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Mozi : Book 12 - Chinese Text Project
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《卷まき十じゅう二に - Book 12》

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《貴義たかよし - Esteem for Righteousness》

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1 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「萬事ばんじ莫貴於義。今こん謂いい人じん曰：『予よ子こ冠かんむり履くつ，而斷子こ之の手足てあし，子し為之ためゆき乎？』必不為ふため，何故なぜ？則すなわち冠かんむり履くつ不ふ若わか手足てあし之の貴き也。又また曰：『予よ子こ天下でんか而殺子こ之の身み，子し為之ためゆき乎？』必不為ふため，何故なぜ？則のり天下でんか不ふ若わか身み之の貴き也。爭そう一言ひとこと以相殺そうさい，是ぜ貴義たかよし於其身み也。故こ曰，萬事莫貴於義也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「萬事沒有比義更珍貴的了。假かり如現在げんざい對たい別人べつじん說せつ：『給きゅう你帽子ぼうし和わ鞋，但ただし是ぜ要よう砍斷你的手しゅ、腳，你干這件事ごと嗎？』那な人じん一定いってい不ふ干ひ。為ため什么呢？因いん為ため帽ぼう、鞋不如手、腳珍貴とうと。又また說せつ：『給きゅう你天下か，但ただし要よう殺ころせ死し你，你干這件事ごと嗎？』那な人じん一定いってい不ふ干ひ。為ため什么呢？因いん為ため天下でんか不ふ如自身じしん珍めずらし貴とうと。因よし爭そう辯べん一句話而互相殘殺，是ぜ因いん為ため把わ義よし看み得とく比ひ自身じしん珍めずらし貴とうと。所以ゆえん說せつ：萬事沒有比義更珍貴的了。」

2 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ自じ魯即齊ひとし，過か故人こじん，謂いい子こ墨すみ子こ曰：「今こん天下てんか莫為義よし，子こ獨自どくじ苦く而為義よし，子こ不ふ若わか已やめ。」子こ墨ぼく子こ曰：「今こん有人ゆうじん於此，有子ゆうこ十じゅう人にん，一人ひとり耕こう而九きゅう人にん處しょ，則のり耕こう者しゃ不可ふか以不益えき急きゅう矣。何故なぜ？則のり食しょく者しゃ眾，而耕者しゃ寡也。今こん天下てんか莫為義よし，則子のりこ如勸我が者しゃ也，何故なぜ止やめ我わが？」子こ墨ぼく子こ南みなみ游ゆう於楚，見み楚すわえ獻けんじ惠めぐみ王おう，獻けんじ惠めぐみ王おう以老辭やめ，使つかい穆きよし賀が見み子こ墨ぼく子こ。子こ墨すみ子こ說せつ穆きよし賀が，穆きよし賀が大だい說せつ，謂いい子こ墨すみ子こ曰：「子こ之の言げん則そく成なり善ぜん矣！而君王おう，天下てんか之の大王だいおう也，毋乃曰『賤人之の所為しょい』，而不用よう乎？」子こ墨ぼく子こ曰：「唯ただ其可行ぎょう。譬たとえ若わか藥やく然しか，天子てんし食しょく之の以順其疾，豈あに曰『一いち草くさ之の本ほん』而不食しょく哉？今こん農夫のうふ入にゅう其稅於大おだい人じん，大だい人為じんい酒しゅ醴粢盛もり以祭上帝じょうてい鬼神きじん，豈あに曰『賤人之の所為しょい』而不享とおる哉？故こ雖賤人じん也，上うえ比ひ之の農のう，下した比ひ之の藥くすり，曾不若わか一いち草くさ之の本ほん乎？且主君くん亦また嘗聞湯ゆ之の說せつ乎？昔むかし者しゃ，湯ゆ將はた往見伊い尹いん，令れい彭氏之子ゆきこ御ご。彭氏之子ゆきこ半道はんどう而問曰：『君きみ將はた何なに之の？』湯ゆ曰：『將はた往見伊い尹いん。』彭氏之子ゆきこ曰：『伊い尹いん，天下てんか之の賤人也。若君わかぎみ欲よく見み之これ，亦また令れい召問焉，彼かれ受賜矣。』湯ゆ曰：『非ひ女おんな所しょ知也ともや。今こん有ゆう藥やく此，食しょく之の則のり耳みみ加か聰さとし，目め加か明あきら，則のり吾われ必說而強食しょく之の。今こん夫おっと伊い尹いん之の於我國こく也，譬たとえ之の良りょう醫い善ぜん藥やく也。而子不ふ欲よく我見がけん伊い尹いん，是ぜ子こ不ふ欲よく吾われ善ぜん也。』因いん下か彭氏之子ゆきこ，不ふ使つかい御ご。彼かれ苟然，然しか後ご可也かなり」。
貴義たかよし:
墨ぼく子こ從したがえ魯國到いた齊ひとし國こく，探さがせ望もち了りょう老ろう朋友ほうゆう。朋友ほうゆう對たい墨ぼく子こ說せつ：「現在げんざい天下てんか沒ぼつ有人ゆうじん行義ゆきよし，你何必獨自どくじ苦く行為こうい義ぎ，不ふ如就此停止ていし。」墨ぼく子こ說せつ：「現在げんざい這里有ゆう一いち人にん，他た有ゆう十じゅう個こ兒じ子こ，但ただし只ただ有ゆう一いち個こ兒じ子こ耕こう種しゅ，其他九きゅう個こ都と閑著，耕こう種しゅ的てき這一個不能不更加緊張啊。為ため什么呢？因いん為ため吃ども飯めし的てき人じん多た而耕種しゅ的てき人じん少しょう。現在げんざい天下てんか沒ぼつ有人ゆうじん行義ゆきよし，你應該勉勵べんれい我わが行義ゆきよし，為ため什么還制止せいし我わが呢？」墨ぼく子こ南みなみ游ゆう到いた了りょう楚すわえ國こく，去さ見み楚すわえ惠めぐみ王おう，惠めぐみ王おう借か口くち自己じこ年ねん老ろう推辭了りょう，派は穆きよし賀が會見かいけん墨ぼく子こ。墨ぼく子こ勸すすむ說せつ穆きよし賀が，穆きよし賀が非常ひじょう高だか興きょう，對たい墨ぼく子こ說せつ：「你的主張しゅちょう確實かくじつ好こう啊，但ただし君王くんのう是ぜ天下でんか的てき大王だいおう，恐おそれ怕會認みとめ為ため這是一個普通百姓的主張而不加采用吧！」墨ぼく子こ答こたえ道どう：「只ただ要よう它能行ぎょう之の有效ゆうこう就行了りょう，比ひ如藥，是ぜ一いち把わ草根そうこん，天子てんし吃ども了りょう它，用よう以治愈いよいよ自己じこ的てき疾病しっぺい，難なん道みち會かい認みとめ為ため是ぜ一把草根而不吃嗎？現在げんざい農民のうみん繳納租稅そぜい給きゅう貴族きぞく，貴族きぞく大人おとな們釀美酒びしゅ、造みやつこ祭さい品ひん，用よう來らい祭祀さいし上帝じょうてい、鬼神きじん，難なん道みち會かい認みとめ為ため這是普通ふつう百姓做的而不享用嗎？所以ゆえん雖然是ぜ普通ふつう百姓ひゃくしょう，從したがえ上じょう把わ他た比ひ于農民のうみん，從したがえ下か把わ他た比ひ于藥，難なん道みち還かえ不ふ如一いち把わ草根そうこん嗎？況きょう且惠王おう也曾聽說過か商しょう湯ゆ的てき傳說でんせつ吧？過去かこ商しょう湯ゆ去さ見みる伊い尹いん，叫さけべ彭氏的てき兒じ子こ給きゅう自己じこ駕が車しゃ。彭氏之子ゆきこ半はん路上ろじょう問とい商しょう湯ゆ說せつ：『您要到いた哪兒去さ呢？』商しょう湯ゆ答こたえ道どう：『我わが將はた去さ見みる伊い尹いん。』彭氏之子ゆきこ說せつ：『伊い尹いん，只ただ不ふ過か是ぜ天下でんか的てき一いち位い普通ふつう百姓ひゃくしょう。如果您一定いってい要よう見み他ほか，只ただ要よう下した令れい召見而問他た，這在他た已やめ蒙こうむ受恩遇ぐう了りょう！』商しょう湯ゆ說せつ：『這不是ぜ你所知道ともみち的てき。如果現在げんざい這里有ゆう一いち種しゅ藥やく，吃ども了りょう它，耳みみ朵會更さら加か靈れい敏さとし，眼睛がんせい會かい更さら加か明あかり亮あきら，那な么我一定會喜歡而努力吃藥。現在げんざい伊い尹いん對たい于我國こく，就好象ぞう良りょう醫い好こう藥くすり，而你卻不想そう讓ゆずる我見がけん伊い尹いん，這是你不想おもえ讓ゆず我わが好こう啊！』于是叫さけべ彭氏的てき兒じ子こ下か去さ，不ふ讓ゆずる他た駕が車しゃ了りょう。如果惠めぐみ王おう能のう象ぞう商しょう湯ゆ這樣，以后就可以采納おさめ普通ふつう百姓ひゃくしょう的てき主張しゅちょう了りょう。」

3 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「凡言凡動，利り於天鬼おに百姓ひゃくしょう者しゃ為之ためゆき；凡言凡動，害がい於天鬼おに百姓ひゃくしょう者しゃ舍しゃ之の；凡言凡動，合ごう於三代聖王堯舜禹湯文武者為之；凡言凡動，合ごう於三代暴王桀紂幽厲者舍之。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「一いち切言せつげん論ろん一切いっさい行動こうどう，有利ゆうり于天、鬼神きじん、百姓ひゃくしょう的てき，就去做；一いち切言せつげん論ろん一切いっさい行動こうどう，有害ゆうがい于天、鬼神きじん、百姓ひゃくしょう的てき，就舍棄。一切いっさい言論げんろん一切いっさい行動こうどう，合ごう乎三さん代だい聖王せいおう堯、舜しゅん、禹、商しょう湯ゆ、周しゅう文ぶん王おう、周しゅう武たけし王おう的てき，就去做；合あい乎三さん代だい暴君ぼうくん夏なつ桀、商しょう紂、周しゅう幽かそけ王おう、周しゅう厲王的てき，就舍棄。」

4 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「言げん足あし以遷行者ぎょうじゃ，常つね之の；不足ふそく以遷行者ぎょうじゃ，勿常。不足ふそく以遷行ぎょう而常之の，是ぜ蕩とろけ口こう也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「言論げんろん足あし以付之の行動こうどう的てき，就推崇たかし它；不足ふそく以付之の行動こうどう的てき，就不要よう推崇。不足ふそく以付之の行動こうどう，卻要推崇它，就是空言くうげん妄語もうご了りょう。」

