レンチ
レンチ(wrench)は、ボルトやナットなどを
ボルトはサイズによって
歴史
レンチ(スパナ)の
1770
種類
両 口 スパナ(あるいはオープンエンドレンチ)- レンチの
先端 が開放 されており、横 方向 からレンチを挿入 できるのが特徴 。ボルトヘッド(あるいはナット、以下 ボルトと略 す)側面 の二 ヶ所 にのみ力 が集中 するので、強 い力 で締 めるとボルトヘッドを傷 めることがある。主 として軽度 な用途 や工具 の入 りにくい箇所 での早 回 しに利用 する。 - ボルトを
痛 めやすいため、自動車 整備 においては後述 する「めがねレンチ」のほうが適 している場合 が多 い。 各種 設備 工事 に、スパナは現在 でも必要 不可欠 な工具 である。例 として、ビルや工場 など、ある程度 規模 以上 の建設 現場 における設備 工事 や二 重 天井 工事 などでは、天井 から吊 られた「全 ネジ」と呼 ばれるヘッド(頭部 )がないボルトにナットを2つ利用 して上下 から挟 み込 むようにして対象 物 を固定 するという施工 方法 が多用 されるが、この時 、上部 のナット締 めにめがねレンチやラチェットレンチを利用 するとその工具 が抜 けなくなってしまうので、スパナで上部 のナットが回 らないように保持 しながら下部 のナットをラチェットレンチなどを利用 して締 めなければならない。自動車 や一般 機械 の整備 というと一般 の人 が真 っ先 に思 いつく工具 が両 口 スパナであるため、これらの整備 に関 わる様々 な挿 し絵 やサイン(標識 )に最 もよく登場 する工具 である。漫画 などでも整備 工場 やサーキットにおいてメカマンはたいてい両 口 スパナを持 って登場 するが、実際 には比較的 細 軸 のボルトやナットを強 いトルクで締結 する自動車 整備 において、オープンエンドレンチはむしろ特殊 工具 の類 であり、それが必要 な場合 もコンビネーションレンチの方 が一般 的 な工具 である。- JIS B4630
規格 では、スパナ(Open ended spanners)は頭部 形状 により「やり形 」と「丸 形 」があり、その頭部 は握 り部 に対 して15度 の角度 が付 いている。また、「片口 」と「両 口 」がある。呼 びは、二面 幅 寸法 で表 し握 り部 の頭部 付近 に表示 されている。 - ただし、
古 い規格 では、スパナはねじの呼 びで表示 されていた。また、インチねじ(ウイットねじ)の規格 もあり、M17のスパナは呼 び17ミリメートルのボルト(ナット)の二 面 幅 に合 う寸法 であり、W3/8のスパナは呼 び3/8インチのウイットねじのボルト(ナット)の二 面 幅 に合 う寸法 に合 うものであった。現在 も新旧 両方 の表示 方法 のスパナが混在 しており、現場 で混乱 する場合 がある。そのうえ、六角 ボルト・ナットには小形 ボルト、ナットの規格 もある。現場 では、まだ旧 JIS規格 のものも使用 されており、特 にメンテナンスにおいては旧 規格 品 が必要 になる場合 がある。なお、新 JISでは二 面 幅 の寸法 と、それに適応 するボルト・ナットの呼 びを表示 してもよい事 になっている。例 えば、表 に19(二 面 幅 )裏 にM12(ねじの呼 び)の表示 である。 - やり
形 メッキ仕上 げ品 は、自動車 と供 に海外 より国内 に入 ってきており、狭 いエンジンルームなどで使 いやすい様 に頭部 を小 さくした物 であり、綺麗 な自動車 を扱 うのには油 などを常 にふき取 って使用 するようにメッキ仕上 げとなっていた。同 じメッキ仕上 げでも、アメリカでは鏡面 仕上 げが好 まれ、ヨーロッパでは滑 りにくい梨地 仕上 げのスパナが多 い。それに対 して丸 形 黒 染 め(四 三 酸化 鉄 被膜 )品 は、輸入 した工場 機械 の付属 工具 として国内 に知 られる様 になり、スペースが比較的 広 く使 える事 より丸 形 となっており、当時 油 にまみれた工場 での使用 という事 で黒 染 め仕上 げとなった。