マリア・ディ・カラブリア

マリア・ディ・カラブリア（イタリア語ご：Maria di Calabria, 1329年ねん5月6日にち - 1366年ねん5月がつ20日はつか）は、ナポリ王国おうこくの王女おうじょ。ナポリ女王じょおうジョヴァンナ1世せいの妹いもうと。

マリア・ディ・カラブリア Maria di Calabria
マリア・ディ・カラブリアの墓はか（サンタ・キアラ教会きょうかい)
称号しょうごう	アルバ女おんな伯はく
出生しゅっしょう	(1329-05-06) 1329年ねん5月6日にち ナポリ王国おうこく、ナポリ
死去しきょ	(1366-05-20) 1366年ねん5月がつ20日はつか（37歳さい没ぼつ） ナポリ王国おうこく、ナポリ
埋葬まいそう	ナポリ王国おうこく、ナポリ、サンタ・キアラ教会きょうかい
配偶はいぐう者しゃ	ドゥラッツォ公こうカルロ
	アヴェッリーノ伯はくロベルト・デル・バルツォ
	ターラント公こうフィリッポ2世せい
子女しじょ	ルイージ ジョヴァンナ アニェーゼ クレメンティーナ マルゲリータ フィリッポ カルロ フィリッポ
家名かめい	アンジュー＝シチリア家か
父親ちちおや	カラブリア公こうカルロ
母親ははおや	マリー・ド・ヴァロワ

生涯しょうがい

生おい立たち

マリアはカラブリア公こうカルロ（ナポリ王おうロベルト1世せいの長男ちょうなん）とマリー・ド・ヴァロワ（フランス王おうフィリップ6世せいの異母いぼ妹いもうと）の間あいだの娘むすめである。マリアは父ちちカルロの死しから6か月げつ後ごに生うまれた。マリアが生うまれたとき、3人にんの姉あねと1人ひとりの兄あにのうち、唯一ゆいいつジョヴァンナのみが生存せいぞんしていた。2年ねん後ごの1331年ねん10月23日にちに母ははマリーがバーリへの巡礼じゅんれいの途中とちゅうで、幼おさないマリアとナポリ王おう継つぎであった姉あねジョヴァンナをのこして死去しきょした。マリアとジョヴァンナは祖父そふロベルト1世せいの王宮おうきゅうで育そだてられた。

1332年ねん6月30日にちの教皇きょうこう勅書ちょくしょにより、マリアと姉あねジョヴァンナはハンガリー王おうカーロイ1世せいの息子むすこたちと結婚けっこんするように命めいじられた。姉あねジョヴァンナはアンドラーシュと、マリアはアンドラーシュの兄あにでハンガリー王おう継つぎであったラヨシュとそれぞれ婚約こんやくした。しかしこの婚約こんやくには、もしジョヴァンナが結婚けっこん前まえに死去しきょした場合ばあいは、マリアはアンドラーシュと結婚けっこんするという条件じょうけんがつけられていた。このようにロベルト1世せいは、ナポリ王位おういから排除はいじょされた兄あにの子孫しそんと和解わかいすることを望のぞんでいた。

マリアの祖父そふロベルト1世せいは1343年ねん1月がつ20日はつかに死去しきょした。ロベルト1世せいの遺言ゆいごんに従したがい、ジョヴァンナがナポリ王位おういを継承けいしょうし、マリアはアルバ女おんな伯はく領りょうと膨大ぼうだいな遺産いさんを与あたえられただけでなく、ハンガリー王おう継つぎラヨシュとの婚約こんやくが確認かくにんされ、もしラヨシュとの結婚けっこんが成立せいりつしなかった場合ばあいは、フランス王おう継つぎであるノルマンディー公こうジャンと結婚けっこんするとした（実際じっさいにはジャンはすでに1332年ねんに結婚けっこんしていた）。

最初さいしょの結婚けっこん

しかし、祖父そふロベルト1世せいの死後しごまもなく、マリアはドゥラッツォ公こうジョヴァンニの未亡人みぼうじんアニェス・ド・ペリゴールに誘拐ゆうかいされ、アニェスはマリアと自みずからの息子むすこカルロとの結婚けっこんを決きめた。結婚式けっこんしきは1343年ねん4月がつ21日にちに行おこなわれた。マリアは14歳さい、カルロは20歳さいであった。2人ふたりの間あいだには5子しが生うまれた。

• ルイージ（1343年ねん12月 - 1344年ねん1月がつ14日にち）
• ジョヴァンナ（1344年ねん - 1387年ねん） - ドゥラッツォ女おんな公こう、1366年ねんにボーモン＝ル＝ロジェ伯はくルイ・ド・ナヴァールと結婚けっこん、次つぎにウー伯はくロベール4世せいと結婚けっこん
• アニェーゼ（1345年ねん - 1388年ねん） - 1363年ねん6月がつ6日にちにヴェローナの支配しはい者しゃカンシニョーリオ・デッラ・スカラと結婚けっこん、1382年ねんにターラント公こうおよびラテン皇帝こうていジャック・デ・ボーと結婚けっこん
• クレメンティーナ（1346年ねん - 1363年ねん）
• マルゲリータ（1347年ねん - 1412年ねん） - 1368年ねんに後のちにナポリ王おうとなるグラヴィーナ伯はくカルロ・ディ・ドゥラッツォと結婚けっこん