5 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「必去六ろく辟。嘿則思おもえ，言げん則そく誨，動どう則そく事ごと，使つかい三さん者しゃ代だい御ご，必為聖人せいじん。必去喜き，去さ怒いか，去さ樂たのし，去さ悲，去さ愛あい，而用仁義じんぎ。手足てあし口こう鼻はな耳みみ，從事じゅうじ於義，必為聖人せいじん。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「一定要去掉六種邪僻，沉默之の時とき能のう思索しさく，出で言げん能のう教導きょうどう人じん，行動こうどう能のう從事じゅうじ義ぎ。使つかい這三者しゃ交替こうたい進行しんこう，一定いってい能成よしなり為ため聖人せいじん。」（墨ぼく子こ說せつ：）「一定要去掉喜，去さ掉怒，去さ掉樂，去さ掉悲，去さ掉愛，以仁義じんぎ作為さくい一切いっさい言行げんこう的てき準則じゅんそく。手て、腳、口くち、鼻はな、耳みみ，都と用よう來らい從事じゅうじ義ぎ，一定いってい會かい成なり為ため聖人せいじん。」

6 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ謂いい二に三さん子し曰：「為ため義ぎ而不能ふのう，必無排はい其道。譬たとえ若わか匠たくみ人じん之の斲而不能ふのう，無む排はい其繩。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ對たい幾いく個こ弟子でし說せつ：「行義ゆきよし而不能ふのう勝しょう任にん之の時とき，一定不可歸罪于學說、主張しゅちょう本身ほんみ。好こう象ぞう木き匠たくみ劈木材ざい不能ふのう劈好，不可ふか歸き罪ざい于墨線せん一いち樣よう。」

7 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「世よ之の君子くんし，使つかい之の為ため一いち犬いぬ一いち彘之宰おさむ，不能ふのう則そく辭じ之の；使し為ため一いち國之くにゆき相しょう，不能ふのう而為之の。豈あに不ふ悖もと哉！」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「世上せじょう的てき君子くんし，使つかい他た作為さくい宰おさむ殺ころせ一狗一豬的屠夫，如果干ひ不ふ了りょう就推辭じ；使し他た作さく一いち國こく的てき國こく相しょう，干ひ不ふ了りょう卻照樣さま去さ作さく，這難道どう不ふ荒あら謬嗎？」

8 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「今こん瞽曰：『鉅者白也はくや，黔者黑くろ也。』雖明目め者しゃ無む以易之の。兼けん白黑しろくろ，使つかい瞽取焉，不能ふのう知也ともや。故こ我わが曰瞽不知ふち白黑しろくろ者しゃ，非ひ以其名めい也，以其取也。今こん天下てんか之の君子くんし之の名めい仁じん也，雖禹湯ゆ無む以易之の。兼けん仁じん與あずか不仁ふじん，而使天下でんか之の君きみ子取ことり焉，不能ふのう知也ともや。故こ我わが曰天下之したの君子くんし不知ふち仁者じんしゃ，非ひ以其名めい也，亦また以其取也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「現在げんざい有ゆう一いち個こ盲人もうじん說せつ：『銀ぎん是ぜ白しろ的てき，黔是黑くろ的てき。』即そく使つかい是ぜ眼睛がんせい明あきら亮あきら的てき人じん也不能ふのう更改こうかい它。把わ白しろ的てき和わ黑くろ的てき東西とうざい放ひ在ざい一塊ひとかたまり兒じ，讓ゆずる盲人もうじん分ぶん辨べん，他た就不能ふのう知道ともみち了りょう。所以ゆえん我が說せつ：盲人もうじん不知ふち白黑しろくろ，不ふ是ぜ因いん為ため他た不能ふのう稱しょう說せつ白黑しろくろ的てき名稱めいしょう，而是因いん為ため他た無法むほう擇よ取ど。現在げんざい天下てんか的てき君子くんし稱しょう說せつ『仁ひとし』的てき名めい，即そく使つかい禹、湯ゆ也無法ほう更改こうかい它。把わ符合ふごう仁和にわ不ふ符合ふごう仁じん的てき事物じぶつ混雜こんざつ在ざい一起かずき，讓ゆずる天下てんか的てき君子くんし擇よ取ど，他た們就不知ふち道どう了りょう。所以ゆえん我が說せつ：天下てんか的てき君子くんし，不知ふち道どう『仁ひとし』，不ふ是ぜ因いん為ため他た不能ふのう稱しょう說せつ仁じん的てき名めい，而是因いん為ため他た無法むほう擇よ取ど。」

9 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「今いま士し之の用もちい身み，不ふ若わか商人しょうにん之の用もちい一いち布ぬの之の慎也しんや。商人しょうにん用よう一いち布ぬの布ぬの，不ふ敢繼苟而讎焉，必擇良りょう者しゃ。今いま士し之の用もちい身み則そく不ふ然しか，意い之これ所しょ欲よく則そく為之ためゆき，厚あつ者しゃ入にゅう刑罰けいばつ，薄すすき者しゃ被ひ毀醜，則のり士し之の用もちい身み不ふ若わか商人しょうにん之の用もちい一いち布ぬの之の慎也しんや。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「現在げんざい士し以身處世しょせい，不ふ如商人じん使用しよう一いち錢ぜに慎重しんちょう。商人しょうにん用よう一いち錢ぜに購買こうばい東西とうざい，不ふ敢任意にんい馬ば虎とら地ち購買こうばい，一定いってい選擇せんたく好このみ的てき。現在げんざい士し使用しよう自己じこ的てき身體しんたい卻不是ぜ這樣，隨ずい心しん所しょ欲よく地ち胡えびす作さく非ひ為ため。過か錯嚴重げんじゅう的てき陷おちい入にゅう刑罰けいばつ，過か錯輕的てき蒙こうむ受非議ひぎ羞恥しゅうち。士し以身處世しょせい，不ふ如商人じん使用しよう一いち錢ぜに慎重しんちょう。」

10 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「世よ之の君子くんし欲よく其義之の成なり，而助之の修おさむ其身則そく慍，是これ猶なお欲よく其牆之の成なり，而人助すけ之の築ちく則のり慍也，豈あに不ふ悖もと哉！」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「當代とうだい的てき君子くんし，想そう實現じつげん他た的てき道義どうぎ，而幫助じょ他た修養しゅうよう身心しんしん卻怨恨えんこん。這就象ぞう要よう筑成墻，而別人じん幫助他た卻怨恨えんこん一いち樣よう，難なん道みち不ふ荒あら謬嗎？」

11 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「古いにしえ之の聖王せいおう，欲よく傳つたえ其道於後世こうせい，是ぜ故ゆえ書しょ之の竹帛ちくはく，鏤ちりばめ之の金石かねいし，傳つて遺のこ後世こうせい子孫しそん，欲ほし後世こうせい子孫しそん法ほう之の也。今こん聞先王おう之の遺のこ而不為ふため，是ぜ廢はい先王せんおう之の傳つて也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「古こ時候じこう的てき聖王せいおう，想そう把わ自己じこ的てき學說がくせつ傳でん給きゅう后きさき代だい，因いん此寫在ざい竹たけ、帛上，刻こく在ざい金かね、石上いしがみ，傳つて留とめ給きゅう后きさき代だい子孫しそん，要よう后きさき代だい子孫しそん效こう法ほう它。現在げんざい聽到了りょう先王せんおう的てき學說がくせつ卻不去さ實行じっこう，這是廢棄はいき先王せんおう所傳しょでん的てき學說がくせつ了りょう。」

12 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ南みなみ遊ゆう使し衛まもる，關せき中ちゅう載の書しょ甚多，弦げん唐子からこ見み而怪之の，曰：「吾われ夫子ふうし教きょう公こう尚なお過か曰：『揣曲直ちょく而已。』今こん夫子ふうし載の書しょ甚多，何なに有ゆう也？」子こ墨ぼく子こ曰：「昔むかし者しゃ周しゅう公こう旦だん朝ちょう讀書どくしょ百ひゃく篇へん，夕ゆう見み漆うるし十じゅう士し。故こ周しゅう公こう旦だん佐さ相しょう天子てんし，其脩至いたり於今。翟上無む君くん上之うえの事ごと，下した無む耕こう農のう之の難なん，吾われ安やす敢廢此？翟聞之の：『同どう歸き之の物もの，信しん有ゆう誤あやま者しゃ。』然しか而民聽不鈞ひとし，是ぜ以書多た也。今いま若わか過か之これ心しん者しゃ，數すう逆ぎゃく於精微せいび，同どう歸き之の物もの，既すんで已やめ知ち其要矣，是ぜ以不教きょう以書也。而子何なん怪かい焉？」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ南みなみ游ゆう到いた衛まもる國こく去さ，車中しゃちゅう裝そう載の的てき書しょ很多。弦つる唐子からこ見み了りょう很奇怪かい，問もん道どう：「老師ろうし您曾教導きょうどう公こう尚なお過か說せつ：『書しょ不ふ過か用もちい來らい衡量是非ぜひ曲直きょくちょく罷やめ了りょう。』現在げんざい您裝載の這么多た書しょ，有ゆう什么用よう處しょ呢？」墨ぼく子こ說せつ：「過去かこ周しゅう公こう旦だん早はや晨讀一いち百ひゃく篇へん書しょ，晚ばん上見うわみ七なな十じゅう士し。所以ゆえん周しゅう公こう旦だん輔助天子てんし，他た的てき美び善ぜん傳でん到いた了りょう今こん天てん。我わが上うえ沒ぼつ有ゆう承うけたまわ擔國君くん授予的てき職しょく事ごと，下した沒ぼつ有ゆう耕こう種しゅ的てき艱難かんなん，我わが如何いか敢拋棄這些書！我わが聽說過か：天下てんか萬事萬物殊途同歸，流傳りゅうでん的てき時候じこう確實かくじつ會かい出現しゅつげん差さ錯。但ただし是ぜ由よし于人們聽到的てき不能ふのう一致いっち，書しょ就多起おこり來らい了りょう。現在げんざい象ぞう公こう尚なお過か那な樣さま的てき人じん，心しん對たい于事理じり已やめ達たち到いた了りょう洞察どうさつ精微せいび。對たい于殊途と同どう歸き的てき天下てんか事物じぶつ，已やめ知道ともみち切要せつよう合理ごうり之の處しょ，因いん此就不用ふよう書しょ教育きょういく了りょう。你為什么要よう奇き怪かい呢？」

