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ヨット - Wikipedia

ヨット

ひろくレジャー用船ようせんていす。スポーツよう舟艇しゅうてい性質せいしつつよくレースにも使つかわれる。遊行ゆぎょうせんたて使つかった小型こがた帆船はんせんふくむ。

ヨットえい: yacht)は、レジャー用船ようせんていひろ意味いみする言葉ことばで、そのなかでもとくつぎの2つをす。

  1. 大型おおがた個人こじんせんとしては)で豪華ごうか遊行ゆぎょうせん
  2. たて使つかった小型こがた帆船はんせん(≒ sailing yacht, en:sailboat)。スポーツよう舟艇しゅうてい性質せいしつつよく、レースにも使つかわれる。
小型こがた帆船はんせんとしてのヨット

英語えいごでは、たんyacht(原語げんごオランダの jacht)といえばおもに 1. を意味いみするが、日本にっぽんにおいては「ヨット」といった場合ばあい 2. の意味いみもちいられることがおおい。

ほん項目こうもくではおもに 2. について解説かいせつする。

ヨット(遊行ゆぎょうせん

編集へんしゅう

英語えいごでは、たんyachtえばおもにこの意味いみである。後述こうじゅつの、小型こがた帆船はんせん一種いっしゅしめyacht英語えいごにおいての由来ゆらいが、英国えいこく王室おうしつぐん用船ようせんであったことからの「豪華ごうか遊行ゆぎょうせん」という意味いみである。日本にっぽんでは御座船ござぶねばれる貴人きじんけの遊行ゆぎょうせん存在そんざいした。

現代げんだいでは富裕ふゆうそう一定いってい需要じゅようがあるためナウティキャットフェレッティなどの専門せんもんメーカーが快適かいてき装備そうびととのったヨットの製造せいぞうおこなっている。また価格かかくおさえたプレジャーボートたのしむもの人気にんきがある。トヨタ自動車とよたじどうしゃ(トヨタマリン)では、最大さいだい35フィートまでの自社じしゃせいプレジャーボートを「ポーナム」ブランドでラインナップしていたが、それ以上いじょうおおきさと価格かかく製品せいひんレクサスブランドとし、高級こうきゅうヨット市場いちば参入さんにゅうしている[1]

たかいマストとおおきなち、帆走はんそうおもとしたものは、基本きほんてき通信つうしん機器きき快適かいてき装備そうび電源でんげんみなとでのまわしを優先ゆうせんし、小型こがたエンジンとスクリュープロペラそなえた モーターヨット機帆船きはんせん。モーターセイラー)であることがおおく、日本にっぽんでは「セーリングクルーザー」ともばれる。純粋じゅんすい帆船はんせんセーリング競技きょうぎ使用しようするセーリング・ヨットなど競技きょうぎようのみである。明確めいかく定義ていぎはないが小型こがた船舶せんぱく免許めんきょ日本にっぽん小型こがた船舶せんぱく操縦そうじゅう相当そうとう)で操船そうせんできるサイズにおさめることがおおい。船体せんたいとエンジンを製造せいぞう内装ないそうはデザイン会社かいしゃ担当たんとうするれいもある[1]

サントロペヴィアレッジョなどヨーロッパのリゾートにはヨットハーバー整備せいびされており、船舶せんぱく整備せいび管理かんり代行だいこうする会社かいしゃ存在そんざいするなど、関連かんれん事業じぎょう市場いちば形成けいせいされている。

スーパーヨット

編集へんしゅう

資産しさんなかには小型こがた客船きゃくせんみのおおきさスーパーヨット(ラグジュアリーヨット、ギガヨットとも)を所有しょゆうするものもおり、プールジャグジーヘリパッドゆうするなどクルーズせんみの装備そうびがあるヨットも建造けんぞうされている[2]

中型ちゅうがたせんでは船体せんたい規格きかく内装ないそうのみ注文ちゅうもんおうじて変更へんこうするセミオーダー形式けいしきとすることで価格かかくおさえたメーカー(コーデカーサなど)が、リゾートのあるイタリアやフランスに集中しゅうちゅうしている。

