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アラビア文字 - Wikipedia

アラビア文字もじ

アラビアなどの記述きじゅつ使つかわれる文字もじ体系たいけい

アラビア文字もじ(アラビアもじ)は、アラビアをはじめ、世界中せかいじゅうイスラム文化ぶんかけんぞくするもろ言語げんご記述きじゅつするのに使つかわれる文字もじラテン文字もじ漢字かんじいで、世界せかいさん番目ばんめ使用しようしゃすうおお文字もじ体系たいけいである[1]

アラビア文字もじ
類型るいけい: アブジャドイラククルドなどでは母音ぼいん記号きごうかなら付加ふかするためアルファベット
言語げんご: アラビアペルシアバローチウルドゥークルドパシュトーシンドなど
時期じき: 400ねんころから
おや文字もじ体系たいけい:
Unicode範囲はんい: U+0600-U+06FF(アラビア文字もじ
U+0750-U+077F(アラビア文字もじ拡張かくちょう
U+FB50-U+FDFF(アラビア文字もじ表示ひょうじがたA)
U+FE70-U+FEFF(アラビア文字もじ表示ひょうじがたB)
ISO 15924 コード: Arab
注意ちゅうい: このページはUnicodeかれた国際こくさい音声おんせい記号きごう (IPA) をふく場合ばあいがあります。
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メロエ ぜん3世紀せいき
カナダ先住民せんじゅうみん 1840ねん
ちゅうおと 1913ねん

概要がいよう

編集へんしゅう

文字もじ体系たいけい類型るいけいとしてはアブジャドぞくする。手書てがきでも活字かつじでもかならみぎからひだり横書よこがきし、原則げんそくとして文字もじ文字もじ漢字かんじ草書そうしょラテン文字もじ筆記ひっきたいのようにつづきにする。また、基本きほんてき子音しいんあらわ文字もじからなっており、たん母音ぼいん文字もじによってあらわさない。ただし、はつ学者がくしゃ学習がくしゅうのためや、外来がいらい表記ひょうきなどの用途ようとのために、補助ほじょてきシャクルとよばれる母音ぼいんあらわ記号きごうもちいる。

アラビア存在そんざいする3しゅちょう母音ぼいん(ā, ū, ī / アー、ウー、イー)はそれぞれ無音むおん(アぎょう)をあらわすアリフ (alif) 、[w](ワぎょう)をあらわすワーウ (wāw) 、[j](ヤぎょう)をあらわすヤー (yāʾ) を使つかってあらわす。(なお、言語げんご固有名詞こゆうめいしをアラビア文字もじ表記ひょうきするとき、母音ぼいんごく力長りきなが母音ぼいん使つかって表記ひょうきする傾向けいこうがある。こうした転写てんしゃなどの記述きじゅつほうについてはアラビア文字もじ参照さんしょう。)

アラビアもちいられるアラビア文字もじはハムザ (ء) をのぞいて28文字もじであるが、ペルシアなどアラビア以外いがい言語げんごでは、アラビアにない子音しいん(p, ch, zh, gなど)をあらわすためてんぼう付加ふかしたりした文字もじを28文字もじくわえてもちいる。

アラビア文字もじ起源きげんアラム文字もじである。紀元前きげんぜん3世紀せいきから紀元きげん3世紀せいきころまでに勢力せいりょくをもったペトラ中心ちゅうしんとするアラブけいナバタイじん使用しようしたアラム文字もじ一派いっぱナバテア文字もじ直接ちょくせつ起源きげんとしている。当時とうじのナバテア文字もじは、地域ちいきのアラム文字もじ同様どうよう文字もじ同士どうし連結れんけつして、つづきする特徴とくちょうがあった。ナバタイじん活動かつどう範囲はんいシリア北部ほくぶからイエメン方面ほうめんまで広域こういきにおよび、4世紀せいきころからヒジャーズ紅海こうかい東岸とうがん地方ちほう中心ちゅうしんに、アラブじんにももちいられはじめた。当初とうしょナバタイじんのアラブじんたちはこの文字もじアラムでのみ筆記ひっきして使用しようしていたが、次第しだいみずからの母語ぼごであるアラビア表記ひょうきするようになった。

ただアラビアはアラムよりも子音しいんおおく、さらに最初さいしょのアラビア文字もじはいくつかの文字もじ本来ほんらいことなる文字もじ同士どうしおな字形じけい表記ひょうきされるという致命ちめいてき欠点けってんっていた。この問題もんだいつづ表記ひょうきのゆえに、文字もじ区別くべつするためにてんくわえられたり、つづきをしない文字もじめられ、イスラム教いすらむきょうまれた7世紀せいきにはおおよそのかたちができあがっていた。ただし、てん使用しよう当初とうしょ非公式ひこうしきなものとされていたらしく、最初さいしょクルアーンではてんによる文字もじ区別くべつ排除はいじょされていた[注釈ちゅうしゃく 1]のちに、クルアーンを正確せいかく必要ひつようせいからクルアーンにもてん採用さいようされるようになり、さらに母音ぼいんあらわ記号きごう発明はつめいされた。現在げんざいではてん正書法せいしょほう一部いちぶとなっているが、母音ぼいん記号きごう日常にちじょうてき文書ぶんしょでは原則げんそくとしてもちいられない。

