(Translated by https://www.hiragana.jp/ )
滋賀県立大学人間文化学部2019年度前期科目「家族論」(担当:村上潔)
産 う むこと、“母 はは [はは]する”ことをつかみ直 なお す
――資本 しほん 主義 しゅぎ と性 せい /愛 あい /家族 かぞく 、その先 さき の地平 ちへい
Re-grasping the Birthing and 'Mothering':
Capitalism and Sex/Love/Family, and the Horizon Beyond Them
滋賀県立大学 しがけんりつだいがく 人間 にんげん 文化 ぶんか 学部 がくぶ 2019
年度 ねんど 前期 ぜんき 科目 かもく 「
家族 かぞく 論 ろん 」
"Theories of Family" [The First Semester of the 2019 Academic Year]
at School of Human Cultures, The University of Shiga Prefecture.
授業 じゅぎょう 期間 きかん [Class Term]:2019/04/09 - 2019/07/23(
全 ぜん 15
回 かい [Total 15 lectures])
担当 たんとう 教員 きょういん [Lecturer]:
村上 むらかみ 潔 きよし (
MURAKAMI Kiyoshi )
last update: 20191231
■授業 じゅぎょう 日程 にってい
@2019年 ねん 4月 がつ 9日 にち A4月 がつ 16日 にち B4月 がつ 23日 にち C5月 がつ 7日 にち D5月14日 にち 【休講 きゅうこう 】 →5月21日 にち E5月 がつ 28日 にち F6月 がつ 4日 にち G6月 がつ 11日 にち H6月 がつ 18日 にち I6月 がつ 25日 にち J7月 がつ 2日 にち K7月 がつ 9日 にち L7月 がつ 16日 にち M7月 がつ 23日 にち N7月 がつ 30日 にち 【補講 ほこう 】 ◎定期 ていき 試験 しけん :8月 がつ 6日 にち
●火曜 かよう 3限 げん (13:10〜14:40)
■授業 じゅぎょう の概要 がいよう と方法 ほうほう
本 ほん 授業 じゅぎょう は、「産 さん 」(生殖 せいしょく ・妊娠 にんしん ・出産 しゅっさん )と「母 はは 」(育児 いくじ ・ケア・母性 ぼせい )という側面 そくめん の再 さい 検討 けんとう を通 とお して、「家族 かぞく 」のありかたの問題 もんだい にアプローチするものである。
メインのキーワードは、「マザリング[Mothering]」である。この言葉 ことば をあえて包括 ほうかつ 的 てき に一語 いちご の日本語 にほんご にすれば「母 はは [はは]する」という造語 ぞうご となる。これには、生命 せいめい を産 う み・育 そだ てること、「育 はぐく む」こと、「守 まも る」こと、「ケア」すること、親密 しんみつ な愛情 あいじょう を注 そそ ぐこと、母 はは という「身体 しんたい 」を生 い きること、社会 しゃかい 的 てき な「母 はは 」役割 やくわり を担 にな うこと、といった多様 たよう な要素 ようそ が含 ふく まれていて、それらは(一見 いっけん わからないが、深層 しんそう で)連動 れんどう している。そうした現象 げんしょう のダイナミズムを、なるべく内在 ないざい 的 てき に・まるごとつかみとることで、「産 さん 」と「母 はは 」をめぐってこれまでなされてきた・起 お こってきたことの歴史 れきし と、現在 げんざい の状況 じょうきょう 、そして今後 こんご の「家族 かぞく 」の展望 てんぼう について考 かんが えてみたい。それは、少 すく なくとも私 わたし たちがいま前提 ぜんてい としている家族 かぞく 像 ぞう とは異 こと なるものとなるだろうが、そのことの意味 いみ も含 ふく めて理解 りかい することで、家族 かぞく という枠組 わくぐ み自体 じたい を根本 こんぽん 的 てき に捉 とら え直 なお すことが可能 かのう になるだろう。
具体 ぐたい 的 てき には、イギリス・アメリカなど諸 しょ 外国 がいこく において、
(1)革新 かくしん 的 てき かつ自律 じりつ 的 てき な「母 はは 」・「母性 ぼせい 」規定 きてい
(2)ラディカルな共同 きょうどう 保育 ほいく 実践 じっせん
(3)オルタナティブなケアの体系 たいけい 構築 こうちく
といったことが、いかように構想 こうそう され・模索 もさく され・取 と り組 く まれ・共有 きょうゆう され・問題 もんだい 化 か されてきた/いるのかを確認 かくにん し、日本 にっぽん の歴史 れきし ・現状 げんじょう と比較 ひかく することを通 とお して、家族 かぞく ・育児 いくじ ・ケア・労働 ろうどう ・再 さい 生産 せいさん ・コミュニティ(共同 きょうどう 性 せい )・ジェンダー・セクシュアリティに関 かん する新 あら たな/オルタナティブな/本質 ほんしつ 的 てき かつ内在 ないざい 的 てき な知見 ちけん を得 え ることを目指 めざ す。
さらにそこから、私 わたし たちが前提 ぜんてい としている「家族 かぞく 」のありかたならびにその機能 きのう ・役割 やくわり を批判 ひはん 的 てき に捉 とら え、状況 じょうきょう の変革 へんかく に向 む けた何 なん らかの実践 じっせん を模索 もさく していく視座 しざ を獲得 かくとく することを最終 さいしゅう 的 てき な目標 もくひょう とする。
授業 じゅぎょう 方法 ほうほう としては、最新 さいしん の英語 えいご 文献 ぶんけん 各種 かくしゅ の検討 けんとう を中心 ちゅうしん とするが、比較 ひかく 対照 たいしょう の目的 もくてき から、最新 さいしん の日本語 にほんご 文献 ぶんけん も検討 けんとう 対象 たいしょう とする。
参考 さんこう ――扱 あつか うこと・扱 あつか わないこと
以下 いか に、本 ほん 授業 じゅぎょう で扱 あつか う内容 ないよう ・扱 あつか わない内容 ないよう をキーワードで列挙 れっきょ する。
◆扱 あつか うこと
@資本 しほん 主義 しゅぎ と性 せい (ジェンダー/セクシュアリティ)
A家父長制 かふちょうせい [Patriarchy]
B性 せい 役割 やくわり [Gender Role]
C労働 ろうどう /再 さい 生産 せいさん 労働 ろうどう [Reproductive Labor]
D身体 しんたい 性 せい [Embodiment]
E人種 じんしゅ ・階級 かいきゅう [Race/Class]
Fケア[Care]の社会 しゃかい 化 か /民主 みんしゅ 化 か
G第 だい 2波 は フェミニズム・第 だい 3波 は フェミニズム
Hエコフェミニズム[Ecofeminism]
Iアナキズム[Anarchism]
◆扱 あつか わない――もしくは批判 ひはん 的 てき に扱 あつか う――こと
@少子化 しょうしか 対策 たいさく
A子育 こそだ て支援 しえん
B待機 たいき 児童 じどう 問題 もんだい
C「保 ほ 活 かつ 」・「ママ活 かつ 」
D「イクメン」
E「女性 じょせい 活躍 かつやく 」
F「ワーク・ライフ・バランス[Work-life Balance]」
G福祉 ふくし 政策 せいさく [Welfare Policy]
H生殖 せいしょく 医療 いりょう [Reproductive Medicine]
Iリベラル・フェミニズム[Liberal Feminism]
■受講 じゅこう 生 せい の到達 とうたつ 目標 もくひょう
(1)授業 じゅぎょう で提示 ていじ された内容 ないよう を正 ただ しく把握 はあく する。
(2)授業 じゅぎょう 内容 ないよう の理解 りかい を通 とお して、授業 じゅぎょう テーマに関 かん する自 みずか らの問題 もんだい 意識 いしき を形成 けいせい する。
(3)自 みずか らが従来 じゅうらい 無条件 むじょうけん に前提 ぜんてい としていた「家族 かぞく /母性 ぼせい /育児 いくじ 」などに関 かん するイメージを、批判 ひはん 的 てき に相対 そうたい 化 か する。
(4)オルタナティブかつ抵抗 ていこう 的 てき な育児 いくじ /ケア/コミュニティ形成 けいせい の実践 じっせん を、主体 しゅたい 的 てき (・共同 きょうどう 的 てき )に構想 こうそう する。
(5)@授業 じゅぎょう を通 とお して得 え られた知見 ちけん 、Aそれに連関 れんかん する自 みずか らの問題 もんだい 意識 いしき 、Bならびに実践 じっせん 的 てき な模索 もさく の内容 ないよう (構想 こうそう )、の3要素 ようそ すべてを、自身 じしん の言葉 ことば で整理 せいり し表現 ひょうげん できる段階 だんかい に到達 とうたつ する。
■講義 こうぎ 内容 ないよう
第 だい 1回 かい :オリエンテーション[2019/04/09]
◇担当 たんとう 教員 きょういん 紹介 しょうかい
◇シラバスの確認 かくにん
◇成績 せいせき 評価 ひょうか について
◇講義 こうぎ の展開 てんかい について
◇授業 じゅぎょう 用 よう Webページの紹介 しょうかい
第 だい 2回 かい :「なぜいま「マザリング」なのか(1)」[2019/04/16]
【導入 どうにゅう 】
◇担当 たんとう 教員 きょういん の研究 けんきゅう @:アナーカ・フェミニズム[Anarcha-feminism]
‐ 国家 こっか ・資本 しほん と連動 れんどう する家父長制 かふちょうせい への対抗 たいこう
‐ 再 さい 生産 せいさん ・生活 せいかつ ・身体 しんたい 性 せい の重視 じゅうし
‐ 脆弱 ぜいじゃく な立場 たちば の人々 ひとびと への/による親密 しんみつ 性 せい に基 もと づいた相互 そうご 扶助 ふじょ
◇担当 たんとう 教員 きょういん の研究 けんきゅう A:ジン・カルチャー[Zine Culture]
‐ 無視 むし され価値 かち づけられない「言葉 ことば にならない感情 かんじょう ・叫 さけ び」を表現 ひょうげん する
‐ 無数 むすう の・無名 むめい の人々 ひとびと が綴 つづ る(育児 いくじ のようなありふれたテーマではあっても)かけがえのない各々 おのおの の記録 きろく
‐ 示 しめ された怒 いか り・絶望 ぜつぼう ・喜 よろこ びを共有 きょうゆう すること
◇現象 げんしょう ・問題 もんだい を捉 とら える視座 しざ
‐ 時代 じだい 性 せい と状況 じょうきょう ――グローバリゼーション/新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ /ネット社会 しゃかい ……
――に注目 ちゅうもく すると同時 どうじ に――
‐ 安易 あんい に「歴史 れきし 化 か 」(区分 くぶん ・分断 ぶんだん )しない――連続 れんぞく 性 せい と差異 さい (変化 へんか )に注目 ちゅうもく する
ex. 新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ の時代 じだい において家父長制 かふちょうせい はいかにして延命 えんめい /変容 へんよう /増強 ぞうきょう させられているのか?――といった問 と いを
‐ (マクロな/大文字 おおもじ の)「政治 せいじ ・経済 けいざい ・社会 しゃかい 」の裏 うら に隠 かく れて見 み えない(ミクロな/微細 びさい な)「生活 せいかつ ・習性 しゅうせい ・表現 ひょうげん 」に目 め を凝 こ らす/耳 みみ を澄 す ます
――(研究 けんきゅう 者 しゃ /ジャーナリスト/学生 がくせい は)それを記録 きろく する
――記録 きろく する以前 いぜん にそれを感知 かんち する技術 ぎじゅつ /センスを学 まな びとり言語 げんご 化 か する
◆Elkin, Lauren, 2018, "Why All the Books About Motherhood?" , The Paris Review , July 17, 2018. 【1】
◇母 はは であること/母性 ぼせい :すべての人 ひと に関係 かんけい する普遍 ふへん 的 てき テーマ
◇「母 はは とはニッチな存在 そんざい ではない――文字通 もじどお りすべての人 ひと を生 う み出 だ すのだ」[A. N. Devers]
◇Rich, Adrienne, 1976, Of Woman Born: Motherhood as Experience and Institution , London: Virago.=1990 高橋 たかはし 茅 かや 香子 きょうこ 訳 やく 『女 おんな から生 う まれる――アドリエンヌ・リッチ女性 じょせい 論 ろん 』晶文社 しょうぶんしゃ
‐ 第 だい 2波 は フェミニズム:産 う む/産 う まないこと(意義 いぎ )の主体 しゅたい 的 てき 再 さい 定義 ていぎ
◇育児 いくじ /母性 ぼせい :ありふれた話題 わだい ではあっても、その重要 じゅうよう 性 せい について他 ほか の女性 じょせい たちに話 はな すことを喫緊 きっきん に必要 ひつよう としている。
‐ ☆個別 こべつ 性 せい と普遍 ふへん 性 せい ☆経験 けいけん の共有 きょうゆう ――への欲望 よくぼう
◇妊娠 にんしん ・出産 しゅっさん ・産後 さんご の経験 けいけん を記述 きじゅつ すること:以前 いぜん は無視 むし され、病的 びょうてき とものとみなされ(病理 びょうり 化 か され)、文学 ぶんがく 的 てき な世界 せかい で位置 いち を占 し めることはなかったが、いまようやく近年 きんねん の作家 さっか たちによってその場所 ばしょ が獲得 かくとく されている。[Lily Gurton-Wachter]
‐ 妊娠 にんしん ・出産 しゅっさん ・産後 さんご の経験 けいけん を綴 つづ った本 ほん はセルフヘルプや心理 しんり 学 がく の棚 たな で発見 はっけん される傾向 けいこう があった
‐ 「母性 ぼせい 以上 いじょう にひどい(だめな)文章 ぶんしょう を生 う み出 だ させるテーマはない」[Judith Newman]
☆文学 ぶんがく 的 てき ・文化 ぶんか 的 てき な価値 かち がないもの――異端 いたん なもの/「異常 いじょう 」のなもの/病理 びょうり 的 てき なもの/読 よ むに値 あたい しないくだらないもの――と見 み なされてきた状況 じょうきょう
◇近年 きんねん の一群 いちぐん の書物 しょもつ が際立 きわだ っている点 てん :その確 たし かな深刻 しんこく さ・熱意 ねつい 、ならびに、すべての臓器 ぞうき のなかにある母 はは としての経験 けいけん を文学 ぶんがく 作品 さくひん として真剣 しんけん に受 う け止 と めてほしいと願 ねが うありかた。
‐ ☆(全体 ぜんたい 性 せい *を有 ゆう した)身体 しんたい 的 てき 経験 けいけん (のリアリティ)を文学 ぶんがく 的 てき に位置 いち づける
‐ *臓器 ぞうき のみならず皮膚 ひふ や粘膜 ねんまく や涙 なみだ も、母 はは としての経験 けいけん を証明 しょうめい し、語 かた るもの。
◇作者 さくしゃ らは「母 はは 」とそのパースペクティヴを関心 かんしん の中心 ちゅうしん に置 お いた
‐ ☆男性 だんせい 社会 しゃかい が構築 こうちく した/要請 ようせい する母 はは (母性 ぼせい )像 ぞう を踏襲 とうしゅう するのではなく、当事 とうじ 者 しゃ 性 せい に基 もと づいた主体 しゅたい 的 てき な「母 はは 」パースペクティヴ。
◇私 わたし たちは母性 ぼせい の規範 きはん /基準 きじゅん を欠 か いてきたが、いまそれが形 かたち になり始 はじ めたように見 み える。
‐ ☆規範 きはん /基準 きじゅん ――が女性 じょせい たちの営 いとな みの集積 しゅうせき によって構築 こうちく されている
第 だい 3回 かい :「なぜいま「マザリング」なのか(2)――新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ と母性 ぼせい 」[2019/04/23]
