24時じ間あいだ365日にちのつきっきりも実現じつげんする
あなたの知しらない重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの世界せかい

ーー第だい1回かい（全ぜん6回かい）　重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの制度せいどってなんだーー

医学書院いがくしょいん『訪問ほうもん看護かんごと介護かいご』2020年ねん1月がつ号ごうp72-75掲載けいさい
大野おおの直之なおゆきさん（全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ介護かいご保障ほしょう協議きょうぎ会かい）の提供ていきょうにより連載れんさい（全ぜん6回かい）のうち第だい1回かい、第だい2回かいを掲載けいさいいたします

全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ介護かいご保障ほしょう協議きょうぎ会かい
大野おおの直之なおゆき

■目次もくじ

■ 第だい1回かい　重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの制度せいどってなんだ

２０１９年ねん7月がつ、ＡＬＳ患者かんじゃと重度じゅうど障害しょうがい者しゃの国会こっかい議員ぎいんが誕生たんじょうしました。それにより、全国ぜんこくメディアで「重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごで24時じ間あいだのサービスを受うけて生活せいかつする人ひとがいる」ことが取とり上あげられたのは記憶きおくに新あたらしいのではないでしょうか。

このニュースを聞きいたとき、「『重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご』なんて、東京とうきょうという特殊とくしゅな地域ちいきに住すむ特殊とくしゅな障害しょうがい者しゃの事例じれいでしょう」と思おもった方ほうはいませんか？　そんなことはありません。どんな過疎かそ地ちだろうと、利用りようすることができる制度せいどです。むしろ過疎かそ地ちのほうが利用りようしやすい場合ばあいさえあります。

■重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごはこんなサービスです

「重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご」とは、障害しょうがい者しゃ総合そうごう支援しえん法ほうに基もとづく障害しょうがい福祉ふくしサービスのうち、長時間ちょうじかんの利用りようを前提ぜんていとし、介助かいじょの内容ないようが限定げんていされない制度せいどです。この制度せいどを使つかうと、利用りよう者しゃはゼロないしは少すこしの自己じこ負担ふたん金きんで、月つき当あたり７４４時間じかん以上いじょうをヘルパー数すう人にんに交代こうたい勤務きんむしてもらえます。つまり1日にち24時じ間あいだ３６５日にちつきっきりの支援しえんが可能かのうになる訳わけです。ヘルパーで24時じ間あいだのシフトを組くむことができれば、家族かぞくによる介護かいごを必要ひつようとせず、1人ひとり暮くらしも可能かのうになります。

本ほん制度せいどの対象たいしょうは、「重度じゅうどの肢体したい不自由ふじゆう者しゃ又または重度じゅうどの知的ちてき障害しょうがい若もしくは精神せいしん障害しょうがいにより行動こうどう上じょう著いちじるしい困難こんなんを有ゆうする者ものであって、常時じょうじ介護かいごを要ようする障害しょうがい者しゃ」です。重度じゅうどの障害しょうがい者しゃのみが利用りようできる制度せいどであるため、知名度ちめいどは高たかくはありませんが、東京とうきょうや大阪おおさかなどの大都市だいとし部ぶでは実際じっさいには数すう千せん人にん単位たんいの利用りよう者しゃがいますし、人口じんこうの少すくない都道府県とどうふけんにも利用りよう者しゃはいます。近年きんねんでは、地方ちほうの農のう山村さんそん地域ちいきや離島りとうにおいても利用りよう者しゃが出でてきているところです。

■「知しられていない」ために、利用りようされていない

とはいえ、本ほん制度せいどはまだ十分じゅうぶんに知しられてはいません。国くにもこの制度せいどの有用ゆうよう性せいを認みとめ、推進すいしんしていますが、現場げんばレベルの市町村しちょうそん自治体じちたいの障害しょうがい福祉ふくし課かや介護かいご保険ほけん課か職員しょくいん、または医師いしをはじめとした医療いりょう者しゃの多おおくが本ほん制度せいどをきちんと理解りかいしていないために、利用りよう者しゃが数すう人にんにとどまっているという自治体じちたいも多おおくあります。この「きちんと知しられていないために利用りようされていない」というのは課題かだいであると考かんがえています。

