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クウェンヤ - Wikipedia

クウェンヤQuenya)は、J・R・R・トールキンなかくに舞台ぶたいとした作品さくひんなかで、エルフがはな言語げんごひとつである。共通きょうつうエルダールばれる初期しょき言語げんごから、ヴァリノールたっしたエルフ(かれらは、しばしば「うえのエルフ」とばれる)のあいだ発展はってんした言語げんごである。エルフのさん王家おうけのうち、ノルドールおよびヴァンヤールは、多少たしょう差異さいはあるものの相互そうご理解りかいできるクウェンヤの方言ほうげんはなした。この言語げんごヴァラール採用さいようし、かれら固有こゆう言語げんごからいくらかのあたらしい要素ようそ導入どうにゅうした。だいさん王家おうけたるテレリことなっているが密接みっせつ関連かんれんづけられた言語げんごであるテレリ使つかった。

クウェンヤ
創案そうあんしゃ J・R・R・トールキン
設定せってい使用しよう アルダファンタジー世界せかい
話者わしゃすう 不明ふめいうえのエルフあいだ使つかわれた。
目的もくてきによる分類ぶんるい
表記ひょうき体系たいけい テングワールキアス
参考さんこう言語げんごによる分類ぶんるい フィンランドラテン語らてんごギリシア参考さんこうにしたとおもわれる。
言語げんごコード
ISO 639-2 art
ISO 639-3 qya
クウェンヤのテキスト、テングワールラテン文字もじによる表記ひょうき
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概要がいよう

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クウェンヤのもっといちじるしい特徴とくちょう高度こうど膠着こうちゃくであるということで、単語たんご文法ぶんぽうてき機能きのうしめすために(通常つうじょう接尾せつびによって)規則きそく変化へんかする。たとえば、英語えいごひとつのぶん全体ぜんたいおな意味いみひとつのクウェンヤ単語たんごというのはありふれたことである。「かれらはそれをたことがある」をクウェンヤではひとつの単語たんご(すなわちEcénientes)でうことができる。

フィクションの外部がいぶ観点かんてんとしては、おなじく膠着こうちゃくであるフィンランド影響えいきょうけている。音韻おんいんろんも、フィンランドに、またそれよりすくないがイタリアやスペインをもとにしている。すなわち、連続れんぞくする子音しいん音節おんせつ最初さいしょ最後さいごくことができない(ひとつの例外れいがいそうすう与格よかく語尾ごび―nt)。もうひとつの規則きそくは、単語たんごしたいただきおんわらないということである。

トールキンは生前せいぜん公表こうひょうしたよりおおくのクウェンヤおよびかれのほか言語げんごかんする資料しりょういていた。Vinyar Tengwar および Parma Eldalamberon はトールキンの言語げんご書類しょるい編集へんしゅうおよび公表こうひょう献身けんしんしている。 初期しょきのトールキンの著述ちょじゅつ(『なかくに歴史れきしThe History of Middle-earth参照さんしょう)では、この言語げんごQenyaばれていて、『指輪ゆびわ物語ものがたり』および『シルマリルの物語ものがたり』でられる形式けいしきになるまえに、文法ぶんぽうおよび語彙ごい両方りょうほう無数むすう修正しゅうせいをへた。

クウェンヤはSFとファンタジーの作家さっかによって導入どうにゅうされた多数たすう人工じんこう言語げんごのうちのひとつで、れいにはクリンゴンニュースピーク新語しんごほう、『1984ねん』)、ナッドサット(『時計とけいじかけのオレンジ』)およびLapine(うさぎ、『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』)がある。

なかくにでの使用しよう禁止きんし

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ヴァリノール暗闇くらやみおとずれたのちなかくに帰還きかんしたノルドールは、おたがいのあいだでクウェンヤを使つかった。しかしながら、ドリアスシンダールおうシンゴルは、ノルドールによるテレリの殺害さつがいについてると、かれの国民こくみんとノルドールにたいしクウェンヤの使用しよう禁止きんしし、シンダールのみで意思いしつたうようにいた。このためノルドールもシンダール日常にちじょう言葉ことばとし、クウェンヤはノルドールの公子こうしたちのあいだのみはなされた。しかし伝承でんしょう言葉ことばとしてはすたれることはなかった。

