ローレンツ変換 へんかん は、マイケルソン・モーリーの実験 じっけん 結果 けっか を矛盾 むじゅん なく説明 せつめい する手段 しゅだん として提案 ていあん された。ローレンツ は、時間 じかん の流 なが れや光 ひかり 速度 そくど はすべての基準 きじゅん 座標 ざひょう 系 けい において同一 どういつ と考 かんが えたため、「大 おお きな速度 そくど で動 うご く座標 ざひょう 系 けい では、2点 てん 間 あいだ の距離 きょり (物体 ぶったい の長 なが さ)は縮 ちぢ む」というローレンツ収縮 しゅうしゅく を示 しめ した(ローレンツ・フィッツジェラルド収縮 しゅうしゅく 仮説 かせつ )。しかし、ローレンツ収縮 しゅうしゅく は実験 じっけん 結果 けっか と矛盾 むじゅん した。後 のち に、アインシュタインは、光速 こうそく 度 ど の不変 ふへん 性 せい と物理 ぶつり 法則 ほうそく の相対 そうたい 性 せい (「物理 ぶつり 法則 ほうそく はあらゆる慣性 かんせい 系 けい 間 あいだ で同一 どういつ である」)の 2 つを原理 げんり として、特殊 とくしゅ 相対性理論 そうたいせいりろん を築 きず いた。そこでは、ローレンツ変換 へんかん からの帰結 きけつ として、時間 じかん の進 すす み方 かた が観測 かんそく 者 しゃ によって異 こと なることが示 しめ された。
ガリレイ変換 へんかん は、等 ひとし 速 そく 運動 うんどう をする慣性 かんせい 系 けい 間 あいだ の座標 ざひょう 変換 へんかん であり、ニュートンの運動 うんどう 方程式 ほうていしき は不変 ふへん な形 かたち で変化 へんか するが、マクスウェルの方程式 ほうていしき では満足 まんぞく されない古典 こてん 的 てき な座標 ざひょう 変換 へんかん である。ローレンツ変換 へんかん は、マクスウェル方程式 ほうていしき を不変 ふへん な形 かたち で変換 へんかん する。また慣性 かんせい 系 けい の動 うご く速度 そくど v が、光 ひかり 速度 そくど c に比 くら べて十分 じゅうぶん 小 ちい さい場合 ばあい (v /c → 0 と見 み なせる場合 ばあい )を考 かんが えると、ローレンツ変換 へんかん はガリレイ変換 へんかん を再現 さいげん する。したがって、非 ひ 相対 そうたい 論 ろん 的 てき な極限 きょくげん でガリレイ不変 ふへん 性 せい が成立 せいりつ しているという事実 じじつ もローレンツ変換 へんかん で説明 せつめい できる。
ローレンツ変換 へんかん のうち、空間 くうかん と時間 じかん が関与 かんよ する方向 ほうこう への変換 へんかん をローレンツブースト (英 えい : Lorentz boost ) と呼 よ ぶ。特殊 とくしゅ 相対 そうたい 論 ろん が導 みちび く、我々 われわれ の直感 ちょっかん に反 はん する事柄 ことがら のほとんどは、このローレンツブーストからの帰結 きけつ である。一方 いっぽう で、空間 くうかん 同士 どうし が関与 かんよ する変換 へんかん はただの空間 くうかん 回転 かいてん である。
ローレンツ変換 へんかん は、ある慣性 かんせい 系 けい S における空間 くうかん および時間 じかん 座標 ざひょう (あるいは任意 にんい の 4元 げん ベクトル )を、x -軸 じく に沿 そ った S に対 たい する相対 そうたい 速度 そくど v で移動 いどう する別 べつ の慣性 かんせい 系 けい S′ へ変換 へんかん する際 さい に使用 しよう される群 ぐん 作用 さよう である。原点 げんてん (0, 0, 0, 0) を共有 きょうゆう する、S における時空 じくう 座標 ざひょう (t , x , y , z ) と S′ における時空 じくう 座標 ざひょう (t′ , x′ , y′ , z′ ) で記述 きじゅつ される事象 じしょう の座標 ざひょう 系 けい は、以下 いか のローレンツ変換 へんかん によって関連 かんれん づけられる。
上 うえ 式 しき で
γ がんま
≡
1
1
−
v
2
/
c
2
{\displaystyle \gamma \equiv {\frac {1}{\sqrt {1-v^{2}/c^{2}}}}}
はローレンツ因子 いんし と呼 よ ばれ、c は真空 しんくう 中 ちゅう の光 ひかり 速度 そくど を表 あらわ す。
上 うえ の 4 つの方程式 ほうていしき は、行列 ぎょうれつ を用 もち いて表現 ひょうげん できる。
