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グングニル - Wikipedia

グングニル

北欧ほくおう神話しんわ主神しゅしんオーディンがやり

グングニル[1]ノルド: Gungnir、「うごくもの」の[2])は、北欧ほくおう神話しんわ主神しゅしんオーディンやり日本語にほんごではグングニール[3]とも表記ひょうきされる[注釈ちゅうしゃく 1]

やりたずさえて巫女ふじょもとおとずれるオーディン。(ローランス・フレーリク、1895ねん
アースかみぞくヴァンかみぞくとのたたかいのはじまりにやりげるオーディン。(フレーリク、1895ねん

神話しんわでの描写びょうしゃ

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グングニルはロキトールつまシヴかみってしまったため、わりのかみつくらせたさいに、そのかみふねスキーズブラズニル同時どうじドヴェルグ小人こども)の鍛冶たんやイーヴァルディ息子むすこたちによってつくされた[6]。そのときロキは、ブロックルとシンドリというドヴェルグの兄弟きょうだいが、これらとおなじように見事みごと宝物ほうもつみっつくれるかどうかに自分じぶんあたまけた。シンドリ兄弟きょうだいべつみっつの宝物ほうもつ製作せいさくしたのちすべての宝物ほうもつはオーディン、トール、フレイ品定しなさだめされ、グングニルはロキからオーディンへわたされた[7][8]散文さんぶんのエッダ』詩語しごほう」では、グングニルの性質せいしつについて「そのやりただしい場所ばしょにとまったままでいない(geirrinn nam aldri staðar í lagi)」と説明せつめいされている[7][9]。このぶん意味いみについては、「けっしててきはずさない」[10][11]と「てきつらぬいたのち自動的じどうてき手元てもともどる」[12]とのとおりの解釈かいしゃくがある。また、このやりけた軍勢ぐんぜいにはかなら勝利しょうりをもたらす[13]

グングニルの穂先ほさきはしばしばルーン文字もじしるされる場所ばしょの1つとされている[14]

リヒャルト・ワーグナー楽劇がくげきニーベルングのゆびたまき』では、ヴォータン(オーディン)のやり世界せかいじゅトネリコえだからつくられたという設定せっていになっている[15]。このため、日本語にほんご文献ぶんけんには北欧ほくおう神話しんわにおけるグングニルのトネリコからつくられたとする記述きじゅつられる[16][17]。またある再話さいわでは、オーディンがミーミルのいずみみずんで知識ちしき記念きねんとして、いずみうえにまでびていたユグドラシルえだってグングニルをつくったともされている[4]。しかし、『エッダ』にはグングニルのがトネリコからつくられたという記述きじゅつはない。

名称めいしょう不明ふめいのオーディンのやり

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エッダの『巫女ふじょ予言よげん[18]や『フンディングごろしのヘルギのうたII英語えいごばん[19]サガの『ヴォルスンガ・サガ』などでも、やり名前なまえこそあきらかにされていないものの、オーディンがやりについて言及げんきゅうされている。

巫女ふじょ予言よげん』では、ヴァンかみぞくとのあらそいで、オーディンがやりげつける場面ばめんがある。ただし、この事件じけんはグングニルがつくられる以前いぜんとされる[20]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 日本にっぽんでの表記ひょうきとしてはこのほかに、グングネル[4]ゴングナー[5]がみられる。

出典しゅってん

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  1. ^ 『エッダ 古代こだい北欧ほくおう歌謡かようしゅう』で確認かくにんした表記ひょうき
  2. ^ R.Siimek, p.124
  3. ^ 北欧ほくおう神話しんわ伝説でんせつ』(ヴィルヘルム・グレンベックちょ山室やまむろしずわけ新潮社しんちょうしゃ、1971ねんISBN 978-4-10-502501-4、98ぺーじ)で確認かくにんした表記ひょうき
  4. ^ a b 少年しょうねん少女しょうじょ世界せかい名作めいさく文学ぶんがく だい39かん 北欧ほくおうへん2』、1967ねん小学館しょうがくかん、ASIN B000JBPPIW、338ぺーじ篠原しのはら雅之まさゆき北欧ほくおう神話しんわ」(オーディンと巨人きょじん知恵ちえくらべ))。
  5. ^ 北欧ほくおうかみ々』(アナース・ベックステッズしる岡崎おかざきすすむわけたか書房しょぼう北欧ほくおう文庫ぶんこII〉、1975ねん)にみられる表記ひょうき
  6. ^ 『エッダ』「詩語しごほう訳注やくちゅう、41–43ぺーじ
  7. ^ a b 『エッダ』「詩語しごほう訳注やくちゅう、42ぺーじ
  8. ^ 菅原すがわら、76–77ぺーじ
  9. ^ Skáldskaparmál – heimskringla.no”. heimskringla.no. 2021ねん5がつ16にち閲覧えつらん
  10. ^ 菅原すがわら、『北欧ほくおう神話しんわ』77ぺーじ
  11. ^ 北欧ほくおう神話しんわ伝説でんせつ』(ヴィルヘルム・グレンベックちょ山室やまむろしずわけ新潮社しんちょうしゃ、1971ねんISBN 978-4-10-502501-4、75ぺーじ。「なにぶつにもさまたげられることなくねらった相手あいて命中めいちゅうする」。
  12. ^ ステブリン=カーメンスキイ ちょ菅原すがわらくにしろ やく神話しんわがく入門にゅうもん東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかい、1980ねん、169ぺーじ 
  13. ^ 世界せかいかみ々の事典じてん』163ぺーじ
  14. ^ 『エッダ 古代こだい北欧ほくおう歌謡かようしゅう』145ぺーじ(「シグルドリーヴァのうた」17ふし)。
  15. ^ 高辻たかつじ知義ともよしやくワーグナー ニーベルングのゆびたまきした音楽之友社おんがくのともしゃ、2002ねん9がつ、206ぺーじISBN 4-276-35563-Xhttps://www.worldcat.org/oclc/676072433 
  16. ^ 武田たけだ龍夫たつお『バイキングと北欧ほくおう神話しんわ』117ぺーじ
  17. ^ せいけん伝説でんせつ』20ぺーじ
  18. ^ 『エッダ 古代こだい北欧ほくおう歌謡かようしゅう』11ぺーじ(「巫女ふじょ予言よげん」24せつ)。
  19. ^ 『エッダ 古代こだい北欧ほくおう歌謡かようしゅう』122ぺーじ(「フンディングごろしのヘルギのうたII」29せつ)。
  20. ^ 虚空こくうかみ々』336–337ぺーじ北欧ほくおう神話しんわ年表ねんぴょう」。グングニルがつくられるよりさきにヴァンかみぞくとの戦争せんそうこったことになっている。

参考さんこう文献ぶんけん

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