サントリー、不振ふしんキリン買収ばいしゅう観測かんそく広ひろまる　三菱みつびし系けい出身しゅっしん・新しん浪なみ新しん社長しゃちょう就任しゅうにんの“意味いみ”

　サントリーホールディングス（HD）は昨年さくねん10月がつ1日にち、ローソンから招聘しょうへいした新しん浪なみ剛史たけし氏しが社長しゃちょうに就任しゅうにんし、創業そうぎょう家か以外いがいが初はじめて経営けいえいトップになる新しん体制たいせいが始動しどうした。サントリーHD会長かいちょうの佐治さじ信忠のぶただ氏しがグループ売上うりあげ高だか4兆ちょう円えんを達成たっせいするため、「プロ経営けいえい者しゃ」と評ひょうされる新しん浪なみ氏しを招まねいた。

　新しん浪なみ氏しは三菱商事みつびししょうじ時代じだいにM＆A（合併がっぺい・買収ばいしゅう）の衝撃しょうげきを経験けいけんしたことがある。1999年ねんの某ぼう日び、ダイエー創業そうぎょう者しゃの中内なかうち功いさお氏しから「ローソンを売うることになったけど、興味きょうみはないか」と直接ちょくせつ電話でんわを受うけた。当時とうじ、三菱商事みつびししょうじは新規しんきの大口おおぐち出資しゅっし先さきを探さがしていた。その候補こうほ先さきの1つがコンビニエンスストアだったこともあり、社内しゃないでは課長かちょう級きゅうを集あつめて「ローソン買収ばいしゅう」の勉強べんきょう会かいが開ひらかれ、当時とうじ流通りゅうつう担当たんとう課長かちょうの新しん浪なみ氏しが事務じむ局長きょくちょうを務つとめ、リーダーが当時とうじ副ふく社長しゃちょうで三菱商事みつびししょうじ現げん会長かいちょうの小島こじま順彦よしひこ氏しだった。

「小島こじまさんはわかっていない」

　勉強べんきょう会かいでは、小島こじま氏しに18歳さい年下とししたの新しん浪なみ氏しが激はげしい口調くちょうで詰つめ寄よる姿すがたが見みられた。紳士しんしの集団しゅうだんといわれている三菱みつびし商事しょうじでは、副ふく社長しゃちょうに面めんと向むかって声こえを荒あらげる部下ぶかはいなかった。小島こじま氏しとの出会であいが、新しん浪なみ氏しのサラリーマン人生じんせいを決定けっていづけることになった。

　2001年ねん2月がつ、三菱商事みつびししょうじは経営けいえいが悪化あっかしたダイエーに代かわってローソンの筆頭ひっとう株主かぶぬしになった。小島こじま氏しがそのローソン社長しゃちょうに白羽しらはの矢やを立たてたのが新しん浪なみ氏しだった。02年ねん5月がつ、新しん浪なみ氏しはローソン社長しゃちょうに就任しゅうにん。わずか43歳さいという若わかさでローソンの社長しゃちょうに大だい抜擢ばってきされた彼かれを、マスコミが放はなっておくはずがなかった。大だい企業きぎょうの安全あんぜん地帯ちたいからコンビニに飛とび込こんだ新しん浪なみ氏しの気概きがいを、経済けいざいジャーナリストは「コンビニ界かいの風雲児ふううんじ」と絶賛ぜっさんした。

●創業そうぎょう家か以外いがいから初はつのトップ誕生たんじょう

「サントリー社長しゃちょうの話はなしを受うけたいと思おもいます」

　14年ねん春はる、新しん浪なみ氏しは三菱商事みつびししょうじ会長かいちょうになっていた小島こじま氏しや相談役そうだんやくの佐々木ささき幹夫みきお氏しを訪たずね、自みずからの進退しんたいと後任こうにんについて相談そうだんした。経営けいえい者しゃとして最初さいしょのレールを敷しいてくれた佐々木ささき氏しと小島こじま氏しにまず相談そうだんした上うえで、佐治さじ氏しに初はじめて「イエス」を伝つたえたという。