13 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ謂いい公良きみよし桓子曰：「衛まもる，小國おぐに也，處ところ於齊おさい、晉すすむ之の閒あいだ，猶なお貧ひん家か之の處しょ於富家か之の閒あいだ也。貧ひん家か而學富家ふうか之の衣食いしょく多用たよう，則のり速そく亡ほろび必矣。今こん簡子之の家いえ，飾かざり車しゃ數すう百ひゃく乘じょう，馬食ばしょく菽まめ粟あわ者しゃ數すう百ひゃく匹ひき，婦人ふじん衣ころも文ぶん繡者數すう百ひゃく人にん，吾われ取と飾かざり車しゃ、食しょく馬ば之これ費ひ，與あずか繡衣之の財ざい以畜士し，必千せん人にん有餘ゆうよ。若わか有ゆう患難，則のり使し百ひゃく人にん處しょ於前，數すう百ひゃく於後，與あずか婦人ふじん數すう百ひゃく人にん處しょ前後ぜんこう，孰安？吾われ以為不ふ若わか畜士之の安やす也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ對たい公良きみよし桓子說せつ：「衛まもる國是こくぜ一いち個こ小國しょうこく，處しょ在ざい齊ひとし國こく晉すすむ國之くにゆき間あいだ，就象窮きゅう家か處しょ在ざい富家ふうか之の間あいだ一いち樣よう。窮きゅう家か如果學がく富家ふうか的てき穿ほじ衣ころも、吃ども飯めし、多た花はな費ひ，那な么窮家か一定很快就破敗了。現在げんざい看み看み您的家族かぞく，以文彩いろどり裝飾そうしょく的てき車くるま子こ有數ゆうすう百ひゃく輛，吃ども菽まめ、粟あわ的てき馬うま有數ゆうすう百ひゃく匹ひき，穿ほじ文ぶん繡的婦人ふじん有數ゆうすう百ひゃく人にん。如果把わ裝飾そうしょく車輛しゃりょう、養やしなえ馬ば的てき費用ひよう和わ做繡花はな衣裳いしょう的てき錢ぜに財用ざいよう來らい養やしなえ士し，一定可以養一千人還有余。如果遇ぐう到いた危難きなん，就命令れい幾いく百ひゃく人にん在ざい前面ぜんめん，幾いく百ひゃく人にん在ざい后きさき面めん，這與幾いく百ひゃく個こ婦人ふじん站在前ぜん后きさき，那な一いち個こ安全あんぜん呢？我わが以為不ふ如養士し安全あんぜん。」

14 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ仕つかまつ人ひと於衛，所しょ仕つかまつ者しゃ至いたり而反。子こ墨すみ子こ曰：「何故なぜ反はん？」對たい曰：「與あずか我わが言げん而不當ふとう。曰『待まち女おんな以千盆ぼん。』授我五ご百ひゃく盆ぼん，故こ去さ之これ也。」子こ墨ぼく子こ曰：「授子過か千せん盆ぼん，則子のりこ去さ之これ乎？」對たい曰：「不ふ去さ。」子こ墨ぼく子こ曰：「然しか則のり，非ひ為ため其不審也しんや，為ため其寡也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ使つかい人じん到いた衛まもる國こく做官，去さ做官的てき人じん到いた衛まもる國こく后きさき卻回來らい了りょう。墨ぼく子こ問とい他た：「為ため什么回かい來らい呢？」那な人じん回答かいとう說せつ：「衛まもる國こく與あずか我わが說話せつわ不ふ合ごう。說せつ：『給きゅう你千盆ぼん的てき俸祿』，卻實際ぎわ給きゅう了りょう我わが五ご百ひゃく盆ぼん，所以ゆえん我わが離はなれ開ひらき了りょう衛まもる國こく。」墨ぼく子こ又また問とい：「給きゅう你的俸祿超過ちょうか千せん盆ぼん，你還離はなれ開ひらき嗎？」那な人じん答こたえ道どう：「不離ふり開ひらき。」墨ぼく子こ說せつ：「既すんで然しか這樣，那な么你不ふ是ぜ因いん為ため衛まもる國こく說話せつわ與あずか你不合あい，而是因いん為ため俸祿少しょう。」

15 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「世俗せぞく之の君子くんし，視し義士ぎし不ふ若わか負まけ粟あわ者しゃ。今こん有人ゆうじん於此，負ふ粟あわ息いき於路側がわ，欲よく起おこり而不能ふのう，君子くんし見み之これ，無む長ちょう少しょう貴き賤，必起之の。何故なぜ也？曰義也よしや。今こん為ため義之よしゆき君くん子こ，奉たてまつ承うけたまわ先王せんおう之の道みち以語之の，縱たて不ふ說せつ而行，又また從したがえ而非毀之。則のり是ぜ世俗せぞく之の君子くんし之の視み義士ぎし也，不ふ若わか視し負ふ粟あわ者しゃ也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「世俗せぞく的てき君子くんし，看み待まち行義ゆきよし之これ人にん還かえ不ふ如一いち個こ背せ粟あわ的てき人じん。現在げんざい這里有ゆう一いち個人こじん背せ著ちょ粟あわ，在ざい路邊ろへん休息きゅうそく，想そう站起來らい卻起不ふ來らい。君子くんし見み了りょう，不ふ管かん他た是ぜ少しょう、長ちょう、貴たか、賤，一定幫助他站起來。為ため什么呢？說せつ：這是義ぎ。現在げんざい行義ゆきよし的てき君子くんし，承うけたまわ受先王おう的てき學說がくせつ來らい告訴こくそ世俗せぞく的てき君子くんし，世俗せぞく的てき君子くんし，即そく使つかい不ふ喜き歡不實行じっこう行ぎょう義之よしゆき士し的てき言論げんろん也罷，卻又加か以非議ひぎ、詆毀。這就是ぜ世俗せぞく的てき君子くんし看み待まち行ぎょう義之よしゆき士し，還かえ不ふ如一いち個こ背せ粟あわ的てき人じん了りょう。」

16 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「商人しょうにん之の四方しほう，市し賈信徙，雖有關せき梁はり之の難なん，盜賊とうぞく之の危，必為之の。今いま士し坐すわ而言義よし，無關むせき梁はり之の難なん，盜賊とうぞく之の危，此為信しん徙，不可ふか勝かち計けい，然しか而不為ふため。則のり士し之の計けい利り不ふ若わか商人しょうにん之の察也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「商人しょうにん到いた四方しほう去さ，買かい賣うり的てき價あたい錢ぜに相差おうさつ一いち倍ばい或ある數すう倍ばい，即そく使つかい有ゆう通過つうか關せき卡那種しゅ艱難かんなん，碰見盜賊とうぞく那な種しゅ危險きけん，也一定去做買賣。現在げんざい士し坐すわ著ちょ道どう說せつ義よし，沒ぼつ有ゆう關せき卡的艱難かんなん，沒ぼつ有ゆう盜賊とうぞく的てき危險きけん，即そく使つかい這樣還かえ不ふ實行じっこう。那な么士人じん計算けいさん利益りえき，不ふ如商人じん明察めいさつ了りょう。」

17 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ北之きたの齊ひとし，遇ぐう日び者しゃ。日にち者しゃ曰：「帝みかど以今日び殺ころせ黑くろ龍りゅう於北方ほっぽう，而先生せんせい之の色いろ黑くろ，不可ふか以北いほく。」子こ墨ぼく子こ不ふ聽，遂とげ北きた，至いたり淄水，不ふ遂とげ而反焉。日にち者しゃ曰：「我わが謂いい先生せんせい不可ふか以北いほく。」子こ墨ぼく子こ曰：「南みなみ之の人ひと不ふ得とく北きた，北之きたの人じん不ふ得とく南みなみ，其色有ゆう黑くろ者しゃ有ゆう白しろ者しゃ，何故なぜ皆みな不ふ遂とげ也？且帝以甲乙おつ殺ころせ青あお龍りゅう於東おひがし方かた，以丙丁ひのと殺ころせ赤あか龍りゅう於南方かた，以庚辛からし殺ころせ白龍はくりゅう於西方かた，以壬癸みずのと殺ころせ黑くろ龍りゅう於北方ほっぽう，若わか用よう子こ之の言げん，則のり是ぜ禁きん天下でんか之の行者ぎょうじゃ也。是ぜ圍かこえ心こころ而虛天下でんか也，子し之の言げん不可ふか用よう也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ往北到いた齊ひとし國こく去さ，遇ぐう到いた一いち個こ占うらない卦け先生せんせい。占うらない卦け先生せんせい說せつ：「歷史れきし上じょう的てき今こん天てん，黃き帝みかど在ざい北方ほっぽう殺ころせ死し了りょう黑くろ龍りゅう，你的臉色黑くろ，不能ふのう向こう北きた去さ。」墨ぼく子こ不ふ聽，竟繼續けいぞく向こう北きた走はし。到いた淄水邊あたり，沒ぼつ有ゆう渡河とか返かえし了りょう回かい來らい。占うらない卦け先生せんせい說せつ：「 我わが對たい你說過か不能ふのう向こう北きた走はし。」墨ぼく子こ說せつ：「淄水之の南みなみ的てき人じん不能ふのう渡わたり淄水北きた去さ，淄水之の北きた的てき人じん也不能ふのう渡わたり淄水南すいなん行ゆき，他た們的臉色有ゆう黑くろ的てき有ゆう白しろ的てき，為ため什么都と不能ふのう渡わたり呢？況きょう且黃帝みかど甲乙こうおつ日在ひあり東方とうほう殺ころせ死し了りょう青あお龍りゅう，丙へい丁ひのと日在ひあり南方なんぽう殺ころせ死し了りょう赤あか龍りゅう，庚かのえ辛からし日在ひあり西方せいほう殺ころせ死し了りょう白龍はくりゅう，壬みずのえ癸みずのと日在ひあり北方ほっぽう殺ころせ死し了りょう黑くろ龍りゅう，假かり如實にょじつ行ぎょう你的辦法，這是禁止きんし天下でんか所有しょゆう的てき人じん來往らいおう了りょう。這也是ぜ困こま蔽人心しん，使つかい天下でんか如同虛無きょむ人跡じんせき一いち樣よう。所以ゆえん你的言論げんろん不能ふのう用よう。」

18 貴義たかよし:
子こ墨ぼく子こ曰：「吾われ言げん足あし用よう矣，舍しゃ言げん革かわ思おもえ者しゃ，是これ猶なお舍しゃ穫か而拾粟あわ也。以其言げん非ひ吾われ言げん者しゃ，是これ猶なお以卵投石とうせき也，盡つき天下でんか之の卵たまご，其石猶なお是也これや，不可ふか毀也。」
貴義たかよし:
墨ぼく子こ說せつ：「我が的てき言論げんろん足あし夠用了りょう！舍しゃ棄我的てき學說がくせつ、主張しゅちょう而另外がい思慮しりょ，這就象ぞう放棄ほうき收おさむ獲え而去拾じつ別人べつじん遺留いりゅう的てき谷たに穗ほ一いち樣よう。用よう別べつ人的じんてき言論げんろん否定ひてい我が的てき言論げんろん，這就象ぞう用よう雞蛋去碰石頭あたま一いち樣よう。用よう盡つき天下でんか的てき雞蛋，石頭いしあたま還かえ是ぜ這個樣子ようす，并不能ふのう毀壞它。」