[
t
′
x
′
y
′
z
′
]
=
[
γ がんま
−
v
c
2
γ がんま
0
0
−
v
γ がんま
γ がんま
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
]
[
t
x
y
z
]
{\displaystyle {\begin{bmatrix}t'\\x'\\y'\\z'\end{bmatrix}}={\begin{bmatrix}\gamma &-{\frac {v}{c^{2}}}\gamma &0&0\\-v\gamma &\gamma &0&0\\0&0&1&0\\0&0&0&1\\\end{bmatrix}}{\begin{bmatrix}t\\x\\y\\z\end{bmatrix}}}
あるいは、以下 いか のようにも記述 きじゅつ できる。
[
c
t
′
x
′
y
′
z
′
]
=
[
γ がんま
−
v
c
γ がんま
0
0
−
v
c
γ がんま
γ がんま
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
]
[
c
t
x
y
z
]
{\displaystyle {\begin{bmatrix}ct'\\x'\\y'\\z'\end{bmatrix}}={\begin{bmatrix}\gamma &-{\frac {v}{c}}\gamma &0&0\\-{\frac {v}{c}}\gamma &\gamma &0&0\\0&0&1&0\\0&0&0&1\\\end{bmatrix}}{\begin{bmatrix}ct\\x\\y\\z\end{bmatrix}}}
最初 さいしょ の式 しき は、v /c → 0 となる極限 きょくげん において、ガリレイ変換 へんかん に帰着 きちゃく することを容易 ようい に理解 りかい できる点 てん で、第 だい 2 の式 しき は、相対 そうたい 論 ろん における基本 きほん 的 てき な不 ふ 変量 へんりょう である時空 じくう 間隔 かんかく ds 2 = (c dt )2 − dx 2 − dy 2 − dz 2 が保存 ほぞん されることを容易 ようい に理解 りかい できる点 てん で、それぞれ優 すぐ れている。
ミンコフスキー空間 くうかん でみたローレンツ変換 へんかん
編集 へんしゅう
また、パラメータ θ しーた を用 もち いて、
v
c
=
tanh
θ しーた
{\displaystyle {\frac {v}{c}}=\tanh \theta }
とすると
c
t
′
=
c
t
cosh
θ しーた
−
x
sinh
θ しーた
x
′
=
x
cosh
θ しーた
−
c
t
sinh
θ しーた
{\displaystyle {\begin{aligned}ct'&=ct\cosh {\theta }-x\sinh {\theta }\\x'&=x\cosh {\theta }-ct\sinh {\theta }\end{aligned}}}
虚 むなし 時間 じかん w = i ct を用 もち いれば、
w
′
=
w
cos
i
θ しーた
−
x
sin
i
θ しーた
x
′
=
x
cos
i
θ しーた
+
w
sin
i
θ しーた
{\displaystyle {\begin{aligned}w'&=w\cos {i\theta }-x\sin {i\theta }\\x'&=x\cos {i\theta }+w\sin {i\theta }\end{aligned}}}
行列 ぎょうれつ を用 もち いれば、それぞれ
[
c
t
′
x
′
y
′
z
′
]
=
[
cosh
θ しーた
−
sinh
θ しーた
0
0
−
sinh
θ しーた
cosh
θ しーた
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
]
[
c
t
x
y
z
]
{\displaystyle {\begin{bmatrix}ct'\\x'\\y'\\z'\end{bmatrix}}={\begin{bmatrix}\cosh {\theta }&-\sinh {\theta }&0&0\\-\sinh {\theta }&\cosh {\theta }&0&0\\0&0&1&0\\0&0&0&1\\\end{bmatrix}}{\begin{bmatrix}ct\\x\\y\\z\end{bmatrix}}}
[
w
′
x
′
y
′
z
′
]
=
[
cos
(
i
θ しーた