◆Elkin, Lauren, 2018, "Why All the Books About Motherhood?" , The Paris Review , July 17, 2018. 【2】
◇現在 げんざい 生 う み出 だ されている母性 ぼせい に関 かん する著作 ちょさく 物 ぶつ は、その強烈 きょうれつ かつ一見 いっけん 急激 きゅうげき な集積 しゅうせき を通 つう じて、母性 ぼせい に関 かん して書 か くことの近代 きんだい 的 てき 伝統 でんとう ――シルヴィア・プラスからアン・セクストン、アドリエンヌ・リッチ、ナンシー・ヒューストンまで――を可視 かし 化 か している。
‐ ☆不可視 ふかし 化 か されていた(「歴史 れきし 化 か 」されていた)現象 げんしょう を現代 げんだい の営 いとな みが可視 かし 化 か ――アクチュアルに呼 よ び戻 もど す
◇母性 ぼせい に関 かん する近年 きんねん の書物 しょもつ :母性 ぼせい が文学 ぶんがく 上 じょう の大 おお きなテーマであるのみならず、より容易 ようい に認知 にんち されてきた関心 かんしん 事項 じこう ――戦争 せんそう ・平和 へいわ ・愛 あい ・喪失 そうしつ ・都市 とし ・地方 ちほう ・殺人 さつじん ・狂気 きょうき ・人種 じんしゅ ・階級 かいきゅう ・啓示 けいじ ・疎外 そがい ――と密接 みっせつ な関係 かんけい にあることを、文化 ぶんか 的 てき 世界 せかい (業界 ぎょうかい )に認 みと めさせた。
‐ ☆テーマの「社会 しゃかい 化 か 」/普遍 ふへん 化 か
◇21世紀 せいき 初頭 しょとう の母性 ぼせい はブランド化 か されている
‐ 母性 ぼせい はいま「トレンド」[Natalie Alcala]
‐ ☆消費 しょうひ 的 てき 側面 そくめん の前面 ぜんめん 化 か
‐ 再 さい 生産 せいさん の不可能 ふかのう 性 せい に対 たい する不安 ふあん が、母親 ははおや 向 む け産業 さんぎょう ならびに母親 ははおや 間 あいだ に争 あらそ いの種 たね をまく競争 きょうそう を維持 いじ させる消費 しょうひ を生 しょう じさせる。
‐ ☆消費 しょうひ による分断 ぶんだん ・対立 たいりつ
◇フェミニスト社会 しゃかい 学者 がくしゃ アンジェラ・マクロビーが「マザリングのネオリベラルな激化 げきか 」と述 の べたものを、私 わたし たちはいま目 ま の当 あ たりにしている。[Jacqueline Rose]
‐ ☆新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ
‐ 「理想 りそう 的 てき な仕事 しごと 、理想 りそう 的 てき な夫 おっと をもち、理想 りそう 的 てき な結婚 けっこん 生活 せいかつ を送 おく る、完璧 かんぺき な着 き こなしの、中産 ちゅうさん 階級 かいきゅう の、主 おも に白人 はくじん の母親 ははおや たち――彼女 かのじょ らの恒常 こうじょう 的 てき な自己 じこ 満足 まんぞく 感 かん は、そのイメージに合致 がっち しない(貧 まず しかったり黒人 こくじん だったり、まさに人間 にんげん 的 てき に困難 こんなん な生 せい を送 おく る)すべての女性 じょせい たちに全面 ぜんめん 的 てき な挫折 ざせつ (敗北 はいぼく )感 かん を与 あた えることを目的 もくてき としている。」[Jacqueline Rose]
‐ ☆階級 かいきゅう 的 てき 断絶 だんぜつ
第 だい 4回 かい :「なぜいま「マザリング」なのか(3)――身体 しんたい の具体 ぐたい 性 せい から」[2019/05/07]
◆Elkin, Lauren, 2018, "Why All the Books About Motherhood?" , The Paris Review , July 17, 2018. 【3】
▼【補 ほ 】新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ と母性 ぼせい
‐ ☆子 こ ども産業 さんぎょう (子 こ ども服 ふく ブランド/レジャー施設 しせつ 等 とう )やママ向 む け商品 しょうひん 展開 てんかい (化粧 けしょう 品 ひん /バッグ等 とう )という既存 きそん の消費 しょうひ の枠 わく を越 こ えて:母 はは /母 はは 予備 よび 軍 ぐん 女性 じょせい のメンタルや身体 しんたい のありようにまで直接 ちょくせつ 介入 かいにゅう してくる(〔本来 ほんらい ありはしない〕ある「べき」妊娠 にんしん /出産 しゅっさん /育児 いくじ /母性 ぼせい を求 もと めさせる)――がゆえに、当事 とうじ 者 しゃ は際限 さいげん なく不安 ふあん や競争心 きょうそうしん をかき立 た てられ、その解消 かいしょう のための消費 しょうひ へと向 む かわされる。
‐ ☆そもそも「母 はは 」の「運動 うんどう 」は消費 しょうひ 社会 しゃかい 化 か (子育 こそだ ての商業 しょうぎょう 化 か /サービス産業 さんぎょう 化 か )に対抗 たいこう してきた:母親 ははおや 運動 うんどう /消費 しょうひ 者 しゃ 運動 うんどう /共同 きょうどう 保育 ほいく ……
――が――新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ 的 てき 行動 こうどう 様式 ようしき /価値 かち 観 かん が席巻 せっけん :巻 ま き戻 もど す回路 かいろ をどこに求 もと めるのか
‐ ☆「女性 じょせい 活躍 かつやく 」:さらなる労働 ろうどう 力 りょく 活用 かつよう +従来 じゅうらい の母親 ははおや 役割 やくわり +さらなる消費 しょうひ 促進 そくしん :「働 はたら く女性 じょせい 」×「専業 せんぎょう 主婦 しゅふ 」といった図式 ずしき の失効 しっこう ――にもかかわらず煽 あふ られる対立 たいりつ ・分断 ぶんだん
cf. 堅田 かただ 香緒里 かおり 20181120 「フェミニズムとベーシックインカム――「ゆる・ふぇみカフェ」の実践 じっせん から」エノ・シュミット/山森 やまもり 亮 あきら /堅田 かただ 香緒里 かおり /山口 やまぐち 純 じゅん 『お金 かね のために働 はたら く必要 ひつよう がなくなったら、何 なに をしますか?』光文社 こうぶんしゃ (光文社 こうぶんしゃ 新書 しんしょ 976),163-198. *→【引用 いんよう 】
◇〔妊娠 にんしん で〕お腹 なか が丸 まる くなり、〔産後 さんご に〕生活 せいかつ がおむつや子 こ どもの遊 あそ びの約束 やくそく でいっぱいになっても、母 はは になること/ならないことが意味 いみ するものと、〔母 はは になるうえで〕存在 そんざい する迷 まよ い(矛盾 むじゅん する感情 かんじょう )を評価 ひょうか する方法 ほうほう を理解 りかい するために、私 わたし たちは書 か き始 はじ める。
◇いまの世代 せだい のアプローチ:具体 ぐたい 化 か 〔されたもの〕――私 わたし たちが生 い きている身体 しんたい が私 わたし たちの世界 せかい の経験 けいけん を形作 かたちづく るという事実 じじつ ――に注意 ちゅうい を払 はら う
‐ ×前 ぜん 世代 せだい :「あなたたちはなんでもできる(すべてを手 て に入 い れる)」――抽象 ちゅうしょう 性 せい
◇21世紀 せいき 初 はじ めの母性 ぼせい の現象 げんしょう 論 ろん 的 てき 経験 けいけん を高度 こうど な感受性 かんじゅせい で記録 きろく する
◇私 わたし たちは世界 せかい のなかでいかにして存在 そんざい する身体 しんたい であるのかを考 かんが えるよう促 うなが す
‐ 子宮 しきゅう をもって生 う まれたという生物 せいぶつ 学 がく (生態 せいたい )上 じょう の話 はなし だけでなく特定 とくてい の身体 しんたい という条件 じょうけん をもとにして
‐ ☆身体 しんたい (起点 きてん )から社会 しゃかい を捉 とら える道筋 みちすじ :当事 とうじ 者 しゃ のリアリティの集積 しゅうせき
‐ 人種 じんしゅ ・能力 のうりょく ・欲望 よくぼう といった観点 かんてん から――それらすべてが社会 しゃかい においていかように重 かさ なり合 あ っているのかについても
‐ 白人 はくじん 中産 ちゅうさん 階級 かいきゅう 女性 じょせい :人種 じんしゅ ・階級 かいきゅう がいかに母性 ぼせい の経験 けいけん に影響 えいきょう するか、に深 ふか く触 ふ れることを警戒 けいかい する。
‐ ☆人種 じんしゅ ・階級 かいきゅう ・セクシュアリティ(クィア)の規定 きてい 性 せい
◇母性 ぼせい のピクセル化 か (全体 ぜんたい のなかの個別 こべつ の像 ぞう をぼかし・溶 と かすこと)――それは経験 けいけん をフラット化 か し、私 わたし たちがしそこなったこととしそこなったありようについて、より一層 いっそう 不安 ふあん を感 かん じさせる――に対 たい する反応 はんのう として
‐ ☆見 み えない抑圧 よくあつ への防御 ぼうぎょ /抵抗 ていこう
第 だい 5回 かい :「新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ ・母性 ぼせい ・メンタルヘルス(1)」[2019/05/21]
◇マニュアルとメンタルヘルス
‐ 古 ふる くて新 あたら しい問 と い
‐ 近代 きんだい 化 か ・合理 ごうり 化 か 【→/+】新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ
◇競争 きょうそう 原理 げんり 【×/=】個性 こせい の追求 ついきゅう
‐ マニュアル化 か できないことも高 たか い完成 かんせい 度 ど で要求 ようきゅう される
‐ 特定 とくてい の個別 こべつ 性 せい (各々 おのおの の母子 ぼし 状況 じょうきょう +取 と り巻 ま く環境 かんきょう )と普遍 ふへん 的 てき 状況 じょうきょう (搾取 さくしゅ ・抑圧 よくあつ )をつなぐ視角 しかく /認識 にんしき 枠組 わくぐ みが必要 ひつよう
◇「母性 ぼせい 」の物語 ものがたり :
‐ (社会 しゃかい に対 たい する)反抗 はんこう と(自律 じりつ 的 てき な)創造 そうぞう
‐ ▽村上 むらかみ 潔 きよし 20150516+19 「『生存 せいぞん 学 がく Vol.8』内容 ないよう 紹介 しょうかい :特集 とくしゅう 「クリエイティブ母 はは 」」 立命館大学 りつめいかんだいがく 生存 せいぞん 学 がく 研究 けんきゅう センター Facebook
‐ 「断片 だんぺん 」を共有 きょうゆう すること――差異 さい を保 たも ちつつ複数 ふくすう であること(第 だい 3波 は フェミニズム)
◇「物語 ものがたり 」そのものをいかにして「対抗 たいこう 的 てき に/ラディカルに」読 よ むか・共有 きょうゆう するか
‐ ▽村上 むらかみ 潔 きよし 20140126 「対談 たいだん にあたって」 ,第 だい 76回 かい 西荻 にしおぎ ブックマーク:「女子 じょし と作文 さくぶん ×主婦 しゅふ と労働 ろうどう 」(出演 しゅつえん :近代 きんだい ナリコ・村上 むらかみ 潔 きよし )
‐ ▽村上 むらかみ 潔 きよし 20160424 「西山 にしやま 敦子 あつこ 「震 ふる える指先 ゆびさき 」に寄 よ せて」
◇「社会 しゃかい 学 がく する」ことの危 あや うさ――合理 ごうり 性 せい /分析 ぶんせき 枠組 わくぐ みへの回収 かいしゅう
◇大文字 おおもじ の政治 せいじ との距離 きょり と関係 かんけい 性 せい :「対策 たいさく 」・「支援 しえん 」の穴 あな を埋 う める/を超 こ えるシステムをいかに自律 じりつ 的 てき に構築 こうちく するか
‐ 議論 ぎろん の展開 てんかい から運動 うんどう との接続 せつぞく へ
‐ コミュニティ・レベルの実践 じっせん
第 だい 6回 かい :「新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ ・母性 ぼせい ・メンタルヘルス(2)」[2019/05/28]
◆朝井 あさい リョウ 201905 「[インタビュー]朝井 あさい リョウさん「素晴 すば らしき“多様 たよう 性 せい ”時代 じだい の影 かげ にある地獄 じごく 」」 NHK NEWS WEB
‐ “外 そと から順位 じゅんい をつけられたり、あなたはこうだよと決 き めつけられたりする機会 きかい が全 まった くなくなると、むしろ、それまでは何 なに かに置 お き換 か えることができていた自分 じぶん 自身 じしん の存在 そんざい 価値 かち や意義 いぎ をずっと問 と い続 つづ ける感覚 かんかく が強 つよ まるのではないでしょうか”
‐ “私 わたし は多様 たよう 性 せい という言葉 ことば から、自分 じぶん で自分 じぶん のことを決 き めていい快適 かいてき さと同時 どうじ に、自分 じぶん で自分 じぶん の意義 いぎ や価値 かち を見出 みいだ していかなくてはならない地獄 じごく も受 う け取 と った実感 じっかん があります。”
‐ “多様 たよう 性 せい 礼賛 らいさん の世界 せかい の中 なか にいながら自分 じぶん を誰 だれ かと比 くら べ続 つづ ける矛盾 むじゅん 、自分 じぶん で自分 じぶん の意義 いぎ や価値 かち をジャッジし続 つづ ける行為 こうい は、内側 うちがわ から腐 くさ っていくというか、外 そと から見 み ても傷 きず の在 あ り処 か がよくわからないんですよね。だから、甘 あま えのようにも感 かん じられる”
‐ “自分 じぶん で自分 じぶん の存在 そんざい 意義 いぎ や価値 かち を定義 ていぎ しようとなったとき、最 もっと も簡単 かんたん なのは自分 じぶん の『生産 せいさん 性 せい 』を数値 すうち 化 か することですよね。何人 なんにん の子 こ どもを育 そだ てているとか、これだけの額 がく を納税 のうぜい しているとか”
‐ “自分 じぶん の存在 そんざい をどうしても実感 じっかん できない――そう思 おも い悩 なや んでいたとき、『多様 たよう 性 せい の社会 しゃかい だからそれでいいんだよ』なんて言葉 ことば を投 な げかけられたら、私 わたし はその人 ひと のことを傷 きず つけてしまうかもしれない。多様 たよう 性 せい なんてどうでもいいから数値 すうち 化 か できる生産 せいさん 性 せい をくれよ、と、思 おも わない自信 じしん がない”
◆菊地 きくち 夏野 なつの 20190510 「「女子 じょし 力 りょく 」という言葉 ことば は、どんなふうに私 わたし たちを呪縛 じゅばく しているのか――アンケート調査 ちょうさ から見 み えてきたこと」 現代 げんだい ビジネス
‐ “女性 じょせい は昔 むかし から「社会 しゃかい 」に存在 そんざい してますし、家事 かじ だけでなくいわゆる仕事 しごと もしています。近年 きんねん の変化 へんか でいうならむしろ、女性 じょせい の非 ひ 正規 せいき 労働 ろうどう 化 か のほうが深刻 しんこく なのですが、「社会 しゃかい 進出 しんしゅつ 」という言葉 ことば が、その辺 あたり をぼかしてしまいます。
こうしたジェンダーをめぐる、ふわふわした言葉 ことば の代表 だいひょう 的 てき なひとつが「女子 じょし 力 りょく 」です。”(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64468)
‐ “調査 ちょうさ の結果 けっか 、見 み えてきたのは、「女子 じょし 力 りょく 」という言葉 ことば がいかに「女 おんな らしくいるよう努力 どりょく すること」を評価 ひょうか するものであるかということ、その結果 けっか 、この言葉 ことば が女性 じょせい に「努力 どりょく 」を強 し いるものになっているということ、そして、その背景 はいけい にある社会 しゃかい の変化 へんか です。”(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64468)
