ベトナムから遠とおく離はなれて

ベトナムから遠とおく離はなれて
	Loin du Vietnam
監督かんとく	アラン・レネ; ウィリアム・クライン; ヨリス・イヴェンス; アニエス・ヴァルダ; クロード・ルルーシュ; ジャン＝リュック・ゴダール
脚本きゃくほん	クリス・マルケル; ジャン＝リュック・ゴダールほか
製作せいさく	クリス・マルケル
出演しゅつえん者しゃ	ジャン＝リュック・ゴダール; フィデル・カストロ; ホー・チ・ミン
音楽おんがく	ミシェル・ファーノほか
撮影さつえい	ギスラン・クロケ; ウィリー・クラントほか
編集へんしゅう	クリス・マルケル
配給はいきゅう	ATG
公開こうかい	1967年ねん10月1日にち NY映画えいが祭さい; 1967年ねん10月18日にち; 1968年ねん4月がつ6日にち
上映じょうえい時間じかん	117分ふん
製作せいさく国こく	フランス
言語げんご	フランス語ふらんすご
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『ベトナムから遠とおく離はなれて』（ベトナムからとおくはなれて、仏語ふつご: Loin du Vietnam）は、映画えいが監督かんとくのクリス・マルケル製作せいさくによる、1967年ねん製作せいさくのフランスのオムニバスドキュメンタリー映画えいがである。参加さんか監督かんとくはオランダの映画えいが監督かんとくヨリス・イヴェンス、フランスのアラン・レネ、アニエス・ヴァルダ、クロード・ルルーシュ、ジャン＝リュック・ゴダール、アメリカのウィリアム・クライン。

略歴りゃくれき・概要がいよう

概要がいよう

1965年ねん2月がつにアメリカによる北きたベトナムへの空爆くうばく、いわゆる「北きた爆ばく」の開始かいし、それに対たいする同年どうねん3月26日にちのアリス・ハーズ、11月2日にちのノーマン・モリソンらによる米国べいこく内ないでの抗議こうぎの焼身しょうしん自殺じさつや、わきあがる反戦はんせん運動うんどうを背景はいけいに、クリス・マルケルが、1966年ねん、ジャン＝リュック・ゴダール、ヨリス・イヴェンス、アラン・レネ、クロード・ルルーシュ、アニエス・ヴァルダ、ウィリアム・クラインに呼よびかけて、南みなみベトナム民族みんぞく解放かいほう戦線せんせんへの連帯れんたいを表明ひょうめいする映画えいがを企画きかくし、1967年ねん春はるまでの現在進行形げんざいしんこうけいの状況じょうきょうを織おり込こんだオムニバス映画えいがとなった。それが本ほん作さく『ベトナムから遠とおく離はなれて』、クリス・マルケルの製作せいさく会社かいしゃ「SLON（Société de Lancement des Œuvres Nouvelles）」の設立せつりつ第だい一いち作さくである。

準備じゅんびを始はじめるや、協力きょうりょく者しゃは多おおく、小説しょうせつ家かのジャック・ステルンベール、『ホー・チ・ミン』を書かいたジャーナリストジャン・ラクチュール、米べい軍ぐん従軍じゅうぐん記者きしゃミシェル・レイ、人類じんるい学者がくしゃで映画えいが監督かんとくのジャン・ルーシュと社会しゃかい学者がくしゃエドガール・モランの共同きょうどう監督かんとく作さく『ある夏なつの記録きろく』に主演しゅえんしたイヴェンスの妻つまマルセリーヌ・ロリダン＝イヴェンス、フランスにおけるチェ・ゲバラの著作ちょさくの翻訳ほんやく者しゃであるフランソワ・マスペロらが、この映画えいがに豊ゆたかなスクリプト（テクスト）を与あたえた。

撮影さつえい監督かんとくも同様どうよう、『ポリー・マグーお前まえは誰だれだ』（1966年ねん）を撮とったばかりのジャン・ボフティがひきつづきクライン部分ぶぶんを担当たんとう、ジャック・ドゥミ監督かんとくの『ロシュフォールの恋人こいびとたち』（1966年ねん）を撮とったばかりのギスラン・クロケ、ゴダール監督かんとくの『男性だんせい・女性じょせい』のウィリー・クラント、ジャック・リヴェット監督かんとくの『修道しゅうどう女おんな』（1966年ねん）を撮とったアラン・ルヴァン、マルケル監督かんとくの『美うつくしき五ご月がつ』（1963年ねん）を撮とったドニ・クレルヴァルらが参加さんかする。

