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語族 - Wikipedia

語族ごぞく

どう系統けいとう証明しょうめいされているさい上位じょうい言語げんごぐん

語族ごぞく(ごぞく、えい: Language family)とは、比較ひかく言語げんごがくにおいて、ある言語げんご祖語そご)とそこから派生はせいしたすべての言語げんごふくたん系統けいとうぐんのうち、たん系統けいとうぐん包含ほうがんされることがみとめられていないものを[1]

なお、日本語にほんごけんでは、語族ごぞく下位かいぐんかたりかたり下位かいぐんかたりぐんぶことがある。たとえば、英語えいごドイツオランダといった西にしゲルマンぐんは、きたゲルマンぐんひがしゲルマンぐんともゲルマンすが、さらにゲルマンイタリックインド・イランなどとともインド・ヨーロッパ語族ごぞくふくまれる。

どう系統けいとう証明しょうめいされていない言語げんごぐんをまとめてぶときは「~諸語しょご」という(れいアルタイ諸語しょごアメリカ・インディアン諸語しょごカフカス諸語しょご)。ただし、語族ごぞくかたりかたりぐんかを問題もんだいにしないときもたんに「~諸語しょご」とうことがある。また、複数ふくすう語族ごぞくをまとめただい語族ごぞく存在そんざいするが、仮説かせつ段階だんかいであり同系どうけい証明しょうめいされてはいない。したがって、比較ひかく言語げんごがくにおいて語族ごぞくとはどう系統けいとう証明しょうめいされているさい上位じょうい言語げんごグループ定義ていぎされる。

語族ごぞく民族みんぞく共同きょうどうたい)をすのではなく、言語げんご系統けいとうがくてき分類ぶんるいする概念がいねんであるが、民族みんぞく分類ぶんるいする場合ばあいにも言語げんご分類ぶんるい語族ごぞくかたり)が基準きじゅんにされることがおおい。(れいテュルクけい民族みんぞくウラルけい民族みんぞく

語族ごぞく一覧いちらん

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世界せかい主要しゅよう語族ごぞく
詳細しょうさいDistribution of languages in the world参照さんしょう

ふくまれる言語げんごすうからみた語族ごぞく

エスノローグ18はんによる:
  1. ニジェール・コンゴ語族ごぞく (1,538言語げんご) (20.6%)
  2. オーストロネシア語族ごぞく (1,257言語げんご) (16.8%)
  3. トランス・ニューギニア語族ごぞく (480言語げんご) (6.4%)
  4. シナ・チベット語族ごぞく (457言語げんご) (6.1%)
  5. インド・ヨーロッパ語族ごぞく (444言語げんご) (5.9%)
  6. オーストラリア語族ごぞく (378言語げんご) (5.1%)
  7. アフロ・アジア語族ごぞく (375言語げんご) (5.0%)
  8. ナイル・サハラ語族ごぞく (205言語げんご) (2.7%)
  9. オト・マンゲ語族ごぞく (177言語げんご) (2.4%)
  10. オーストロアジア語族ごぞく (169言語げんご) (2.3%)
  11. タイ・カダイ語族ごぞく (95言語げんご) (1.3%)
  12. ドラヴィダ語族ごぞく (85言語げんご) (1.1%)
  13. トゥピ語族ごぞく (76言語げんご) (1.0%)

語族ごぞく形成けいせい認定にんてい方法ほうほう

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いかなる言語げんごであれ、つぎ世代せだいへと継承けいしょうされていくうちに、音韻おんいんろん形態けいたいろん統語とうごろんといった様々さまざま領域りょういきにおいて変化へんかこうむるものである[2]祖語そごからむすめ言語げんごへの分岐ぶんきは、たとえば、地理ちりてき政治せいじてき分離ぶんりによってすべての話者わしゃ変化へんか共有きょうゆうされなくなり、もと言語げんご共同きょうどうたい徐々じょじょ別個べっこ言語げんご単位たんいへとかれた結果けっかとしてこる。なお、もとから言語げんご共同きょうどうたいぞくする個人こじんも、言語げんご交替こうたいつうじてことなる語族ごぞく言語げんご採用さいようする可能かのうせいがあるが[3]、そのさいあたらしく採用さいようされた言語げんご基層きそう言語げんご影響えいきょうけることもある[4]