《公おおやけ孟はじめ - Gong Meng》

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1 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ謂いい子こ墨すみ子こ曰：「君子くんし共ども己おのれ以待，問もん焉則言ごと，不問ふもん焉則止どめ。譬たとえ若わか鍾然，扣則鳴な，不ふ扣則不ふ鳴な。」子こ墨ぼく子こ曰：「是ぜ言げん有ゆう三さん物ぶつ焉，子し乃今知ち其一身いっしん也，又また未知みち其所謂いわゆる也。若わか大人おとな行ぎょう淫いん暴於國家こっか，進しん而諫，則のり謂いい之の不遜ふそん，因いん左右さゆう而獻諫，則のり謂いい之の言げん議ぎ。此君子こ之これ所しょ疑惑ぎわく也。若わか大人おとな為政いせい，將はた因いん於國家こっか之の難なん，譬たとえ若わか機き之の將しょう發はつ也然，君子くんし之の必以諫，然しか而大人じん之の利り，若わか此者，雖不扣必鳴者しゃ也。若わか大人おとな舉不義之よしゆき異い行くだり，雖得大だい巧たくみ之の經へ，可か行くだり於軍旅たび之の事こと，欲よく攻おさむ伐き無罪むざい之の國くに，有ゆう之の也，君きみ得とく之の，則のり必用ひつよう之の矣。以廣辟土地ち，著ちょ稅ぜい偽にせ材ざい，出で必見ひっけん辱はずかしめ，所ところ攻おさむ者しゃ不利ふり，而攻者しゃ亦また不利ふり，是ぜ兩りょう不ふ利也としや。若わか此者，雖不扣必鳴者しゃ也。且子曰：『君子くんし共ども己おのれ待まて，問もん焉則言ごと，不問ふもん焉則止どめ，譬たとえ若わか鍾然，扣則鳴な，不ふ扣則不ふ鳴な。』今こん未み有ゆう扣，子し而言，是ぜ子こ之の謂いい不ふ扣而鳴邪よこしま？是ぜ子こ之の所謂いわゆる非ひ君子くんし邪よこしま？」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ對たい墨ぼく子こ說せつ：「君子くんし自己じこ抱だき著ちょ兩手りょうて而等待まち，問もん到いた他た就說，不問ふもん他た就不說せつ。好こう象ぞう鐘一しょういち樣さま：敲擊它就響ひびき，不ふ敲就不ふ響ひびき。」墨ぼく子こ說せつ：「這話有ゆう三さん種しゅ情じょう形がた，你現在げんざい只ただ知ち其中之の二に罷やめ了りょう，并且又また不知ふち這二者しゃ所說しょせつ的てき是ぜ什么。如果王公おうこう大人おとな在ざい國家こっか荒淫こういん暴虐ぼうぎゃく，君子くんし前まえ去さ勸すすむ諫，就會說せつ他た不ふ恭順きょうじゅん；依よ靠もたれ近臣きんしん獻上けんじょう自己じこ的てき意見いけん，則のり又また叫さけべ做私下か議論ぎろん，這是君子くんし所しょ疑惑ぎわく的てき事情じじょう。如果王公おうこう大人おとな執政しっせい，國家こっか因いん而將發生はっせい災難さいなん，好こう象ぞう弩いしゆみ機き將はた要よう發射はっしゃ一いち樣よう急迫きゅうはく，君子くんし一定要勸諫，這是王公おうこう大人おとな的てき利益りえき。如此緊急きんきゅう，如鐘一いち樣よう，雖不敲也會かい發出はっしゅつ聲音こわね來らい。如果王公おうこう大人おとな從事じゅうじ邪よこしま行ぎょう，做不義ふぎ的てき事こと，得とく到いた十分じゅうぶん巧妙こうみょう的てき兵書へいしょ，一定會用于行軍打仗，想そう攻おさむ打だ無罪むざい的てき國家こっか并據有ゆう它。國くに君くん得え到いた這樣的てき兵書へいしょ，必定ひつじょう使用しよう無な疑うたぐ。王公おうこう大人おとな用よう戰せん事ごと擴充かくじゅう領土りょうど，聚集貨物かもつ、錢ぜに財ざい，但ただし是ぜ出師すいし卻一定いってい受辱，對たい被ひ攻おさむ打だ的てき國家こっか不利ふり，對たい攻おさむ打だ別人べつじん的てき自己じこ的てき國家こっか也不利ふり，兩個りゃんこ都と不利ふり。象ぞう這樣，如鐘雖不敲，一定いってい會かい發出はっしゅつ聲音こわね來らい。況きょう且你說せつ：『君子くんし自己じこ抱だき著ちょ兩手りょうて而等待まち，問もん到いた他た就說，不問ふもん他た就不說せつ。好こう象ぞう鐘一しょういち樣さま：敲擊它就響ひびき，不ふ敲就不ふ響ひびき。』現在げんざい沒ぼつ有人ゆうじん敲擊你，你卻說話せつわ了りょう，這是你說的てき『不ふ敲而鳴』吧？這是你說的てき『非ひ君子くんし的てき行為こうい』吧？」

2 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ謂いい子こ墨すみ子こ曰：「實じつ為ため善ぜん，人にん孰不知ふち？譬たとえ若わか良りょう玉だま，處しょ而不出で有餘ゆうよ糈。譬たとえ若わか美女びじょ，處しょ而不出で，人にん爭そう求もとめ之これ。行くだり而自衒，人にん莫之取と也。今子いまこ遍へん從したがえ人じん而說之の，何なに其勞也？」子こ墨ぼく子こ曰：「今こん夫おっと世よ亂みだれ，求もとめ美女びじょ者しゃ眾，美女びじょ雖不出で，人にん多た求もとめ之の；今いま求もとめ善ぜん者しゃ寡，不ふ強つよし說せつ人じん，人にん莫之知也ともや。且有二に生せい，於此善ぜん筮。一いち行為こうい人じん筮者，一いち處しょ而不出ふしゅつ者しゃ。行為こうい人じん筮者與あずか處しょ而不出ふしゅつ者しゃ，其糈孰多？」公おおやけ孟子もうこ曰：「行為こうい人じん筮者其糈多た。」子こ墨ぼく子こ曰：「仁義じんぎ鈞ひとし。行くだり說せつ人じん者しゃ，其功善よ亦また多た，何故なぜ不ふ行くだり說せつ人じん也！」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ對たい墨ぼく子こ說せつ：「真正しんしょう行こう善ぜん誰だれ人にん不知ふち道どう呢。好こう比美ひみ玉だま隱かくれ藏ぞう不出ふしゅつ，仍然有ゆう異常いじょう的てき光彩こうさい。好こう比ひ美女びじょ隱かくれ住じゅう不出ふしゅつ，人にん們爭相しょう追求ついきゅう；但ただし如果她自己じこ進行しんこう自我じが炫耀，人にん們就不ふ娶めと她了。現在げんざい您到處しょ跟隨別人べつじん，用よう話ばなし勸すすむ說せつ他た們，怎么這么勞苦ろうく啊！」墨ぼく子こ說せつ：「現げん在世ざいせい間あいだ混亂こんらん，追求ついきゅう美女びじょ的てき人じん多た，美女びじょ即そく使し隱かくれ住じゅう不出ふしゅつ，而人多た追求ついきゅう她們；現在げんざい追求ついきゅう善ぜん的てき人じん太ふとし少しょう了りょう，不ふ努力どりょく勸すすむ說せつ人じん，人にん就不知道ともみち了りょう。假かり如這里さと有ゆう兩りょう個人こじん，都みやこ善よし于占卜ぼく，一個人出門給別人占卜，另一個人こじん隱かくれ住じゅう不出ふしゅつ，出で門もん給人きゅうにん占うらない卜ぼく的てき與あずか隱かくれ住じゅう不出ふしゅつ的てき，哪一個所得的贈糧多呢？」公おおやけ孟子もうこ說せつ：「出で門もん給人きゅうにん占うらない卜ぼく的てき贈おく糧かて多た。」墨ぼく子こ說せつ：「主張しゅちょう仁義じんぎ相しょう同どう，出で門もん向むこう人じん們勸說せつ的てき，他た的てき功績こうせき和わ益えき處しょ多た。為ため什么不出來ふでき勸すすむ說せつ人じん們呢？」

3 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ戴章甫はじめ，搢忽，儒服，而以見み子こ墨ぼく子こ曰：「君子くんし服ふく然しか後ご行ぎょう乎？其行然しか後こう服ふく乎？」子こ墨ぼく子こ曰：「行くだり不在ふざい服ふく。」公おおやけ孟子もうこ曰：「何なに以知其然也？」子こ墨ぼく子こ曰：「昔むかし者しゃ，齊ひとし桓公かんこう高だか冠かんむり博ひろし帶たい，金きむ劍けん木き盾たて，以治其國，其國治ち。昔むかし者しゃ，晉すすむ文ぶん公こう大だい布ぬの之の衣ころも，牂羊之の裘，韋以帶劍たいけん，以治其國，其國治ち。昔むかし者しゃ，楚すわえ莊そう王おう鮮冠組ぐみ纓えい，縫ぬい衣ころも博ひろし袍ほう，以治其國，其國治ち。昔むかし者しゃ，越えつ王おう句く踐剪髮かみ文身いれずみ，以治其國，其國治ち。此四君くん者しゃ，其服不同ふどう，其行猶なお一也かずや。翟以是ぜ知行ちぎょう之の不在ふざい服ふく也。」公おおやけ孟子もうこ曰：「善よし！吾われ聞之曰『宿善しゅくぜん者しゃ不祥ふしょう』，請舍忽ゆるがせ，易えき章あきら甫はじめ，復ふく見み夫子ふうし可か乎？」子こ墨ぼく子こ曰：「請因以相見み也。若わか必將舍しゃ忽ゆるがせ、易えき章あきら甫はじめ，而後相しょう見み，然しか則行のりゆき果はて在ざい服ふく也。」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ戴著禮帽れいぼう，腰間ようかん插著笏しゃく，穿ほじ著しる儒者じゅしゃ的てき服飾ふくしょく，前ぜん來らい會見かいけん墨ぼく子こ，說せつ：「君子くんし穿ほじ戴一定いってい的てき服飾ふくしょく，然しか后きさき有ゆう一定いってい的てき作為さくい呢？還かえ是ぜ有ゆう一定いってい的てき作為さくい，再さい穿ほじ戴一定いってい的てき服飾ふくしょく？」墨ぼく子こ說せつ：「有ゆう作為さくい并不在ざい于服飾ふくしょく。」公おおやけ孟子もうこ問とい道どう：「您為什么知道ともみち這樣呢？」墨ぼく子こ回答かいとう說せつ：「從前じゅうぜん齊ひとし桓公かんこう戴著高だか帽子ぼうし，系けい著大ちょだい帶たい，佩著金きん劍けん木き盾たて，治ち理り國家こっか，國家こっか的てき政治せいじ得え到いた了りょう治ち理り；從前じゅうぜん晉すすむ文ぶん公こう穿ほじ著しる粗布そふ衣服いふく，披著母はは羊ひつじ皮がわ的てき大だい衣ころも，佩著帶劍たいけん，治ち理り國家こっか，國家こっか的てき政治せいじ得え到いた了りょう治ち理り；從前じゅうぜん楚すわえ莊そう王おう戴著鮮冠，系けい著ちょ系けい冠かんむり的てき絲いと帶たい，穿ほじ著大ちょだい紅べに長ちょう袍ほう，治ち理り他た的てき國家こっか，國家こっか得え到いた了りょう治ち理り；從前じゅうぜん越えつ王おう勾踐剪斷頭あたま發はつ，用よう針はり在ざい身上しんじょう刺とげ了りょう花はな紋もん，治ち理り他た的てき國家こっか，國家こっか得え到いた了りょう治ち理り。這四よん位い國こく君くん，他た們的服飾ふくしょく不同ふどう，但ただし作為さくい卻是一いち樣よう的てき。我わが因いん此知道どう有ゆう作為さくい不在ふざい服飾ふくしょく。」公おおやけ孟子もうこ說せつ：「說得せっとく真ま好このみ！我わが聽人說せつ過か：『使つかい好事こうじ停止ていし不ふ行くだり的てき人じん，是ぜ不ふ吉利よしとし的てき。』讓ゆず我わが丟棄笏しゃく，換かわ了りょう禮帽れいぼう，再さい來見くるみ您，可か以嗎？」墨ぼく子こ說せつ：「希望きぼう就這樣さま見み你，如果一定いってい要よう丟棄笏しゃく，換かわ了りょう禮帽れいぼう，然しか后きさき再さい見み面めん，那な么是有作ゆうさく為果しおおせ真ま在ざい于服飾ふくしょく了りょう。」

