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ジョイスティック - Wikipedia

ジョイスティックえい: Joystick)は、スティック(レバー)をかたむけることで方向ほうこう入力にゅうりょくおこなえる入力にゅうりょく機器きき総称そうしょう航空機こうくうきなどの機械きかいへの入力にゅうりょく機器ききとして利用りようされるほか、コンピュータへの入力にゅうりょく機器ききとしても使用しようされる。

ジョイスティックの構造こうぞう1.スティック、2.台座だいざ3.トリガー、4.ボタン、5.連射れんしゃスイッチ、6.スロットル、7.ハットスイッチ(POV)、8.吸盤きゅうばん

後述こうじゅつのとおり航空機こうくうき起源きげんとした用語ようごであり、ゲームの入力にゅうりょくデバイスとしてはそれから応用おうようされたものである(ゲーム用語ようごもちいた比喩ひゆ冗談じょうだんではない。)。

概要がいよう

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スペースインベーダー筐体きょうたい側面そくめん設置せっちされたちいさなジョイスティック。左右さゆうのみ操作そうさ可能かのう

航空機こうくうき産業さんぎょう機械きかい、コンピュータ、自動車じどうしゃなどの入力にゅうりょく機器ききとして使用しようされる。

スティックを操作そうさすることによって片手かたてで2じくあるいはそれ以上いじょう操作そうさができるのが利点りてんである。スティックはちからゆるめたりはなすと中立ちゅうりつ位置いちもどる。上下じょうげ左右さゆうあるいは前後ぜんご左右さゆううごく2じくしきのスティックがおおいが、1じくでもジョイスティックとぶことがある。両手りょうてで1ほんずつあるいはそれ以上いじょうのジョイスティックを操作そうさすることもある。クレーン、ショベルカーとう産業さんぎょう機械きかいにおいては、複数ふくすう単純たんじゅんレバー構成こうせいされる入力にゅうりょく機器きき代替だいたいするためにジョイスティックが採用さいようされることがおおい。スティックはどれだけかたむいたか(アナログりょう)をある程度ていど分解能ぶんかいのう入力にゅうりょくできるものと、たんかたむいた方向ほうこう入力にゅうりょくできるものの2つが存在そんざいするが、後者こうしゃ特定とくていのジャンルのゲームよう採用さいようされることがおおい。

ゲームようのジョイスティックは形状けいじょう用途ようとにより「フライトスティック」と「アーケードコントローラー(アケコン)」および「アナログスティック」に大別たいべつされる[ちゅう 1]。フライトスティックとアケコンはやや大型おおがた本体ほんたい机上きじょうくか吸盤きゅうばん吸着きゅうちゃくさせるなどして固定こていしスティック部分ぶぶんうごかして操作そうさする。アナログスティックは非常ひじょう小型こがたで、スティック部分ぶぶん指先ゆびさきだけで操作そうさする。

ジョイスティックは航空機こうくうき操縦そうじゅう桿を起源きげんとした入力にゅうりょく機器ききである。ジョイスティックという単語たんご最初さいしょ使用しようされたのは20世紀せいき初頭しょとう、フランスの飛行ひこうロベール・エスノー=ペルトリによるとかんがえられているが[1]ロバート・ロレーヌ英語えいごばん、ジェームズ・ヘンリー・ジョイス[2]、およびA. E. ジョージ英語えいごばんらとする主張しゅちょうもある。

電気でんきしきのジョイスティックはアメリカ海軍かいぐん調査ちょうさ研究所けんきゅうじょのC. B. Mirickによって発明はつめいされ、1926ねん特許とっきょ取得しゅとくされている。[3]

ドイツでは1944ねんごろ電気でんきしきの2じくジョイスティックが開発かいはつされ、FuG 203 Kehl送信そうしんまれてHs293フリッツX制御せいぎょ使用しようされた。これははは壁面へきめんなどに設置せっちされ、水平すいへいているスティックを上下じょうげ左右さゆううごかして操作そうさした。Hs293よう航空機こうくうき同様どうようにロール・ピッチを操作そうさするものだったが、フリッツXよう単純たんじゅん上下じょうげ左右さゆう指示しじするものだった[4]。アメリカではおなじく1944ねんごろAZON開発かいはつされ、制御せいぎょ装置そうちにジョイスティックが使用しようされた。ただしAZONはラダー操作そうさによる左右さゆう制御せいぎょのみ可能かのうで、ピッチ方向ほうこう制御せいぎょはジョイスティックではなく正確せいかくとうだんタイミングによっておこなわれた。

