ネズミ捕ねずみとりに“必死ひっしの”警察けいさつの謎なぞ　やっぱりノルマが！素直すなおな主婦しゅふや若者わかものを狙ねらい撃うち？

　5月11～20日にちの間あいだ、交通こうつう安全あんぜん思想しそうの浸透しんとうを図はかる「春はるの全国ぜんこく交通こうつう安全あんぜん運動うんどう」が今年ことしも実施じっしされ、期間きかん中ちゅうは全国ぜんこく各地かくちで一斉いっせいに路上ろじょうに設置せっちされた測定そくてい器きが速度そくど違反いはんした車両しゃりょうを感知かんちし、その先さきの取とり締しまり現場げんばで検挙けんきょする「有人ゆうじん式しき一般いっぱん速度そくど取とり締しまり」、いわゆる“ネズミ捕ねずみとり”が行おこなわれた。

　しかし、このネズミ捕ねずみとりについて、世間せけんでは不満ふまんが噴出ふんしゅつしている。特とくに多おおいのは「なぜ、事故じこの恐おそれが低ひくそうな道路どうろでも取とり締しまりを実施じっししているのか」という声こえだ。

確たしかに、道幅みちはばが広ひろくて見通みとおしも良よく、交通こうつう量りょうも少すくない道路どうろでネズミ捕ねずみとりを行おこなっているのを見みかけることがある。なぜ、このような場所ばしょで実施じっしするのだろうか？

　そこで、交通こうつうジャーナリストの今井いまい亮一りょういち氏しに話はなしを聞きいた。

「警察けいさつは『事故じこがよく起おこる場所ばしょで取とり締しまりをやっている』などと言いいますが、実際じっさいに取とり締しまりをしているのは、事故じこが起おきた場所ばしょの先さきのほうだったりします。なぜかというと、違反いはん車しゃを引ひき込こんで切符きっぷを切きれる場所ばしょ、公共こうきょうの駐車ちゅうしゃ場じょうのように車くるまを一時いちじ的てきに停車ていしゃさせられる場所ばしょが近ちかくにないといけないわけです。つまり、交通こうつう事故じこの件数けんすうや危険きけん性せいだけでネズミ捕ねずみとりができるわけではないのです。取とり締しまりがしやすい場所ばしょで取とり締しまっているといえます」（今井いまい氏し）

批判ひはんをかわすための通達つうたつ

　また、ネズミ捕ねずみとりについて議論ぎろんする際さいによく挙あげられるのが、1967年ねん8月がつ1日にちに発出はっしゅつされた警察庁けいさつちょう依命いめい通達つうたつ（警察庁けいさつちょう乙おつ交・警察庁けいさつちょう次長じちょう)の存在そんざいだ。これには、次つぎのように記載きさいされており、ネズミ捕ねずみとりのような取とり締しまりを禁止きんししているように取とれる。

「交通こうつう指導しどう取締とりしまりにあたっては、いわゆる点数てんすう主義しゅぎに堕だした検挙けんきょのための検挙けんきょあるいは取締とりしまりやすいものだけを取締とりしまる安易あんいな取締とりしまりに陥おちいることを避さけるとともに、危険きけん性せいの少すくない軽微けいびな違反いはんに対たいしては、警告けいこくによる指導しどうを積極せっきょく的てきに行おこなうこととし、ことさら身みを隠かくして取締とりしまりを行おこなったり、予防よぼうまたは制止せいしすべきにもかかわらず、これを黙認もくにんしてのち検挙けんきょしたりすることのないよう留意りゅういすること」

　ちなみに警察庁けいさつちょうに上記じょうきの通達つうたつについて問とい合あわせてみると、「現在げんざい、その通達つうたつは文書ぶんしょ保管ほかん期限きげんが切きれ、再さい通達つうたつも出だされていないので、なんともいえません」との回答かいとうだった。つまり、事実じじつ上じょう“廃止はいし”されたということだ。では、なぜこの通達つうたつは発出はっしゅつされ、また廃止はいしされたのだろうか。