4 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ曰：「君子くんし必古言げん服ふく，然しか後こう仁じん。」子こ墨ぼく子こ曰：「昔むかし者しゃ，商しょう王おう紂，卿きょう士し費ひ仲なか，為ため天下でんか之の暴人，箕み子こ、微ほろ子こ為ため天下でんか之の聖人せいじん，此同言げん而或仁じん不仁ふじん也。周しゅう公こう旦だん為ため天下でんか之の聖人せいじん，關せき叔為天下でんか之の暴人，此同服ふく或ある仁じん或ある不仁ふじん。然しか則のり不在ふざい古こ服ふく與あずか古こ言げん矣。且子法ほう周しゅう而未法ほう夏なつ也，子し之の古こ非ひ古こ也。」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ說せつ：「君子くんし一定要說古言、穿ほじ古こ服ふく，然しか后きさき才ざい稱しょう得どく上じょう具有ぐゆう仁德じんとく修養しゅうよう。」墨ぼく子こ說せつ：「從前じゅうぜん商しょう紂王的てき卿きょう士し費ひ仲なか，是ぜ天下でんか有名ゆうめい的てき暴虐ぼうぎゃく之の人ひと；箕み子こ、微ほろ子こ，是ぜ天下でんか有名ゆうめい的てき聖人せいじん。這是同どう說せつ古こ言げん而或仁德にんとく或ある不ふ仁德にんとく的てき例れい子こ。周しゅう公こう旦だん是ぜ天下でんか有名ゆうめい的てき聖人せいじん；關せき叔是天下でんか有名ゆうめい的てき暴虐ぼうぎゃく之これ人にん，這又是ぜ同どう穿ほじ古こ服ふく而或仁德にんとく或ある不ふ仁德にんとく的てき例れい子こ。具有ぐゆう仁德じんとく修養しゅうよう，不在ふざい于古言げん古こ服ふく！況きょう且你效こう法ほう周しゅう而沒有效ゆうこう法ほう夏なつ，你的古いにしえ，其實并不古いにしえ。」

5 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ謂いい子こ墨すみ子こ曰：「昔むかし者しゃ聖王せいおう之の列れつ也，上うえ聖きよし立たて為ため天子てんし，其次立りつ為ため卿きょう、大夫たいふ，今こん孔子こうし博はく於詩、書しょ，察於禮樂れいがく，詳しょう於萬物ぶつ，若わか使つかい孔子こうし當とう聖王せいおう，則のり豈あに不ふ以孔子こ為ため天子てんし哉？」子こ墨ぼく子こ曰：「夫おっと知者ちしゃ，必尊天てん事ごと鬼おに，愛人あいじん節用せつよう，合ごう焉為知ち矣。今子いまこ曰：『孔子こうし博はく於詩書しょ，察於禮樂れいがく，詳しょう於萬物ぶつ』，而曰可か以為天子てんし，是ぜ數すう人にん之の齒は，而以為ため富とみ。」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ對たい墨ぼく子こ說せつ：「從前じゅうぜん聖王せいおう安やす排はい位い次じ，道德どうとく智能ちのう最高さいこう的てき上じょう聖せい立だて作さく天子てんし，其次的てき立だて作さく卿きょう大夫たいふ。現在げんざい孔子こうし博はく通どおり《詩し》、《書しょ》，明察めいさつ禮れい、樂たのし之これ制せい，備知天下でんか萬物ばんぶつ。如果讓ゆずる孔子こうし當とう上うえ聖きよし，豈あに不ふ是ぜ可か以讓孔子こうし作さく天子てんし了りょう嗎？」墨ぼく子こ說せつ：「所謂いわゆる智者ちしゃ，一定いってい尊重そんちょう上天じょうてん，侍さむらい奉たてまつ鬼神きじん，愛護あいご百姓ひゃくしょう，節約せつやく財用ざいよう，合ごう于這些要求ようきゅう，才さい可か以稱得どく上じょう智者ちしゃ。現在げんざい你說孔子こうし博はく通どおり《詩し》、《書しょ》，明察めいさつ禮れい、樂たのし之これ制せい，備知天下でんか萬物ばんぶつ，而認為ため他た可か以作天子てんし。這是數すう別人べつじん契ちぎり據よりどころ上じょう的てき刻こく數すう，卻自以為富裕ふゆう了りょう。」

6 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ曰：「貧富ひんぷ壽ことぶき夭，齰然在天ざいてん，不可ふか損益そんえき。」又また曰：「君子くんし必學。」子こ墨ぼく子こ曰：「教きょう人じん學がく而執有ゆう命いのち，是これ猶なお命いのち人じん葆而去亓冠也。」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ說せつ：「貧困ひんこん、富裕ふゆう、長壽ちょうじゅ、夭折ようせつ，確實かくじつ由よし天てん注ちゅう定じょう，不能ふのう夠增減げん它們。」又また說せつ：「君子くんし一定いってい要よう學習がくしゅう。」墨ぼく子こ說せつ：「教きょう人じん學習がくしゅう卻宣揚せんよう『有ゆう命いのち』的てき觀念かんねん，就好象ぞう讓ゆずる人じん包つつみ裹頭發はつ，（本來ほんらい為ため了りょう戴帽子こ，）現在げんざい卻拿去了りょう他た的てき帽子ぼうし一いち樣よう。」

7 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ謂いい子こ墨すみ子こ曰：「有ゆう義ぎ不義ふぎ，無む祥さち不祥ふしょう。」子こ墨ぼく子こ曰：「古こ聖王せいおう皆みな以鬼神しん為ため神明しんめい，而為禍福かふく，執と有ゆう祥さち不祥ふしょう，是ぜ以政治せいじ而國安やす也。自じ桀紂以下いか，皆みな以鬼神しん為ため不ふ神明しんめい，不能ふのう為ため禍福かふく，執と無む祥さち不祥ふしょう，是ぜ以政亂らん而國危也。故こ先王せんおう之これ書しょ，子し亦また有ゆう之の曰：『亓傲也，出で於子，不祥ふしょう。』此言為ため不善ふぜん之の有ゆう罰ばつ，為ため善之よしゆき有ゆう賞しょう。」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ對たい墨ぼく子こ說せつ：「人ひと存在そんざい義ぎ與あずか不義ふぎ的てき情況じょうきょう，但ただし不ふ存在そんざい因いん人的じんてき義ぎ與あずか不義ふぎ而得福ぶく得とく禍か的てき情況じょうきょう。」墨ぼく子こ說せつ：「古代こだい的てき聖王せいおう都と認みとめ為ため鬼神きじん是ぜ神明しんめい的てき，能のう帶たい來らい禍福かふく，主張しゅちょう『因いん人的じんてき義ぎ與あずか不義ふぎ而得福ぶく得とく禍か』的てき觀點かんてん，因いん此政治せいじ清明せいめい，國家こっか安寧あんねい。自じ從したがえ桀、紂以來いらい，都と認みとめ為ため鬼神きじん不ふ神明しんめい，不能ふのう帶たい來らい禍福かふく，主張しゅちょう『人的じんてき不義ふぎ得とく不ふ了りょう禍か』的てき觀點かんてん，因いん此政治せいじ混亂こんらん，國家こっか一いち個個ここ滅亡めつぼう了りょう。先王せんおう的てき書しょ你也有ゆう，那な書しょ上じょう講こう：『言行げんこう傲慢ごうまん，對たい你不吉祥きっしょう。』這話是ぜ對たい不善ふぜん的てき懲罰ちょうばつ，又また是ぜ對たい從したがえ善ぜん的てき獎賞。」