‐ “「女子 じょし 力 りょく 」という言葉 ことば の重点 じゅうてん 、力点 りきてん は、そういった「女 おんな らしいこと」に向 む けて「努力 どりょく すること」にあるのです。人 ひと に見 み えないところで、家事 かじ がうまくなるように、また綺麗 きれい になるように日々 ひび 細 こま かく努力 どりょく すること、それ自体 じたい が「女子 じょし 力 りょく 」なのです。”(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64468?page=3)
‐ “「女 おんな らしい」という言葉 ことば の意味 いみ するものは、もともと、生来 せいらい 的 てき に女性 じょせい に備 そな わっている「特質 とくしつ 」「性質 せいしつ 」です。女性 じょせい なら誰 だれ でももっている(と考 かんが えられている)それが、たまたま外 そと に現 あらわ れる時 とき に「女 おんな らしい」といわれます。
それに対 たい して「女子 じょし 力 りょく 」は日々 ひび たゆまず努力 どりょく する人 ひと のみが身 み につけられるものです。「女子 じょし 力 りょく 」は、後天的 こうてんてき に獲得 かくとく されるのです。”(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64468?page=3)
‐ “「女子 じょし 力 りょく 」は古 ふる いジェンダーの秩序 ちつじょ を守 まも りながらも、政治 せいじ 経済 けいざい の新 あたら しいネオリベラルな要請 ようせい に柔軟 じゅうなん に応 こた えること、そのために日々 ひび たゆみなく努力 どりょく することを期待 きたい されています。
い換 いか えれば、家事 かじ や子育 こそだ てといった古 ふる い「女 おんな らしさ」を発揮 はっき することと同時 どうじ に、その「女 おんな らしさ」を生 い かしながら労働 ろうどう 力 りょく としても柔軟 じゅうなん に力 ちから を発揮 はっき すること、この両者 りょうしゃ を求 もと められているということでしょう。”(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64468?page=4)
◇目 め に見 み える家父長制 かふちょうせい システム(地方 ちほう の旧家 きゅうか の大 だい 家族 かぞく のような)の瓦解 がかい :but 家父長制 かふちょうせい がなくなったわけではない:別 べつ の(新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ に適応 てきおう した)かたちで再編 さいへん ・強化 きょうか されてきた/いる
◇「女子 じょし 力 りょく 」的 てき な規範 きはん :母 はは になるという条件 じょうけん を前提 ぜんてい として組 く み込 こ んだもの:当然 とうぜん 実際 じっさい の母 はは をも縛 しば る
‐ (より良 よ い)子育 こそだ てだけでなく(より自分 じぶん らしく・能力 のうりょく を発揮 はっき して)働 はたら くこと
‐ 母 はは であっても/あるがゆえに外見 がいけん も内面 ないめん も磨 みが き続 つづ けること
‐ 他 た の子 こ /母 はは /家庭 かてい との比較 ひかく ・差異 さい 化 か ・競争 きょうそう
‐ →母 はは 同士 どうし の(恒常 こうじょう 的 てき な)分断 ぶんだん /当事 とうじ 者 しゃ 個々人 ここじん の不安 ふあん ・疲弊 ひへい
◇「女子 じょし 力 りょく 」のなかに/延長線 えんちょうせん 上 じょう に「母性 ぼせい 」や育児 いくじ のスキルが位置 いち づけられる
‐ そうした(「多様 たよう 化 か 」・「自由 じゆう 」の獲得 かくとく の裏 うら にある)ネオリベラルな抑圧 よくあつ 構造 こうぞう /規範 きはん からどう自身 じしん を/「母性 ぼせい 」を引 ひ き剥 へ がせるか
‐ 家父長制 かふちょうせい ・企業 きぎょう 社会 しゃかい ・国家 こっか から求 もと められる母性 ぼせい とは異 こと なる(それらに対抗 たいこう する)「わたしたちの」母性 ぼせい
‐ わたしの/わたしたちの「母性 ぼせい 」を奪 うば い取 と られない・売 う り渡 わた さないという意識 いしき へ
第 だい 7回 かい :「脆弱 ぜいじゃく 性 せい を抱 かか えつつサヴァイヴする――ためのフィールドを取 と り戻 もど す」[2019/06/04]
◆西山 にしやま 敦子 あつこ [Atsuko Nishiyama] 20190415 「「ソフトボイルド・マニフェスト」C.I.P. Books主宰 しゅさい ・西山 にしやま 敦子 あつこ 」『i-D Japan No.7』→20190530 https://i-d.vice.com/jp/article/pajaxg/soft-boiled-is-the-new-hard-boiled
“ソフトボイルドであること。とり乱 みだ すこと、震 ふる えてしまうこと。声 こえ を上 あ げることの持 も つ強 つよ さを信 しん じながら、ときに沈黙 ちんもく せざるをえない状況 じょうきょう があるのをいつも意識 いしき すること。どうしても定 さだ まらないこと、矛盾 むじゅん を抱 かか えること。”
★講義 こうぎ 内 ない で朗読 ろうどく
◇個人 こじん の強 つよ さ・努力 どりょく ・才能 さいのう ・成功 せいこう で差別 さべつ ・抑圧 よくあつ をはねのけること(:男性 だんせい 社会 しゃかい で女性 じょせい に推奨 すいしょう される問題 もんだい 解決 かいけつ の方法 ほうほう 論 ろん )=現実 げんじつ の差別 さべつ ・抑圧 よくあつ の構造 こうぞう を温存 おんぞん (・強化 きょうか )する
‐ ――であればその「強 つよ さ」(を追 お い求 もと める姿勢 しせい )自体 じたい を拒否 きょひ すること
◇男性 だんせい 基準 きじゅん (家父長制 かふちょうせい ×企業 きぎょう 社会 しゃかい )の能力 のうりょく 主義 しゅぎ (競争 きょうそう )の土俵 どひょう に乗 の らないこと
‐ 「評価 ひょうか 」されるために立派 りっぱ な妻 つま +立派 りっぱ な母 はは +立派 りっぱ なビジネスウーマンであることを目指 めざ し努力 どりょく する:その労働 ろうどう ・過程 かてい ・成果 せいか がいかなる社会 しゃかい システムに寄与 きよ してしまうのかを見抜 みぬ くこと
‐ 女 おんな /母 はは (+さまざまなマイノリティ属性 ぞくせい をもつ人 ひと たち)が生 い きるフィールドはそこではなくその外 そと に(身近 みぢか な足元 あしもと に・複数 ふくすう )あることを示 しめ す
‐ →そのフィールドを共同 きょうどう で整 ととの えていく(共同 きょうどう 保育 ほいく ・協同 きょうどう 労働 ろうどう ・ピアカン……)
◇ヴァルネラビリティ(Vulnerability:脆弱 ぜいじゃく 性 せい )を基軸 きじく としたつながり
‐ 「できる」ヒーロー(男性 だんせい に負 ま けないエリート)が先導 せんどう するのではなく
‐ 移民 いみん /障害 しょうがい 者 しゃ /シングルマザー/DV被害 ひがい 者 しゃ /生活 せいかつ 保護 ほご 受給 じゅきゅう 者 しゃ /セックスワーカー/トランス/クィア/メンタルヘルス……
‐ 内部 ないぶ でヒエラルキーが形成 けいせい されないようにする模索 もさく ・実践 じっせん の必要 ひつよう 性 せい
◇傷 きず つき・傷 きず つけ合 あ って・痛 いた み・病 や み・苦 くる しむ女性 じょせい たちがサヴァイヴ[Survive]するための最後 さいご の拠 よ りどころとしての「母性 ぼせい 」
‐ 共同 きょうどう 性 せい をもとに・主体 しゅたい 的 てき に・自律 じりつ 的 てき に創 つく り出 だ すもの
‐ 搾取 さくしゅ されることのないケア・再 さい 生産 せいさん の営 いとな み(の模索 もさく )
‐ 過去 かこ の・他所 よそ の見知 みし らぬ無数 むすう の「母 はは 」たちとつながりあう(ポテンシャルをもつ)もの
cf. 中村 なかむら 佑子 ゆうこ 20180106− 「[連載 れんさい ]私 わたし たちはここにいる――現代 げんだい の母 はは なる場所 ばしょ 」 『すばる』40(2): 218-232[第 だい 1回 かい ]*以降 いこう 隔月 かくげつ 連載 れんさい
◆
中村 なかむら 佑子 ゆうこ 20180106−
「[連載 れんさい ]私 わたし たちはここにいる――現代 げんだい の母 はは なる場所 ばしょ 」 『すばる』40(2): 218-232[
第 だい 1
回 かい ]*
以降 いこう 隔月 かくげつ 連載 れんさい
“妊娠 にんしん 、出産 しゅっさん 、子育 こそだ てのなかで経験 けいけん した「母 はは なる時間 じかん 」は、子 こ どもと心身 しんしん を分 わ け合 あ う自己 じこ 溶解 ようかい の体験 たいけん であり、社会 しゃかい 的 てき 属性 ぞくせい をはぎ取 と られる原初 げんしょ の体験 たいけん だった。そのことをきっかけに気 き づいたのは、そもそも女性 じょせい は身体 しんたい に開 ひら いた「穴 あな 」によって、自己 じこ 同一 どういつ 性 せい に裂 さ け目 め がもたらされる多孔 たこう 的 てき な感覚 かんかく をもっているということだった。この本質 ほんしつ 的 てき に形容 けいよう 不可能 ふかのう な「女性 じょせい 性 せい 」に言葉 ことば を与 あた えることは、私 わたし たちの社会 しゃかい の固定 こてい 化 か したシステムを内 うち 破 やぶ する可能 かのう 性 せい をもたないだろうか。この社会 しゃかい に息苦 いきぐる しさを感 かん じるすべての人 ひと に開 ひら かれた「母性 ぼせい 」を探 さぐ るため、私 わたし は女性 じょせい たちの声 こえ を集 あつ めていくことにした……。”
第 だい 8回 かい :「女 おんな の身体 しんたい 性 せい から始 はじ める――合理 ごうり 化 か のプレッシャーに抗 あらが って」[2019/06/11]
◆西山 にしやま 敦子 あつこ +近代 きんだい ナリコ 20190515 「引 ひ き裂 さ かれるような葛藤 かっとう を抱 かか えて――ケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』(C.I.P. BOOKS)をめぐって」『なnD』7 : 6-27
cf. ◆Zambreno, Kate, 2012,
Heroines , Los Angeles: Semiotext(e).=ケイト・ザンブレノ(
西山 にしやま 敦子 あつこ 訳 やく ) 20180704
『ヒロインズ』 C.I.P. Books(425p.)
〔近代 きんだい :〕ジェンダーの問題 もんだい だけじゃない、経済 けいざい 的 てき なことや政治 せいじ 的 てき な△11/12▽こと、いろんなことがごちゃまぜになって入 はい っています。なおかつ、彼女 かのじょ 自身 じしん の個 こ の叫 さけ びでありながら、書 か くことから疎外 そがい された女 おんな の人 ひと たちの歴史 れきし を追 お ってる評伝 ひょうでん でもある。しかも、そのスタイルを壊 こわ すような、評論 ひょうろん 家 か という客観 きゃっかん 的 てき な立場 たちば から対象 たいしょう 化 か して何 なに かを評論 ひょうろん するような方法 ほうほう もひっくり返 かえ して書 か いてますよね。
西山 にしやま たとえば一貫 いっかん 性 せい のなさがあっても、つじつまを合 あ わせることに集中 しゅうちゅう していない部分 ぶぶん もありますね。ひとつのことに対 たい して強 つよ い気持 きも ちがあるんだけど、それが単一 たんいつ 的 てき じゃない。┃(pp.11-12)
〔西山 にしやま :〕前半 ぜんはん のモダニストの女性 じょせい たちの記述 きじゅつ は、チャネリングするように自分 じぶん のことと混同 こんどう させるような感 かん じを織 お り込 こ んで書 か いている。でもそのひとつ後 ご の世代 せだい の〔エリザベス・〕ハードウィックたちについて書 か くところは、表面 ひょうめん 上 じょう は男性 だんせい の世界 せかい で対等 たいとう にできてたように見 み えるんだけど、実 じつ は家庭 かてい の中 なか や、書 か くこと以外 いがい の部分 ぶぶん ではいろんな葛藤 かっとう を抱 かか えていたことが強調 きょうちょう されています。
近代 きんだい フェミニズムのいろいろな段階 だんかい を、ザンブレノ自身 じしん が自分 じぶん の中 なか で繰 く り返 かえ すように書 か いている感 かん じがして、ここは本当 ほんとう にすごい!△12/13▽って思 おも いました。┃(pp.12-13)
〔西山 にしやま :〕自分 じぶん のことを書 か いてるようでいろんな人 ひと のことを書 か いたり、一人称 いちにんしょう を使 つか って「私 わたし たち」のことを書 か いたり、そういう開 ひら かれた一人称 いちにんしょう 、新 あたら しい主体性 しゅたいせい みたいなものをつくるっていう、その感 かん じが私 わたし の一番 いちばん 好 す きなところなんです。
近代 きんだい 女性 じょせい にもいろんな立場 たちば の人 ひと がいて、スタンスには細 こま かくグラデーションがある。単 たん にひとつの立 た ち位置 いち からでは女性 じょせい の生 い きづらさは説明 せつめい しきれないし、そこで間違 まちが うと反対 はんたい 側 がわ から「女 おんな の敵 てき は女 おんな 」だと吹 ふ き込 こ まれて足元 あしもと すくわれる。そうされないようにするためには、目指 めざ すところはひとつにあるけど、段階 だんかい によって見 み えてないことがあったり、その人 ひと の生 い き方 かた によって闘 たたか い方 かた がちがったりするということをわかっておくこと。ザンブレノは[…]そのことによって、全体 ぜんたい として女性 じょせい の書 か き手 て の苦 くる しみの歴史 れきし を描 えが き出 だ してる。┃(p.16)
〔西山 にしやま :〕いろんな人 ひと がいて、立場 たちば も違 ちが って、書 か ける環境 かんきょう も違 ちが ったけれども、やっぱりそこには共通 きょうつう してある種 しゅ の抑圧 よくあつ 構造 こうぞう が存在 そんざい したということを書 か いているんですよね。┃(p.16)
〔近代 きんだい :〕最終 さいしゅう 的 てき には外側 そとがわ に対 たい して訴 うった えるんじゃなくて、自分 じぶん の内面 ないめん 化 か 〔に:脱字 だつじ 〕ついて何 なん 度 ど も書 か いている。この人 ひと 、そこで闘 たたか ってるんだって、すごくわかりました。
西山 にしやま 内面 ないめん 化 か された抑圧 よくあつ の問題 もんだい 、ありますよね。[…]内面 ないめん 化 か の問題 もんだい を外 そと からの抑圧 よくあつ の問題 もんだい と同 おな じくらい重要 じゅうよう なこととして捉 とら えているように思 おも います。[…]そして、多層 たそう な抑圧 よくあつ の形 かたち とどうやって闘 たたか ってきたのかだけではなく、闘 たたか うことさえもできなかったのかも含 ふく めて書 か かれていることが、この本 ほん に厚 あつ みをもたらしていると思 おも います。┃(p.17)
〔西山 にしやま :〕ジョンが理解 りかい してくれてるのに、なぜ私 わたし 〔=ザンブレノ〕はゼルダ〔・フィッツジェラルド〕に自分 じぶん を重 かさ ねてしまうのか。
