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インド語群 - Wikipedia

インドぐん

インド・ヨーロッパ語族ごぞくインド・イランぞくするかたりぐん
インド・アーリアから転送てんそう

インドぐんインド・アーリアぐんIndo-Aryan languages)とは、インド・イラン下位かい分類ぶんるいのひとつで、インド・ヨーロッパ語族ごぞくぞくする。おもインド大陸たいりく分布ぶんぷする。

インドぐん
はなされる地域ちいきみなみアジア
言語げんご系統けいとうインド・ヨーロッパ語族ごぞく
下位かい言語げんご
ISO 639-5inc
インド分布ぶんぷウルドゥーはHindiの範囲はんいふくまれている。ロマドマリロマヴレンはこの地図ちず範囲はんいふくまれていない。)
  中央ちゅうおうぐん
  東部とうぶぐん
  北部ほくぶぐん
  北西ほくせいぐん
  南部なんぶぐん
  シンハラ・モルジブ諸語しょご

SIL推計すいけいによれば209言語げんごぞくし、母語ぼごとしている人口じんこうは9おくにん以上いじょうもっとおお言語げんごぐんである。代表だいひょうてきなものとして、ヒンディーウルドゥーをまとめたヒンドゥスターニー(5おく4000まんにん)、ベンガル(2おくにん)、パンジャーブ(1おくにん)、マラーティー(7000まんにん)、グジャラート(4500まんにん)、オリヤー(3000まんにん)、シンド(2000まんにん)がある。

名称めいしょう

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インドにはインド・ヨーロッパ語族ごぞく言語げんごのほかにもドラヴィダ語族ごぞくムンダチベット・ビルマなどの言語げんごはなされている。インドぐん英語えいご: Indic)という名前なまえでは「インドの言語げんご」という意味いみだと誤解ごかいされる可能かのうせいがあるため、インド・アーリアぐん英語えいご: Indo-Aryan)とぶこともおお[1]

インドぐんのうちもっとふるいものは、ヴェーダもちいられているヴェーダである。ヴェーダなかでも最古さいこ部分ぶぶんアヴェスターなどの古代こだいイランときわめてよくている。ほかに紀元前きげんぜん14世紀せいきしょうアジアにあったミタンニ王国おうこくおうめいかみめい、およびミタンニじんキックリ文書ぶんしょなかにインド・アーリアおもわれる語彙ごい出現しゅつげんする。

つづいて紀元前きげんぜん5世紀せいきごろに、サンスクリット文法ぶんぽうパーニニ標準ひょうじゅん成文せいぶんされた。これがこう紀元前きげんぜん2世紀せいきごろ古典こてんサンスクリットとして完成かんせいする。しかし、パーニニの時代じだいすでにヴェーダからの変化へんか目立めだっている。また、パーニニが確立かくりつしたサンスクリットはふるいヴェーダに回帰かいきしたわけではなく、どう時代じだいすで分化ぶんかしていたインド諸語しょごにも影響えいきょうけている。

ふる時代じだいあらわれるサンスクリット以外いがい俗語ぞくごてき言語げんご総称そうしょうして中期ちゅうきインド・アーリアまたはプラークリットぶ。プラークリットのもっとはやこくぶん紀元前きげんぜん3世紀せいきアショーカおう碑文ひぶんあらわれている。プラークリットは全体ぜんたいてきにサンスクリットよりもあたらしい語形ごけい文法ぶんぽうつが、語彙ごいによっては古典こてんサンスクリットやヴェーダよりもふる起源きげんつものもある。

10世紀せいき以降いこうになると現代げんだいにつながるしんインド・アーリア文献ぶんけん出現しゅつげんする。デーヴァセーナのスラーヴァカチャール(930ねんごろ)がヒンディーでは最古さいこ書物しょもつとされる。

そして13世紀せいきから16世紀せいきにかけてのイスラム勢力せいりょく拡大かくだいがインドおおきな影響えいきょうあたえた。ムガル帝国ていこく繁栄はんえいのもとで、イスラーム宮廷きゅうてい権威けんいによりペルシア支配しはいてきになったのである。しかしそのペルシア地位ちいは、現地げんち文法ぶんぽうをもとにアラビアペルシア語彙ごい大量たいりょう導入どうにゅうしたヒンドゥスターニーってわられた。現代げんだいヒンディーとく口語こうご)でも語彙ごいおおくはペルシアアラビア由来ゆらいのものになっている。

