幽かそけ繆王(ゆうぼくおう、幽かそけ穆きよし王おう、生なま没年ぼつねん不明ふめい)は、中国ちゅうごく戦国せんごく時代じだいの趙ちょうの第だい10代君主くんしゅ(在位ざいい:紀元前きげんぜん235年ねん - 紀元前きげんぜん228年ねん)。王おうとしては5代目だいめ。姓せいは嬴、氏しは趙ちょう、諱いみなは遷。悼襄王おうの子こ。
悼襄王おうと悼倡后きさきの間あいだに生うまれた。すでに異母いぼ兄けいで嫡長子ちょうしの公子こうし嘉よしみが太子たいしであったが、悼襄王おうはこれを廃はいし、遷を太子たいしとした[1]。
悼襄王おう9年ねん(紀元前きげんぜん236年ねん)、悼襄王おうが死去しきょし、遷が王位おういを継承けいしょうした[1]。
幽かそけ繆王元年がんねん(紀元前きげんぜん235年ねん)、柏かしわ人じんの城市じょうしを築きずく[1]。
幽かそけ繆王2年ねん(紀元前きげんぜん234年ねん)、秦はたの将軍しょうぐん桓齮は平ひら陽ひ(現在げんざいの河北かほく省しょう邯鄲かんたん市し臨漳県けん西部せいぶ)と武ぶ城じょう(現在げんざいの山東さんとう省しょう徳とく州しゅう市し武たけ城ぐすく県けん西部せいぶ)を攻せめ、趙ちょうの将軍しょうぐん扈輒を討うち、10万まんの首級しゅきゅうを挙あげた(平ひら陽ひの戦たたかい)[1][2][3]。
幽かそけ繆王3年ねん(紀元前きげんぜん233年ねん)、秦はたの桓齮は再ふたたび出兵しゅっぺいし、平たいら陽よう・宜むべ安やす(現在げんざいの河北かほく省しょう石いし家か荘しょう市し藁わら城ぐすく区く南西なんせい部ぶ)・武たけ城じょうの3城しろを取とり、趙ちょう軍ぐんを破やぶってその将しょうを討うち取とった[3]。そのため、幽かそけ繆王は李り牧まきを大将軍だいしょうぐんに任にんじて、反撃はんげきに転てんじることにした[2]。
同年どうねん、李り牧まきは秦しん軍ぐんを肥こえ下かで破やぶり、秦はた将すすむ桓齮を討うち取とった(肥こえ下かの戦たたかい)[2][4]。この功こうにより、幽かそけ繆王は李り牧まきを武安たけやす君くんに封ふうじた[1]。
幽かそけ繆王4年ねん(紀元前きげんぜん232年ねん)、秦はたは趙ちょうの番ばん吾われを攻せめたが、李り牧まきは秦しん軍ぐんを再ふたたび撃破げきはした(番ばん吾われの戦たたかい)[1]。さらに、李り牧まきは秦はたから韓かん・魏たかしの国境こっきょうまで領土りょうどを奪還だっかんし、その勢力せいりょくを南みなみに押おし返かえした[2]。
幽かそけ繆王5年ねん(紀元前きげんぜん231年ねん)、代だい(現在げんざいの河北かほく省しょう張ちょう家か口くち市し蔚県)の地ちで大だい地震じしんが発生はっせいした[1]。楽らく徐じょから西にし、北きたは平ひら陰かげまで被害ひがいが及および、家屋かおくや牆壁しょうへきの大半たいはんが壊こわれ、地割じわれが東西とうざい百ひゃく三さん十じゅう歩ほに及およんだ[1]。
幽かそけ繆王6年ねん(紀元前きげんぜん230年ねん)、趙ちょうで大だい飢饉ききんが発生はっせいした[1]。民みんは口々くちぐちに、「趙ちょうは泣なき、秦はたは笑わらう」と言いった[1]。
