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井伊政幸

井伊いい政幸まさゆき

いい・まさゆき

last: update: 20180614

　「伊井いい氏しの闘病とうびょう生活せいかつは、昭和しょうわ44年ねん５月がつから昭和しょうわ51年ねん３月がつまで、６年ねん10か月げつであった。」（第だい１章しょう「事例じれい紹介しょうかい」、p.2）
　　発病はつびょう６年ねんで人工じんこう呼吸こきゅう器きを使用しよう（p.4）。
　第だい１章しょう３「妻つまからのき取きとり」（pp.6-81）。伊井いいなか子こ
　「ラジオで「東筋ひがしすじ協きょう」の検診けんしんについて聞きいたとき、電話でんわ番号ばんごうを書かきとっておけと言いわれて、あとで電話でんわして申もうし込こみました。片道かたみち２時じ間あいだほどかかる場所ばしょでしたけど、参まいりました。そのとき筋すじ電でん図ずをとりました。診断しんだんは”ＡＬＳ”と書かいてあったので、どういう意味いみか調しらべてほしいと、佐藤さとう先生せんせいに頼たのんでいました。」（p.8）

◆川村かわむら佐和子さわこ・木下きのした安子やすこ・別府べっぷ宏ひろし圀・宇尾野うおの公義きみよし　19780501　『難病なんびょう患者かんじゃの在宅ざいたくケア』，医学書院いがくしょいん，176p.　ASIN: B000J8OLMQ　［amazon］／［kinokuniya］　※ n02. als.

　「第だい１章しょう　事例じれい紹介しょうかい
　１．井伊いい氏し夫妻ふさいの紹介しょうかい
　井伊いい政幸まさゆき氏しは、身長しんちょう約やく170cm、骨太ほねぶとのがっしりした体格たいかくの方ほうでした。体力たいりょくと知力ちりょくに自信じしんのある彼かれは、横浜国立大学よこはまこくりつだいがくを卒業そつぎょう後ご、いくつかの仕事しごとを経験けいけんし、サイドビジネスとして経営けいえいコソサルタントも手てがけていました。
　通勤つうきんの車中しゃちゅうで知しり合あい、愛あいし合あって結婚けっこんしたなか子ご夫人ふじんは、小柄こがらで色白いろじろの美人びじんです。長女ちょうじょやっちゃんが生うまれて１か月げつ後ご、喜よろこびも束つかの間ま、政幸まさゆき氏しは発病はつびょうしたのです。政幸まさゆき氏しは40歳さいでした。
　それから6年ねん10か月げつ、井伊いい氏し夫妻ふさいの病気びょうきとの闘たたかいが続つづきました_それはたいへん辛つらい日々ひびだったのです。自宅じたくにいる病人びょうにんに対たいする医療いりょうや看護かんごや生活せいかつ援助えんじょが不足ふそくしているために、多おおくのこどう二に人にんできりひらいていかなければなりませんでした。病気びょうきが日々ひび進行しんこうしていく苦くるしさの中なかで、家庭かていでは処置しょちできないと一般いっぱんに考かんがえられている処置しょちを完全かんぜんに行おこない、レスピレーターを取とり寄よせ、生命せいめいは守まもられていたのでした。二人ふたりの懸命けんめいな努力どりょくは周囲しゅういの人々ひとびとをとり込こみ、ホームドクターの佐藤さとう先生せんせいは、言葉ことばに尽つくせないほど尽つくしてくださいました。政幸まさゆき氏しはやっちゃんに「佐藤さとう先生せんせいの恩おんは山やまよりも高たかく、海うみよりも深ふかい」と教おしえていました。どんなに心強こころづよかったことでしょう。
　多おおくの人々ひとびとの直接ちょくせつ・間接かんせつの支援しえんを得えて、３年間ねんかんの生命せいめいと推察すいさつされていた政幸まさゆき氏しは、６年ねん10か月げつまで延命えんめいし、最後さいごまで家族かぞくとともに、社会しゃかいの人々ひとびと△001 の中なかに生いき生いきと生活せいかつしていました。
　筆者ひっしゃらは、これまで50人にんを越こえるこの病気びょうきの方々かたがたに接せっしてきましたか、井伊いい氏しのように勇敢ゆうかんに闘たたかった方ほうを知しりません。今回こんかい、なか子ご夫人ふじんから、闘病とうびょうの日々ひびについて話はなしを伺うかがう機会きかいを得えましたので、これを紹介しょうかいし、あわせて他たの方々かたがたの忍耐にんたい強つよい闘病とうびょう生活せいかつを紹介しょうかいし、この病気びょうきに対たいする技術ぎじゅつをまとめるとことにいたしました。
　2.闘病とうびょう生活せいかつの経過けいか
　井伊いい氏しの闘病とうびょう生活せいかつは、昭和しょうわ44年ねん５月がつから昭和しょうわ51年ねん３月がつまで、６年ねん10か月げつであった。
　なか子ご夫人ふじんの話はなしをより理解りかいしやすくすために、まず全ぜん期間きかんを６期きに区分くぶんし、その概略がいりゃくを示しめすことにする。」（［1-2］）