こうしたプロセスをて、単一たんいつ言語げんごから分化ぶんか拡散かくさんしたしょ言語げんごあいだには、「系統けいとう関係かんけい」(遺伝いでんてき関係かんけい、genealogical relation ship) があるとわれる。系統けいとう関係かんけい認定にんていは、比較ひかく方法ほうほうとおしておこなわれる[5]

比較ひかく方法ほうほう基盤きばんとなるのは、言語げんご恣意しいせいおと変化へんか規則きそくせい自然しぜん斉一せいいつせいである[6]

まず、恣意しいせいとは、言語げんご記号きごう表現ひょうげん形式けいしきであるおとがたと、そこで表現ひょうげんされる意味いみとのあいだに、必然ひつぜんてきむすびつきがいことを[7]たとえば、「」という記号きごうは、treearbreumthiであってもおな意味いみあらわせたはずである。 以上いじょうからあきらかなように、記号きごうおとがたは (擬声語ぎせいご例外れいがいとして) 意味いみとの関連かんれんうすく、因果いんがてきつながりをたないのが普通ふつうである。こうしたおとがた意味いみ任意にんいせいかんがみれば、その可能かのうわせは無限むげん存在そんざいするとえる。したがって、arbrearboralberoのような、複数ふくすう言語げんごあいだられる類似るいじ記号きごうは、共通きょうつう祖語そご由来ゆらいする同根どうこんである可能かのうせいたか[注釈ちゅうしゃく 1]

もちろん、記号きごう類似るいじをもたらす要因よういんとしては、これ以外いがいにも、借用しゃくようのほか、たんなる偶然ぐうぜん一致いっちげられる。しかし、言語げんごあいだ規則きそくてき音韻おんいん対応たいおうがあれば、偶然ぐうぜんである可能かのうせいひくくなる[8]たとえば、英語えいごfather, foot, fearフランス語ふらんすごpère, pied, peur比較ひかくすると、f-p-対応たいおうみとめられ、forpourのようなあらたな一致いっち予測よそくできる。一方いっぽう英語えいごboy日本語にほんごの「ぼうや」にられる一致いっちは、このたね規則きそくせいともなわない。そして、以上いじょうのような音韻おんいん対応たいおうが、比較的ひかくてき借用しゃくようされにくい基礎きそ語彙ごいや、活用かつよう語尾ごびなどの文法ぶんぽう形式けいしき数多かずおおみとめられるのであれば、言語げんごあいだ系統けいとう関係かんけいはよりもっともらしくなる[9]

下位かい分類ぶんるい認定にんてい

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系統けいとう関係かんけいのある言語げんごは、共有きょうゆう特徴とくちょう、すなわち、偶然ぐうぜん借用しゃくよう伝播でんぱ)では説明せつめいできない祖語そご特徴とくちょう(またはそのような特徴とくちょう反映はんえい)の保持ほじしめす。そして、語族ごぞく下位かい分類ぶんるいとなるかたりかたりぐんもまた系統けいとうぐんであるてんかんがみれば、その認定にんていは「共有きょうゆう革新かくしん」の認定にんていつうじておこなわれる。(生物せいぶつがくでいうと共有きょうゆう派生はせい形質けいしつ相当そうとうする。)つまり、語族ごぞくぜん構成こうせい言語げんご共通きょうつう祖先そせんにはられず、ぶんえださき言語げんごのみに共通きょうつうして存在そんざいする特徴とくちょうがあれば、これがまさに祖語そごからの分岐ぶんき定義付ていぎづける特質とくしつえる。たとえば、「ゲルマン」のしょ言語げんごは、インド・ヨーロッパ祖語そごには存在そんざいしないとかんがえられている語彙ごい文法ぶんぽう特徴とくちょう共有きょうゆうしており、これらの特徴とくちょうは、すべてのゲルマン諸語しょごであったゲルマン祖語そごインド・ヨーロッパ祖語そご子孫しそんいち)でこった革新かくしんであるとかんがえられる。