イスラム教いすらむきょう布教ふきょうのアラビア文字もじかみアッラーフ)のはっした言葉ことば記録きろくであるクルアーン(コーラン)や宗教しゅうきょう文献ぶんけん表記ひょうき使つかわれたため、イスラム教いすらむきょう改宗かいしゅうしたアラブ民族みんぞくにもかみおしえにちか文字もじ認識にんしきされ、ペルシアをはじめとするおおくの言語げんご表記ひょうきにももちいられるようになった。

なかには近代きんだいヨーロッパ文化ぶんか影響えいきょうけて文章ぶんしょうまれたときに、あえてアラビア文字もじによる正書法せいしょほうえらばれた言語げんごもある。

なお、フィリップ・K・ヒッティ(レバノン出身しゅっしん)は、「アラビア文字もじは、世界せかいラテン文字もじつぎひろ使つかわれている文字もじである」と『アラブ歴史れきしうえ)』(原著げんちょ1937ねん発行はっこう)のなかべた。そして、使用しよう言語げんごとして、ペルシャアフガンウルドゥートルコベルベルマレーをあげた[2]

2017ねん報道ほうどうによると、ヴァイキングのはかからつかる死装束しにしょうぞくにアラビア文字もじまれていたことを、スウェーデン、ウプサラ大学だいがくのアンニカ・ラーソンが発見はっけんした。これらの衣服いふくは100ねん以上いじょうまえつかったものだが、ヴァイキング時代じだい典型てんけいてき死装束しにしょうぞくとして片付かたづけられ、そのまま保管ほかんされていた[3]。ラーソンによると、死装束しにしょうぞくまれたこまかい幾何きかがく模様もようは、北欧ほくおうではたことがないものだったという。これらはヴァイキングが独自どくじした模様もようではなく、クーフィーたいというふる書体しょたいのアラビア文字もじだった[3]研究けんきゅうしゃ文字もじ拡大かくだいし、裏側うらがわからもふくめ、あらゆる角度かくどからてみた。頻繁ひんぱんつかったのは、イスラムのだい4だいカリフの名前なまえ「アリ」と、アラビアかみあらわす「アラー」という単語たんごだった[3]。ただ、この文字もじを「アラー」とむことについては、テキサス大学だいがくのステファニー・モルダーらによって疑問ぎもんていされている[4]

アラビア文字もじ言語げんご

編集へんしゅう

現在げんざい表記ひょうきにアラビア文字もじ使つか言語げんごは、アラビアペルシアダリークルドパシュトーバローチアゼルバイジャンおもにイランりょうで)、シンドウルドゥーカシミールパンジャブおもにパキスタンりょうで)、ウイグルカザフおも中国ちゅうごくりょうで)、キルギスおも中国ちゅうごくりょうで)、ベルベルマレーおもブルネイ、そしてマレーシアやインドネシアでは、ムスリムけのメディアや宗教しゅうきょう関係かんけい)、モロ英語えいごばんおもにフィリピンのモロぞく)、ジャウィバルティーブルシャスキーなどである。

表記ひょうきがアラビア文字もじからラテン文字もじ変更へんこうされた言語げんごは、トルコマレースワヒリなどがある。文字もじ改革かいかくおこなわれる理由りゆうとして、日常にちじょう生活せいかつからのアラビア文字もじ排除はいじょによるだつイスラム西欧せいおうねらうという動機どうきのほか、簡略かんりゃく表記ひょうき体系たいけいにより識字しきじりつ向上こうじょうをはかること、母音ぼいん表記ひょうきしやすくなることがげられる。しかし、アラビア文字もじ改良かいりょうして母音ぼいん表記ひょうき徹底てっていし、簡略かんりゃく表記ひょうき体系たいけいつくげることに成功せいこうした事例じれいもあるため、実際じっさい言語げんごがくてき事実じじつよりも、『ヨーロッパ=進歩しんぽてき』という観念かんねんもとづく発想はっそうによりアラビア文字もじ敬遠けいえんされためんおおきい。これらの言語げんごでも、ラテン文字もじへとすんなりかじったわけではなく、アラビア文字もじ改良かいりょうして、言語げんご完全かんぜん適用てきようした文字もじ体系たいけいにすることで効率こうりつのよい表記ひょうき達成たっせいしようとしたグループも存在そんざいした。

マレー・インドネシア、スワヒリなど、おおくの言語げんごでは、政府せいふ公用こうよう表記ひょうきほうにてラテン文字もじ採用さいようされる一方いっぽう民間みんかん宗教しゅうきょう関係かんけいではアラビア文字もじ使用しよう継続けいぞくした。私的してき教授きょうじゅ伝承でんしょう使用しようについてもとく妨害ぼうがいけなかった。またマレーシアでは、マレーのアラビア文字もじ表記ひょうきもラテン文字もじ表記ひょうきいちゆずるものの、学校がっこうだい2正書法せいしょほうとして教授きょうじゅされている。しかしトルコのみはアラビア文字もじによる出版しゅっぱんぶつ禁止きんしすることで、アラビア文字もじ使用しようそのものをかたちでラテン文字もじ遂行すいこうした。現在げんざいでもトルコでは、このときさだめられたトルコ表記ひょうきようのラテン文字もじ29文字もじ以外いがい文字もじもちいた出版しゅっぱんぶつ一部いちぶのぞいて禁止きんししており、アラビア文字もじによるトルコ表記ひょうきのみならず、クルドへの弾圧だんあつ道具どうぐにもなっている[5]

