせい改革かいかくほう(Tax Reform Act for Fairness, Simplicity and Economic Growth)で「修正しゅうせい加速かそく原価げんか回収かいしゅう制度せいど」(Modified Accelerated Cost Recovery System…MACRS)として一部いちぶ緩和かんわされたが、加速かそく原価げんか回収かいしゅう制度せいど基本きほんてきのこされている[8]

政策せいさくてき側面そくめん[編集へんしゅう]

政策せいさくめんでは、機械きかい設備せつび有用ゆうよう期間きかんとしての耐用たいよう年数ねんすうよりも人為じんいてきみじか償却しょうきゃく期間きかんもちいる耐用たいよう年数ねんすう政策せいさくてき短縮たんしゅく特別とくべつ償却しょうきゃく)をおこなったり、償却しょうきゃく計算けいさん方法ほうほうとして通常つうじょう償却しょうきゃく方法ほうほうよりも多額たがく減価げんか償却しょうきゃく計上けいじょうする加速かそく効果こうかをもつ計算けいさん方法ほうほうもちいる加速かそく償却しょうきゃくなどがとられることがある(両者りょうしゃふくめて広義こうぎ加速かそく償却しょうきゃくしょうすることがある)[8]

特別とくべつ償却しょうきゃく加速かそく償却しょうきゃく会計かいけい原則げんそく取得しゅとく原価げんか主義しゅぎによる制約せいやくける[8]だい2大戦たいせんには先進せんしん工業こうぎょうこく中心ちゅうしん加速かそく償却しょうきゃく政策せいさくがとられたが、1960年代ねんだい以降いこう、より投資とうし刺激しげき効果こうかつよ投資とうし引当ひきあてきん投資とうし税額ぜいがく控除こうじょによる政策せいさく転換てんかんした[8]

社会しゃかいてき側面そくめん[編集へんしゅう]

減価げんか償却しょうきゃくは、いち企業きぎょうてきには合理ごうりてき手法しゅほうであるが、マクロ経済けいざいにはおもわぬ影響えいきょうおよぼす。

上述じょうじゅつのように、10おくえんのビルが建設けんせつされたとする。ビル建設けんせつ発注はっちゅうした企業きぎょう収益しゅうえきは、それまで1おくえんだったものが3おくえんになるとする。また、建設けんせつ発注はっちゅうした企業きぎょうは、10ねん定額ていがくほう毎年まいとし1おくえんずつ償却しょうきゃくしていくとする。

建設けんせつ発注はっちゅうした企業きぎょうは、ビルが建設けんせつされたとしに、10おくえん建設けんせつ投資とうしをして収益しゅうえきが3おくえんであるから、このとし現金げんきん7おくえん出超しゅっちょうとなる。ところが、会計かいけいじょうは、1おくえんだけを費用ひようとして計上けいじょうするため、会計かいけいじょう利益りえきは3-1=2おくえんである。また、発注はっちゅう企業きぎょうにより支出ししゅつされた10おくえんは、建設けんせつ会社かいしゃ家計かけいはいり、乗数じょうすう効果こうかをもたらす。この10おくえんのうち1おくえんだけが経費けいひなので、経済けいざい全体ぜんたいでは9おくえん会計かいけいじょう利益りえきがもたらされる。

しかし、翌年よくねんはもうビルを建設けんせつしないとすると、建設けんせつ発注はっちゅうした企業きぎょうは、収益しゅうえき3おくえんたい減価げんか償却しょうきゃく1おくえん計上けいじょうする。減価げんか償却しょうきゃく会計かいけいじょう費用ひようであるため、実際じっさいは3おくえん入超にゅうちょうでありながら会計かいけいじょう利益りえきは2おくえんとなる。この企業きぎょう収益しゅうえきは3おくえんであるから、その会社かいしゃ家計かけいは、その収益しゅうえき対応たいおうして合計ごうけいで3おくえん出費しゅっぴ計上けいじょうすることになる。結果けっかとして、経済けいざい全体ぜんたいでは、2-3=-1おくえん会計かいけいじょう損失そんしつがもたらされる。

このようなゆがみがまれるのは、投資とうしをするがわにとっては、たん年度ねんど投資とうし費用ひようすべてが経費けいひにはならないのにたいして、投資とうし受注じゅちゅうするがわにとっては、たん年度ねんど利益りえきがすべて収益しゅうえきとなるためである。

ケインズ経済けいざいがくでは、これをもと設備せつび投資とうし景気けいきあたえる影響えいきょう説明せつめいしている。設備せつび投資とうし活発かっぱつ時期じきは、会計かいけいじょう利益りえき増大ぞうだいし、社会しゃかい全体ぜんたいがすべて利益りえきげられているような錯覚さっかくまれ好景気こうけいきとなる。ぎゃくに、設備せつび投資とうし低調ていちょう時期じき会計かいけいじょう出費しゅっぴ増大ぞうだいし、社会しゃかい全体ぜんたい損失そんしつしているような錯覚さっかくまれ不景気ふけいきとなる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 2009ねん時点じてんにおいて、実際じっさいには市場いちば価値かち減少げんしょうしているが、税法ぜいほうじょう減価げんか償却しょうきゃく資産しさんとされていない。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 村田むらた直樹なおき減価げんか償却しょうきゃく会計かいけい」『経済けいざいしゅうこころざしだい87かん日本にっぽん大学だいがく経済学部けいざいがくぶ、49-62ぺーじ 
  2. ^ a b 小林こばやし正人まさと. “減価げんか償却しょうきゃくとは:定額ていがくほう定率ていりつほう”. 駒澤大学こまざわだいがく. 2022ねん10がつ23にち閲覧えつらん
  3. ^ 阿部あべ徳幸のりゆき松嶋まつしまやすしなお共著きょうちょ減価げんか償却しょうきゃく実務じつむがスラスラわかるほんちゅうけい出版しゅっぱん 2008ねん4がつ初版しょはん発行はっこう ISBN 9784806129325
  4. ^ a b c d e f 畠中はたけなか ひとみ減価げんか償却しょうきゃく計算けいさん要素ようそ」『しょうけい論叢ろんそうだい35かんだい4ごう九州産業大学きゅうしゅうさんぎょうだいがくしょう学会がっかい、49-62ぺーじ 
  5. ^ a b 減価げんか償却しょうきゃく資産しさん耐用たいよう年数ねんすうとうかんする省令しょうれい 別表べっぴょうだいじゅういち”. e-Gov. 2020ねん1がつ25にち閲覧えつらん
  6. ^ a b 減価げんか償却しょうきゃく資産しさん耐用たいよう年数ねんすうとうかんする省令しょうれい 別表べっぴょうだいなな”. e-Gov. 2020ねん1がつ25にち閲覧えつらん
  7. ^ a b c 減価げんか償却しょうきゃく資産しさん耐用たいよう年数ねんすうとうかんする省令しょうれい 別表べっぴょうだいじゅう”. e-Gov. 2020ねん1がつ25にち閲覧えつらん
  8. ^ a b c d e f g 小森こもりあきらいち戦後せんごフィシカル・ポリシーとしての加速かそく償却しょうきゃく政策せいさく」『經濟けいざいがく論叢ろんそうだい58かんだい1ごう同志社大学どうししゃだいがく経済けいざい学会がっかい、71-72ぺーじ 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]