たとえば、ＡＬＳ患者かんじゃの場合ばあい、障害しょうがいの進行しんこうで呼吸こきゅうが苦くるしくなったとき、病院びょういんでは「気管きかん切開せっかいして人工じんこう呼吸こきゅう器きにすると、24時じ間あいだの介護かいごが必要ひつようになる」という説明せつめいを受うけると思おもいます。確たしかにその通とおりで、24時じ間あいだの介護かいごは欠かかせないでしょう。しかし、このとき、「重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごというサービスがあること」をセットで教おしえてもらえていないことは多おおく、ＡＬＳ患者かんじゃとその家族かぞくが「家族かぞくが介護かいごするしかない」と思おもい込こんでいるケースも少すくなくありません。

そうした中なか、「家族かぞくで介護かいごするのは難むずかしい」「家族かぞくに迷惑めいわくをかけられない」といった生活せいかつ上じょうの不安ふあんを抱かかえ、呼吸こきゅう器きをつけずに死しぬことを選えらぶＡＬＳ患者かんじゃ（ＡＬＳ患者かんじゃの約やく7割わりの方ほうが呼吸こきゅう器きをつけずに死しぬことを選えらんでいます）。または、家族かぞくでなんとか介護かいごしようと考かんがえ、呼吸こきゅう器きをつける選択せんたくをしたけれど、24時じ間あいだ目めの離はなせない介護かいごが続つづく中なかで家族かぞくが睡眠すいみん不足ふそくや介護かいごうつになり、家庭かてい崩壊ほうかいしてしまう患者かんじゃ・家族かぞく。そうした人々ひとびととも、私わたしたちは少すくなくない数かず、出会であってきました。もし重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごという制度せいどを使つかっていたなら、違ちがった生活せいかつが存在そんざいしただろうと思おもうのです。そもそも、生活せいかつの安心あんしんを保障ほしょうされなければ、生いきていこう、暮くらしていこうという思おもいは湧わきません。

難病なんびょう患者かんじゃや重度じゅうど障害しょうがい者しゃと家族かぞくの心中しんちゅうの事件じけん、家族かぞくによる患者かんじゃ殺人さつじんといった報道ほうどうに記憶きおくがありませんか。決けっして遠とおい世界せかいのことではなく、訪問ほうもん看護かんごの現場げんばで出会であうご家庭かていにもその予備よび軍ぐんはいるかもしれません。訪問ほうもん看護かんご師しの方ほうにも重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごという制度せいどを知しってもらい、必要ひつように応おうじて情報じょうほう提供ていきょうをしていただきたいと思おもっています。

■ 重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの知識ちしきをもつのは当事とうじ者しゃ

では、重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごという制度せいどを使つかおうと考かんがえたとき、誰だれがその中身なかみをわかっていて、尋たずねるに足たる人ひとなのでしょうか。

いちばん専門せんもん知識ちしきを持もっているのは、その制度せいどを実際じっさいに利用りようしている障害しょうがい当事とうじ者しゃたちです。ですから重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごが必要ひつようになったときは、当事とうじ者しゃや、全国ぜんこくの当事とうじ者しゃたちとつながりの深ふかい全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ介護かいご保障ほしょう協議きょうぎ会かいや自立じりつ生活せいかつセンターなどの障害しょうがい者しゃ団体だんたいに問とい合あわせていただくと、正確せいかくな知識ちしきが身みに付つき、スムーズに利用りようまで至いたりれると考かんがえます。

「いやいや、支給しきゅう決定けっていを担になう自治体じちたいの障害しょうがい福祉ふくし課かに問とい合あわせれば、差さし当あたたっての情報じょうほうは得えられるでしょう」とお思おもいになった方ほうもいるかもしれません。確たしかに手続てつづき上じょう、彼かれらは不可欠ふかけつです。しかし残念ざんねんながら、市町村しちょうそんの障害しょうがい福祉ふくし課かの窓口まどぐちに問とい合あわせても、「24時じ間あいだの重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごを受うけられるという情報じょうほうを得えられない（ことがとても多おおい）」という実態じったいがあり、障害しょうがい福祉ふくし課かの職員しょくいんから重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの利用りようを強つよく勧すすめられることはほとんどありません。

