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シリア文字 - Wikipedia

シリア文字もじ(シリアもじ)は、シリアもちいられる文字もじで、22文字もじからなるアブジャドである。アラビア文字もじヘブライ文字もじなどと同様どうように、みぎからひだりかれる。アラム文字もじから発達はったつしたが、文字もじアラビア文字もじ同様どうようにつなげてかれ、一部いちぶ文字もじ語頭ごとうちゅう語末ごまつ独立どくりつの4つのことなる字形じけいっている。

シリア文字もじ
シリア文字もじによるヨハネによる福音ふくいんしょ冒頭ぼうとううえからセルトーたい西方せいほう書体しょたい)、ネストリウスたい東方とうほう書体しょたい)、エストランゲロたい
類型るいけい: アブジャド
言語げんご: シリア, アラム, アラビアガルシュニ英語えいごばん
時期じき: 紀元前きげんぜん200ねんごろ-現在げんざい
おや文字もじ体系たいけい:
文字もじ体系たいけい:

ソグド文字もじ
   突厥文字もじ
      ロヴァーシュ文字もじ
   ウイグル文字もじ
      モンゴル文字もじ
ナバテア文字もじ
   アラビア文字もじ

グルジア文字もじ議論ぎろんあり)
Unicode範囲はんい: U+0700-U+074F
U+0860-U+086F
ISO 15924 コード: Syrc
Syre(エストランゲロ)
Syrj(セルトー)
Syrn(東方とうほう
注意ちゅうい: このページはUnicodeかれた国際こくさい音声おんせい記号きごう (IPA) をふく場合ばあいがあります。
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大秦たいしんけいきょう流行りゅうこう中国ちゅうごく(8世紀せいき)のシリア文字もじ
エストランゲロたい書物しょもつ9世紀せいき
セルトーたい西方せいほう書体しょたい)の写本しゃほん11世紀せいき
メロエ ぜん3世紀せいき
カナダ先住民せんじゅうみん 1840ねん
ちゅうおと 1913ねん

シリア文字もじがいつどのように発生はっせいしたかは正確せいかくにはわからないが、エデッサ(現在げんざいウルファ)を中心ちゅうしんとするきたメソポタミアに、西暦せいれき1-3世紀せいきごろの碑文ひぶんのこる。文書ぶんしょとしては、411ねんのものがもっともふる[1]

本来ほんらい古典こてんシリアのためにもちいられる文字もじだったが、19世紀せいきにヨーロッパの宣教師せんきょうしがシリア文字もじ東方とうほう書体しょたい使つかって現代げんだいアラムしるすための正書法せいしょほう考案こうあんし、これが現在げんざいでも使つかわれている[2]

5世紀せいき以降いこう、シリア文字もじのエストランゲロたいちか文字もじが、パレスチナのキリスト教徒きりすときょうともちいる西にしアラム(シリアとはべつ)をしるすのに使つかわれた。また、シリア文字もじのエストランゲロたい由来ゆらいする文字もじマニ教徒きょうとによって中世ちゅうせいペルシアパルティアソグドバクトリアなどをしるすためにもちいられた(マニ文字もじ参照さんしょう)。一方いっぽう東方とうほう書体しょたい(ネストリウスたい)は、キリスト教徒きりすときょうとによってソグドしるすためにももちいられた[3]

また、インドのマラヤーラムマランカラ正教会せいきょうかい英語えいごばん)、およびガルシュニ英語えいごばんとしてられるアラビア中東ちゅうとうキリスト教徒きりすときょうともちいる)でももちいられる。

書体しょたい

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主要しゅよう書体しょたいにはつぎさん種類しゅるいがある。

  • エストランゲロたいܐܣܛܪܢܓܠܐ、もっともふる書体しょたいの2書体しょたいもとになった)
  • ネストリウスたいܡܕܢܚܝܐ東方とうほう書体しょたいとも。ネストリウスもちいた)
  • セルトーたいܣܪܛܐ西方せいほう書体しょたいとも。ヤコブマロンもちいた)

ほかに、メルキトたい[4]などがある。

母音ぼいん表記ひょうき

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シリア文字もじ原則げんそくとして子音しいんのみを表記ひょうきするが、ʾながā, ē を、yī, ay を、wu, ū, o, ō, awあらわすことがおこなわれた。

シリア文字もじでは、さまざまな目的もくてきのために文字もじ上下じょうげてんった。

まず、d と r の文字もじがほとんど同形どうけいになっていたので、区別くべつのために d は文字もじなかに、r は文字もじうえてんつことで区別くべつした。

また、名詞めいし単数たんすうがた複数ふくすうがた母音ぼいんでのみ区別くべつされ、つづりのうえちがいがあらわれなかったので、複数ふくすうがたではうえトレマてんつことで区別くべつした。ほかにもてんうえったりしたったりすることでどうつづり区別くべつした。