近代 きんだい でもそれは、結局 けっきょく 、女性 じょせい が社会 しゃかい 的 てき に疎外 そがい されているからですよね。「あなたの旦那 だんな さんいい人 じん じゃない」っていう意見 いけん は、それは個人 こじん の話 はなし であって、配偶 はいぐう 者 しゃ がいい人 じん じゃないかって、どうして言 い われなくちゃいけな〔い:脱字 だつじ 〕のか、って問題 もんだい ですよね。┃(p.18)
〔西山 にしやま :〕いろんなことが一筋縄 ひとすじなわ ではいかないっていうか、家庭 かてい の中 なか や夫婦 ふうふ 間 あいだ では尊重 そんちょう されていても、それでは解決 かいけつ できない社会 しゃかい の中 なか の自分 じぶん であったり、女性 じょせい 作家 さっか 、マイナーな作家 さっか としての葛藤 かっとう がある。
近代 きんだい 物語 ものがたり にするということは、きれいに割 わ り切 き れない物事 ものごと をある程度 ていど 整理 せいり していく作業 さぎょう でもあるし、お話 はなし には、何 なに か落 お ちをつけるようなことが求 もと められますよね。でも、そうじゃないあり方 かた もあるっていう主張 しゅちょう も、書 か き方 かた のスタイルを通 とお してこの本 ほん の中 なか に表現 ひょうげん されているのかな、っていう感 かん じがします。△18/19▽
西山 にしやま 単純 たんじゅん な物語 ものがたり や単一 たんいつ 的 てき な価値 かち 観 かん に落 お ち着 つ かない書 か き方 かた 自体 じたい が、「こうあるべき」ということに対 たい するひとつの抵抗 ていこう みたいなことになってると思 おも います。┃(pp.18-19)
近代 きんだい ザンブレノは、この本 ほん の中 なか で女性 じょせい の生理 せいり のことも書 か くじゃないですか、露悪 ろあく 的 てき なまでに。それもすごく意識 いしき してしていると△19/20▽いうか、そういう生理 せいり みたいなことを書 か くと「女 おんな は子宮 しきゅう でものを考 かんが える」的 てき に流 なが されちゃうことに、あえて切 き り込 こ んでる。血 ち を感 かん じさせない、そこを避 さ けるやり方 かた もあったと思 おも うんです。でも、あえてそう書 か くのは、そういう見方 みかた や評価 ひょうか の仕方 しかた の問題 もんだい を浮 う き彫 ぼ りにしますよね。それって結局 けっきょく 、病理 びょうり 化 か することと同 おな じだから。
西山 にしやま 生理 せいり だけじゃなくて、いろんな体 からだ の不調 ふちょう のことが率直 そっちょく に書 か いてありますよね。でもそういうものがないほうが、認 みと められるいい書 か き方 かた なのかというと、そうは言 い わせないというか。そこは結構 けっこう 強 つよ い意志 いし のもとに書 か いてると思 おも います。
近代 きんだい ないほうがいいっていうより、「結局 けっきょく 、女 おんな の表現 ひょうげん ってそういうんだよね」って言 い われることを避 さ けるためにそういう書 か き方 かた を避 さ ける、っていうことを避 さ けてるってことですよね。
西山 にしやま そうそう。あえてそれをやって、そこのカテゴリーに入 い れようとすることの愚 おろ かさを逆 ぎゃく に見 み せるというか。┃(pp.19-20)
〔近代 きんだい :〕女 おんな のエッセイだったり、読者 どくしゃ 欄 らん の投稿 とうこう だったり、手紙 てがみ だったり日記 にっき だったりって△20/21▽いうもの。そういうものに惹 ひ かれるのは、そもそも女性 じょせい のすること自体 じたい が周縁 しゅうえん 的 てき なものだし、そういうところから出 で てくるものこそ、「文学 ぶんがく 」の世界 せかい では書 か けない女性 じょせい ならではのものがあるから。でもそれは実 じつ は後 こう 付 つ けで、そもそもは理由 りゆう もなく惹 ひ かれてるわけです。┃(pp.20-21)
〔近代 きんだい :〕もうそれ〔=惹 ひ かれる理由 りゆう 〕すら説明 せつめい しなくてもいいのではという気 き にさせられます。説明 せつめい することは「正統 せいとう 」を権威 けんい づけることになるんだと、この本 ほん から気 き づかされました。┃(p.21)
〔近代 きんだい :〕手芸 しゅげい や料理 りょうり の本 ほん を見 み ながら、女 おんな はこういうことをやってればいいんだって、社会 しゃかい からあてがわれてきた歴史 れきし をひしひしと感 かん じつつ、でもやっぱり編 あ み物 もの って楽 たの しいよねっていう。その葛藤 かっとう ですよね。[…]いまだに女 おんな の人 ひと ってそういうところで引 ひ き裂 さ かれてるんだと感 かん じました。┃(p.22)
〔近代 きんだい :〕私 わたし の言葉 ことば を取 と らないで、っていう感覚 かんかく がありました。それこそ病理 びょうり 化 か じゃないけど、言葉 ことば って本来 ほんらい 誰 だれ のものでもないはずなのに、自分 じぶん のアイデアや想念 そうねん を取 と られるような気 き がして。そういう強迫 きょうはく 観念 かんねん って、精神 せいしん 的 てき な病 やまい と結 むす びつけてみなされそうじゃないですか。┃(p.23)
〔西山 にしやま :〕言葉 ことば にしたら奪 うば い取 と られてしまうかもしれない、何 なに かを言 い ったらその言葉 ことば で判断 はんだん されて、病気 びょうき のレッテルを貼 は られてしまうかもしれない、とか。だから何 なに も言 い わない、声 こえ をあげない、沈黙 ちんもく を保 たも つことで、逆 ぎゃく に抵抗 ていこう する。個人 こじん の闘 たたか いとしては、何 なに も言 い わないことも抗 あらが う態度 たいど のひとつだと。でもそういう心配 しんぱい がない人 ひと からしてみたら、それも病的 びょうてき なものに映 うつ ることもありうる。┃(p.23)
〔西山 にしやま :〕書 か くこと自体 じたい はひとりでやることですけど、そういう孤独 こどく や、外 そと に出 だ したいけどなかなか出 だ せないような表面 ひょうめん のギリギリのところにあるような気持 きも ちを何 なん となく分 わ かち合 あ うことって、すごく大事 だいじ 。┃(p.24)
〔近代 きんだい :〕ただ単 たん に作品 さくひん として読 よ まれるだけじゃないあり方 かた は、女性 じょせい の言葉 ことば だからこそ可能 かのう なのかなって思 おも います。作品 さくひん としてカッチリとした枠組 わくぐ みがあって、それ自体 じたい が額 がく の中 なか の絵 え のように自立 じりつ しているんじゃなくて、もっと道具 どうぐ みたいだったり、きっかけみたいなものとしてのあり方 かた ですよね。┃(p.25)
◇血 ち /痛 いた みのリアリティから語 かた り出 だ す:男性 だんせい 社会 しゃかい の(性的 せいてき )ファンタジーに適応 てきおう しない
◇(男性 だんせい 企業 きぎょう 社会 しゃかい ・国家 こっか が基盤 きばん とする)生産 せいさん 性 せい /合理 ごうり 性 せい 至上 しじょう 主義 しゅぎ の土俵 どひょう 自体 じたい に乗 の らない:乗 の ってそこで頑張 がんば ることで結果 けっか 的 てき にそれを補強 ほきょう してしまう=そのシステムに貢献 こうけん してしまうことを拒否 きょひ する
◇語 かた らない/語 かた れない(抵抗 ていこう する=声 こえ を上 あ げる意志 いし /手段 しゅだん すら奪 うば われた)者 しゃ たちの存在 そんざい ――を認知 にんち し尊重 そんちょう しそれでも接続 せつぞく の可能 かのう 性 せい を探 さぐ る
◇言葉 ことば や論理 ろんり を通 つう じてではない共振 きょうしん ・共鳴 きょうめい のありかたを模索 もさく する
◇リアルな身体 しんたい 性 せい とそれに連 つら なる精神 せいしん 性 せい というフォーマット:差異 さい と普遍 ふへん 性 せい ――をもとに(周縁 しゅうえん 化 か された多様 たよう な存在 そんざい へと)拡張 かくちょう していくこと ☆(ポスト)第 だい 3波 は フェミニズム
▼『ヒロインズ』:「訳者 やくしゃ あとがき」(西山 にしやま 敦子 あつこ )より
書 か かれなかったこと、消 き えてしまったもの、そして「見 み えない」コミュニティ。『ヒロインズ』のなかで、ケイト・ザンブレノは不在 ふざい を見 み つめている。「(い)ない」ことやものの気配 けはい を感 かん じとり、その声 こえ を聞 き こうとする。┃(p.404)
「抗 あらが って書 か く」という姿勢 しせい 、あるいはスタイルが、本書 ほんしょ の最大 さいだい の特徴 とくちょう と言 い っていいだろう。過剰 かじょう な感情 かんじょう やパーソナルすぎる要素 ようそ を「抑 おさ えよ」とする文化 ぶんか や伝統 でんとう 、あるいは自分 じぶん の内面 ないめん の声 こえ に抗 あらが って書 か く。文章 ぶんしょう のトーンは部分 ぶぶん ごとに変化 へんか し、客観 きゃっかん 性 せい や正確 せいかく さよりも、主観 しゅかん 的 てき な受 う け止 と めかたやムードの揺 ゆ れが表 あらわ されている([…])。従来 じゅうらい 的 てき なジャンルにとらわれていないこともまた抵抗 ていこう のひとつの形 かたち ではあろうが、あえて言 い うならこの本 ほん は「抗 あらが って書 か く」ということを全体 ぜんたい として表明 ひょうめい し、宣言 せんげん しているマニフェストと言 い えるかもしれない。┃(p.405)
私 わたし 自身 じしん は本書 ほんしょ を訳 やく しながら、社会 しゃかい や周囲 しゅうい の環境 かんきょう が(そしてそれを内面 ないめん 化 か した自分 じぶん 自身 じしん が)「こうあるべき」とする姿 すがた のなかに、自分 じぶん が消 き えてしまいそうになったことのあるすべての人 ひと たち、それに抗 あらが いながら生 い きるさまざまな「私 わたし 」たちのことを思 おも った。[…]そんな「あらゆるジェンダーの私 わたし の姉妹 しまい たち」のもとに、この本 ほん が届 とど いてくれることを願 ねが っている。┃(p.406)
私 わたし が初 はじ めて『ヒロインズ』を読 よ んだのははや五 ご 年 ねん 半 はん ほど前 まえ 、病院 びょういん のベッドの上 うえ だった。[…]なじみのない場所 ばしょ で、ある日 ひ 突然 とつぜん ほぼ寝 ね たきりになってしまった。行 い きたいところに行 い けない、閉 と じ込 こ められている。それは何 なに かを暗示 あんじ しているような気 き がしてならなかった。それまでの私 わたし はナイーブにも、結婚 けっこん しようとどこに住 す もうと、親 おや になろうと、自分 じぶん は変 か わらずにいられると思 おも っていたのだ。私 わたし (たち)【傍点 ぼうてん :なら】結婚 けっこん (制度 せいど )というものを逸脱 いつだつ (解体 かいたい ? 脱 だつ 構築 こうちく ?)できると勝手 かって に思 おも っていた。それに私 わたし △407/408▽はいつまでもたったひとりのただの私 わたし でいられて、いつでもどこへでも自由 じゆう に行 い ける、とも。長期 ちょうき の入院 にゅういん 生活 せいかつ のあいだじゅう、残念 ざんねん でした、そんなことありません、と告 つ げられているような気 き がしていた。┃(pp.407-408)
「かつて哀 あわ れに思 おも っていた女性 じょせい たちのひとりに自分 じぶん もなってしまった気 き がして、ときどき心配 しんぱい になる」とザンブレノは書 か いている。私 わたし は誰 だれ かの人生 じんせい を「哀 あわ れ」だと思 おも ったことはないが、でもやはり、なぜこうなってしまったのか、という思 おも いにとらわれた。そんなとき偶然 ぐうぜん (いやたぶん必然 ひつぜん )に、この本 ほん が手元 てもと にやって来 き たのだった。┃(p.408)
第 だい 9回 かい :「「母 はは 」の疎外 そがい 状 じょう 況 きょう を受 う け止 と め・表 あらわ し・感知 かんち しあう――その方法 ほうほう の多様 たよう 性 せい 」[2019/06/18]
◆クラークソン瑠璃 るり (Ruri Clarkson) 20190531 「刺繍 ししゅう でフェミニズムを描 えが くまで」『支援 しえん 』9 : 68-72
三 さん 〇歳 さい になるかのころ制作 せいさく を始 はじ めた時 とき は、誰 だれ に見 み せるでもなく、自 みずか らの問題 もんだい 解決 かいけつ 方法 ほうほう として制作 せいさく していた。「声 こえ にならない」声 こえ が体内 たいない で飛 と び交 か いエコーしていて、それを体 からだ の外 そと に丁寧 ていねい な適切 てきせつ な方法 ほうほう で移動 いどう する方法 ほうほう として制作 せいさく があった。┃(p.68)
若 わか くして家庭 かてい を持 も った時分 じぶん 、「主婦 しゅふ 」と呼 よ ばれることが寒気 さむけ がするほど嫌 いや だった。「キャリア・ウーマンになって風 ふう をきって歩 ある く」ことを当然 とうぜん として若 わか い女性 じょせい になった私 わたし にとって、主婦 しゅふ という言葉 ことば は、何 なん 回 かい も破裂 はれつ してまた膿 うみ 上 あ がる深 ふか い傷 きず のような言葉 ことば だった。「母 はは 」として崇 あが められる対象 たいしょう でありつつ、家事 かじ しかスキルをつけることを許 ゆる されなかった「不払 ふばら い労働 ろうどう 者 しゃ 」の主婦 しゅふ 達 たち を私 わたし は子供 こども の頃 ころ から哀 あわ れに思 おも い、絶対 ぜったい になるまい、と思 おも っていた。しかし結婚 けっこん して子供 こども を持 も った途端 とたん 、周 まわ りは突然 とつぜん 「やっぱり主婦 しゅふ だね」と私 わたし の今 いま までの人格 じんかく を△68/69▽ゴミ箱 ごみばこ に入 い れ、彼 かれ らの脳 のう 内 ない の「主婦 しゅふ 」や「ママ」という整理 せいり 整頓 せいとん された「かくあるべし」引 ひ き出 だ しの中 なか に入 い れたのであった。
しかし「主婦 しゅふ 」という概念 がいねん ・言葉 ことば は私 わたし が生 う まれる前 まえ から言葉 ことば として存在 そんざい し、死 し んだ後 のち も生 い きながらえ、コンセプト自体 じたい は体 からだ を持 も たないツワモノのため、生身 なまみ の人間 にんげん が正面 しょうめん から戦 たたか っても負 ま けるのはわかっていた。私 わたし はその言葉 ことば を鉛筆 えんぴつ で描 えが き、布 ぬの に写 うつ し、丸 まる い白 しろ い布 ぬの の中心 ちゅうしん に、針 はり で指 ゆび を何 なん 回 かい も刺 さ しながら刺繍 ししゅう した。色 いろ は、教会 きょうかい で使 つか われる布 ぬの に似 に せて、赤 あか い糸 いと を主 おも に使 つか い、さらに天使 てんし のモチーフで言葉 ことば を囲 かこ んだ。「主 あるじ 」がダジャレで、クリスチャンの「主 あるじ 」にも見 み えたからだ。かくして「主婦 しゅふ 」という私 わたし を悩 なや ませるコンセプトは柔 やわ らな〔ママ〕布 ぬの の上 うえ に「触 ふ れる」身体 しんたい を持 も って現 あらわ れたのである。仕上 しあ がった絵 え はフェミニンで家庭 かてい 的 てき なファサードを持 も ちつつそれを皮肉 ひにく り、覆 くつがえ すような両義 りょうぎ 性 せい を持 も ち、言葉 ことば にならなかった「声 こえ 」に像 ぞう (かたち)を与 あた えてくれたのだ。┃(pp.68-69)
