ウチキパン

ウチキパン株式会社かぶしきがいしゃ

2009年ねん9月がつ20日はつか撮影さつえい
種類しゅるい	株式会社かぶしきがいしゃ
本社ほんしゃ所在地しょざいち	日本にっぽん 〒231-0861 神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し中ちゅう区く元町もとまち1-50 北緯ほくい35度ど26分ふん27.477秒びょう 東経とうけい139度ど39分ふん2.445秒びょう
設立せつりつ	1888年ねん
業種ぎょうしゅ	食料しょくりょう品ひん
法人ほうじん番号ばんごう	3020001025487
事業じぎょう内容ないよう	製せいパン
代表だいひょう者しゃ	代表だいひょう取締役とりしまりやく 打木うちき宏ひろし（2021年ねん8月がつ時点じてん）
資本しほん金きん	4000万まん円えん
従業じゅうぎょう員数いんずう	20人にん（2021年ねん8月がつ時点じてん）
決算けっさん期き	12月
外部がいぶリンク	https://www.uchikipan.co.jp/
特記とっき事項じこう：本店ほんてん（実じつ店舗てんぽ）:神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し中なか区く元町もとまち1-33

ウチキパン株式会社かぶしきがいしゃは、日本にっぽんの製せいパン業者ぎょうしゃ。神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し中ちゅう区く元町もとまちに所在しょざいする。横浜よこはま最古さいこの製せいパン業者ぎょうしゃとされ、明治めいじ時代じだいに創業そうぎょうされて以来いらい、百ひゃく年ねん以上いじょうにわたって営業えいぎょうを続つづける老舗しにせである。山やま型がた食しょくパン「イングランド」などが代表だいひょう商品しょうひんであり、山やま型がた食しょくパンの元祖がんそ、食しょくパン発祥はっしょうの店みせともいわれる。元もと町まちを代表だいひょうする店みせの一ひとつ。中ちゅう区く区民くみんのソウルフードとの声こえもある。

沿革えんかく

前身ぜんしん

横浜よこはま港こうの開港かいこう直後ちょくごの1861年ねん（文久ぶんきゅう元年がんねん）、日本にっぽん国外こくがいのパン職人しょくにんとして、アメリカ人じんのW.グッドマンが、横浜よこはま最初さいしょのヨーロッパ風ふうパン屋やを開業かいぎょうした。1864年ねん（元治もとはる元年がんねん）、グッドマンは病気びょうきのために一時いちじ帰国きこくし、自じ店みせをイギリス人じんのロバート・クラークに委ゆだねた。

翌よく1865年ねん（慶応けいおう元年がんねん）にグッドマンが復帰ふっきした後のち、クラークは独立どくりつして、同どう1865年ねん8月がつ、後ごの神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し山下やました町まちにあたる地ちに「ヨコハマベーカリー」を創業そうぎょうした。創業そうぎょう当時とうじは、多おおくのイギリス人じんが横浜よこはまに住すんでいたことから、彼かれらイギリス人じんたちや船員せんいんを相手あいてとしてパンを販売はんばいしていた。当時とうじの外国がいこく人じん居留きょりゅう地ちでは、4軒けんのパン屋やが競合きょうごうしていた中なかで、ヨコハマベーカリーは山やま型がた食しょくパンを売うれ筋すじ商品しょうひんとして人気にんきを博はくしており、日本にっぽんの食しょくパン文化ぶんかが広ひろまるきっかけにもなった。横浜よこはまで最高さいこうの評価ひょうかを得えていたともいわれる。パンを専業せんぎょうとする大だい規模きぼな店舗てんぽも、クラークのみであった。これは、19世紀せいきのイギリスには世界せかいの植民しょくみん地ちから良質りょうしつの小麦粉こむぎこが集あつまってきたため、パンの味あじが良よかったことに加くわえて、当時とうじの明治めいじ政府せいふの親しん英えい政策せいさくの影響えいきょうで、商売しょうばい上じょうで有利ゆうりに働はたらいたことも背景はいけいにあった。また横浜よこはま開港かいこうから間あいだもない時期じきに、外国がいこく人じん居留きょりゅう地ちでは、異国いこくの文化ぶんかが人々ひとびとの好奇心こうきしんを集あつめたことも、人気にんきの手伝てつだいとなった。クラークの店みせは開店かいてん時じに出現しゅつげんしていた横浜よこはま駐留ちゅうりゅう軍ぐんの御用ごよう商しょうとしての発足ほっそくであり、外国がいこく人じん居留きょりゅう地ちのみならず、横浜よこはま港こうに入港にゅうこうする軍艦ぐんかん、商船しょうせんも皆みな、クラークのもとにパンを注文ちゅうもんしていた。