マリアとカルロは、姉あねジョヴァンナとその2番目ばんめの夫おっとターラント公こうルイージと対立たいりつする派閥はばつを率ひきいた。1348年ねん1月がつ15日にち、カルロはナポリ王国おうこくの中将ちゅうじょうおよび総督そうとくとされた。ハンガリー王おうラヨシュ1世せいのナポリ侵略しんりゃくに直面ちょくめんしたナポリ女王じょおうジョヴァンナとルイージが逃亡とうぼうした時とき、カルロは権力けんりょくを手てに入いれる機会きかいを得えた。しかしカルロは数日すうじつ後ごにはアヴェルサ近ちかくでハンガリー人じんに捕とらえられた。1348年ねん1月がつ23日にち、サン・ピエトロ・ア・マイエッラ教会きょうかいの前まえでカルロは斬首ざんしゅされた。マリアは19歳さいで未亡人みぼうじんとなった。

2度目どめの結婚けっこん

カルロが殺害さつがいされたことにより、マリアはナポリからアヴィニョンに逃亡とうぼうし、教皇きょうこうクレメンス6世せいに助たすけを求もとめた。1348年ねん、黒死病こくしびょうがイタリア半島はんとうを襲おそい、ハンガリー王おうとその軍ぐんの大半たいはんは、蔓延まんえんする伝染でんせん病びょうから逃のがれるためにハンガリーへの帰還きかんを余儀よぎなくされた。マリアはナポリに戻もどり、卵たまご城じょう（カステル・デローヴォ）に落おち着ついた。

『Chronicle of Parthénope』によると、ハンガリー王おうラヨシュ1世せいは最初さいしょの南みなみイタリア遠征えんせいの際さいにマリアを監禁かんきんし、マリアに求婚きゅうこんしたという。1350年ねん夏なつのアヴェルサ包囲ほういの間あいだに、ラヨシュ1世せいはマリアの使節しせつにトレントラ＝ドゥチェンタ近ちかくで会あい、ラヨシュ1世せいとマリアとの結婚けっこんが決きまったという。しかし、結婚式けっこんしきが行おこなわれる前まえに、マリアはアヴェッリーノ伯はくウゴーネ4世せい・デル・バルツォに再ふたたび誘拐ゆうかいされ、ウゴーネ4世せいの長男ちょうなんで嗣子ししのロベルトと結婚けっこんさせられた。2人ふたりの間あいだに子供こどもは生うまれなかった。

アヴェッリーノ伯はくウゴーネ4世せいは1351年ねんにマリアの義兄ぎけいターラント公こうルイージの命いのちで殺害さつがいされた。2年ねん後ごの1353年ねん、マリアはハンガリー王おうラヨシュ1世せいに救出きゅうしゅつされた。夫おっとロベルトは捕とらえられ卵たまご城じょうに監禁かんきんされ、マリアの命いのちにより殺害さつがいされた。マリアは直接ちょくせつその殺害さつがいを目撃もくげきしていたと伝つたえられている。

3度目どめの結婚けっこん

2番目ばんめの夫おっとロベルトの死後しご間あいだもなく、マリアは義兄ぎけいターラント公こうルイージにより再ふたたび監禁かんきんされ、1355年ねん4月がつのルイージの弟おとうとフィリッポ2世せいとの結婚けっこん後ごに釈放しゃくほうされた。マリアとフィリッポ2世せいとの間あいだには以下いかの早世そうせいした3男なんが生うまれ、1362年ねんと1366年ねんにそれぞれ男子だんしを死産しざんしている。

• フィリッポ（1356年生ねんせい）
• カルロ（1358年生ねんせい）
• フィリッポ（1360年生ねんせい）

1364年ねん、フィリッポ2世せいは兄あにロベルトの死しにより名目めいもく上じょうのラテン皇帝こうてい、アカイア公おおやけおよびターラント公こうの位いを継承けいしょうした。

祖父そふロベルト1世せいは遺言ゆいごんで、マリアの姉あねジョヴァンナ1世せいが嗣子ししなく死去しきょした場合ばあいは、マリアの子孫しそんをナポリ王位おういの継承けいしょう者しゃとするとしていた。1366年ねんにマリアが死去しきょしたとき、マリアの3人にんの娘むすめに王位おうい継承けいしょう権けんが引ひき継つがれ、最終さいしゅう的てきに末すえ娘むすめマルゲリータの夫おっとカルロが1382年ねんにカルロ・ディ・ドゥラッツォとしてナポリ王おうとなった。マリアは37歳さいで恐おそらく出産しゅっさん時じの合併症がっぺいしょうにより死去しきょし、ナポリのサンタ・キアラ教会きょうかいに埋葬まいそうされた。