8 公おおやけ孟はじめ:
子こ墨ぼく子こ謂いい公こう孟子もうこ曰：「喪も禮れい，君きみ與あずか父母ちちはは、妻つま、後こう子こ死し，三さん年ねん喪服もふく，伯父おじ、叔父おじ、兄弟きょうだい期き，族ぞく人じん五ご月がつ，姑しゅうと、姊、舅しゅうと、甥おい皆みな有ゆう數すう月がつ之の喪も。或ある以不喪も之の閒あいだ，誦詩三さん百ひゃく，弦げん詩し三さん百ひゃく，歌うた詩し三さん百ひゃく，舞まい詩し三さん百ひゃく。若わか用よう子こ之の言げん，則のり君子くんし何なん日にち以聽治ち？庶人何なん日にち以從事じゅうじ？」公おおやけ孟子もうこ曰：「國くに亂らん則そく治之はるゆき，國治くにはる則のり為ため禮樂れいがく。國治くにはる則のり從事じゅうじ，國富こくふ則そく為ため禮樂れいがく。子こ墨すみ子こ曰：「國之くにゆき治ち。治之はるゆき廢はい，則のり國こく之の治ち亦また廢はい。國之くにゆき富也とみや，從事じゅうじ，故こ富也とみや。從事じゅうじ廢はい，則のり國こく之の富とみ亦また廢はい。故こ雖治國こく，勸すすむ之の無む饜，然しか後ご可也かなり。今子いまこ曰：『國治くにはる，則のり為ため禮樂れいがく，亂らん則そく治之はるゆき』，是ぜ譬たとえ猶なお噎むせ而穿井せんせい也，死し而求醫い也。古いにしえ者しゃ三代暴王桀紂幽厲，薾為聲樂せいがく，不ふ顧其民みん，是ぜ以身為ため刑けい僇，國くに為ため戾もど虛きょ者しゃ，皆みな從したがえ此道也みちや。」
公おおやけ孟はじめ:
墨ぼく子こ對たい公おおやけ孟子もうこ說せつ： 「按照喪も禮れい：國くに君くん與あずか父母ちちはは、妻子さいし、長子ちょうし死し了りょう，要よう穿ほじ戴三さん年ねん喪服もふく；伯父おじ、叔父おじ、兄弟きょうだい死し了りょう，只ただ一いち年ねん；族ぞく人死ひとじに了りょう，五ご個月かげつ；姑しゅうと、姐あね、舅しゅうと、甥おい死し了りょう，也都有ゆう幾いく個月かげつ的てき服喪ふくも期き。又また在ざい不ふ辦喪事ごと的てき間隙かんげき，誦《詩し三さん百ひゃく》，又また配はい以舞蹈。如果用よう你的言論げんろん，那な么國君くん哪一天可以從事政治呢？百姓又哪一天可以從事事務呢？」公おおやけ孟子もうこ答こたえ道どう：「國家こっか混亂こんらん就從事じゅうじ政治せいじ，國家こっか安寧あんねい就從事じゅうじ禮れい、樂らく；國家こっか貧困ひんこん就從事じゅうじ事務じむ，國家こっか富裕ふゆう就從事じゅうじ禮れい、樂らく。」墨ぼく子こ說せつ：「國家こっか安寧あんねい，如果治ち理り廢棄はいき了りょう，國家こっか的てき安寧あんねい也就廢棄はいき了りょう。國家こっか富裕ふゆう，由ゆかり于百姓從事事務才富裕；百姓ひゃくしょう的てき從事じゅうじ廢棄はいき了りょう，國家こっか的てき富裕ふゆう也就廢棄はいき了りょう。所以ゆえん治國ちこく的てき事こと，必須ひっす勤勉きんべん不ふ止とめ，才さい可か以治好このみ。現在げんざい你說：『國家こっか安寧あんねい就從事じゅうじ禮れい、樂らく，國家こっか混亂こんらん就從事じゅうじ政治せいじ。』就如同どう吃ども飯めし噎むせ住じゅう了りょう才ざい鑿井さくせい，人死ひとじに了りょう才ざい求もとめ醫い一いち樣よう。古こ時候じこう，三代的暴虐之王夏桀、商しょう紂、周しゅう幽かそけ王おう、周しゅう厲王大だい搞聲樂せいがく，不ふ顧老百姓ひゃくしょう的てき死活しかつ，因いん而自身成みなり了りょう刑けい戮之人じん，國家こっか也遭到了りょう滅亡めつぼう，都みやこ是ただし由よし于這種しゅ主張しゅちょう造成ぞうせい的てき。」

9 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ曰：「無む鬼神きじん。」又また曰：「君子くんし必學祭祀さいし。」子こ墨ぼく子こ曰：「執と無む鬼おに而學祭禮さいれい，是これ猶なお無む客きゃく而學客きゃく禮れい也，是これ猶なお無む魚さかな而為魚ぎょ𦊟也。」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ說せつ：「沒ぼつ有ゆう鬼神きじん。」又また說せつ：「君子くんし一定いってい要よう學習がくしゅう祭禮さいれい。」墨ぼく子こ說せつ：「主張しゅちょう『沒ぼつ有ゆう鬼神きじん』的てき觀點かんてん卻勸人じん學習がくしゅう祭禮さいれい，這就象ぞう沒ぼつ有ゆう賓客ひんきゃく卻學習がくしゅう接待せったい賓客ひんきゃく的てき禮節れいせつ，沒ぼつ有ゆう魚ぎょ卻結魚ぎょ網もう一いち樣よう。」

10 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ謂いい子こ墨すみ子こ曰：「子こ以三さん年ねん之の喪も為ため非ひ，子し之の三日之喪亦非也。」子こ墨ぼく子こ曰：「子こ以三さん年ねん之の喪も非ひ三さん日にち之の喪も，是これ猶なお裸はだか謂いい撅者不ふ恭きょう也。」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ對たい墨ぼく子こ說せつ：「您認為ため守もり三さん年ねん喪も期き是ぜ錯的，那な么您主張しゅちょう的てき守まもり三さん日にち喪も期き也不對たい。」墨ぼく子こ說せつ：「你用三年的喪期攻擊三日的喪期，就好象ぞう裸體らたい的てき人ひと說せつ掀衣露ろ體たい的てき人じん不ふ恭敬きょうけい一いち樣よう。」

11 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ謂いい子こ墨すみ子こ曰：「知ち有ゆう賢けん於人，則のり可か謂いい知ち乎？」子こ墨ぼく子こ曰：「愚ぐ之の知ち有ゆう以賢於人，而愚豈あに可か謂いい知ち矣哉？」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ對たい墨ぼく子こ說せつ：「某ぼう人的じんてき所しょ知ち，有ゆう勝かち過か人家じんか的てき地方ちほう，那な么，可か以說他た是ぜ智慧ちえ聰明そうめい的てき人じん嗎？」墨ぼく子こ答こたえ道どう：「愚者ぐしゃ的てき所しょ知ち，有ゆう勝かち過か他人たにん的てき地方ちほう，然しか而難道どう能のう說せつ愚者ぐしゃ是ぜ智慧ちえ聰明そうめい的てき人じん嗎？」

12 公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ曰：「三さん年ねん之の喪も，學がく吾われ之の慕父母ちちはは。」子こ墨ぼく子こ曰：「夫おっと嬰兒えいじ子こ之の知ち，獨どく慕父母ちちはは而已。父母ちちはは不可ふか得とく也，然しか號ごう而不止どめ，此亓故こ何なん也？即そく愚ぐ之の至いたり也。然しか則のり儒者じゅしゃ之の知ち，豈あに有ゆう以賢於嬰兒えいじ子こ哉？」
公おおやけ孟はじめ:
公おおやけ孟子もうこ說せつ：「守まもり三さん年ねん的てき喪も期き，這是仿效孩子依よ戀こい父母ちちはは的てき情意じょうい。」墨ぼく子こ說せつ：「嬰兒えいじ的てき智慧ちえ，唯ただ獨どく希まれ慕自己じこ的てき父母ちちはは而已，父母ちちはは不ふ見み了りょう，就大哭不止どめ。這是什么緣故えんこ呢？這是愚ぐ笨到了りょう極點きょくてん。那な么儒者しゃ的てき智慧ちえ，難なん道みち有ゆう勝しょう過小かしょう●子こ的てき地方ちほう嗎？」

13 公おおやけ孟はじめ:
子こ墨ぼく子こ曰問於儒者しゃ：「何故なぜ為ため樂らく？」曰：「樂らく以為樂らく也。」子こ墨ぼく子こ曰：「子こ未み我わが應おう也。今いま我わが問とい曰：『何故なぜ為ため室しつ？』曰：『冬ふゆ避寒ひかん焉，夏なつ避暑ひしょ焉，室しつ以為男女だんじょ之の別べつ也。』則子のりこ告つげ我わが為ため室しつ之の故こ矣。今いま我わが問とい曰：『何故なぜ為ため樂らく？』曰：『樂らく以為樂らく也。』是これ猶なお曰『何故なぜ為ため室しつ』？曰『室しつ以為室しつ也』。」
公おおやけ孟はじめ:
墨ぼく子こ問とい一いち個こ儒者じゅしゃ說せつ：「為ため什么從事じゅうじ音樂おんがく？」儒者じゅしゃ回答かいとう說せつ：「以音樂おんがく作為さくい娛樂ごらく。」墨ぼく子こ說せつ：「你沒有ゆう回答かいとう我が。現在げんざい我わが問とい：『為ため什么建造けんぞう房ぼう屋や？』回答かいとう說せつ：『冬ふゆ天てん避寒ひかん，夏なつ天たかし避暑ひしょ，建造けんぞう房ぼう屋や也用來らい分別ふんべつ男女だんじょ。』那な么，是ぜ你告訴こくそ了りょう我わが造みやつこ房ぼう屋や的てき原因げんいん。現在げんざい我わが問とい：『為ため什么從事じゅうじ音樂おんがく？』回答かいとう說せつ：『以音樂おんがく作為さくい娛樂ごらく。』如同問とい：『為ため什么建造けんぞう房ぼう屋や？』回答かいとう說せつ：『建造けんぞう房ぼう屋や是ぜ建造けんぞう房ぼう屋や』 一樣いちよう。」