)
−
sin
(
i
θ しーた
)
0
0
sin
(
i
θ しーた
)
cos
(
i
θ しーた
)
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
]
[
w
x
y
z
]
{\displaystyle {\begin{bmatrix}w'\\x'\\y'\\z'\end{bmatrix}}={\begin{bmatrix}\cos {(i\theta )}&-\sin {(i\theta )}&0&0\\\sin {(i\theta )}&\cos {(i\theta )}&0&0\\0&0&1&0\\0&0&0&1\\\end{bmatrix}}{\begin{bmatrix}w\\x\\y\\z\end{bmatrix}}}
と表 あらわ すことができる。この表現 ひょうげん を用 もち いると、ローレンツ変換 へんかん がミンコフスキー空間 くうかん 上 うえ での虚数 きょすう 角 かく iθ しーた の回転 かいてん に相当 そうとう することが容易 ようい に理解 りかい できる。
この表 ひょう 式 しき では速度 そくど の合成 ごうせい が容易 ようい になる。慣性 かんせい 系 けい S において、速度 そくど u で x -軸 じく 方向 ほうこう に等 ひとし 速 そく 運動 うんどう している物体 ぶったい は、慣性 かんせい 系 けい S′ における速度 そくど u′ は、
u
c
=
tanh
ϕ
{\displaystyle {\frac {u}{c}}=\tanh {\phi }}
とすると、
u
′
c
=
tanh
(
ϕ
−
θ しーた
)
{\displaystyle {\frac {u'}{c}}=\tanh {(\phi -\theta )}}
で表 あらわ される。
相対 そうたい 速度 そくど v の方向 ほうこう が 慣性 かんせい 系 けい S の x -軸 じく 方向 ほうこう と一致 いっち する場合 ばあい にのみ、上 うえ の方程式 ほうていしき は適用 てきよう される。v の方向 ほうこう が S の x -軸 じく と一致 いっち しない場合 ばあい には、ローレンツ変換 へんかん の一般 いっぱん 解 かい を求 もと めるよりも、v の方向 ほうこう が S の x -軸 じく と一致 いっち するように慣性 かんせい 系 けい の回転 かいてん を行 おこな うほうが、一般 いっぱん に容易 ようい である。
任意 にんい の方向 ほうこう へのローレンツブーストに際 さい しては、空間 くうかん ベクトル x を速度 そくど v と平行 へいこう な垂直 すいちょく 成分 せいぶん に
x
=
x
⊥
+
x
‖
{\displaystyle {\boldsymbol {x}}={\boldsymbol {x}}_{\perp }+{\boldsymbol {x}}_{\|}}
と分解 ぶんかい すると都合 つごう が良 よ い。v 方向 ほうこう の成分 せいぶん
x
‖
{\displaystyle {\boldsymbol {x}}_{\|}}
のみが、ローレンツ因子 いんし γ がんま による変形 へんけい を受 う ける。
t
′
=
γ がんま
(
t
−
v
x
‖
c
2
)
{\displaystyle t'=\gamma \left(t-{\frac {vx_{\|}}{c^{2}}}\right)}
x
′
=
x
⊥
+
γ がんま
(
x
‖
−
v
t
)
{\displaystyle {\boldsymbol {x}}'={\boldsymbol {x}}_{\perp }+\gamma ({\boldsymbol {x}}_{\|}-{\boldsymbol {v}}t)}
上 うえ の方程式 ほうていしき は、行列 ぎょうれつ を用 もち いて以下 いか のように表現 ひょうげん できる。
[
c
t
′
x
′
]
=
[
γ がんま
−
v
T
c
γ がんま
−
v
c
γ がんま
I
+
v
⊗
v
T
v
2
(
γ がんま
−
1
)
]
[
c
t
x
]
{\displaystyle {\begin{bmatrix}ct'\\{\boldsymbol {x}}'\end{bmatrix}}={\begin{bmatrix}\gamma &-{\frac {\boldsymbol {v^{\mathrm {T} }}}{c}}\gamma \\-{\frac {\boldsymbol {v}}{c}}\gamma &{\boldsymbol {I}}+{\dfrac {{\boldsymbol {v}}\otimes {\boldsymbol {v^{\mathrm {T} }}}}{v^{2}}}(\gamma -1)\\\end{bmatrix}}{\begin{bmatrix}ct\\{\boldsymbol {x}}\end{bmatrix}}}
