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「黒人の街」に偏るごみ処理施設、これは偶然?アメリカ社会の見えない差別:朝日新聞GLOBE+
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黒人こくじんまち」にかたよるごみ処理しょり施設しせつ、これは偶然ぐうぜん?アメリカ社会しゃかいえない差別さべつ

ホワイトハウスへもうダッシュ 更新こうしん 公開こうかい
チェスターにある工業こうぎょう地帯ちたい。このみちはさんで右側みぎがわ住宅じゅうたくがい左側ひだりがわだい規模きぼ製油せいゆしょ廃棄はいきぶつ処理しょりじょうならぶ=ペンシルベニアしゅうチェスター、ランハム裕子ゆうこ撮影さつえい、2021ねん11月29にち

まえ記事きじむ】脅迫きょうはく電話でんわ発火はっか装置そうち 「環境かんきょう差別さべつ」とたたか黒人こくじん女性じょせいけられた

白人はくじんにぎる、施設しせつ存続そんぞく決定けっていけん

「デラウェア渓谷けいこく資源しげん回収かいしゅう施設しせつ」はデラウェアぐん「ソリッド・ウェイスト・オーソリティ(固形こけい廃棄はいきぶつきょく)」との契約けいやくもとづき稼働かどうしているが、げん契約けいやくが2022ねん4がつ30にち終了しゅうりょうするため、「ソリッド・ウェイスト・オーソリティ」の役員やくいんかいメンバー7めいにより更新こうしんさい検討けんとうされなければならない。

今年ことし10がつからあらたな役員やくいんかいメンバーとなったジム・マクグラウグリンさんは、この役割やくわりにないたいとおもった動機どうきを、「ジョージ・フロイドさんの事件じけんをきっかけに、自分じぶん白人はくじんとしてこれまでいかに特権とっけんってきたかを実感じっかんし、環境かんきょう正義せいぎもとめるひとたちをたすけたいとおもった」という。マクグラウグリンさんによれば、これまでの役員やくいんかい会議かいぎ内容ないよう決断けつだん過程かてい、それを記録きろくした書類しょるいなどの透明とうめいせいけ、住民じゅうみんから批判ひはんされていた。

チェスター西部せいぶ住宅じゅうたくがいおくにある「デラウェア渓谷けいこく資源しげん回収かいしゅう施設しせつ」=ペンシルベニアしゅうチェスター、ランハム裕子ゆうこ撮影さつえい、2021ねん11月29にち

ぐん指名しめいする役員やくいんかいメンバーの7めいはいつも共和党きょうわとう白人はくじんで、チェスターのまち代表だいひょうするような役員やくいん一人ひとりもいなかった」。メイフィールドさんのサポートをもとに、はじめて焼却しょうきゃく施設しせつ閉鎖へいさもとめる市民しみん代表だいひょうするかたち役員やくいんメンバーとなったマクグラウグリンさんは、記録きろく会議かいぎをもっと公開こうかいすることで住民じゅうみんたいする公平こうへい透明とうめいせい改善かいぜんするよううったえた。結果けっか、これまでつきいちしかおこなわれなかった公開こうかい会議かいぎつき2かいやすことがみとめられた。

それでもまだ「メンバーのなか意見いけんのバランスがまったくとれていない」となげく。それはのメンバーが焼却しょうきゃく施設しせつ支払しはら金額きんがくおも理由りゆうに、契約けいやく更新こうしんかたむいているからだ。チェスター市長しちょうおな理由りゆう施設しせつ廃止はいしではなく契約けいやく更新こうしん支持しじしているとられる。

「デラウェア渓谷けいこく資源しげん回収かいしゅう施設しせつ」を運営うんえいする会社かいしゃ「コバンタ」広報こうほう担当たんとうのニコール・ローブルズさんによれば、「コバンタ」は500まんドル(やく5おく7せんまんえん)のホスト料金りょうきんと300まんドル(やく3おく4せんまんえん)の税金ぜいきんわせ、合計ごうけい800まんドル(やく9おく1せんまんえん)を毎年まいとしチェスター支払しはらっている。このがくは、チェスターの年間ねんかん予算よさん5せん5ひゃくまんドル(やく62おく4せん5ひゃくまんえん)のやく15%をめている。

