ニコ動どう、1年ねんでプレミアム会員かいいん36万まん人にん減少げんしょうの衝撃しょうげき…なぜユーザーが不満ふまんぶちまけ始はじめた？

「ニコニコ動画どうが」より

　ニコニコ動画どうがの勢いきおいに陰かげりが見みえ始はじめている。

　昨年さくねん11月がつ28日にちに開ひらかれた新しんバージョン「niconico（く）」（ニコニコクレッシェンド）の発表はっぴょう会かいでは、「ニコニコ生放送なまほうそう」配信はいしん者しゃ用ようの新しん機能きのう追加ついかなどが告知こくちされつつも、大だい多数たすうのユーザーが望のぞんでいたであろう動画どうがの画質がしつや遅延ちえんといった諸しょ問題もんだいは、解決かいけつが先さき延のばしという事態じたいになった。

　これが“炎上えんじょう”を巻まき起おこし、ユーザー離ばなれを加速かそくさせ、ニコ動どうのプレミアム会員かいいん（月額げつがく540円えん・税込ぜいこみ）は、2017年度ねんどの1年間ねんかんで36万まん人にんも減少げんしょうしている。運営うんえい元もとのカドカワが5月がつ10日とおかに発表はっぴょうした18年ねん3月がつ期き通期つうき決算けっさんでは、売上うりあげ高だかが2067億おく円えんで、営業えいぎょう利益りえきは31億おく円えんとなっている。売上うりあげ高だかこそ前期ぜんき比ひ0.5％増ぞうだが、営業えいぎょう利益りえきは62.6％減げんとなっており、同社どうしゃのWebサービス事業じぎょうを担になうニコニコ動画どうがが全体ぜんたいの足あしを引ひっ張ぱったとみられる。

　そのカドカワは19年ねん3月がつ期きの業績ぎょうせき予想よそうとして、売上うりあげ高だか2310億おく円えん（前期ぜんき比ひ11％増ぞう）、営業えいぎょう利益りえき80億おく円えん（同どう154％増ぞう）という、大胆だいたんな数字すうじを提示ていじしている。映像えいぞう・ゲーム事業じぎょうでは、前期ぜんきの営業えいぎょう利益りえき29億おく円えんが70億おく円えんへ増加ぞうかするとし、ニコ動どうを含ふくむWebサービス事業じぎょうも10億おく円えんの赤字あかじが10億おく円えんの黒字くろじに反転はんてんすると予想よそうしている。

　ニコ動どうにおける今後こんごの方策ほうさくとして、カドカワは「システムの根本こんぽん的てきな強化きょうか」や、ユーザーへの“投なげ銭せん”制度せいどのような「都度つど課金かきんの導入どうにゅう」を掲かかげているが、わずか1年間ねんかんでこれほどまでの復活ふっかつを遂とげるのは、決けっして容易よういではないだろう。

　そこで、ITジャーナリストの井上いのうえトシユキ氏しに、ニコ動どうが不振ふしんに陥おちいった原因げんいんを改あらためて分析ぶんせきしてもらいつつ、今後こんごの行ゆく末すえを占うらなってもらった。

ニコ動どう元来がんらいの魅力みりょくは、軽率けいそつなメジャー化かによって損そこなわれた

「そもそも運営うんえい元もとは、ニコ動どうのサービスを開始かいしした際さい、これほどメジャーな存在そんざいになることを、どこまで想定そうていしていたのかという問題もんだいがあります。振ふり返かえると、ニコ動どうが現あらわれた07年ねん頃ごろは、『YouTube』以外いがいに『Ustream』などのメディアも出でてきていました。これらのメディアは最初さいしょからメジャー志向しこうであり、放送ほうそう局きょくや新聞しんぶん社しゃなどが、自分じぶんたちの公式こうしきチャンネルを持もちたがるような場所ばしょづくりを目指めざしていたといえるでしょう。

　一方いっぽうでニコ動どうは、“サブカルチャーのためのニッチなメディア”というのが基本きほんスタンスだったはずで、『こういう話題わだいの取とり上あげ方かただってある』という、ほかのメディアに対たいする反骨はんこつ精神せいしんがうかがえました。メジャーではない、ニッチなサブカルチャーに寄より添そうことが、ニコ動どうのもともとの役割やくわりだったのです。本来ほんらいなら、動画どうがの画質がしつや読よみ込こみ速度そくどといった技術ぎじゅつ面めんは期待きたいされておらず、運営うんえい元もとにとってもユーザーにとっても、ある程度ていどの開ひらき直なおりが通用つうようしていたように思おもいます」（井上いのうえ氏し）