チェチェンタタールカザフキルギストルクメンウイグルウズベクタジクドンガンなどのきゅうソ連それんうちムスリム(イスラム教徒きょうと)のしょ民族みんぞく言語げんご表記ひょうきにはロシア革命かくめい直後ちょくご一時いちじラテン文字もじこころみられたが、スターリン粛清しゅくせいはじまるとロシアにならったキリル文字もじあらためられた。なお、当初とうしょはラテン文字もじではなく、ロシア連邦れんぽうないのムスリムのあいだでは、アラビア文字もじ改良かいりょうしてもちいるべきというあんとなえる知識ちしきじんおおかった。現在げんざいでも、公式こうしき文字もじ表記ひょうきはラテン文字もじやキリル文字もじであっても、アラビア文字もじ民間みんかん宗教しゅうきょう関係かんけい使用しようされつづけている。

アゼルバイジャン、トルクメン、ウズベク、タタールなどはソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかい、さらにラテン文字もじへのさいえがすすめられている。

また中国ちゅうごくウイグルひとしムスリムいたる少数しょうすう民族みんぞく言語げんごは、かつてはソ連それん影響えいきょうキリル文字もじはかられ、ちゅう国境こっきょう紛争ふんそうこうはさらにソ連それんとのちがいをあきらかにするためにピンインふうのラテン文字もじ正書法せいしょほうおこなわれたが、1980年代ねんだい民族みんぞく政策せいさく転換てんかんによりアラビア文字もじ復活ふっかつされた。なお、現在げんざいのウイグルもちいるアラビア文字もじアリフワーウなどにてん付加ふかした文字もじもちい、8つある母音ぼいんすべてをける独特どくとくなものである。

また、中国ちゅうごくんでいる中国ちゅうごく漢語かんご)をはなすムスリム(かいみん現在げんざいかいぞく)は、アラビア文字もじ口語こうごからだ漢語かんごしるすことがあった。このアラビア文字もじ表記ひょうき漢語かんご小児しょうにけい小児しょうににしきとも)といい、クルアーンなどの経典きょうてん注釈ちゅうしゃく使つかわれて印刷いんさつもされたほか、手紙てがみ日記にっきなどの個人こじんてき用途ようと使つかわれた。現在げんざいでもかいぞく集中しゅうちゅうてき居住きょじゅうするやすしなつ甘粛かんせいでは小児しょうににしき部分ぶぶんてき使つかわれているという。また、きゅうソ連それん移住いじゅうしたかいみんドンガンじんばれるようになるが、ドンガンばれるかれらのはな漢語かんご一種いっしゅもかつてはアラビア文字もじかれていた。また、中国ちゅうごく国内こくないドンシャンぞくサラールぞくも、アラビア文字もじによる言語げんご表記ひょうきおこなっている。

スペインも、おも国内こくないのイスラム教徒きょうとあいだにおいてアラビア文字もじかれたことがある。

アラビア文字もじはもともと子音しいんのみで語根ごこんまるセムけい言語げんごのためにつくられた文字もじであった、おなセムけい文字もじ起源きげんとするヨーロッパアルファベット文字もじ転用てんようにより母音ぼいんすべける方向ほうこうかったのにたいし、アラビア文字もじはそのような発展はってんをしなかった。セムけい言語げんごかぎれば、文脈ぶんみゃく母音ぼいんかたはほぼ決定けっていするため、アラビア文字もじ合理ごうりてき文字もじといえる。しかしセムけい言語げんごとはまったくちがった言語げんごてき特徴とくちょうゆうするペルシアヒンドゥスターニートルコオスマン)、マレーなどに導入どうにゅうされたさいはこの特徴とくちょうぎゃく不便ふべんかんがえられることがおおい。実際じっさいにはこれらの言語げんごでもアラビア文字もじ改良かいりょうしゅとして子音しいん追加ついか転用てんようにとどまり、母音ぼいん完全かんぜん表記ひょうきへとすすむことはすくなかった。母音ぼいん完全かんぜん表記ひょうきいたったのはウイグルやクルドとうである。

太陽たいよう文字もじがつ文字もじ

編集へんしゅう

アラビア文字もじ太陽たいよう文字もじつき文字もじ種類しゅるいかれる。

太陽たいよう文字もじ

編集へんしゅう

アラビアで、定冠詞ていかんしの "ال" (al-) の /l/ のおとこう文字もじ逆行ぎゃっこう同化どうかして長子ちょうしおんとなる文字もじ太陽たいよう文字もじ َحروف شمسية(ḥurūf shamsiyya, フルーフ・シャムスィーヤ)という。具体ぐたいてきには、/l/ と調音ちょうおんてんどうじ、または近接きんせつであるしたいただきおん (歯音しおん歯茎はぐきおん後部こうぶ歯茎はぐきおん) をあらわ文字もじである。「太陽たいよう」を意味いみする شمس (shams, シャムス)の語頭ごとう文字もじ ش がふくまれるためこうばれる。

たとえば、 شمس定冠詞ていかんしがついた場合ばあいالشَّمْسُ (ash-shams, アッ=シャムス)となり「アル=シャムス」とは発音はつおんしない。すなわち、アラビア定冠詞ていかんしである ال の直後ちょくご太陽たいよう文字もじ場合ばあいには定冠詞ていかんしは「アル」と発音はつおんするのではなく、太陽たいよう文字もじが2つかさなって発音はつおんされる。具体ぐたいてきには、ت, ث, د, ذ, ر, ز, س, ش, ص, ض, ط, ظ, ل, ن が太陽たいよう文字もじである。