全長ぜんちょう100mちょう船舶せんぱくでは顧客こきゃくこのみにわせるためHDWブローム・ウント・フォスなどの大型おおがた船舶せんぱくがける造船ぞうせん会社かいしゃ船体せんたい設計せっけい建造けんぞうし、内装ないそう専門せんもん業者ぎょうしゃがオーダーメイドで作成さくせいするなどグルーズ客船きゃくせんおな手法しゅほう製造せいぞうすることもある。また大型おおがた船舶せんぱくには資格しかくゆうする船員せんいん複数ふくすう必要ひつようであるため、船員せんいん派遣はけんする会社かいしゃもある。

資産しさんポール・アレン所有しょゆうする「オクトパス」は全長ぜんちょう126m、9932そうトンのサイズにクルーズせんみの快適かいてき装備そうびそなえるほか調査ちょうさよう艦載かんさいヘリや海底かいてい調査ちょうさする装置そうちそなえた海洋かいよう調査ちょうさせんとしての機能きのうゆうしており、戦艦せんかん武蔵むさし探索たんさくはじめ、アレンのがける海洋かいよう調査ちょうさでは調査ちょうさたい母船ぼせんとして使用しようされている。

趣味しゅみせいたか大型おおがた機帆船きはんせん資産しさん要望ようぼう建造けんぞうされており、実業じつぎょうアンドレイ・メルニチェンコフィリップ・スタルクがデザインしたスーパーヨットと大型おおがた機帆船きはんせん所有しょゆうしている。

ヨット(小型こがた帆船はんせん

編集へんしゅう
 
帆船はんせん (sailboat)とヨットレース。シドニーこう

日本語にほんごで「ヨット」と場合ばあいは、こちらの意味いみもちいられていることがほとんどである[3]。この意味いみでも様々さまざま目的もくてき船体せんたいがあり、レースようでヒールした場合ばあい体重たいじゅうでバランスをとる必要ひつようがある軽量けいりょう俊敏しゅんびんものから、優雅ゆうがなクルージングようつよ横風おうふうでもヒールしにくい安定あんていしたものまで様々さまざまなものがある。

英語えいごでは、帆走はんそうヨット (sailing yacht)、あるいはたん帆船はんせん (sailboat) とぶことがおおい。ただし、これらのふねてい使つかったレースは yacht race とばれる。ヨットでの航海こうかいやヨット競技きょうぎのことをセーリングsailing)ともいう。これはヨットがセール(sail)を使つかってすすむからである。

現在げんざい、ヨットと分類ぶんるいされる船舶せんぱく非常ひじょう多岐たきにわたっている。乗員じょういんすう一人ひとりりから10にん以上いじょうまで様々さまざまであり、設備せつびもラダー(かじ)、セール()、キール(竜骨りゅうこつ)しかないものからキャビン、発動はつどう完備かんびしたものまである。発動はつどうやキャビンのない小型こがたのヨットを「ディンギー」、発動はつどうやキャビンのある大型おおがたのヨットを「クルーザー」とけることがある。

外洋がいよう長期間ちょうきかん長距離ちょうきょりわたって航行こうこうすることが可能かのうながら、比較的ひかくてき小型こがた個人こじん運用うんよう可能かのうであるため、冒険ぼうけんしんのある人物じんぶつによる単独たんどくでの大洋たいよう横断おうだん寄港きこうでの世界せかい一周いっしゅうなどがおこなわれている。