幽かそけ繆王7年ねん(紀元前きげんぜん229年ねん)、秦はたの王おう翦が大軍たいぐんを以もって趙ちょうを攻せめたため、幽かそけ繆王は李り牧まきと司馬しば尚しょう(司馬しば卬の父ちち)に応戦おうせんさせた。苦戦くせんした秦はたは李り牧まきを排除はいじょすべく、趙ちょうの臣しん郭かく開ひらくに多額たがくの賄賂わいろを贈おくって、李り牧まきと司馬しば尚しょうが謀反むほんを企たくらんでいると幽かそけ繆王に讒言ざんげんさせた[2]。また、王おう母ははの悼倡后きさきも秦はたから賄賂わいろを受うけ取とり、趙ちょう王おうに讒言ざんげんをした[5]。幽かそけ繆王は讒言ざんげんを信しんじて、李り牧まきを誅殺ちゅうさつし、司馬しば尚しょうを更迭こうてつした[1][2][4]。その後ご、趙ちょう葱ねぎと斉ひとし将はた顔かお聚がその地位ちいに代かわった[1]。
幽かそけ繆王8年ねん(紀元前きげんぜん228年ねん)[6]、李り牧まき誅殺ちゅうさつの3カ月かげつ後ご、趙ちょう葱ねぎ・顔かお聚の率ひきいた趙ちょう軍ぐんは王おう翦に大敗たいはいし、大勢おおぜいの趙ちょう兵へいが戦死せんしした[1][4]。趙ちょう葱ねぎも戦死せんしし、顔かお聚は逃亡とうぼうした[1]。
同年どうねん10月がつ、趙ちょうの都と邯鄲かんたんが秦しん軍ぐんに占領せんりょうされた[1][7]。このとき、幽かそけ繆王は秦しん軍ぐんに捕とらえられた[7]。また、趙ちょう王おうとともに顔かお聚も共ともに捕虜ほりょになったという[1][4]。一方いっぽう、『史記しき』秦はた始はじめ皇すめらぎ本紀ほんぎでは、幽かそけ繆王は東陽とうようへ逃にげたが、王おう翦・羌瘣にその地ちを平定へいていされ、捕とらえられたと記しるされている[3]。
その後ご、幽かそけ繆王は房ぼう陵りょうに流ながされ、趙ちょうは滅亡めつぼうした。だが、兄あにの公子こうし嘉よしみは代だいに逃のがれ、そこで自立じりつして王おうを名乗なのり、趙ちょうの亡命ぼうめい政権せいけんである代だいを建たてた。
幽かそけ繆王は暗愚あんぐな王おうであった。司馬しば遷は『史記しき』趙ちょう世よ家かにおいて、「遷(幽かそけ繆王)は素行そこうが悪わるく、讒言ざんげんを信しんじた。それゆえ、良りょう将しょうの李り牧まきを誅殺ちゅうさつし、郭かく開ひらくを用もちいた」と記しるしている[1]。戦国せんごく策さくにおいても秦はたから趙ちょうに逃のがれて仮かりの宰相さいしょうとなった呂りょ不ふ韋の食客しょっきゃく・司つかさ空馬からうまの献策けんさくを容いれず、挙句あげくに韓かん倉くらという側近そっきんの讒言ざんげんで李り牧まきを誅殺ちゅうさつして国くにを滅ほろぼす原因げんいんとなり、平原ひらはら津つの長官ちょうかんの郭かく遺のこが趙ちょうが滅ほろんだのは国内こくないに賢者けんじゃがいても王おうに賢者けんじゃを活いかす能力のうりょくが無なかったと評ひょうされたことが書かかれている[8]。
この項目こうもくは、中国ちゅうごくの歴史れきしに関連かんれんした書かきかけの項目こうもくです。この項目こうもくを加筆かひつ・訂正ていせいなどしてくださる協力きょうりょく者しゃを求もとめています(P:中国ちゅうごく/P:歴史れきし/P:歴史れきし学がく/PJ中国ちゅうごく史し)。