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高層建築物 - Wikipedia

高層こうそう建築けんちくぶつ

日本にっぽんでおおよそ6かい以上いじょう建築けんちくぶつ
高層こうそうビルから転送てんそう

高層こうそう建築けんちくぶつ(こうそうけんちくぶつ、えい: tower block, high rise)は、一定いっていたか以上いじょう建築けんちくぶつ区分くぶん定義ていぎ各国かっこくほう制度せいど統計とうけいごとにことなる。一定いってい空間くうかんをもつものは高層こうそうビルともいう。

概説がいせつ

高層こうそう建築けんちくぶつ建設けんせつには莫大ばくだいとみ労働ろうどうりょく高度こうど技術ぎじゅつ必要ひつようとし(旧約きゅうやく聖書せいしょ登場とうじょうする「バベルばべるとう」)、とき為政者いせいしゃみずからの権力けんりょくおおきさを誇示こじするためにもちいてきた[1]。また、かつてはおも宗教しゅうきょうてき権威けんい象徴しょうちょうとして、キリスト教きりすときょうゴシックだい聖堂せいどう仏教ぶっきょう仏塔ぶっとうなどが建設けんせつされた[2]16世紀せいき宗教しゅうきょう改革かいかく以降いこうヨーロッパでは国家こっか威信いしんをかけた記念きねんてき高層こうそう建築けんちくすすめられた[2]19世紀せいきすえになると資本しほん主義しゅぎ経済けいざい発展はってんによって企業きぎょう高層こうそうオフィスビルひとし建設けんせつするようになり、高層こうそう建築けんちくぶつ世俗せぞく大衆たいしゅうすすんだ[2]

高層こうそう建築けんちくぶつ国家こっかあいだ都市としあいだ都市としないでの競争きょうそう手段しゅだんだったこともある[3]中世ちゅうせいヨーロッパではかく都市としだい聖堂せいどう尖塔せんとう鐘楼しゅろうなどの建築けんちく競争きょうそうがみられた[3]

経済けいざいめんでは高層こうそう建築けんちくぶつ土地とちからられる利益りえき最大さいだいするための方法ほうほうとされ、とくマンハッタン香港ほんこんシンガポールなど利用りようできる土地とちかぎりのある地域ちいきでは有効ゆうこう活用かつようされた[4]建物たてもの高層こうそうによって利益りえきげることはふるくからおこなわれ、古代こだいローマインスラのように投資とうし対象たいしょうになったものもある[5]。しかし、土地とち利用りよう観点かんてん高層こうそう建築けんちくぶつ本格ほんかくてき利用りようされるようになったのは19世紀せいきまつのことであり、代表だいひょうてきなものにニューヨークシカゴなどの都市としにみられる摩天楼まてんろうがある[5]

景観けいかんめんでは広範こうはん場所ばしょからえる高層こうそう建築けんちくぶつは、都市としのランドマークであり重要じゅうよう景観けいかん要素ようそとなっている[6]

日本にっぽん高層こうそう建築けんちくぶつ

定義ていぎ

高層こうそう建築けんちくぶつは、たかさによって建築けんちくぶつ区分くぶんするさいいち区分くぶんであるが、具体ぐたいてきにどの範囲はんいたかさの建築けんちくぶつすかについては種々しゅじゅ定義ていぎがある。制度せいどじょう中層ちゅうそう建築けんちくぶつ定義ていぎがある場合ばあいはそれをえるたかさをゆうする建築けんちくぶつし、ちょう高層こうそう建築けんちくぶつ定義ていぎがある場合ばあい中層ちゅうそうちょう高層こうそうあいだたかさをゆうする建築けんちくぶつす。主要しゅよう定義ていぎには以下いかのものがある。

都市とし計画けいかくほう施行しこうれいだい6じょうだい1こうだい7ごうでは、一団いちだん住宅じゅうたく施設しせつ都市とし計画けいかくについては、住宅じゅうたく低層ていそう中層ちゅうそうまた高層こうそうべつ予定よてい戸数こすうさだめることとされており、実務じつむじょう低層ていそうは1 - 2かい中層ちゅうそうは3 - 5かい高層こうそうは6かい以上いじょうとされている。