◆立岩たていわ真しん也　20041115　『ＡＬＳ――不動ふどうの身体しんたいと息いきする機械きかい』，医学書院いがくしょいん，449p.　ISBN：4260333771　2940　［amazon］／［kinokuniya］　※

　「【293】　一いち九きゅう七なな五ご年ねん、東京とうきょう都との伊井いい（引用いんよう中ちゅうではI氏し。ALS、四よん〇歳さいで罹患りかん、四よん八はち歳さいで逝去せいきょ）は自宅じたくに戻もどる。《I氏しはその時とき、ねたきりで経けい管かん栄養えいよう法ほうにより食事しょくじをとり、気管きかん切開せっかいにより呼吸こきゅうの安楽あんらくをはかっていた。約やく一いちカ月かげつ後ご、I氏しの呼吸こきゅう力りょくは著いちじるしく衰おとろえ、自発じはつ的てきな呼吸こきゅう力りょくでは生命せいめいを維持いじしえなくなった。I氏しは人工じんこう呼吸こきゅう器きを購入こうにゅうし、その後ご、一いち〇月がつ間あいだ、自宅じたくで生活せいかつした。》（川村かわむら［1979:92］。伊井いいの生活せいかつについて川村かわむら・木下きのした・別府べっぷ・宇尾野うおの［1978］、川村かわむら［1979:84-94,106-112,237-250］。伊井いいが入院にゅういんしたのは東京とうきょう都立府中病院とりつふちゅうびょういん、在宅ざいたく生活せいかつに関かかわったのは同どう病院びょういんの在宅ざいたく診療しんりょう班はん。同どう病院びょういんの医療いりょう相談そうだん室しつの歩あゆみをまとめたものに川村かわむら［1975］、川村かわむら［1979:151ff.］。この時期じきを振ふり返かえった文章ぶんしょうに木下きのした［1996-(25)(26)］）」

　「【434】　伊井いい［293］、七なな五ご年ねん。《足あし指ゆびのところに置おかれた押おし板いたでブザーを鳴ならし、目めの正面しょうめんの壁かべに貼はられたアイウエオの文字もじ表ひょうを使つかって、まばたきの回数かいすうから、奥おくさんが一いち字じ一いち字じ探さがし出だしあてて伊井いいさんのことばを作つくり出だしていく。》（木下きのした［1996-(10):37］に川村かわむら他た［1978:167-169］からの引用いんようとして）」

　※この箇所かしょが書かかれた時点じてんで立岩たていわは川村かわむら・木下きのした・別府べっぷ・宇尾野うおの［1978］をたぶん入手にゅうしゅできていない。

UP: 20180614　REV:20180626

◇「難病なんびょう」　 ◇ＡＬＳ　 ◇病者びょうしゃ障害しょうがい者しゃ運動うんどう史し研究けんきゅう　 ◇WHO　

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