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ジャングル (森林の型) - Wikipedia

ジャングル (森林しんりんかた)

森林しんりんかた

ジャングルえい: jungle叢林そうりんそうりん[1])とは、熱帯ねったい雨林うりん一般いっぱん言葉ことばとしても使つかわれているが、元来がんらい熱帯ねったいいき森林しんりんの1つのかたのことである。みつしげり、見通みとおしのかないもので、てんじてそのような状況じょうきょうのものを言葉ことばとしても使つかわれる。

カンボジアのジャングル
カメルーン熱帯ねったい雨林うりん川岸かわぎしならぶジャングル

ジャングルというかたりかならずしも生物せいぶつがく用語ようごとはなされておらず、『岩波いわなみ生物せいぶつがく事典じてん』にもげられていない。また各種かくしゅ植物しょくぶつがく事典じてんでもげられていないれいおおい。そのなかで、『オックスフォード植物しょくぶつがく事典じてん』には記載きさいがあり、そこには「つる植物しょくぶつタケるいヤシるいなどがしげったきょくしょう熱帯ねったい雨林うりん」とある。さらにいわゆるきょくしょう熱帯ねったい雨林うりん森林しんりんない下層かそう構成こうせいする植生しょくせいがまばらであって見通みとおしがわるとおけるのが困難こんなん、ということはなく、それにたいして伐採ばっさいけたり、あるいは川岸かわぎしなどで普通ふつう森林しんりんないよりひか条件じょうけんがよい場所ばしょ特徴とくちょうてきなのがこのような森林しんりんであると説明せつめいされている[2]

由来ゆらい内容ないよう

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ジャングルという言葉ことばは、元来がんらいヒンディーの jangal に由来ゆらいし、これは元々もともと居住きょじゅう周辺しゅうへんにあってむことのできないような森林しんりん低木ていぼくりんしていた[3]

 
タイカオラックのジャングル

熱帯ねったい雨林うりんでは、おおきなギャップがしょうじると蔓植物つるしょくぶつ繁茂はんもすることがおおく、せい蔓植物つるしょくぶつつよこうると一気いっき生長せいちょうし、たとえば伐採ばっさいなどののちにはそれらがひろ繁茂はんもするので、ひとることのできない状態じょうたい森林しんりん出来上できあがる。これがジャングルである。そのような蔓草つるくさみつなカーペットのようなかたちをなし、低木ていぼくうえおおくす。樹木じゅもく次第しだい生長せいちょうすると、これをげてゆくことになり、次第しだい本来ほんらい森林しんりん形態けいたいにもどるが、その進行しんこうはとてもおそくなる[4]

ジャングルとはづるせいのヤシであるトウるいしげったもりのことである、と初島はつしま (1978) はべている[5]かれによると、トウるい陽性ようせい植物しょくぶつであり、森林しんりんないではひかり不足ふそくのために成長せいちょうできず、たかさ30cm程度ていど成長せいちょうめてしまい、そのままなんねんもその状態じょうたいでいる。そこで森林しんりん伐採ばっさいされたり、暴風ぼうふうなどで高木たかぎたおれたりといった理由りゆうはやしゆかひかりはいるようになると一斉いっせい成長せいちょうはじめ、密林みつりんつくる。彼等かれらくき葉柄ようへいにはおおくのとげがあり、また先端せんたんからはぎゃくとげのあるむちじょうづるるため、彼等かれらたがいにっかかりい、ひとなどが侵入しんにゅうするのはほぼ不可能ふかのうになる。これがつまりジャングルであり、これは本来ほんらい熱帯ねったい雨林うりんではなく、それが破壊はかいされてしょうじるりんである、という。これも上記じょうきのような記述きじゅつとよく符合ふごうし、むしろ駒嶺こまみね監訳かんやく (2004) にしめされているヤシるいというのがトウるいだ、ということだとおもわれる。

熱帯ねったい多雨たうりん意味いみ

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アマゾン一部分いちぶぶんそらつまみ

他方たほう熱帯ねったい多雨たうりん言葉ことばとして、ジャングルはひろ通用つうようするようになっている。たとえば上記じょうき初島はつしま (1978) がジャングルが通常つうじょう熱帯ねったい多雨たうりんではないと力説りきせつしているシリーズでも竹内たけうち (1978) はアマゾン森林しんりん生態せいたいかんする記述きじゅつ題名だいめいに「アマゾン・ジャングル」を採用さいようし、そのなかで「典型てんけいてき熱帯ねったい多雨たうりん(いわゆるジャングル)」といている[6]。ビジュアル博物館はくぶつかんシリーズの『ジャングル』もこれとおなじく、その記述きじゅつ最初さいしょに「ジャングルとは?」とだいし、「ジャングルすなわち熱帯ねったい雨林うりん」とし、その価値かちたかさ、多様たようせい未知みちについてべている[7]