丸 形 はJIS普通 級 と強力 級 が規定 されているが、市場 では強力 級 (表示 はH)が販売 されている。形状 で解 る様 に丸 形 スパナのJIS強度 試験 荷重 の方 がやり形 スパナ(表示 はS)よりも大 きい。その他 に、特殊 なスパナとして「タペットスパナ」「イグニッションスパナ」、ハンマーで柄 の部分 を打 つ「打撃 スパナ」、ラチェット送 りのできる「クイックスパナ」などがある[2]。 - めがねレンチ(あるいはオフセットレンチ、ボックスエンドレンチ、ボックススパナ) Ring Spanner
- ハンドル
両端 に円形 の口 部 (ボルトヘッドにはめる輪 型 の部分 )のあるものをめがねレンチと呼 ぶ。ハンドルの一方 だけに口 部 のあるものも多 い。ボルトの上 方向 からしかレンチを挿入 できない。多 くは使 いやすいようにハンドルに対 し口 部 に角度 (オフセット)がつけられている。ボルト側面 の6ヶ所 に力 が加 わるので、ボルトヘッドの痛 みが少 なく強 い力 で締 めることができる。 - 「レンチの
振 り幅 が限 られた場所 に適 する12ポイントと、大 きなトルクをかけるのに適 する6ポイントがある。」 - との
間 違 った解釈 が多 いが、一般 的 な12ポイントと6ポイントの最大 の違 いは、締付 け応力 がナットのどの部分 にかかるか?であり、6ポイントはナットの角 に応力 が集中 しやすいので、ナットを舐 めてしまう可能 性 が強 いが、現在 流通 している12ポイントは、内角 が角 ではなく丸 みを帯 びているので、ナットの角 に応力 が集中 しないので、大 きな力 で締 めても、ナットが変形 しにくく、回転 角 を小 さく刻 みやすい。 製品 によっては、6ポイントでも、六 角 の直線 部 をあえて内側 に曲 がる曲線 を作 り、応力 の集中 部 を角 に当 たらないようにした製品 もある。- なお、12ポイント
製品 において、このような性質 は、特許 としての意図 的 な意味合 いより、締 め付 け工具 を製造 する段階 で、鋳造 されることが多 く、鋳造 時 の真 角 が出 ないと言 う性質 によって発生 した偶発 的 な副産物 と考 えたほうが良 い。 - これはボックスレンチに
限 らず、ソケットレンチ等 の内角 丸 めの12ポイント、6ポイント直線 丸 めに製品 にも同様 の性質 がある。 - また、これらの
応力 集中 点 の問題 が有 るため、ボルト・ナット結合 において、油脂 の付着 は、締 め付 け面 の滑 りを発生 させ、致命 的 なナット・ボルトのヘッド潰 れ、ナット割 れ、工具 破断 を生 じるために、軽油 やヘキサンなどを使用 して、脱脂 をする必要 がある。 - フレアナットレンチ
- クローフットレンチ、またはクロウフットレンチとも
呼 ぶ。6面 を持 つめがねレンチから、1面 だけを取 り去 って5面 でボルト・ナットを保持 するC形 の先端 を持 つレンチ。めがねレンチの特殊 型 とも考 えられる。主 に自動車 のブレーキパイプ固定 用 のフレアナットを回 すときに使用 する。環状 のメガネレンチはパイプが邪魔 になって通 せないが、フレアナットレンチは環 の欠落 している部分 でパイプを通過 することができ、2面 のみのスパナよりも確実 に保持 できるため、ボルト・ナットをなめにくい。 - ラチェットレンチ
右 または左 の一定 方向 もしくは両方向 締 め付 けられるラチェット機構 を取 り入 れたレンチ。小 さい回転 角度 で取 り付 け、取 り外 しができる。高級 品 では、ハンドルをほとんど振 れないような狭 い場所 でも作業 ができるよう、この回転 角度 をいかに小 さくできるかがメーカー相互 の競争 になっている。- コンビネーションレンチ Combination Spanner
- レンチの