つき文字もじ

編集へんしゅう

定冠詞ていかんしの /l/ のおと同化どうかしない文字もじ、つまり太陽たいよう文字もじ以外いがいつき文字もじَحروف قمرية, ḥurūf qamariyya, フルーフ・カマリーヤ)という。「つき」を意味いみする قمر (qamar, カマル)の語頭ごとう文字もじ ق がふくまれるためこうばれる。

قمر定冠詞ていかんしがついた場合ばあいالقمر (al-qamar, アル=カマル)となる。左記さきのアル=カマルのように定冠詞ていかんし ال の直後ちょくごつき文字もじ場合ばあいには、定冠詞ていかんしは「アル」と発音はつおんする。また、具体ぐたいてきには、أ (ء) , ب, ج, ح, خ, ع, غ, ف, ق, ك, م, ه, و, ي がつき文字もじである。

標準ひょうじゅんアラビア子音しいん音素おんそ黄色おうしょく太陽たいよう文字もじ
  唇音しんおん 強調きょうちょうなし 強調きょうちょうおん かた口蓋こうがいおん 軟口蓋なんこうがいおん 口蓋垂こうがいすいおん 咽頭いんとうおん 声門せいもんおん
歯音しおん 歯茎はぐきおん 歯音しおん 歯茎はぐきおん
鼻音びおん مm نn              
閉鎖へいさおん 無声音むせいおん تt ط   كk قq   ءʔ
有声音ゆうせいおん بb دd ض ج      
摩擦音まさつおん 無声音むせいおん فf ثθしーた سs   ص شʃ خx ~ χかい حħ هh
有声音ゆうせいおん ذð زz ظðˤ     غɣ ~ ʁ عʕ  
ふるえおん     رr            
接近せっきんおん   لl ~ يj وw      

基本きほん文字もじひょう

編集へんしゅう

アラビア文字もじ基本きほん字母じぼ28以下いかとおり。

ひょうちゅう頭字かしらじちゅう存在そんざいしない文字もじは、語頭ごとうでは単独たんどくがたで、かたりちゅうでは直前ちょくぜん文字もじちゅうった文字もじならでつなげ、直前ちょくぜん文字もじちゅうたない文字もじなら単独たんどくがたかれる。)

単独たんどくがた 頭字かしらじ ちゅう 文字もじめい 転写てんしゃ おと 片仮名かたかな転写てんしゃれい 太陽たいよう文字もじ
ا ــا ʾalif - [-](※) ぎょう
ب بــ ــبــ ــب bāʾ b [b] ぎょう
ت تــ ــتــ ــت tāʾ t [t] ぎょう
ث ثــ ــثــ ــث ṯāʾ ṯ / th [θしーた] ぎょう
ج جــ ــجــ ــج ǧīm ǧ / j / dj [ʤ] ジャぎょう
ح حــ ــحــ ــح ḥāʾ [ħ] ぎょう
خ خــ ــخــ ــخ ḫāʾ ḫ / ẖ / kh [x] ぎょう
د ــد dāl d [d] ぎょう
ذ ـــذ ḏāl ḏ / dh [ð] ぎょう
ر ــر rāʾ r [r] ぎょう
ز ــز zāy z [z] ぎょう
س ســ ــســ ــس sīn s [s] ぎょう
ش شــ ــشــ ــش šīn š / sh [ʃ] シャぎょう
ص صــ ــصــ ــص ṣād [sˁ] ぎょう
ض ضــ ــضــ ــض ḍād [dˁ] ぎょう/ザぎょう
ط طــ ــطــ ــط ṭāʾ [tˁ] ぎょう
ظ ظــ ــظــ ــظ ẓāʾ [ðˁ] ぎょう
ع عــ ــعــ ــع ʿayn ʿ / ‘ [ʕ](ゆうごえ咽頭いんとう摩擦音まさつおん ぎょう
غ غــ ــغــ ــغ ġayn ġ / gh [ɣ] ぎょう
ف فــ ــفــ ــف fāʾ f [f] ファぎょう
ق قــ ــقــ ــق qāf q / ḳ [q] ぎょう
ك كــ ــكــ ــك kāf k [k] ぎょう
ل لــ ــلــ ــل lām l [l] ぎょう
م مــ ــمــ ــم mīm m [m] ぎょう
ن نــ ــنــ ــن nūn n [n] ぎょう
ه هــ ــهــ ــه hāʾ h [h] ぎょう
و ــو wāw w [w] ぎょう
ي يــ ــيــ ــي yāʾ y [j] ぎょう

アラビア文字もじじゅん - YouTube

※「ا」(ʾalif) は、アラムとう子音しいん配列はいれつじゅんにおけるアブジャドの「ア」に相当そうとう元々もともと語頭ごとうにある「ʾ」(声門せいもん閉鎖へいさおん/声門せいもん破裂はれつおん)がそのおとであった。しかしちょう母音ぼいんāをしめすのにも使つかわれたため後代こうだいになり語頭ごとう声門せいもん閉鎖へいさおん/声門せいもん破裂はれつおんしめ場合ばあい発音はつおん表記ひょうきするために「ء」(ハムザ)が考案こうあんされ、ハムザをともなわないアリフは固有こゆうおとたないちょう母音ぼいん形成けいせいパーツとしてなされるようになった。

