(Translated by https://www.hiragana.jp/)
プラグアンドプレイ - Wikipedia

プラグアンドプレイ (Plug and Play, PnP) は、パーソナルコンピュータ(パソコン)に周辺しゅうへん機器きき拡張かくちょうカードひとし接続せつぞくしたさいハードウェアファームウェアドライバオペレーティングシステム、およびアプリケーションあいだ自動的じどうてき協調きょうちょうし、機器ききみと設定せってい自動的じどうてきおこな仕組しくみのことである。パソコンのユーザビリティ(使つか勝手がって向上こうじょうさせる技術ぎじゅつの1つ。ドライバの自動じどうインストール機能きのう ともばれる。

つないだら (plug)、ユーザがなに特別とくべつなことをしなくても実行じっこう (play) できる、という意味いみである。1995ねん登場とうじょうしたWindows 95主要しゅよう機能きのうの1つとして紹介しょうかいされ、この言葉ことば定着ていちゃくした。なお、これにるいする概念がいねん機能きのうをもつパソコンは、1980年代ねんだいにもいくつかの環境かんきょう存在そんざいしていた。

概要がいよう

編集へんしゅう

初期しょきコンピュータでは、周辺しゅうへん機器きき接続せつぞくしてもすぐには使つかえず、機器ききうごかすための設定せっていをユーザ自身じしんおこなわなければならないことがおおかった。これは、たとえばプリンター印字いんじ濃度のうど調整ちょうせいといった具象ぐしょうてきでユーザにちか理解りかいしやすい水準すいじゅんのものではなく、I/Oポート設定せっていといった、よりハードウェアにちかてい水準すいじゅんのものだった。これらの設定せっていにはハードウェアやオペレーティングシステムにかんする知識ちしきがある程度ていど必要ひつようになるため、コンピュータにくわしくないユーザにとっては使つか勝手がって悪化あっかさせる一因いちいんになっていた。

プラグアンドプレイは、周辺しゅうへん機器ききとう拡張かくちょうカードとうをパソコンに接続せつぞくしたさいに、ハードウェアやオペレーティングシステムが自動的じどうてき機器きき認識にんしきしてリソースてやデバイスドライバ導入どうにゅうなどの作業さぎょうおこない、ユーザがなにもしなくても機器きき使つかえるようにする仕組しくみをす。

しかし、この概念がいねん実装じっそうしたごく初期しょき環境かんきょうでは想定そうていがい動作どうさがみられることもままあり、大抵たいていはユーザーののぞまない結果けっかをもたらした。そのため、Plug and Pray(つなぎ、そしていのれ)と揶揄やゆされることもあった。

プラグアンドプレイとは、Windows 3.1つぎ世代せだいのオペレーティングシステムとなるWindows 95の主要しゅよう機能きのうの1つとして登場とうじょうした概念がいねん規格きかく用語ようごである。

しかし、おおくのパソコンやパーツのメーカーがひしめくPC/AT互換ごかん市場いちばでは各社かくしゃ足並あしなみをそろえること容易よういではなく、登場とうじょうからしばらくのあいだ混乱こんらんつづいた。Windows 95時代じだいのパソコンは、周辺しゅうへん機器きき接続せつぞくするコネクタUSBIEEE 1394ではなく、AT/PS/2ポートやシリアルポートパラレルポートひとしレガシーデバイス使用しようしていた。 また、パソコンによってはプラグアンドプレイに対応たいおうしないふる規格きかくのハードウェアをもちいているものもあり、それらがシステムに混在こんざいすることでプラグ・アンド・プレイがうまく動作どうさしないケースもあった。

その周辺しゅうへん機器きき拡張かくちょうカードを接続せつぞくするインタフェース世代せだい交代こうたいや、オペレーティングシステムの改良かいりょうすすんだことで、Windows 98 SEWindows 2000登場とうじょうするころには、このたね問題もんだい改善かいぜんされた。

Linuxでは、本来ほんらい用途ようとかならずしもエンドユーザけのデスクトップ環境かんきょう第一義だいいちぎとはしていないめんや、安定あんていしたレガシーデバイスやデファクトスタンダードかためたハードウェア構成こうせい指向しこうする傾向けいこうつよかったことなどから、多彩たさい周辺しゅうへん機器きき柔軟じゅうなん対応たいおうしなければならないエンドユーザけの分野ぶんやではおおきくおくれをとっていた。しかし2000年代ねんだいはいると、KNOPPIXなどハードウェアの認識にんしき機能きのう改良かいりょうすすめたディストリビューション出現しゅつげんしてきている。

プラグ・アンド・プレイ前史ぜんし

編集へんしゅう

本来ほんらいのプラグ・アンド・プレイという規格きかく用語ようごPC/AT互換ごかんとWindowsによるものである。しかし、これらの概念がいねん実装じっそう一朝一夕いっちょういっせきにして成立せいりつ普及ふきゅうしたわけではない。30ねんにおよぶパーソナルコンピュータの歴史れきしなかには、その前史ぜんしともえるいくつかの環境かんきょう実装じっそう点在てんざいする。

