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エマニュエル・シャルパンティエ - Wikipedia
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エマニュエル・シャルパンティエ

フランスの生物せいぶつ学者がくしゃ

エマニュエル・シャルパンティエ（Emmanuelle Marie Charpentier, 1968年ねん12月11日にち - ）は、フランス出身しゅっしんの生物せいぶつ学者がくしゃ[1]。エソンヌ県けん生うまれ。マックスプランク研究所けんきゅうじょ病原びょうげん体たい科学かがくユニット科学かがくおよびマネージングディレクター。感染かんせん症しょう研究けんきゅうヘルムホルツセンター研究けんきゅう員いん。ジェニファー・ダウドナと共ともにゲノム編集へんしゅう技術ぎじゅつ「CRISPR-cas9（クリスパー・キャスナイン）」を開発かいはつし[2]、2020年ねんノーベル化学かがく賞しょう受賞じゅしょう[3]。

Emmanuelle Charpentier
エマニュエル・シャルパンティエ
エマニュエル・シャルパンティエ(2015)
生誕せいたん (1968-12-11) 1968年ねん12月11日にち（55歳さい）
フランスの旗 フランス エソンヌ県けん
国籍こくせき フランスの旗 フランス
研究けんきゅう分野ぶんや 生化学せいかがく
研究けんきゅう機関きかん ウィーン大学だいがく
ウメオ大学だいがく
マックス・プランク研究所けんきゅうじょ
出身しゅっしん校こう パリ大学だいがく
パスツール研究所けんきゅうじょ
論文ろんぶん Antibiotic resistance in Listeria spp (1995)
主おもな業績ぎょうせき CRISPR
主おもな受賞じゅしょう歴れき #受賞じゅしょう歴れき参照さんしょう
プロジェクト:人物じんぶつ伝でん
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ノーベル賞しょう受賞じゅしょう者しゃノーベル賞
受賞じゅしょう年ねん：2020年ねん
受賞じゅしょう部門ぶもん：ノーベル化学かがく賞しょう
受賞じゅしょう理由りゆう：ゲノム編集へんしゅうの手法しゅほうの開発かいはつ

来歴らいれき

編集へんしゅう

1968年ねんにフランスのパリから18 km南東なんとうに位置いちするジュヴィジー＝シュロルジュで生うまれた。祖父そふはアルメニア人じんで、オスマン帝国ていこくのアルメニア人じん虐殺ぎゃくさつの生存せいぞん者しゃであった。子供こどものころはバレエダンサーを夢見ゆめみていた少女しょうじょだった。パリのパリ第だい6大学だいがくピエール・エ・マリ・キュリーで生化学せいかがく、微生物びせいぶつ学がく、遺伝いでん学がくを学まなび、1992年ねんに卒業そつぎょう[4]、パスツール研究所けんきゅうじょで1995年ねんにPh.D.を取得しゅとくした。PhD時代じだいの研究けんきゅうテーマは、抗こう微生物びせいぶつ薬やく耐たい性せいに関与かんよする分子ぶんしメカニズムの調査ちょうさ。[5]

Ph.D.取得しゅとく後ごは、ポスドクとして1995年ねんから1996年ねんまでパスツール研究所けんきゅうじょで働はたらき、その後ごアメリカに移うつり、1996年ねんから1997年ねんまでニューヨークのロックフェラー大学だいがくに所属しょぞく。この間あいだ、小児科しょうにか医いとしても名高なだかい微生物びせいぶつ学者がくしゃエレーヌ・トゥオマネン（英語えいご版ばん）の下したで働はたらいていた。この研究けんきゅう室しつは肺炎はいえんレンサ球菌きゅうきんが可動かどう遺伝いでん因子いんしを利用りようしてゲノムを変化へんかさせる方法ほうほうを研究けんきゅうしており、シャルパンティエは球菌きゅうきんがバンコマイシン耐たい性せいをどのように獲得かくとくするかを示しめすのに貢献こうけんした[6]。

1997年ねんから1999年ねんまではニューヨーク大学だいがくランゴンメディカルセンターで助手じょしゅ研究けんきゅう科学かがく者しゃとして働はたらき、マウスの発はつ毛げ調整ちょうせいについて研究けんきゅうした。さらに、1999年ねんから2002年ねんまではスカーボール分子ぶんし生物せいぶつ医学いがく研究所けんきゅうじょやセント・ジュード小児しょうに研究けんきゅう病院びょういんでリサーチ・アソシエイトとして研究けんきゅう活動かつどうを続つづけた。