編集へんしゅうもレネ監督かんとくの『戦争せんそうは終おわった』（1966年ねん）の編集へんしゅうを終おえたエリック・プリュー、マルケル監督かんとくの『ラ・ジュテ』（1963年ねん）やルーシュ＝モランの『ある夏なつの記録きろく』のジャン・ラヴェル、イヴェンス監督かんとくの『北緯ほくい17度どベトナム戦争せんそう実録じつろく』（1967年ねん）のラニャール、ロベール・アンリコ監督かんとくの『冒険ぼうけん者しゃたち』（1967年ねん）のジャクリーヌ・メピエル、映画えいがプロデューサーラウール・レヴィの監督かんとく作さく『ザ・スパイ』（1966年ねん）を編集へんしゅうしたアルベール・ジュルジャンソンは、今回こんかい編集へんしゅうを経験けいけんしたコレット・ルルーとともにレネの次回じかい作さく『ジュテーム、ジュテーム』（1967年ねん）の編集へんしゅうを行おこなうことになる。

そのほか、助監督じょかんとくには、ドゥミ監督かんとくの『ロシュフォールの恋人こいびとたち』からアラン・フランシェ、彼かれは翌よく1968年ねん、ウィリアム・クライン監督かんとくの『ミスター・フリーダム』にも助監督じょかんとくにつくだろう。『老人ろうじんと子供こども』（1967年ねん）でクロード・ベリ監督かんとくの助監督じょかんとくについたピエール・グルンステイン、彼かれは1970年ねんからはベリの製作せいさく会社かいしゃレン・プロデュクシオン（Renn Productions、現在げんざいのパテ＝レン・プロデュクシオン）に入社にゅうしゃし、プロデューサーの道みちを歩あゆみ、ベリ作品さくひんのほか、ジャック・ドワイヨン監督かんとくの『小ちいさな赤あかいビびー玉だま』（1975年ねん）、ロマン・ポランスキー監督かんとくの『テス』（1979年ねん）を手てがけて行いく。シャルル・L・ビッチは『ロゴパグ』（1963年ねん）以来いらい、ゴダールの助監督じょかんとくをやってきて、この直後ちょくごにも『中国ちゅうごく女おんな』の助監督じょかんとくをつとめている。

既存きそんのニュースフィルムを除のぞいて、ベトナム以外いがいの各地かくちで撮影さつえいされた本ほん作さくは、1967年ねん夏なつに完成かんせい、西にしドイツで公開こうかいしたほか、ニューヨーク、ロンドンで上映じょうえいされ、多大ただいな反響はんきょうを得えた。

マルケルとゴダール

その後ごも、クリス・マルケルの動うごきは止とまらず、同どう1967年ねん、フランスのドゥー県けんブザンソンの企業きぎょうロディアセタ社しゃの大だいストライキに際さいし、マルケルはゴダールとドキュメンタリー作家さっかブリュノ・ミュエルらともに「メドヴドキン集団しゅうだん」（Les groupes Medvedkine、1967年ねん - 1973年ねん）を組織そしき、労働ろうどう者しゃの声こえと姿すがたをいくつものドキュメンタリー映画えいがに記録きろくした。

1967年ねん、36歳さいのゴダールもまったく止とまらない。1966年ねんに撮影さつえいした3本ほん、つまり『メイド・イン・USA』が1月がつ27日にち、『彼女かのじょについて私わたしが知しっている二に、三さんの事柄ことがら』が3月17日にち、翌月よくげつの4月がつ21日にちにはアンナ・カリーナ最後さいごの主演しゅえん作さく『未来みらい展望てんぼう』を含ふくむオムニバス『愛あいすべき女おんな・女おんなたち』が矢継やつぎ早ばやに公開こうかいされ、そのころには『中国ちゅうごく女おんな』の撮影さつえいが行おこなわれていた。7月がつ22日にちには『中国ちゅうごく女おんな』に主演しゅえんした20歳さいのアンヌ・ヴィアゼムスキーと結婚けっこん、8月がつ30日にち同どう作さくの公開こうかいと時期じきを同おなじくして「商業しょうぎょう映画えいがとの決別けつべつ宣言せんげん」を発表はっぴょうした。『ウイークエンド』を夏なつに撮影さつえい、秋あきにはジュリエット・ベルト、ジャン＝ピエール・レオと『たのしい知識ちしき』を撮影さつえい（公開こうかいは1969年ねん）、『ウイークエンド』が12月29日にちに公開こうかいされた。