そこには無理むりからぬ事情じじょうもあります。なぜなら全国ぜんこく１８００市町村しちょうそんのうち、重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごによる24時じ間あいだヘルパー派遣はけんの事例じれいがあるのは1割わり前後ぜんこう。自じ地域ちいきでの前例ぜんれいがないことは珍めずらしくなく、他た地域ちいきでの前例ぜんれいや情報じょうほうを得える機会きかいそのものが少すくない。また、仮かりに制度せいどを知しる職員しょくいんがいたとして、行政ぎょうせいは平均へいきん2年ねんで人事じんじ異動いどうがあるので、その（マイナーな）知識ちしきがきちんと引ひき継つがれていることは稀まれなのです。

さらにいうと、運用うんよう面めんで勘違かんちがいされているケースも非常ひじょうに多おおいので、注意ちゅういが必要ひつようです。たとえば、参考さんこうとして提示ていじされている市町村しちょうそんごとの支給しきゅう決定けってい基準きじゅん（最さい重度じゅうどの障害しょうがい支援しえん区分くぶん6で重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご利用りようなら月つき２００〜３００時じ間あいだ程度ていどなど）といういわば「目安めやす」があるのですが、それを制度せいどの「上限じょうげん」と勘違かんちがいして説明せつめいしている行政ぎょうせい職員しょくいんとは本当ほんとうによく出会であいます。実際じっさいは“支給しきゅう決定けってい基準きじゅんで必要ひつような介護かいごがまかなえないような事例じれいの場合ばあい、「非ひ定形ていけい」という形かたちで、上限じょうげんなしに必要ひつようなヘルパー派遣はけんの時間じかん数すうを支給しきゅう決定けっていするように”と厚生こうせい労働省ろうどうしょうが通知つうちしていて、本来ほんらいなら融通ゆうずうのきく制度せいどですが、窓口まどぐちで出会であう人ひとがきちんと理解りかいしていないために結果けっか的てきに利用りように至いたらない、ということもあるのです。

重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの周辺しゅうへんにはそんな状況じょうきょうがあるので、各かく現場げんばで、申請しんせいする側がわの人ひとが、制度せいどをよく理解りかいしていない自治体じちたいに対たいして説明せつめいし、支給しきゅうの可否かひやトータルの支給しきゅう量りょうを増ふやすための働はたらきかけをしなければならない現象げんしょうが起おこっています。

■ 全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ介護かいご保障ほしょう協議きょうぎ会かいはサービス活用かつようの働はたらきかけをしています

全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ介護かいご保障ほしょう協議きょうぎ会かい（以下いか、当会とうかい）は、長時間ちょうじかんの介助かいじょを必要ひつようとする全身ぜんしん性せい障害しょうがい者しゃを中心ちゅうしんに構成こうせいされた団体だんたいです。全国ぜんこくの市町村しちょうそんに重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごをはじめとした介護かいごの仕組しくみをつくることを目的もくてきに、市町村しちょうそんと交渉こうしょうを行おこなっている障害しょうがい者しゃ・家族かぞくに対たいするノウハウ提供ていきょうや、フリーダイヤルおよび月刊げっかん誌しを通とおした情報じょうほう提供ていきょうを行おこなっています。

これまで、北海道ほっかいどうから沖縄おきなわ県けんのほぼすべての都道府県とどうふけんで、24時じ間あいだ重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご利用りようにあたっての申請しんせいや市町村しちょうそんとの話はなし合あい・交渉こうしょうのサポート、ヘルパーの確保かくほなどの利用りようのサポートを、直接的ちょくせつてき・間接かんせつ的てきに行おこなってきました。近年きんねんでは長崎ながさき県けんや鹿児島かごしま県けんの離島りとう、徳島とくしま県けん・長野ながの県けん・富山とやま県けん・石川いしかわ県けんで、各かく県内けんない初はじめての事例じれいとなる24時じ間あいだ介護かいごの介護かいご体制たいせいの立たち上あげサポートも行おこなっています。

