河井かわい案あん里さと＆克行かつゆき夫妻ふさいの初はつ公判こうはん、秋元あきもと議員ぎいんの再さい逮捕たいほ…安倍あべ政権せいけん“歴史れきし的てき1強きょう”の裏うらで抱かかえる爆ばく弾だん

　8月がつ24日にち、安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうの連続れんぞく在職ざいしょく日数にっすうが2799日にちとなり、自身じしんの大叔父おおおじにあたる佐藤さとう栄作えいさく氏しの2798日にちを超こえて憲政けんせい史上しじょう最長さいちょうとなった。2012年ねん12月から続つづく第だい2次じ政権せいけん以降いこうの“1強きょう状態じょうたい”を物語ものがたる記録きろくと言いえる。

　そもそも、安倍あべ氏しは06年ねん9月がつに戦後せんご最年少さいねんしょうとなる52歳さいで首相しゅしょうに就任しゅうにんし、第だい1次じ政権せいけんをスタートさせた。しかし、持病じびょうの悪化あっかによる体調たいちょう不良ふりょうなどを理由りゆうに、約やく1年ねんで退陣たいじんを余儀よぎなくされる。その後ご、下野げやした自民党じみんとうの総裁そうさい選挙せんきょ（12年ねん9月がつ）で勝利しょうりし、12年ねん12月に行おこなわれた衆議院しゅうぎいん議員ぎいん選挙せんきょで民主党みんしゅとうからの政権せいけん交代こうたいを実現じつげんした。その後ごは経済けいざい政策せいさく「アベノミクス」を旗印はたじるしに国政こくせい選挙せんきょで5連勝れんしょうを飾かざるなど、安定あんていした政治せいじ基盤きばんを築きずいている。

　すでに、19年ねん11月には通算つうさん在職ざいしょく日数にっすうで桂かつら太郎たろうの2886日にちを抜ぬき、こちらも憲政けんせい史上しじょう最長さいちょうを記録きろくしている。現在げんざいの“安倍あべ1強きょう”は、まさに歴史れきし的てきな政権せいけん運営うんえいといっていい。一方いっぽうで、ここにきて、不安ふあん要素ようそも数多かずおおく浮上ふじょうしているという。

「本来ほんらいなら、今いまの時期じきは東京とうきょうオリンピックが閉会へいかいし、8月がつ25日にちからはパラリンピックが開会かいかいするというタイミングです。レガシー（政治せいじ的てき遺産いさん）とも言いえる五輪ごりんを終おえ、21年ねんには9月がつ末まつに党とう総裁そうさいの任期にんきを、10月には衆議院しゅうぎいん議員ぎいんの任期にんきを迎むかえる中なかで、求心力きゅうしんりょくを保たもちつつ、政権せいけんの総そう仕上しあげへと移行いこうしていく腹はらづもりだったでしょう。

　しかし、コロナ禍かで五輪ごりんが延期えんきされたばかりか、20年ねん4～6月がつ期きの実質じっしつGDP（国内こくない総そう生産せいさん）は年率ねんりつ27.8％減げんで戦後せんご最悪さいあくのマイナス成長せいちょうを記録きろくしました。自慢じまんのアベノミクスが吹ふっ飛とんだばかりか、コロナ対策たいさくでの失政しっせいが目立めだち、支持しじ率りつは直近ちょっきんの共同通信社きょうどうつうしんしゃの調査ちょうさでは36.0％。これは第だい2次じ政権せいけん以降いこうで2番目ばんめに低ひくい数字すうじだそうで、このままでは危険きけん水域すいいきとされる3割わり以下いかも見みえてきます。

　さらに、ここにきて、安倍あべ首相しゅしょうの健康けんこう不安ふあん説せつが取とり沙汰ざたされており、同時どうじに早期そうきの解散かいさん総そう選挙せんきょの観測かんそくもしぼみ始はじめています。コロナ対応たいおうに追おわれている上うえに、首相しゅしょうの健康けんこう不安ふあんが払拭ふっしょくできない現状げんじょうでは難むずかしいということでしょう。9月に行おこなわれるとされる内閣ないかく改造かいぞう・党とう役員やくいん人事じんじも見送みおくり論ろんが浮上ふじょうしているほどで、まさに予断よだんを許ゆるさない状況じょうきょうが続つづきそうです」（政治せいじ記者きしゃ）