両 端 に同 一 サイズのめがねレンチとスパナが付 いているもの。仮 締 めと本 締 めが一本 のレンチで使 い分 けできる。15度 のアングル角度 を付 けた現在 のコンビネーションレンチを最初 に開発 したのは、1933年 のプロムツールPLOMB Tools(現在 のプロトPROTO)である。ただし、スパナとめがねの組合 せレンチは1800年代 からある[3][4]。以前 はその形状 から片目 片口 レンチと呼 ばれていたが、障害 者 への配慮 から現在 この呼称 は使 われていない。自動車 整備 ではソケットレンチと共 に基本 の工具 である。 - モンキーレンチ(あるいはアジャスタブルレンチ)
- レンチの
二 面 幅 (ボルトヘッドをつかむ部分 の幅 )をスクリューギアによって自由 に変 えられるレンチ。便利 ではあるが、ギア機構 を用 いているために、どうしても口 部 が完全 に固定 されずガタつきが発生 し、そのためボルトを傷 めやすいので簡易 的 な利用 に限 られる。また、掴 む部分 に比 して頭部 のサイズが大 きくなるので狭 いところでは使 いにくい。口 部 にロック機構 が存在 するものもある。 - ソケットレンチ Plug Spanner
- ボックスソケットとハンドルが
分離 しており、色々 な使用 状態 に合 わせて、適合 サイズのソケットを現場 に合 った各種 ハンドルに取 り付 けて作業 することができる。スナップオン創業 者 のジョセフ・ジョンソン(Joseph Johnson)が1920年 に開発 した[5]。 - ボックスレンチ
- ボルトヘッドを
完全 に包 み込 んで保持 する円筒 状 のボックス(ソケット)に柄 がついたタイプのレンチ、柄 の形状 によってL型 ボックスレンチ、T型 ボックスレンチと区別 される。ボックスの口 形状 はめがねレンチ同様 、6角口 (12角 口 )がある。T型 ボックスレンチはボルト軸 と完全 に一致 した方向 にトルクをかける事 ができるため、高 いトルクをかけるのに最 も適 するレンチとされる。また、軸 に片手 を沿 え、ハンドル部 を回 すことで早 回 しすることができる。 - トルクレンチ
- ボルトの
締 付 けが弱 いと機器 の利用 中 にボルトが緩 んで外 れる危険 がある。逆 に強 すぎると機器 やボルトが破損 する場合 がある。このため、機器 の組 み立 てにはボルトの適正 締付 けトルクが指定 されている場合 が多 い。トルクレンチは、締付 けトルクを指定 してボルトを締 め付 ける為 の工具 である。事前 の設定 を要 するプリセット型 、適正 トルクを表示 するプレート型 の2種類 がある。 六角 棒 レンチ六角 棒 がL型 になったレンチで、アーレンキー、ヘキサゴンレンチ、ヘックスレンチ、六角 レンチともいう。六角 穴 付 ボルト(キャップボルト)や六 角 穴 付 止 めネジ(イモネジ)などの六角形 の穴 に差 し込 み、締 めたり緩 めたりするのに使用 する。- パイプレンチ
- パイプを
挟 んだり、回 したりするための専用 レンチ。 水 栓 レンチ水 栓 の取 り付 け・取 り外 しに使用 される特殊 なレンチ。主 に水道 の蛇口 (横水 栓 )を交換 する際 に使用 される。形状 はU字 型 のフックの片方 が延長 されており、栓 に引 っかけてから回 す。- チェーンレンチ
- チェーンを
対象 物 に巻 き付 けて使用 するレンチ。太物 パイプや変形 物 を確実 につかみ、狭 い場所 での使用 に適 する。 - ストラップレンチ(ベルトレンチ)
- ストラップレンチ(Strap Wrench)は、チェーンレンチと
類似 しているが、チェーンの代 わりに丈夫 な繊維 織物 のバンドを使用 している。このレンチは、表面 を傷 つけたくないパイプや内燃 機関 のシリンダーを回 すために使 われる。レンチの使 い方 は、繊維 織物 のバントをシリンダーのまわりに巻 き、レンチの金属 製 本体 のスロットに通 す。そして、バンドをきつく引 き上 げ、レンチを回 すとバンドはシリンダーの周 りでさらに張 る事 になる。この締 め付 ける操作 が、シリンダーを掴 んで回 す事 になる。力 を抜 くとバンドが自然 に緩 むので、位置 を変 えて一連 の操作 を繰 り返 して行 う[6]。