ある来場 らいじょう 者 しゃ は「主婦 しゅふ 」という作品 さくひん を△69/70▽見 み て「嬉 うれ しい。私 わたし が毎日 まいにち 頑張 がんば っていることを褒 ほ めてもらっているよう」と言 い い、別 べつ の一人 ひとり は「これは痛 いた いね。はっとする」といった相反 あいはん するような結論 けつろん にいたる。鑑賞 かんしょう 者 しゃ が私 わたし の作品 さくひん をみてどう「変 か わったか」は私 わたし は知 し る由 よし がなく、また一 いち 枚 まい の絵 え で人 ひと は変 か わらないと思 おも う。時々 ときどき とても作品 さくひん に対 たい して強 つよ い気持 きも ちを持 も つ人 ひと がいるが、それはもともとその人 ひと の喉 のど に突 つ っかかって出 で てこなかった感情 かんじょう を作品 さくひん が饒舌 じょうぜつ に語 かた ったからだ。┃(pp.69-70)
また、とても個人 こじん 的 てき な問題 もんだい を解決 かいけつ する、という発端 ほったん で作 つく り始 はじ めた作品 さくひん 達 たち が、作 つく り終 お えた頃 ころ には、製作 せいさく 者 しゃ である私 わたし を変 か え、ポリティカルなメッセージになっていったという変化 へんか もあった。フェミニズムのモットーの一 ひと つである、personal is political(個人 こじん 的 てき なことは政治 せいじ 的 てき なこと)をそのままなぞっている。こうして藁 わら を掴 つか むような思 おも いでスタートした表現 ひょうげん は、私 わたし に声 こえ を与 あた え、力 ちから を与 あた え、コミュニケーション手段 しゅだん となっていった。┃(p.70)
母 はは のジェネレーションの期待 きたい を背負 せお った私 わたし だったが、就職 しゅうしょく して一 いち 年 ねん が経 た たないうちに出産 しゅっさん をした。子供 こども を産 う むと世界 せかい が変 か わる、というが、それは本当 ほんとう だった。私 わたし の社会 しゃかい 的 てき な立 た ち位置 いち は、子 こ を持 も つことで、弱 よわ まった。子 こ を持 も つことで仕事 しごと が思 おも うようにできないから経済 けいざい 的 てき に弱 よわ くなる、育児 いくじ に時間 じかん ・労力 ろうりょく ・金 かね を費 つい やすから他 た のことに手 て が回 まわ らない、「主婦 しゅふ 」や「ママ」になったことで人々 ひとびと がその役割 やくわり の中 なか でしか自分 じぶん のことを見 み なくなる、など社会 しゃかい 的 てき に何 なに もいいことがないように思 おも えた。┃(p.71)
色々 いろいろ な問題 もんだい が心身 しんしん に出 で て来 き て、復帰 ふっき 一 いち 年 ねん 数 すう ヶ月 かげつ で逃 に げるようにして退社 たいしゃ した。
あれ?私 わたし の世代 せだい は「なんでもできる」んじゃなかったっけ……?┃(p.71)
会社 かいしゃ を辞 や めた後 のち も、一体全体 いったいぜんたい 何 なに が起 おこり △71/72▽こったのか?が飲 の み込 こ めないまま、「なんかおかしい」「いや私 わたし の力不足 ちからぶそく だ」と堂々巡 どうどうめぐ りに考 かんが え過 す ごした。また[…]自 みずか らのストーリーを語 かた ることを自己 じこ 抑圧 よくあつ することを続 つづ けた。┃(pp.71-72)
私 わたし は、「声 こえ が出 だ せない」ことを恐 おそ れる。作品 さくひん を作 つく り始 はじ める前 まえ の一 いち 年間 ねんかん ほどは、身 み の危険 きけん が迫 せま っているのに「声 こえ が出 で ない」または「声 こえ の出 だ し方 かた がわからない」という夢 ゆめ をみて、よく叫 さけ びながら起 お きた。[…]実際 じっさい の社会 しゃかい の中 なか で、私 わたし が恐 おそ れるのは、私 わたし が一時期 いちじき 「私 わたし のストーリーなんて」と諦 あきら めていたように、[…]我慢 がまん に我慢 がまん を重 かさ ねて声 こえ をあげることを忘 わす れ、いろんな音色 ねいろ を持 も った「声 こえ 」が消 き えることだ。┃(p.72)
問題 もんだい 意識 いしき を持 も ち、自分 じぶん のストーリーを語 かた り、また状況 じょうきょう の違 ちが う人 ひと の声 こえ に耳 みみ を傾 かたむ け、得意 とくい な方法 ほうほう で表現 ひょうげん していくことは豊 ゆた かな、多様 たよう な社会 しゃかい の実現 じつげん に繋 つな がると私 わたし は信 しん じている。私 わたし は今 いま のところ、布 ぬの と糸 いと を用 もち いての表現 ひょうげん を続 つづ けていこう。┃(p.72)
◇言葉 ことば ・論理 ろんり を介 かい さない主体 しゅたい 構築 こうちく /他者 たしゃ への接続 せつぞく ――自己 じこ 承認 しょうにん できない「主婦 しゅふ 」・「母 はは 」として
‐ 「労働 ろうどう 者 しゃ 」でもない・「主婦 しゅふ 」でもない・「母 はは 」でもない自分 じぶん
‐ たとえ賃 ちん 労働 ろうどう ・家事 かじ 労働 ろうどう ・育児 いくじ 労働 ろうどう それぞれに従事 じゅうじ していても
‐ どこからも宙 ちゅう ぶらりんの(立 た つ場所 ばしょ がない)立場 たちば 性 せい
‐ であるからこそ同 おな じ状況 じょうきょう の他者 たしゃ との接続 せつぞく を必要 ひつよう とする
‐ であるからこそ(差異 さい を有 ゆう しつつ)接続 せつぞく できる可能 かのう 性 せい
‐ 「アイデンティティ」のような枠組 わくぐ みではなく/を越 こ えて
◇手仕事 てしごと /表現 ひょうげん :女性 じょせい 性 せい (母性 ぼせい )への便宜 べんぎ 的 てき 依拠 いきょ /コミュニケーションにおける女性 じょせい 性 せい (母性 ぼせい )の手段 しゅだん 化 か
◇自身 じしん の(個人 こじん 的 てき )感情 かんじょう を意識 いしき 化 か する → 「政治 せいじ 性 せい 」の獲得 かくとく ・発露 はつろ
‐ 政党 せいとう が掲 かか げる政策 せいさく (子育 こそだ て支援 しえん /ワーク・ライフ・バランス/ダイバーシティ……)のような大文字 おおもじ の「政治 せいじ 」では語 かた られない・扱 あつか われない・見過 みす ごされる範疇 はんちゅう :そこにある本質 ほんしつ 的 てき に政治 せいじ 的 てき なこと――を見出 みいだ す/に辿 たど り着 つ くこと
◇解釈 かいしゃく の多様 たよう 性 せい =個々 ここ の現実 げんじつ の反映 はんえい
◇差異 さい と共同 きょうどう 性 せい
◆西山 にしやま 敦子 あつこ 20160406 「震 ふる える指先 ゆびさき 」『すばる』38(5) : 80-81
cf. ◆村上 むらかみ 潔 きよし 20160424 「西山 にしやま 敦子 あつこ 「震 ふる える指先 ゆびさき 」に寄 よ せて」
◇家事 かじ /触覚 しょっかく /感知 かんち
◆村上 むらかみ 潔 きよし 20140126 「対談 たいだん にあたって」 《第 だい 76回 かい 西荻 にしおぎ ブックマーク》「女子 じょし と作文 さくぶん ・主婦 しゅふ と労働 ろうどう 」(出演 しゅつえん :近代 きんだい ナリコ・村上 むらかみ 潔 きよし )
◇記号 きごう 性 せい /リテラシー
◆中村 なかむら 佑子 ゆうこ 20180106− 「[連載 れんさい ]私 わたし たちはここにいる――現代 げんだい の母 はは なる場所 ばしょ 」 『すばる』40(2): 218-232[第 だい 1回 かい ]*以降 いこう 隔月 かくげつ 連載 れんさい
◇水 みず /空洞 くうどう /境界 きょうかい /内包 ないほう /産出 さんしゅつ /轟音 ごうおん /静謐 せいひつ /風 ふう ……
第 だい 10回 かい :「差異 さい をもとにした共同 きょうどう 性 せい を構築 こうちく する実践 じっせん に向 む けて」[2019/06/25]
◇言葉 ことば にならない「声 こえ 」を出 だ す・伝 つた える・聞 き く――ために必要 ひつよう な条件 じょうけん
◇空間 くうかん [Space]・場所 ばしょ [Place]
◇それを誰 だれ もが共有 きょうゆう できること――共 とも に在 ざい [あ]れること
●@公的 こうてき /公共 こうきょう 空間 くうかん [Public Space]
‐ 公園 こうえん
‐ 広場 ひろば /路上 ろじょう ・街角 まちかど (ストリート)
‐ (空間 くうかん としての)商店 しょうてん 街 がい
‐ 公民館 こうみんかん /図書館 としょかん
‐ 大学 だいがく
@':そこで生 しょう じる/実践 じっせん されること
‐ 世間 せけん 話 ばなし /愚痴 ぐち [ぐち]
‐ 悩 なや みの共有 きょうゆう ・相談 そうだん
‐ 共同 きょうどう 保育 ほいく (青空 あおぞら 保育 ほいく )
@'':性格 せいかく
‐ 無償 むしょう 性 せい
‐ 無条件 むじょうけん =排除 はいじょ しない:年齢 ねんれい ・性別 せいべつ ・学歴 がくれき ・職業 しょくぎょう (の有無 うむ )・世帯 せたい 構成 こうせい
‐ シングルマザー/DVサバイバー/セックスワーカー/クィア……
‐ 移民 いみん /低 てい 所得 しょとく 者 しゃ /失業 しつぎょう 者 しゃ /生活 せいかつ 保護 ほご 受給 じゅきゅう 者 しゃ /ホームレス……
‐ 相互 そうご 扶助 ふじょ (困 こま ったときはお互 たが いさま)
‐ 贈与 ぞうよ (動 うご ける人 ひと が動 うご く/得意 とくい な人 ひと がやる/必要 ひつよう な人 ひと が受 う け取 と る)
●A私的 してき /私有 しゆう /私営 しえい 化 か された空間 くうかん [Privatized Spaces]
‐ ショッピングモール
‐ テナントビル
‐ エンタメ/アミューズメント施設 しせつ
‐ それらのなかのキッズルーム
A':そこで生 しょう じる/実践 じっせん されること
‐ 消費 しょうひ
‐ サービス享受 きょうじゅ
‐ 自分 じぶん 磨 みが き/子 こ どもへの投資 とうし
A'':性格 せいかく
‐ 商業 しょうぎょう 的 てき /消費 しょうひ 促進 そくしん
‐ 支払 しはら い金額 きんがく →該当 がいとう するサービス:対価 たいか /「買 か う」
‐ 絶 た えざる排除 はいじょ と選別 せんべつ (序列 じょれつ 化 か )
‐ 利用 りよう 要件 ようけん :夫 おっと の職業 しょくぎょう /夫 おっと の勤務 きんむ 先 さき 企業 きぎょう /夫 おっと の年収 ねんしゅう ……
◇ジェントリフィケーション[Gentrification]:@の縮減 しゅくげん ・Aの拡大 かくだい
◇あらゆる場 ば (都市 とし ・郊外 こうがい ・大学 だいがく ……)における私有 しゆう の論理 ろんり ・秩序 ちつじょ [Order]の浸透 しんとう
◇@を守 まも る/取 と り戻 もど す試 こころ み――を知 し ること・共有 きょうゆう すること
第 だい 11回 かい :「Revolutionary Mothering(1)」[2019/07/02]
【導入 どうにゅう 】
◇ゼミ/サークル(部活 ぶかつ )等 とう に縮小 しゅくしょう 展開 てんかい され持続 じぞく する家父長制 かふちょうせい
‐ 父 ちち /長男 ちょうなん ・母 はは /娘 むすめ
‐ 男性 だんせい 間 あいだ :権限 けんげん の委譲 いじょう
‐ 女性 じょせい 役割 やくわり :家長 かちょう ・後継 あとつ ぎ・成員 せいいん のケア
◆Gumbs, Alexis Pauline; Martens, China; Williams, Mai'a eds., 2016,
Revolutionary Mothering: Love on the Front Lines , Oakland, CA: PM Press.
“Inspired by the legacy of radical and queer black feminists of the 1970s and ’80s, Revolutionary Mothering places marginalized mothers of color at the center of a world of necessary transformation. The challenges we face as movements working for racial, economic, reproductive, gender, and food justice, as well as anti-violence, anti-imperialist, and queer liberation are the same challenges that many mothers face every day. Oppressed mothers create a generous space for life in the face of life-threatening limits, activate a powerful vision of the future while navigating tangible concerns in the present, move beyond individual narratives of choice toward collective solutions, live for more than ourselves, and remain accountable to a future that we cannot always see. Revolutionary Mothering is a movement-shifting anthology committed to birthing new worlds, full of faith and hope for what we can raise up together.”
◇Ratliff, Marcia, 2016, "'Radical caretaking': Poet, activist Mai'a Williams on building real communities",
Winona Daily News , April 3, 2016, (
https://www.winonadailynews.com/news/local/radical-caretaking-poet-activist-mai-a-williams-on-building-real/article_942fe47b-7ff0-5a62-a895-1b0f0f00cfcc.html ).
“If you’re an activist in community organizations and you’re wondering why there are no people of color there, or why there are no women of color there, historically, women of color just have children earlier. And they aren’t going to be able to get paid childcare, necessarily.”
◇Parenting for Liberation, 2016, "Revolutionary Mothering: Interview with Mai’a Williams", Parenting for Liberation, June 2, 2016, (
https://parentingforliberation.org/2016/06/02/maia-williams-revolutionary-mothering/ ).
◇Motapanyane, Maki, 2017,
"BOOK REVIEW: Revolutionary mothering: Love on the front lines, edited by A.P. Gumbs, C. Martens, & M. Williams. (2016). Oakland, CA: PM Press." ,
Journal of Critical Race Inquiry 4(1): 78-80.