後世こうせいには、母音ぼいんをより正確せいかくあらわすための記号きごう発達はったつした。西方せいほう書体しょたいではギリシア文字もじ母音ぼいん(Αあるふぁ Εいぷしろん Ηいーた Οおみくろん ΟおみくろんΥうぷしろん)に由来ゆらいする記号きごう文字もじじょうしたちいさくしるした。東方とうほう書体しょたいではてん位置いち個数こすう母音ぼいん区別くべつした。

ほかに、発音はつおんしない子音しいんだま)をしめ記号きごうや、破裂はれつおん摩擦音まさつおん区別くべつするための記号きごう使つかわれることもあった。

シリア文字もじのエストランゲロたい

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22文字もじちゅう、8文字もじʾ d h w z ṣ r t) はうしろにつづかない。また、エストランゲロたいでは位置いちによる字形じけいちがいはあまりなく、k m n語末ごまつがたことなるにとどまる。

文字もじ 基本形きほんけい 語末ごまつ
接続せつぞくがた
語末ごまつ
接続せつぞくがた
フォント 発音はつおん
アーラフ
(ʾālap̄)
  ܐ ʾ /ʔ/
ベート
(bēṯ)
    ܒ b, ḇ /v/
ガーマル
(gāmal)
    ܓ g, ḡ /ɣ/
ダーラト
(dālaṯ)
  ܕ d, ḏ /ð/
ヘー
()
  ܗ h
ワウ
(waw)
  ܘ w
ザイン
(zayn)
  ܙ z
ヘート
(ḥēṯ)
    ܚ /ħ/
テート
(ṭēṯ)
    ܛ /tˤ/
ユード
(yūḏ)
    ܝ y /j/
カーフ
(kāp̄)
      ܟ ܟܟ k, ḵ /x/
ラーマド
(lāmaḏ)
    ܠ l
ミーム
(mīm)
    ܡ ܡܡ m
ヌーン
(nūn)
      ܢ ܢܢ n
セムカト
(semkaṯ)
    ܣ s
エー
(ʿē)
    ܥ ʿ /ʕ/
ペー
()
    ܦ p, p̄ /f/
サーデー
(ṣāḏē)
  ܨ /sˤ/
コーフ
(qōp̄)
    ܩ q
レーシュ
(rēš)
  ܪ r
シーン
(šīn)
    ܫ š /ʃ/
タウ
(taw)
  ܬ t, ṯ /θしーた/
  ܠܐ ラーマドとアーラフのごう
単語たんごまつ
  ܬܐ タウとアーラフのごう
単語たんごまつ

コンピュータ

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Microsoft Windows XPで「Estrangelo Edessa」フォントが追加ついかされた[5]

大半たいはん文字もじUnicode 3.0 で対応たいおうしているが、背景はいけいしょくがグレー文字もじは Unicode 4.0 で対応たいおうした。

ガルシュニー、パレスチナのキリスト教きりすときょうアラム中世ちゅうせいペルシア、ソグドのための文字もじふくむ。

2017ねんのUnicode 10.0では、マラヤラム表記ひょうきするための拡張かくちょうブロック(Syriac Supplement: U+0860-U+086F)が追加ついかされた[6][7]

U+ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
0700 ܀ ܁ ܂ ܃ ܄ ܅ ܆ ܇ ܈ ܉ ܊ ܋ ܌ ܍  ܏
0710 ܐ ܑ ܒ ܓ ܔ ܕ ܖ ܗ ܘ ܙ ܚ ܛ ܜ ܝ ܞ ܟ
0720 ܠ ܡ ܢ ܣ ܤ ܥ ܦ ܧ ܨ ܩ ܪ ܫ ܬ ܭ ܮ ܯ
0730  ܰ  ܱ  ܲ  ܳ  ܴ  ܵ  ܶ  ܷ  ܸ  ܹ  ܺ  ܻ  ܼ  ܽ  ܾ  ܿ
0740  ݀  ݁  ݂  ݃  ݄  ݅  ݆  ݇  ݈  ݉  ݊ ݍ ݎ ݏ

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Hatch, William Henry Paine (1946). An Album of Dated Syriac Manuscripts. Boston: American Academy of Arts and Sciences. p. 52 
  2. ^ Hoberman, Orbert D (1996). “Modern Aramaic”. In Peter T. Daniels; William Bright. The World's Writing Systems. Oxford University Press. pp. 504-510 
  3. ^ Skjævø, P. Oktor (1996). “Aramaic Scripts for Iranian Languages”. In Peter T. Daniels; William Bright. The World's Writing Systems. Oxford University Press. pp. 515-535 
  4. ^ Examples of Melkite Syriac script”. hmmlorientalia (2013ねん5がつ10日とおか). 2015ねん6がつ14にち閲覧えつらん
  5. ^ Estrangelo Edessa font family, Microsoft, (2017-10-19), https://docs.microsoft.com/en-us/typography/font-list/estrangelo-edessa 
  6. ^ Syriac Supplement, Unicode, Inc, https://www.unicode.org/charts/PDF/U0860.pdf 
  7. ^ Unicode 10.0.0, Unicode, Inc, (2017-06-20), https://www.unicode.org/versions/Unicode10.0.0/ 

外部がいぶリンク

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