翌よく1968年ねん2月がつ、パリのシネマテーク・フランセーズ館長かんちょうアンリ・ラングロワが更迭こうてつされ、それに抗議こうぎして、「シネマテーク擁護ようご委員いいん会かい」を結成けっせい。マルケルとゴダール、レネ、イヴェンスといった『ベトナムから遠とおく離はなれて』の面々めんめんのほか、ジョルジュ・フランジュ、ピエール・カストといったラングロワの側近そっきんはもちろん、アレクサンドル・アストリュック、ジャック・ドニオル＝ヴァルクローズ、エリック・ロメール、フランソワ・トリュフォー、ジャック・リヴェット、クロード・シャブロル、クロード・ベリ、ジャン・ルーシュ、ジャン・ユスターシュら「カイエ」派は、ヌーヴェルヴァーグの作家さっかたち、ジャン＝ピエール・レオ、クロード・ジャドら俳優はいゆう、アベル・ガンス、ロベール・ブレッソン、アンドレ・カイヤット、フランソワーズ・ロゼー、ジャン・マレーら映画えいが界かいの重鎮じゅうちんをも巻まき込こみ、大々的だいだいてきなデモを打うった。4月にはこの闘争とうそうは勝利しょうりを得える。

つづく5月19日にち、5月がつ10日とおかから開催かいさいされている第だい21回かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいの行おこなわれている宮殿きゅうでんに、ゴダール、ルルーシュ、トリュフォー、ベリ、レオ、ジャン＝ガブリエル・アルビコッコ、ロマン・ポランスキー、審査しんさを放棄ほうきした審査しんさ員いんルイ・マルらが乗のり込こみ、上映じょうえいと審査しんさの中止ちゅうしを求もとめ、映画えいが祭さいを粉砕ふんさいした。5月21日にちには、パリで労働ろうどう者しゃと学生がくせいによるゼネストが起おき、いわゆる「五月ごがつ革命かくめい」へと発展はってんしてゆく。ゴダールはパリを離はなれ、D・A・ペネベイカーらとバークレーやニューヨークで『ワン・アメリカン・ムービー』を撮とり、ロンドンでローリング・ストーンズと『ワン・プラス・ワン』を撮とった。

クリス・マルケル、アラン・レネらと匿名とくめいで数すう分ふん、20数すう本ほんのアジテーションのための短編たんぺん映画えいがシリーズ『シネトラクト』を撮とったゴダールは、前年ぜんねんの1967年ねんに出逢であい、『中国ちゅうごく女おんな』や『たのしい知識ちしき』の構想こうそうに多大ただいな影響えいきょうを与あたえたマオイストでシネフィルのジャン＝ピエール・ゴランらと映画えいが製作せいさくグループ「ジガ・ヴェルトフ集団しゅうだん」を結成けっせいしてゆく。

構成こうせい

ウィリアム・ウェストモーランド

フィデル・カストロ

ジョン・リンゼイ

エピローグと11章しょう、そしてプロローグで構成こうせいされている。

エピローグ
第だい一いち章しょう「ハノイ爆ばく撃げき」 1. Bomb Hanoï !

富とめる者ものの戦争せんそうと貧まずしい者ものの戦争せんそう、一方いっぽう的てきな空襲くうしゅう。

第だい二に章しょう「パレードはパレード」 2. A parade is a parade !