ヨットの原型げんけいは7世紀せいきごろ発明はつめいされたアラブのダウせんである。これはかぜだけしか利用りようできなかったそれまでの帆船はんせんおおきくえ、かいかぜでもなな前方ぜんぽうすすむことができるだい発明はつめいであった。その、その技術ぎじゅつがヨーロッパにもつたわり、ヨットという名称めいしょう歴史れきしはじめて登場とうじょうするのは、14世紀せいきオランダとされている。当初とうしょは、その高速こうそくせい俊敏しゅんびんさから海賊かいぞく追跡ついせきしたり、偵察ていさつなどにもちいられるために建造けんぞうされた三角さんかく風上かざかみにも進行しんこう可能かのう高速こうそく帆船はんせんで、jaght schip、りゃくして“jaght”とばれていた[注釈ちゅうしゃく 1]。 17世紀せいきには金持かねもちの娯楽ごらくとしてセーリングが大々的だいだいてき流行りゅうこうするようになり、スペールヤハトとばれる専用せんようのプレジャーヨットがつくられるようになった[4]

1660ねんイギリス王政おうせい復古ふっこ成功せいこうしたチャールズ2せいは、オランダより寄贈きぞうされたこのものこのみ、イギリスの水路すいろ事情じじょうわせ喫水きっすいやリーボードの廃止はいしなどの改良かいりょうほどこし、発音はつおんもとづいた英語えいごとして yacht名前なまえあらためた。これが現在げんざいのYachtの語源ごげんである。おうとそのおとうとジェイムス同種どうしゅふねを12せき建造けんぞうし、軍用ぐんよう王室おうしつ行事ぎょうじなどに使用しようしたため、イギリス貴族きぞくあいだでもプレジャーヨットが流行りゅうこうした[4]記録きろくのこ最初さいしょのヨットレースは、1661ねんにチャールズ2せいとジェイムスがグリニッジ - グレイヴズエンドあいだおこなった競争きょうそうである。

1720ねんには、記録きろくのこっている最古さいこのヨットクラブ「コーク・ウォーター・クラブ」がアイルランド設立せつりつされた。これは現在げんざいの「ロイヤル・コーク・ヨットクラブ」のである。 以後いご、19世紀せいきにかけてヨーロッパ、アメリカ王室おうしつ富裕ふゆうそう中心ちゅうしんにヨットをたしなひとえ、各地かくちにヨットクラブが設立せつりつされた[4]。18世紀せいきにもアイルランドとイングランドのクラブ同士どうしでレースがおこなわれることがあったが、19世紀せいきになって大掛おおがかりな国際こくさいヨットレースがおこなわれるようになった。

19世紀せいき後半こうはんにはディンギーばれる小型こがたていのレースももはじまり、だいいち世界せかい大戦たいせんのちさかんになった。当初とうしょ参加さんかしゃがそれぞれに設計せっけいしたボートできそわれていたが、1875ねんにイギリスで設立せつりつされたヨット競技きょうぎ協会きょうかい(YRA)によって統一とういつてきなルールと6段階だんかいのクラスけが制定せいていされた。1907ねんにYRAは国際こくさいヨット競技きょうぎ連盟れんめい(IYRU)となり、国際こくさいてきなレース規則きそくとヨットのサイズなど仕様しよう標準ひょうじゅんさだめられた。また、19世紀せいきまつから20世紀せいきにかけてヨットによる冒険ぼうけん航海こうかい流行りゅうこうした。ジョシュア・スローカムは1895ねんから1898ねんの3ねんわたって、ヨットによる単独たんどく世界せかい一周いっしゅうげた。今日きょうでもこのたね冒険ぼうけん航海こうかい挑戦ちょうせんするヨットマンはおお[4]

蒸気じょうきエンジンきのヨットはイギリスじんトマス・アシュトン・スミスによって19世紀せいきなかばにはじめてつくられたが、蒸気じょうきエンジンは騒音そうおんひどあつかいがむずかしいため普及ふきゅうしなかった。その、19世紀せいきまつから富裕ふゆうそう大型おおがたヨットに装備そうびされるようになり、20世紀せいきにガソリンエンジン、ディーゼルエンジンが普及ふきゅうするにつれ、動力どうりょくきのヨットは一般人いっぱんじんにもとどくようになった[4]だい2世界せかい大戦たいせん以後いご、ヨットの素材そざい化学かがく繊維せんいやグラスファイバーなどしん素材そざいれられ、ヨットはより安価あんかになり水上みずかみスポーツ人口じんこう大幅おおはば増加ぞうかさせた。