語族ごぞく構造こうぞう

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語族ごぞくは、分化ぶんかのその歴史れきしがたとしてあらわされることがおおいため、かたりbranch)というよりちいさな系統けいとう単位たんい分割ぶんかつ可能かのうである。語族ごぞくたん系統けいとうぐんであり、すべての所属しょぞく共通きょうつう祖先そせん祖語そご)に由来ゆらいし、すべての"証明しょうめい"された子孫しそん言語げんご語族ごぞくふくまれる。(したがって「語族ごぞく」は、生物せいぶつがくてきな「クレード」に類似るいじする。)

一部いちぶ分類ぶんるい学者がくしゃは、語族ごぞくという用語ようご使用しよう特定とくてい階級かいきゅう制限せいげんしているが、その方法ほうほうについてはほとんどコンセンサスがない。このようなラベルをけるひとは、かたりbranch)をかたりぐんgroup)に、groupcomplex細分さいぶんする。さい上位じょうい階級かいきゅう語族ごぞくは、しばしば phylum または stockばれる。えだたがいにちかいほど、言語げんごはより密接みっせつ関連かんれんしている。つまり、祖語そごが4つに分岐ぶんきし、4番目ばんめ分岐ぶんきない姉妹しまい言語げんご存在そんざいする場合ばあい、2つの姉妹しまい言語げんごは、全体ぜんたい祖語そごよりも相互そうご密接みっせつ関連かんれんしている。

だい語族ごぞくMacrofamily または Superfamily)という用語ようごは、一般いっぱんれられている歴史れきし言語げんごがくてき方法ほうほうによって実証じっしょうされていないが、系統けいとう関係かんけい提案ていあんされた、語族ごぞくより上位じょうい言語げんごグループに適用てきようされることがある。

方言ほうげん連続れんぞくたい

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いくつかの緊密きんみつ語族ごぞくぐん、およびよりおおきな語族ごぞくおおくのぶんえだは、方言ほうげん連続れんぞくたいかたちをとり、語族ごぞくない個々ここ言語げんご明確めいかく識別しきべつ定義ていぎ、カウントを可能かのうにする明確めいかく境界きょうかいい。ただしアラビアのように、連続れんぞくたいりょうはし存在そんざいする方言ほうげん差異さい非常ひじょうおおきく、相互そうご理解りかいせいがない場合ばあい連続れんぞくたい単一たんいつ言語げんごとして意味いみのあるものとはみなせない。

言語げんご多様たようせいは、社会しゃかいてきまたは政治せいじてき考慮こうりょ事項じこうおうじて、言語げんごまたは方言ほうげんのいずれとも做される。したがって、情報じょうほうげんによって、(とく時間じかん経過けいかとともに、)特定とくてい語族ごぞくないまったことなるかず内包ないほう言語げんごすうしめされる可能かのうせいがある。たとえば、にち琉語ぞく分類ぶんるいは、内包ないほう言語げんご唯一ゆいいつ日本語にほんごのみ(琉球りゅうきゅう言葉ことば方言ほうげんとみなす場合ばあい)とされることもあれば、20ちかくの言語げんごふくまれるとされる場合ばあいもある。琉球りゅうきゅう日本語にほんご方言ほうげんではなく、にち琉語ぞくうち別個べっこ言語げんごとして分類ぶんるいされるまでは、日本語にほんご孤立こりつした言語げんご所属しょぞく言語げんごがただひとつの語族ごぞく)であった。