ヨコハマベーカリー宇千喜き商店しょうてん

打木うちき彦太郎ひこたろうによる1906年ねん（明治めいじ39年ねん）の「ヨコハマベーカリー」の広告こうこく。パンとビスケットが主力しゅりょく商品しょうひんとされている。

明治めいじ末期まっきから大正たいしょう初期しょき頃ごろの元もと町まちを描えがいた絵葉書えはがき。向むかって右側みぎがわ手前てまえに「宇千喜き商店しょうてん」がある。

横浜よこはま市し中なか区く日本大通にほんおおどおりの「近代きんだいのパン発祥はっしょうの地ち碑ひ」

1878年ねん（明治めいじ11年ねん）に、ヨコハマベーカリーのパン見習みならい工こうとして、神奈川かながわ県けん久良ひさよし岐郡八幡はちまん谷戸たにと（後ごの横浜よこはま市し南みなみ区く）の農家のうかの生うまれである打木うちき彦太郎ひこたろう（1864年ねん - 1915年ねん〈大正たいしょう4年ねん〉）が住すみ込こんだ。打木うちきはクラークのもとで、9年間ねんかんにわたってパン作づくりの修行しゅぎょうを積つんだ末すえに、高たかい技術ぎじゅつを身みにつけて、クラークにとって最もっとも信頼しんらいできる人物じんぶつとなった。

1888年ねん（明治めいじ21年ねん）、クラークが引退いんたいして本国ほんごくへ帰国きこく、それと共ともに打木うちきが独立どくりつし、元町もとまちで製せいパン業ぎょう「ヨコハマベーカリー宇千喜き（うちき）商店しょうてん」を創業そうぎょうした。これがウチキパンの直接ちょくせつの前身ぜんしんであり、日本人にっぽんじんの経営けいえいによるパン屋やの第だい1号ごうとされる。当時とうじは製せいパン技術ぎじゅつの習得しゅうとくに10年ねんを要ようするといわれ、弟子でし入いりして9年ねんの打木うちきに店みせが譲ゆずられたことから、クラークが打木うちきの技術ぎじゅつと人柄ひとがらをいかに信頼しんらいしていたかが窺うかがい知しれる。

開業かいぎょう当時とうじは、クラークが経営けいえいしていた頃ころは頻繁ひんぱんに来店らいてんしていた外国がいこく人じん客きゃくも、経営けいえい者しゃが日本人にっぽんじんとなった途端とたんに、正当せいとうな評価ひょうかをしないようになった。外国がいこく船せんの軍艦ぐんかんがパンを注文ちゅうもんしても、乗組のりくみ員いんが工場こうじょうにまで来きて、パンの出来できばえが注文ちゅうもん通どおりかどうかを監視かんしする有様ありさまであった。打木うちきはそれに対たいして「店みせの生命せいめいは技術ぎじゅつと誠実せいじつ」として、必かならず納期のうきまでにパンを注文ちゅうもん先さきへ届とどけた。やがて、新あたらしい物事ものごとに積極せっきょく的てきな海軍かいぐんが次第しだいに利用りようするようになり、その評判ひょうばんから遠地おんちの客きゃくも来店らいてんし始はじめた。打木うちきのパンは山手やまての外国がいこく人じん居留きょりゅう地ちの住人じゅうにんたちに愛あいされ、日本にっぽん国外こくがいからの来訪らいほう者しゃが利用りようする東京とうきょうのホテルやレストランなどにも納入のうにゅうされた。

