ポイント戦争せんそうの行方ゆくえ〜楽天らくてん、Tポイントのノウハウと楽天らくてん商圏しょうけん強化きょうかで狙ねらうリアル販売はんばい進出しんしゅつ

『週刊しゅうかん東洋とうよう経済けいざい』東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ

　「週刊しゅうかん東洋とうよう経済けいざい」（東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ／9月7日にち号ごう）は「激突げきとつ　楽天らくてんvs. Tポイント　ポイント頂上ちょうじょう決戦けっせん、制せいするのはどっちだ」という特集とくしゅうを組くんでいる。

　「顧客こきゃく囲かこい込こみの手法しゅほうとして定着ていちゃくしたポイント。野村のむら総合そうごう研究所けんきゅうじょの推計すいけいでは、2011年度ねんどにポイントカードなどで付与ふよされたポイントを現金げんきん換算かんさんすると、最低さいていでも9772億おく円えん（航空こうくう会社かいしゃのマイレージ含ふくむ）。13年度ねんどは1兆ちょう円えんを超こえる見通みとおしだ」という。

　注目ちゅうもくは、この7月がつに実じつ稼働かどう会員かいいん数すう4600万まん人にんを誇ほこる共通きょうつうポイントの雄ゆう、カルチュア・コンビニエンス・クラブ（CCC）のTポイントカードにインターネット企業きぎょうのヤフーのヤフーポイントが統合とうごうされたことだ。ネットとリアル店舗てんぽの2強きょう連合れんごうなだけに、主導しゅどう権けんをめぐる危あやうさもある（出資しゅっし比率ひりつからいえば、経営けいえい主導しゅどう権けんはCCC側がわにある）が、業界ぎょうかいに与あたえる影響えいきょうは大おおきい（特集とくしゅう記事きじ「『リアルのT』と『ネットのY』がポイント統合とうごう　最強さいきょう連合れんごうの同床異夢どうしょういむ」）。

　これに挑戦ちょうせんするのが、ネット企業きぎょうの楽天らくてんだ。楽天らくてんは楽天らくてん市場いちば、楽天らくてん銀行ぎんこうを中心ちゅうしんに“楽天らくてん商圏しょうけん”というべき市場いちばで消費しょうひ者しゃを囲かこい込こもうとしている。14年ねん秋あきをめどに、推定すいていで700万まん枚まい以上いじょう発行はっこうされているクレジットカードの楽天らくてんカードを中心ちゅうしんにして、「楽天らくてんスーパーポイント」を共通きょうつうポイントへと移行いこう。つまりリアルの店舗てんぽへ「Rポイント」として大々的だいだいてきに進出しんしゅつするのだ。その目標もくひょうは2～3年ねんでTポイントを抜ぬくことだ。

Tポイントのノウハウを移植いしょく

　楽天らくてんにおいてポイント提携ていけい戦略せんりゃくを推進すいしんする中核ちゅうかくメンバーには、CCCで増田ますだ宗そう昭あきら社長しゃちょうの右腕うわんとして活躍かつやくした笠原かさはら和彦かずひこ前ぜん副ふく社長しゃちょうを招まねくなど「Tポイント」対策たいさくは万全ばんぜんだ。

　「笠原かさはら氏しは10年ねん9月がつにCCCを退社たいしゃ。アパレル大手おおて・ワールドの執行しっこう役員やくいんを務つとめつつ、楽天らくてんのリアル店舗てんぽ提携ていけい戦略せんりゃくの指揮しきを執とっている。笠原かさはら氏し以外いがいにも、CCC時代じだいにTポイントを育そだて上あげたメンバーが楽天らくてんのポイント戦略せんりゃく遂行すいこうを担になっている。つまり、先行せんこうしているTポイントのノウハウが、そのまま楽天らくてんへ移植いしょくされようとしているわけである」という。

　「ネット通販つうはん市場いちばは急きゅう拡大かくだいしているとはいえ、年間ねんかん9兆ちょう円えん程度ていど。それに対たいし、ネットを除のぞく小売こうり販売はんばい額がくは約やく130兆ちょう円えんにも及およぶ。この圧倒的あっとうてきな規模きぼを持もつリアル市場いちばにヤフー、そして楽天らくてんが飛とび込こもうとしている。その際さいの武器ぶきとなるのもポイント」というわけだ。

　楽天らくてんが意識いしきしているのは、打倒だとうAmazonだ。
　Amazonは2000年代ねんだいから本格ほんかく化かしたネットショッピング業界ぎょうかいにあって、大おおきく成長せいちょうしてきた。過去かこ記事きじの「週刊しゅうかんダイヤモンド」（12年ねん12月15日にち号ごう）の特集とくしゅう「楽天らくてんVS. アマゾン」によれば「サイトの月間げっかん利用りよう者しゃ数すうはAmazonが4483万まん人にんに対たいし、楽天らくてんは3860万まん人にんだ。両社りょうしゃを合あわせると、ネット通販つうはん利用りよう者しゃの5～6割わりにあたり、市場いちばを二分にぶんしている」。詳くわしくは「Amazonのゴリ押ごりおし大量たいりょう物流ぶつりゅうで、佐川さがわ・日本にっぽん郵政ゆうせいが限界げんかいに!?」（http://biz-journal.jp/2012/12/post_1153.html）に記述きじゅつがある。

　楽天らくてんの三さん木谷きたに浩史こうじ会長かいちょう兼けん社長しゃちょうは仮想かそう敵てきにAmazonを挙あげ、「Amazonと戦たたかう独自どくじプラットフォームを世界せかいに展開てんかいする」と4月がつ3日にちの外国がいこく特派とくは員いん協会きょうかいの会見かいけんでぶち上あげた。

　Amazonも「07年ねん2月がつに日本にっぽん限定げんていでポイントサービスを開始かいし。高率こうりつの還元かんげんを打うち出だしてバーゲンセールを行おこなうなど、楽天らくてんの得意とくいとする戦略せんりゃくを取とり入いれている」。

　それだけに、Amazonを引ひき離はなす次つぎの一手いってとして楽天らくてんにとって重要じゅうようなのが、リアル店舗てんぽとの連携れんけいというわけだ（特集とくしゅう記事きじ「打倒だとうTポイント＋ヤフー　そして打倒だとうアマゾン　楽天らくてんが描えがく一いち強きょう戦略せんりゃく」）。

　今年ことしのプロ野球やきゅうパリーグは、楽天らくてんが優勝ゆうしょうに向むけて好調こうちょうな戦たたかいぶりだ。Tポイントでライバルになるヤフーの親会社おやがいしゃ・ソフトバンクとも互角ごかくに戦たたかい、快かい進撃しんげきを続つづけている。野球やきゅうのように、ネットショッピング業界ぎょうかいでも快かい進撃しんげきを続つづけたいというところだろうか。
（文ぶん＝松井まつい克明かつあき／CFP）