- フックレンチ
- フックレンチまたはフックスパナ、引掛スパナとも
呼 ばれる。英語 では、Spanner wrenchesと表記 する。用途 に合 わせて色々 な種類 がある。工作 機械 やオートバイ・自転車 などに使 われる多 くの特殊 なナットは、ノッチを外周 に切 って作 られる。これらナットのためにフックレンチ(Hook spanner)は必要 とされる。このレンチは、先端 に突起 が付 いたフックと、曲 がったアームを備 えている。この突起 は、ナットのノッチの1つに適合 する、そして、指定 された一方向 にハンドルを回 してナットをゆるめるか締 める。レンチは刻 み溝 をつけられたナットの特定 のサイズ用 に製造 されるタイプか、またはアームを一定 のサイズの範囲 に合 わせることができる調節 腕 を持 ったタイプがある。これらは、アジャスタブルフックレンチ(Ajustable hook spanner)、または自在 フックレンチと呼 ばれる。もう一 種類 のレンチは、ピンタイプ(Pin spanner)である。ピンタイプは、フックの代 わりにピンを備 えている。このピンは、ナットの外周 部分 の穴 に嵌 まる。そして、ピンがナットに直面 して穴 に嵌 まるように設計 されているレンチをフェイスピンタイプ(Face pin spanner)という。レンチが外 れるとナットを損傷 したり事故 になるので、フックレンチを使 うときは回転 力 がレンチからナットへ伝 わる間 、突起 のフックまたはピンが安定 してナットと接触 していることを常 に確認 する必要 がある[7]。 - ペダルレンチ
自転車 のペダルの取 り付 け・取 り外 し専用 のレンチ。ペダルとクランクの間 は狭 いため、一般 的 なレンチは引 っ掛 かってしまい入 らない。そのためペダルレンチは薄 い板 状 になっている。また、漕 ぐ力 でネジが自然 に締 まるため、しばしば固着 に近 い状態 になっていることも多 く、小型 の自転車 用 万能 ツールに付 いているものでは歯 が立 たないこともある。- ロケットレンチ
機械 的 な力 ではなく火薬 の燃焼 による推進 力 を使 って緩 める装置 。小型 ロケットが互 い違 いにセットされた台座 を緩 める対象 に取 り付 けて点火 することで、ごく短時間 で緩 めることができる。主 に不発 弾 の錆 びた信管 を外 すのに使 われており(信管 が衝撃 を受 けると爆発 につながる)、陸上 自衛隊 の不発 弾 処理 隊 でも採用 されている。
脚注
- ^ THOMAS DUTTON 『THE HAND TOOLS MANUAL』p83、2007
年 発行 、TSTC Publishing ISBN 978-1-934302-36-1 - ^
技能 士 の友 編集 部 『作業 工具 のツカイカタ』2002年 8月 25日 13版 発行 。株式会社 大河 出版 。『工具 の達人 』2007年 1月 27日 株式会社 講談社 三 推社発行 - ^ 『
工具 の本 2010』(株) 学研 パブリッシング発行 、40頁 、ISBN 978-4-05-605821-5 - ^ Alloy Artifacts Exploring Ingenuity in Iron Combination Wrenches 2012-10-31
- ^
宮崎 務 『工具 &ガレージライフ』62.63頁 、2011年 7月 5日 発行 、笠倉出版社 - ^ TOOLS AND THEIR USES, NEW YORK : DOVER PUBLICATIONS, INC., p.12. ISBN 978-0-486-22022-2
- ^ TOOLS AND THEIR USES, NEW YORK : DOVER PUBLICATIONS, INC., p.13. ISBN 978-0-486-22022-2