DX180社図鑑 株高&高給はどこ?#1Photo:Bloomberg/gettyimages

SAPのしん基幹きかんシステム移行いこうはしはっした江崎えざきグリコのシステムトラブルは、7がつ17にち現在げんざいもいまだ完全かんぜん復旧ふっきゅういたっていない。そして同様どうよう基幹きかんシステム移行いこうトラブルは、多数たすう大手おおて日本にっぽん企業きぎょうにもせまる。ダイヤモンド編集へんしゅう基幹きかんシステム更新こうしんにトラブルをかかえる上場じょうじょう企業きぎょう実名じつめいリストを作成さくせいした。背景はいけいには日本にっぽん企業きぎょうならではのITシステムの問題もんだいと、だい企業きぎょう圧倒的あっとうてきなシェアをつSAPの問題もんだいあいまって存在そんざいする。特集とくしゅう『DX180しゃ図鑑ずかんぜん31かい)の#1では、社会しゃかい問題もんだいともなりつつあり、あなたの企業きぎょうひとごとではない「基幹きかんシステム更新こうしん問題もんだい」にせまる。(ダイヤモンド編集へんしゅう 鈴木すずき洋子ようこ

システム移行いこうトラブルかかえる企業きぎょう実名じつめいリスト公開こうかい
移行いこう成功せいこうしても巨大きょだいとしあな顧客こきゃく

 スーパーの店頭てんとうから日本人にっぽんじん国民こくみんしょくともいえる「プッチンプリン」がえて3カ月かげつ江崎えざきグリコをおそったシステムトラブルはいまだ完全かんぜん復旧ふっきゅうのめどがえない。

 大手おおてERP(資源しげん統合とうごう管理かんり計画けいかく)システム、SAPの導入どうにゅうともなうシステム移行いこうによる障害しょうがい主力しゅりょく商品しょうひんぐん出荷しゅっかまり、2024ねん12がつ決算けっさん業績ぎょうせき予測よそく下方かほう修正しゅうせいするにいたった。SAPへの移行いこうプロジェクトによる障害しょうがいでここまでながあいだ業務ぎょうむまるということは前代未聞ぜんだいみもんだ。

 グリコはSAPの最新さいしんバージョンであるS/4HANAを既存きそんのシステムにわるしん基幹きかんシステムとして導入どうにゅうしていた。システム移行いこうしゅ幹事かんじはデロイト トーマツ コンサルティングが担当たんとうし、構築こうちく作業さぎょう複数ふくすうのITベンダーが分担ぶんたんしてっていた。19ねん12月に22ねん12がつまでの予定よていはじまったプロジェクトだが、納期のうきは1ねん以上いじょうび、予算よさんは215おくえんから342おくえんふくらんだ。難産なんざんしんシステムはようやく稼働かどうしたものの、てられない事態じたいとなってしまったわけだ。

 じつは、基幹きかんシステムの移行いこうともなうトラブルは大手おおて企業きぎょう数多かずおおきている。グリコのれい対岸たいがん火事かじではない。

 基幹きかんシステムを更新こうしんすることを「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と位置付いちづける企業きぎょうおおく、往々おうおうにして大型おおがたするプロジェクトはITベンダーやコンサルティング会社かいしゃにとってもふとめしたねとなる。だが一方いっぽうで、基幹きかんシステム更新こうしんはさまざまなめんから非常ひじょう困難こんなんで、企業きぎょうにとって重大じゅうだいなリスクをもたらすものになっているという事実じじつりになった。

 ページでは、ダイヤモンド編集へんしゅう調査ちょうさにより判明はんめいした、基幹きかんシステム更新こうしんでトラブルをかかえる上場じょうじょう企業きぎょう実名じつめいリストを公開こうかいする。不動産ふどうさん運輸うんゆ製紙せいしメーカー、食品しょくひんけいなど、さまざまな企業きぎょうならんでいる。

 さらに、そもそもなぜ基幹きかんシステム更新こうしんむずかしいのか、SAPシステムの更新こうしんともな問題もんだいてんなどを具体ぐたいてきしめしていく。そして取材しゅざい結果けっかかりにトラブルなしに基幹きかんシステムを更新こうしんできたとしても、一部いちぶ企業きぎょうではすうねんにさらに巨額きょがく費用ひよう必要ひつようになるかもしれないという、あらたなリスクも判明はんめいした。