バルブタイミング
バルブタイミング (valve timing) とは、レシプロエンジンの
ほとんどのエンジンでは、バルブタイミングはクランクシャフトの
この
概要
吸入 時 には吸入 するためのバルブを開 く圧縮 、燃焼 時 には気密 するため、すべてのバルブを閉 じる排気 時 には排気 するためのバルブを開 く
4ストロークエンジンのバルブタイミング
4ストロークエンジンは1
4つのバルブタイミングパラメータ
- IO (Intake Valve Open) —
吸気 バルブ開放 — このタイミングからシリンダー内 に混合 気 が吸入 され始 め、吸入 行程 がスタートする。上 死 点 の少 し手前 (BTDC)から開 くことで、排気 バルブと同時 に開 いているオーバーラップの時間 を作 り出 し、吸気 効率 を高 める効果 を発揮 する。 - IC (Intake Valve Close) —
吸気 バルブ閉鎖 — このタイミングで吸入 行程 が終了 する。このICを経 て1回転 目 の上 死 点 (圧縮 上 死 点 )に到達 するまでの区間 は圧縮 行程 となる。下 死 点 を過 ぎた位置 (ABDC)までバルブを開 けているのは、吸気 自体 の慣性 力 を用 いて更 に充填 効率 を高 めるためである。 点火 から膨張 行程 へ — ICから1回転 目 の上 死 点 (圧縮 上 死 点 )に到達 する直前 (BTDC)で点火 プラグによる点火 が行 われ、次 のEOまでの区間 は膨張 行程 となる。- EO (Exhaust Valve Open) —
排気 バルブ開放 —膨張 行程 の中途 にあるこのタイミングから排気 バルブが開 き、排気 行程 がスタートする。実際 には下 死 点 の少 し手前 (BBDC)から開 き始 め、膨張 の圧力 を利用 して排気 ガスを強制 的 に排出 させる効果 を利用 する。 - EC (Exhaust Valve Close) —
排気 バルブ閉鎖 — このタイミングで排気 バルブが閉 じて排気 行程 が終了 する。実際 には上 死 点 (排気 上 死 点 )の少 し後 (ATDC)で閉 じる上 に、吸気 バルブの開放 (IO)が排気 上 死 点 の少 し手前 (BTDC)から始 まるため、排気 行程 と吸気 行程 が同時 に行 われる区間 が存在 する事 になる。これが後述 のオーバーラップである。
バルブタイミング例
エンジン |
||||
0–30° BTDC | 30–50° ABDC | 3–60° BBDC | 10–30° ATDC | |
ターボ・ディーゼルエンジン | 50–80° BTDC | 30–50° ABDC | 30–60° BBDC | 40–85° ATDC |
バルブオーバーラップ
シリンダーが
2ストロークエンジンのポートタイミング
2ストロークエンジンはクランクシャフトが1
なお2ストロークエンジンでは、ピストンの
6つのポートタイミングパラメータ
- IO (Intake Port Open) —
吸気 ポート開放 — このタイミングからクランクケース内 に混合 気 が吸入 され始 める。シリンダー内 はこの時 上昇 行程 (圧縮 行程 )を経 て点火 が行 われている。 - IC (Intake Port Close) —
吸気 ポート閉鎖 — このタイミングでクランクケース内 への混合 気 吸入 が終了 する。シリンダー内 は点火 を経 て下降 行程 (膨張 行程 )が始 まっており、ピストンの下降 に併 せてクランクケース内 の混合 気 の一 次 圧縮 が行 われる。 - EO (Exhaust Port Open) —
排気 ポート開放 —下降 (膨張 )行程 の中途 にあるこのタイミングから排気 ポートが開 き、シリンダー内 の排気 がスタートする。実際 には下 死 点 の手前 (BBDC)から開 き始 め、膨張 の圧力 を利用 して排気 ガスを強制 的 に排出 させる効果 を利用 する。 - SO (Scavenging Port Open) — 掃気ポート
開放 —排気 ポートの開放 から少 し遅 れて掃気ポートが開放 され、掃気区間 が始 まる。掃気ポートも下 死 点 の手前 (BBDC)から開 き始 め、クランクケース一 次 圧縮 の圧力 を利用 して混合 気 をシリンダー内 に押 し込 みつつ、排気 ガスの追 い出 しも同時 に行 う。 - SC (Scavenging Port Close) — 掃気ポート
閉鎖 — このタイミングで掃気ポートからの混合 気 吸入 が停止 する。下 死 点 の少 し後 (ABDC)に閉鎖 され、ピストンは既 に上昇 行程 に転 じているため、クランクケース側 に若干 の吹 き戻 しが発生 する。この時 クランクケースからキャブレター側 に混合 気 が逆流 しないように、吸気 ポートにはリードバルブやロータリーディスクバルブが設 けられることが一般 的 である。 - EC (Exhaust Port Close) —
排気 ポート閉鎖 — このタイミングで排気 ポートが閉 じてシリンダー内 の排気 が終了 する。実際 には下 死 点 (排気 上 死 点 )の少 し後 (ABDC)で閉 じるため、シリンダー内 の混合 気 が若干 エキゾーストチャンバー内 に流出 してしまう。しかしこの時 、先 にエキゾーストチャンバーに排出 された排気 ガスがチャンバー内部 で応力 波 となって排気 ポートまで戻 ってくるため、適切 な排気 ポートタイミングとチャンバー容量 選択 が行 われたエンジンであれば、応力 波 によって流出 した混合 気 は再 びシリンダー内 に押 し戻 され、充填 効率 が増 す。これはエンジンの回転 数 によって効果 が変化 するため、最大 の充填 効率 が達成 される回転 域 を俗 にパワーバンドと呼 び、この回転 域 に入 ることをパイプインするともいう。
ポートタイミング例
エンジン |
掃気 |
掃気閉(SC) | ||||
55–70° BTDC | 55–70° ATDC | 30–50° BBDC | 20–35° BBDC | 20–35° ABDC | 30–50° ABDC | |
55–70° BTDC | 55–70° ATDC | 30–50° BBDC | EO |
ECと |
30–50° ABDC | |
55–70° BTDC | 55–70° ATDC | SO SOと |
20–35° BBDC | 20–35° ABDC | SCと SC |
関連 項目
参考 資料
Trnka J., Urban J.: Spaľovacie motory. Alfa Bratislava, 1992.
外部 リンク
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元日 産 ワークスチームメカニックの藤沢 公男 が考案 した藤沢 式 バルブタイミング図 - archive.today(2013年 4月 27日 アーカイブ分 )によるバルブタイミングの概要 説明 。上記 の図 よりもより直感 的 にバルブタイミングが理解 可能 である。 日本 財団 図書館 (電子 図書館 )3S級 舶用 機関 整備 士 指導 書 -船舶 用 4ストロークエンジンのバルブタイミング図 と、2ストロークエンジンのポートタイミング図 が掲載 されている。