1960ねんだい航空機こうくうき無線むせん操縦そうじゅうよう装置そうちとしてジョイスティックはひろ使用しようされ、NASAのミッションでも使用しようされるようになる。

コンピュータゲームにおいて

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1962ねん完成かんせいしたコンピューターゲームスペースウォー!」にて、前後ぜんご1じく左右さゆう1じくの2つのレバーがたスイッチをそなえたジョイスティックのようなコントロールボックスが自作じさくされた[5]。1969ねん稼働かどうしたセガのエレメカ「ミサイル」では、スティックじょうにボタンのいたジョイスティックが搭載とうさいされていた[6]。1977ねん発売はつばいされたゲームAtari 2600には、4方向ほうこうのスティックと1つのボタンをそなえたジョイスティックがどうこりされていた。1978ねん稼働かどうしたスペースインベーダーでは、最初さいしょ左右さゆう移動いどうに2つのボタンが使用しようされていたが、すぐに2方向ほうこうのジョイスティックになった。1980ねん稼働かどうしたパックマンでは4方向ほうこうのジョイスティックが搭載とうさいされた。コンピュータゲームにおける黎明れいめいのジョイスティックは単純たんじゅんスイッチやボタンや十字じゅうじキー操作そうさをスティック(レバー)の操作そうさえたものだった。

ゲームコントローラとしておも使用しようされるため[よう検証けんしょう]「ゲームようコントローラ」を意味いみするかたりとして「ジョイスティック」が使つかわれる場合ばあいおお[よう検証けんしょう]パソコンでゲームようコントローラを接続せつぞくする部分ぶぶんは「ジョイスティック端子たんし」とばれた。ジョイスティック端子たんしには、Atari 2600使つかわれた、ぞくう「アタリ規格きかくD-sub 9ピン)」や、のちにIBM開発かいはつした「ゲームポートD-sub 15ピン)」がもちいられていたが、より手軽てがるUSB普及ふきゅうによってわられることになった。

フライトスティック

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フライトスティックのれい

フライトシミュレータアクションゲームなどで使用しようされる形式けいしき。レバー・ボタンいち体型たいけいともばれる。ただしスティック(レバー)と一体化いったいかしていないボタンも製品せいひん大半たいはんである。片手かたて全体ぜんたいにぎんで把持はじする大型おおがたのスティックと、1個いっこから10程度ていどのボタンをつ。通常つうじょう右手みぎてでスティックをち、右手みぎてゆびでスティックじょうのスイッチるい操作そうさし、左手ひだりて土台どだいじょうのスイッチるい操作そうさする。

スティックはおも操縦そうじゅう桿としての使用しよう想定そうていされており、左右さゆうおよび上下じょうげたおすことでxじく・yじく[ちゅう 2]変位へんい(どれだけかたむけたか)が入力にゅうりょく可能かのう繊細せんさい操作そうさいている。ボタンは特定とくてい動作どうさ実行じっこう武器ぶき発射はっしゃなど)、項目こうもく選択せんたくもちいる(画像がぞう参照さんしょうのこと)。追加ついかのスイッチるいとしてスロットルやハットスイッチをそなえた製品せいひんおおい。なお大型おおがた操舵そうだした入力にゅうりょく機器ききはフライトヨークとばれ、フライトスティックやジョイスティックとは区別くべつされる。ゲーム用途ようとではヘリコプターのサイクリック・スティックの操作そうさをジョイスティックで代用だいようすることがおおい。

上位じょうい製品せいひんにはより実際じっさい航空機こうくうきちかづくよう、スロットルを分離ぶんりし、スティックおよびスイッチるいそなえた独立どくりつ機器ききとして用意よういした製品せいひん存在そんざいする。このような上位じょうい製品せいひんのスロットルは追加ついか操作そうさようパドルコントローラそなえたものもすくなくない。スロットルのみ個別こべつ販売はんばいしている製品せいひん存在そんざいする。