◇方法 ほうほう
‐ 社会 しゃかい の周縁 しゅうえん (margin)にあるマザリングを見 み る
――マザリングと貧困 ひんこん /人種 じんしゅ /セクシュアリティの関係 かんけい ならびにマザリングのコミュニティ構築 こうちく の様態 ようたい に注目 ちゅうもく
◇問題 もんだい
‐ マザリングに関 かん する主流 しゅりゅう の覇権 はけん 的 てき な見方 みかた に適合 てきごう しない人々 ひとびと :基幹 きかん 資源 しげん へのアクセス/コミュニティ形成 けいせい を可能 かのう にするアクセスが(マジョリティに比 くら べ)大幅 おおはば に減少 げんしょう する
◇目的 もくてき
‐ @援助 えんじょ 的 てき (supportive)で・Aよりケアを重視 じゅうし する・B(社会 しゃかい 的 てき )周縁 しゅうえん にある母 はは たちの存在 そんざい を中心 ちゅうしん に据 す えたコミュニティ形成 けいせい に関 かん する対話 たいわ を始 はじ める
◇イメージ
‐ 想定 そうてい は「標準 ひょうじゅん 家族 かぞく (世帯 せたい )」ではない
‐ ラディカルなケア
――生物 せいぶつ 学 がく 的 てき な範疇 はんちゅう にとどまらず私 わたし たちがお互 たが いにケアをするさまざまな方法 ほうほう のすべて
――これまで不払 ふばら いで過小 かしょう 評価 ひょうか されてきた仕事 しごと
――女子 じょし /女性 じょせい はこれらのスキルを学 まな ぶことを余儀 よぎ なくされてきた
→すべての人 ひと が若 わか い時期 じき にこれらのスキルを学 まな ぶことが望 のぞ まれる
◇コミュニティを構築 こうちく するにあたって
‐ 資本 しほん 主義 しゅぎ ・性 せい 差別 さべつ ・人種 じんしゅ 差別 さべつ といた世界 せかい に存在 そんざい する暴力 ぼうりょく を生 い き延 の びるために必要 ひつよう なシステムをつくりあげる
‐ 生活 せいかつ 保護 ほご 受給 じゅきゅう 者 しゃ の母親 ははおや /貧困 ひんこん 状態 じょうたい の母親 ははおや /移民 いみん の母親 ははおや と子 こ ども:いわれなき(誤 あやま った)攻撃 こうげき の対象 たいしょう となる存在 そんざい
‐ 彼女 かのじょ らは最前線 さいぜんせん (front line)にいる――もっとも(容易 ようい に)傷 きず つく(傷 きず つけられる)立場 たちば +もっとも住 す む家 いえ を失 うしな う可能 かのう 性 せい が高 たか い
→彼女 かのじょ たちがお互 たが いにケアしあうシステムが求 もと められる
第 だい 12回 かい :「国境 こっきょう を越 こ える暴力 ぼうりょく 構造 こうぞう ――ヴァルネラブルな母 はは たち」[2019/07/09]
◇父権 ふけん 的 てき ・父性 ふせい 的 てき 権力 けんりょく ・暴力 ぼうりょく
◇グローバリズム/ポスト植民 しょくみん 地 ち 主義 しゅぎ
‐ 「開発 かいはつ 」/経済 けいざい 進出 しんしゅつ
◇トランスナショナル:暴力 ぼうりょく ・搾取 さくしゅ ・抑圧 よくあつ (×抵抗 ていこう ・連帯 れんたい ・エンパワーメント)
‐ アジアの女性 じょせい 労働 ろうどう 者 しゃ (母親 ははおや /若年 じゃくねん 女性 じょせい )
◇ヴァルネラビリティ(脆弱 ぜいじゃく 性 せい )
‐ 底辺 ていへん 労働 ろうどう 力 りょく +育児 いくじ 責任 せきにん
◇先進 せんしん 国内 こくない での構造 こうぞう
‐ 移民 いみん のシングルマザー
‐ セックスワーカー
‐ 生活 せいかつ 保護 ほご を受給 じゅきゅう する母親 ははおや
◇「包摂 ほうせつ 」の裏 うら にある排除 はいじょ
‐ ピンクウォッシュ[Pinkwash]/レインボー・キャピタリズム[Rainbow Capitalism]
‐ ジェントリフィケーション[Gentrification]/社会 しゃかい 的 てき 浄化 じょうか [Social Cleansing]
◇ネットワーキング
‐ サヴァイヴ(生存 せいぞん )
‐ 資源 しげん への接続 せつぞく
‐ 「援助 えんじょ 」?
第 だい 13回 かい :「Revolutionary Mothering(2)」[2019/07/16]
【導入 どうにゅう 】
◇「ガラスの天井 てんじょう 」論 ろん の危 あや うさ
‐ 「ワーク・ライフ・バランス」・「両立 りょうりつ 支援 しえん 」・「子育 こそだ て支援 しえん 」・「イクメン」etc.(=男女 だんじょ 共同 きょうどう 参画 さんかく 的 てき 概念 がいねん /政策 せいさく /標語 ひょうご )が最初 さいしょ から届 とど かない場所 ばしょ (対象 たいしょう )の存在 そんざい ――埒外 らちがい の母 はは たち
‐ 「床 ゆか 」の存在 そんざい ――その上下 じょうげ を分 わ ける力 ちから は誰 だれ が行使 こうし しているのか
‐ 行政 ぎょうせい が/マジョリティが「見 み ないことにする」(→断絶 だんぜつ を再 さい 生産 せいさん する)母 はは たちの存在 そんざい ――自力 じりき (+支援 しえん の力 ちから )で母子 ぼし の生存 せいぞん ・生活 せいかつ を維持 いじ する+直接 ちょくせつ 行動 こうどう による運動 うんどう
◇変革 へんかく の実践 じっせん [transformative practice]としてのマザリング――そのための知 ち を構築 こうちく する
‐ 中心 ちゅうしん /周縁 しゅうえん (マージン)のBorder(境界 きょうかい 線 せん )を可視 かし 化 か する・破 やぶ る→中心 ちゅうしん >周縁 しゅうえん というOrder(秩序 ちつじょ )を問題 もんだい 化 か する・揺 ゆ るがす
‐ 特定 とくてい の人々 ひとびと を(時 とき に無自覚 むじかく に)周縁 しゅうえん 化 か [marginalize]している側 がわ (=中心 ちゅうしん の側 がわ )の立場 たちば をあぶり出 だ す
‐ マザリング(のための取 と り組 く み)そのものが変革 へんかく の実践 じっせん となるポテンシャル
‐ マザリングが秘 ひ める多様 たよう な(認識 にんしき されにくい)「政治 せいじ 性 せい 」
◇社会 しゃかい の中 なか のもろい・不安定 ふあんてい な[fragile/precarious]存在 そんざい を中心 ちゅうしん に
◇人種 じんしゅ /階級 かいきゅう (/ジェンダー/セクシュアリティ)
‐ 連関 れんかん 性 せい ・複 ふく 合性 あいしょう ・交差 こうさ 性 せい
‐ 労働 ろうどう ×ケア?
cf. ◆Dow, Dawn Marie, 2019, Mothering While Black: Boundaries and Burdens of Middle-Class Parenthood , Oakland: University of California Press.
◇メディアにおけるマザリング=白人 はくじん によるもの――そうした状況 じょうきょう への対抗 たいこう (言説 げんせつ ・実践 じっせん )=ラディカル・マザリング
◇有色 ゆうしょく 人種 じんしゅ のシングルマザー[single mothers of color]の運動 うんどう から学 まな ぶもの
◇70〜80年代 ねんだい の保育 ほいく 運動 うんどう [radical childcare]
‐ 第 だい 2波 は フェミニズム
‐ 日本 にっぽん でも(ウーマンリブ/生活 せいかつ 者 しゃ 運動 うんどう )
◇現在 げんざい にいたる「マザリング運動 うんどう 」[revolutionary mothering activism]という捉 とら え方 かた
◇マザリングという運動 うんどう /運動 うんどう におけるマザリング
‐ cf. ブラックパンサー[Black Panther Party]
◇マザリングのクィア化 か
‐ LGBTQの母 はは たち――セクシュアリティの問題 もんだい
‐ 分断 ぶんだん 線 せん を無効 むこう 化 か する
第 だい 14回 かい :「Revolutionary Mothering(3)」[2019/07/23]
◇マザリングのエートス
‐ 他者 たしゃ の身体 しんたい の生存 せいぞん や成長 せいちょう に関与 かんよ することを(それ自体 じたい として)価値 かち づけること
‐ 私 わたし たちを分断 ぶんだん する資本 しほん 主義 しゅぎ のロジックを根源 こんげん 的 てき に否定 ひてい する
◇マザリングの主体 しゅたい をケアする取 と り組 く みの必要 ひつよう 性 せい
‐ 従来 じゅうらい の秩序 ちつじょ におけるマザリングは決 けっ して「平等 びょうどう 」ではなかった
‐ 有色 ゆうしょく 人種 じんしゅ 女性 じょせい はマザリングにおいて暴力 ぼうりょく 的 てき に罰 ばっ せられ、スティグマを付与 ふよ されてきた。
‐ 自 みずか らの子 こ ではなく白人 はくじん 女性 じょせい の家庭 かてい の子 こ をケアすることを強要 きょうよう された過去 かこ /自 みずか らの子 こ を里子 さとご に出 だ さざるをえない/自分 じぶん の子 こ を残 のこ し海外 かいがい へ出稼 でかせ ぎ……
‐ 白人 はくじん の子 こ が人類 じんるい の資源 しげん を増大 ぞうだい させる存在 そんざい として祝福 しゅくふく される一方 いっぽう で黒人 こくじん /先住民 せんじゅうみん 族 ぞく /第 だい 三 さん 世界 せかい の子 こ どもたちは――国家 こっか 資源 しげん を枯渇 こかつ させる存在 そんざい として/将来 しょうらい の犯罪 はんざい 者 しゃ として/近年 きんねん では人口 じんこう 過剰 かじょう の文脈 ぶんみゃく で環境 かんきょう 悪化 あっか の加害 かがい 者 しゃ として――嘆 なげ かれる
‐ そうした(差別 さべつ 的 てき )不 ふ 均衡 きんこう を問題 もんだい としないマザリングの取 と り組 く みはありえない
‐ 白人 はくじん 至上 しじょう 主義 しゅぎ /異 い 性愛 せいあい 主義 しゅぎ の家父長制 かふちょうせい 的 てき 資本 しほん 主義 しゅぎ に対抗 たいこう し、抑圧 よくあつ された女性 じょせい たちの生 せい (・性 せい )を回復 かいふく させるコミュニティが必要 ひつよう 。
◇マザリングの十全 じゅうぜん な主体 しゅたい となることを当事 とうじ 者 しゃ として求 もと める
‐ 新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ のもとでは、フォーマルかつインフォーマル(パートタイム/派遣 はけん /フレキシブル労働 ろうどう )な賃金 ちんぎん を獲得 かくとく することに対 たい する貧困 ひんこん 女性 じょせい の個人 こじん 的 てき 責務 せきむ は――家族 かぞく と共同 きょうどう 体 たい のメンバーへのケア〔労働 ろうどう 〕に対 たい する国家 こっか 的 てき 支援 しえん が削減 さくげん される一方 いっぽう で――増大 ぞうだい し・深 ふか まり続 つづ けている。
‐ そのなかでの疲弊 ひへい ・絶望 ぜつぼう ・孤立 こりつ 状 じょう 況 きょう を当事 とうじ 者 しゃ として問題 もんだい 化 か する
◇国家 こっか と資本 しほん への隷従 れいじゅう 状 じょう 況 きょう から抜 ぬ け出 だ す
‐ 社会 しゃかい 関係 かんけい の再 さい 構築 こうちく ――マザリングをその革命 かくめい 的 てき 手段 しゅだん として
◇革命 かくめい 的 てき (試行 しこう )実践 じっせん としてのマザリング
‐ 抵抗 ていこう する自律 じりつ 的 てき コミュニティと同様 どうよう に回復 かいふく 力 りょく のある個人 こじん を育成 いくせい する能力 のうりょく を含 ふく む共通 きょうつう のニーズに対応 たいおう するため私 わたし たち自身 じしん を再 さい 構築 こうちく する――その方法 ほうほう を探 さぐ る
▼革命 かくめい 的 てき 家庭 かてい 管理 かんり のマニフェスト
◇「ホーム(家庭 かてい )」は個人 こじん 的 てき (私的 してき )資源 しげん ではない:
‐ 白人 はくじん 至上 しじょう 主義 しゅぎ /異 い 性愛 せいあい 主義 しゅぎ の家父長制 かふちょうせい 的 てき 資本 しほん 主義 しゅぎ で構成 こうせい される人間 にんげん 生活 せいかつ を維持 いじ するシステムの最 さい 前部 ぜんぶ
◇コミュニティのなかに組 く み込 こ む要素 ようそ
@完全 かんぜん な再 さい 生産 せいさん と(それにおける)すべての女性 じょせい (先住民 せんじゅうみん 女性 じょせい /有色 ゆうしょく 人種 じんしゅ の女性 じょせい /クィア/トランス/障害 しょうがい 者 しゃ 女性 じょせい /貧困 ひんこん 女性 じょせい )の自己 じこ 決定 けってい のための闘 たたか い
‐ 孤立 こりつ (隔離 かくり )・欠乏 けつぼう (剥奪 はくだつ )のない妊娠 にんしん ・出産 しゅっさん を――身体 しんたい と精神 せいしん の安全 あんぜん を守 まも る
‐ 産婆 さんば (助産婦 じょさんぷ )のコレクティブの必要 ひつよう 性 せい
A性 せい 的 てき 正義 せいぎ に向 む けた取 と り組 く み
‐ 異 い 性愛 せいあい 主義 しゅぎ 的 てき 家父長制 かふちょうせい イデオロギーからは「逸脱 いつだつ 者 しゃ (性的 せいてき 倒錯 とうさく 者 しゃ )」とラベリングされている存在 そんざい のために
‐ 安全 あんぜん で尊厳 そんげん ある、自己 じこ 決定 けってい に基 もと づく性的 せいてき な充足 じゅうそく のためのアクセスのおける物質 ぶっしつ 的 てき 条件 じょうけん の平等 びょうどう 化 か 。
‐ セックスワークの非 ひ 犯罪 はんざい 化 か に向 む けて
Bケアの共同 きょうどう 責任 せきにん
‐ 他者 たしゃ の利益 りえき (利潤 りじゅん )のために女性 じょせい が自身 じしん を壊 こわ す(犠牲 ぎせい にする)ことを当然 とうぜん と見 み なすのをやめる――時間 じかん と労力 ろうりょく を政治 せいじ 的 てき 資源 しげん と見 み なす
‐ 育児 いくじ /共同 きょうどう 保育 ほいく /ケア提供 ていきょう 者 しゃ のコレクティブをつくる――貧 まず しい母 はは /ケア提供 ていきょう 者 しゃ の日々 ひび の生存 せいぞん 戦略 せんりゃく を支援 しえん するため
‐ 家事 かじ 労働 ろうどう 者 しゃ としての第 だい 三 さん 世界 せかい 女性 じょせい への搾取 さくしゅ と対決 たいけつ する――その身体 しんたい の保護 ほご
C「家族 かぞく の愛 あい 」の政治 せいじ 化 か
‐ 権力 けんりょく は私 わたし たちの欲求 よっきゅう を特定 とくてい の身体 しんたい に親密 しんみつ に関係 かんけい するものへと方向 ほうこう づける
‐ 相互 そうご 関与 かんよ ・依存 いぞん ・同盟 どうめい としての協力 きょうりょく 関係 かんけい の実践 じっせん
‐ 資源 しげん をシェアすることで家族 かぞく の愛 あい からコミュニティへと拡張 かくちょう していく
D性 せい 的 てき 暴力 ぼうりょく サバイバーをコミュニティでケアする構造 こうぞう
‐ 性的 せいてき 暴力 ぼうりょく は人々 ひとびと の居住 きょじゅう ・家族 かぞく ・コミュニティ・経済 けいざい 的 てき 支援 しえん 、そして身体 しんたい 的 てき ・感情 かんじょう 的 てき ・精神 せいしん 的 てき 完全 かんぜん 性 せい へのアクセスを断 た ち切 き る。
‐ あらゆる抵抗 ていこう のコミュニティは、サバイバーの安全 あんぜん を確保 かくほ し加害 かがい 者 しゃ の責任 せきにん を問 と う構造 こうぞう を発展 はってん させる必要 ひつよう がある。
‐ 自分 じぶん たち自身 じしん を防衛 ぼうえい するために、私 わたし たちは(自律 じりつ 的 てき )統治 とうち 権 けん と身体 しんたい 的 てき 能力 のうりょく を取 と り戻 もど さねばならない。
E身体 しんたい を健康 けんこう に保 たも つための自律 じりつ 空間 くうかん
‐ 国家 こっか による暴力 ぼうりょく と闘 たたか う抵抗 ていこう のなかで/国家 こっか が提供 ていきょう するヘルスケアに容易 ようい にアクセスできない人々 ひとびと の生活 せいかつ において必要 ひつよう とされる
‐ 抑圧 よくあつ に対 たい する反応 はんのう の制度 せいど 的 てき 病理 びょうり 化 か に抗 あらが う
‐ あらゆる抵抗 ていこう のコミュニティにはヒーラー[healer(s)]のコレクティブが必要 ひつよう [☆→第 だい 15回 かい ]
F支配 しはい 的 てき な教育 きょういく 構造 こうぞう から排除 はいじょ された子 こ ども・若者 わかもの を主 しゅ たる対象 たいしょう とした自律 じりつ 的 てき フリースクール
‐ 公的 こうてき 教育 きょういく システムは、子 こ ども・若者 わかもの たちから、国家 こっか と資本 しほん が要請 ようせい する要素 ようそ に反 はん する言語 げんご ・思考 しこう ・主観性 しゅかんせい を奪 うば う。
‐ 教育 きょういく を脱 だつ 植民 しょくみん 地 ち 化 か [decolonize]しなければならない――知 ち を生 う み出 だ す法則 ほうそく と形式 けいしき を再 さい 定義 ていぎ することによって
G必要 ひつよう 物資 ぶっし の共同 きょうどう 配給 はいきゅう のシステム
‐ 衣類 いるい の交換 こうかん /コミュニティ・ガーデン/食料 しょくりょう ・食事 しょくじ をシェアするネットワーク(cf. コミュニティ・キッチン)
‐ 各人 かくじん の能力 のうりょく にみあった寄付 きふ /貢献 こうけん による
‐ 安全 あんぜん と尊厳 そんげん を保 たも てる空間 くうかん へのアクセス:家 いえ のシェア
――標準 ひょうじゅん 家族 かぞく という規範 きはん を解体 かいたい する
‐ 家 いえ をシェアするネットワークを危険 きけん な状況 じょうきょう にある人々 ひとびと にまで拡張 かくちょう しなければならない
――貧困 ひんこん 状態 じょうたい のシングルマザーとその子 こ :(彼女 かのじょ らの生活 せいかつ はやっかいで不安定 ふあんてい だと理解 りかい されているため)家 か をシェアするのに「適 てき さない」と見 み なされ続 つづ ける
‐ 革命 かくめい 的 てき な接続 せつぞく (接合 せつごう )として機能 きのう しうる(場 ば としての)「家 いえ 」を創造 そうぞう する
H共同 きょうどう 体 たい の批判 ひはん 的 てき アイデア/つながり/インスピレーションを促 うなが すためにアートを取 と り戻 もど す
‐ 社会 しゃかい 的 てき 過程 かてい [social process]としてのアート
――私 わたし たちの現実 げんじつ に気 き づき・接合 はぎあわ し・脱 だつ 構築 こうちく する
――革命 かくめい 的 てき ヴィジョンを生 う み出 だ す能力 のうりょく を育成 いくせい するために必要 ひつよう なもの
‐ 多 た 世代 せだい のアーティストのコレクティブを発展 はってん させる
I地球 ちきゅう 環境 かんきょう ならびに他 た の生物 せいぶつ との関係 かんけい を脱 だつ 植民 しょくみん 地 ち 化 か する
‐ 地域 ちいき の生態 せいたい 系 けい を破壊 はかい から守 まも る闘 たたか いの意義 いぎ
‐ 地球 ちきゅう 環境 かんきょう ・他 た の生物 せいぶつ との互恵 ごけい 関係 かんけい を維持 いじ するための社会 しゃかい 構造 こうぞう を修復 しゅうふく し・守 まも る
第 だい 15回 かい :「Revolutionary Mothering(4)――過去 かこ ・現在 げんざい ・未来 みらい 」[2019/07/30]
【
導入 どうにゅう 】
◆Focus E15 Campaign, 2019, "Stranded in Southend: expectant mother told by Newham Council that she hasn’t been moved far enough away yet",
Focus E15 Campaign , July 26, 2019, (
https://focuse15.org/2019/07/26/stranded-in-southend-expectant-mother-told-by-newham-council-that-she-hasnt-been-moved-far-enough-away-yet/ ).