□ 自治体じちたいと交渉こうしょうしています

当会とうかいがサポートに関かかわるポイントはさまざまです。たとえば、「重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの支給しきゅうを受うけるまで」。私わたしたちの関かかわったケースの多おおくも、市町村しちょうそんからは当初とうしょ「介護かいご保険ほけんだけで我慢がまんしてください。重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごは使つかえません」「支給しきゅう決定けってい基準きじゅんの1日にち8時じ間あいだがこの市しの上限じょうげんです」などと言いわれて困こまっていた方々かたがたでした。私わたしたちが交渉こうしょう・話はなし合あいに関かかわったことで、半年はんとし〜1年ねんの時間じかんをかけた末すえに月つき７００〜９００時じ間あいだ台だいの重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの支給しきゅう決定けっていに至いたったケースも多々たたあります。

□ 「人材じんざいがいない」にも対応たいおうします

また、「介助かいじょするヘルパーを見みつける」という点てんでも、私わたしたちはサポートに入はいります。地方ちほうでは、支給しきゅう決定けっていが出でても、重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごのヘルパーを24時じ間あいだ派遣はけんする事業じぎょう所しょがほとんどない、という課題かだいがあります。そのため「事業じぎょう所しょがないから、重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの利用りようをあきらめる」という判断はんだんがされてしまいがちです。

しかし人材じんざい確保かくほの点てんでもハウツーがあり、たとえば、先さきに支給しきゅう決定けっていを取とり付つけてしまい、その後ごで無む資格しかく未み経験けいけん者しゃを常勤じょうきんのヘルパーとして求人きゅうじんするという方法ほうほうが取とれます。この方法ほうほうで、これまでの経験けいけん上じょう、全国ぜんこくどこでも人材じんざい確保かくほはできています。ちなみに、だいたい２００時じ間あいだの支給しきゅう決定けっていを受うければ、1人ひとりの常勤じょうきんヘルパーを雇やとえる分ぶんにはなります（24時じ間あいだ体制たいせいが必要ひつようであれば、4〜5人にんの常勤じょうきんを雇やとい、シフトで毎日まいにちを回まわす仕組しくみを整ととのえます）。

□ 養成ようせい研修けんしゅう等とうもしています

このほか、当会とうかいでは、採用さいようしたヘルパーが自己じこ負担ふたんなく、東京とうきょうや関東かんとう近郊きんこうで当会とうかい関係かんけい団体だんたいの重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごヘルパーの養成ようせい研修けんしゅうを受うけられる体制たいせいを作つくっています。さらに、利用りよう者しゃ自身じしんで人材じんざいを確保かくほしてヘルパーとして育成いくせいし、その育成いくせい費用ひようを事業じぎょう所しょが助成じょせいする「自薦じせんヘルパー方式ほうしき」を行おこなう介護かいご事業じぎょう所しょの全国ぜんこくネットワークも作つくっています （次回じかいに詳細しょうさいあり）。このネットワークでは、過疎かそ地ちで最さい重度じゅうどのＡＬＳ等とうの患者かんじゃや重度じゅうど障害しょうがい者しゃなどに24時じ間あいだ対応たいおうする事業じぎょう所しょを作つくりたい方ほうへのサポートも行おこなっています。

■ 重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごで、地域ちいきでの自分じぶんらしい生活せいかつも叶かなえられる

本ほん連載れんさいでは「重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごという制度せいどがある」と知しっていただくことを狙ねらっています。そして、私わたしたちが活動かつどうを通とおして出会であった人ひとたちの例れいを交まじえながら、いかにサポート体制たいせいが整ととのったのかという経過けいかと、重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの活用かつようによりいかに自分じぶんらしい暮くらしを実現じつげんしているのかを知しっていただこうと考かんがえています。

重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの利用りように際さいしては、ぜひ全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ介護かいご保障ほしょう協議きょうぎ会かいまでお声こえがけください。手続てつづき上じょうの助言じょげん、交渉こうしょうに際さいしてのノウハウがありますし、地域ちいきの実情じつじょうや個別こべつの事情じじょうも踏ふまえて相談そうだんに乗のることができます。

■ 「重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご」制度せいどによくある誤解ごかい

□「都市とし部ぶでしか使つかえないですよね？」

⇒いいえ、どのような地域ちいき・自治体じちたいでも使つかえるものです（過疎かそ地ちのほうが整ととのえやすい場合ばあいすらあります）。

□ 「近隣きんりんに24時じ間あいだ派遣はけんするヘルパー事業じぎょう所しょがないので、利用りようは難むずかしいですよね？」

⇒いいえ、既存きそんの事業じぎょう所しょがなくても大丈夫だいじょうぶです。人材じんざいに関かんしては、これまでの経験けいけん上じょう、工夫くふうをすることでどんな地域ちいきにおいても確保かくほできています。

