プレイグニッション

火花ひばな点火てんか内燃ないねん機関きかんにおける過か早着そうちゃく火ひ（かそうちゃっか）またはプレイグニッション（英えい: Pre-ignition, preignition）は、エンジンのノッキングとは厳密げんみつに言いえば異ことなる現象げんしょうであり、火花ひばなプラグが点火てんかする前まえにシリンダー内うちの空気くうきと燃料ねんりょうの混合こんごう気きが着火ちゃっかする現象げんしょうを指さす。

火花ひばな点火てんかエンジンのシリンダ内ないの正常せいじょう燃焼ねんしょうは、火炎かえんが熱ねつ伝達でんたつあるいは拡散かくさんにより、順次じゅんじ隣となりの分子ぶんしへ伝つたわる。すなわち温度おんど波はにより伝播でんぱする場合ばあいで、火炎かえんが毎秒まいびょう数かずmないし数すう十じゅうmの速度そくどで伝播でんぱして、全部ぜんぶの混合こんごう気きが燃焼ねんしょうする。しかし正常せいじょうな火炎かえん伝播でんぱが終おわる前まえに末端まったんの混合こんごう気きが圧縮あっしゅく点火てんかすることがあり、これがノッキングである。また燃焼ねんしょう室しつの一部いちぶが高温こうおんとなり、この部分ぶぶんで混合こんごう気きが加熱かねつされて自然しぜん発火はっかすれば表面ひょうめん点てんとなり、その点火てんかの時期じきが火花ひばなの点火てんか時期じきより早はやければ過か早はや点火てんかとなることをプレイグニションという。プレイグニションの原因げんいんは、主しゅとして点火てんかプラグ中心ちゅうしん電極でんきょくの子こ部ぶであり、点火てんかプラグの熱ねつ価かが低ひくすぎたり、点火てんか時期じきが進すすみ過すぎていると中高なかだか速そくの高こう負荷ふかで発生はっせいしやすい。プレイグニションは点火てんか時期じきを過度かどに進すすめたと同おなじ状態じょうたいとなり、発生はっせいシリンダでは出力しゅつりょくが激減げきげんしたり逆転ぎゃくてん力りょくが働はたらく場合ばあいもあるため、トルク変動へんどうや出力しゅつりょくの低下ていかを招まねく。さらに燃焼ねんしょう室しつ各部かくぶの熱ねつ負荷ふかも急増きゅうぞうするため、ピストンの焼やき付つきやプラグ電極でんきょくの溶損などを引ひき起おこす。このような高速こうそく高だか負荷ふかにおけるプレイグニションは、適正てきせいな点火てんか時期じきで点火てんかプラグの熱ねつ価かを選択せんたくすることにより発生はっせいを防ふせぐことができる。