戦災母子家庭で育つ夏子は、最近、雨が降ると機嫌が悪くなることが多かった。なぜなら、それまで履いていた長靴を弟に譲ってしまったため、夏子の履く長靴がなかったためであった。夏子の家は貧しいので、そう簡単には新しい長靴を買うわけにはいけない。夏子も事情は分かっているし、他にも長靴を持てない子もいるのだが、それでも新しい長靴が欲しいと言って、母を困らせてしまう。
ある朝、新しい長靴が玄関に置かれていた。夏子のためにと、お母さんが新しい長靴を買ってくれたのだった。大喜びの夏子は、今度は雨の日が待ち遠しくなる。そして、しとしと雨の降る日、夏子は胸を張り新しい長靴を履いて学校に向かった。しかし学校で授業を受けている間に、せっかく買ってもらった夏子の長靴はなくなってしまう。誇らしげな夏子を妬んで誰かが長靴を隠して捨ててしまったのか、それとも、勝手に履いて帰ってしまったのか。夏子はびしょぬれになりながら、校内くまなく必死になって探すが、長靴は見つからない。もう誰もいない運動場で、強くなる雨の中、ずぶ濡れになり泣き続ける夏子に、迎えにやって来たお母さんは優しく呼びかける。
長靴を失くした事を泣きじゃくって詫びる夏子を、母はにこやかに笑いながら靴屋に連れて行く。母は夏子のために、靴屋に頭を必死に下げて、もう一度同じ長靴を都合してもらおうとする。裸足の夏子の姿に、事情を慮った靴屋は嫌な顔一つせず、もう一度同じ長靴を都合してくれた。帰り道、余計なお金を使わす事を詫びて心配する夏子に、母は「娘(夏子)にあしたまで泣いた顔をさせるのはしのびない」から気にしなくていいと諭して「あしたはあしたの風が吹く」とにっこり笑うのであった。
NHKにおいて1961年5月21日に単発ドラマとして放送。
ほか
- 脚本:西沢裕子
- 演出:藤原杉雄
NHK連続テレビ小説の第2作で、1962年4月2日から翌1963年3月30日まで放送された[2]。
原作は上記の通り短編および短編集であるが、同作者による同傾向のテーマを持つ中短編小説を複数作組み合わせ、脚本を筆頭にテレビドラマスタッフ側で物語を再構成し、番組独自の展開を行った結果、“家族制度”を追及した作品として知られることとなった。
NHKには最終話のみ現存する。
この作品から8時15分開始の15分バージョンとなった。15分バージョンはこれ以後定着するようになった。8時15分開始は2009年度下半期の『ウェルかめ』まで48年間続く。また再放送はこの作品から12時台となったが、当時は12時40分 - 12時55分と、現在より5分早かった。12時40分開始は1965年度の『たまゆら』まで続く。
また、放送曜日が本作から月曜日から土曜日までの週6日の放送となった(前作『娘と私』は月曜日から金曜日までの週5日の放送だった)。週6日の放送は2019年下半期の『スカーレット』まで58年間続く[注 1]。
連続テレビ小説では初めて香川県を舞台とした作品であるが、本作の後に同県が舞台となるのは2023年度下半期の『ブギウギ』まで61年を要することとなる[注 2](2024年時点で四国地方において朝ドラの舞台から最も遠ざかっているのは愛媛県[注 3]となる)[3]。
主演の渡辺富美子は初代・朝ドラのヒロインかつ2024年現在も存命の歴代・朝ドラ作品で最も古い作品の主演俳優である(『娘と私』の主演・北沢彪は、1980年没)。
ほか
- 原作 - 壺井栄[2](「風」「右文覚え書」「母のない子と子のない母と」「あしたの風」「雑居家族」より)
- 脚本 - 山下与志一[2]
- 音楽 - 斉藤高順
- 演出 - 中山三雄
- 語り - 竹内三郎アナウンサー
- ^ ただし、2020年度前期の『エール』が放送中断し再放送になった際は、事実上の週跨ぎの放送になる形で一時的に土曜日の放送が復活した。
- ^ 『ブギウギ』は主に大阪と東京を舞台に展開されたが、物語の一部が香川県東かがわ市(ヒロインのモデルとなった人物にゆかりがある)を舞台としており、最終ロケも同市で行われた。
- ^ 1973年度の『北の家族』の舞台となった。
NHK 連続テレビ小説 |
前番組 |
番組名 |
次番組 |
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あしたの風 (1962年度)
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NHK 月 - 土8:15 - 8:30枠 |
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あしたの風(本放送)
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あかつき
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NHK 月 - 土12:40 - 12:55枠 |
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あしたの風(再放送)
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あかつき
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