マイクロソフトは2月がつ15日にち，WindowsやInternet Explorer（IE），Officeなどに関かんする7件けんのセキュリティ情報じょうほうを公表こうひょうした。悪意あくいのあるWebサイトをIEで閲覧えつらんしただけで，悪質あくしつなプログラム（例たとえばウイルス）を実行じっこうする恐おそれがあるセキュリティ・ホールが2件けん含ふくまれる。深刻しんこく度どは最悪さいあくの「緊急きんきゅう」である。深刻しんこく度どが上うえから2番目ばんめの「重要じゅうよう」のセキュリティ・ホールは5件けんある。対策たいさくは更新こうしんプログラム（修正しゅうせいパッチ）を適用てきようすること。「Microsoft Update」などから適用てきようできる。

　今回こんかい公開こうかいされたセキュリティ・ホールは2月がつ10日とおかに予告よこくされた通とおり（1）～（7）の7件けんであった。なお（1）と（2）の深刻しんこく度どが「緊急きんきゅう」であり，それ以外いがいは「重要じゅうよう」となっている。

「緊急きんきゅう」のセキュリティ・ホールは2件けん

（1）Internet Explorer用ようの累積るいせき的てきなセキュリティ更新こうしんプログラム （910620） （MS06-004）

　これは，Windowsメタ・ファイル（WMF）の処理しょりに関かんするセキュリティ・ホールで，対象たいしょうとなるのはWindows 2000上じょうのIE 5.01 SP4である。マイクロソフトは2月がつ8日にちに，最新さいしんのIE 6で修正しゅうせいしたのとは別べつのWMFに関かんするセキュリティ・ホールがIE 5.01 SP4に存在そんざいすると発表はっぴょうしており（該当がいとう記事きじ），今回こんかいのリリースでそれを修正しゅうせいした。

　このセキュリティ・ホールが存在そんざいすると，細工ざいくされたWMF画像がぞうを読よむだけで任意にんいのプログラムを実行じっこうされる危険きけん性せいがある。悪質あくしつな画像がぞうが張はられたWebページやHTMLメールを閲覧えつらんするだけでも，被害ひがいに遭あう恐おそれがある。

　2月がつ8日にちの発表はっぴょうでは，Windows Me上じょうのIE 5.5 SP2にもセキュリティ・ホールがあるとしていたが，「サポートが終了しゅうりょうしている」としてパッチをリリースしなかった。Windows 98/Meのユーザーは，IE 6 SP1にアップグレードすることが唯一ゆいいつの対策たいさくとなる。

　なおこのパッチを適用てきようすると，一部いちぶの高こう解像度かいぞうどWindows Media Videoファイル（WMV HDファイル）が再生さいせいできなくなるほか，ActiveXコントロールが読よみ込こめなくなることがあるという（マイクロソフトの技術ぎじゅつ情報じょうほう）。

（2）Windows Media Playerの脆弱ぜいじゃく性せいにより，リモートでコードが実行じっこうされる （911565）（MS06-005）

　これは，Windows Media Player（WMP）のビットマップ・ファイル処理しょりに，リモートからコードが実行じっこうされるぜい弱じゃく性せいが存在そんざいするというものである。細工ざいくされたビット・マップ画像がぞうを読よむだけで任意にんいのプログラムを実行じっこうされる危険きけん性せいがある。悪質あくしつな画像がぞうが張はられたWebページを閲覧えつらんしたり，悪質あくしつな画像がぞうが含ふくまれるWindows Media Player用ようの「スキン」を適用てきようした場合ばあいに，被害ひがいに遭あう恐おそれがある。

　（2）の影響えいきょうを受うけるのは，Windows XP SP1のWMP for Windows XP，Windows XP SP2とWindows Server 2003上じょうのWMP 9/10，Windows 2000 SP4上じょうのWindows Media Player 7.1/9である。Windows 98/Meにもぜい弱じゃく性せいが存在そんざいするが，深刻しんこく度どが「重要じゅうよう」となっているため，パッチはリリースされていない。