日本語にほんご辞書じしょにおいても、多少たしょう記述きじゅつくわしいしょでは、たとえば小学しょうがくかん日本にっぽん国語こくごだい事典じてんだい2はんでは「樹木じゅもく密生みっせい下生したばえの繁茂はんもした熱帯ねったい森林しんりん」としたうえで「熱帯ねったい雨林うりんすこともあるが、その周辺しゅうへん森林しんりん」をすことがおおい、と正確せいかくしめされている[8]。『広辞苑こうじえんだいななはん場合ばあい、「おも熱帯ねったい高温こうおん多湿たしつにある、繁茂はんもした草木くさきおおわれた密林みつりん。」とあり、これが熱帯ねったい多雨たうりんすものか、それともことなるのか曖昧あいまいである。『岩波いわなみ国語こくご事典じてんだいさんはん』では「密林みつりん。おもに熱帯ねったい地方ちほう原始げんしりん」とあり、これは多分たぶん熱帯ねったい多雨たうりんしているとれる。

英和えいわ辞典じてんでは、jungleのわけとして「ジャングル」があるのは当然とうぜんとして、完全かんぜん日本語にほんごとしてはほぼかならず「密林みつりん」がしめされている。むしろそこに熱帯ねったい雨林うりんがあるれいがほとんどないようである。

派生はせいてき意味いみ

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ジャングルののように高層こうそうビルならニューヨークのビルがい

ジャングルというかたり森林しんりんではないものにたいしてもてられることがある。たとえば「都会とかいのジャングル」という表現ひょうげん書籍しょせき題名だいめいなどにもることができる。これは『広辞苑こうじえん』などにもられないが、他方たほう英和えいわ辞典じてんではたとえば『岩波いわなみ英和大えいわだい辞典じてん』 (1970) には2番目ばんめに「密生みっせいしたもの、からったもの」があげられ、さらに3番目ばんめにはアメリカ俗語ぞくごとして「浮浪ふろうしゃ宿やど」ががっている。これはむしろこのかたりのもとの意味いみ蔓草つるくさしげってとおけるのがむずかしいもり、に由来ゆらいするのであろう。本来ほんらい熱帯ねったい多雨たうりんがそうでないことはうえべたとおりである。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ 丛林の意味いみ - 中国ちゅうごく辞書じしょ - Weblioちゅう中日ちゅうにち辞典じてん”. cjjc.weblio.jp. 2020ねん6がつ28にち閲覧えつらん
  2. ^ 駒嶺こまみね監訳かんやく (2004) p.191.
  3. ^ ホイットモア/熊崎くまざき小林こばやし (1993) ,p.2
  4. ^ ホイットモア/熊崎くまざき小林こばやし (1993) ,p.121
  5. ^ 初島はつしま(1978),p.2125
  6. ^ 竹内たけうち (1978) ,p.2843
  7. ^ グリーナウェイ/寺島てらしま監訳かんやく (1995) p.6
  8. ^ 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん』、2はん、p.1181

参考さんこう文献ぶんけん

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  • T. C. ホイットモア/熊崎くまざきみのる小林こばやし繁男しげお、『【熱帯ねったい雨林うりん総論そうろん』、1993ねん築地つきじしょかん
  • 駒嶺こまみねきよし監訳かんやく、『オックスフォード植物しょくぶつがく事典じてん』、2004ねん朝倉書店あさくらしょてん
  • 初島はつしまじゅう彦、「トウ」:『朝日あさひ百科ひゃっか 世界せかい植物しょくぶつ 8』、1978ねん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ:p.2125.
  • 竹内たけうち正幸まさゆき、「アマゾン・ジャングル」:『朝日あさひ百科ひゃっか 世界せかい植物しょくぶつ 11』、1978ねん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ:p.2843-2848.
  • テレサ・グリーナウェイ/寺島てらしま司郎しろう監訳かんやく、『ビジュアル博物館はくぶつかん だい54かん ジャングル』、1995ねん同朋どうほうしゃ出版しゅっぱん
  • 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん だいはん だい6かん』、2001ねん小学館しょうがくかん

関連かんれん項目こうもく

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