チャド共和国とは、アフリカ大陸中央部に位置する内陸国である。
基礎データ
概要
通称チャド。
サハラ砂漠が広がる、アフリカ大陸のほぼ中央に位置する内陸国で、東はスーダン、南は中央アフリカ、南西はカメルーンとナイジェリア、西はニジェール、北はリビアに囲まれている。
面積は日本の約3.4倍。
北部には国内最高峰のエミクシ山(3415m)がそびえるティベスティ高原が広がり、東部のエネディ高原では風や水に削られて出来た複雑な地形や奇妙な岩が見られるほか、数千年前に描かれた岩絵が残っており、世界複合世界遺産に登録されている。中部から西部は標高200mほどの低地。南西部の国境周辺にはチャド湖が存在する。チャド湖は、かつて広大な面積を誇っていたが灌漑の影響で縮小してしまった。
気候は北部から中部が砂漠気候。南部はステップ気候だが、南端部はサバンナ気候となっている。北部にはサハラ砂漠が広がるが、南端部には熱帯雨林が生い茂る地域もある。
気温は年間を通して高く、最高気温が50℃を超えることもある。年間降水量は北部から南に行けば行くほど多くなる。
国旗がルーマニアと瓜二つなことで有名。似た理由はどちらもフランス国旗が元となっているから。真ん中の黄色を白にすればトリコロールである。他にはアンドラとモルドバもフランス国旗を参考にしている。
主食はミレットという雑穀で、これをそのまま食べるほか、団子状にしたりパンケーキしたりして付け合わせと共に食す。
首都であり、同国最大の都市でもあるンジャメナは全世界の首都でンから始まる唯一の地名。意味はアラビア語で「癒しの場所」。しりとりの反則技として使用する人もいるとか。
歴史
国名は南西部にあるチャド湖が由来。
この湖の周辺には古くから人々が住まい、9世紀ごろから複数の王国が建設された。
11世紀ごろ、イスラム教が広まり16世紀にカネム・ボルム王国が現在のチャド南部を中心に広範囲を支配。アフリカ大陸の南部と北部を繋ぐ交易中継地として栄えた。
19世紀末、アフリカの植民地化を推し進めていたフランスが侵攻。1910年にフランス領赤道アフリカの一部に組み込まれてしまった。
しかし、時代が進むにつれ独立を望む民衆の声が高まり、南部のアフリカ系の人々が組織したチャド進歩党が中心となって、1960年にチャド共和国として独立を果たした。
一方、独立後は北部のアラブ系の国民と南部のアフリカ系の国民との間でいざこざが起き、それが原因でゲリラやクーデター、外国軍の介入などが起き国は混乱に陥った。
長きにわたり内戦状態が続いていたが、1990年に起こったクーデターでアフリカ系のイドリス・デビが大統領になると、1996年に複数の政党による政治が定められ一件落着……したかに見えたが、今度は政府が自分たちに反対する人々への弾圧を開始。2008年には政府と反政府勢力との間で戦闘も行われるなど情勢は不安定を極める。
なお、デビ大統領は大統領としてなんと6選を果たし、30年以上にわたりチャドを統治。アフリカで最も長く権力を掌握し続けた指導者の1人として政権を率いていたが、2021年4月、交戦地帯を視察中に負傷しそれが原因で死亡した。なお、後継者には息子で陸軍大将のマハメト氏が選ばれている。
経済
古くから牧畜が盛ん。北部を中心にラクダや羊の遊牧が行われている。
国土の三分の二がサハラ砂漠のため農地は少ないが、南部を中心に落花生や綿花が栽培されている。しかし内戦や干ばつの影響で慢性的な食糧不足が続く。
2000年に油田の開発が始まり、隣国のカメルーンのギニア湾へと通じるパイプラインが建設され、石油の輸出が行われると、経済は大きく成長を遂げた。2020年代になった今も石油が最も重要な輸出品となっている。
文化と人々
200以上の民族が住み、アフリカで最も多くの民族が住む国の一つである。最も多いのはアフリカ系のサラ人で、次に多いのはアラブ人。
公用語はフランス語とアラビア語だが、民族ごとに独自の言語も使われており、その数は100を超える。
宗教は国民の約6割がイスラム教を信仰しており、次いで地域や民族ごとの伝統的な宗教を信仰する人が多い。
石油の輸出で得た収入を元に首都のンジャメナには近代的なビルも目立ってきたが、多くの国民は農村での自給自足生活や遊牧生活を続けている。また、不安定な情勢が長く続く影響で学校に通っていない子供の割合は世界でもトップクラスである。
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