ファスナー世界せかい最大手さいおおてYKK、30年ねん前まえからコーヒー事業じぎょうの謎なぞ…突然とつぜん墨田すみだ区くに出店しゅってんで話題わだい騒然そうぜん！

東京とうきょう・墨田すみだ区くのカフェ・ボンフィーノ本店ほんてん

　今年ことし1月がつ、YKKのグループ会社かいしゃであるカフェ・ボンフィーノが、東京とうきょう・墨田すみだ区くにカフェ店舗てんぽをオープンさせたことが話題わだいになった。YKKといえば、スライドファスナーの生産せいさんで世界せかいシェア約やく45％を誇ほこる有名ゆうめい企業きぎょうだ。

　そのYKKが、なぜ今こんカフェをオープンさせたのか。サードウェーブコーヒーがブームだからだろうか。いろいろな疑問ぎもんを抱かかえつつ、実際じっさいに店舗てんぽに行いってみた。

　JR両国りょうごく駅えきが最寄もよりのカフェ・ボンフィーノ本店ほんてんは、いわゆるテナントではなく、YKKグループのビル敷地しきち内ないに建たてられた独立どくりつ型がたの平屋ひらや建だてカフェだ。外観がいかん、内装ないそうともにオフホワイトやベージュが基調きちょうとなっており、落おち着ついた佇たたずまいである。

店舗てんぽ外観がいかん

天井てんじょうが高たかく席せき数すうの少すくない店内てんない

　店内てんないに入はいった際さいの第だい一いち印象いんしょうは、「なんか広ひろい！」。天井てんじょうが高たかいこともあるが、それ以上いじょうに椅子いすの数かずが少すくなく、わずか10席せきほどしかない。思おもわず、「これで経営けいえいが成なり立たつのか？　もしかして、客きゃく単価たんかがすごく高たかいのでは？」と心配しんぱいになったが、「ハンドドリップコーヒー」は1杯はい400円えん。上質じょうしつなコーヒーでこの値段ねだんは、むしろ良心りょうしん的てきなほうだろう。

コーヒーとケーキのセット

　肝心かんじんの味あじは、うまく言いえないが、丁寧ていねいな味あじわいを感かんじた。コーヒーカップとソーサーは使つかい捨すてではなく白しろい陶器とうき製せいで、店員てんいんの接客せっきゃくもガツガツしていなくて居心地いごこちがいい。悪わるくはない。悪わるくはないが、なんとなくあっさりとした、この違和感いわかんはなんだろう……と思おもって振ふり返かえると、こんなボードが立たっていた。

店内てんないのレイアウトが変更へんこうできる旨むねが書かかれたボード

ボードは店みせの内側うちがわを向むいて置おいてあった

　後のちに調しらべると、ボンフィーノ本店ほんてんの機能きのうは、

（1）「カフェ・ボンフィーノ」を紹介しょうかいする施設しせつ
（2）カフェ提供ていきょう
（3）メニュー開発かいはつのためのスペース
（4）焙あぶ煎せんじ業務ぎょうむの基地きち
（5）フランチャイズ加盟かめい店てん開拓かいたくの拠点きょてん

　となっていた。ボンフィーノ本店ほんてんは、不動産ふどうさん会社かいしゃのモデルハウスならぬ、営業えいぎょうもしている“モデルカフェ”というわけだ。店内てんないのレイアウトに余裕よゆうがあるのも、商しょう売うっ気きが少すくなく感かんじるのも、そこが提案ていあんや開発かいはつの拠点きょてんでもあるからだ。

ブラジルの自家じか農園のうえんからコーヒー豆まめを直輸入ちょくゆにゅうするYKK

　YKKは1972年ねんにファスナー事業じぎょうでブラジルに進出しんしゅつ、85年ねんにはグループ会社かいしゃのYKK農のう牧まき社しゃがコーヒー事業じぎょうをスタートし、現在げんざいもブラジルに自家じか農園のうえんを持もっている。

　その自家じか農園のうえんでつくられる高こう品質ひんしつなコーヒー豆まめを直輸入ちょくゆにゅうし、自家じか焙あぶ煎せんじしたコーヒーを短時間たんじかんで供給きょうきゅうする基地きちおよび他た店舗てんぽ展開てんかいへの中核ちゅうかく拠点きょてん。それが、ボンフィーノ本店ほんてんなのだ。決けっして、サードウェーブコーヒーブームに乗のっかってカフェを始はじめたわけではないようだ。