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パンジャーブ語 - Wikipedia

パンジャーブ

パンジャーブ地方ちほう言語げんご

パンジャーブ(パンジャーブご、Panjabi or Punjabi、グルムキー文字もじ: ਪੰਜਾਬੀ , シャームキー文字もじپنجابی)は、インドパキスタンにまたがるパンジャーブ地方ちほう言語げんごである。パンジャービーともしょうされる。

パンジャーブ
ਪੰਜਾਬੀ,پنجابی
はなされるくに インドの旗 インド
パキスタンの旗 パキスタン
地域ちいき みなみアジア
話者わしゃすう 1おく2200まんにん(2015ねん東部とうぶ西部せいぶ合算がっさん[1][2][3]
言語げんご系統けいとう
表記ひょうき体系たいけい グルムキー文字もじシャームキー文字もじデーヴァナーガリー
公的こうてき地位ちい
公用こうよう インドの旗 インド パンジャーブしゅう
少数しょうすう言語げんごとして
承認しょうにん
インドの旗 インド連邦れんぽう政府せいふ[4]
パキスタンの旗 パキスタン パンジャーブしゅう
言語げんごコード
ISO 639-1 pa
ISO 639-2 pan
ISO 639-3 pan
パンジャーブ話者わしゃ分布ぶんぷ
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インドぞくし、語順ごじゅんSOVがたである。みなみアジアの言語げんごのうち、ヒンディーベンガル話者わしゃすうようする。

パンジャーブ話者わしゃおおくはパキスタン東部とうぶパンジャーブしゅうんでおり、パキスタンでもっとおお人口じんこうの39%(2017ねん)の母語ぼごであるにもかかわらず、パキスタンでは公用こうようにはされていない。パンジャーブ州都しゅうとであるラホールでも、人口じんこうだい部分ぶぶんがパンジャーブ話者わしゃであるにもかかわらず、言葉ことばとしては文芸ぶんげい雑誌ざっし私信ししんにしかパンジャーブ使つかわれず、ウルドゥー英語えいごくらべて、その地位ちいたかくない[5]

インドでは、インドのパンジャーブしゅう公用こうようおよびデリーだい公用こうようになっているほか、インド連邦れんぽうレベルでも憲法けんぽうだい8付則ふそくさだめられた22の指定してい言語げんごのひとつである。近隣きんりんハリヤーナーしゅうヒマーチャル・プラデーシュしゅうにも話者わしゃがいる。

パンジャーブ在外ざいがいインドじん主要しゅよう言語げんごのひとつでもある。カナダでは43まんにんがパンジャーブ母語ぼごとし(2011ねん[6]イギリスでは27まんにんがパンジャーブ話者わしゃである(2011ねん[7]。ほかにオーストラリアアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくカリフォルニアしゅうなどにも分布ぶんぷする。

パンジャーブシクきょう重要じゅうよう言語げんごであり、聖典せいてんである『グル・グラント・サーヒブ』はおもにこの言語げんごかれている。

音声おんせい

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母音ぼいんヒンディーおなじく、たん母音ぼいん a i u /ə ɪ ʊ/ と、ちょう母音ぼいん ā ī ū e ai o au /ɑ i u e ɛ o ɔ/ がある。かくちょう母音ぼいんには対応たいおうするはな母音ぼいんがある。

子音しいん以下いかのとおり。f z x ɣ外来がいらいにのみあらわれ、それぞれ ph j kh g と区別くべつされないこともおお[8]

りょう唇音しんおん
くちびる歯音しおん
歯音しおん そりしたおん 後部こうぶ歯茎はぐきおん
かた口蓋こうがいおん
軟口蓋なんこうがいおん 声門せいもんおん
破裂はれつおんやぶおと p ph b t th d /ʈ/ ṭh /ɖ/ c /tʃ/ ch j /dʒ/ k kh g
鼻音びおん m n /ɳ/
摩擦音まさつおん (f) s (z) š /ʃ/ (x) (ɣ) h /ɦ/
ふるえおん r /ɽ/
側面そくめんおん l /ɭ/
半母音はんぼいん v y /j/

パンジャーブおおきな特徴とくちょうとして、いわゆるゆう声帯せいたいおん系列けいれつgh jh ḍh ṛh dh bh)が消滅しょうめつして語頭ごとう無声むせいおん語頭ごとう以外いがいゆうごえおん変化へんかし、その代償だいしょうとして声調せいちょう発達はったつしていることがあげられる[9]。h も語頭ごとう以外いがいでは、少数しょうすう例外れいがいのぞいて消滅しょうめつし、やはり声調せいちょう痕跡こんせきのこしている。一般いっぱんに、語頭ごとうゆう声帯せいたいおんがあった場合ばあいひく声調せいちょうになり、それ以外いがい箇所かしょでは先行せんこうする音節おんせつたか声調せいちょうになる。

声調せいちょう 意味いみ パンジャーブ ヒンディー
しるべ むち koṛā koṛā
こう ハンセン病はんせんびょう患者かんじゃ kóṛā koṛhī
ひく うま kòṛā ghoṛā