日本にっぽんにおけるヨットの歴史れきし

編集へんしゅう

日本にっぽんにおいては1861ねん文久ぶんきゅう元年がんねん)に長崎ながさき英国えいこくじん船大工ふなだいく貿易ぼうえきしょうオルトの注文ちゅうもん建設けんせつし、当時とうじ地元じもと新聞しんぶん報道ほうどうされた「ファントムごう」や、同年どうねん外国がいこくじんたちが開催かいさいしたヨットレース「長崎ながさきレガッタ」がはじめてのものといわれている。また、1882ねん明治めいじ15ねん)には横浜よこはま本牧ほんもく日本人にっぽんじんによりはじめて建造けんぞうされ、神奈川かながわ葉山はやま帆走はんそうしたことから、葉山はやまこうには日本にっぽんヨット発祥はっしょうきざまれたいしぶみっている。

ヨットクラブは横浜よこはまはじ神戸こうべ長崎ながさきなどに設立せつりつされた。

ヨットのうご原理げんり

編集へんしゅう

ヨットをはじめとして帆走はんそうせんふう利用りようしてうごくため、まっすぐ風上かざかみ方向ほうこう風位ふうい)へはすすむことができない。しかし、風位ふういたいして最大さいだいおよそ45角度かくど(クローズホールド)までならすすむことができる[5]ため、ジグザグにであれば風上かざかみへとかうことができる。進行しんこう方向ほうこう風上かざかみ方向ほうこうとのあいだ角度かくどと、理論りろん帆走はんそう速度そくど風速ふうそくしめしたものを帆走はんそうポーラーせん(ポーラーダイアグラム)とび、性能せいのうしめ指標しひょうひとつとなる。

この原理げんり以下いかとおりである。

 
クローズホールドにヨットにはたらちからしき

のように、セール()の付近ふきんながれるふうによって発生はっせいする揚力ようりょくふね進行しんこう方向ほうこうたいしてなな前方ぜんぽうき)のうち進行しんこう方向ほうこうたいして垂直すいちょく成分せいぶんを、キール(竜骨りゅうこつ)またはセンターボード(船底ふなそこ中央ちゅうおうから水中すいちゅういた)によってすことにより、進行しんこう方向ほうこうおなきの推進すいしんりょくる。さらに、セールに発生はっせいする揚力ようりょくくわえ、リーウエイするていのキールへの水流すいりゅうむかえかくからもてい前進ぜんしんするちから発生はっせいする。

なお、ヨットにはセールを複数ふくすうつものもあるが、では簡略かんりゃくするためにセールが1まいのものをえがいている。セールが複数ふくすうあるふねでは、かくセールに発生はっせいする揚力ようりょく合力ごうりょくを、このでいう「揚力ようりょく」とみなせばよい。

種類しゅるい

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ディンギー(おも1人ひとり2人ふたりり)

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一人ひとりりからにんりのヨットで、比較的ひかくてき機会きかいおおいものとしては「FJきゅう2人ふたりり)」「420きゅう2人ふたりり)」「シーホッパーきゅうSR(1人ひとりり)」「スナイプきゅう2人ふたりり)」などがげられる。日本にっぽんでは、海沿うみぞいの高校こうこう大学だいがくでヨットがある学校がっこうなどには、大抵たいていはこの3つのクラスのていそなわっている。また、大学だいがく体育たいいくかいヨットでは「470きゅう2人ふたりり)」と「スナイプきゅう2人ふたりり)」を所有しょゆうし、全日本ぜんにほんインカレとうおこなわれる。小・中学生しょうちゅうがくせいのヨットクラブでは小型こがたの「オプティミスト(OP)きゅう1人ひとりり)」で練習れんしゅうおこなうところもある。

さわがいしゃ操船そうせんできるようにユニバーサルデザイン開発かいはつされた「ハンザ(ハンザクラス、ハンザディンギー)」という1人ひとり~2にんりのヨットもある[6]

