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TRFのSAMさん、高齢者向けダンスプログラム開発「ダンスは体と頭を使い心にも良い」:朝日新聞GLOBE+
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TRFのSAMさん、高齢こうれいしゃけダンスプログラム開発かいはつ「ダンスはからだあたま使つかしんにもい」

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インタビュー後の撮影でポーズを取るSAMさん
インタビュー撮影さつえいでポーズをるSAMさん=2023ねん11月24にち東京とうきょう都内とない関口せきぐちさとし撮影さつえい

TRF結成けっせい20ねんとなった2012ねん、TRFのヒットきょくとエクササイズを融合ゆうごうしたダンスプログラム「EZ DO DANCERSIZE(イージー・ドゥ・ダンササイズ)」のDVDをしたら、予想よそう以上いじょう反響はんきょうがあり、ひとびとがこういうものをもとめていることがかった。

日本にっぽんちょう高齢こうれい社会しゃかいになるなか、医師いし参院さんいん議員ぎいんのいとこから高齢こうれいしゃけダンスをつくってほしいとわれたことをおもし、つぎ高齢こうれいしゃけのプログラムをつくってみようとかんがえた。

とはいえ、周囲しゅうい高齢こうれいしゃはいない。ドクターヘリに救急きゅうきゅうわたしのダンス教室きょうしつ生徒せいとにいたので相談そうだんしてみた。かれ足腰あしこしつよくするものがいとか、すわってできるものがあったらいなどとアドバイスをくれ、試作しさくひんつくった。

ちょうどおなじころに、地元じもとさいたま岩槻いわつきなつまつりでイージー・ドゥ・ダンササイズを観客かんきゃくおしえるワークショップがあった。それを循環じゅんかんけい医師いしで、岩槻いわつき病院びょういん経営けいえいするべつのいとこに「心臓しんぞう疾患しっかん患者かんじゃさんのリハビリにダンスが有効ゆうこうかも」とこえけられ、一緒いっしょかんがえることになった。

かれ病院びょういんのリハビリしつ高齢こうれい患者かんじゃさん20にんあつめてもらいしゅう1かい、プログラムをつくるためのワークショップを開始かいし最初さいしょはみんなぼくかおて「なにをやらされるのだろう」と緊張きんちょうしていたので、「ぼくがやっているようなダンスをするわけではなく、みなさんとからだいダンスをかんがえていきたい」と説明せつめい血圧けつあつ心拍しんぱくすうなどのデータをりながらすすめた。そのわりには、みんな笑顔えがおになって「たのしかった」とってくれたので、自分じぶんも「つづけていける」とおもった。

シニア世代にダンスを指導するSAMさん=本人提供
シニア世代せだいにダンスを指導しどうするSAMさん=本人ほんにん提供ていきょう

理学りがく療法りょうほうやいとこから、高齢こうれいしゃにはボックスステップはあしからまって転倒てんとうするといけないのでけてほしいとか、きょくのテンポもとしたほうがいとか、上半身じょうはんしん下半身かはんしんちがうごきをすることでのうトレになるなどとアドバイスをもらった。

運動うんどう強度きょうどはラジオ体操たいそう自宅じたく掃除そうじおなじぐらいに調整ちょうせい。ただ、からだうごかしかた次第しだい強度きょうど操作そうさできるので「きついとおもったら自分じぶんなりにやって無理むりをしないように」とっている。

ぼくはストリートダンスをやっているので、格好かっこうくてダンスっぽくしなければいけない、ともかんがえ、いろいろなことをミックスして2、3カ月かげつかけてつくり、患者かんじゃさんたちも「毎週まいしゅう、このたのしみ」とってくれるぐらいになった。

出来上できあがったプログラムを岩槻いわつき駅前えきまえにあるふくあい施設しせつでやってみることにした。心臓しんぞう疾患しっかんのあるひとがやって安全あんぜんであれば、どんなひとにも有効ゆうこうだろうとかんがえたからだ。患者かんじゃさんのくちコミなどで120にんぐらいの高齢こうれいしゃあつまってもらい、みんなでダンスした。それ以降いこう毎月まいつき1かい岩槻いわつきでワークショップをしている。