孤立こりつした言語げんご

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世界せかいのほとんどの言語げんご言語げんごとの系統けいとう関係かんけいられているが、既知きち同系どうけい言語げんご存在そんざいしない(または系統けいとう関係かんけい暫定ざんていてき提案ていあんされている)ものは、孤立こりつした言語げんごばれ、本質ほんしつてきには単一たんいつ言語げんご構成こうせいされる語族ごぞくである。今日きょうられているもので、推定すいてい129の孤立こりつした言語げんごがある[10]一般いっぱんに、孤立こりつした言語げんごは、同系どうけい言語げんご存在そんざいするか、歴史れきしのある時点じてん同系どうけい言語げんごゆうしていたが、比較ひかく方法ほうほうによって同系どうけい関係かんけい見出みだしするには時間じかん経過けいかしすぎていると想定そうていされている。

孤立こりつした言語げんごは、十分じゅうぶん言語げんごデータをもってしても系統けいとう関係かんけいゆうする言語げんごつからないというものであり、そもそも言語げんごデータの不足ふそくによって分類ぶんるい不可能ふかのう分類ぶんるい言語げんごとはことなる概念がいねんであり[10]注意ちゅういようする。

インド・ヨーロッパ語族ごぞくアルバニアアルメニアなど、語族ごぞくない独自どくじえだとして分岐ぶんきした言語げんごは「孤立こりつしている」と表現ひょうげんされる場合ばあいがあるが、そのような場合ばあいの「孤立こりつしている」という単語たんご意味いみは、「インド・ヨーロッパ語族ごぞくないにおいて孤立こりつした系統けいとう」と意味いみであり、「孤立こりつした言語げんご」ではない。対照たいしょうてきに、られているかぎり、バスク完全かんぜんに「孤立こりつした言語げんご」である。おおくのこころみにもかかわらず、現存げんそんとの関連かんれんせいしめされていない。

もう1つの有名ゆうめい孤立こりつした言語げんご事例じれいとして、チリのアラウカ語族ごぞくマプチェがある。この言語げんごは、現在げんざい孤立こりつした言語げんごであるが、消滅しょうめつした同系どうけい言語げんご存在そんざいしており、つうてきには孤立こりつした言語げんごではない。

ローマ時代じだいはなされたアクイタニアはバスク祖先そせんであった可能かのうせいがあるが、バスク祖先そせん姉妹しまい言語げんごであった可能かのうせいもある。後者こうしゃ場合ばあい、バスクとアクイタニアはともにちいさな語族ごぞく形成けいせいすることになる。 (祖先そせん語族ごぞく別個べっこのメンバーとはなされない。)

祖語そごはは言語げんご母語ぼごではない[11])とかんがえることができ、語族ごぞくないのすべての言語げんご共通きょうつう祖先そせんである。ほとんどの言語げんごにおいて、記録きろく歴史れきし比較的ひかくてきみじかいため、語族ごぞく共通きょうつう祖先そせん直接ちょくせつられることはめったにない。しかし、19世紀せいき言語げんご学者がくしゃアウグスト・シュライヒャーによって考案こうあんされたさい構成こうせい手順てじゅんである比較ひかく方法ほうほう適用てきようすることにより、祖語そごおおくの特徴とくちょう復元ふくげん可能かのうである。これにより、語族ごぞく一覧いちらん提案ていあんされているおおくの語族ごぞく有効ゆうこうせい実証じっしょうすることができる。 たとえばインド・ヨーロッパ語族ごぞくさい可能かのう祖語そごインド・ヨーロッパ祖語そごばれる。 インド・ヨーロッパ祖語そご文字もじ記録きろくによって証明しょうめいされていないため、文字もじ発明はつめいされるまえはなされていたと推測すいそくされる。

語族ごぞく特異とくいてき遺伝子いでんし

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言語げんご系統けいとう人類じんるい進化しんかにおける遺伝子いでんし系統けいとう非常ひじょうたパターンをしめ[12][13]現生げんなま人類じんるい言語げんご推定すいてい系統けいとうじゅ観点かんてんからは、言語げんご伝達でんたつだい部分ぶぶん水平すいへい方向ほうこう空間くうかん拡散かくさん)ではなく、垂直すいちょく方向ほうこう祖先そせん-子孫しそん)によってなされると解釈かいしゃくされる[14]