スティックをひねることによりzじく(ヨーじく)の入力にゅうりょく可能かのうな3じくのスティックの製品せいひん存在そんざいする。より実際じっさい航空機こうくうきちかづくよう、あしでヨーじく操作そうさするペダルがた独立どくりつした入力にゅうりょく機器きき存在そんざいするが、これはジョイスティックにふくまれず、実際じっさい航空機こうくうき場合ばあい同様どうようにラダーペダルとばれる。

スティックのかたむきを検知けんちするセンサとしては可変かへん抵抗ていこう(リニアがたあるいはロータリーがたのポテンショメータ)、光学こうがくしきセンサ、ホール効果こうか利用りようした磁気じきセンサがある。可変かへん抵抗ていこう経年けいねん劣化れっか摩耗まもうによりセンタリングがくるってしまうため、調整ちょうせいようのノブをそなえていたりソフトウェアがわ補正ほせいできるようになっていることがある。かつては可変かへん抵抗ていこうしき主流しゅりゅうだったが接触せっしょく摩耗まもう問題もんだいとなっており、1995ねん発売はつばいのMicrosoftせい「Sidewinder Precision Pro」では接触せっしょくしき光学こうがくしきセンサが採用さいようされた。その接触せっしょくしきセンサのながれはつづき、2021ねん現在げんざいでは磁気じきセンサが主流しゅりゅうである。

アーケードコントローラー(アケコン)

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アケコンのれい
 
ウメハラ

アーケードゲームなどで、とくシューティングゲーム、アクションゲーム(格闘かくとうゲーム)、パズルゲームなどで使用しようされている形式けいしき。アーケードスティック、レバー・ボタン分離ぶんりがたともばれる。レバーにはボタンがかないため、細長ほそなが金属きんぞくのレバーじくのてっぺんにしゅ日本にっぽんではっきゅうがたおおい)がいただけのシンプルな構造こうぞうである。通常つうじょう左手ひだりてでレバーをち、右手みぎてでボタンを操作そうさする。               日本にっぽんたまがた形状けいじょうおおいのは、テンキーの方向ほうこう入力にゅうりょくをレバー操作そうさ簡略かんりゃくするための「自作じさくコントローラー」の設計せっけい記載きさいした雑誌ざっしがあり、それがゲーム会社かいしゃ採用さいようされそのかたちのまま普及ふきゅうしたためである。

ゲームパッド方向ほうこうキーをレバーにえた構造こうぞうといえ、レバーとボタンは分離ぶんりされ横長よこなが平面へいめんじょうかれる。レバーは基本きほんてきに8方向ほうこう上下じょうげ左右さゆうおよびその中間ちゅうかん)の方角ほうがく入力にゅうりょく可能かのうで、レバーのかたむきの変位へんい入力にゅうりょくできない。素早すばや操作そうさいている。かく方向ほうこう確実かくじつ入力にゅうりょくするためレバーガイドをそなえたものがおおい。ゲームパッドと区別くべつするため「レバーコントローラ」と呼称こしょうされることもある。

「フライトスティック」とくらべて小型こがたのレバーであるため、指先ゆびさきつつむようにかたちになる。かたにはおおきくけて以下いかの5種類しゅるいがあるとされる。

ワイン
じく人差ひとさゆび中指なかゆびあいだはさみ、したからつつむようにつ。ワイングラスった正確せいかくにはこれはブランデーグラスかたである)を連想れんそうさせるためこうばれる。
ぶっさし
ワインちとほぼ同義どうぎだが、じく中指なかゆび薬指くすりゆびあいだはさむ。
かぶせ
ワインちとはぎゃくに、うえからすっぽりとにぎりこむかたち
つまみ
にぎらずに指先ゆびさきだけでつ。操作そうさ方向ほうこう固定こていされているゲームにはいている。
ウメハラ
ゲームスティックのレバーを薬指くすりゆび小指こゆびじくはさみこんで、レバーのたまひだりからつつようつ。有名ゆうめいゲーマー梅原うめはらだいわれかた