  1. 語頭ごとうでは声門せいもん閉鎖へいさおんハムザとしての発音はつおんになり/a/ /i/ /u/ いずれかの母音ぼいんわせる (※アリフが表記ひょうきされない「ء」(hamza, /ʔ/) のだいになっているとかんがえる)
  2. かたりちゅう語末ごまつ文字もじ後続こうぞくしてその直前ちょくぜんにある子音しいんともなっているたん母音ぼいんaをちょう母音ぼいんしてちょう母音ぼいんアー/aː/を形成けいせいする
  3. かたりちゅう語末ごまつで/a/のおと後続こうぞくもしくは先行せんこうさせる「ء」(hamza, /ʔ/) のたいになる

といったかたちもちいられる。

なおアラビア文法ぶんぽうがくでは、アブジャド(慣用かんよう名称めいしょう:アルファベット)じゅん1文字もじのアリフはちょう母音ぼいんアリフではなくアリフを台座だいざとした声門せいもん閉鎖へいさおん/声門せいもん破裂はれつおん(ハムザ)のことをしているとかんがえる。アラビアにおけるアルファベット文字数もじすうが28文字もじせつであっても29文字もじせつであってもアリフというをまとったハムザがだい1文字もじるとする(*ハムザを29文字もじ位置いちわけではない)。28文字もじせつでは声門せいもん閉鎖へいさおん/声門せいもん破裂はれつおんとしての機能きのうちょう母音ぼいんパーツとしての機能きのうあわったものが1文字もじのアリフであるとし、29文字もじせつでは声門せいもん閉鎖へいさおん/声門せいもん破裂はれつおんとしての機能きのうが1文字もじの「アリフ」ことハムザがにない、ちょう母音ぼいんアリフとしての機能きのうはوとيのあいだかれるلاにふくまれるアリフがになうとかんがえるなどする。

その文字もじ

編集へんしゅう
単独たんどくがた 頭字かしらじ ちゅう 文字もじめい 転写てんしゃ おと 意味いみ役割やくわり
ة ــة tāʾ marbūṭa h / t / ʰ / ẗ [h], [t] ふるいアラビアもちいられていた女性じょせいがた表示ひょうじのための「ت」(ṯāʾ, /t/)と「ه」(hāʾ,/h/)を融合ゆうごうさせた名詞めいし形容詞けいようし語尾ごびいて女性じょせいがたにする。
ى ىــ ــىــ ــى ʾalif maqṣūra ā / ỳ [aː]

一部いちぶ

ちょう母音ぼいんアリフが通常つうじょうあらわちょう母音ぼいんā部分ぶぶんもちいる。もと語根ごこんじゃく文字もじ「ي」(y)である語末ごまつ語形ごけいじょうāおんになっている箇所かしょ表現ひょうげんすることがおおい。يに弁別べんべつてんくわえるまえから使つかわれていたふる形状けいじょう由来ゆらい。エジプトではいまでもيに弁別べんべつてんをつけない古形こけい使つかっておりىと同形どうけい
ھ ھــ ــھــ ــھ Dochasmee hā [hāː] 「ه」の変形へんけいとくにウルドゥなどではよく使つかわれる。
لا ــلا lām ʾalif [laː](※) 「ل」(lam, /l/) と「ا」(alif) のごう単独たんどくでは発音はつおんできないちょう母音ぼいんアリフをアルファベットじゅんなか登場とうじょうさせるためにしばしばもちいられてきた。(※)

※「ا」(alif) ではじまる語彙ごいまえに、定冠詞ていかんしال」(al) が場合ばあいなどでも、もちいられる。なお、そのように、/(ʔ)a/ /(ʔ)i/ /(ʔ)u/ のおと語頭ごとうの「ا」(alif) の直前ちょくぜんに「ل」(lam, /l/) がごう「لا」になった場合ばあい当然とうぜんのことながら、そのおとは/laː/ ではなく、/l(ʔ)a/ /l(ʔ)i/ /l(ʔ)u/ のいずれかになる(れいإسلام (Islām) + ال (al) → الإسلام (al-Islām) )。/laː/ というおと表現ひょうげんは、あくまでもそういった特殊とくしゅ場合ばあいのぞく、「かたりちゅう語末ごまつ文字もじ後続こうぞくしてちょう母音ぼいんアー/aː/を形成けいせいする」という用法ようほうでの「ا」(alif) の直前ちょくぜんに、「ل」(lam, /l/) がごう「لا」になった場合ばあいのものである。

ハムザは、子音しいん一種いっしゅである声門せいもん破裂はれつおん /ʔ/ をあらわ文字もじ記号きごう)である。

フェニキア文字もじアラム文字もじはしはっするセムけい言語げんご文字もじにおいては、通常つうじょうこの声門せいもん破裂はれつおん /ʔ/ は、最初さいしょ文字もじたとえば、ヘブライ文字もじにおける「א」(alef) など)がになうものだが、それに相当そうとうするアラビア文字もじの「ا」(alif) は、かならずしもその役割やくわり用途ようともちいられてなかったため、それをおぎなうべく当時とうじ調音ちょうおん部位ぶいちかいと認識にんしきされていた「ع」(ayn, /ʕ/) の頭部とうぶかたちで、あらたにされた声門せいもん破裂はれつおん /ʔ/ のための専用せんよう文字もじ記号きごう)が、このハムザである。