IR汚職おしょく事件じけんが再燃さいねん、河井かわい夫妻ふさいの初はつ公判こうはんも

　また、その他たにも、自民党じみんとうは火種ひだねを抱かかえているという。そのひとつが、秋元あきもと司つかさ衆議院しゅうぎいん議員ぎいんの再さい逮捕たいほだ。カジノを含ふくむ統合とうごう型がたリゾート施設しせつ（IR）事業じぎょうをめぐる汚職おしょく事件じけんの収賄しゅうわい容疑ようぎで、すでに2回かい逮捕たいほされている秋元あきもと議員ぎいんは、2月がつに保釈ほしゃく後ご、議員ぎいん活動かつどうを再開さいかいしていた。しかし、贈賄ぞうわい側がわに裁判さいばんで虚偽きょぎの証言しょうげんをするよう働はたらきかけたとして、8月がつ20日はつかに組織そしき犯罪はんざい処罰しょばつ法ほう違反いはん（証人しょうにん等とう買収ばいしゅう）の疑うたがいで東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶに再さい逮捕たいほされた。

　また、秋元あきもと議員ぎいんが報酬ほうしゅうとして渡わたそうとしていた2000万まん円えんのうち1000万まん円えんは自身じしんで用意よういしていたという疑うたがいも浮上ふじょうしている。

「このIR汚職おしょく事件じけんをめぐっては、秋元あきもと議員ぎいんの他ほかにも複数ふくすうの自民党じみんとう議員ぎいんの名前なまえが取とり沙汰ざたされています。また、秋元あきもと議員ぎいんはすでに自民党じみんとうを離党りとうしていますが、当初とうしょから、東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶの狙ねらいは閣僚かくりょうクラスとも言いわれており、捜査そうさの進展しんてんが注目ちゅうもくされています」（同どう）

　また、8月がつ25日にちには、河井かわい克行かつゆき前ぜん法務大臣ほうむだいじんと妻つまの河井かわい案あん里さと参議院さんぎいん議員ぎいんの初はつ公判こうはんが控ひかえている。

　2人ふたりは19年ねんの参議院さんぎいん議員ぎいん選挙せんきょをめぐって地方ちほう議員ぎいんらに現金げんきんを配くばったとして、公職こうしょく選挙せんきょ法ほう違反いはん（買収ばいしゅう、事前じぜん運動うんどう）の容疑ようぎで6月がつに逮捕たいほされた。事ことは、約やく100人にんに約やく2900万まん円えんをバラまいたとされる大だい規模きぼ買収ばいしゅう事件じけんに発展はってんしている。

「2人ふたりはそれぞれ2回かいの保釈ほしゃく請求せいきゅうを行おこなっていますが、いずれも東京とうきょう地裁ちさいに認みとめられておらず、勾留こうりゅうが続つづいています。そもそも、法相ほうしょう経験けいけん者しゃが逮捕たいほされるのは戦後せんご初はつのケースですが、国会こっかい議員ぎいんの夫婦ふうふが同時どうじに逮捕たいほされるという事態じたいも憲政けんせい史上しじょう初はつだそうです。2人ふたりはすでに自民党じみんとうを離党りとうしていますが、言いうまでもなく、焦点しょうてんは党とう本部ほんぶから振ふり込こまれたという1億おく5000万まん円えんです。これが買収ばいしゅうの原資げんしとなったのかどうか、そもそもなぜ『通常つうじょうの10倍ばい』とも言いわれる巨額きょがく支援しえんをする必要ひつようがあったのか。そのあたりは、党とう中枢ちゅうすうにかかわってくる話はなしです」（同どう）

「一寸いっすん先さきは闇やみ」と言いわれる政局せいきょくは、どのような展開てんかいを見みせるのだろうか。

（文ぶん＝編集へんしゅう部ぶ）