日本人にっぽんじんもまた、打木うちきの開業かいぎょう当時とうじはパン食しょくに馴染なじみのない時代じだいであったが、パン食しょく文化ぶんかが日本にっぽんにも広ひろがると共ともに、東京とうきょうの上野うえの精養軒せいようけんや東洋とうよう軒のきなどの老舗しにせ、箱根はこねの富士屋ふじやホテルでも重宝ちょうほうされたことで、次第しだいに日本人にっぽんじんの間あいだでも打木うちきの知名度ちめいどが向上こうじょうした。口くちコミでも評判ひょうばんが広ひろがり、元町もとまちを訪おとずれる観光かんこう客きゃくらが打木うちきのパンを買かい求もとめるようになった。明治めいじ中期ちゅうきには、打木うちきは横浜よこはまのフェリス英和えいわ女学校じょがっこう（後ごのフェリス女学院じょがくいん中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこう）にもパンを届とどけていた。当時とうじの同校どうこうの生徒せいとであった相馬黒光そうまこっこうはこのパンの味あじに感銘かんめいを受うけ、後年こうねんの新宿しんじゅく中村屋なかむらやの開業かいぎょうのきっかけとなった。

1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）には関東大震災かんとうだいしんさいで、1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）には第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの横浜よこはま大だい空襲くうしゅうで店みせが全焼ぜんしょうしながらも、そのたびに店みせが再建さいけんされて、営業えいぎょうが続つづけられた。震災しんさい直後ちょくごにはライフラインが停止ていししたことから、保存ほぞんしておいた材料ざいりょうでパンを焼やき、人々ひとびとの腹はらを癒いやした。日にち清しん戦争せんそうや日にち露ろ戦争せんそうでは大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐんの御用達ごようたしとなり、軍ぐんに収おさめるための乾かんパン製造せいぞうを一いち手てに引ひき受うけた。乾かんパンの箱詰はこづめや荷造にづくりのために、近所きんじょの住人じゅうにんたちの応援おうえんを求もとめて、24時じ間あいだ操業そうぎょうで納品のうひんするほどであった。

法人ほうじん化か

1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）には法人ほうじん組織そしきに改あらためて「宇千喜き製せいパン有限ゆうげん会社かいしゃ」に、1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん）に「ウチキパン株式会社かぶしきがいしゃ」となった。1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）に、創業そうぎょう当初とうしょと別べつの地ちに、店舗てんぽとパン工場こうじょうを新築しんちくした。2004年ねん（平成へいせい16年ねん）にはみなとみらい線せんの開通かいつうにより、横浜よこはまの観光かんこう地ちと東京とうきょうが直結ちょっけつされたことで、さらに人気にんきを増ました。同線どうせん開通かいつう当日とうじつの2004年ねん2月がつ1日にちには、用意よういしたパンが午前ごぜん中ちゅうに完売かんばいし、午後ごごは焼やき上あがるたびに店頭てんとうに出だしたパンも次々つぎつぎに売うれるほどで、「バブル以来いらいの売うれ行ゆき」といわれた。

2016年ねん（平成へいせい28年ねん）、横浜よこはま市し綜合そうごうパン協同きょうどう組合くみあいと全日本ぜんにほんパン協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かいにより、横浜よこはま市し中なか区く日本にっぽん大通だいつうに石碑せきひ「近代きんだいのパン発祥はっしょうの地ち碑ひ」が設置せっちされるにあたり、ウチキパンのイギリス風ふう山やま型がた食しょくパンの写真しゃしん陶板とうはんが、他たの老舗しにせ店てんのものと共ともに添そえられた。