“We call on the Mayor and the Council to immediately move this mother and her children back to Newham. She is asking for her right to be housed in her community for the long term benefit of her children. A pregnant mother should not be left to give birth alone or be cast out. She needs to be back in her community so that she can get the support she needs at this vulnerable time in her life just before she goes into labour. The issues of class, race and gender are present in this case and Newham have left her in a very precarious situation far away from all those she knows and trusts.”
◇ロンドン
以外 いがい の
一時 いちじ 的 てき 宿泊 しゅくはく 施設 しせつ への
入居 にゅうきょ を
受 う け
入 い れなければ「
意図 いと 的 てき ホームレス」とされる
危機 きき にある
母子 ぼし
◇
子 こ どもたちの
長期 ちょうき 的 てき な
利益 りえき のために
自 みずか らのコミュニティのなかで
居住 きょじゅう する
権利 けんり
◆Carter, Leah, 2019, "Diving into sex work",
Bangkok Post , July 21, 2019, (
https://www.bangkokpost.com/thailand/special-reports/1716055/diving-into-sex-work ).
“According to Ms Hilton, 80% of sex workers are mothers. Working for 325 baht per day in Thailand just won't cut it if you have other people depending on you.|Many women, like Mai, are also supporting their parents and younger siblings, and sex work is one of the only types of work that allows unskilled labourers to make a high enough wage that allows them to save some money on the side. Mai also works at the Can Do Bar, the Empower Foundation's entirely sex worker run and operated bar.”
◇セックスワーカーの80%は
母親 ははおや :
養育 よういく 費用 ひよう を
捻出 ねんしゅつ する
必要 ひつよう 性 せい
◇セックスワーカーたち
自身 じしん が
助 たす け
合 あ うためのバーを
共同 きょうどう で
運営 うんえい
▼産婆 さんば /ヒーラー[☆←第 だい 14回 かい ]
◆Ehrenreich, Barbara & English, Deirdre, [1973] 2010/2011,
Witches, Midwives, & Nurses: A History of Women Healers [Second Edition] +
Complaints & Disorders: The Sexual Politics of Sickness [Second Edition] , The Feminist Press.=バーバラ・エーレンライク/ディアドリー・イングリッシュ 20150918
長瀬 ながせ 久子 ひさこ 訳 やく 『魔女 まじょ ・産婆 さんば ・看護 かんご 婦 ふ ――女性 じょせい 医療 いりょう 家 か の歴史 れきし [増補 ぞうほ 改訂 かいてい 版 ばん ]』 法政大学 ほうせいだいがく 出版 しゅっぱん 局 きょく
“豊 ゆた かな知恵 ちえ と経験 けいけん で身近 みぢか な人々 ひとびと を治療 ちりょう していた女 おんな たちを、資格 しかく や免許 めんきょ がないという理由 りゆう で迫害 はくがい し、排除 はいじょ し、閉 と じ込 こ めてきた歴史 れきし を明 あき らかにする。1970年代 ねんだい にアメリカでパンフレットとして出版 しゅっぱん され、フェミニズムの古典 こてん となった「魔女 まじょ ・産婆 さんば ・看護 かんご 婦 ふ 」と「女 おんな のやまい」を収 おさ めた初版 しょはん に、その後 ご の社会 しゃかい の変化 へんか を詳 くわ しく解説 かいせつ した序文 じょぶん を加 くわ え、訳文 やくぶん も全面 ぜんめん 的 てき に改 あらた めた。”
☆→
書籍 しょせき 情報 じょうほう ページ(作成 さくせい :村上 むらかみ 潔 きよし )
◇
内田 うちだ 麻理 まり 香 が 20151101 「[
書評 しょひょう ]『
魔女 まじょ ・
産婆 さんば ・
看護 かんご 婦 ふ ――
女性 じょせい 医療 いりょう 家 か の
歴史 れきし 』」『
毎日新聞 まいにちしんぶん 』
東京 とうきょう 朝刊 ちょうかん 11
頁 ぺーじ 《
今週 こんしゅう の
本棚 ほんだな 》
“前半 ぜんはん のヨーロッパの医療 いりょう 従事 じゅうじ 者 しゃ の魔女 まじょ 狩 か りと、後半 こうはん の米国 べいこく の女性 じょせい の「やまい」では、話題 わだい が急 きゅう 転換 てんかん するように思 おも えるだろう。しかし、当時 とうじ の権力 けんりょく と「医学 いがく 」らしきものが結託 けったく して、女性 じょせい を制限 せいげん していたことは共通 きょうつう している。”/“女性 じょせい を病 やまい にし、または病原菌 びょうげんきん にしたのは、当時 とうじ の権力 けんりょく と医学 いがく のイデオロギーであった。その軛 くびき (くびき)から自 みずか らを解放 かいほう したのは、女性 じょせい 自身 じしん だ。”
◆Federici, Silvia, 2004,
Caliban and the Witch: Women, the Body and Primitive , Autonomedia.=シルヴィア・フェデリーチ 20170201
小田原 おだわら 琳・
後藤 ごとう あゆみ
訳 やく 『キャリバンと魔女 まじょ ――資本 しほん 主義 しゅぎ に抗 こう する女性 じょせい の身体 しんたい 』 以文
社 しゃ
“16、17世紀 せいき の欧米 おうべい を席巻 せっけん した魔女 まじょ 狩 が りによって迫害 はくがい ・処刑 しょけい された女性 じょせい たちとその身体 しんたい こそ、〈資本 しほん 主義 しゅぎ 〉が恐 おそ れ、強制 きょうせい 的 てき に統治 とうち しなければならなかった存在 そんざい であり、シェイクスピアの戯曲 ぎきょく 『嵐 あらし (テンペスト)』に登場 とうじょう するキャリバンこそ、資本 しほん 主義 しゅぎ が生 う んだ植民 しょくみん 地 ち 支配 しはい への象徴 しょうちょう 的 てき な抵抗 ていこう 者 しゃ だった……。|「家事 かじ 労働 ろうどう に賃金 ちんぎん を!」のスローガンを掲 かか げ、フェミニズム運動 うんどう の中心 ちゅうしん 的 てき 活動 かつどう 家 か のひとりであるシルヴィア・フェデリーチは膨大 ぼうだい な歴史 れきし 資料 しりょう ・民族 みんぞく 誌 し の読解 どっかい を通 つう じて、マルクスの本源 ほんげん 的 てき 蓄積 ちくせき 、フーコーの身体 しんたい 論 ろん を批判 ひはん 的 てき に検討 けんとう 。彼 かれ らが描 えが ききれなかった魔女 まじょ 狩 か りから植民 しょくみん 地 ち 支配 しはい 、今日 きょう のグローバルな規模 きぼ で実施 じっし されるIMF・世界銀行 せかいぎんこう の構造 こうぞう 調整 ちょうせい プログラムによる搾取 さくしゅ を、資本 しほん 主義 しゅぎ による女性 じょせい への暴力 ぼうりょく と支配 しはい の歴史 れきし として、フェミニストの視点 してん から書 か き換 か える意欲 いよく 作 さく 。”
☆→
書籍 しょせき 情報 じょうほう ページ(作成 さくせい :村上 むらかみ 潔 きよし )
◇
渋谷 しぶや 望 のぞむ 20190531 「[
書評 しょひょう ]
資本 しほん 主義 しゅぎ のもう
一 ひと つの
顔 かお ――
統治 とうち 技術 ぎじゅつ としての
魔女 まじょ 狩 か り(『キャリバンと
魔女 まじょ 』シルヴィア・フェデリーチ
著 ちょ )」
『支援 しえん 』9 : 197-203
“資本 しほん 主義 しゅぎ とジェンダーの関係 かんけい について語 かた ることが難 むずか しい理由 りゆう の一 ひと つは、多 おお くのジェンダー平等 びょうどう についての議論 ぎろん が、資本 しほん 主義 しゅぎ をデフォルトとみなし、「オルタナティブはない」ことを前提 ぜんてい としているからではないか。本書 ほんしょ 『キャリバンと魔女 まじょ 』は、こうした前提 ぜんてい を解除 かいじょ し、資本 しほん 主義 しゅぎ を相対 そうたい 化 か し、同時 どうじ にオルタナティブなジェンダー秩序 ちつじょ についての思考 しこう を開 ひら く契機 けいき を与 あた えてくれる。”
◇「医療 いりょう 」からの女性 じょせい の排除 はいじょ
‐ 女性 じょせい による自律 じりつ 的 てき ケアの否定 ひてい
‐ 女性 じょせい 身体 しんたい の管理 かんり ・統制 とうせい ・搾取 さくしゅ の貫徹 かんてつ
‐ 「産 さん 」のコントロール・利用 りよう ・動員 どういん
◇国民 こくみん 国家 こっか ・資本 しほん (近代 きんだい 産業 さんぎょう )・家父長制 かふちょうせい (性 せい 分業 ぶんぎょう )
◇(ケア主体 しゅたい への)魔女 まじょ 狩 か り/(ケア対象 たいしょう への)病理 びょうり 化 か
‐ 迫害 はくがい ・差別 さべつ の対象 たいしょう に:生身 なまみ の生 せい を与 あた える・育 はぐく む・癒 い やす存在 そんざい ゆえ
‐ メンタルの処置 しょち :怖 こわ れ・パニックを取 と り除 のぞ く
‐ トータルなケア/癒 い やし
◇植民 しょくみん 地 ち 主義 しゅぎ :「開発 かいはつ 」――産業 さんぎょう としてだけでなく現地 げんち の女性 じょせい の身体 しんたい も
◇コミュニティ・信仰 しんこう (文化 ぶんか )・自然 しぜん 環境 かんきょう の破壊 はかい
◇展望 てんぼう :排除 はいじょ への抵抗 ていこう だけでなくあった/ありえた/ありえる別様 べつよう のケアのシステムを追求 ついきゅう
◇cf.
‐ 母 はは たちのコミュニティの内部 ないぶ で口 くち [クチ]コミで伝 つた えられるお産 さん 婆 ばあ さん情報 じょうほう :女性 じょせい だけが近代 きんだい 医療 いりょう 制度 せいど の裏側 うらがわ で培養 ばいよう する地下茎 ちかけい 的 てき な身体 しんたい 「知 ち 」
‐ アヴァン・ガーデニング[Avant Gardening]:治癒 ちゆ ・ケアのための素材 そざい をコミュニティで(既存 きそん の共有 きょうゆう 地 ち を活用 かつよう して)育 そだ てる→無償 むしょう のケアの提供 ていきょう
▼抵抗 ていこう としてのマザリングの基軸 きじく
◇身体 しんたい のリアリティそのもの
‐ 性 せい 暴力 ぼうりょく ・性的 せいてき 抑圧 よくあつ
‐ メンタルヘルスの問題 もんだい
‐ 労働 ろうどう の現場 げんば /育児 いくじ の場 ば
◇クリエティヴィティ――非 ひ 「経済 けいざい 的 てき 」運動 うんどう /文化 ぶんか として
‐ オルタナティヴな創作 そうさく のコレクティヴ:(児童 じどう )文学 ぶんがく /手芸 しゅげい =クラフティヴィズム[Craftivism]
‐ 互酬性 せい /エンパワーメント
‐ 国家 こっか の枠組 わくぐ みと資本 しほん 主義 しゅぎ 経済 けいざい の支配 しはい を相対 そうたい 化 か する
‐ 人種 じんしゅ ・民族 みんぞく の本質 ほんしつ 主義 しゅぎ を(差異 さい は担保 たんぽ しつつ)解体 かいたい する
‐ ジェンダー/セクシュアリティ(規範 きはん )をクィア[Queer]化 か する
◇過去 かこ の母 はは たちの運動 うんどう を伝 つた える/現在 げんざい の母 はは たちの運動 うんどう を架橋 かきょう する
‐ (国家 こっか ・資本 しほん ・家父長制 かふちょうせい の)支配 しはい の道具 どうぐ としての「母性 ぼせい 」を解体 かいたい する
‐ ヴァルネラブル[Vulnerable]な存在 そんざい の結節 けっせつ 点 てん /拠 よ りどころとしてのオルタナティヴな「母性 ぼせい 」を(自力 じりき で/共同 きょうどう で)立 た ち上 あ げ・構築 こうちく する
‐ オルタナティヴな「母性 ぼせい 」秩序 ちつじょ の適用 てきよう 範囲 はんい を拡張 かくちょう しまだ見 み ぬ「母 はは 」たちと連携 れんけい していく
■参考 さんこう
シラバス
→ http://www.usp.ac.jp/edu/syllabus/
取 と り上 あ げられなかった文献 ぶんけん @(シラバス掲載 けいさい )
◇Westervelt, Amy, 2018, "Is Motherhood the Unfinished Work of Feminism?" , The Guardian , May 26, 2018.