クルーザー(おもに4にん以上いじょう

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5にんから10にん程度ていどのヨットは国内こくないでも比較的ひかくてき機会きかいおおい。全長ぜんちょうによって、おおまかに以下いかのようにかれる。

  • 小型こがたていわれる全長ぜんちょう24フィート(やく8メートル)程度ていどのヨット。
  • 中型ちゅうがたていわれる全長ぜんちょう30フィート(やく10メートル)程度ていどのヨット。
  • 大型おおがたていわれる全長ぜんちょう40フィート(やく13メートル)程度ていどのヨット。

かつて日本にっぽんにも国産こくさん最大手さいおおてヤマハをはじめ、多数たすうのメーカーが存在そんざいしたが、現在げんざいでは岡崎おかざき造船ぞうせんのみ。 設計せっけいしゃとしては横山よこやまはやし、ヴァンデュスタット大橋おおはし現在げんざい外国がいこくメーカーのヨットが主流しゅりゅう

  • フランス:ジャヌー、デュフォー、ベネトウ
  • ドイツ:デヘラー、ハンゼ、ババリア
  • イタリア:ソラリス、スライ、グランドソレイユ
  • フィンランド:スワン、バルティック、デゲロ
  • スウェーデン:ホルベルグラッシー、ナヤード、アルコナ
  • デンマーク:Xヨット
  • アメリカ:ヒンクリー、タータン
  • その:Jボート、ナウティキャットなど。

ヨットレース

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ヨットレース(2013ねん

競技きょうぎ種別しゅべつ

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ヨットレースはおおきくけて、湾内わんないりくえる程度ていど沿岸えんがんおこなうインショア・レースと、りくえない外洋がいようおこなうオフショア・レースにけられる。

インショア・レースはブイ構成こうせいされたコースを規定きていじゅん回数かいすう周回しゅうかいする形式けいしきでディンギーなど1~2にんりの小型こがたてい主流しゅりゅうオリンピックのセーリング競技きょうぎもインショア・レースである。

オフショア・レースはスタートみなとから出港しゅっこうし、ゴールに指定していされたみなとまでの所要しょよう時間じかんきそうレースで、10にんじょう大型おおがたてい主流しゅりゅうほかにも寄港きこう単独たんどくなど過酷かこく条件じょうけんおこな冒険ぼうけんレースなどがある。

オリンピック

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近代きんだいのヨットレースには世界せかいてき統一とういつされた規則きそくがある。このルールはレーシングルールオブセーリング(RRS)とばれ、国際こくさいセーリング連盟れんめいWorld Sailing)が管理かんりし、世界せかい各国かっこくくにべつセーリング連盟れんめいとともに運用うんようしている。日本にっぽん管轄かんかつするのはISAFに加盟かめいする日本にっぽんセーリング連盟れんめい(JSAF)である。

一般いっぱんてきなインショア・レースにおけるルールとしては、二等辺三角形にとうへんさんかっけい台形だいけい頂点ちょうてんにそれぞれブイ(マーク)をかべ、それをはん時計とけいまわりにまわるというものがあり、規定きていすう周回しゅうかいするまでの順位じゅんいきそう。公式こうしき大会たいかいなどでは、合計ごうけい10レース以上いじょうおこない、その得点とくてんにより順位じゅんいけっする。1が1てん、2が2てん順位じゅんい上位じょういであるほど得点とくてんすくなく、ぜんレースでもっと得点とくてんひくいものが優勝ゆうしょうとなる。ゆえにリタイアや失格しっかくなどはこう得点とくてんになる。

オフショア・レースでは航路こうろおおまかな指定していのみで、ていごとにふううみ状況じょうきょうこまかく修正しゅうせいしながらゴールを目指めざす。

ヨットレースでのルールでもっと頻繁ひんぱんてくるのは接触せっしょくたいする予防よぼう規定きていであり、とくにヨット同士どうし接近せっきんしやすいインショア・レースでは重要じゅうようなルールである。国際こくさいてき基本きほんルールであるスターボードてい優先ゆうせん原則げんそくほかにも、そのとき状態じょうたいにおいて優先ゆうせんけんがある権利けんりてき強者きょうしゃ接触せっしょくした場合ばあい罰則ばっそくける権利けんりてき弱者じゃくしゃ規定きていされている。そのこまかいてんについては、国際こくさいセーリング競技きょうぎ規則きそくや、かくクラスルールによってさだめられている。