アメリカでの5年間ねんかんの後のち、ヨーロッパに戻もどり、2002年ねんからウィーン大学だいがくで客員きゃくいん教授きょうじゅとして自みずからの研究けんきゅうチームを立たち上あげた。ここでは化膿かのうレンサ球菌きゅうきんにおける病原びょうげん性せい因子いんし合成ごうせいの調節ちょうせつに関かかわるRNA分子ぶんしを発見はっけんした[7]。2004年ねんから微生物びせいぶつ学がくおよび免疫めんえき生物せいぶつ学がく部門ぶもんのアシスタント・プロフェッサーに就任しゅうにん。2006年ねんには私わたし講師こうしになり、分子生物学ぶんしせいぶつがくセンターの教授きょうじゅ資格しかくも取得しゅとくした。そして、2006年ねんから2009年ねんまで同どう大学だいがくのマックス・F・ペルーツ研究所けんきゅうじょで准じゅん教授きょうじゅであった[4]。

2009年ねんよりスウェーデンのウメオ大学だいがくにてスウェーデン分子ぶんし感染かんせん医学いがく研究所けんきゅうじょの准じゅん教授きょうじゅに任命にんめいされ、そこで医学いがく微生物びせいぶつ学がくの教員きょういん資格しかくを取得しゅとくし、14年ねんから17年ねんまでは客員きゃくいん教授きょうじゅとして活動かつどうした。ここで後のちにノーベル化学かがく賞しょうを取とることになる"CRISPR-Cas9"を開発かいはつしたが、当時とうじについて、「この研究けんきゅうに専念せんねんすることを2008年ねんに決きめてからは、朝あさの3時じに帰宅きたくして数時間すうじかんだけ寝ねたあとすぐに研究けんきゅう室しつに戻もどるような生活せいかつでした」と多忙たぼうさを語かたっている[8]。

また、2013年ねんにはドイツに移うつり、ブラウンシュヴァイクのヘルムホルツ感染かんせん研究けんきゅうセンターの部門ぶもん長ちょうやハノーバー医科いか大学だいがくのW3教授きょうじゅを務つとめた。その後ごもごく一部いちぶの優秀ゆうしゅうな研究けんきゅう者しゃしか選えらばれないアレキサンダー・フォン・フンボルト教授きょうじゅとして招聘しょうへいされ、マックス・プランク協会きょうかいの会員かいいん、さらにはマックス・プランク感染かんせん生物せいぶつ学がく研究所けんきゅうじょ所長しょちょうを務つとめた。2018年ねん以降いこうは病原びょうげん体たい科学かがくのためのマックス・プランク・ユニットの創設そうせつおよび代理だいりディレクターに就ついている。[4]

CRISPR-Cas9

編集へんしゅう

シャルパンティエは、「CRISPR-Cas9」と呼よばれる細菌さいきん性せい免疫めんえきシステムの分子ぶんしメカニズムを解読かいどくし、それをゲノム編集へんしゅう用ようのツールに転用てんようするというノーベル賞しょうを受賞じゅしょうした研究けんきゅうで最もっともよく知しられている。特とくに、彼女かのじょはCRISPR-Cas9の機能きのうにおいて極きわめて重要じゅうような非ひコードRNAの成熟せいじゅくのための新あたらしいメカニズムを発見はっけんした。具体ぐたい的てきには、tracrRNA（英語えいご版ばん）と呼よばれる低てい分子ぶんしRNAがcrRNA（英語えいご版ばん）の成熟せいじゅくに不可欠ふかけつであることを示しめした[9]。

ウイーン大学だいがくでRNA分子ぶんしの調整ちょうせい機能きのうを研究けんきゅうしていたシャルパンティエはCRISPRに関心かんしんを持もち、2009年ねんに「化膿かのう連鎖れんさ球菌きゅうきんのゲノム内ないのCas9という酵素こうそタンパク質たんぱくしつと2つのRNA酵素こうそがこの細菌さいきんの免疫めんえきシステムで重要じゅうような役割やくわりを果はたしている」という仮説かせつを立たてた。そして2011年ねん、微生物びせいぶつに関かんする国際こくさい会議かいぎが開ひらかれたプエルトリコのカフェで、ジェニファー・ダウドナに研究けんきゅう仲間なかまを介かいして偶然ぐうぜん出会であった。石畳いしだたみの旧きゅう市街しがいを散策さんさくしながらゲノム編集へんしゅうの話はなしをしているうちに、シャルパンティエが共同きょうどう研究けんきゅうを提案ていあんしたことで研究けんきゅうが開始かいしされた。[10]

