増加ぞうかする熟年じゅくねん離婚りこん、絶対ぜったい知しっておくべき3つのメリットとデメリット

「Thinkstock」より

「熟年じゅくねん離婚りこん」という言葉ことばが本格ほんかく的てきに広ひろまったのは、今いまから10年ねん以上いじょう前まえ、熟年じゅくねん離婚りこんを扱あつかったテレビドラマが放映ほうえいされた頃ころからだろうか。

　もちろん、それまでにも熟年じゅくねん離婚りこんは存在そんざいしたのは確かくか。ただし、以前いぜんの熟年じゅくねん離婚りこんは、妻つまが夫おっとに離婚りこんを切きり出だすパターンがほとんどだった。夫おっとが社会しゃかい人じんとして現役げんえきで働はたらいている間あいだは、妻つまが自分じぶんのことを犠牲ぎせいにして家事かじや育児いくじに従事じゅうじして夫おっとを支ささえてきた。ところが、定年ていねん退職たいしょく後こうも、妻つまは自分じぶんを支ささえてくれるものだと思おもって家いえのことに協力きょうりょくをしない夫おっとに対たいし、「もう我慢がまんができない」と離婚りこんを切きり出だす、というケースだ。

　最近さいきんは、夫おっと側がわから妻つまに離婚りこんを切きり出だすケースも増ふえている。これまでは経済けいざい的てきに家族かぞくを養やしなう必要ひつようがあったり、子こどもを育そだてる義務ぎむがあったりした。ところが、定年ていねん退職たいしょくをして子こどもも無事ぶじに成人せいじんになれば、いろいろなことから解放かいほうされる。同おなじタイミングで離婚りこんをして家族かぞくからも卒業そつぎょうすることで、残のこりの人生じんせいを自由じゆうに、自分じぶんのためだけに生いきていくことができると考かんがえるからだ。

　私わたしのところに相談そうだんに訪おとずれる夫婦ふうふの場合ばあいも、熟年じゅくねん離婚りこんを考かんがえるきっかけはさまざまだが、男女だんじょともに共通きょうつうしているのは「この先さきもずっと、この人ひとと一緒いっしょに人生じんせいを歩あゆんで行いく自信じしんがない」ということ。人生じんせい100年ねん時代じだいになり、60歳さいで定年ていねん退職たいしょくを迎むかえても、残のこりの人生じんせいはあと40年ねん近ちかくもある。それほど長ながく貴重きちょうな時間じかんを、「この相手あいてと共ともに過すごしていかれるかどうか？」と考かんがえたとき、自分じぶんらしく生いき直なおすために離婚りこんという選択せんたくをするケースが増ふえているのだ。

　実際じっさい、データで見みても熟年じゅくねん離婚りこんは増ふえている。厚生こうせい労働省ろうどうしょうが発表はっぴょうしているデータによると、同居どうきょ期間きかんが20年ねん以上いじょうの離婚りこん件数けんすうについて、1985年ねんには2万まん434組くみだったが2015年ねんには3万まん8641組くみに変化へんか。つまり、30年ねん前まえに比くらべると熟年じゅくねん離婚りこんは2倍ばい近ちかく増ふえていることがわかる。

　このように、増ふえている熟年じゅくねん離婚りこんだが、長年ながねん連つれ添そったパートナーと別わかれるメリットはどこにあるのだろうか。

熟年じゅくねん離婚りこんのメリット

　私わたし自身じしんが体験たいけんした実際じっさいの夫婦ふうふ問題もんだいの相談そうだん例れいから見みると、熟年じゅくねん離婚りこんのメリットは次つぎの3つに集約しゅうやくされる。

・メリット1：「お金かね」を手てにすることができる

　妻つまから夫おっとに対たいし、熟年じゅくねん離婚りこんを切きり出だす場合ばあい、妻つまは金銭きんせん的てきなメリットを感かんじることもある。貯蓄ちょちくなど結婚けっこん生活せいかつで築きずいた財産ざいさんや資産しさんは、夫婦ふうふは折半せっぱんすることが決きめられている。07年ねんにはじまった年金ねんきん分割ぶんかつ制度せいどにより、老後ろうごの支ささえである年金ねんきんも離婚りこん後ごの妻つまに支給しきゅうされるようになった。つまり、妻つまは結婚けっこん生活せいかつを続つづけている限かぎりは共有きょうゆうの財産ざいさんや年金ねんきんも自分じぶんの分ぶんとしては受うけ取とれないことが多おおいものの、離婚りこんをすれば妻つまの権利けんりとして自分じぶんの分ぶんの金銭きんせんを手てにすることができることになる。