ここで、v T は v の転置 てんち 行列 ぎょうれつ 、I は 3 次 じ 単位 たんい 行列 ぎょうれつ である。
上 うえ で注記 ちゅうき したように、この変換 へんかん は 2 つの系 けい で原点 げんてん が共有 きょうゆう されることを要求 ようきゅう する。この制約 せいやく を緩和 かんわ する形 かたち で、ローレンツ変換 へんかん に時空 じくう の平行 へいこう 移動 いどう を加 くわ えた変換 へんかん はポアンカレ変換 へんかん と呼 よ ばれる。
なお、ローレンツ変換 へんかん は「光 ひかり 速度 そくど 一定 いってい 」の帰結 きけつ である「世界 せかい 間隔 かんかく の不変 ふへん 性 せい 」を満 み たす変換 へんかん として、より一般 いっぱん 的 てき に定義 ていぎ される。ここで、時空 じくう を記述 きじゅつ する 4元 げん ベクトル x =(ct , x , y , z ) に対 たい し、
Λ らむだ
T
g
Λ らむだ
=
g
{\displaystyle \Lambda ^{\mathrm {T} }g\Lambda =g\,}
を満 み たす任意 にんい の 4×4 行列 ぎょうれつ Λ らむだ によって与 あた えられる変換 へんかん
x
→
x
′
=
Λ らむだ
x
{\displaystyle x\rightarrow x'=\Lambda x}
がローレンツ変換 へんかん となる。但 ただ し、T は転置 てんち 行列 ぎょうれつ を表 あらわ し、g は
g
=
(
g
μ みゅー
ν にゅー
)
=
[
1
0
0
0
0
−
1
0
0
0
0
−
1
0
0
0
0
−
1
]
{\displaystyle g=(g_{\mu \nu })={\begin{bmatrix}1&0&0&0\\0&-1&0&0\\0&0&-1&0\\0&0&0&-1\end{bmatrix}}}
で与 あた えられる時空 じくう の計量 けいりょう テンソル を表 あらわ すものとする。
このように定義 ていぎ された行列 ぎょうれつ Λ らむだ の全体 ぜんたい は、ローレンツ群 ぐん として知 し られる群 ぐん SO(3,1) を構成 こうせい する。
厳密 げんみつ に言 い うと、このように定義 ていぎ したローレンツ変換 へんかん はミンコフスキー空間 くうかん での回転 かいてん だけでなく、空間 くうかん 反転 はんてん に相当 そうとう するパリティ変換 へんかん P 、時間 じかん 反転 はんてん T を含 ふく む。これらの変換 へんかん は連続 れんぞく 的 てき なローレンツ変換 へんかん とは別個 べっこ に扱 あつか われる場合 ばあい が多 おお い。例 たと えば実際 じっさい の物理 ぶつり は連続 れんぞく 的 てき なローレンツ変換 へんかん に対 たい しては不変 ふへん だが、パリティ対称 たいしょう 性 せい の破 やぶ れ 、CP対称 たいしょう 性 せい の破 やぶ れ (CPT定理 ていり より T の破 やぶ れと同義 どうぎ )は実験 じっけん で観測 かんそく されている。この点 てん を明確 めいかく にしたい場合 ばあい 、連続 れんぞく 的 てき な回転 かいてん のみの部分 ぶぶん を本義 ほんぎ ローレンツ変換 へんかん と呼 よ ぶことがある。
より一般 いっぱん 的 てき に、ローレンツ変換 へんかん は世界 せかい 間隔 かんかく を不変 ふへん に保 たも つ線形 せんけい 変換 へんかん として定義 ていぎ される。こうして定義 ていぎ されるローレンツ変換 へんかん は、ミンコフスキー時空 じくう における内積 ないせき に対 たい する対称 たいしょう 性 せい として捉 とら えることができる。
まず、ミンコフスキー時空 じくう におけるローレンツ変換 へんかん Λ らむだ は
Λ らむだ
T
g
Λ らむだ
=
g
{\displaystyle \Lambda ^{\mathrm {T} }g\Lambda =g}
すなわち
Λ らむだ
λ らむだ
μ みゅー
g
λ らむだ
ρ ろー
Λ らむだ
ρ ろー
ν にゅー
=
g
μ みゅー
ν にゅー
(
μ みゅー
,
λ らむだ