Apple IIによる実装じっそう

編集へんしゅう

プラグ・アンド・プレイのルーツてき存在そんざいえるものとして、1970年代ねんだいまつ登場とうじょうしたAppleApple IIげることができる。

Apple IIにも、原始げんしてきなプラグ・アンド・プレイに仕組しくみが整備せいびされていた。Apple IIの拡張かくちょうカードには、最大さいだい256バイトまたは2048バイトの原始げんしてき基本きほん制御せいぎょプログラムをんだROMを搭載とうさいでき、カードがまれたスロットをプログラム(BASICのプロンプト)から PR#n (出力しゅつりょく)、IN#n (入力にゅうりょく) と指定していするだけで使つかえるようになっていた。Apple IIのカードスロットには当時とうじ主流しゅりゅうのS100バスとはことなり、ハードウェアがどのスロットに装着そうちゃくされているかをソフトウェアてき識別しきべつできる仕組しくみがあり、おなじカードを複数ふくすうしてもそれぞれのカードを識別しきべつできるシステムになっていた。また一部いちぶのカードでは小規模しょうきぼなアプリケーションソフトまでまれており、特定とくていキーを押下おうかすることで起動きどうするものもあった。

当時とうじはプラグ・アンド・プレイというかたり存在そんざいしておらず、これによって実現じつげんされる環境かんきょうも、現在げんざいのものとは程遠ほどとおい、原始げんしてき代物しろものである。しかし、当時とうじ貧弱ひんじゃく環境かんきょうではこれでも十分じゅうぶん、かつ先進せんしんてきなシステムとえた。

MSXによる実装じっそう

編集へんしゅう

1980年代ねんだいなかばに登場とうじょうした8ビットパソコンMSXでは、本体ほんたいに「拡張かくちょうスロット」を用意よういしていた。これは、ゲームなどのソフトウェア供給きょうきゅう媒体ばいたいとしてのROMカセットのみスロットと、ハードウェアの拡張かくちょう増設ぞうせつようバス、メモリソケットなどの役割やくわりひとつにまとめたものである。

MSXではこのスロットを利用りようし、カートリッジをたんにソフトウェア供給きょうきゅう媒体ばいたいとして利用りようするのみならず、ハードウェアの標準ひょうじゅんてき拡張かくちょう増設ぞうせつ手段しゅだんとしてもちいた。ハードウェアの拡張かくちょうおこなうカートリッジには、現在げんざいのシステム環境かんきょうでのデバイスドライバに相当そうとうするBIOSや、アプリケーションなどのソフトウェアを搭載とうさいしたROMを内蔵ないぞうしていた。このROMの容量ようりょうは1ページ16KBからで、必要ひつようおうじて複数ふくすうページにわたって搭載とうさいすることも可能かのうで、デバイスドライバやBIOSのみならず、当時とうじとしてはだい規模きぼ[独自どくじ研究けんきゅう?]アプリケーションまで供給きょうきゅうできた。

MSXのシステムは起動きどうにすべてのスロットのROMをいちずつし、初期しょき機会きかいあたえた。このとき各々おのおの機器ききのROMはシステムの任意にんいのフックをえるなどし、デバイスドライバとしての自身じしんのROMをさせるようにした。現在げんざいえば、ドライバのインストールをPC起動きどう毎回まいかいおこな状況じょうきょうちかいとえる。ゲームソフトなどの単純たんじゅんなアプリケーションは、この初回しょかいしの機会きかいからそのまま制御せいぎょかえさないことで実現じつげんする。

この特異とくいなスロットの仕様しよう活用かつようしたれいとして、プリンタようインターフェイスに漢字かんじROMとかな漢字かんじ変換へんかんIMとワードプロセッサを内蔵ないぞうしたカートリッジ[1]や、増設ぞうせつRAMとオペレーティングシステム(DOS)[2]やグラフィカルユーザー環境かんきょう搭載とうさいしたカートリッジ(HALNOTE)などもある

Macintosh による実装じっそう

編集へんしゅう

Apple IIの後継こうけいたる Macintoshは、当初とうしょ拡張かくちょうスロット相当そうとうする機能きのうたず、1987ねんのMacintosh IIシリーズから拡張かくちょうスロットとしてNuBus採用さいようされた。それまでのおおくの拡張かくちょうスロットマイクロプロセッサからの信号しんごう分岐ぶんきするような、ハードウェア構成こうせい直結ちょっけつした実装じっそうだったのにたいし、 NuBus は適切てきせつデバイスドライバ用意よういされればプロセッサに依存いぞんしない汎用はんようてき実装じっそう規格きかくである。また、スロットごとにリソースを調停ちょうていする機能きのうち、現在げんざいPCIバスとほぼわらないプラグアンドプレイ機能きのう実現じつげんしていた。 のちに 1995ねん発表はっぴょうされたPower Macintoshシリーズでは、より高速こうそく汎用はんようせいたかPCIバス採用さいようされた。

実例じつれい

編集へんしゅう

プラグアンドプレイが標準ひょうじゅんてき実現じつげんされているインタフェース規格きかくには、以下いかのようなものがある。

これらにさきんじて、はん自動的じどうてきなプラグアンドプレイを実現じつげんしていたインタフェース規格きかくには、以下いかのものがある。

また、以下いかのレガシーなインタフェース規格きかくにも、こうけでプラグアンドプレイが実現じつげんされた。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ CASIO MW-24(MSXマガジン1987ねん1がつごう広告こうこく
  2. ^ 日本語にほんごMSX-DOS2(RAM内蔵ないぞうばん) (MSXマガジン1988ねん8がつごう広告こうこく)。MSX-DOS2は必要ひつようRAM128K以上いじょうだったため、64KのマシンようにRAMを内蔵ないぞうしたはん別途べっと販売はんばいされた。

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう