インターネットデータセンター

インターネットデータセンター（英語えいご: Internet Data Center、略称りゃくしょう: iDC）とは、いわゆるデータセンターの中なかでも、特とくにインターネット接続せつぞくに特とく化かした設備せつび・サービスを提供ていきょうする事業じぎょう者しゃ及および建物たてもののこと。本ほん記事きじでは以下いか略称りゃくしょうのiDCを使用しようする。

iDCでは、高度こうどなセキュリティや災害さいがい耐たい性せいが完備かんびされた建物たてもの内ないに、ネットワーク機器きき・サーバやデータなどを設置せっち・保管ほかんする安全あんぜんな場所ばしょを提供ていきょうすると共ともに、インターネット接続せつぞくなどの各種かくしゅ通信つうしん網もうへのアクセスインフラ網もうを提供ていきょうする。また、通常つうじょうは運用うんようや監視かんし業務ぎょうむなども同時どうじに引ひき受うけ、障害しょうがい発生はっせい時じの通知つうちや対処たいしょなどシステム運用うんようのサポートを行おこなうのが、主体しゅたい的てきなサービスともなる。

概要がいよう

iDCでは、一般いっぱん的てきなデータセンターとして提供ていきょうされる電力でんりょく・空調くうちょう設備せつび・セキュリティなどのインフラ設備せつびのほかに、インターネット接続せつぞくに特とく化かした各種かくしゅサービスを提供ていきょうする。

iDCでは複数ふくすうのインターネットサービスプロバイダ (ISP) もしくはインターネットエクスチェンジ (IX) と契約けいやくを結むすび（もしくはピアリングを行おこない）、非常ひじょうに広帯域こうたいいきのインターネットバックボーンを確保かくほしている。iDC側がわではそれらのバックボーンに対たいしBGPによる経路けいろ制御せいぎょを行おこない、ある経路けいろに障害しょうがいが発生はっせいした場合ばあいでも自動的じどうてきに経路けいろ切替きりかえを行おこなうことで、iDCに収容しゅうようされているサーバ群ぐんへの外部がいぶからのコネクティビティを利用りよう者しゃに提供ていきょうする。大だい規模きぼなiDCになると、iDC内部ないぶにIXが設置せっちされているケースも少すくなくない。一般いっぱん的てきなデータセンターでは、インターネット接続せつぞくを含ふくむ外部がいぶとの通信つうしん回線かいせんは利用りよう者しゃ側がわが個別こべつに電気でんき通信つうしん事業じぎょう者しゃと契約けいやくするのが普通ふつうであることから、この点てんがiDCの最大さいだいの特徴とくちょうとも言いえる。

また運用うんよう・監視かんしを行おこなう専門せんもん技術ぎじゅつ者しゃを常時じょうじ配置はいちし、各種かくしゅ障害しょうがいが発生はっせいした場合ばあいの対処たいしょや、顧客こきゃくからの要望ようぼうに応おうじた各種かくしゅ作業さぎょう（バッチ処理しょり・バックアップ作業さぎょう）などのサービスを提供ていきょうする。また、SLA (Service Level Agreement) という、事業じぎょう者しゃ側がわが事前じぜんに設定せっていしたサービス品質ひんしつでシステムを運用うんようする基準きじゅんを設もうけており、事業じぎょう者しゃ側がわの落おち度どによるサービス品質ひんしつ低下ていかの場合ばあいには、利用りよう料金りょうきんの減額げんがくや返金へんきん、場合ばあいによっては賠償ばいしょうにも応こたえるなど、高度こうどな品質ひんしつが保証ほしょうされている。

iDCの中なかには、大量たいりょうのデータを効率こうりつよく送信そうしんするという目的もくてきから、コンテンツデリバリネットワーク (CDN) の機能きのうを合あわせて提供ていきょうするところもある。その多おおくはアカマイ・テクノロジーズのようなCDN技術ぎじゅつを持もつ事業じぎょう者しゃと提携ていけいし、iDC内部ないぶに設置せっちされたコンテンツ配信はいしんサーバにデータをキャッシュして、外部がいぶからの接続せつぞくに対応たいおうする。

基本きほん的てきに、サーバのデータ領域りょういきなどを貸かし出だすホスティングではなく、ハウジングを基本きほんとするラック単位たんいか、施錠せじょうされた金網かなあみ、もしくは施錠せじょう区画くかくされた個室こしつなどの場所ばしょを貸かし出だすのが、一般いっぱん的てきなインターネットデータセンターと言いわれるものである。

