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コンカニ語 - Wikipedia

コンカニ

インド・ヨーロッパ語族ごぞくインド・アーリアぞくするインドの言語げんご

コンカニ(コンカニご、えい: Konkani language、コンカニ: Konknni Bhas、कोंकणी भास)は、インド・ヨーロッパ語族ごぞくインド・アーリアぞくするインド言語げんごである。

コンカン
コンカニ
Konknni ಕೊಂಕಣಿ कोंकणी കൊംകണീ
はなされるくに インドの旗 インド
地域ちいき コンカン
話者わしゃすう 605まんにん[1]
言語げんご系統けいとう
インド・ヨーロッパ語族ごぞく
表記ひょうき体系たいけい デーヴァナーガリーラテン文字もじマラヤーラム文字もじカンナダ文字もじ
公的こうてき地位ちい
公用こうよう インドの旗 インド ゴアしゅう
少数しょうすう言語げんごとして
承認しょうにん
インドの旗 インド連邦れんぽう政府せいふ
言語げんごコード
ISO 639-2 kok
ISO 639-3 kokマクロランゲージ
個別こべつコード:
knn — コンカニ
gom — ゴア・コンカニ
インド国内こくないのコンカニ話者わしゃ分布ぶんぷ
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1987ねん以来いらいゴアしゅう公用こうようであり、1992ねん以来いらいインド憲法けんぽうだい8付則ふそく言語げんごひとつでもある。

コンカンコーンカニー[2]コーンクニー[3] ともばれる。

名称めいしょう

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コンカニとは「コンカン地方ちほう言語げんご」を意味いみする。コンカンは現在げんざいマハーラーシュトラしゅうゴアしゅうカルナータカしゅうにわたる西部せいぶ海岸かいがん地域ちいきす。マラーティーのうち、この地域ちいきはなされる方言ほうげんをコンカン方言ほうげんぶが、コンカニとは別物べつものである。

概要がいよう

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コンカニは、ゴアしゅうおよび隣接りんせつするマハーラーシュトラしゅうおもムンバイ)、カルナータカしゅうケーララしゅうはなされる。マラーティーちかく、マラーティー方言ほうげんであるか、それとも独立どくりつした言語げんごであるかはしばしば問題もんだいになる。

コンカニ話者わしゃ多言たげん使用しようしゃ割合わりあい非常ひじょうおおく、1991ねん国勢調査こくせいちょうさによれば74%にたっする(ヒンディー話者わしゃでは11%)[4]。これはゴアしゅう以外いがい移住いじゅうした人々ひとびと割合わりあいおおく、移住いじゅうさき優勢ゆうせい言語げんごマラーティーカンナダトゥルマラヤーラムなど)をはな必要ひつようがあるためである。ゴアしゅうでも、学校がっこう教育きょういく通常つうじょうコンカニ以外いがい言語げんごおこなわれる[5]

ゴアしゅう中心ちゅうしん地域ちいきは16世紀せいき以来いらいポルトガル支配しはいされ、住民じゅうみんにはキリスト教徒きりすときょうとおおい。またポルトガルからの借用しゃくよう比率ひりつたかい。

方言ほうげん

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コンカニ方言ほうげん複雑ふくざつで、出身しゅっしんのほかに宗教しゅうきょうでもかれる。16世紀せいきにポルトガルじん現在げんざいのゴアしゅう中心ちゅうしん支配しはいしたとき、ヒンドゥー教徒きょうとキリスト教きりすときょう改宗かいしゅうするか、またはポルトガル支配しはいそと移住いじゅうしなければならなかった。このため、このキリスト教徒きりすときょうとふるくからの方言ほうげんはなすが、ヒンドゥー教徒きょうとのち周辺しゅうへん地域ちいきからやってきた人々ひとびとであり、両者りょうしゃ交流こうりゅうすくなかったこともあってことなる方言ほうげんはなしている[6]。ゴアしゅうではヒンドゥー教徒きょうと方言ほうげん事実じじつじょう標準ひょうじゅん位置いちめる[7]

カルナータカしゅうでもキリスト教徒きりすときょうととヒンドゥー教徒きょうとおおきくことなる方言ほうげんはなすが、その一方いっぽうでカルナータカしゅうのヒンドゥー教徒きょうと方言ほうげんはゴアのキリスト教徒きりすときょうと南部なんぶ方言ほうげん(サシティ方言ほうげん)にちかい。こののヒンドゥー教徒きょうとが16世紀せいきにサシティ地域ちいきから移住いじゅうしてきたのにたいし、キリスト教徒きりすときょうと北部ほくぶから18世紀せいき移住いじゅうしてきたためである[6]

カルナータカしゅうのヒンドゥー教徒きょうと方言ほうげん(Karwari, South Saraswat)は語末ごまつたん母音ぼいん消滅しょうめつしておらず、ふるじゅう子音しいんのこるなど、もっとも保守ほしゅてき要素ようそのこしている。