,
ρ ろー
,
ν にゅー
=
0
,
1
,
2
,
3
)
{\displaystyle {\Lambda ^{\lambda }}_{\mu }g_{\lambda \rho }{\Lambda ^{\rho }}_{\nu }=g_{\mu \nu }\quad (\mu ,\lambda ,\rho ,\nu =0,1,2,3)}
を満 み たす線形 せんけい 変換 へんかん として定義 ていぎ される。但 ただ し、g =(g μ みゅー ν にゅー ) は、g =diag (1, −1, −1, −1) で与 あた えられる計量 けいりょう テンソルであり、重複 じゅうふく する添 そ え字 じ に対 たい してはアインシュタインの縮 ちぢみ 約 やく に従 したが って和 わ をとるものとする。また、添 そ え字 じ の上 あ げ下 さ げは計量 けいりょう テンソルによって、
x
μ みゅー
=
g
μ みゅー
ν にゅー
x
ν にゅー
{\displaystyle x_{\mu }=g_{\mu \nu }x^{\nu }}
で、与 あた えられるものとする。
こうして定義 ていぎ されるローレンツ変換 へんかん は、時空 じくう の二 に 点 てん x =(x 0 , x 1 , x 2 , x 3 ) 、y =(y 0 , y 1 , y 2 , x 3 ) のローレンツ内積 ないせき
x
⋅
y
=
x
μ みゅー
y
μ みゅー
=
x
0
y
0
−
x
1
y
1
−
x
2
y
2
−
x
3
y
3
{\displaystyle x\cdot y=x^{\mu }y_{\mu }=x^{0}y^{0}-x^{1}y^{1}-x^{2}y^{2}-x^{3}y^{3}}
を不変 ふへん に保 たも つ。
x
′
⋅
y
′
=
x
⋅
y
(
x
′
=
Λ らむだ
x
,
y
′
=
Λ らむだ
y
)
{\displaystyle x'\cdot y'=x\cdot y\quad (x'=\Lambda x,y'=\Lambda y)}
この性質 せいしつ から、特 とく に時空 じくう の計量 けいりょう
d
s
2
=
g
μ みゅー
ν にゅー
d
x
μ みゅー
d
x
ν にゅー
=
(
d
x
0
)
2
−
(
d
x
1
)
2
−
(
d
x
3
)
2
−
(
d
x
3
)
2
{\displaystyle \mathrm {d} s^{2}=g_{\mu \nu }\mathrm {d} x^{\mu }\mathrm {d} x^{\nu }=(\mathrm {d} x^{0})^{\,2}-(\mathrm {d} x^{1})^{\,2}-(\mathrm {d} x^{3})^{\,2}-(\mathrm {d} x^{3})^{\,2}}
はローレンツ変換 へんかん の下 した 、不変 ふへん となる。
d
s
′
2
=
Λ らむだ
μ みゅー
λ らむだ
g
λ らむだ
ρ ろー
Λ らむだ
ν にゅー
ρ ろー
d
x
μ みゅー
d
x
ν にゅー
=
d
s
2
{\displaystyle \mathrm {d} s'^{2}=\Lambda _{\,\,\mu }^{\lambda }g_{\lambda \rho }\Lambda _{\,\,\nu }^{\rho }\mathrm {d} x^{\mu }\mathrm {d} x^{\nu }=\mathrm {d} s^{\,2}}
すなわち、世界 せかい 間隔 かんかく は不変 ふへん に保 たも たれる。
ローレンツ変換 へんかん 全体 ぜんたい のなす集合 しゅうごう L は、行列 ぎょうれつ 式 しき と00成分 せいぶん Λ らむだ 00 によって分類 ぶんるい される。ローレンツ変換 へんかん Λ らむだ において、その行列 ぎょうれつ 式 しき det(Λ らむだ ) は ±1 の値 ね をとる。一方 いっぽう 、 00成分 せいぶん は Λ らむだ 00 ≥1 または Λ らむだ 00 ≤−1 を満 み たす。ローレンツ変換 へんかん の全体 ぜんたい L の中 なか で、行列 ぎょうれつ 式 しき の値 ね と00成分 せいぶん の符号 ふごう が等 ひと しい2つのローレンツ変換 へんかん は、連続 れんぞく 的 てき に移 うつ り変 か わることができる連結 れんけつ な成分 せいぶん となる。一方 いっぽう 、これらが異 こと なる2つのローレンツ変換 へんかん は連続 れんぞく 的 てき に移 うつ り変 か わることができない非 ひ 連結 れんけつ な成分 せいぶん となる。従 したが って、L は行列 ぎょうれつ 式 しき の値 ね 並 なら びに00成分 せいぶん の符号 ふごう によって、次 つぎ の4つの連結 れんけつ な部分 ぶぶん 集合 しゅうごう に分類 ぶんるい される。