チェスター西部せいぶにある「デラウェア渓谷けいこく資源しげん回収かいしゅう施設しせつ周辺しゅうへん住宅じゅうたく区域くいきおおく、なかには外壁がいへきに10以上いじょう銃弾じゅうだんあとがある建物たてものがあった=ペンシルベニアしゅうチェスター、ランハム裕子ゆうこ撮影さつえい、2021ねん11月29にち

今年ことし9がつ30にち対面たいめんおこなわれた「ソリッド・ウェイスト・オーソリティ」による公開こうかい会合かいごうで、チェスター市長しちょう代理だいりのウィリアム・モーガンさんは発言はつげんした。「チェスター住民じゅうみん健康けんこう安全あんぜんおびやかす要因よういん多岐たきわたるため、『コバンタ』だけに原因げんいんがあるとはかぎらない。市民しみん健康けんこう値札ねふだをつけるわけではないが、財政ざいせい事実じじつ指摘してきしたい。2020ねんはパンデミックにより、歳入さいにゅうがく大幅おおはば低下ていかしたが、『コバンタ』が滞納たいのうすることはなかった。『コバンタ』は今年ことしも480まんドル(やく5おく4500まんえん)をおさめることになっている。これは、さらに支払しはらわれる税金ぜいきんふくまれていないがくだ」

「ソリッド・ウェイスト・オーソリティ」のマイケル・マクニショル所長しょちょうは、焼却しょうきゃく施設しせつ閉鎖へいさ仮定かていするとしょうじるぐん歳入さいにゅう減少げんしょうについて、「コバンタ」が年間ねんかん45まんトンのはいどうぐん埋立うめたてっていくことでぐん支払しはらわれる料金りょうきんもち説明せつめいした。焼却しょうきゃく施設しせつ閉鎖へいさすれば、「ぐん使用しようだいとして『コバンタ』から支払しはらわれるやく800まんドル(やく9おく1せんまんえん)の歳入さいにゅううしなうだろう。さらにいまある埋立うめたて拡大かくだいすることで、さらなる200まんドル(やく2おく2800まんえん)の経費けいひがかかることになる」。埋立うめたて拡大かくだいに5せんまんドル(やく5おく7せんまんえん)かかることや、「コバンタ」にはこばれてくるゴミのほとんどがニューヨーク、フィラデルフィア、ニュージャージーからており、どうぐんからは18%のゴミしかていないにもかかわらず高額こうがく費用ひようがかかると事実じじつ議論ぎろんされた。

チェスター西部せいぶにある「デラウェア渓谷けいこく資源しげん回収かいしゅう施設しせつ周辺しゅうへん住宅じゅうたく区域くいき子供こどもおおいことから、運転うんてんしゃ喚起かんきするための「子供こどもたちに注意ちゅうい」という交通こうつう標識ひょうしきてられていた=ペンシルベニアしゅうチェスター、ランハム裕子ゆうこ撮影さつえい、2021ねん11月29にち

このミーティングには新型しんがたコロナの影響えいきょう人数にんずう制限せいげんがあったものの、「環境かんきょう差別さべつ」や「黒人こくじんいのちはい大切たいせつだ」などとかれたプラカードをかかげるやく80にん市民しみん参加さんかし、そのうち40にんが5分間ふんかんずつ発言はつげんする機会きかいあたえられた。「焼却しょうきゃく施設しせつがこのまち環境かんきょう差別さべつ象徴しょうちょうにした」、「あなたがたの決断けつだんによりひとからだにどれだけの被害ひがいおよぶかを理解りかいしてほしい」、「『コバンタ』施設しせつには適切てきせつ汚染おせん制御せいぎょシステムがないため酸化さんか窒素ちっそ放出ほうしゅつされている」などとった意見いけんて、議論ぎろんやく4あいだはんわたった。

会合かいごう主催しゅさいしゃである市議会しぎかい議員ぎいんが「どこをとっても焼却しょうきゃくまって貧困ひんこん区域くいき黒人こくじん居住きょじゅう存在そんざいしている。有色ゆうしょく人種じんしゅのコミュニティーは歴史れきしてきても均衡きんこう負担ふたん背負しょわされている」と発言はつげんし、施設しせつ閉鎖へいさうったえる市民しみん理解りかいしめ場面ばめんもあった。市民しみん一貫いっかんしてうったえたメッセージは明白めいはくなものだった。「焼却しょうきゃく施設しせつ閉鎖へいさしてほしい」