重要じゅうようは5件けん，PowerPoint 2000に情報じょうほう漏ろうえいのぜい弱じゃく性せい

　深刻しんこく度どが「重要じゅうよう」のセキュリティ・ホールは以下いかの5件けんである。

（3）Windows Media Playerプラグインの脆弱ぜいじゃく性せいにより，リモートでコードが実行じっこうされる （911564）（MS06-006）

　これは，マイクロソフト製せいではないWebブラウザ用ようのWindows Media Playerプラグインにおいて，「EMBEDエレメント」の処理しょりにリモートでコードを実行じっこうされるぜい弱じゃく性せいが存在そんざいするというもの。IEを使つかっているユーザーには影響えいきょうはない。悪質あくしつなWebサイトを閲覧えつらんしただけで，任意にんいのプログラムを実行じっこうされる危険きけん性せいがある。

　（3）の影響えいきょうを受うけるのは，Windows 2000/XP/Server 2003である。64ビット版ばんでは，Windows XP Professional x64 EditionとWindows Server 2003 x64 Editionも影響えいきょうを受うけるが，Itaniumベースのシステムでは影響えいきょうを受うけない。またWindows 98/Meも影響えいきょうを受うけない。

（4）TCP/IPの脆弱ぜいじゃく性せいにより，サービス拒否きょひが起おこる （913446）（MS06-007）

　これは，匿名とくめいユーザーを含ふくむ他ほかほかユーザーから特別とくべつな細工ざいくをした「IGMPパケット」を受うけ取とると，DoS（サービス拒否きょひ）攻撃こうげきを受うけるというぜい弱じゃく性せいである。Windowsファイアウォールでは，ユニキャストのIGMPパケットからシステムを防御ぼうぎょできるが，マルチキャストのIGMPパケットからはシステムを防御ぼうぎょできないとしている。影響えいきょうを受うけるのは，Windows XPとWindows Server 2003。Windows 2000は影響えいきょうを受うけない。

（5）WebClientサービスの脆弱ぜいじゃく性せいにより，リモートでコードが実行じっこうされる （911927）（MS06-008）

　これは，「WebClientサービス」に，リモートからコードを実行じっこうされる危険きけん性せいがあるぜい弱じゃく性せいが存在そんざいするというもの。攻撃こうげきをしかけるためには，有効ゆうこうなログイン権限けんげんが必要ひつようであり，認証にんしょうを受うけていない匿名とくめいユーザーでは攻撃こうげきはできない。またWindows Server 2003では，WebClientサービスはデフォルトで無効むこうになっている。Windowsファイアウオールによってもシステムを保護ほごできる。影響えいきょうを受うけるのは，Windows XPとWindows Server 2003。Windows 2000は影響えいきょうを受うけない。

（6）韓国かんこく語ご版ばんInput Method Editorの脆弱ぜいじゃく性せいにより，特権とっけんが昇格しょうかくされる （901190）（MS06-009）

　これは，韓国かんこく語ご版ばんのIMEに特権とっけんを昇格しょうかくさせるぜい弱じゃく性せいが存在そんざいするというもの。ローカルまたはリモート・デスクトップでログオンしている攻撃こうげき者しゃが，コンピュータを完全かんぜんに制御せいぎょできるようになる。影響えいきょうを受うけるのはWindows XPとWindows Server 2003の韓国かんこく語ご版ばんIMEと，韓国かんこく語ご版ばんや他た言語げんご版ばんの「Office 2003」である。

（7）PowerPoint 2000 の脆弱ぜいじゃく性せいにより，情報じょうほう漏ろうえいが起おこる可能かのう性せいがある （889167） （MS06-010）

　これは，PowerPoint 2000に情報じょうほう漏ろうえいのぜい弱じゃく性せいがあり，細工ざいくが施ほどこされたWebサイトを閲覧えつらんすると，「Temporary Internet Filesフォルダ」のファイルを攻撃こうげき者しゃに読よみ取とられる危険きけん性せいがある。影響えいきょうを受うけるのは，PowerPoint 2000だけである。