この言語げんご状況じょうきょう変化へんかしたのは1947ねんインド・パキスタン分離ぶんり独立どくりつときである。ヒンドゥー教徒きょうともちいるヒンドゥスターニーヒンディーとしてインド公用こうよう採用さいようされ、より「インドてき」な言語げんご目指めざしてサンスクリット、つまりトゥルシーダース時代じだいへの回帰かいきとでもいうべきものがおこなわれた。ウルドゥーとも共通きょうつうするペルシア・アラビア由来ゆらい専門せんもん用語ようごはサンスクリットのそれに、ときだい規模きぼに、また複合語ふくごうごもちいてえられたのである。一方いっぽうムスリムのそれはウルドゥーとしてパキスタン公用こうようとなり、さらなるアラビアペルシア語彙ごい追加ついかおこなわれた。現在げんざいウルドゥーはアラブ=ペルシアを、ヒンディーはサンスクリットけている。しかし文法ぶんぽう依然いぜん一様いちようであるため連続れんぞくたいといってよいだろう。一方いっぽう口語こうごではだい多数たすう住民じゅうみんが2言語げんご混交こんこうしたものをはなしており、それはヒンドゥスターニーとよばれている。

このかたりにはヒンドゥスターニー以外いがいにもアラビアや、比較的ひかくてききんえん言語げんごであるペルシア影響えいきょうつよけた言語げんごおおく、同時どうじ南方なんぽうドラヴィダ諸語しょごおおきな影響えいきょうあたえたかたりでもある。アラビアペルシア影響えいきょうインドつうじてドラヴィダ諸語しょご伝播でんぱされた。

下位かい分類ぶんるい

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インド・アーリア分類ぶんるい困難こんなんおおきい。また、どこまでを方言ほうげんとし、どこまでを言語げんごとするかも決定けっていするのがむずかしい。これは、ほかの言語げんごことなり、インドのだい部分ぶぶん言語げんご孤立こりつして発展はってんしたわけではなく、たがいに交流こうりゅうちながら発展はってんしてきたこと、およびおおくの話者わしゃ言語げんご使用しようしゃであることによる。インド・アーリア全体ぜんたいをひとつの巨大きょだい方言ほうげん連続れんぞくたいとみることもできる[2]

通常つうじょうは、ジョージ・エイブラハム・グリアソンのインド言語げんご調査ちょうさによる分類ぶんるい基本きほんてき踏襲とうしゅうしているが、学者がくしゃによってパンジャーブ西にしパハールぐん北西ほくせいぐんに、ビハール中央ちゅうおうぐんに、グジャラート南部なんぶぐんふくめるなどのちがいがある[3]

古代こだい

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中央ちゅうおうぐん

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ヒンディーぐん英語えいごばんとも。

東部とうぶぐん

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マガダとも。

北部ほくぶぐん

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パハールぐんとも。

北西ほくせいぐん

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南部なんぶぐん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ つじ直四郎なおしろう梵語ぼんご」『世界せかい言語げんご概説がいせつ』 1かん研究けんきゅうしゃ、1952ねん、65ぺーじ ただしつじ用語ようごでは「インド・アリアン」。
  2. ^ Masica (1993) p.25
  3. ^ Masica (1993) pp.446-456 にさまざまな分類ぶんるいせる

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Madhav Deshpande (1979). Sociolinguistic attitudes in India: An historical reconstruction. Ann Arbor: Karoma Publishers. ISBN 0-8972-0007-1, ISBN 0-8972-0008-X (pbk).
  • Erdosy, George. (1995). The Indo-Aryans of ancient South Asia: Language, material culture and ethnicity. Berlin: Walter de Gruyter. ISBN 3-1101-4447-6.
  • Jain, Dhanesh; & George Cardona (2003). The Indo-Aryan languages. London: Routledge.ISBN 0-7007-1130-9.
  • Kobayashi, Masato.; & George Cardona (2004). Historical phonology of old Indo-Aryan consonants. Tokyo: Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies. ISBN 4-8729-7894-3.
  • Masica, Colin P. (1993) [1991]. The Indo-Aryan languages. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 0521299446 
  • Misra, Satya Swarup. (1980). Fresh light on Indo-European classification and chronology. Varanasi: Ashutosh Prakashan Sansthan.
  • Misra, Satya Swarup. (1991-1993). The Old-Indo-Aryan, a historical & comparative grammar (Vols. 1-2). Varanasi: Ashutosh Prakashan Sansthan.
  • Sen, Sukumar. (1995). Syntactic studies of Indo-Aryan languages. Tokyo: Institute for the Study of Languages and Foreign Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies.
  • Vacek, Jaroslav. (1976). The sibilants in Old Indo-Aryan: A contribution to the history of a linguistic area. Prague: Charles University.
  •  『シャクンタラーひめカーリダーサさくつじ直四郎なおしろうわけ.岩波いわなみ文庫ぶんこ(1977ねん
  •  『サンスクリット』ピエール=シルヴァン・フィリオザ.白水しろみずしゃ(2006ねん