施設しせつ運営うんえい会社かいしゃなにかた

「デラウェア渓谷けいこく資源しげん回収かいしゅう施設しせつ」を運営うんえいする「コバンタ」の上級じょうきゅうふく社長しゃちょうで、過去かこべい環境かんきょう保護ほごちょう研究けんきゅう開発かいはつ行政ぎょうせいかん補佐ほさをした経験けいけんつポール・ギルマンさんは、廃棄はいきぶつ発電はつでんは「ゴミのてにくら環境かんきょうこわさず持続じぞく可能かのう方法ほうほうだ」と主張しゅちょうする。「コバンタ」の焼却しょうきゃく施設しせつから大気たいき放出ほうしゅつされる酸化さんか窒素ちっそ粒子りゅうしじょう物資ぶっし二酸化にさんか硫黄いおうなどの放出ほうしゅつレベルはいずれも環境かんきょう保護ほごちょうさだめる水準すいじゅんよりもきわめてひくいとはなし、2007ねんくら現在げんざい水銀すいぎんは68%、ダイオキシンは52%も減少げんしょうされたことを強調きょうちょうした。

すでに基準きじゅんより下回したまわっている数値すうちをさらに減少げんしょうさせる理由りゆうを、ギルマンさんは「この施設しせつまち全体ぜんたいの1%であれ、排出はいしゅつぶつつくしていることにわりはない。地域ちいき住民じゅうみん施設しせつ運営うんえい満足まんぞくしなければわたしたちがながいスパンで運営うんえいしてくことはできないため、規制きせいまもるためだけではなく、住民じゅうみんのために放出ほうしゅつレベルをさらにげていく努力どりょくをしている」とはなす。

そのこころみとして、微粒子びりゅうし物質ぶっしつ金属きんぞく粉塵ふんじん、ダイオキシンなどを除去じょきょするために、ろ機能きのうつ「バグハウス」のデザインが改良かいりょうされた。さらに窒素ちっそ化合かごうぶつ、ダイオキシン、水銀すいぎんなどの数値すうちらすため、現在げんざいあたらしい技術ぎじゅつ駆使くししたあらたな2つの汚染おせんコントロールシステムが開発かいはつされているという。「1990年代ねんだいてられたふる施設しせつだと批判ひはんするひとがいるが、メンテナンスをしていくうえつねあたらしい技術ぎじゅつれシステムを更新こうしんしている」

「デラウェア渓谷けいこく資源しげん回収かいしゅう施設しせつ」のフェンスにられた真新まあたらしい弾幕だんまくには、「あなたたちの意見いけんをききいれ、行動こうどうしています」という文字もじとともに、「放出ほうしゅつぶつのデータはオンラインでいつでもチェックできます」とかれている=ペンシルベニアしゅうチェスター、ランハム裕子ゆうこ撮影さつえい、2021ねん11月29にち

「1990ねん前半ぜんはん、すでにおおくの産業さんぎょう廃棄はいきぶつ処理しょり施設しせつがあったこのまちあらたな廃棄はいきぶつ発電はつでん施設しせつてられることは市民しみんにとって『我慢がまん限界げんかい』を意味いみした」とギルマンさんは理解りかいしめす。ただ、環境かんきょう差別さべつ会社かいしゃ加担かたんしていることは否定ひていする。「この敷地しきちえらんだのは企業きぎょうがわではなく、ソリッド・ウェイスト・オーソリティ(固形こけい廃棄はいきぶつきょく)だ。そのさいこのまちにはすでに施設しせつ密集みっしゅうしていることが考慮こうりょされなかった。社会しゃかい全体ぜんたいとして、わたしたちはこのようなことを改善かいぜんしていかなければならない。会社かいしゃとしてわたしたちにできることは、だれにも被害ひがいおよばぬようベストをくすだけだ」