L
+
↑
:=
{
Λ らむだ
∈
L
|
det
Λ らむだ
=
+
1
,
Λ らむだ
0
0
≥
+
1
}
L
−
↑
:=
{
Λ らむだ
∈
L
|
det
Λ らむだ
=
−
1
,
Λ らむだ
0
0
≥
+
1
}
L
−
↓
:=
{
Λ らむだ
∈
L
|
det
Λ らむだ
=
−
1
,
Λ らむだ
0
0
≤
−
1
}
L
+
↓
:=
{
Λ らむだ
∈
L
|
det
Λ らむだ
=
+
1
,
Λ らむだ
0
0
≤
−
1
}
{\displaystyle {\begin{aligned}L_{+}^{\uparrow }&:=\{\Lambda \in L|\det {\Lambda }=+1,\Lambda _{\,\,0}^{0}\geq +1\}\\L_{-}^{\uparrow }&:=\{\Lambda \in L|\det {\Lambda }=-1,\Lambda _{\,\,0}^{0}\geq +1\}\\L_{-}^{\downarrow }&:=\{\Lambda \in L|\det {\Lambda }=-1,\Lambda _{\,\,0}^{0}\leq -1\}\\L_{+}^{\downarrow }&:=\{\Lambda \in L|\det {\Lambda }=+1,\Lambda _{\,\,0}^{0}\leq -1\}\end{aligned}}}
この分類 ぶんるい において、Λ らむだ 0 0 ≥1 を満 み たすものを順 じゅん 時間 じかん 的 てき (orthochrous )、Λ らむだ 0 0 ≤−1 を満 み たすものを反 はん 順 じゅん 時間 じかん 的 てき (anti-orthochrous )、det(Λ らむだ )=1 を満 み たすものを固有 こゆう (proper )、det(Λ らむだ )=−1 を満 み たすものを非 ひ 固有 こゆう (improper )と呼 よ ぶ。
ローレンツ変換 へんかん の中 なか で、特別 とくべつ なものとして、
(
I
x
)
μ みゅー
=
x
μ みゅー
(
μ みゅー
=
0
,
1
,
2
,
3
)
(
P
x
)
0
=
x
0
(
P
x
)
i
=
−
x
i
(
i
=
1
,
2
,
3
)
(
T
x
)
0
=
−
x
0
(
T
x
)
i
=
x
i
(
i
=
1
,
2
,
3
)
(
P
T
x
)
μ みゅー
=
(
P
∘
T
x
)
μ みゅー
=
−
x
μ みゅー
(
μ みゅー
=
0
,
1
,
2
,
3
)
{\displaystyle {\begin{aligned}(Ix)^{\mu }&=x^{\mu }\quad (\mu =0,1,2,3)\\(Px)^{0}&=x^{0}\quad (Px)^{i}=-x^{i}\quad (i=1,2,3)\\(Tx)^{0}&=-x^{0}\quad (Tx)^{i}=x^{i}\quad (i=1,2,3)\\(PTx)^{\mu }&=(P\circ Tx)^{\mu }=-x^{\mu }\quad (\mu =0,1,2,3)\end{aligned}}}
で定義 ていぎ される恒等 こうとう 変換 へんかん I 、空間 くうかん 反転 はんてん (パリティ変換 へんかん ) P 、時間 じかん 反転 はんてん T 、空間 くうかん 時間 じかん 反転 はんてん PT が存在 そんざい する。
L ↑ + , L ↑ − ,
L ↓ − , L ↓ + はそれぞれ、恒等 こうとう 変換 へんかん I 、空間 くうかん 反転 はんてん P 、時間 じかん 反転 はんてん T 、空間 くうかん 時間 じかん 反転 はんてん PT を含 ふく む。
I
∈
L
+
↑
,
P
∈
L
−
↑
,
T
∈
L
−
↓
,
P
T
∈
L
+
↓
{\displaystyle I\in L_{+}^{\uparrow },\,\,P\in L_{-}^{\uparrow },\,\,T\in L_{-}^{\downarrow },\,\,PT\in L_{+}^{\downarrow }}
これらの変換 へんかん により、L ↑ + , L ↑ − , L ↓ + , L ↓ − は次 つぎ のように結 むす び付 つ けられる。
L
+
↑
=
P
L
−
↑