年譜ねんぷ

• 1861年ねん（文久ぶんきゅう元年がんねん） - アメリカ人じんのW.グッドマンが、横浜よこはま最初さいしょのヨーロッパ風ふうパン屋やを開業かいぎょう
• 1864年ねん（元治もとはる元年がんねん） - グッドマンが一時いちじ帰国きこくし、自じ店みせをイギリス人じんのロバート・クラークに委ゆだねる
• 1865年ねん（慶応けいおう元年がんねん） - グッドマンが復帰ふっき後ご、クラークが独立どくりつして「ヨコハマベーカリー」を創業そうぎょう
• 1878年ねん（明治めいじ11年ねん） - 打木うちき彦太郎ひこたろうがヨコハマベーカリーのパン見習みならい工こうとして住すみ込こむ
• 1888年ねん（明治めいじ21年ねん） - クラークの引退いんたいと共ともに打木うちきが独立どくりつし、元町もとまちで製せいパン業ぎょう「ヨコハマベーカリー宇千喜き商店しょうてん」を創業そうぎょう、ウチキパンの前身ぜんしんとなる
• 1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん） - 法人ほうじん組織そしきに改あらためて「宇千喜き製せいパン有限ゆうげん会社かいしゃ」となる
• 1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん） - 「ウチキパン株式会社かぶしきがいしゃ」となる
• 1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん） - 店舗てんぽとパン工場こうじょうを新築しんちく

主おもな商品しょうひん

創業そうぎょう以来いらい、「主食しゅしょくとしてのパン作づくり」をコンセプトとしているため、食しょくパンやフランスパンなど、基本きほん的てきなパンを中心ちゅうしんとして構成こうせいされている。数かず十じゅう種しゅのパンはすべて、店舗てんぽの3階かいと4階かいの工場こうじょうで、職人しょくにんたちによって作つくられている。

イングランド

食しょくパン「イングランド」

「宇千喜き商店しょうてん」時代じだいの広告こうこく。代表だいひょう商品しょうひんの食しょくパン「イングランド」が当時とうじの名称めいしょう「ゴールデン食しょく麪」で掲載けいさいされている。

代表だいひょう商品しょうひんは、食しょくパン「イングランド」である。打木うちきの独立どくりつと同年どうねんの1888年ねん（明治めいじ21年ねん）より発売はつばいされた。この名称めいしょうは、創業そうぎょう者しゃの打木うちき彦太郎ひこたろうがイギリスのパン職人しょくにんからレシピを受うけ継ついだことに由来ゆらいする。当初とうしょの名なは「ゴールデン食しょく麪（ゴールデンしょくぱん）」であった。創業そうぎょう当時とうじに、山下やました町まちにイギリス人じんが多おおく居留きょりゅうしていたことから考案こうあんされた。食しょくパンが山やま型がたなのは、打木うちきがクラークから学まなんだ製法せいほうでは、釜がまに蓋ぶたをせずに焼成しょうせいしていたためである。日本にっぽんで初はじめて販売はんばいされた食しょくパンとする説せつもあり、日本にっぽんにおける食しょくパンの元祖がんそともいう。

パン作づくりにはイーストを使つかうのが一般いっぱん的てきだが、創業そうぎょう当時とうじはイーストの入手にゅうしゅが困難こんなんであったため、山手やまてにあったビール醸造じょうぞう所しょ（後ごのキリンビール）のホップを使つかった製法せいほうをイギリス人じんから学まなび、山やま型がた食しょくパンを作つくったのが、「イングランド」の始はじまりである。山手やまてに日本にっぽん初はつのビール醸造じょうぞう所しょが造つくられたことで、ホップの入手にゅうしゅが可能かのうとなった。

4日間にちかんかけて起おこす自家製じかせいのホップ種しゅを発酵はっこうに用もちいて、約やく15時じ間あいだかけて生地きじを熟成じゅくせいさせて製造せいぞうされる。ウチキパンでこのホップ種しゅを用もちいるパンはこれのみであり、この製法せいほうは創業そうぎょう以来いらい、百ひゃく年ねん以上いじょうにわたって、ほとんど変かわっていない。ほんのりと甘あまく、かすかに塩味しおあじが効きいた味あじで、コムギ本来ほんらいのうま味み、コムギとホップの香気こうき、長時間ちょうじかんの低温ていおん発酵はっこうによる弾力だんりょくのある食しょく感かん、歯切はぎれの良よさが特徴とくちょうである。製造せいぞう段階だんかいでも油脂ゆしや糖分とうぶんが添加てんかされないため、余分よぶんな味あじがしない。ホップの殺菌さっきん効果こうかにより雑菌ざっきんの繁殖はんしょくを防ふせがれているため、酸味さんみの出でない澄すんだ味あじわいに一役ひとやく買かっている。また、スーパーマーケットなどで多おおく出回でまわっている食しょくパンは、ベルトコンベアを利用りようして大量たいりょう生産せいさんしており、機械きかいの規格きかくに合あわせたものが主流しゅりゅうのため、大半たいはんがアメリカのサイズだが、「イングランド」はホップ種しゅの生地きじが最もっとも美味びみになるオリジナルのサイズで、そうした一般いっぱん的てきな食しょくパンよりも一回ひとまわり大おおきいことも、特徴とくちょうの一ひとつである。