単独たんどくかれることはすくなく、基本きほんてきに「ا」(alif) (※「ل」(lam, /l/) とのごうである「لا」の場合ばあいも)、「ي」(ya, /j/)、「و」(waw, /w/) 、いずれかの「たい」を必要ひつようとする。(なお、「ي」(ya, /j/) がハムザのたいになる場合ばあい、2つのしたてんはぶかれる(「ئ」)。)

単独たんどくがた たい 文字もじめい 転写てんしゃ おと 意味いみ役割やくわり
ء ひとし أ إ لأ لإ ئ ؤ hamza ʾ / ’ / ‚ [ʔ] 声門せいもん破裂はれつおん

使用しよう規則きそく以下いかとおり。

  • 語頭ごとう登場とうじょうする場合ばあいは、つねに「ا」(alif) のみがたいになり、/ʔa/ /ʔi/ /ʔu/ といった発音はつおん形成けいせいする。また、かたりちゅう語末ごまつでは、たい種類しゅるいわず、つねにハムザはたいうえくが、この語頭ごとう場合ばあいかぎり、母音ぼいん記号きごうおなじく、母音ぼいんおとが/a/もしくは/u/の場合ばあい、ハムザはうえき(「أ」)、/i/ の場合ばあいしたく(「إ」)。ただしクルアーンのふる表記ひょうきではء単独たんどく語頭ごとうるなどし、現代げんだい正書法せいしょほうとはことなっている。
  • かたりちゅう登場とうじょうする場合ばあいは、「أ」/ʔa/、「ئ」/ʔi/、「ؤ」/ʔu/ といったように、後続こうぞくする母音ぼいんおとわせたたいがそれぞれ採用さいようされるが、ء単独たんどく表記ひょうきされる場合ばあいもある。
    (※ただし、「i > u > a」といった序列じょれつともなう、少々しょうしょうややこしい例外れいがい規則きそくがあり、ハムザ/ʔ/に後続こうぞくする母音ぼいんが/u/であっても、ハムザ/ʔ/の直前ちょくぜん母音ぼいんが/i/なら、/i/にわせたたい採用さいようされて「ئ」になり、おなじく、後続こうぞくする母音ぼいんが/a/でも、直前ちょくぜん母音ぼいんが/i/か/u/なら、それらにわせたたい採用さいようされて、「ئ」や「ؤ」になる。)
    また、母音ぼいん後続こうぞくしない(たい母音ぼいんおん消去しょうきょされる)場合ばあいは、直前ちょくぜん母音ぼいんわせ、直前ちょくぜんがア/a/ なら「أ」が、直前ちょくぜんがイ/i/ なら「ئ」が、直前ちょくぜんがウ/u/なら「ؤ」が、それぞれもちいられる。
  • 語末ごまつ登場とうじょうする場合ばあいは、上記じょうきしたかたりちゅう後者こうしゃ場合ばあいおなじく、直前ちょくぜん母音ぼいんわせて、/(-a)ʔ/なら「أ」が、/(-i)ʔ/なら「ئ」が、/(-u)ʔ/なら「ؤ」が、それぞれもちいられる。場合ばあいによってはء単独たんどくとなるつづりもある。

まとめると、以下いかのようになる。

字形じけい母音ぼいん記号きごうき) 字形じけい おと 場所ばしょ
أَ- أ- /ʔa/ 語頭ごとう
إِ- إ- /ʔi/
أُ- أ- /ʔu/
-أَ-
(-ئَ-)
(-ؤَ-)
-أ-
(-ئ-)
(-ؤ-)
/ʔa/
(/(-i)ʔa/)
(/(-u)ʔa/)
かたりちゅう後続こうぞく母音ぼいんあり)
-ئِ- -ئ- /ʔi/
-ؤُ-
(-ئُ-)
-ؤ-
(-ئ-)
/ʔu/
(/(-i)ʔu/)
-أْ /(-a)ʔ/ かたりちゅう後続こうぞく母音ぼいんなし)
およ
語末ごまつ
-ئْ /(-i)ʔ/
-ؤْ /(-u)ʔ/

記号きごうるい

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これら記号きごうおおくは、通常つうじょう表記ひょうきにおいてははぶかれ、おも教育きょういく解説かいせつようのテキストでのみもちいられる。

母音ぼいん記号きごう

記号きごう 名称めいしょう おと 意味いみ役割やくわり
ـَ fatḥa

ファトハ

[a] たん母音ぼいんのア
ـِ kasra

カスラ

[i] たん母音ぼいんのイ
ـُ ḍamma

ダンマ

[u] たん母音ぼいんのウ
ـْ sukūn

スクーン

[-] 母音ぼいん除去じょきょ記号きごういた文字もじ母音ぼいん発音はつおんされない。
ـً fatḥatān

ファトハターン

[an] 対格たいかくのuに限定げんていしめすnをくわえたアン。対格たいかくかつ限定げんていあらわす。
ـٍ kasratān

カスラターン

[in] ぞくかくのiに限定げんていしめすnをくわえたイン。ぞくかくかつ限定げんていあらわす。
ـٌ ḍammatān

ダンマターン

[un] 主格しゅかくのuに限定げんていしめすnをくわえたウン。主格しゅかくかつ限定げんていあらわす。

アリフ・子音しいん関連かんれん

記号きごう 名称めいしょう おと 意味いみ役割やくわり
آ madda

マッダ

[ʔaː]
([lʔaː])
ハムザきアリフ「أ」にアリフ「ا」が後続こうぞくした状態じょうたいあらわす、専用せんよう長音符ちょうおんぷ
おとが/ʔa/のハムザきアリフ「أ」および、そのごうばんである「لأ」にのみく。
ٱ waṣla

