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コンパス - Wikipedia

コンパス

えんえが文房具ぶんぼうぐ

コンパスオランダpasser英語えいごcompass)は、えんえがいたり、線分せんぶんながさをうつすのにもちいる文房具ぶんぼうぐ製図せいず器具きぐである[1]中心ちゅうしん機構きこうせっ自由じゆう角度かくど開閉かいへいできる2ほんあしからなる。ぶんまわしぶんまわし、ぶんまわし)、両脚りょうきゃく(りょうきゃくき)、まどかただし(えんき)ともいう。また、かつてはつ(コンハッス)と宛字あてじされたこともある。「コンパス」の原語げんごオランダの kompas であるが、これは現代げんだいオランダ方位ほうい磁針じしんのことをしめす。近代きんだいオランダでは passer とう。

コンパス

コンパスは円周えんしゅうえがくために必須ひっす道具どうぐではなく、『支点してんとそこからひとしい距離きょり維持いじしたまま移動いどうできる状態じょうたい筆記具ひっきぐ』(れいになったひもとペン、それからはりもしくはあるいはぼう画鋲がびょうなど)があれば代用だいようができる。日本にっぽん学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうでは小学校しょうがっこうだい3学年がくねんあつかはじめる[1]

構造こうぞう

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中心ちゅうしん機構きこう

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中心ちゅうしん機構きこうは、2ほんあしせっする角度かくど調整ちょうせいする。

簡便かんべんなものは中心ちゅうしん機構きこうのみが可動かどうで、それぞれのあしさき)はかみななめにせっする。製図せいずようコンパスは、精度せいどげるため、それぞれのあし中間ちゅうかんでもがり、かみ垂直すいちょくせっするようにできる。伸縮しんしゅく可能かのうあしもあり、コンパクトでも、おおきなえんえがくことができる。

片方かたがたあしさき)ははりになっていて、かみなどにかるして固定こていする。基本きほんてきには、もう片方かたがた筆記具ひっきぐとなっており、固定こていはし中心ちゅうしんとしたえんえがける。には、つぎのような機構きこうがある。

アタッチメント
以下いか任意にんい穂先ほさきけることができる。
しんホルダー
直径ちょっけい2mm程度ていど黒鉛こくえんしんなどをける。
カラスこう製図せいずペン
製図せいずよう
ディバイダりコンパス)
もう片方かたがたはりになっている。円周えんしゅう等分とうぶんしたり、寸法すんぽう転記てんきなどに使用しようされる。簡単かんたん作業さぎょうならばコンパスをその代替だいたいとすることができる。
ペンホルダー
べつ筆記具ひっきぐはさんで固定こていする。作画さくが精度せいど若干じゃっかんちる。鉛筆えんぴつ(あるいは鉛筆えんぴつふとさのペン)を固定こていするものが代表だいひょうてきだが、対応たいおうするふとさは製品せいひんによりことなる。ペンタイプのカッターナイフ使つかえばえんくことができる。
シャープペンシル
通常つうじょうのシャープペンシルようしん使つかえる。

種類しゅるい

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  • ちゅうコンパス(一般いっぱんてきなもの):半径はんけい5~70mmのえんよう
  • だいコンパス:半径はんけい50~150mmのえんよう
  • スプリングコンパス:1~15mmのえんようあしあいだにあるねじしゃまわしてあし間隔かんかく調整ちょうせいできる。
  • ビームコンパス:半径はんけい200mm以上いじょうえんよう。ビームじょうはりさき、ペン平行へいこうけられたもの。ビームじょうをスライドさせて半径はんけい調整ちょうせいする。
  • 比例ひれいコンパス:図形ずけい拡大かくだい縮小しゅくしょうするとき使用しようする。
  • 教具きょうぐとして黒板こくばんようの、おおきく、筆記具ひっきぐチョークもちいるタイプがある。

中心ちゅうしん

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中心ちゅうしんは、コンパスを補助ほじょする用具ようぐで、製図せいず用具ようぐ一式いっしきセットなどにふくまれている。

この中心ちゅうしんはコンパスによる製図せいずさい図面ずめんとなるかみあないてしまわないようにするための用具ようぐである[2]同心円どうしんえん多数たすうえが場合ばあいに、なんはりすことによるかみあなひろがりをふせぐことができ、正確せいかく同心円どうしんえんえがくことができる[2]

中心ちゅうしん透明とうめい円形えんけいで、その中心ちゅうしんには十字じゅうじせんはいっていて、その交点こうてん部分ぶぶんくぼんでいる。使用しようするさいには、えがえん中心ちゅうしんとなるべき部分ぶぶん中心ちゅうしん中心ちゅうしんくぼみ)が一致いっちするようき、くぼみにコンパスのはりえんえがくことでかみ直接ちょくせつあなかないようにすることができる。おおくはすべめがついている。