14 公おおやけ孟はじめ:
子こ墨ぼく子こ謂いい程ほど子こ曰：「儒之道どう足あし以喪天下でんか者しゃ，四よん政せい焉。儒以天為てんい不明ふめい，以鬼為ため不ふ神かみ，天てん鬼おに不ふ說せつ，此足以喪天下でんか。又また厚あつ葬そう久ひさ喪も，重じゅう為ため棺かん槨，多た為ため衣ころも衾ふすま，送おく死し若わか徙，三さん年ねん哭泣，扶後起おこり，杖つえ後ご行ぎょう，耳みみ無む聞，目め無む見み，此足以喪天下でんか。又また弦歌げんか鼓舞こぶ，習為聲樂せいがく，此足以喪天下でんか。又また以命為ため有ゆう，貧富ひんぷ壽ことぶき夭，治亂ちらん安危あんき有ゆう極ごく矣，不可ふか損益そんえき也，為ため上うえ者しゃ行ぎょう之の，必不聽治矣；為ため下か者しゃ行ぎょう之の，必不從事じゅうじ矣，此足以喪天下でんか。」程ほど子こ曰：「甚矣！先生せんせい之の毀儒也。」子こ墨ぼく子こ曰：「儒固無む此若四よん政せい者しゃ，而我言ごと之の，則のり是ぜ毀也。今こん儒固有こゆう此四政せい者しゃ，而我言ごと之の，則のり非ひ毀也，告つげ聞也。」程ほど子こ無む辭じ而出。子こ墨すみ子こ曰：「迷之！」反はん，後ご坐すわ，進しん復ふく曰：「鄉さと者しゃ先生せんせい之の言げん有可ゆか聞者焉，若わか先生せんせい之の言げん，則のり是ぜ不ふ譽ほまれ禹，不ふ毀桀紂也。」子こ墨ぼく子こ曰：「不ふ然しか，夫おっと應おう孰辭，稱しょう議ぎ而為之の，敏也としや。厚あつ攻おさむ則そく厚あつ吾われ，薄うすき攻おさむ則のり薄うす吾われ。應おう孰辭而稱議ぎ，是これ猶なお荷に轅ながえ而擊蛾が也。」
公おおやけ孟はじめ:
墨ぼく子こ對たい程ほど子こ說せつ：「儒家じゅか的てき學說がくせつ足あし以喪亡ほろび天下でんか的てき有ゆう四よん種しゅ。儒家じゅか認みとめ為ため天てん不ふ明察めいさつ，認みとめ為ため鬼神きじん不ふ神明しんめい。天てん、鬼神きじん不ふ高こう興きょう，這足以喪亡ほろび天下でんか了りょう。又また加か上じょう厚あつ葬そう久ひさ喪も：做幾層そう的てき套棺，制せい很多的てき衣服いふく、被ひ子こ，送おく葬そう就象搬家一いち樣よう，哭泣三さん年ねん，人にん扶才能さいのう起おこり來らい，拄了拐杖才能さいのう行ぎょう走はし，耳みみ朵不聽外事がいじ，眼睛がんせい不ふ見み外物がいぶつ，這足以喪亡ほろび天下でんか了りょう。又また加か以弦歌か、擊げき鼓こ、舞まい蹈，以聲樂せいがく之の事こと作為さくい常習じょうしゅう，這足以喪亡ほろび天下でんか了りょう。同時どうじ又また認みとめ為ため有ゆう命いのち，說せつ貧困ひんこん、富裕ふゆう、長壽ちょうじゅ、夭折ようせつ、治亂ちらん安危あんき有ゆう一いち個こ定數ていすう，不可ふか增減ぞうげん變化へんか。統治とうち天下でんか的てき人じん實行じっこう他た們的學說がくせつ，一定いってい就不從事じゅうじ政治せいじ了りょう；被ひ統治とうち的てき人じん實行じっこう他た們的學說がくせつ，一定就不從事事務了，這足以喪亡ほろび天下でんか。」程ほど子こ說せつ：「太ふと過分かぶん了りょう！先生せんせい詆毀儒家じゅか。」墨ぼく子こ說せつ：「假かり如儒家か本來ほんらい沒ぼつ有ゆう這四よん種しゅ學說がくせつ，而我卻說有ゆう，這就是ぜ詆毀了りょう。現在げんざい儒家じゅか本來ほんらい就有這四よん種しゅ學說がくせつ，而我說せつ了りょう出來でき，這就不ふ是ぜ詆毀了りょう，是ぜ就我所しょ知ち告訴こくそ你罷了りょう。」程ほど子こ沒ぼつ有ゆう告つげ辭退じたい了りょう出來でき。墨ぼく子こ說せつ：「回かい來らい！」程ほど子こ返かえし了りょう回かい來らい，又また坐すわ下しも了りょう，他た再さい告訴こくそ墨ぼく子こ說せつ：「從前じゅうぜん，先生せんせい您的言論げんろん有可ゆか以聽的てき地方ちほう。先生せんせい象ぞう這樣談論だんろん，還かえ不ふ是ぜ詆毀禹，連れん桀紂也都不ふ詆毀了りょう。」墨ぼく子こ說せつ：「不ふ是ぜ這樣。能のう用よう常習じょうしゅう的てき言げん詞し作さく回答かいとう，又また切きり合あい事理じり，可か見み他た的てき敏さとし達たち。對たい方かた嚴げん詞し相しょう辯べん，我わが也一定いってい嚴げん詞し應おう敵てき，對たい方かた緩なる言げん相しょう讓ゆずる，我わが也一定緩言以對。如果平時へいじ應酬おうしゅう的てき言げん詞し，一定いってい要求ようきゅう切きり合あい事理じり，那な就象舉著車しゃ轅ながえ去さ敲擊蛾が子こ一いち樣よう了りょう。」

15 公おおやけ孟はじめ:
子こ墨ぼく子こ與あずか程ほど子こ辯べん，稱しょう於孔子こ。程ほど子こ曰：「非ひ儒，何故なぜ稱たたえ於孔子こ也？」子こ墨ぼく子こ曰：「是ぜ亦また當とう而不可ふか易者えきしゃ也。今こん鳥とり聞熱旱ひでり之の憂う則すなわち高だか，魚さかな聞熱旱ひでり之の憂う則すなわち下か，當とう此雖禹湯為之ためゆき謀はかりごと，必不能ふのう易えき矣。鳥とり魚ぎょ可か謂いい愚ぐ矣，禹湯猶なお云うん因いん焉。今こん翟曾無む稱しょう於孔子こ乎？」
公おおやけ孟はじめ:
墨ぼく子こ與あずか程ほど子こ辯論べんろん，稱贊しょうさん孔子こうし。程ほど子こ問とい：「您一向こう攻擊こうげき儒家じゅか的てき學說がくせつ，為ため什么又また稱贊しょうさん孔子こうし呢？」墨ぼく子こ答こたえ道どう：「孔子こうし也有やゆう合理ごうり而不可ふか改變かいへん的てき地方ちほう。現在げんざい鳥とり有ゆう熱ねつ旱ひでり之の患就向高むこうたか處しょ飛とべ，魚さかな有ゆう熱ねつ旱ひでり之の患則向こう水下みぞおち游ゆう，遇ぐう到いた這種情況じょうきょう，即そく使つかい禹、湯ゆ為ため它們謀はかりごと劃，也一定いってい不能ふのう改變かいへん。鳥とり、魚さかな可か說せつ是ぜ夠無知的ちてき了りょう，禹、湯ゆ有ゆう時じ還かえ要よう因循いんじゅん習俗しゅうぞく。難なん道みち我わが還かえ不能ふのう有ゆう稱贊しょうさん孔子こうし的てき地方ちほう嗎？」

16 公おおやけ孟はじめ:
有ゆう游ゆう於子墨すみ子こ之の門もん者しゃ，身體しんたい強きょう良りょう，思慮しりょ徇通，欲よく使し隨ずい而學。子こ墨すみ子こ曰：「姑しゅうと學がく乎，吾われ將はた仕つかまつ子こ。」勸すすむ於善言ぜんげん而學。其年，而責仕つかまつ於子墨すみ子こ。子こ墨すみ子こ曰：「不ふ仕つかまつ子こ，子し亦また聞夫魯語乎？魯有昆こん弟おとうと五ご人にん者しゃ，亓父死し，亓長子ちょうし嗜酒而不葬そう，亓四弟おとうと曰：『子こ與あずか我が葬そう，當為とうい子こ沽酒。』勸すすむ於善言ぜんげん而葬。已やめ葬そう，而責酒しゅ於其四よん弟おとうと。四よん弟おとうと曰：『吾われ末まつ予よ子こ酒しゅ矣，子し葬そう子こ父ちち，我が葬そう吾われ父ちち，豈あに獨どく吾われ父ちち哉？子こ不ふ葬そう，則のり人じん將はた笑子えみこ，故こ勸すすむ子こ葬そう也。』今子いまこ為ため義よし，我わが亦また為ため義よし，豈あに獨どく我わが義ぎ也哉？子こ不學ふがく，則のり人じん將はた笑子えみこ，故こ勸すすむ子こ於學。」
公おおやけ孟はじめ:
有ゆう一人來到墨子門下，身體しんたい健けん壯たけし，思慮しりょ敏捷びんしょう，墨ぼく子こ想そう讓ゆずる他た跟隨自己じこ學習がくしゅう。于是說せつ：「暫且學習がくしゅう吧，我わが將はた要よう讓ゆずる你出仕しゅっし做官。」用よう好こう話はなし勉勵べんれい他た而學習がくしゅう了りょう。過か了りょう一いち年ねん，那な人じん向こう墨ぼく子こ求もとめ出仕しゅっし。墨ぼく子こ說せつ：「我わが不ふ想そう讓ゆずる你出仕しゅっし。你應該聽過か魯國的てき故事こじ吧？魯國有こくゆう兄弟きょうだい五ご人にん，父親ちちおや死し了りょう，長子ちょうし嗜酒不ふ葬そう。四よん個こ弟おとうと弟おとうと對たい他た說せつ：『你和我わが們一起おこり安やす葬そう父親ちちおや，我わが們將給きゅう你買酒しゅ。』用よう好こう言げん勸すすむ他た葬そう了りょう父親ちちおや。葬そう后きさき，長子ちょうし向こう四よん個こ弟おとうと弟おとうと要よう酒さけ。弟おとうと弟おとうと們說：『我わが們不給きゅう你酒了りょう。你葬你的父親ちちおや，我わが們葬我わが們的父親ちちおや，怎么能のう說せつ只ただ是これ我わが們的父親ちちおや呢？你不葬そう別人べつじん將はた笑話しょうわ你，所しょ以勸你葬。』現在げんざい你行義よし，我わが也行義よし，怎么能のう說せつ只ただ是ぜ我が的てき義ぎ呢？你不學がく別人べつじん將はた要よう笑話しょうわ你，所しょ以勸你學習がくしゅう。」

17 公おおやけ孟はじめ:
有ゆう游ゆう於子墨すみ子こ之の門もん者しゃ，子し墨すみ子こ曰：「盍學乎？」對たい曰：「吾われ族ぞく人じん無學むがく者しゃ。」子こ墨ぼく子こ曰：「不ふ然しか，夫おっと好美よしみ者しゃ，豈あに曰吾族ぞく人じん莫之好このみ，故こ不ふ好こう哉？夫おっと欲ほし富貴ふうき者しゃ，豈あに曰我族ぞく人じん莫之欲よく，故こ不ふ欲よく哉？好美よしみ、欲よく富貴ふき者しゃ，不ふ視み人じん猶なお強つよ為ため之の。夫おっと義よし，天下てんか之の大器たいき也，何なに以視人じん必強為之ためゆき？」
公おおやけ孟はじめ:
有ゆう一個人來到墨子門下，墨すみ子こ說せつ：「何なに不ふ學習がくしゅう呢？」那な人じん回答かいとう說せつ： 「我わが家族かぞく中ちゅう沒ぼつ有ゆう學習がくしゅう的てき人じん。」墨ぼく子こ說せつ：「不ふ是ぜ這樣。喜き愛あい美的びてき人じん，難なん道みち會かい說せつ我わが家族かぞく中ちゅう沒ぼつ有人ゆうじん喜き愛美まなみ，所以ゆえん不ふ喜き愛あい嗎？打算ださん富貴ふうき的てき人じん，難なん道みち會かい說せつ我わが家族かぞく中ちゅう沒ぼつ有人ゆうじん這么打算ださん，所以ゆえん不ふ打算ださん嗎？喜き歡美的てき人じん、打算ださん富貴ふうき的てき人じん，不用ふよう看み他人たにん行事ぎょうじ，仍然努力どりょく去さ做。義よし，是ぜ天下でんか最さい貴重きちょう的てき寶たから器き，為ため什么看み他人たにん呢？一定いってい努力どりょく去さ從事じゅうじ。」