環境かんきょう差別さべつとは

「チェスターから製造せいぞうぎょう公害こうがい産業さんぎょう流入りゅうにゅうした1950年代ねんだい郊外こうがいうつむことができたのはおも白人はくじんだけだった。とく公民こうみんけん運動うんどうまえ黒人こくじん郊外こうがいむことにたいする白人はくじんからの抵抗ていこうつよく、移住いじゅうする経済けいざいてき余裕よゆう黒人こくじんすくなかった。さらなる産業さんぎょう施設しせつ建設けんせつにより汚染おせん悪化あっかし、のこされた黒人こくじん資産しさん価値かち低下ていかしていった」。ペンシルベニア州立しゅうりつ大学だいがくの「センター・フォア・エクセレンス・イン・エンバイロメンタル・トクシコロジー」で環境かんきょう毒性どくせいがく研究けんきゅうするマリリン・ハワース医師いし環境かんきょう差別さべつについて説明せつめいする。

ニューヨークにあるザ・ニュー・スクール大学だいがく社会しゃかい問題もんだい研究けんきゅうする「ティッシュマン・エンバイロメント・アンド・デザイン・センター」のエイドリアン・ペロビッチさんは、「全米ぜんべいにある73のゴミ焼却しょうきゃく施設しせつの80%が『エンバイロメンタル・ジャスティス・コミュニティー(てい所得しょとく黒人こくじん地域ちいき)』にある」とかたる。2019ねん5がつどうセンターが発表はっぴょうした全米ぜんべい焼却しょうきゃくかんするリポートによれば、なかでもなまり排出はいしゅつりょうおおい12施設しせつのうち、10の施設しせつ黒人こくじん居住きょじゅうにあった。

チェスターの工業こうぎょう地帯ちたいにある製油せいゆしょ。「デラウェア渓谷けいこく資源しげん回収かいしゅう施設しせつ」からくるまでわずか5ふんのところにある=ペンシルベニアしゅうチェスター、ランハム裕子ゆうこ撮影さつえい、2021ねん11月29にち

2017ねん11月、全米ぜんべい黒人こくじん地位ちい向上こうじょう協会きょうかい米国べいこく、ヨーロッパ、アフリカなどで大気たいき汚染おせん研究けんきゅうをする営利えいり団体だんたい「クリーン・エア・タスク・フォース」がした共同きょうどうリポートは、米国べいこく黒人こくじんが「フェンス・ライン・コミュニティー」に割合わりあいは、人種じんしゅくらべ75%たかいとし、「歴史れきしてきても汚染おせん施設しせつ黒人こくじん居住きょじゅうにあるのは偶然ぐうぜんではない」と明記めいきした。どう報告ほうこくしょでは「フェンス・ライン・コミュニティー」が、産業さんぎょう施設しせつ隣接りんせつしていることで騒音そうおん悪臭あくしゅう化学かがく物質ぶっしつによる大気たいき汚染おせんなどの影響えいきょう直接的ちょくせつてきける地域ちいき定義ていぎされている。

「チェスターの黒人こくじんかれる状況じょうきょう人種じんしゅ差別さべつ関連かんれんしている」と明言めいげんするハワース医師いしは、その原因げんいんが「政府せいふ白人はくじんまもるのとおなじように黒人こくじんまも規制きせい実現じつげんしていないことにある」と指摘してきする。たとえば、現在げんざい各州かくしゅうさだめる汚染おせん水準すいじゅんは、1963ねん成立せいりつした「クリーン・エア・アクト(大気たいき清浄せいじょうほう)」にもとづいている。だが、「大気たいき清浄せいじょうほうはオゾンや二酸化にさんか硫黄いおうなまりなどを規制きせいしたものの、はつがん物質ぶっしつふく大気たいき有害ゆうがい物質ぶっしつ十分じゅうぶん考慮こうりょされていない。大気たいき有害ゆうがい物質ぶっしつ長年ながねんわたうことで蓄積ちくせきされるからだへの影響えいきょうかんする分析ぶんせきもない」。このため蓄積ちくせきされる人体じんたいへの影響えいきょう規制きせいれられていないという。

学校がっこうえた子供こどもたちは自然しぜんとメイフィールドさんの事務所じむしょあつまるようになった。メイフィールドさんはそんな子供こどもたちの世話せわをしていた=ペンシルベニアしゅうチェスター、本人ほんにん提供ていきょう