ワスラ

[-] 語頭ごとうハムザト・アル=ワスル(ハムザトゥルワスル、ハムザトルワスル、接続せつぞくハムザ)専用せんよう消音しょうおん明示めいじ記号きごう語頭ごとうにあるアリフをだいとした接続せつぞくハムザは文頭ぶんとうでいきなり子音しいんからはじまらないよう補助ほじょてきかれているものなので、文中ぶんちゅうでそのまえ語彙ごいることで)不要ふようとなり発音はつおんされなくなる。それを明示めいじするのがこのワスラ記号きごう
ٰ alif khanjariyya

短剣たんけんアリフ

[aː] 表記ひょうきじょう省略しょうりゃくされたちょう母音ぼいんアリフを明示めいじするための記号きごうしょうアリフ、短剣たんけんアリフ。(※)
ـّ shadda

シャッダ

[CC] 子音しいん重複じゅうふく記号きごう長子ちょうしおん記号きごう促音そくおん記号きごう。「母音ぼいん子音しいん子音しいん母音ぼいん」の順番じゅんばんなんらかの子音しいんが2つかさなっていることをあらわす。

(なおWindowsパソコンなどではワスラ記号きごう短剣たんけんアリフはキーボードから直接ちょくせつ入力にゅうりょくできない。)

※ちなみに、イスラム教いすらむきょうかみである「アラー」(アッラーフ)のアラビア文字もじ表記ひょうきは「الله」であり、「 ّ 」(shadda) のうえななめのみじかせんかれているが、これも、特殊とくしゅかたちではあるが、しょうアリフ(短剣たんけんアリフ)の一種いっしゅである。キーボードでは、アラビア文字もじで「ل」(lam) + 「ل」(lam) + 「ه」(ha) を入力にゅうりょくすると、自動的じどうてきにこの記号きごう表記ひょうき変換へんかんされる。

伝統でんとうてき文字もじじゅん

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現在げんざい使つかわれている文字もじ順序じゅんじょでは字形じけいたものを1箇所かしょにまとめているが、これとはことなり、アブジャドじゅんというフェニキア文字もじ以来いらい伝統でんとうてき文字もじ順序じゅんじょ存在そんざいする。地域ちいきによってちがいがあるが、もっとも一般いっぱんてきおこなわれている順序じゅんじょ以下いかのとおりである(みぎからひだりすすむ)。アラビア文字もじ数字すうじとして使つかうときにもこの順序じゅんじょ使つかわれる。

ن م ل ك ي ط ح ز و ه د ج ب ا (أ) 文字もじ
n m l k y z w h d j b ʼ こぼし
50 40 30 20 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 すう
غ ظ ض ذ خ ث ت ش ر ق ص ف ع س 文字もじ
t š r q f s こぼし
1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 90 80 70 60 すう

8つに分割ぶんかつして適当てきとう母音ぼいんおぎない、「أبجد هوز حطي كلمن سعفص قرشت ثخذ ضظغ」('abjad hawwaz ḥuṭṭī kalaman sa‘faṣ qurišat ṯaḵaḏ ḍaẓaḡ)のようにとなえる。

母音ぼいん表現ひょうげん

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アラビア母音ぼいんは、基本きほんてきにア/a/、イ/i/、ウ/u/ の3つ、およびそれを長音ちょうおんしたものと、わせた重母音じゅうぼいんのみである。

重母音じゅうぼいんかんしては「ي」(ya, /j/)をもちいた表記ひょうきayが重母音じゅうぼいんai、「و」(waw, /w/) をもちいたawが重母音じゅうぼいんawに相当そうとうする。

たん母音ぼいん

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たん母音ぼいん子音しいん母音ぼいん記号きごう付加ふかすることで表現ひょうげんできる。(母音ぼいん記号きごう通常つうじょう表記ひょうきでははぶかれる。)

記号きごう おと 意味いみ
َ [a] たん母音ぼいん
ِ [i] たん母音ぼいん
ُ [u] たん母音ぼいん

ちなみに、ハムザの項目こうもく上述じょうじゅつしたように、「ء」(hamza, /ʔ/) が語頭ごとうの「ا」(alif) にき、/ʔa/ /ʔi/ /ʔu/ といった発音はつおん形成けいせいする場合ばあいかぎり、「ء」(hamza, /ʔ/) の記号きごうは、母音ぼいん記号きごう連動れんどうする格好かっこうで、「ا」(alif) のうえいたり、したいたりする。

語頭ごとうハムザきアリフ
母音ぼいん記号きごうき)
語頭ごとうハムザきアリフ おと 意味いみ
أَ- أ- [ʔa] 語頭ごとう
声門せいもん破裂はれつおん /ʔ/
+たん母音ぼいん
إِ- إ- [ʔi] 語頭ごとう
声門せいもん破裂はれつおん /ʔ/
+たん母音ぼいん
أُ- أ- [ʔu] 語頭ごとう
声門せいもん破裂はれつおん /ʔ/
+たん母音ぼいん