18 公おおやけ孟はじめ:
有ゆう游ゆう於子墨すみ子こ之の門もん者しゃ，謂いい子こ墨すみ子こ曰：「先生せんせい以鬼神しん為ため明知めいち，能のう為ため禍か人じん哉福？為ため善ぜん者しゃ富之とみゆき，為ため暴者禍か之の。今こん吾われ事ごと先生せんせい久ひさ矣，而福不ふ至いたり，意い者しゃ先生せんせい之の言げん有ゆう不善ふぜん乎？鬼神きじん不明ふめい乎？我わが何故なぜ不ふ得とく福ぶく也？」子こ墨ぼく子こ曰：「雖子不ふ得とく福ぶく，吾われ言げん何なん遽不善ふぜん？而鬼神しん何なん遽不明ふめい？子こ亦また聞乎匿徒之の刑けい之の有ゆう刑けい乎？」對たい曰：「未み之これ得とく聞也。」子こ墨ぼく子こ曰：「今こん有人ゆうじん於此，什子，子し能のう什譽之の，而一自じ譽ほまれ乎？」對たい曰：「不能ふのう。」「有人ゆうじん於此，百ひゃく子し，子こ能のう終身しゅうしん譽ほまれ亓善，而子無む一いち乎？」對たい曰：「不能ふのう。」子こ墨ぼく子こ曰：「匿一いち人にん者しゃ猶なお有罪ゆうざい，今子いまこ所しょ匿者若わか此亓多た，將はた有ゆう厚あつ罪ざい者しゃ也，何なに福ぶく之の求もとめ？」
公おおやけ孟はじめ:
有ゆう一個在墨子門下求學的人，對たい墨ぼく子こ說せつ：「先生せんせい認みとめ為ため鬼神きじん明智めいち，能のう給人きゅうにん帶たい來らい禍福かふく，給きゅう從したがえ善ぜん的てき人じん富裕ふゆう，給きゅう施ほどこせ暴的人じん禍か患。現在げんざい我わが侍さむらい奉たてまつ先生せんせい已やめ經けい很久了りょう，但ただし福ぶく卻不到來とうらい。或ある許もと先生せんせい的てき話ばなし有ゆう不精ぶしょう確かく的てき地方ちほう？鬼神きじん也許不ふ明智めいち？要よう不ふ，我わが為ため什么得とく不ふ到いた福ぶく呢？」墨ぼく子こ說せつ：「即そく使つかい你得不ふ到いた福ぶく，我が的てき話ばなし為ため什么不精ぶしょう確かく呢？而鬼神しん又また為ため什么不ふ明智めいち呢？你可聽說過か隱かくれ藏ぞう犯人はんにん是ぜ有罪ゆうざい的てき嗎？」這人回答かいとう說せつ：「沒ぼつ聽說過か。」墨ぼく子こ說せつ：「現在げんざい有ゆう一いち個人こじん，他た的てき賢けん能のう勝しょう過か你的十じゅう倍ばい，你能十じゅう倍ばい地ち稱たたえ譽ほまれ他た，而只是ぜ一次稱譽自己嗎？」 這人回答かいとう說せつ：「不能ふのう。」墨ぼく子こ又また問とい：「現在げんざい有人ゆうじん的てき賢けん能のう勝しょう過か你百ひゃく倍ばい，你能終身しゅうしん稱たたえ譽ほまれ他た的てき長ちょう處しょ，而一次也不稱譽自己嗎？」這人回答かいとう說せつ：「不能ふのう。」墨ぼく子こ說せつ：「隱かくれ藏ぞう一いち個こ都と有罪ゆうざい，現げん你所隱かくれ藏ぞう的てき這么多た，將はた有ゆう重罪じゅうざい，還かえ求もとめ什么福ぶく？」

19 公おおやけ孟はじめ:
子こ墨ぼく子こ有ゆう疾やまし，跌鼻進しん而問曰：先生せんせい以鬼神しん為ため明あきら，能のう為ため禍福かふく，為ため善ぜん者しゃ賞しょう之の，為ため不善ふぜん者しゃ罰ばつ之の。今こん先生せんせい聖人せいじん也，何故なぜ有ゆう疾やまし？意い者しゃ先生せんせい之の言げん有ゆう不善ふぜん乎？鬼神きじん不ふ明知めいち乎？」子こ墨ぼく子こ曰：「雖使我わが有ゆう病びょう，何なに遽不明ふめい？人ひと之の所得しょとく於病者しゃ多おお方かた，有ゆう得とく之の寒さむ暑あつ，有ゆう得とく之の勞苦ろうく，百門而閉一門焉，則のり盜ぬすめ何なん遽無從したがえ入いれ？」
公おおやけ孟はじめ:
墨ぼく子こ有ゆう病びょう，跌鼻進すすむ來らい問とい他た說せつ：「先生せんせい認みとめ為ため鬼神きじん是ぜ明智めいち的てき，能のう造成ぞうせい禍福かふく，從事じゅうじ善事ぜんじ的てき就獎賞しょう他た，從事じゅうじ不ふ善事ぜんじ的てき就懲罰ちょうばつ他た。現在げんざい先生せんせい作為さくい聖人せいじん，為ため什么還得とく病びょう呢？或ある許もと先生せんせい的てき言論げんろん有ゆう不精ぶしょう確かく的てき地方ちほう？鬼神きじん也不是ぜ明智めいち的てき？」墨ぼく子こ答こたえ道どう：「即そく使し我わが有ゆう病びょう，而鬼神しん為ため什么不ふ明智めいち呢？人ひと得とく病びょう的てき原因げんいん很多，有ゆう從したがえ寒かん暑中しょちゅう得どく來らい的てき，有ゆう從したがえ勞苦ろうく中ちゅう得とく來らい的てき，好こう象ぞう房ぼう屋や有ゆう一いち百ひゃく個こ門もん，只ただ關上せきじょう一いち個こ門もん，盜賊とうぞく何なん門もん不可ふか以進來らい呢？」

20 公おおやけ孟はじめ:
二に三子有復於子墨子學射者，子し墨すみ子こ曰：「不可ふか，夫おっと知者ちしゃ必量亓力所しょ能のう至いたり而從事じゅうじ焉，國士こくし戰せん且扶人じん，猶なお不可ふか及也。今子いまこ非ひ國士こくし也，豈あに能成よしなり學がく又また成なり射しゃ哉？」
公おおやけ孟はじめ:
有ゆう幾いく個こ弟子でし告訴こくそ墨ぼく子こ，要よう從したがえ學がく，又また習射。墨ぼく子こ說せつ：「不能ふのう。智慧ちえ的てき人じん一定衡量自己的力所能達到的地方，然しか后きさき再さい進行しんこう實踐じっせん。國士こくし一邊作戰一邊去扶人，尚なお且顧不ふ到いた。現在げんざい你們并非國士こくし，怎么能のう夠既學がく好學こうがく業ぎょう又また學まなべ好こう射い技わざ呢？」

21 公おおやけ孟はじめ:
二に三子復於子墨子曰：「告つげ子こ曰：『言げん義ぎ而行甚惡。』請棄之の。」子こ墨ぼく子こ曰：「不可ふか，稱たたえ我わが言げん以毀我が行ぎょう，愈いよいよ於亡。有人ゆうじん於此，翟甚不仁ふじん，尊みこと天てん、事こと鬼おに、愛人あいじん，甚不仁ふじん，猶なお愈いよいよ於亡也。今こん告つげ子こ言げん談だん甚辯，言げん仁義じんぎ而不吾われ毀，告つげ子こ毀，猶なお愈いよいよ亡ほろび也。」
公おおやけ孟はじめ:
有ゆう幾いく個こ弟子でし告訴こくそ墨ぼく子こ說せつ：「告つげ子こ說せつ：『墨ぼく子こ口こう言げん仁義じんぎ而行為こうい很壞，』請拋棄他。」墨ぼく子こ說せつ：「不能ふのう。稱たたえ譽ほまれ我が的てき言論げんろん而誹謗ひぼう我が的てき行為こうい，總そう要よう比ひ沒ぼつ有ゆう毀譽きよ好このみ。假かり如現在ざい這里有ゆう一いち個人こじん說せつ：『墨ぼく翟很不ふ仁義じんぎ，尊重そんちょう上天じょうてん、侍さむらい奉たてまつ鬼神きじん、愛護あいご百姓ひゃくしょう，行為こうい卻很惡あく。』這勝過か什么都と沒ぼつ有ゆう。現在げんざい告つげ子こ講話こうわ非常ひじょう強きょう詞し奪だつ理り，但ただし不ふ詆毀我が講こう仁義じんぎ，告つげ子こ的てき詆毀仍然勝しょう過か什么都と沒ぼつ有ゆう。」

22 公おおやけ孟はじめ:
二に三子復於子墨子曰：「告つげ子こ勝かち為ため仁じん。」子こ墨ぼく子こ曰：「未み必然ひつぜん也！告つげ子こ為ため仁ひとし，譬たとえ猶なお跂以為ため長ちょう，隱かくれ以為廣こう，不可ふか久也ひさや。」
公おおやけ孟はじめ:
有ゆう幾いく個こ弟子でし對たい墨ぼく子こ說せつ：「告つげ子こ能のう勝しょう任にん行ぎょう仁義じんぎ的てき事こと。」墨ぼく子こ說せつ：「這不一定いってい正確せいかく。告つげ子こ行ぎょう仁義じんぎ，如同踮起腳尖使し身み子こ增長ぞうちょう，臥が下か使し面積めんせき增大ぞうだい一いち樣よう，不可ふか長久ちょうきゅう。」

23 公おおやけ孟はじめ:
告つげ子こ謂いい子こ墨すみ子こ曰：「我わが治國ちこく為政いせい。」子こ墨ぼく子こ曰：「政せい者しゃ，口くち言げん之の，身み必行之の。今子いまこ口くち言ごと之の，而身不ふ行くだり，是ぜ子こ之の身み亂らん也。子こ不能ふのう治子はるこ之の身み，惡あく能のう治ち國政こくせい？子こ姑しゅうと亡ほろび，子こ之の身み亂らん之の矣！」
公おおやけ孟はじめ:
告つげ子こ對たい墨ぼく子こ說せつ：「我わが可か以治理り國家こっか管理かんり政務せいむ。」墨ぼく子こ說せつ：「政務せいむ，口くち能のう稱しょう道どう，自身じしん一定いってい要よう實行じっこう它。現在げんざい你口能のう稱しょう道どう而自身じしん卻不能ふのう實行じっこう，這是你自身じしん的てき矛盾むじゅん。你不能ふのう治ち理り你的自身じしん，哪里能のう治ち國家こっか的てき政務せいむ？你姑且先防備ぼうび你自身じしん的てき矛盾むじゅん吧！」

URN: ctp:mozi/book-12