(Translated by https://www.hiragana.jp/)
フェアノール - Wikipedia

フェアノールFëanorだい一紀かずのり4679ねん - 4997ねん)は、J・R・R・トールキンなかくに舞台ぶたいとした小説しょうせつ、『シルマリルの物語ものがたり』の登場とうじょう人物じんぶつノルドール上級じょうきゅうおうフィンウェ長男ちょうなん。もっともすぐれたエルフとされ、比類ひるいなきわざと知性ちせい博識はくしきによってられた。ちちへのあいと、みずかつくったものへのあいゆえにメルコール虚言きょげんにたぶらかされ、ノルドールを至福しふくアマンからモルゴスのなかくにへとすすませた。

ちちはフィンウェ。ははミーリエルつまネアダネル息子むすこマイズロスマグロールケレゴルムカランシアクルフィンアムロドアムラス異母いぼいもうとフィンディスイリメ異母弟いぼていフィンゴルフィンフィナルフィン

ヴァリノールにおけるフェアノール

編集へんしゅう

フィンウェはなかくに東方とうほうにある、クウィヴィエーネン(目覚めざめのみずうみ)のほとりで目覚めざめた最初さいしょのエルフのひとりである。かれはおうとしてノルドールをひきいてうみわたり、至福しふくアマンへとたどりいた。かれらはヴァラールとともにヴァリノールみ、しあわせな時代じだいをすごした。フィンウェはミーリエルとむすばれ、二人ふたりのあいだにフェアノールはまれた。

本来ほんらいちちならってフィンウェ(Finwë)またはフィンウェミンヤ(Finwëminya)とばれ、のちには「わざあるフィンウェ」を意味いみするクルフィンウェ(Curufinwë)とばれた。のちにかれはこのをかれの5番目ばんめ息子むすこクルフィンにさづけた。ミーリエルはかれを「せい」を意味いみするフェアナーロ(Fëanáro)と名付なづけ、かれはつねにこのられるようになった。 フェアノールとは、「せい」を意味いみするシンダールファイノール(faenor)と、クウェンヤのフェアナーロを折衷せっちゅうしたものである。

ミーリエルの

編集へんしゅう

ミーリエルはフェアノールを出産しゅっさんしたあと心身しんしんともにつかれきり、きていくことをのぞまなくなった。フィンウェはこのことでマンウェ助言じょげんもとめ、マンウェはかのおんなイルモにゆだねた。ミーリエルはイルモの庭園ていえん、ローリエンによこたわり、そのたましいマンドスかんいこうことになった。こうしてミーリエルはヴァリノールで最初さいしょ死者ししゃとなった。ミーリエルがフィンウェのもとをったことにより、フィンウェはあらたにインディスめとることになった。フェアノールはこのことをこのまず、インディスとその子供こどもたちをあいさなかった。そのためミーリエルの息子むすこフェアノールと、インディスの息子むすこフィンゴルフィンとの不和ふわまれ、このことはノルドールの反乱はんらんへとつながり、ひいてはエルフによる最初さいしょ同族どうぞくごろしへといたることになる。 ただし、すくなくともフィンゴルフィン一家いっか妻子さいし交流こうりゅうすることはフェアノールも容認ようにんしていた時期じきり、フィンゴルフィンの子女しじょであるフィンゴンとアレゼルはフェアノールの子供こどもたちなかかった。 また、めいガラドリエルことっていたふしり、彼女かのじょうつくしさを絶賛ぜっさんしていた。シルマリルのアイディアともなった彼女かのじょふたつののごとくきんぎんこうじったうつくしいかみしがってことわられたことった。