変かわらない「イングランド」の味あじを求もとめて元町もとまちまで通かよう人ひとも多おおく、「無むくなると買かいに来くる」「これじゃないとだめ」との客きゃくの声こえもある。週末しゅうまつにはこの味あじを求もとめて、県内けんない外がいから1日にちに700人にん以上いじょうの客きゃくが訪おとずれる。焼やき上あがりの時刻じこくを目指めざして、遠方えんぽうから足あしを運はこぶ客きゃくや、イングランドのためだけに県けん外がいから訪おとずれる客きゃくも多おおい。1日にちに数すう十じゅう斤きんが売うれ、ときには250斤きんが売うれることもある。焼やき時間じかんが長ながい上うえに小麦粉こむぎこの量りょうも多おおいために儲もうけは少すくなく、また原材料げんざいりょう費ひの安やすい日本にっぽん国外こくがいに工場こうじょうを移転いてんしたり、大だい規模きぼな機械きかい化かで人件じんけん費ひを抑おさえる他た店てんとの競合きょうごうという不安ふあん面めんも孕はらみつつも、伝統でんとうにこだわり続つづけている。そのために、子供こどもの頃ころに食たべていたパンの味あじが、大人おとなになってからも食たべることができることを喜よろこぶ客きゃくの声こえもある。

その他たの商品しょうひん

その他たにも、約やく60種類しゅるいから約やく百ひゃく種類しゅるいのパンがある。百ひゃく年ねん以上いじょうにわたる歴史れきしや懐古かいこ的てきな店舗てんぽの外観がいかんから、頑かたくなにメニューを守まもっていると思おもわれがちだが、開業かいぎょう当初とうしょから製造せいぞうが続つづけられているパンは少すくなく、日々ひび、新しんメニューが考案こうあんされている。中なかでも長年ながねんにわたって愛あいされる商品しょうひんとしてアップルパイ、女性じょせいに人気にんきのパンとして、ナッツにレーズンやベリーなどのドライフルーツを練ねり込こんだライムギ入いりの生地きじに、クリームチーズを巻まき込こんで焼やいた「ライブレッド」がある。学生がくせいには、手軽てがるに購入こうにゅうできる商品しょうひんとしてレモンドーナツやミルクパン、男子だんし学生がくせいにはキーマカレーパンやピロシキなどボリュームのある調理ちょうりパンが人気にんきである。店員てんいんが勧すすめる商品しょうひんには、弾力だんりょくのある生地きじに大おおきなチーズが包つつまれた「チーズブレッド」、クルミとパイナップルが入はいった「パン・オ・クルミ」などがある。

著名ちょめい人じんでは、女優じょゆうの斉藤さいとう由貴ゆきが6枚まい切ぎりの食しょくパン「ゴールド」を好このんでおり、週しゅうに一いち度どの頻度ひんどでウチキパンを訪おとずれるという。商品しょうひんの包装ほうそうの袋ふくろには、日本にっぽん国外こくがいのイラストレーターによるパリジェンヌのイラストが描えがかれており、そのデザインはフランスのイラストレーターであるアルフォンス・ミュシャを彷彿ほうふつさせる。これもウチキパンの名物めいぶつとされているが、時期じきが古ふるいために、作者さくしゃは不ふ詳しょうである。