アナログスティック

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PlayStation 5標準ひょうじゅんコントローラーDualSense中央ちゅうおうくろ突起とっきふたつがアナログスティック

入力にゅうりょく機器ききというより非常ひじょう小型こがた部品ぶひんであり、スティックは指先ゆびさきだけ(おも親指おやゆび)で操作そうさする。
スティックをかたむけるのではなくすべらせて(スライドさせて)操作そうさする方式ほうしき製品せいひん存在そんざいする。
「アナログスティック」という名称めいしょうコンシューマーゲーム(家庭かていようゲーム業界ぎょうかいおも使つかわれる。業界ぎょうかいではサムスティック、フィンガージョイスティック、フィンガーチップジョイスティック、ゆび操作そうさジョイスティック、あるいはたんにジョイスティックやスティックなどとばれる。

1986ねん発売はつばいされたファミリーコンピュータけコントローラBPS-MAXにはサイクロイドパッドというスライド可能かのうなアナログスティックじょう操作そうさがあったが、十字じゅうじキーの操作そうさかん向上こうじょうさせるためのものであり電気でんき信号しんごうとしてはアナログ入力にゅうりょくではなかった。
1989ねん発売はつばいされた各種かくしゅPCおよびメガドライブけのゲームパッドXE-1APにはアナログ入力にゅうりょく可能かのう親指おやゆび操作そうさするアナログスティックとえる操作そうさ搭載とうさいされていたが、当時とうじは「アナログスティック」とはばれていなかった。
1996ねん発売はつばいNINTENDO64には、標準ひょうじゅんコントローラにアナログスティックが搭載とうさいされており、おおくの消費しょうひしゃはじめてアナログスティックにれた。ただし3Dスティック(サンディスティック)とばれていた。なおアナログスティックとしては異例いれい光学こうがくしきセンサが使用しようされていた。
プレイステーションは1997ねん発売はつばいモデル(SCPH-7000)から、従来じゅうらいのコントローラにアナログスティックと振動しんどう機能きのう追加ついかしたDUALSHOCK標準ひょうじゅんコントローラとしてどうこりし、このスティックは公式こうしきに「アナログスティック」とばれた。以降いこう販売はんばいされた家庭かていようゲーム標準ひょうじゅんコントローラのおおくにはアナログスティックが標準ひょうじゅん装備そうびされていることがおおい。

センサとしては2023ねん現在げんざいまで可変かへん抵抗ていこうしきのセンサが主流しゅりゅうであるが、近年きんねん過去かこドリームキャスト採用さいようされていた磁気じきホールしき採用さいようし、摩耗まもうによる故障こしょういことをうた製品せいひん登場とうじょうしている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 初期しょき製品せいひん一部いちぶ製品せいひんにはこれらに分類ぶんるいされないものも存在そんざいする。
  2. ^ ロールじく・ピッチじくてられることがおおい。

出典しゅってん

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  1. ^ Zeller Jr., Tom (2005ねん6がつ5にち). “A Great Idea That's All in the Wrist”. New York Times. https://www.nytimes.com/2005/06/05/weekinreview/05zeller.html?ex=1275624000&en=127d9054b0921b1d 2006ねん9がつ7にち閲覧えつらん 
  2. ^ えい: James Henry Joyce
  3. ^ A Timeline of NRL's Autonomous Systems Research”. en:United States Naval Research Laboratory (2011ねん). 2016ねん3がつ3にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2012ねん10がつ21にち閲覧えつらん
  4. ^ William Wolf (2006). German Guided Missiles: Henschel Hs 293 and Ruhrstahl SD 1400X. Bennington, Vermont: Merriam Press. p. 13. ISBN 978-1475140828 
  5. ^ “The Origin of Spacewar!”. Creative Computing Magazine (August 1981) (Ziff-Davis) 07 (08): 62. (2020-04-11). https://archive.org/stream/creativecomputing-1981-08/Creative_Computing_v07_n08_1981_August#page/n64/mode/1up 2020ねん4がつ11にち閲覧えつらん. 
  6. ^ Horowitz, Ken (2018). The Sega Arcade Revolution, A History in 62 Games. en:McFarland & Company. p. 11. ISBN 9781476631967 

関連かんれん項目こうもく

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