◇Doyle, Sady, 2019, "How Capitalism Turned Women Into Witches" , In These Times , January 31, 2019.
◇Shure, Natalie, 2018, "Second-Wave Feminism's Unfinished Business" , Jacobin , December 20, 2018.
◇Swinth, Kirsten, 2018, Feminism's Forgotten Fight: The Unfinished Struggle for Work and Family , Cambridge, MA: Harvard University Press.
◇Thompson, Mary, 2016, "Third Wave Feminism and the Politics of Motherhood" , Genders: University of Colorado Boulder , 1(2), Fall 2016.
“At the time when I wrote “Third Wave Feminism and the Politics of Motherhood,” I lacked a critical frame for understanding neoliberalism. Instead, my concerns over the ideological reshaping of twenty-first century reproductive lives gravitated towards my dissatisfaction with so-called third wave feminism and its practitioners’ uncritical celebration of “choice.””
◇Leite, Marianna, 2013, "(M)Othering: Feminist Motherhood, Neoliberal Discourses and the Other'" , Studies in the Maternal , 5(2): 1-23.
◇Leesin, Eakachai, 2018, "Neoliberalism Has Led to a Crisis in Care: and We Urgently Need to Solve It" , The Conversation , December 11, 2018.
◇Brenner, Johanna, 2017, "Democratizing Care" , Verso Blog , December 15, 2017.
取 と り上 あ げられなかった文献 ぶんけん A(その他 た )
◇Boland, Stephanie, 2018, "The Millennial Motherhood Trap: Why Are So Many Young, Successful Women Conflicted about Having Children?" , Prospect Magazine , June 2018 Issue.
▽シェイラ・ヘティ[Sheila Heti]/ジャクリーン・ローズ[Jacqueline Rose]
‐ 母性 ぼせい =経験 けいけん であると同時 どうじ に存在 そんざい 状態 じょうたい
‐ 「母 はは 」=人 ひと の階級 かいきゅう [Class]:そのステイタスは羨望 せんぼう ・憧 あこが れ・恐 おそ れ・嫌悪 けんお を生 しょう じさせる
‐ 母 はは :秘密 ひみつ の知識 ちしき もしくは不可解 ふかかい な動機 どうき をもつ者 もの
‐ 社会 しゃかい は母 はは たちの欲望 よくぼう と、彼女 かのじょ たちが(子育 こそだ ての)目的 もくてき に疑念 ぎねん をもつことを恐 おそ れる。
‐ 母 はは たちに対 たい する理想 りそう 化 か と関連 かんれん する疑念 ぎねん は――たとえ当事 とうじ 者 しゃ が子 こ どもらしい人 ひと であっても――逃 のが れがたい
‐ 生殖 せいしょく 能力 のうりょく が高 たか い者 もの という視線 しせん =秘密 ひみつ の知識 ちしき をもつ者 もの という怖 こわ れ
‐ 母 はは になったことで霊 れい 能 のう 者 しゃ のように扱 あつか われる
▽ヘティ
‐ 母性 ぼせい を障害 しょうがい /無力 むりょく な状態 じょうたい としてみなす評価 ひょうか :男性 だんせい の管理 かんり 下 か に置 お かれているゆえ
‐ 「女性 じょせい は子 こ どもをもたなければならない。なぜなら女性 じょせい は支配 しはい されねばならないから。」
‐ 中絶 ちゅうぜつ を禁止 きんし しようするすべての人々 ひとびと について言 い えることはひとつ:彼 かれ らは女性 じょせい に他 た のどんなよりも育児 いくじ の仕事 しごと をさせたい
‐ 母 はは の時間 じかん は育児 いくじ に吸収 きゅうしゅう される――彼女 かのじょ は母 はは 「にしか」なれないという程度 ていど まで
‐ 母性 ぼせい (・母 はは 役割 やくわり )に飲 の み込 こ まれた母 はは :晩年 ばんねん に家 いえ でひとりの時間 じかん を過 す ごすことでやっと解放 かいほう される
◇Rose, Jacqueline, 2018, Mothers: An Essay on Love and Cruelty , London: Faber & Faber.
◇Bhattacharya, Tithi ed., 2017, Social Reproduction Theory: Remapping Class, Recentering Oppression , London: Pluto Press.
◇Donath, Orna, 2017, "Women Who Regret Motherhood Share Their Stories" , BUST , October/November 2017.
◇"Mothers and Mothering in Today’s World" , Journal of the Motherhood Initiative for Research and Community Involvement 8(1,2) [Spring/Fall 2017], The Motherhood Initiative for Research and Community Involvement (MIRCI).
◇Brouillette, Sarah, 2017, "Couple Up: Review of 'Family Values: Between Neoliberalism and the New Social Conservatism'" , boundary 2 , June 2, 2017.
◇Brown, Adrienne Maree, 2017, "Love as Political Resistance: Lessons from Audre Lorde and Octavia Butler" , Bitch Media , February 14, 2017.
◇Brenner, Johanna, 2016, "Beyond Essentialism: Feminist Theory and Strategy in the Peace Movement" , Verso Blog , December 8, 2016.
◇Shin, Sarah, 2015, "Feminism and the Politics of Pleasure: Lynne Segal on Straight Sex, Second Time Around" , Verso Blog , February 18, 2015.
◇三浦 みうら まり 20150323 「新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ 的 てき 母性 ぼせい ――「女性 じょせい の活躍 かつやく 」政策 せいさく の矛盾 むじゅん 」 『ジェンダー研究 けんきゅう :お茶 ちゃ の水女子大学 みずじょしだいがく ジェンダー研究 けんきゅう センター年報 ねんぽう 』18: 53-68
新着 しんちゃく 文献 ぶんけん メモ
■ 重要 じゅうよう ■
◆Lewis, Sophie, 201905, Full Surrogacy Now: Feminism Against Family [いまこそ完全 かんぜん なる代理 だいり 出産 しゅっさん を――家族 かぞく に抗 こう するフェミニズム], London: Verso.
☆→書籍 しょせき 情報 じょうほう ページ(作成 さくせい :村上 むらかみ 潔 きよし )
◆Brown, Jenny, 20190301, Birth Strike: The Hidden Fight over Women's Work [バース・ストライキ――女 おんな の働 はたら きをめぐる隠 かく れた争 あらそ い], Oakland, CA: PM Press.
☆→書籍 しょせき 情報 じょうほう ページ(作成 さくせい :村上 むらかみ 潔 きよし )
◇Featherstone, Liza, 2019, "Not In Labor: An interview with Jenny Brown" , Jacobin , April 23, 2019.
◇Sutherland, Matt, 2019, "Reviewer Matt Sutherland Talks Women's Work with Jenny Brown, Author of Birth Strike", Foreword Reviews , June 21, 2019, (https://www.forewordreviews.com/articles/article/reviewer-matt-sutherland-talks-womens-work-with-jenny-brown-author-of-birth-strike/ ).
“This week’s interview is with Jenny Brown, the author of Birth Strike: The Hidden Fight over Women’s Work, one of the most thought provoking titles we’ve seen in years. In a nutshell, Jenny believes women have finally had enough: They’re refusing to have more babies until this country’s leadership recognizes the work they do is vitally important and worthy of government support.”
◆20190424 『思想 しそう 』1141(2019-05) ,岩波書店 いわなみしょてん ,160p.
《特集 とくしゅう =生殖 せいしょく /子 こ ども》
◆Knott, Sarah, 20190307, Mother: An Unconventional History , Penguin.
◆Knott, Sarah, 20190402, Mother Is a Verb: An Unconventional History , Sarah Crichton Books.
◇Feder, Rachel, 2019, "A Piece of the Action: Rachel Feder interviews Sarah Knott", Los Angeles Review of Books , July 26, 2019, (https://lareviewofbooks.org/article/a-piece-of-the-action ).
■ その他 た ■
◆白井 しらい 千晶 ちあき (写真 しゃしん :江 こう 連 れん 麻紀 まき ) 20190307 『フォスター――里親 さとおや 家庭 かてい ・養子 ようし 縁組 えんぐみ 家庭 かてい ・ファミリーホームと社会 しゃかい 的 てき 養育 よういく 』 ,生活 せいかつ 書院 しょいん ,208p. ISBN-10: 4865000925 ISBN-13: 978-4865000924 2200+ [amazon] /[kinokuniya]
◇Manguso, Sarah, 2019, "Writing Postpartum: A Conversation between Kate Zambreno and Sarah Manguso" , The Paris Review , April 24, 2019.
◇Brown, Adrienne Maree, 2019, "Relinquishing the Patriarchy", adrienne maree brown , May 28, 2019, (http://adriennemareebrown.net/2019/05/28/relinquishing-the-patriarchy/ ).
“patriarchy (the system of society/government in which men hold the power and women are excluded from it) is collapsing, and it's time for you, too, to give it up, to get yourself out.”
◇Unsworth, Emma Jane, 2019, "'I lie to my health visitor. I lie to myself': the truth about postnatal depression", The Guardian , June 8, 2019, (https://www.theguardian.com/society/2019/jun/08/lie-health-visitor-lie-friends-truth-postnatal-depression ).
“It took months for me to accept a diagnosis for the pain and outrage I felt. Could I find my way through?”
◇Roberts, Roshan, 2019, "This is what it's like being a young black carer in the UK", gal-dem , June 14, 2019, (http://gal-dem.com/this-is-what-its-like-being-a-young-black-carer-in-the-uk/ ).
関連 かんれん する情報 じょうほう
◆arsvi.com:立命館大学 りつめいかんだいがく 生存 せいぞん 学 がく 研究 けんきゅう センター
◇家族 かぞく family
◇産 さん ・生 せい
◇性 せい (gender/sex)
◇子 こ /育児 いくじ
◇保育 ほいく /保育 ほいく 所 しょ
◇ケア
◇母性 ぼせい (関連 かんれん 文献 ぶんけん )
◇女性 じょせい の労働 ろうどう ・家事 かじ 労働 ろうどう ・性別 せいべつ 分業 ぶんぎょう
◇フェミニズム (feminism)/家族 かぞく /性 せい …
◇『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』(『ち・お』/Chio)
◆立岩 たていわ 真 しん 也・村上 むらかみ 潔 きよし 20111205 『家族 かぞく 性 せい 分業 ぶんぎょう 論 ろん 前哨 ぜんしょう 』 ,生活 せいかつ 書院 しょいん ,360p. ISBN-10: 4903690865 ISBN-13: 978-4903690865 2200+ [amazon] /[kinokuniya]
◆村上 むらかみ 潔 きよし 20120331 『主婦 しゅふ と労働 ろうどう のもつれ――その争点 そうてん と運動 うんどう 』 ,洛 らく 北 きた 出版 しゅっぱん ,334p. ISBN-10: 490312715X ISBN-13: 978-4903127156 3200+ [amazon] /[kinokuniya]
◇村上 むらかみ 潔 きよし 20100320 「「主婦 しゅふ 性 せい 」は切 き り捨 す てられない――女性 じょせい の労働 ろうどう と生活 せいかつ の桎梏 しっこく にあえて向 む き合 あ う」(特集 とくしゅう 1:労働 ろうどう 、その思想 しそう 地図 ちず と行動 こうどう 地図 ちず ),立命館大学 りつめいかんだいがく 生存 せいぞん 学 がく 研究 けんきゅう センター編 へん [2010:83-95]*
*立命館大学 りつめいかんだいがく 生存 せいぞん 学 がく 研究 けんきゅう センター編 へん 20100320 『生存 せいぞん 学 がく Vol.2』 ,生活 せいかつ 書院 しょいん ,416p. ISBN-10: 4903690512 ISBN-13: 978-4903690513 2200+ [amazon] /[kinokuniya]
◇村上 むらかみ 潔 きよし 20130225 「主婦 しゅふ は防衛 ぼうえい する――暮 く らし・子 こ ども・自然 しぜん 」,現代 げんだい 理論 りろん 研究 けんきゅう 会 かい 編 へん [2013:150-175]*
*現代 げんだい 理論 りろん 研究 けんきゅう 会 かい 編 へん 20130225 『被曝 ひばく 社会 しゃかい 年報 ねんぽう #01――2012-2013』 ,新 しん 評論 ひょうろん ,230p. ISBN-10: 4794809344 ISBN-13: 978-4794809346 2000+ [amazon] /[kinokuniya]
◇村上 むらかみ 潔 きよし 20130315 「女 おんな の領地 りょうち 戦 せん ――始原 しげん の資源 しげん を取 と り戻 もど す」(特集 とくしゅう 2:都市 とし ),立命館大学 りつめいかんだいがく 生存 せいぞん 学 がく 研究 けんきゅう センター編 へん [2013:379-393]*
*立命館大学 りつめいかんだいがく 生存 せいぞん 学 がく 研究 けんきゅう センター編 へん 20130315 『生存 せいぞん 学 がく Vol.6』 ,生活 せいかつ 書院 しょいん ,397p. ISBN-10: 4865000100 ISBN-13: 978-4865000108 2200+ [amazon] /[kinokuniya]
◆立命館大学 りつめいかんだいがく 産業 さんぎょう 社会学部 しゃかいがくぶ 2018年度 ねんど 秋 あき 学期 がっき 科目 かもく 《比較 ひかく 家族 かぞく 論 ろん (S)》
「現代 げんだい 日本 にっぽん におけるオルタナティヴな「子 こ 産 う み・子育 こそだ て」の思想 しそう と実践 じっせん ――「母 はは 」なるものをめぐって」 (
担当 たんとう :
村上 むらかみ 潔 きよし )
["Alternative Thoughts and Practices on Childbearing and Parenting in Contemporary Japan: Especially Concerning Something 'Mother'" as a Class of "Comparative Analysis of the Family (S)" (The Second Semester of the 2018 Academic Year) at College of Social Sciences, Ritsumeikan University.]
◇村上 むらかみ 潔 きよし 20190425 「アナーカ・フェミニズム」 ,『現代 げんだい 思想 しそう 』47(6): 170-173
*2019年 ねん 5月 がつ 臨時 りんじ 増刊 ぞうかん 号 ごう 《総 そう 特集 とくしゅう =現代 げんだい 思想 しそう 43のキーワード》
◇佐藤 さとう 由美子 ゆみこ ×村上 むらかみ 潔 きよし (司会 しかい :堅田 かただ 香緒里 かおり ) 20190531 「[トークセッション]オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化 ぶんか ・アクティヴィズムの観点 かんてん から」 ,『支援 しえん 』9: 151-181
◆立命館大学 りつめいかんだいがく 産業 さんぎょう 社会学部 しゃかいがくぶ 2019年度 ねんど 秋 あき 学期 がっき 科目 かもく 《比較 ひかく 家族 かぞく 論 ろん (S)》
「マザリング[Mothering]の現在 げんざい ――をめぐる議論 ぎろん と実践 じっせん の動向 どうこう 」 (
担当 たんとう :
村上 むらかみ 潔 きよし )
["The Present of 'Mothering': The Trend of Arguments and Practices about It" as a Class of "Comparative Analysis of the Family (S)" (The Second Semester of the 2019 Academic Year) at College of Social Sciences, Ritsumeikan University.]
*作成 さくせい :村上 むらかみ 潔 きよし (MURAKAMI Kiyoshi )
UP: 20190408 REV: 20190410, 11, 15, 17, 22, 23, 24, 25, 0507, 08, 23, 25, 0603, 04, 05, 06, 07, 12, 18, 19, 20, 24, 26, 0704, 0710, 17, 22, 24, 25, 26, 29, 30, 31, 0805, 1105, 1231
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事項 じこう