関連かんれん作品さくひん

映像えいぞう外部がいぶリンク
ショートフィルム『一粒ひとつぶの麦むぎ』 - ショートショートフィルムフェスティバル

横浜よこはまの魅力みりょくを映像えいぞうで国内外こくないがいにアピールすることを目的もくてきとし、俳優はいゆうの別所べっしょ哲也てつやが代表だいひょうを務つとめる国際こくさい短編たんぺん映画えいが祭さい「ショートショートフィルムフェスティバル」の実行じっこう委員いいん会かいと横浜よこはま市しにより、ウチキパンをモデルとした約やく18分ぶんの短編たんぺん映画えいが『一粒ひとつぶの麦むぎ（ひとつぶのむぎ）』が制作せいさくされて、2017年ねん（平成へいせい28年ねん）より公開こうかいされた。ウチキパンをモデルとした横浜よこはまのパン店てん「ホンダパン」の4代目だいめ店主てんしゅが、創業そうぎょう当時とうじの味あじを取とり戻もどそうと奔走ほんそうする物語ものがたりである。店主てんしゅ役やくで柄本えもと明あきら、フランスから訪日ほうにちしたパン職人しょくにん役やくでシャーロット・ケイト・フォックス、他たに樋とい井い明日香あすからが出演しゅつえんした。撮影さつえいの場所ばしょには、モデルとなったウチキパンや、横浜よこはま市し中なか区くの山下やました公園こうえんが用もちいられた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 安達あだち巌いわお『ものと人間にんげんの文化ぶんか史し』 80巻かん、法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱん局きょく、1996年ねん5月がつ20日はつか。ISBN 978-4-588-20801-0。 
• 小野寺おのでら悦子えつこ「横浜よこはま元町もとまち・新旧しんきゅうパンの名店めいてん探訪たんぼう」『Hanako』第だい31巻かん第だい16号ごう、マガジンハウス、2018年ねん9月がつ13日にち、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:000038516、2021年ねん8月がつ7日にち閲覧えつらん。 
• 黒澤くろさわ卓也たくや「春はるの横浜よこはまさんぽ いま食たべるべき“はまパン”」『OZ magazine』第だい37巻かん第だい4号ごう、スターツ出版しゅっぱん、2023年ねん3月がつ10日とおか、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:000071067。 
• 黒岩くろいわ比佐子ひさこ「特集とくしゅう 開港かいこう150年ねん、横浜よこはまの歩あるき方かた ヨコハマ歴史れきし散歩さんぽ 食たべ物もの 文明開化ぶんめいかいかの味あじを訪たずねて」『東京とうきょう人じん』第だい24巻かん第だい7号ごう、都市とし出版しゅっぱん、2009年ねん7月がつ3日にち、CRID 1523388079856611200、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:200045917。 
• 小菅こすが桂子けいこ『にっぽん洋食ようしょく物語ものがたり』新潮社しんちょうしゃ、1983年ねん12月15日にち。ISBN 978-4-10-350201-2。 
• 佐藤さとう彰あきら芳よし「挑戦ちょうせん者しゃたちの軌跡きせき ハマの老舗しにせ企業きぎょう」『横濱よこはま』第だい37号ごう、神奈川新聞社かながわしんぶんしゃ、2012年ねん7月がつ5日にち、全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:01010514。 
• 西東さいとう秋男あきお 編へん『日本にっぽん食しょく文化ぶんか人物じんぶつ事典じてん 人物じんぶつで読よむ日本にっぽん食しょく文化ぶんか史し』筑波つくば書房しょぼう、2005年ねん4月がつ8日にち。ISBN 978-4-8119-0278-4。 
• 佐藤さとう隆二りゅうじ・鳥居とりい美砂みさ「トースト特集とくしゅう 毎朝まいあさ、美味おいしい目覚めざめ こんがりトースト百科ひゃっか 関東かんとう・関西かんさい トースト用ようパンの名店めいてん」『サライ』第だい16巻かん第だい25号ごう、小学館しょうがくかん、2004年ねん12月2日にち、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:100039639。 
• 産経新聞さんけいしんぶん文化ぶんか部ぶ『食しょくに歴史れきしあり 洋食ようしょく・和食わしょく事始ことはじめ』産経新聞さんけいしんぶん出版しゅっぱん、2008年ねん3月がつ31日にち。ISBN 978-4-86306-051-7。 