2ていのみでおこなうレースをマッチレースび、アメリカスカップなどが該当がいとうする。

公平こうへいすためどういち規格きかくていおこなうレースをワンデザイン・クラスとび、SailGPなどが該当がいとうする。

著名ちょめいなレース

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ジ・オーシャンレース
旧名きゅうめいはボルボ・オーシャンレース
アメリカスカップ
ヴァンデ・グローブ
単独たんどく寄港きこう補給ほきゅう世界せかい一周いっしゅう挑戦ちょうせんする冒険ぼうけんレース。
メルボルン=大阪おおさか ダブルハンド ヨットレース
日本にっぽんとオーストラリアが共催きょうさいする5500マイル(やく10,000km)の二人ふたりりオフショア・レース[7]。3がつ下旬げじゅんにオーストラリアのメルボルンこうをスタートし、赤道せきどうえて日本にっぽん大阪おおさかこうにゴールする太平洋たいへいようたてまわりというめずらしいコースをる。1987ねん昭和しょうわ62ねん)から4ねんいち開催かいさいされている。
スバルザカップヨットレース
日本にっぽん最大さいだいきゅうのヨットレース。東京とうきょうわん舞台ぶたい浦安うらやすディズニーランドおきをスタートし、うみほたるをブイに見立みたてまわってかえってくるオフショアレース。
毎年まいとしうみの3連休れんきゅう開催かいさいされ、前夜祭ぜんやさい陸上りくじょうイベントなど参加さんかしゃ以外いがいたのしめるイベントである。
タモリカップ[8]
2008ねん - 2018ねんにかけてタモリ主催しゅさいしていたインショア・レース。日本にっぽん国内こくないマリーナ(3~4ヶ所かしょ)をめぐるツアーレースとなっており、参加さんかてい最大さいだいで200ほどになる。
参加さんか資格しかくに「愉快ゆかいひと」がふくまれ、クラスカテゴリーが「ぶっちぎりそうなふね」や「大会たいかい主旨しゅしただしく理解りかいしているか不明ふめいふね」など、純粋じゅんすい競技きょうぎ志向しこうではなく参加さんかしゃ交流こうりゅうをメインとした総合そうごうイベントである。
おも沼津ぬまづこう沼津ぬまづ[9]富山湾とやまわん射水いみず[10]福岡ふくおかヨットハーバー西にし福岡ふくおかマリーナ マリノア[11]横浜よこはまベイサイドマリーナ[12]といった会場かいじょう開催かいさいされていた。
2019ねん4がつ前年ぜんねん横浜よこはま大会たいかい最後さいごどう大会たいかい終了しゅうりょうすることを、実行じっこう委員いいんかい大会たいかい公式こうしきサイトにて発表はっぴょうした。これにより、11ねん歴史れきしまくろした[8]
YBMオープンヨットレース
横浜よこはまベイサイドマリーナ主催しゅさい毎年まいとしあきおこなわれるヨットレース。東京とうきょうわん定期ていきてきおこなわれるおおきなレースのひとつ。レース海域かいいきはベイサイドマリーナおきから八景島はっけいじまおきあいだ海域かいいき
SailGP
2019ねん発足ほっそくしたインショア・レース。くにべつ対抗たいこうせん形式けいしき
クロースホールド(クローズ)「Closehauled」
風位ふういふういてくる方向ほうこう)にたいして最大さいだいやく45角度かくど航行こうこうする(のぼる)こと。その原理げんりについては、#ヨットのうご原理げんりこう参照さんしょうのこと。
タッキング(タック)「Tacking」
クロースホールドですすんでいるとき、反対はんたいきのクロースホールドまで風上かざかみ方向ほうこうふねきを回転かいてんさせる動作どうさ一瞬いっしゅんだけ風位ふういく。風上かざかみ方向ほうこう目的もくてきがある場合ばあいは、ヨットは風上かざかみかって直進ちょくしんすすむことは不可能ふかのうであるため、タックをかえしてジグザグにすすみながらかっていく。
ランニング
ふね進行しんこう方向ほうこうのほぼ真後まうしろからかぜけてすすむ(くだる)こと。このとき、セール()はふね片側かたがわおおきくひらいている。完全かんぜん真後まうしろからかぜける「デッドラン」では失速しっそくしたり、強風きょうふうではワイルドジャイブ(下記かき参照さんしょう)をこしたりする。一般いっぱん常識じょうしきとしては「順風じゅんぷうまん」という言葉ことばからこの状態じょうたいはやいと意識いしきされているが、実際じっさい後述こうじゅつの「アビーム」のほうがスピードがる。推進すいしんりょく船体せんたい速度そくど風速ふうそくであるため、速度そくどがるとられる推進すいしんりょく低下ていかする。
