ビートたけし、ドリフのコント職人が「時代の終わり」を直感した2組の天才芸人とは？Photo:SANKEI

ゴールデンタイムはおろか、深夜しんや帯たいでも観みる機会きかいが減へってしまい、風前ふうぜんの灯ともしびとなっている地上波ちじょうはでのコント番組ばんぐみ。なぜ今いま、コント番組ばんぐみは視聴しちょう者しゃにウケなくなってしまったのか。これまでに、萩本はぎもと欽一きんいち、ザ・ドリフターズ、ウッチャンナンチャン、ダウンタウンなどの番組ばんぐみでコントを量産りょうさんし続つづけた、放送ほうそう作家さっかの清水しみず東ひがし氏しにその理由りゆうを聞きいた。前編ぜんぺんとなる本ほん記事きじでは、壮絶そうぜつなコントづくりの舞台裏ぶたいうらを中心ちゅうしんに紹介しょうかいする（一部いちぶ、敬称けいしょう略りゃく）。（コピーライター　橋本はしもと未来みらい）

子こども時代じだいにドリフと海水浴かいすいよく?!
いきなり欽ちゃんの番組ばんぐみでコント作家さっかデビュー

　そもそも、清水しみず東ひがし氏しは“コント作家さっかの申もうし子ご”とでも言いうべき環境かんきょうで育そだっている。テレビ黎明れいめい期きのコント番組ばんぐみ『シャボン玉だまホリデー』（日本にほんテレビ系列けいれつ/1961～72年ねん）や、『巨泉きょせん・前ぜん武ぶのゲバゲバ90分ふん！』（日本にほんテレビ系列けいれつ/1969～70年ねん、70〜71年ねん）などの放送ほうそう作家さっかをしていた津瀬つぜ宏ひろし氏しを父ちちに持もち、幼おさない頃ころからコントや芸能げいのう界かいに親したしんでいた。

「小学生しょうがくせいのときは、親父おやじが自宅じたくに置おいていた『ゲバゲバ』のコント台本だいほんを学校がっこうに持もっていって、友達ともだちと一緒いっしょに読よんだりしていました。漫画まんがを読よむみたいな感覚かんかくで面白おもしろかったですよ。親父おやじには、こっぴどく叱しかられましたけど（笑）。それと、親父おやじに誘さそわれて、ドリフのメンバーと海水浴かいすいよくに出でかけたり、芸能人げいのうじん水泳すいえい大会たいかいなどの収録しゅうろくに行いったりして、自然しぜんと『芸能げいのう界かいって、華はなやかな場所ばしょなんだな』って思おもったことを覚おぼえていますね」

　このように特別とくべつな子こども時代じだいを過すごしていた清水しみず氏しは、芸能げいのう界かいの華はなやかさを感かんじてはいたものの、父ちちと同おなじ道どうに進すすもうという気持きもちはなかった。しかし、清水しみず氏しが20歳さいを目前もくぜんにしたある日ひ、悲かなしい出来事できごとがきっかけとなり、人生じんせいが大おおきく変かわり始はじめる。

「親父おやじが、酒さけに酔よっ払ぱらって、（東京とうきょうの）赤坂あかさかの階段かいだんから落おちて亡なくなってしまったんです。当時とうじは学生がくせいだったのですが、失意しついのどん底ぞこで何なにもする気きがなくなって、大学だいがくにも通かよわなくなってブラブラしていました。そんな時とき、友達ともだちが阿佐ヶ谷あさがやの居酒屋いざかやに連つれ出だしてくれて、皆みなで酒さけを飲のんで騒さわいでいたら、別べつの席せきの男性だんせいが『お前まえら、ちょっとは静しずかにしろ！』って、すごい剣幕けんまくで注意ちゅういされてね。その人ひとが、とある放送ほうそう作家さっかの方ほうでした」

　この放送ほうそう作家さっかは、亡なくなった父親ちちおやの葬儀そうぎで一いち度どだけ面識めんしきがあった人物じんぶつで、清水しみず氏しが置おかれる状況じょうきょうや事情じじょうを知しり、あるチャンスを与あたえてくれた。

「テレビ用ようの原稿げんこう用紙ようしの束たばを渡わたされて、『これにコントを書かいて、欽ちゃんのところに持もって行いけよ』って。もちろん、コントを書かいたこともないし、できるとも思おもわなかったけど、何なにもやることがない時ときでしたから。言いわれた通とおりに持もって行いったら、日本にほんテレビで放送ほうそうしていた『欽ちゃんドラマ・Oh！階段かいだん家族かぞく!!』でコント作家さっかとしてデビューすることになったんです（笑）」

　突如とつじょとして、萩本はぎもと欽一きんいちが主演しゅえんを務つとめる番組ばんぐみのコント作家さっかになった清水しみず氏し。ここから、コント職人しょくにんたちとの仕事しごとを通つうじて、さまざまな苦労くろうを重かさねていくことになる。