また、子音しいん重複じゅうふく記号きごうである「 ّ 」(shadda) がかれる場合ばあい母音ぼいん記号きごうは、字母じぼではなく、この記号きごう上下じょうげかれる。

シャッダ
母音ぼいん記号きごうき)
おと 意味いみ
 
 
[a] 重複じゅうふく子音しいん
+たん母音ぼいん
 
 
[i] 重複じゅうふく子音しいん
+たん母音ぼいん
 
 
[u] 重複じゅうふく子音しいん
+たん母音ぼいん

ちょう母音ぼいん

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ちょう母音ぼいんは、上記じょうきたん母音ぼいんに、それぞれ「ا」(alif, /a/)、「ي」(ya, /j/)、「و」(waw, /w/) を後続こうぞくさせることで、表現ひょうげんされる。(母音ぼいん記号きごうは、通常つうじょう表記ひょうきでははぶかれる。)

記号きごう おと 意味いみ
ـَا [aː] ちょう母音ぼいんアー(※)
ـِي [iː] ちょう母音ぼいんイー
ـُو [uː] ちょう母音ぼいんウー

※なお、前項ぜんこう記号きごうるい項目こうもくでもいてあるように、/ʔa/ のおとったハムザきアリフ「أ」に、アリフ「ا」が後続こうぞくし、/ʔaː/ というちょう母音ぼいんになる場合ばあいかぎり、ハムザきアリフ専用せんよう長音符ちょうおんぷであるマッダがもちいられる。(「آ」)

重母音じゅうぼいん

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重母音じゅうぼいんおなじく、たん母音ぼいんア/a/ に「ي」(ya, /j/)、「و」(waw, /w/) を後続こうぞくさせることで、表現ひょうげんされる。(母音ぼいん記号きごうは、通常つうじょう表記ひょうきでははぶかれる。)

記号きごう おと 意味いみ
ـَيْ [ai] 重母音じゅうぼいんアイ
ـَوْ [au] 重母音じゅうぼいんアウ

アラビアにおける使用しようと、特殊とくしゅ字母じぼ記号きごう

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アラビア文字もじは、アラビア以外いがい言語げんごでももちいられている。

現在げんざいアラビア文字もじもちいている言語げんごは、

ひとしである。

これらの言語げんごには、アラビアには発音はつおんもあるため、それらを表現ひょうげんするためにいくつかの字母じぼ記号きごう追加ついかされている。

歴史れきしてきには、トルコ中央ちゅうおうアジアのチュルクけい諸語しょごや、マレージャウィ文字もじ)、スワヒリひとし、イスラムけん全域ぜんいきしょ言語げんごでもアラビア文字もじ使用しようされていた。

コンピュータ

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キー配列はいれつ

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Windowsにおけるアラビアキーボードのキー配列はいれつ
 

文字もじコード

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アラビア文字もじのために、以下いかのような文字もじコードが存在そんざいする。

  • ASMO 449 - 7ビットのコード。アラビア専用せんよう
  • ASMO-708 - ASMO-449 をもとにした8ビットのコード。ほかにIBM PC互換ごかん罫線けいせんもとへんなどをふくむ。
  • ISO/IEC 8859-6 - 8ビットのコード。アラビア文字もじかんしては ASMO-708 におな
  • MS-DOSコードページ 720。上記じょうきの8859-6などとは互換ごかんせいがない。
  • MS-DOS のコードページ 864。アラビアタイプライタと同様どうように、語頭ごとうかたりちゅう語末ごまつ独立どくりつがたべつ符号ふごう位置いちあたえている。
  • Microsoft Windows のコードページ 1256。アラビア文字もじのほかにペルシャ文字もじ、ウルドゥー文字もじ対応たいおうしているほか、フランス語ふらんすごのアクセントつき文字もじふくむ(小文字こもじのみ、ÿのぞく)。のコードとの互換ごかんせいはない。

Unicode では、以下いかのブロックを定義ていぎしている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ どう時代じだい世俗せぞくてき碑文ひぶんとうでは、てんすで現行げんこうのものにかなりちかかたち使つかわれている。

出典しゅってん

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  1. ^ Arabic Alphabet”. Encyclopaedia Britannica online. 26 April 2015てんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん5がつ16にち閲覧えつらん
  2. ^ フィリップ・K・ヒッティ、『アラブの歴史れきしうえ)』岩永いわながひろし やく講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ)、1982ねん、48ぺーじ
  3. ^ a b c Austa Somvichian-Clausen(わけ三枝さえぐさ小夜子さよこ) (2017ねん10がつ16にち). “北欧ほくおうバイキングの死装束しにしょうぞくにアラビア文字もじつかる”. ナショナルジオグラフィック日本にっぽんばんサイト. ナショナルジオグラフィック. 2022ねん2がつ25にち閲覧えつらん
  4. ^ Henri Neuendorf (2017ねん10がつ19にち). “Debunking Viral Story, Art Historian Says ‘Allah’ Does Not Appear on Ancient Viking Garment”. Artnet News. 2022ねん2がつ25にち閲覧えつらん
  5. ^ クルド禁止きんし再燃さいねん -嘆願たんがんしょ28ぎょうちゅう、45文字もじはん政府せいふてき
  6. ^ Lorna A. Priest, Martin Hosken (SIL International) (2010ねん8がつ12にち). “Proposal to add Arabic script characters for African and Asian languages”. 2013ねん10がつ17にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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