千葉ちば県けん印西いんざい市し、住すみよさランク1位い＆人口じんこうじわり増加ぞうかのワケ…日本一にっぽんいち高たかい北きた総そう鉄道てつどうの受難じゅなん

　東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃが毎年まいとし公開こうかいしている「住じゅうみよさランキング」で7年ねん連続れんぞく総合そうごう評価ひょうか1位いを獲得かくとくしたのが、千葉ちば県けんの印西いんざい市しだ。印西いんざい市しの人口じんこうは年々ねんねん増加ぞうかしており、特とくに若わかい世代せだいからの人気にんきが集あつまっているという。その一方いっぽうで、印西いんざい市しという地域ちいきにピンとこない人ひともいるはず。果はたして、印西いんざい市しは本当ほんとうに住すみやすいのだろうか。

「住じゅうみよさランキング」とは、東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃが公的こうてき統計とうけいデータをもとにそれぞれの“都市とし力りょく”を「安心あんしん度ど」「利便りべん度ど」「快適かいてき度ど」「富裕ふゆう度ど」「住居じゅうきょ水準すいじゅん充実じゅうじつ度ど」という5つの視点してんで偏差へんさ値ちを算出さんしゅつしたもの。対象たいしょうは全国ぜんこく814都市としだ。このランキングで7年ねん連続れんぞく1位いを獲得かくとくしたのが、東京とうきょう都心としんから約やく45km離はなれた千葉ちば県けん北西ほくせい部ぶに位置いちする印西いんざい市しだ。

「個人こじん的てきな見解けんかいですが、多おおくの人ひとがイメージする一般いっぱん的てきな“住じゅうみよさ”と、東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃが発表はっぴょうしている『住じゅうみよさランキング』には、大おおきな乖離かいりがあるようです。実際じっさいに、印西いんざい市しに住すむ人ひとたちからも『住じゅうみよさ1位い』という評価ひょうかがしっくりきていない、という声こえもありますね」

　そう話はなすのは、全国ぜんこくの地方ちほう都市としを渡わたり歩あるく「まち探さがせ防ぼう家か」の鳴海なるみ行人こうじん氏し。鳴海なるみ氏しは「もちろん、住すみよさという感覚かんかくは人ひとそれぞれ違ちがいます」と前置まえおきした上うえで、こう続つづける。

「東京とうきょう近郊きんこうであれば、都心としんへのアクセスのしやすさを住すみよさの基準きじゅんにする人ひともいれば、駅前えきまえの飲食いんしょく店てんの多おおさを重視じゅうしする人ひともいます。一方いっぽう、この『住じゅうみよさランキング』は住民じゅうみんの声こえを反映はんえいした評価ひょうかではなく、全国ぜんこく都道府県とどうふけんのさまざまな統計とうけいデータから算出さんしゅつしたランキングなのです」（鳴海なるみ氏し）

　指標しひょうのひとつ「住居じゅうきょ水準すいじゅん充実じゅうじつ度ど」は、（1）住宅じゅうたく延のべ床ゆか面積めんせき（総務そうむ省しょう「住宅じゅうたく・土地とち統計とうけい調査ちょうさ」より）、（2）持もち家いえ世帯せたい比率ひりつ（総務そうむ省しょう「国勢調査こくせいちょうさ」より）から算出さんしゅつされる。つまり、広ひろい持もち家いえが多おおい地域ちいきほど「住居じゅうきょ水準すいじゅん充実じゅうじつ度ど」の偏差へんさ値ちは高たかくなるわけだ。

「また、『利便りべん度ど』の指標しひょうになっているのは、（1）人口じんこうあたりの大型おおがた小売こうり店てん店舗てんぽ面積めんせき、（2）人口じんこうあたりの小売こうり業ぎょう年間ねんかん商品しょうひん販売はんばい額がく、（3）可か住じゅう地ち面積めんせきあたりの飲食料品いんしょくりょうひん小売こうり事業じぎょう所しょ数すうの3つです。『利便りべん度ど』という言葉ことばの響ひびきから“都心としん・市街地しがいちへのアクセスのよさ”をイメージする人ひとが多おおいかもしれませんが、住すみよさランキングで指標しひょうになるのは“買かい物ものの利便りべん度ど”と考かんがえられます」（同どう）

　各かく住宅じゅうたくの敷地しきちの広ひろさや、イオンモールなどの大型おおがた商業しょうぎょう施設しせつの多おおさなどが偏差へんさ値ちにかかわるため、印西いんざい市しに限かぎらず、都心としんよりも郊外こうがいが上位じょういになりやすいランキングだという。

「『住じゅうみよさランキング』を参考さんこうに新居しんきょを探さがすときは、ランキングだけを見みるのではなく、しっかりとデータを読よみ解とく必要ひつようがありそうですね」（同どう）

日本一にっぽんいち高額こうがくな電車でんしゃ賃ちんが人口じんこう増加ぞうかの足あしかせに

「住じゅうみよさランキング」は、あくまで“データ”から算出さんしゅつされた順位じゅんいだった。それを踏ふまえて、印西いんざい市しの特徴とくちょうについて鳴海なるみ氏しに聞きいた。

「印西いんざい市しは、その面積めんせきの大半たいはんが『千葉ちばニュータウン』に分類ぶんるいされています。千葉ちばニュータウンは1960年代ねんだい後半こうはんに開発かいはつが始はじまり、当初とうしょの計画けいかく人口じんこうは34万まん人にんを想定そうていしていました。しかし、思おもうように住民じゅうみんが増ふえず、14万まん人にんまで下方かほう修正しゅうせいして、開発かいはつ事業じぎょうは2014年ねんに終了しゅうりょうしています。計画けいかく人口じんこうを大幅おおはばに下方かほう修正しゅうせいしたという意味いみでは、開発かいはつに失敗しっぱいした街まちととらえることもできます」（同どう）