語族ごぞく分布ぶんぷとくY染色せんしょくたいハプログループ分布ぶんぷすくなからず関連かんれんする[15]たとえば、オーストロアジア語族ごぞくハプログループO1b1 (Y染色せんしょくたい)モンゴル語族ごぞくハプログループC2 (Y染色せんしょくたい)ウラル語族ごぞくハプログループN (Y染色せんしょくたい)などである[16]

語族ごぞくとはべつ分類ぶんるい概念がいねん

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言語げんご連合れんごう

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借用しゃくようまたはその手段しゅだん獲得かくとくされた言語げんご特徴とくちょうの「共有きょうゆう革新かくしん」は、遺伝いでんてきとはなされず、語族ごぞく概念がいねんとは関係かんけいい。たとえば、イタリックラテン語らてんごオスカンウンブリアなど)で共有きょうゆうされるよりいちじるしい特徴とくちょうおおくは、「地域ちいきてき特徴とくちょう」である可能かのうせいたかいと主張しゅちょうされている。(ただしこれに類似るいじした現象げんしょうである西にしゲルマンぐんうちにおけるのちょう母音ぼいんシステムの変化へんかは、祖語そご革新かくしんかんがえられる段階だんかいよりも大幅おおはばおくれてこっているものの、英語えいご大陸たいりく西にしゲルマン地域ちいきてき分離ぶんりしているため「地域ちいきてき特徴とくちょう」であると容易よういなすことはできない)。同様どうように、ゲルマンバルトスラブにも同様どうよう特異とくいてき革新かくしん数多かずおおくあり、一般いっぱんてき祖語そごからがれた特徴とくちょうというよりも、地域ちいきてき特徴とくちょうである可能かのうせいがはるかにたかい。しかし、共有きょうゆうされた革新かくしん地域ちいきてき特徴とくちょうであるか、偶然ぐうぜんであるか、共通きょうつう祖先そせんからの継承けいしょうであるかについて意見いけん一致いっちしなければ、だい規模きぼ語族ごぞくにおける下位かい系統けいとう分類ぶんるい不一致ふいっちしょうじることになる。

言語げんご連合れんごうは、共通きょうつう言語げんご構造こうぞう特徴とくちょうとするいくつかの言語げんご地理ちりてき領域りょういきである。これらの言語げんごあいだ類似るいじせいは、偶然ぐうぜん共通きょうつう起源きげんではなく、言語げんご接触せっしょくによってこされ、言語げんごぞく定義ていぎする基準きじゅんとして認識にんしきされていない。言語げんご連合れんごうれいとして、インド大陸たいりくげられる[17]

接触せっしょく言語げんご

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語族ごぞく概念がいねんは、言語げんご方言ほうげん発達はったつさせるという歴史れきしてき観察かんさつもとづいており、方言ほうげん時間じかん経過けいかとともにことなる言語げんご分岐ぶんきする可能かのうせいがある。しかし、言語げんごがくにおける祖先そせんは、たねあいだ交配こうはいをほとんど無視むしできる生物せいぶつがくにおける祖先そせんほど明確めいかくではない[18]。それは、広範こうはん遺伝子いでんし水平すいへい伝播でんぱともな微生物びせいぶつ進化しんかている。非常ひじょう遠縁とおえん関連かんれん言語げんごは、言語げんご接触せっしょくつうじて相互そうご影響えいきょうあたえる可能かのうせいがあり、極端きょくたん場合ばあいクレオール言語げんごであろうと混合こんごう言語げんごであろうと、単一たんいつ祖先そせんたない言語げんごにつながる可能かのうせいがある。さらに、おおくの手話しゅわ独立どくりつ開発かいはつされており、たがいに系統けいとう関係かんけいまったいようである。とはいえ、そのようなケースは比較的ひかくてきまれであり、ほとんどのよく検証けんしょうされた言語げんごは、ある語族ごぞくぞくするものとして明確めいかく分類ぶんるいできる。