ヒンディーではふるじゅう子音しいん借用しゃくよう以外いがいでは消滅しょうめつし、その代償だいしょうとして母音ぼいんちょう母音ぼいん変化へんかしているが、パンジャーブではじゅう子音しいんがそのままのこっている(れいbuḍḍāいた」、ヒンディー būṛhā、サンスクリット vr̥ddha[10]

パンジャーブではそりしたおんṇ ṛ ḷ音素おんそとして確立かくりつしている。ヒンディーでは サンスクリットからの借用しゃくようにのみあらわれ、英語えいごからの借用しゃくようのぞいて 相補そうほ分布ぶんぷをなす。ただし、パンジャーブでも東部とうぶ方言ほうげんでは ṇ/n, ḷ/l区別くべつをしない[8]

方言ほうげん

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パンジャーブの「方言ほうげん

グリアソンは、インド言語げんご調査ちょうさにおいて、西にしはなされているパンジャーブを「ラフンダー」というパンジャーブとはことなる言語げんごであると主張しゅちょうした。どこまでをひとつの言語げんごとするかについては議論ぎろんかれる。

パティヤーラーにあるパンジャービ大学だいがく英語えいごばんえい: Punjabi University Patiala)では以下いかのように分類ぶんるいしている[11]

  • バッティアーニー方言ほうげん
  • ラティー方言ほうげん
  • マルワイー方言ほうげん
  • ポワディー方言ほうげん
  • パハーリー方言ほうげん
  • ドアビー方言ほうげん
  • カングリー方言ほうげん
  • チャンビアリー方言ほうげん
  • ドグリー方言ほうげん
  • ワジェーラワディー方言ほうげん
  • バール・ディ・ボディー方言ほうげん
  • ジャンゴチー方言ほうげん
  • ジャトキー方言ほうげん
  • チェナブリー方言ほうげん

このなかでは、ドーグリーのようにインド政府せいふによって1個いっこ独立どくりつした言語げんごとしてみとめられているものもふくまれる。

エスノローグの18はんでは、つぎのように分類ぶんるいしている[12]

これは一見いっけんグリアソンの分類ぶんるいにしたがっているようだが、エスノローグのいう西にしパンジャーブとはパキスタンのパンジャーブのことにすぎず、実際じっさいにはインドのひがしパンジャーブとのちがいはきわめてちいさい(サライキとのちがいはずっとおおきい)。

表記ひょうき

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パキスタンではシャームキー文字もじ(シャー・ムキーたい)というナスタアリークたいえたアラビア文字もじもちいる。 インドではシャーラダー文字もじ系統けいとうグルムキー文字もじもちいる。パンジャーブしゅう以外いがい住民じゅうみんデーヴァナーガリー文字もじもちいることもある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Punjabi, Eastern”. Ethnologue. Ethnologue. 2017ねん7がつ12にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2017ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ Punjabi, Western”. Ethnologue. Ethnologue. 2017ねん7がつ12にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2017ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  3. ^ エスノローグ18はんの Punjabi, East と Punjabi, West の合計ごうけい
  4. ^ インド憲法けんぽう附則ふそく8で指定していインドの公用こうよう一覧いちらん参照さんしょう
  5. ^ Jain (2007) 3.1
  6. ^ Census Profile”. Statistics Canada (2015ねん2がつ9にち). 2015ねん8がつ21にち閲覧えつらん
  7. ^ 2011 Census: Quick Statistics for England and Wales, March 2011”. Office for National Statistics (2013ねん1がつ30にち). 2015ねん8がつ21にち閲覧えつらん
  8. ^ a b Shackle (2007) 2.2
  9. ^ Shackle (2007) 2.4
  10. ^ Shackle (2007) 2.3
  11. ^ Online Punjabi Teaching: Introduction”. 2013ねん5がつ17にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2013ねん5がつ17にち閲覧えつらん (archive.org)
  12. ^ Indo-Aryan”. Ethnologue (2015ねん). 2015ねん8がつ20日はつか閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Jain, Dhanesh (2007) [2003]. “Sociolinguistics of the Indo-Aryan Languages”. In George Cardona; Dhanesh Jain. Indo-Aryan Languages. Routledge. ISBN 020394531X 
  • Shackle, Christopher (2007) [2003]. “Panjabi”. In George Cardona; Dhanesh Jain. Indo-Aryan Languages. Routledge. ISBN 020394531X 

関連かんれん文献ぶんけん

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  • Bhatia, T. "Punjabi: A Cognitive-Descriptive Grammar", 1993. p 279. ISBN 0-415-00320-2
  • The Times of India - "Punjabi, Urdu made official languages in Delhi" 25 June 2003
  • Canadian Census Data (2001)
  • Advanced Centre for Technical Development of Punjabi Language, Literature and Culture
  • Masica, CP, "The Indo-Aryan Languages", ISBN 0-521-29944-6, p 20

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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