「『コバンタ』がしめ放出ほうしゅつぶつ数値すうち真実しんじつだとおもう。過去かこくら数値すうちげたというのもいつわりではないだろう。問題もんだいなのはもともとの数値すうちレベルが異常いじょうたかいところからはじまっているということ。しゅう環境かんきょう保護ほごちょう設定せっていする水準すいじゅんゆるく、大気たいき有害ゆうがい物質ぶっしつ規制きせいされていないことをかんがえれば、減少げんしょうしたから安全あんぜんなレベルになったとはけっしてえない」とハワース医師いしかたる。

1)大気たいき有害ゆうがい物質ぶっしつからだ蓄積ちくせきされることでこる健康けんこう被害ひがい分析ぶんせきがない、2)チェスターには焼却しょうきゃくだけでなく下水げすい処理しょりじょう金属きんぞくくず工場こうじょう製油せいゆしょ製紙せいし工場こうじょう化学かがく製造せいぞう工場こうじょう密集みっしゅうしている、3)焼却しょうきゃく施設しせつ周辺しゅうへん高速こうそく道路どうろからの排気はいきガス。これらの要素ようそ考慮こうりょされないまま施設しせつ単独たんどく検討けんとうされることによりしゅうから運営うんえい許可きょかくだつづける「チェスターは環境かんきょう差別さべつさいたるれいだ」。各州かくしゅうまたは連邦れんぽう政府せいふによる規制きせいにより、しゅう産業さんぎょう施設しせつ許可きょか発行はっこうする基準きじゅん見直みなおし、大気たいき有害ゆうがい物質ぶっしつ累積るいせきすることでこる人体じんたいへの影響えいきょうのリスク査定さていをするメカニズムの必要ひつようせいをハワース医師いしうったえる。

■「アイ・キャント・ブリーズ(いきができない)」

黒人こくじんはレッドライニング(金融きんゆう機関きかんてい所得しょとく階層かいそう黒人こくじん居住きょじゅうする地域ちいきを、融資ゆうしリスクがたかいとしてあかせんかこみ、融資ゆうし対象たいしょうから除外じょがいするなどの組織そしきてき差別さべつ)のパターンからもわかるように、組織そしきてき困難こんなんいられてきた。汚染おせん物質ぶっしつ施設しせつがこのような地域ちいきにあるというのもおなじパターンだ。そのパターンをける唯一ゆいいつ要素ようそは『人種じんしゅ』だ。米国べいこく汚染おせん影響えいきょうける地域ちいきのほとんどが、黒人こくじん先住民せんじゅうみんのコミュニティーだ」。メイフィールドさんは環境かんきょう差別さべつについてかたる。

だれかがながしているのなら、流血りゅうけつ原因げんいんさぐらなければならない。絆創膏ばんそうこうってめるだけでは意味いみがない。わたし環境かんきょう問題もんだい専門せんもんでも活動かつどうでもない。このコミュニティーでのころうとしながら、『いきができない』とくるしむ市民しみん家族かぞくすくいたいだけだ」

環境かんきょう差別さべつ問題もんだいとたたかう営利えいり団体だんたい「チェスター・レジデンツ・コンサーンド・フォア・クォリティ・リビング」代表だいひょうのズリーン・メイフィールドさん=ペンシルベニアしゅうチェスター、ランハム裕子ゆうこ撮影さつえい、2021ねん11月29にち

30ねんちかくにもわたり、これだけ市民しみん健康けんこう問題もんだいうったえても、訴訟そしょう企業きぎょう大気たいき汚染おせん証明しょうめいされることもだい規模きぼ施設しせつ閉鎖へいさすることもなかった。様々さまざま規制きせい決断けつだん白人はくじんにより白人はくじんのためにおこなわれる一方いっぽうで、それが「人種じんしゅ差別さべつもとづいている」と証明しょうめいすることは容易よういではない。ひとしんひそ差別さべつ意識いしき大気たいき汚染おせんというえないものとかさなれば、なおさらだ。それはこのくにで「サバイブする(のこる)」黒人こくじんたいするシステミック・レイシズムの根深ねぶかさを象徴しょうちょうしているのかもしれない。

環境かんきょう差別さべつ問題もんだい長年ながねんんできたメイフィールドさんはう。「『いきをする権利けんり』は人間にんげんとしての基本きほんてき人権じんけんだ」。地元じもと住民じゅうみんが「ははのような存在そんざい」とぶメイフィールドさんの、家族かぞくまもるたたかいはつづく。(おわり)