職人しょくにんフェアノール

編集へんしゅう

フェアノールのその知性ちせい博識はくしきわざは、ヴァリノールにおいても比類ひるいなきものであった。かれはルーミル発明はつめいした文字もじサラティ」を改良かいりょうした。かれが改良かいりょうした文字もじは、「フェアノール文字もじ(テングワール)」としてられるようになり、すべてのエルダールもちいるところとなった。かれは大地だいち宝石ほうせきよりもうつくしい宝玉ほうぎょく数多かずおおくつくり、そのなかにははるとおくにあるものをはっきりといしもあった。これはおそらくパランティーアのことであろう。しかしかれの最大さいだい仕事しごとさんシルマリル創造そうぞうであった。この宝玉ほうぎょくにはふたつのひかりふうまれ、不滅ふめつかがやきをはなった。ヴァルダはこの宝玉ほうぎょくきよめ、有限ゆうげんいのちもの、あるいは悪意あくいものがシルマリルにれれば、かならずそのかれることとした。

フェアノールはネアダネルと結婚けっこんした。ネアダネルはアウレにもっともあいされた鍛冶たんやマハタンむすめであった。フェアノールはマハタンから金属きんぞくいし加工かこうするわざまなんだ。フェアノールとネアダネルのあいだにはななにん息子むすこ、マイズロス、マグロール、ケレゴルム、カランシア、クルフィン、アムロド、アムラスがまれた。

ノルドールの叛乱はんらん

編集へんしゅう

フェアノールの名声めいせいたかまり、かれの異腹いふくおとうとたちも成人せいじんしたころ、メルコールは幽閉ゆうへいかれた。メルコールはかれの復讐ふくしゅうねんかくし、へりくだって謝罪しゃざいし、協力きょうりょくもうた。そのためマンウェはかれをゆるした。メルコールはヴァラールにもエルダールにもよき助言じょげんあたえ、ますます信頼しんらいされた。

たぶらかされたノルドール

編集へんしゅう

メルコールはエルダールをにくみ、かれらをヴァラールからはなそうとかんがえた。ヴァンヤールはメルコールを信頼しんらいせず、テレリについてはメルコールは興味きょうみをもたなかった。しかしノルドールはメルコールのかす知識ちしきをよろこび、そのためメルコールの虚言きょげんにたぶらかされた。このためノルドールのヴァラールにたいする尊敬そんけいねんうすれ、アマンのよりもなかくに希望きぼうつようになった。

フェアノールの追放ついほう

編集へんしゅう

フェアノールがシルマリルをつくすと、メルコールはこれをほっし、フェアノールをにくんだ。そこでかれは虚言きょげんをもちい、フェアノールにはヴァラールとおとうとフィンゴルフィンへの不信ふしんを、フィンゴルフィンにはあにへの不信ふしんけた。このためにん兄弟きょうだいいちとうは、おたがいに武器ぶきかくった。フェアノールがヴァラールのもとをって、ちゅうくにへとかえることをついに公言こうげんすると、ノルドールは騒然そうぜんとし、フィンウェは会議かいぎつこととした。会議かいぎでフェアノールとフィンゴルフィンはおたがいをメルコールの虚言きょげんをもとに告発こくはつし、フェアノールはおとうとけんきつけた。このためヴァラールはフェアノールをティリオンのから12年間ねんかん追放ついほうすることをめた。フェアノールは息子むすこたちとともにフォルメノスをきずいてうつんだ。フィンウェはフェアノールをふかあいしていたため、かれのもとうつみ、みずからをはいおうなした。ノルドールはフィンゴルフィンに統治とうちされることとなり、このことからフェアノールの自分じぶんいちとう以外いがいのエルダールへのあいげんじ、ヴァラールへの不信ふしんふかまっていった。一方いっぽうメルコールの悪意あくいもヴァラールにられることとなり、メルコールは姿すがたした。トゥルカスがこれをったがいださなかった。のちにメルコールはフォルメノスにあらわれ、フェアノールになかくにへの帰還きかんすすめ、助力じょりょくもうた。しかしフェアノールはメルコールのシルマリルへの渇望かつぼう見抜みぬき、メルコールのかおまえとびらじ、メルコールは激怒げきどしてった。

ノルドールの帰還きかん

編集へんしゅう

祝祭しゅくさいひらかれ、すべてのものがマンウェのみやまねかれた。ヴァンヤールとノルドールはたが、テレリはぶし祝祭しゅくさい興味きょうみをもたず、なかった。フォルメノスのフェアノールのいちとうなかったが、フェアノールだけはた。フィンゴルフィンとの不和ふわ修復しゅうふくするため、マンウェが出席しゅっせきめいじたためである。フィンゴルフィンはフェアノールにおとうととしてしたがうことをやくし、フェアノールはしぶしぶと和解わかいした。