L
+
↑
=
T
L
−
↓
L
+
↑
=
P
T
L
+
↓
{\displaystyle {\begin{aligned}L_{+}^{\uparrow }&=PL_{-}^{\uparrow }\\L_{+}^{\uparrow }&=TL_{-}^{\downarrow }\\L_{+}^{\uparrow }&=PTL_{+}^{\downarrow }\end{aligned}}}
慣性 かんせい 系 けい S と慣性 かんせい 系 けい S′ の座標 ざひょう 格子 こうし を重 かさ ねて図示 ずし すると、ローレンツ変換 へんかん とガリレイ変換 へんかん の違 ちが いがイメージできる。ガリレイ変換 へんかん では時刻 じこく が等 ひと しい点 てん からなる直線 ちょくせん (同 どう 時刻 じこく 線 せん )は両 りょう 慣性 かんせい 系 けい で一致 いっち するが、ローレンツ変換 へんかん では異 こと なる慣性 かんせい 系 けい の同 どう 時刻 じこく 線 せん は互 たが いに傾 かたむ いている。これはローレンツ変換 へんかん では、慣性 かんせい 系 けい S では同時 どうじ に起 お きた事象 じしょう が慣性 かんせい 系 けい S′ では異 こと なる時刻 じこく に起 お きていることを意味 いみ する。これを同時 どうじ 性 せい の崩 くず れ という。
座標 ざひょう 格子 こうし のローレンツ変換 へんかん
座標 ざひょう 格子 こうし のガリレイ変換 へんかん
長 なが さの収縮 しゅうしゅく を参照 さんしょう
ローレンツ収縮 しゅうしゅく
アインシュタインの解釈 かいしゃく によれば、観測 かんそく 者 しゃ に対 たい して運動 うんどう する物体 ぶったい は縮 ちぢ んで観測 かんそく される。
例 れい として、x -軸 じく 方向 ほうこう に長 なが さを持 も つ物体 ぶったい が、観測 かんそく 者 しゃ A (xyzw -座標 ざひょう 系 けい )に対 たい して x -軸 じく 正 せい 方向 ほうこう に速度 そくど v で等 ひとし 速 そく 直線 ちょくせん 運動 うんどう する場合 ばあい を考 かんが える (w = ct )。この物体 ぶったい と共 とも に運動 うんどう する観測 かんそく 者 しゃ B (x′y′z′w′ -座標 ざひょう 系 けい )にはこの物体 ぶったい の長 なが さが l で観測 かんそく されるとする(w′ = ct′ )。これはすなわち、観測 かんそく 者 しゃ B にとって同 どう 時刻 じこく に観測 かんそく したときに、物体 ぶったい の端 はし と端 はし の x′ -座標 ざひょう の値 ね の差 さ が l であることを示 しめ す。
t′ = 0 のとき、物体 ぶったい の片端 かたはし が x′ = 0 、もう一方 いっぽう の端 はし が x′ = l にあるとする。このとき、物体 ぶったい の軌跡 きせき は {(x′ , w′ ) | 0 ≤ x′ ≤ l } となり、右 みぎ 図 ず 薄 うす 青部 あおべ である。ここで、
β べーた
=
v
c
,
γ がんま
=
1
1
−
β べーた
2
{\displaystyle \beta ={\frac {v}{c}},\gamma ={\frac {1}{\sqrt {1-\beta ^{2}}}}}
とおくと、x′ = γ がんま (x − β べーた w ) であるため、
0
≤
x
′
≤
l
⟺
β べーた
w
≤
x
≤
β べーた
w
+
l
γ がんま
{\displaystyle 0\leq x'\leq l\iff \beta w\leq x\leq \beta w+{\frac {l}{\gamma }}}
となる。すなわち、t = 0 のとき、片端 かたはし は x = 0 に、もう片端 かたはし は
x
=
l
γ がんま
{\displaystyle x={\frac {l}{\gamma }}}
にあるので、観測 かんそく 者 しゃ A にとってこの物体 ぶったい の長 なが さは
l
γ がんま
{\displaystyle {\frac {l}{\gamma }}}
となることが分 わ かる(なお、観測 かんそく 者 しゃ A にとって (x , w ) = (0, l ) となる点 てん は、右 みぎ 図 ず 点線 てんせん である双曲線 そうきょくせん x 2 − w 2 = l と x -軸 じく の交点 こうてん であることからもローレンツ収縮 しゅうしゅく の影響 えいきょう がわかる)。