よしみなが元年がんねん(1848ねん幕府ばくふ佐久間さくま象山ぞうさん洋式ようしき野戦やせんほうつくらせ、品川しながわ砲台ほうだいつくらせるなど当時とうじ国防こくぼう多端たたんおりがら鉄砲てっぽう需要じゅよう急増きゅうぞうし、その当時とうじかんざしがたなのツバの仕上しあとうのかざりしょくじん鉄砲てっぽう鍛冶たんやとなり、さらにてんじてその一部いちぶ人々ひとびと製図せいず器械きかいつくるようになった。そのあと鉄砲てっぽう鍛冶たんやなどから製図せいず器械きかいてんじたもののほかに、明治めいじ中頃なかごろからは医療いりょう器械きかい外科げかよう器具きぐしょくからてんじたもの、あるいは造兵ぞうへいしょ砲兵ほうへいしょからの転職てんしょくしゃから製図せいず器械きかい製作せいさくする一派いっぱひらいたものもあった。

しゅう日野ひのまれで、鉄砲てっぽう鍛冶たんや和田わだ熊吉くまきち次男じなん和田わだ貞一郎ていいちろう明治めいじ2ねん(1869ねん)にはじめて仏蘭西ふらんすしきのコンパスをつくった。これが日本にっぽんでの洋式ようしきぶんまわしや烏口からすぐちなどすなわ製図せいず器械きかい製造せいぞう元祖がんそである。徳川とくがわはん鉄砲てっぽう鍛冶たんやであった山崎やまざき鉄五郎てつごろうもまた烏口からすぐちやコンパスをつくり、ほかに御玉おたま大熊おおくまぼうなども明治めいじ初期しょきにおける製図せいず器械きかい製造せいぞうとして登場とうじょうする。そして、明治めいじ10ねん(1877ねん)、関谷せきやわたるすけ山崎やまざき鉄五郎てつごろうの姻籍)もえいしきコンパスをつくるようになった。その和田わだ山崎やまざき関谷せきや製図せいず器具きぐ製造せいぞうさんしょうし、たがいに連絡れんらくたもってしたしく往来おうらいしていたという。その当時とうじは、そのほかにも、きせるから、外科げかよう刃物はものはがねから、あるいは海軍かいぐん工廠こうしょう工員こういんてんじたものもあって、製図せいず器具きぐ製造せいぞう隆盛りゅうせいきわめたという。

明治めいじ8ねん(1875ねん)、銀座ぎんざ時計とけい測量そくりょう器械きかいっていた玉屋たまや下請したうけで時計とけいくさりつくっていたかざりしょくじん沢田さわだ金太郎きんたろうは、ふねらいひん見本みほんとして仏式ぶっしきコンパスを独学どくがくつくはじめた。その横須賀よこすか海軍かいぐんこうしょから転職てんしょくして比例ひれいコンパスをせんもんつくはじめた斉藤さいとう三郎さぶろう一派いっぱおこし、医療いりょう器械きかいしょくからスプリングコンパスの製造せいぞう転向てんこうした石井いしい留吉とめきち小石川こいしかわ砲兵ほうへいしょ職工しょっこうから独立どくりつしてコンパスをつくはじめた。杉崎すぎさき清三郎せいさぶろう一派いっぱ一時いちじ隆盛りゅうせいきわめた。その、ものさし製造せいぞう藤山ふじやま捨吉すてきち製造せいぞう器械きかい各派かくはからあつめ、大量たいりょうてき製図せいず器械きかい製造せいぞうはじめたが、工員こういん技術ぎじゅつ指導しどうしゃ上記じょうきながれを人々ひとびとであった。材料ざいりょう打物うちものであったが烏口からすぐちとスプリングをのぞくその製図せいず器械きかい材料ざいりょう明治めいじ18ねん(1885ねんごろ和田わだ貞一郎ていいちろう指導しどうにより川出かわで竹松たけまつという鋳物いもの鋳物いものつくはじめた。大正たいしょう5ねん渡辺わたなべひろしが、現在げんざいのDしきという独逸どいつのリヒテルがた国産こくさんしたときに、はじめてようしろいたぼう使つかはじめた。現在げんざい仏式ぶっしきえいしき、Dしきなどはいずれも一部いちぶ製品せいひんのぞいてほとんど鋳物いものである。

シンボルとして

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中心ちゅうしんから2ほんあしびている形状けいじょうから、あしなが人物じんぶつとく女性じょせい)を比喩ひゆ表現ひょうげんとして「コンパス(がながい)」といったもちかたをすることがある。また、あしながさに由来ゆらいする意味いみではあるが「コンパスがちがう」という慣用かんよう表現ひょうげんでは歩幅ほはばす。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b だい3しょう かく学年がくねん内容ないよう[ようページ番号ばんごう] 文部もんぶ科学かがくしょう
  2. ^ a b 製図せいず単品たんぴん付属ふぞくひん”. STAEDTLER Japan. 2013ねん11月4にち閲覧えつらん[リンク]

関連かんれん項目こうもく

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