ぬすまれたシルマリル

編集へんしゅう

このときメルコールは、蜘蛛くものような生物せいぶつウンゴリアントとともにほんへとしのり、これをほろぼした。ほんひかりえ、ヴァリノールに暗闇くらやみおとずれた。ヤヴァンナは、いまやほんひかりはシルマリルのなかにのみのこったことり、シルマリルをひらくことでほんはよみがえるとげた。マンウェはほん復活ふっかつさせるため、フェアノールにそれらをすようにたのんだが、フェアノールは自分じぶん意志いしではシルマリルをわたさないとってこれをこばんだ。 またこのときフォルメノスからの使つかいがて、メルコールがフィンウェをころし、シルマリルをうばったとげた。フェアノールはメルコールを"モルゴス"(くろてき)とづけ、ちちもとへとった。このときからメルコールはつねにモルゴスとしてかたられるようになる。

フェアノールの誓言せいげん

編集へんしゅう

ティリオンへともどったノルドールのまえに、フェアノールは姿すがたをあらわした。いまやノルドールのおうとなったフェアノールは、モルゴスへのいかりとノルドールのほこりにちた、情熱じょうねつてき演説えんぜつおこなった。かれは、モルゴスをののしったが、無意識むいしきのうちにモルゴスの虚言きょげんにあやつられ、モルゴスの悪行あくぎょう責任せきにんをもヴァラールにわせてこれをせめた。かれは、だい多数たすうのノルドールのみんにヴァラールがかれらを見捨みすてたこと、ノルドールぞくはかれにしたがってなかくにわたりモルゴスとたたかわねばならないということを確信かくしんさせた。そしてフェアノールとかれのななにん息子むすこ全員ぜんいんは、イルーヴァタールでさえせないおそろしき誓言せいげんをたてた。かれらは善悪ぜんあく大小だいしょうわず何者なにものであろうとシルマリルを保有ほゆうするものがいれば、これにたいしてたたかうことを誓約せいやくした。これは、"フェアノールの誓言せいげん"としてられるようになり、のちにかれら自身じしんとベレリアンドのすべてのエルフに悲劇ひげきをもたらすことになる。

エルフによる同族どうぞく殺害さつがい

編集へんしゅう

ノルドールのほとんどが出発しゅっぱつすることにめたが、そのだい部分ぶぶんはフェアノールよりもフィンゴルフィンにしたがったため、軍勢ぐんぜいおおきくふたつにかれた。 なかくにへとわた方法ほうほうもとめたフェアノールは、アルクウァロンデのテレリたちをまえ演説えんぜつし、かれらのふね使つかわせるよう要求ようきゅうした。テレリのおうオルウェはこれを拒否きょひした。フェアノールはちからずくでふねうばろうとしたがたせず、ノルドールはけんき、双方そうほうおおくの死者ししゃた。フェアノールひきいる前衛ぜんえいくわえ、フィンゴン軍勢ぐんぜいたたかいに参加さんかすると、ついにテレリはかされ、かれらのふねうばわれた。

オルウェはうみマイアであるオッセたすけをもとめたが、かれはなかった。ヴァラールはかれがノルドールの帰還きかんさまたげることを、きんじたためである。しかしフェアノールの船団せんだんはオッセのつまウイネンいかりをけ、おおくのふね船乗ふなのりをうしなった。

ヴァラールのげん

編集へんしゅう

ヴァリノールの北辺ほくへんにたどりいたかれらに、マンドスはなかくにでかれらをっている過酷かこく運命うんめい予告よこくした。しかしフェアノールはノルドールをりたててすすんでいった。これをいたフィナルフィンは進軍しんぐんをやめ、ヴァリノールへかえした。フィナルフィンの子供こどもたちはフィンゴルフィンの息子むすこたちへの友情ゆうじょうのためさきすすんだ。