言語げんご接触せっしょくは、ことなる言語げんごはなす2つの集団しゅうだんあいだ相互そうご意思いし伝達でんたつにより、2つ以上いじょう言語げんご混合こんごうからあたらしい言語げんご開発かいはつにつながる可能かのうせいがある。 2つの集団しゅうだんたがいにしょう取引とりひきおこなうために発生はっせいする言語げんご、または植民しょくみん主義しゅぎ結果けっかとして出現しゅつげんした言語げんごは、ピジンばれる。ピジンは、言語げんご接触せっしょく言語げんごてきおよび文化ぶんかてき拡大かくだいこす場合ばあいれいである。ただし、言語げんご接触せっしょく文化ぶんかてき分裂ぶんれつにもつながる可能かのうせいがある。場合ばあいによっては、2つのことなる言語げんごはな集団しゅうだんが、自分じぶん言語げんごたいして縄張なわば意識いしきかんじ、言語げんご変更へんこうくわえたがらないこともあり、このような場合ばあい言語げんご境界きょうかいしょうじ、接触せっしょくしている集団しゅうだん言語げんごへの順応じゅんのう拒否きょひすることになる[19]

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 一方いっぽう音素おんそ配列はいれつろん語順ごじゅんのように、言語げんご構造こうぞうかかわる要素ようそには、普遍ふへんてき傾向けいこうられ、可能かのうわせもおおくないため、系統けいとう関係かんけい認定にんていするじょうではさほど有用ゆうようでない (cf. 木部きべ 2019: 119)。

出典しゅってん

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  1. ^ Lyovin, Anatole V.; Kessler, Brett; Leben, William R., eds ([1997] 2017). An Introduction to the Languages of the World (Second Edition). Oxford University Press. pp. 6-7 
  2. ^ Bybee, Joan (2015). Language Change. Cambridge University Press 
  3. ^ Dimmendaal, Gerrit J. (2011). Historical Linguistics and the Comparative Study of African Languages. John Benjamins Publishing. p. 336. ISBN 9027287228. https://books.google.com/books?id=e-PxyCpnnzEC&pg=PA336 2017ねん1がつ26にち閲覧えつらん 
  4. ^ 斎藤さいとう, 純男すみお田口たぐち, 善久ぜんく西村にしむら, 義樹よしき へん明解めいかい言語げんごがく辞典じてん三省堂さんせいどう、2015ねん、43ぺーじ 
  5. ^ Bybee (2015), pp. 209–210.
  6. ^ Rankin, Robert L. (2003). “The Comparative Method”. In Joseph, Brian D.; Janda, Richard D.. The Handbook of Historical Linguistics. Blackwell Publishing. pp. 183-212 
  7. ^ 斎藤さいとう, 田口たぐち & 西村にしむら (2015), p. 42.
  8. ^ 木部きべ, 暢子ようこ へん明解めいかい方言ほうげんがく辞典じてん三省堂さんせいどう、2019ねん、119-120ぺーじ 
  9. ^ 木部きべ (2019), p. 120.
  10. ^ a b Campbell, Lyle (2010-08-24). “Language Isolates and Their History, or, What’s Weird, Anyway?” (英語えいご). Annual Meeting of the Berkeley Linguistics Society 36 (1): 16–31. doi:10.3765/bls.v36i1.3900. ISSN 2377-1666. http://journals.linguisticsociety.org/proceedings/index.php/BLS/article/view/3900. 
  11. ^ Bloomfield, Leonard. Language ISBN 81-208-1196-8
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  14. ^ Gell-Mann, M.; Ruhlen, M. (10 October 2011). “The origin and evolution of word order”. Proceedings of the National Academy of Sciences 108 (42): 17290–17295. Bibcode2011PNAS..10817290G. doi:10.1073/pnas.1113716108. JSTOR 41352497. PMC 3198322. PMID 21987807. http://authors.library.caltech.edu/59840/1/17290.full.pdf. 
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