参加さんかしたひとみな、ダンスがわると「できなかった~」といつつも笑顔えがおになる。30年間ねんかん透析とうせきつづけていて100メートルあるくだけでゼーゼーっていたひとが、ダレデモダンスを1ねんつづけたら「いまは10キロあるけます」とうのでびっくりしたこともある。

「ダレデモダンス」について語るSAMさん
「ダレデモダンス」についてかたるSAMさん=2023ねん11月24にち東京とうきょう都内とない関口せきぐちさとし撮影さつえい

3ねんほどまえにジェロントロジー(老年ろうねんがく)に出合であった。知人ちじんに「ダレデモダンスに役立やくだつとおもうから勉強べんきょうしてみたら」とわれ、みなみカリフォルニア大かりふぉるにあだい通信つうしん教育きょういくけることにした。

ジェロントロジーとは簡単かんたんうと、老化ろうかについて社会しゃかいがく心理しんりがく生物せいぶつがく側面そくめんから分析ぶんせきし、としることをポジティブにとらえようという学問がくもん日本語にほんごえられた講義こうぎが60あり、移動いどうちゅうなど隙間すきま時間じかん集中しゅうちゅうして勉強べんきょうした。携帯けいたい電話でんわ2だい用意よういし、片方かたがた動画どうがて、もう片方かたがた重要じゅうようなことをメモするというやりかたで、1かい講義こうぎに2~3あいだかけ、1年間ねんかん修了しゅうりょうした。

ジェロントロジーで、一番いちばんピンときたことは「自分じぶんからだ自分じぶんうごかすことが大切たいせつ」ということ。食生活しょくせいかつ生活せいかつ習慣しゅうかん重要じゅうようだが、ダンスはからだうごかし、けをおぼえて音楽おんがくわせるのでのうトレにもなる。健康けんこう寿命じゅみょうばすのにもっと役立やくだつことは「自分じぶんがやっていることではないか」とおもった。

さらにダンスは大勢おおぜいおどったほうがより効果こうかがあるとされる。いっしょにおどって仲間なかまとの対話たいわまれ、定期ていきてきあつまることでコミュニティーができて社会しゃかいとのつながりがまれる。

高齢こうれいしゃ認知にんちしょう患者かんじゃいえきこもりがちとわれるが、ダンスをすることが外出がいしゅつ機会きかいとなる。参加さんかすることがきがいにもなっていく。ダンスはからだあたま使つかい、しんにもく、パーフェクトだとおもう。ジェロントロジーをまなんだことで自分じぶんのやっていることに自信じしんがついた。

インタビュー終了後に撮影に応じてくれたSAMさん
インタビュー終了しゅうりょう撮影さつえいおうじてくれたSAMさん=2023ねん11月24にち東京とうきょう都内とない関口せきぐちさとし撮影さつえい

ダレデモダンスをベースに2022ねん認知にんちしょう患者かんじゃらにけた「リバイバルダンス」のDVDを発売はつばい東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンターと理化学研究所りかがくけんきゅうしょ認知にんち機能きのう運動うんどう機能きのう効果こうか測定そくてい。エイベックス・エンタテインメントや日本にっぽん認知にんちしょう予防よぼう学会がっかいなどの協力きょうりょくた。音楽おんがく高齢こうれいしゃになじみのある昭和しょうわ平成へいせいのヒットソングを使用しよう筋肉きんにくなんさいになってもきたえただけつよくなる。内臓ないぞう筋肉きんにくつよくなり、免疫めんえきりょくがり、病気びょうきやけがをしても回復かいふくはやくなる。いろいろな意味いみからだうごかしてつよくすることは大切たいせつだ。

こうした活動かつどうは、社会しゃかい貢献こうけんしようというおもいがすこしはあったかもしれないが、50さいぎたころ、「ダンスのおかげいま自分じぶんがある」と、ダンスに恩返おんがえしをしたい気持きもちがつよくなった。

これまでは自分じぶんおどってひとてもらう、ひとにダンスをおしえてうまくなってもらうということをしてきたが、ダンスでひとびとが健康けんこうになり、しん元気げんきになることにづき、ダンスの可能かのうせいひろげたいとかんがえた。ダレデモダンスとリバイバルダンスで、可能かのうせいはどんどんひろがっていくとおもう。