シャルパンティエの研究けんきゅう室しつは、Cas9を使用しようして任意にんいのDNA配列はいれつを切断せつだんできることを示しめした[11][12]。彼女かのじょ達たちが開発かいはつした方法ほうほうは、Cas9と簡単かんたんに作成さくせいできる合成ごうせい「ガイドRNA」分子ぶんしの組くみ合あわせを含ふくんでいた。合成ごうせいガイドRNAがcrRNAとtracrRNAのキメラであるがゆえに、この発見はっけんはCRISPR-Cas9テクノロジーを使用しようしてゲノム編集へんしゅうを比較的ひかくてき容易よういにできることを示しめした[12]。現在げんざいでは世界中せかいじゅうの研究けんきゅう者しゃがこの方法ほうほうを利用りようし、植物しょくぶつ、動物どうぶつ、細胞さいぼう株かぶのDNA配列はいれつを編集へんしゅうしている。CRISPRは、科学かがく者しゃが遺伝子いでんしを編集へんしゅうして健康けんこうや病気びょうきにおけるそれら役割やくわりを探さぐり、第だい一いち世代せだいの遺伝子いでんし治療ちりょうよりも安全あんぜんで効果こうか的てきであることが証明しょうめいされることを期待きたいして遺伝子いでんし治療ちりょうを開発かいはつすることを可能かのうにすることで、遺伝いでん学がくに革命かくめいをもたらした[13]。

2013年ねん、Shaun FoyおよびRodger Novakとともに、ベンチャー企業きぎょうCRISPR TherapeuticsおよびERS Genomicsを共同きょうどう設立せつりつした[14]。

受賞じゅしょう歴れき

編集へんしゅう

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ Abbott, Alison (2016-04-28). “The quiet revolutionary: How the co-discovery of CRISPR explosively changed Emmanuelle Charpentier’s life”. Nature News 532 (7600): 432. doi:10.1038/532432a. http://www.nature.com/news/the-quiet-revolutionary-how-the-co-discovery-of-crispr-explosively-changed-emmanuelle-charpentier-s-life-1.19814. 
  2. ^ “ゲノム編集へんしゅう技術ぎじゅつ・Crispr Cas9は「まず農業のうぎょうで」と、開発かいはつ者しゃは語かたった”. WIRED.jp (2017年ねん6月がつ15日にち). 2018年ねん1月がつ8日にち閲覧えつらん。
  3. ^ a b “2020年ねんノーベル化学かがく賞しょう受賞じゅしょう者しゃ発表はっぴょうのプレスリリース（和訳わやく）”. バイオステーション. 2020年ねん12月4日にち閲覧えつらん。
  4. ^ a b c “Prof. Emmanuelle Charpentier, Ph.D.”. www.mpg.de. 2020年ねん12月4日にち閲覧えつらん。
  5. ^ “Emmanuelle Charpentier”. www.mpg.de. 2020年ねん12月4日にち閲覧えつらん。
  6. ^ Novak, R.; Henriques, B.; Charpentier, E. (1999-06). “Emergence of vancomycin tolerance in Streptococcus pneumoniae”. Nature 399 (6736): 590–593. doi:10.1038/21202. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/21202. 
  7. ^ Mangold, Monika; Siller, Maria (2004). “Synthesis of group A streptococcal virulence factors is controlled by a regulatory RNA molecule”. Molecular Microbiology 53 (5): 1515–1527. doi:10.1111/j.1365-2958.2004.04222.x. ISSN 1365-2958. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1365-2958.2004.04222.x. 
  8. ^ “2020年ねんノーベル化学かがく賞しょうに「ゲノム編集へんしゅう」の研究けんきゅう者しゃ2人にん”. 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい. 2020年ねん12月4日にち閲覧えつらん。
  9. ^ Deltcheva, Elitza; Chylinski, Krzysztof (2011-03-31). “CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factor RNase III”. Nature 471 (7340): 602–607. doi:10.1038/nature09886. ISSN 0028-0836. PMC 3070239. PMID 21455174. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3070239/. 
  10. ^ “今年ことしのノーベル賞しょう【後編こうへん】化学かがく賞しょうの欧米おうべい女性じょせい2氏し プエルトリコで運命うんめい的てきな出会であい、共同きょうどう研究けんきゅうへ”. Science Portal. 2020年ねん12月11日にち閲覧えつらん。
  11. ^ “Overview | CRISPR”. web.archive.org. 2020年ねん12月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  12. ^ a b Jinek, Martin (2012-08-17). “A programmable dual RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity”. Science (New York, N.Y.) 337 (6096): 816–821. doi:10.1126/science.1225829. ISSN 0036-8075. PMC 6286148. PMID 22745249. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6286148/. 
  13. ^ “Two female CRISPR scientists make history, winning Nobel in chemistry”. STAT. 2020年ねん12月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  14. ^ “How the battle lines over CRISPR were drawn”. Science | AAAS. 2020年ねん12月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  15. ^ “フランス人じん研究けんきゅう者しゃエマニュエル・シャルパンティエ博士はかせが日本にっぽん国際こくさい賞しょうを受賞じゅしょう”. La France au Japon. 2020年ねん12月がつ10日とおか閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん

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