建設省けんせつしょうが1995ねん策定さくていした「長寿ちょうじゅ社会しゃかい対応たいおう住宅じゅうたく設計せっけい指針ししん」(建設省けんせつしょうじゅう備発だい63ごう[7]においても、「6かい以上いじょう高層こうそう住宅じゅうたくにはエレベーター設置せっちするとともに、できるかぎり3 - 5かい中層ちゅうそう住宅じゅうたくとうにもエレベーターをもうける」と規定きていされており、6かい以上いじょう高層こうそう住宅じゅうたくとされている。指針ししんであるので、法的ほうてき拘束こうそくりょくいが、条例じょうれいとう策定さくてい根拠こんきょとなっている。

消防しょうぼうほうだい8じょうの2、電波でんぱほうだい102じょうの3では、高層こうそう建築けんちくぶつを「たかさ31メートルえる建築けんちくぶつ」と定義ていぎしている。このたかさをえると非常ひじょうようエレベーターの設置せっち義務ぎむ発生はっせいする(一部いちぶ例外れいがいあり)。

建築けんちく基準きじゅんほうだい20じょうでは、高層こうそう建築けんちくぶつについての定義ていぎはない。ただし、たかさ60メートルをさかいにして建築けんちくぶつ構造こうぞうたいりょくについてことなる基準きじゅんさだめているため、たかさ60メートルをえる建築けんちくぶつちょう高層こうそう建築けんちくぶつであると解釈かいしゃくする場合ばあいがある。この場合ばあいには、高層こうそう建築けんちくぶつ上限じょうげんたかさ60メートルであるとかんがえることができる。ただし、ちょう高層こうそう建築けんちくぶつはよりたか建築けんちくぶつたかさ100メートル以上いじょうたかさ150メートル以上いじょうなど)として定義ていぎされることもある。

地方ちほう公共こうきょう団体だんたいでは、条例じょうれいなどによって高層こうそう定義ていぎをそれぞれめていることもある。

歴史れきし

出雲いずも大社たいしゃ本殿ほんでんしゃでんによると初期しょき創建そうけん当時とうじには32たけやく96メートル)のたかさであったという。その、16たけやく48メートル)のたかさにされ、11世紀せいきから13世紀せいきあいだに11かい倒壊とうかいしたとつたえられている。法隆寺ほうりゅうじ五重塔ごじゅうのとうたかさ31.5メートル)もやく1500ねんほどまえてられた高層こうそう建築けんちくぶつである。東大寺とうだいじひがしとう西にしとうはともに70メートル以上いじょうたかさのななじゅうとうであったとされる[8]平安へいあん時代じだいの1083ねん建立こんりゅうされた法勝寺ほっしょうじ八角はっかくきゅうじゅうとう室町むろまち時代ときよ焼失しょうしつ)はやく81メートルのたかさであったと推定すいていされている[9]

足利あしかが義満よしみつにより建立こんりゅうすすめられた京都きょうと相国寺しょうこくじ八角はっかくななじゅうとうは、たかさ360しゃくやく109メートル)あったとされる。1399ねんおうひさし6ねん)に完成かんせいしたこのとうは、1403ねんおうなが10ねん)、落雷らくらいによって焼失しょうしつし、きわめて短命たんめいであった。こののち義満よしみつ1404ねん金閣寺きんかくじ付近ふきんふたたななじゅうとうである北山きたやま大塔おおとう建設けんせつ。こちらも相国寺しょうこくじだいとう匹敵ひってきするたかさであったとみられている[10]

明治めいじ23ねんてられたたかさ52メートルの浅草あさくさ凌雲りょううんかく日本にっぽん最初さいしょ西洋せいようしき高層こうそう建築けんちくといえる[11]大阪おおさかにも明治めいじ21ねん浪速なにわてられたたかさ31メートルの眺望ちょうぼうかく明治めいじ22ねんきたてられたたかさ39メートルの凌雲りょううんかくがあり、「キタのきゅうかい、ミナミのかい」とばれた[12]