□ 「同どう制度せいどの情報じょうほうは、自治体じちたい窓口まどぐちに行いけば案内あんないしてもらえますよね？」

⇒いいえ、市町村しちょうそん自治体じちたいの障害しょうがい福祉ふくし課か、介護かいご保険ほけん職しょく課か職員しょくいんも十分じゅうぶんに理解りかいしているとは言いい難がたい状況じょうきょうがあります。

□ 「『支給しきゅう決定けってい基準きじゅんの1日にち8時じ間あいだが上限じょうげんです』などと自治体じちたいに言いわれました。私わたしの住すむ自治体じちたいではこれ以上いじょうの支給しきゅうは望のぞめないですよね？」

⇒いいえ、融通ゆうずうの効きく制度せいどで、上限じょうげんはありません。自治体じちたいが運用うんよう面めんで勘違かんちがいしていると思おもわれるケースのため、交渉こうしょうが必要ひつようです。

■ 重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごを活用かつようする人ひと

□鹿児島かごしま県けん与論島よろんとうの鵜木うのきさん［離島りとう＆ALS］

気管きかん切開せっかいし人工じんこう呼吸こきゅう器きを利用りよう。家族かぞく同居どうきょ。365日にち24時じ間あいだの重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごを利用りよう。写真しゃしん左端ひだりはしが重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごヘルパー。近所きんじょに住すむ孫まごも家いえに遊あそびに来きてくれる。鹿児島かごしまの離島りとうでは与論島よろんとうを含ふくめ2つの島しまで24時じ間あいだの支給しきゅう決定けっていが出でている。

■キーワード解説かいせつ

□＊1 重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご

常時じょうじ介護かいごが必要ひつような重度じゅうどの身体しんたい・知的ちてき・精神せいしん障害しょうがいのある人ひとがサービスの利用りよう対象たいしょう。長時間ちょうじかんを前提ぜんていとし、「見守みまもり」（利用りよう者しゃから目めを離はなさず控ひかえ、利用りよう者しゃの指示しじで始動しどうする介助かいじょ）を含ふくめ、排はいせつや入浴にゅうよく、食事しょくじなどのサービス利用りようが可能かのう（制度せいど的てきには下したの枠わく内ないの文言もんごんで説明せつめいされる）。2006年ねん施行しこうの障害しょうがい者しゃ自立じりつ支援しえん法ほうでは重度じゅうどの肢体したい不自由ふじゆう者しゃのみが対象たいしょうだったが、2014年ねん施行しこうの障害しょうがい者しゃ総合そうごう支援しえん法ほうにより知的ちてき障害しょうがい者しゃ・精神せいしん障害しょうがい者しゃも加くわわり、対象たいしょうが広ひろがった。

■重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの対象たいしょう

◆重度じゅうどの肢体したい不自由ふじゆう者しゃ又または重度じゅうどの知的ちてき障害しょうがい若もしくは精神せいしん障害しょうがいにより行動こうどう上じょう著いちじるしい困難こんなんを有ゆうする者ものであって、常時じょうじ介護かいごを要ようする障害しょうがい者しゃ

→障害しょうがい支援しえん区分くぶん4以上いじょうに該当がいとうし、次つぎの（１）又または（２）のいずれかに該当がいとうする者もの
（１）二に肢し以上いじょうに麻痺まひ等とうがある者ものであって、障害しょうがい支援しえん区分くぶんの認定にんてい調査ちょうさ項目こうもくのうち「歩行ほこう」、「移乗いじょう」、「排尿はいにょう」、「排便はいべん」のいずれもが「支援しえんが不要ふよう」以外いがいに認定にんていされている者もの
（２）障害しょうがい支援しえん区分くぶんの認定にんてい調査ちょうさ項目こうもくのうち行動こうどう関連かんれん項目こうもく等とう（12項目こうもく）の合計ごうけい点数てんすうが10点てん以上いじょうである者もの

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この文章ぶんしょうは、医学書院いがくしょいんと大野おおの直之なおゆきさんの提供ていきょうにより掲載けいさいされています。