ジャイブ(ジャイビング)
ランニングにちか角度かくどすすんでいるとき、風下かざしも方向ほうこうふねまわ片側かたがわひらいているセールを反対はんたいがわひらくこと。ワイルドジャイブは強風きょうふうふね真後まうしろからかぜけているときにジャイブ動作どうさをしていないのに勝手かってにセールが反転はんてんする現象げんしょうである。ワイルドジャイブがきるとふねおおきくかたむ転覆てんぷくすることがよくある。映画えいがしろあらし」では最終さいしゅうてきにワイルドジャイブによりふね転覆てんぷくする。
アビーム「Abeam」
風位ふういたいして90からかぜけてすすむこと。ちょうどふね真横まよこからかぜけるかたち。ヨットではアビームの状態じょうたいもっともスピードがる。いかなる船体せんたい速度そくどでも横風おうふう相対そうたい速度そくどわらないため、速度そくどがっても推進すいしんりょくわらない。
チン(沈)
ヨット(ディンギー)が転覆てんぷくすること。90よこ転覆てんぷくしたものをはん沈(ハンチン)、180完全かんぜん転覆てんぷくしたものをかん沈(カンチン)とう。また、陸上りくじょうげて保管ほかんちゅう台風たいふうなどで横倒よこだおしになった場合ばあいにはりく沈(リクチン)とんだりする。
ジブ
メインセールがうしろのであるとするならば、まえになるちいさいセール。正式せいしきにはジブセールとはわない。
スピンネーカー(スピン)「Spinnaker」
メインセール、ジブセールのほか、クローズ以外いがい角度かくど航行こうこうするときにることができる3まい非常ひじょうかる1人ひとりりのふねにはい。2人ふたりりでも、FJきゅう・470きゅうなどにはあるが、スナイプきゅうなどにはい。映画えいが「ウォーターワールド」では海賊かいぞくからげるさい使つかわれた。
スキッパー(ヘルムスマン)「Helmsman」
おも舵取かじとりを担当たんとうする人員じんいんのこと。ていちょう。ディンギーではメインセールの操作そうさ舵取かじとりの役割やくわりになう。
クルー 「Crew」
操船そうせんかかわる乗員じょういんなかでスキッパーでない人員じんいんのこと。ディンギーではおもにジブセールおよびスピンネーカーの操作そうさふね左右さゆうかたむき(ヒール)の調整ちょうせい、またうみてい状況じょうきょう把握はあくおよび進路しんろ判断はんだん役割やくわりになう。
トラピーズ「Trapeze」
マストの上部じょうぶから左右さゆうにぶらがっているワイヤー。下端かたん金属きんぞくせい(トラピーズリング)がついている。クルーがこしまわりに「ハーネス」とばれる金具かなぐ装着そうちゃくし、その金具かなぐをトラピーズリングにっかけて外側そとがわ体重たいじゅうをかけることで、効率こうりつよくふね左右さゆうかたむき(ヒール)をすことができる。クルーがいない1人ひとりりのふねにはい。2人ふたりりでも、FJきゅう・470きゅうなどにはあるが、スナイプきゅうなどにはくクルーもハイクアウト(した記述きじゅつ)をとる。また、49erやナクラ17ではスキッパーもハーネスを装着そうちゃくし2にんともトラッピーズにる。
ハイクアウト「Hikeout」
足首あしくびを「フットベルト」とばれるベルトにけ、臀部でんぶからうえからだふねそとして体重たいじゅうをかけてかたむき(ヒール)を方法ほうほう。ディンギーでは1人ひとりり2にんりのどちらもでおこなわれる動作どうさではあるが、FJきゅう・470きゅうはスキッパーだけが、スナイプきゅうではトラピーズがないクルーもこれをとる。上半身じょうはんしん体重たいじゅうがかかるため腹筋ふっきん大腿だいたいすじ負担ふたんがかかる。
スターボード(スターボ)「Starboard」
右舷うげん舵取かじと甲板かんぱん進行しんこう方向ほうこう右側みぎがわだったことに由来ゆらい。あるいはかぜ右舷うげんからけてはし状態じょうたい(スターボードタック)。レースではスターボていがポートていたいして権利けんりてき強者きょうしゃとなる。
ポート
左舷さげんみなと横付よこづけするがわ進行しんこう方向ほうこう左側ひだりがわだったことに由来ゆらい。あるいはかぜ左舷さげんからけてはし状態じょうたい(ポートタック)。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ jaght:ヤハトとはオランダで「る」「いすがる」といった意味いみである。