だい三紀みき

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なかくにだい三紀みき(『指輪ゆびわ物語ものがたり』の時代じだい)には、クウェンヤは公式こうしき名前なまえ著作ちょさくにだけ使つかわれるようになっていた。人間にんげんやエルフはおも西方せいほうシンダール日常にちじょうとして使用しようし、クウェンヤは儀礼ぎれい挨拶あいさつ使つかわれる高尚こうしょう教養きょうよう言語げんごとしてあつかわれていた。クウェンヤはいわばちゅうくにラテン語らてんごえる。エルフの共通きょうつうであるシンダール公式こうしき言語げんごとして言葉ことばとしても使用しようされると想定そうていされており、またすべてのエルフが常用じょうようはな言葉ことばとしていた。しかしながら、ノルドールは依然いぜんとしてクウェンヤを価値かちあるものとしてあつかっており、フロドの挨拶あいさつ elen síla lúmenn' omentielvo(「エレン シラ ルメン オメンティエルボ われらのあい出会であときひとぼしかがやく」『たび仲間なかま上巻じょうかんだい3しょう)にたいする態度たいどからそれをることができる。言語げんご流謫るたく発展はってんつづけ、伝承でんしょう言語げんごとしての調整ちょうせいおこなったので、流謫るたくのノルドールのクウェンヤは多少たしょうヴァリノールのクウェンヤとことなっていた。発音はつおんにもいくらかの変更へんこうがあった。

音韻おんいんろん

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クウェンヤは音声おんせいおなじようにながさで弁別べんべつされる10の基本きほん母音ぼいんつ。

  • a : [a]
  • á : [ɑː]
  • e : [ɛ]
  • é : [eː]
  • i : [i]
  • í : [iː]
  • o : [ɔ]
  • ó : [oː]
  • u : [u]
  • ú : [uː]

子音しいんのほとんどは、とく以下いかのものにかんして相当そうとう確実かくじつである。

  • h : ときどき [x]
  • qu : [kʷ]
  • nw : [nʷ]
  • ng : [ŋ]
  • ngw : [ŋʷ]
  • hy : [ç]
  • hw : [ʍ]
  • ty : [c]
  • ly : [ʎ]
  • ny : [ɲ]

クウェンヤ数字すうじは、じゅう二進法にしんほう採用さいようしており、数列すうれつみぎからひだりすすむのが特徴とくちょうである。通常つうじょうひだりおおきいけたで「ひゃくよんじゅうよんくらいじゅうくらいいち」のじゅんすすむのにたいして、クウェンヤ数字すうじひだりちいさいけたで「いちくらいじゅうくらいひゃくよんじゅうよん」のじゅんすすむ。

クウェンヤ数字すうじれいからじゅうまで)
じゅうしん英数字えいすうじ じゅうしん英数字えいすうじ クウェンヤ数字すうじ クウェンヤ数詞すうし
0 0 ð -
1 1 ñ min
2 2 ò atta
3 3 ó neldë
4 4 ô canta
5 5 õ lempë
6 6 ö enquë
7 7 ÷ otso
8 8 ø toldo
9 9 ù nertë
10 A ú quain
11 B û minquë
12 10 ðñ rasta
クウェンヤ数字すうじじゅうさんからじゅうよんまで)
じゅうしん英数字えいすうじ じゅうしん英数字えいすうじ クウェンヤ数字すうじ クウェンヤ数詞すうし
13 11 ññ min rasta
14 12 òñ atta rasta
15 13 óñ neldë rasta
16 14 ôñ canta rasta
17 15 õñ lempë rasta
18 16 öñ enquë rasta
19 17 ֖ otso rasta
20 18 øñ toldo rasta
21 19 ùñ nertë rasta
22 1A úñ quain rasta
23 1B ûñ minquë rasta
24 20 ðò yurasta
クウェンヤ数字すうじひゃくさんじゅうまでのじゅう倍数ばいすう
じゅうしん英数字えいすうじ じゅうしん英数字えいすうじ クウェンヤ数字すうじ クウェンヤ数詞すうし
12 10 ðñ rasta
24 20 ðò yurasta
36 30 ðó nelerasta
48 40 ðô canarasta
60 50 ðõ leperasta
72 60 ðö enerasta
84 70 ð÷ otorasta
96 80 ðø tolorasta
108 90 ðù neterasta
120 A0 ðú quairasta
132 B0 ðû minquairasta
クウェンヤ数字すうじじゅうべきすう
じゅうしん英数字えいすうじ じゅうしん英数字えいすうじ クウェンヤ数字すうじ クウェンヤ数詞すうし
12 10 ðñ rasta
144 100 ððñ tuxa
1728 1000 ðððñ mencë
20736 10000 ððððñ rastamencë
クウェンヤ数字すうじ表記ひょうきれい
じゅうしん英数字えいすうじ じゅうしん英数字えいすうじ クウェンヤ数字すうじ クウェンヤ数詞すうし
50 42 òô atta canarasta
90 76 ö÷ enquë otorasta
333 239 ùóò nertë nelerasta yutuxa
1080 760 ðö÷ enerasta ototuxa
8848 5154 ôõñõ canta leperasta tuxa lepemmencë

参考さんこう文献ぶんけん

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  • J・R・R・トールキン; Ruth S. Noel (1980ねん). " The Languages of Tolkien's Middle-earth ". Mariner Books. ISBN 978-0395291306 

外部がいぶリンク

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