夜中や明け方に激痛を引き起こす「痛風」は、尿酸値が高めの状態を示す「高尿酸血症」が長く続くことによって起こる。体内の尿酸量が増える原因の1つは、食べる・飲むといった日々の生活習慣だ。「尿酸値を下げるためには、食事やアルコールからのプリン体摂取を控えることが基本ルールです。ただ、プリン体がどのような食品に含まれていて、どのような食べ方をすればいいかといったことについて、勘違いしている人が多いようです」と、痛風治療を専門とする両国東口クリニック理事長の大山博司氏は注意を促す。暑さでビールがますますおいしくなる季節、尿酸値をコントロールするために外してはいけないポイントを解説していく。
『尿酸値を抑え、痛風を回避!』 特集の内容
尿酸値を上げる生活をしていない?
足の親指の関節などが腫れあがり、耐えがたい激痛をともなう「痛風」は、成人男性に多く、患者数は増えるいっぽうだ。特に夏は、「発汗により脱水しやすい」「プリン体を多く含むアルコール飲料の摂取増加」などの要因により、痛風の引き金となる尿酸値が上がりやすく、痛風発作を引き起こす人が増えるという
1回目を参照
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尿酸値が上がり、7mg/dLを超えると「高尿酸血症」となる。高尿酸血症を放っておくと、尿酸塩結晶が関節などにたまり、痛風発作のリスクが高まる。痛風発作を起こさないためには、尿酸が体内で過剰にならないよう、尿酸値を下げることが基本ルールとなる。数値としては6.0mg/dL以下を目標にする。
「痛風や、その背景である高尿酸血症は、飲酒をはじめとしたプリン体や脂質を多く含む食品の摂取過剰(尿酸の作り過ぎ)、排泄量の減少(尿酸を排泄できない)という、尿酸の産生・排泄バランスの崩れによって起こります。尿酸値を下げるには、生活習慣の改善、特に食事やアルコール摂取についてイチから見直していくことが重要です」と、長年、痛風治療を専門としてきた両国東口クリニック理事長の大山博司氏は強調する。
ここで、あなたの生活に潜む痛風リスクを、以下のチェックリストで確認してみよう。
尿酸値アップに要注意!チェックリスト
- つい食べ過ぎる傾向にある
- 外食や、お酒を飲む機会が多い
- 清涼飲料水が大好き
- 肥満である
- レバーや干物が好物
- 水分をあまりとらない
- 運動不足だ
- 激しいスポーツや筋トレをしている
- 仕事やプライベートでストレスが多い
- 近親者に高尿酸血症の人がいる
チェックリストは、いずれも尿酸値が上がりやすい要因で、たくさん当てはまる人ほど注意が必要だ。
ここで気になるのは、「生活環境」の要因だけではなく、「遺伝」も要因となること。遺伝については、父親や祖父などに痛風発作の経験者がいた場合は、いない場合と比べて発症リスクが高くなることが分かっている。ただし、母親が痛風の遺伝子を持っている可能性もある。
女性はそもそも男性に比べて痛風になるリスクは少ない。これは、女性ホルモンの働きによって尿酸値が上がりにくいためだ。痛風を発症しないケースも多いが、高尿酸血症の人でも痛風を発症しないケースもあり、痛風であることを意識しないまま、母親や祖父から息子に痛風が遺伝するということがある。これはかなり気づきにくい点だろう。両親ともに痛風ではないから大丈夫、ということはないのだ。
とはいえ、チェックリストのほとんどを占めるのが、食べる物や食べ方、運動習慣など、自分でコントロールしやすい、生活習慣に関わることだ。運動については第3回で詳しくお伝えするとして、今回は、食べる物、食べ方について詳しく見ていく。
食事のなかでも、尿酸値を上げる要因になるプリン体がどのような食材・食品に多く含まれるかを正しく知ることが大切だ。「実際に患者さんとお話ししていると、プリン体を多く含む食材や食品について誤解をしていたり、プリン体ゼロのビールを選べばいくら飲んでも問題ないと言っていたりするなど、食事のとり方について間違った考え方をしている人が多いと感じます」と大山氏は話す。