• 清水しみず克かつ悦えつ『横浜よこはま謎なぞ解とき街がい歩あるき 港町みなとちょうは「はじめて」がいっぱい!』実業之日本社じつぎょうのにほんしゃ〈じっぴコンパクト新書しんしょ〉、2014年ねん4月がつ15日にち。ISBN 978-4-408-00871-4。 
• 鈴木すずき隆たかし祐ゆう『名門めいもん高校こうこう 青春せいしゅんグルメ』辰巳たつみ出版しゅっぱん、2018年ねん2月がつ1日にち。ISBN 978-4-7778-2009-2。 
• 関谷せきや淳子じゅんこ「特集とくしゅう・国産こくさん小麦こむぎ、有機ゆうき玄麦げんばく、天然てんねん ウチキパン 神奈川かながわ・横浜よこはま」『サライ』第だい31巻かん第だい3号ごう、2019年ねん2月がつ10日とおか、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:000041784。 
• 田村たむら幸子さちこ「うまいもの英えい譚たん」『サンデさんでー毎日まいにち』第だい81巻かん第だい1号ごう、毎日新聞まいにちしんぶん出版しゅっぱん、2002年ねん1月がつ13日にち、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:100037536。 
• 千葉ちば節子せつこ「味あじベンチャー 横浜よこはま市内しないで見みつけたパンの原型げんけい」『毎日まいにちグラフ』第だい42巻かん第だい43号ごう、毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ、1989年ねん11月5日にち、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:200135411。 
• 深澤ふかざわ寛和ひろかず「MM線せんで復活ふっかつ! 横浜よこはま・元町もとまちの歩あるき方かた キタムラ、ミハマ、フクゾー…… 「ハマトラ」支ささえた21店てんガイド」『読売よみうりウイークリー』第だい63巻かん第だい10号ごう、読売新聞社よみうりしんぶんしゃ、2004年ねん3月がつ7日にち、CRID 1523669555245029120、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:100105100。 
• 毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ横浜よこはま支局しきょく 編へん『神奈川かながわの百ひゃく年ねん』 上巻じょうかん、有隣堂ゆうりんどう、1968年ねん12月5日にち。 NCID BN10249587。 
• 松田まつだ亜子あこ「いってきます! 横浜よこはま 異国いこくが薫かおる港町みなとちょうでノスタルジック散歩さんぽ」『オレンジページ』第だい33巻かん第だい43号ごう、オレンジページ、2017年ねん11月17日にち、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:000035895。 
• 宮野みやの力つとむ哉『絵えとき 広告こうこく「文化ぶんか誌し」』日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱん社しゃ、2009年ねん5月がつ18日にち。ISBN 978-4-532-31433-0。 
• 山田やまだ慎まこと「パンの水先案内みずさきあんない人じん・山田やまだ慎まことさんが横浜よこはまパンのルーツをたどりウチキパンへ」『田園でんえん都市とし生活せいかつ』第だい64号ごう、枻出版しゅっぱん社しゃ、2017年ねん7月がつ10日とおか、ISBN 978-4-7779-4702-7。 
• 『パンの明治めいじ百ひゃく年ねん史し』パンの明治めいじ百ひゃく年ねん史し刊行かんこう会かい、1970年ねん9月がつ1日にち。 NCID BN12415086。 
• 『マチボン 横浜よこはまのパン屋や』エス・ピー・シー〈街まちの魅力みりょくに気きづくほん〉、2016年ねん6月がつ30日にち。ISBN 978-4-89983-226-3。 
• 『横浜よこはま 中華ちゅうか街がい』JTBパブリッシング〈マニマニ〉、2016年ねん8月がつ。ISBN 978-4-533-11254-6。 
• 「横浜よこはまものがたり 横浜よこはま元町もとまち老舗しにせ案内あんない 長年ながねん愛あいされ続つづけるのには理由りゆうがあります」『OZ magazine』第だい23巻かん第だい2号ごう、2009年ねん2月がつ11日にち、大宅おおたく壮一そういち文庫ぶんこ所蔵しょぞう:000032821。 

外部がいぶリンク

• 【公式こうしき】ウチキパン│明治めいじ21年ねん（1888年ねん）元町もとまちにて創業そうぎょう。食しょくパンを作つくり続つづけて1世紀せいき。