出典しゅってん

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  1. ^ a b レクサスのラグジュアリーヨット「LY650」 価格かかくやく4おく5000まんえんまんタンにすると1かいやく48まんえん!|Motor-Fan[モーターファン]”. motor-fan.jp. 2021ねん4がつ14にち閲覧えつらん
  2. ^ Hoffmann, J.; Coste-Manière, I. (2012-12-04) (英語えいご). Global Luxury Trends: Innovative Strategies for Emerging Markets. Springer. ISBN 9781137287397. https://books.google.com/books?id=HzpD1GhtDFsC&pg=PT71&dq=gigayacht&hl=en&sa=X&ved=0ahUKEwj015PWj9vhAhURwlkKHbOiCZYQ6AEIPDAD#v=onepage&q=gigayacht&f=false 
  3. ^ デジタル大辞泉だいじせんヨット』 - コトバンク
  4. ^ a b c d e ブライアン・レイヴァリちょ増田ますだ義郎よしお武井たけい摩利まりやくふね歴史れきし文化ぶんか図鑑ずかんふね航海こうかい世界せかいゆうしょかん、2007ねんISBN 9784903487021、pp.260-267,368-373.
  5. ^ 「4次元じげん以上いじょう空間くうかんえる」小笠おがさ英志えいじ ベレ出版しゅっぱん ISBN 978-4860641184のPP.242-248に、帆船はんせん風上かざかみほうすすむことができることを感覚かんかくてき納得なっとくできる説明せつめいっている。この説明せつめい手軽てがる実験じっけんたしかめられる。その実験じっけんっている。
  6. ^ 日本にっぽんハンザクラス協会きょうかい (2018ねん10がつ14にち閲覧えつらん。)
  7. ^ メルボルン大阪おおさかダブルハンドヨットレース - 公式こうしきサイト
  8. ^ a b タモリカップ公式こうしきサイト
  9. ^ 日本一にっぽんいちたのしい!沼津ぬまづタモリカップ写真しゃしんしゅう バルクヘッドマガジン、2012ねん8がつ20日はつか配信はいしん、2021ねん12月4にち閲覧えつらん
  10. ^ 【タモリカップ2018】ふたた富山とやまわん開催かいさい決定けっていくわしい情報じょうほうまとめ 富山とやまあそ!、2018ねん7がつ13にち配信はいしん、2021ねん12月4にち閲覧えつらん
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