ヘルカラクセでの裏切うらぎ

編集へんしゅう

ヘルカラクセはつめたいきりなみ濤におおわれ、ながれるみず氷山ひょうざんきしみあう海峡かいきょうだった。フェアノールはヘルカラクセをわたることは出来できないとかんがえたが、すべてのノルドールをせてうみわたるにはふねりなかった。そこでフェアノールとかれに忠実ちゅうじつものたちはすべてのふねうばって船出ふなでした。かれらはフィンゴルフィンの軍勢ぐんぜいをヘルカラクセのこうにりにして、自分じぶんたちだけは損害そんがいをださずになかくにへと上陸じょうりくした。フェアノールの息子むすこマイズロスが、どのふねでフィンゴルフィンの軍勢ぐんぜいむかえにくのかたずねると、フェアノールはふねやすようにめいじた。フィンゴルフィンにしたがうものたちがいまではヴァリノールをはなれたことをい、フェアノールをののしっていたことをかれはっていたためである。ベレリアンドの北西ほくせい、ロスガールでえさかるほのおよるめ、フィンゴルフィンの軍勢ぐんぜい裏切うらぎりをった。しかしフィンゴルフィンの軍勢ぐんぜいおおくの犠牲ぎせいしながらヘルカラクセをわたりきり、フェアノールのいちとうへの愛情あいじょうはなくなった。

フェアノールの

編集へんしゅう

ロスガールでやされたほのおはモルゴスの注意ちゅういいた。ミスリム北岸ほくがん野営やえいしたフェアノールの軍勢ぐんぜいを、ただちにモルゴスの軍勢ぐんぜいおそった。ここでダゴール・ヌイン・ギリアス(ほし々のした合戦かっせん)がおこなわれた。たちまちエルフたちは勝利しょうりし、フェアノールは敗走はいそうするオークはるひがしのアルド=ガレンまでった。このときファラスを包囲ほういしていたモルゴスぐん援軍えんぐんとして北上ほくじょうしてきたが、フェアノールの息子むすこケレゴルムがこれをせしてほろぼした。勝利しょうり赫々かくかくたるものだったが、フェアノールはモルゴスへのいかりにかられて満足まんぞくしなかった。かれはさきいそぐあまりかれのいちとうりにし、がつくとただ一人ひとりになっていた。これにづいたオークはかえし、さらにバルログたちが援軍えんぐんとしてアングバンドからおくされた。かれはながいあいだ奮闘ふんとうしたが、ついにバルログたちの首領しゅりょうゴスモグにたおされた。そのときフェアノールの息子むすこたちがけつけ、バルログたちはった。ミスリムへの帰路きろみずからのさとったフェアノールはサンゴロドリムの要塞ようさいた。突如とつじょ予見よけんちからたフェアノールは、ノルドールのちからではモルゴスをたおすことが出来できないことをるが、息子むすこたちには誓言せいげんまもるようにった。フェアノールがぬとかれの肉体にくたいえてった。そののとおり、かれ霊魂れいこんあつえさかり、かれの遺骸いがいくしたのである。

フェアノールの息子むすこたちの

編集へんしゅう

フェアノールの息子むすこたちもまた、誓言せいげんにしばられて非業ひごうげた。アムラスはちち放火ほうかめいじたふねなかまり、4にん同族どうぞくとのあらそいで、マイズロスはげた。マグロールは行方ゆくえれずになった。フェアノールのただ一人ひとりまごケレブリンボールは、その鍛冶たんやうでのためサウロンの注目ちゅうもくするところとなり、ころされた。かれ誓言せいげんによるものではないが、才能さいのうあるフェアノールのまごゆえのといえる。

フェアノールの系図けいず

編集へんしゅう
 
 
 
 
 
 
 
フィンウェ
 
ミーリエル
 
マハタン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
フェアノール
 
 
 
ネアダネル
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
マイズロス
 
マグロール
 
ケレゴルム
 
カランシア
 
クルフィン
 
アムロド
 
アムラス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ケレブリンボール