バラモンとそれ以外いがい代名詞だいめいしや「く・る」などの動詞どうしことなる。このちがいはヒンドゥー教徒きょうとだけでなく、キリスト教徒きりすときょうとにも存在そんざいする[6]

ISO 639-3 ではコンカニマクロランゲージとし、以下いかの2つにける。

ゴアしゅうでは、デーヴァナーガリーかれたコンカニ公用こうようとされている。ヒンドゥー教徒きょうとデーヴァナーガリーで、キリスト教徒きりすときょうとはポルトガルふうラテン・アルファベットでコンカニ表記ひょうきする。

インドのしょ言語げんごのうち、コンカニはラテン・アルファベットによる表記ひょうき確立かくりつしているめずらしい言語げんごである[8]そりしたおん子音しいんかさねることであらわされ(tt dd nn ll)、/ɲ/ は nh としる[9]

カルナータカしゅうでは、デーヴァナーガリーまたはカンナダ文字もじ表記ひょうきする。ケーララしゅうではかつてマラヤーラム文字もじでコンカニ表記ひょうきしていたが、現在げんざいはデーヴァナーガリーで表記ひょうきする。

コンカニ文献ぶんけん

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16世紀せいきにゴア中心地ちゅうしんち支配しはいしたポルトガルじんは、コンカニを Concanim または Canarim とんだ。後者こうしゃカンナダ意味いみしたが、誤解ごかいであることがわかったのちもこのかたりなが使つかわれた。

当初とうしょ、ポルトガルじんキリスト教きりすときょう布教ふきょうのためにコンカニ積極せっきょくてき利用りようし、17世紀せいきはじめにはコンカニ文法ぶんぽうしょ辞典じてんカテキズム翻訳ほんやくなどが出版しゅっぱんされた。天地てんち創造そうぞうからキリストの生涯しょうがいまでを韻文いんぶんしるした『クリスタ・プラーナ』(英語えいごばん)という書物しょもつ編纂へんさんされた。しかし、異端いたん審問しんもん影響えいきょうで、1684ねんにはキリスト教きりすときょう布教ふきょうにはポルトガルのみが使用しようされるようになり、コンカニ使用しよう禁止きんしされた。

当初とうしょポルトガルじんはヒンドゥーきょう禁止きんししたため、隣接りんせつするしゅうおおくの人口じんこう流出りゅうしゅつした。これらのしゅうにはオランダ影響えいきょうつよく、アムステルダムで1678ねん出版しゅっぱんされた『Hortus Indicus Malabaricus』というケーララしゅうマラバール海岸かいがん植物しょくぶつがくかんする著作ちょさくには、この移住いじゅうしたヒンドゥー教徒きょうとがコンカニいた植物しょくぶつ一覧いちらんせられた。これは歴史れきしじょうデーヴァナーガリーかれた最初さいしょ印刷物いんさつぶつである(ただし活字かつじではなくせいばん[10]

いっぽう、ゴアしゅうのヒンドゥー教徒きょうとはコンカニ口語こうごとしてのみとらえ、くときにはマラーティー使用しようした[11]

そのながあいだ、コンカニ口語こうごとしてのみ使つかわれたが、19世紀せいきまつになるとコンカニ雑誌ざっし出現しゅつげんするようになった。

日本にっぽんでは、戸部とべみのるこれによる『コンカニ入門にゅうもん』がたいりゅうしゃより1993ねん出版しゅっぱんされているが、この著者ちょしゃはこの言語げんご専門せんもんではなく、専門せんもんによる信頼しんらいできる文献ぶんけんはいまだ出版しゅっぱんされていない。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ エスノローグ18はん(2015)
  2. ^ JIS X 0412-2:2008
  3. ^ 言語げんごがくだい辞典じてん
  4. ^ Jain (2007) pp. 55-56
  5. ^ Miranda (2007) p.730
  6. ^ a b c Miranda (2007) pp.757-760
  7. ^ Miranda (2007) p.737
  8. ^ ほかにカシミゾもラテン・アルファベットを使用しようする
  9. ^ Miranda (2007) p.731
  10. ^ SarDessai (2000) p.18
  11. ^ Miranda (2007) p.735

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Jain, Dhanesh (2007) [2003]. “Sociolinguistics of the Indo-Aryan Languages”. In George Cardona; Dhanesh Jain. The Indo-Aryan Languages (paperback ed.). Routledge. pp. 46-66. ISBN 9780415772945 
  • Miranda, Rocky V (2007) [2003]. “Konkani”. In George Cardona; Dhanesh Jain. The Indo-Aryan Languages (paperback ed.). Routledge. pp. 729-765. ISBN 9780415772945 
  • SarDessai, ManoharRai (2000). A History of Konkani Literature (From 1500 to 1992). New Delhi: Sahitya Akademi. ISBN 8172016646 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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