ちゅうあいだかい機械きかいしつ

マンションホテルオフィスビルなど10かい以上いじょう建築けんちくぶつでは、建築けんちく設備せつびじょう要求ようきゅうから、中間なかまかい空調くうちょう設備せつびやエレベータ設備せつびのための機械きかいしつもうけられることがある。このような場合ばあい通常つうじょう利用りようしゃはそのかい乗降じょうこうする必要ひつようはないので、旅客りょかくようエレベータは停止ていしせずに素通すどおりし、そのかい表示ひょうじもしていないケースがおおい。このように、実際じっさいには存在そんざいしていても、一般いっぱんには利用りようされずにエレベーターのさきにも表示ひょうじされないかいのことを「ゴーストフロア」とぶことがある。

とくに、13という数字すうじ西洋せいよう文化ぶんかけん縁起えんぎわる数字すうじであり、また13かいちゅうあいだかい機械きかいしつもうけるのにてきしたたかさでもあることから、このような機械きかい設備せつびを13かいもうけ、通常つうじょう利用りようしゃが13かい利用りようしないようにすることもおおい。この場合ばあいには、エレベーターのさきにも「13かいという表示ひょうじがない」ことになる[13][出典しゅってん無効むこう]

れいとして、大宮おおみやソニックシティビル大阪おおさか駅前えきまえだい3ビル世界せかい貿易ぼうえきセンタービルなどがある。

脚注きゃくちゅう

  1. ^ 大澤おおさわ 2015, pp. 396–397.
  2. ^ a b c 大澤おおさわ 2015, p. 398.
  3. ^ a b 大澤おおさわ 2015, p. 408.
  4. ^ 大澤おおさわ 2015, p. 405.
  5. ^ a b 大澤おおさわ 2015, p. 406.
  6. ^ 大澤おおさわ 2015, p. 414.
  7. ^ 長寿ちょうじゅ社会しゃかい対応たいおう住宅じゅうたく設計せっけい指針ししん”. 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん建築けんちく技術ぎじゅつ教育きょういく普及ふきゅうセンター. 2008ねん2がつ8にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2008ねん1がつ11にち閲覧えつらん
  8. ^ 一部いちぶ文献ぶんけんには「33たけ」(やく100メートル)としたものがあり、これにちか復元ふくげんもなされていた。2004ねん研究けんきゅうしゃ発表はっぴょうした論文ろんぶんではこの復元ふくげんどおりの建築けんちく当時とうじ困難こんなんであったことが指摘してきされ、べつ文献ぶんけんにある「23たけ」(やく70メートル)と推定すいていしている(箱崎はこざき和久かずひさ東大寺とうだいじななじゅうとうこう」『東大寺とうだいじ創建そうけん前後ぜんこう ザ・グレイトブッダ・シンポジウム論集ろんしゅうだいごう東大寺とうだいじ、2004ねん
  9. ^ 法勝寺ほっしょうじ八角はっかくきゅうじゅうとう」はどっしりかた?」『京都きょうと新聞しんぶん』、2011ねん7がつ28にち2011ねん10がつ13にち閲覧えつらんオリジナルの2011ねん8がつ1にち時点じてんにおけるアーカイブ。
  10. ^ 金閣寺きんかくじ敷地しきちないから装飾そうしょくひん出土しゅつどななじゅうとう北山きたやま大塔おおとう部材ぶざい」『毎日新聞まいにちしんぶん』、2016ねん7がつ8にち2017ねん2がつ11にち閲覧えつらん( よう購読こうどく契約けいやく)
  11. ^ 高層こうそう建築けんちく研究けんきゅうかいへん巨大きょだい高層こうそう建築けんちくほん日刊工業新聞社にっかんこうぎょうしんぶんしゃ 2003ねん7がつ31にち初版しょはん1さつ発行はっこう ISBN 4526051624
  12. ^ 大阪おおさかNORENひゃくねんかい 瓦版かわらばんだい2ごう”. 大阪おおさか「NOREN」ひゃくねんかい. 2010ねん8がつ26にち閲覧えつらん
  13. ^ 2008ねん9がつ13にち放送ほうそう 世界一せかいいちけたい授業じゅぎょう

関連かんれん項目こうもく

参考さんこう文献ぶんけん

  • 大澤おおさわ, 昭彦あきひこ高層こうそう建築けんちくぶつ世界せかい講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ、2015ねん 

外部がいぶリンク