ヴェトナム戦争せんそうに反対はんたいする者もの、賛成さんせいする者ものの3つのデモ。

第だい三さん章しょう「ジョンソンの泣なきベソ」 3. Johnson pleure

ヴェトナムでのアメリカ敗北はいぼくの芝居しばい。米べい大統領だいとうりょうリンドン・ジョンソンに扮ふんした少女しょうじょが泣なく芝居しばい。

第だい四よん章しょう「クロード・リデール」 4. Claude Ridder

想像そうぞう上じょうのテレビでレポーター「クロード・リデール」（ベルナール・フレッソン）が不信ふしんの時代じだいを語かたる。

第だい五ご章しょう「フラッシュ・バック」 5. Flash Back

インドシナ戦争せんそうから今日きょうまでの回想かいそう。

第だい六ろく章しょう「カメラの眼め」 6. Camera eye - ジャン＝リュック・ゴダール監督かんとく『カメラ・アイ』

ミッチェル撮影さつえい機きを覗のぞくゴダールのモノローグ。

第だい七なな章しょう「ビクター・チャーリー」 7. Victor Charlie

歌うたうトム・パクストンと、従軍じゅうぐん記者きしゃミシェル・レイの捕虜ほりょ体験たいけんの回想かいそう。

第だい八はち章しょう「なぜ我われらは戦たたかうのか？」 8. Why we Fight

ウィリアム・ウェストモーランド将軍しょうぐんの語かたるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの正式せいしき見解けんかい。

第だい九きゅう章しょう「キューバのカストロ」 9. Fidel Castro

ゲリラ戦せんのメカニズムについてのカストロ自身じしんの解説かいせつ。

第だい十じゅう章しょう「アンとユエン」 10. Ann Uyen

1965年ねん 11月2日にち、ペンタゴン前まえで焼身しょうしん自殺じさつしたノーマン・モリソンの妻つまアンの回想かいそうと、彼かれの死しの重要じゅうよう性せいについてのパリのヴェトナム人じんユエンの指摘してき。

第だい十じゅう一いち章しょう「めまい」 11. Vertigo

1967年ねん 4月がつ15日にちのアメリカ史上しじょう最大さいだいのデモ。ヴェトナム戦争せんそうによって起おきる錯乱さくらん。

プロローグ

スタッフ

監督かんとく : アラン・レネ、ウィリアム・クライン、ヨリス・イヴェンス、アニエス・ヴァルダ、クロード・ルルーシュ、ジャン＝リュック・ゴダール
脚本きゃくほん : クリス・マルケル、ジャン＝リュック・ゴダール、ジャック・ステルンベール、ジャン・ラクチュール、ミシェル・レイ、マルセリーヌ・ロリダン＝イヴェンス、フランソワ・マスペロ、クリスチャン・クインソン
撮影さつえい : ジャン・ボフティ、ドニ・クレルヴァル、ギスラン・クロケ、ウィリー・クラント、アラン・ルヴァン、キュー・タム、ベルナール・ジツェルマン
音楽おんがく : ミシェル・ファーノ、ミシェル・キャプドナ、ジョルジュ・アペルギス
録音ろくおん : アントワーヌ・ボンファンティ
編集へんしゅう : クリス・マルケル、エリック・プリュー、ラニャール、ジャン・ラヴェル、ジャクリーヌ・メピエル、アルベール・ジュルジャンソン、コレット・ルルー
タイトル : クリスチャン・クインソン
助監督じょかんとく : ディディエ・ボード、アラン・フランシェ、ピエール・グルンステイン、シャルル・L・ビッチ
プロデューサー : クリス・マルケル
製作せいさく会社かいしゃ : ソシエテ・プール・ル・ランスマン・デ・ズーヴル・ヌーヴェル（SLON、パリ）

キャスト

ベルナール・フレッソン　（クロード・リデール役やく）
トム・パクストン　（Tom Paxton、本人ほんにん、フォークシンガー）
ジャン＝リュック・ゴダール　（本人ほんにん）
ウィリアム・ウェストモーランド　（本人ほんにん、アメリカ軍人ぐんじん）
フィデル・カストロ　（本人ほんにん、キューバ国家こっか元首げんしゅ）
ホー・チ・ミン　（本人ほんにん、ベトナム労働党ろうどうとう主席しゅせき）
ジョン・リンゼイ　（本人ほんにん）
ミシェル・レイ　（本人ほんにん、元もと米べい軍ぐん従軍じゅうぐん記者きしゃ）
アン・モリソン　（本人ほんにん、ノーマン・モリソンの妻つま）
ユエン　（本人ほんにん、在ざい仏ふつヴェトナム人じん女性じょせい）
フランシス・スピールマン　（本人ほんにん、アメリカ軍人ぐんじん）
ヴァレリー・マイユー
モーリス・ガレル
アンヌ・ベレック
カレン・ブランゲルノン
マリ＝フランス・ミニャル