クラウドサービスの拡大かくだいにより特とくに大だい規模きぼなハイパースケールDC（HSDC）が出現しゅつげんし、他社たしゃのHSDCとの接続せつぞく（企業きぎょう間あいだ接続せつぞく）のためのコネクティビティデータセンター（コネクティビティDC）とそれに専用せんよう線せんで接続せつぞくする一般いっぱん事業じぎょう者しゃ向むけのエンタープライズデータセンター（エンタープライズDC）を設置せっちするクラウドゲートウェイ型がたや、HSDCを近隣きんりんに集中しゅうちゅう的てきに設置せっちして相互そうご接続せつぞくするキャンパス型がたのシステムが構築こうちくされている^[1]。

歴史れきし

1990年代ねんだいになるとインターネット接続せつぞくサービスの普及ふきゅう、インターネットエクスチェンジ（IX）の形成けいせいによりiDCが登場とうじょうした^[1]。インターネットの利用りよう者しゃが増加ぞうかするまでは情報処理じょうほうしょりサービス事業じぎょう者しゃが大だい企業きぎょうや金融きんゆう機関きかんの情報じょうほうシステムに対応たいおうするための電算でんさんセンターを都市とし部ぶや地方ちほう関係かんけいなく設置せっちしていたが、iDCはインターネットエクスチェンジが多おおく形成けいせいされた都市とし部ぶに主おもに設置せっちされた^[1]。

2000年代ねんだい後半こうはんになるとERPシステム等とうの業務ぎょうむシステムの導入どうにゅうが進すすみ各かく企業きぎょうで運用うんようや保守ほしゅのコストが増大ぞうだいしたためシステムアウトソーシングが利用りようされるようになり、データセンターの立地りっちも十分じゅうぶんなスペースを確保かくほできる郊外こうがいが中心ちゅうしんになっていった^[1]。

2010年代ねんだいにはクラウドサービスの登場とうじょうと普及ふきゅうでクラウド事業じぎょう者しゃ向むけのデータセンターの需要じゅようが大おおきくなっていった^[1]。データセンターの立地りっち場所ばしょはさらに広ひろい潤沢じゅんたくなスペースを確保かくほできる場所ばしょで電力でんりょくを確保かくほできる場所ばしょが選定せんていされるようになり、特とくにクラウド事業じぎょう者しゃ向むけの大だい規模きぼなデータセンターはハイパースケールDC（HSDC）と呼よばれるようになった^[1]。

iDCで提供ていきょうされるサービス

コネクティビティ: インターネット通信つうしんにおける帯域たいいき保障ほしょうされた通信つうしん回線かいせん（通常つうじょうMbps単位たんいで提供ていきょうされ、冗長じょうちょう化か/非ひ冗長じょうちょう化かを選択せんたくできる）
専用せんようラック: 冗長じょうちょう電源でんげん・UPS電源でんげんなどが完備かんびされた専用せんようラック
専用せんようケージ: 個室こしつまたは金網かなあみで区切くぎられ独自どくじに施錠せじょうされた場所ばしょ（カゴ）
各種かくしゅオペレーション: サーバの起動きどう停止ていし/稼動かどう状じょう況きょうの確認かくにん/プロセスの起動きどう停止ていし/入にゅう退すさ館かん管理かんりなど
各種かくしゅレポートの作成さくせい: トラフィックレポート/入にゅう退すさ館かん履歴りれきレポート/稼動かどう状じょう況きょうレポート/障害しょうがい関連かんれんレポートなど
各種かくしゅ監視かんしオペレーション: 機器きき稼動かどう監視かんし/プロセス（サービス）稼動かどう監視かんし/リソース監視かんし/ログ監視かんし/パフォーマンス監視かんし/ファイアウォール監視かんし
脆弱ぜいじゃく性せい調査ちょうさ: 脆弱ぜいじゃく性せい調査ちょうさを行おこない脆弱ぜいじゃく箇所かしょの指摘してきやコンサルティングなどを行おこなうサービス
ヘルプデスク: BtoB、BtoCを行おこなう事業じぎょう者しゃに代かわりシステム上じょうのトラブルに関かんして顧客こきゃく対応たいおうするサービス
決済けっさいサービス: クレジットカードやコンビニ決済けっさいなどの決済けっさいサービスを提供ていきょうするもの。（CAFIS接続せつぞく用ようのアプリケーションを開発かいはつするなども含ふくまれる）
その他た: ドメインの取得しゅとく代行だいこう/DNSサーバ提供ていきょう

データセンターの日ひ

データセンターの日ひ：日本にっぽん記念きねん日び協会きょうかいにより、「12月1日にち」が「データセンターの日ひ」として認定にんていされた。ソフトバンクIDCが登録とうろく申請しんせい。データセンター (Data Center) の頭文字かしらもじDCから「December（12月）」と、サーバ機器きき運用うんようの安心あんしん・安全あんぜん第だい一いちが事業じぎょうの基本きほんであることを示しめす「1日にち」を組くみ合あわせた。