中間ちゅうかん法人ほうじん

中間ちゅうかん法人ほうじん（ちゅうかんほうじん）とは、営利えいりも公益こうえきも目的もくてきとしない法人ほうじん。

なお、特とくに中間ちゅうかん法人ほうじん法ほうに基もとづいて設立せつりつされていた法人ほうじんについては#中間なかま法人ほうじん法ほうにおける中間ちゅうかん法人ほうじんを参照さんしょう。

意義いぎ

営利えいり法人ほうじんとは物質ぶっしつ的てき利益りえきを法人ほうじんの構成こうせい員いんに分配ぶんぱいすることが認みとめられている法人ほうじんをいい、それ以外いがいの法人ほうじんは非ひ営利えいり法人ほうじんという^[1]。例たとえばドイツでは営利えいりを目的もくてきとするか営利えいりを目的もくてきとしないかで法人ほうじんを二に種類しゅるいに分わけて規律きりつしている^[1]。

ところが日本にっぽんで明治めいじ時代じだいに制定せいていされた民法みんぽうでは法人ほうじんを営利えいり法人ほうじんと公益こうえき法人ほうじんに分わけていた^[1]。しかし営利えいり性せいの有無うむと公益こうえき性せいの有無うむは本来ほんらい次元じげんの異ことなるものであり^[2]、事業じぎょうの目的もくてきは非ひ営利えいりだが公益こうえきとは言いえないような法人ほうじんも存在そんざいしておりこれらを中間ちゅうかん法人ほうじんと呼よぶ^[1]。

法人ほうじん格かくの取得しゅとく

問題もんだい点てん

日本にっぽんでは明治めいじ時代じだいに制定せいていされた民法みんぽうが公益こうえき法人ほうじんと営利えいり法人ほうじんに分わけ、さらに営利えいりを目的もくてきとしないもののうち公益こうえきに関かんするものだけが社団しゃだん法人ほうじんとして法人ほうじん格かくを取得しゅとくできるとしていたため、営利えいりを目的もくてきとしないがもっぱら構成こうせい員いんの利益りえきを図はかることを目的もくてきとして設立せつりつされる団体だんたい（同窓会どうそうかいやクラブなど）は法人ほうじん格かくを取得しゅとくできなかった^[1]。

愛好あいこう会かい、同窓会どうそうかい、マンション管理かんり組合くみあいなど、営利えいりと公益こうえきのいずれも目的もくてきとしない社団しゃだんは、特別とくべつ法ほうがある場合ばあい（労働ろうどう組合くみあい法ほうや各種かくしゅの協同きょうどう組合くみあい法ほうなど）を除のぞいて法人ほうじん格かくを取得しゅとくする道みちがなく、任意にんい団体だんたい（権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだん）としてしか存在そんざいできなかった。そのため、任意にんい団体だんたいの持もつ土地とち、建物たてもの等とうの資産しさんの名義めいぎが代表だいひょう者しゃなど個人こじんのものとなっていて、名義めいぎ人じんの個人こじん資産しさんとの混同こんどうや名義めいぎ人じんが死亡しぼうした際さいの相続そうぞくの混乱こんらん、名義めいぎ人じんが横領おうりょうする可能かのう性せいなど、多おおくの問題もんだいがあった。

中間ちゅうかん法人ほうじん法ほうにおける中間ちゅうかん法人ほうじん

この問題もんだいを改善かいぜんするため、2002年ねんに中間ちゅうかん法人ほうじん法ほうが制定せいていされた^[3]。

「中間なかま法人ほうじん」は中間ちゅうかん法人ほうじん法ほう（平成へいせい13年ねん法律ほうりつ第だい49号ごう）に基もとづいて設立せつりつされた法人ほうじんの名称めいしょうでもある。法人ほうじんの構成こうせい員いん（社員しゃいん）に共通きょうつうする利益りえきを図はかることを目的もくてきとし、かつ、剰余じょうよ金きんを社員しゃいんに分配ぶんぱいすること（営利えいり）を目的もくてきとしない（同どう法ほう第だい2条じょう第だい1項こう第だい1号ごう）。同どう法ほう第だい2章しょう第だい1節せつの規定きていによる有限ゆうげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんと、第だい3章しょう第だい1節せつの規定きていによる無限むげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんの2つがあった。

中間ちゅうかん法人ほうじん法ほうの制定せいていにより、それまで法人ほうじん格かくをもてなかった中なか間あいだ的てき社団しゃだんにも法人ほうじん格かくを取得しゅとくする道みちを開ひらいた。この法律ほうりつは一般いっぱん法ほうで、営利えいりすなわち構成こうせい員いんへの利益りえき分配ぶんぱい（株式会社かぶしきがいしゃにおける株主かぶぬしへの配当はいとう）はできないものの、会社かいしゃと同様どうようにあらゆる事業じぎょうをおこなうことが可能かのうとなった。

もっとも、実際じっさいに登記とうきされた中なか間あいだ法人ほうじんの内訳うちわけを見みた場合ばあい、立法りっぽう者しゃが本来ほんらい想定そうていしていたであろう「同窓会どうそうかい」や「管理かんり組合くみあい」はあまり多おおくなく、業界ぎょうかい団体だんたいや、証券しょうけん化かにおける資産しさん保有ほゆうSPCの親しん法人ほうじんとしての利用りようが多おおかった。

一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんへの移行いこう

さらに2006年ねんには一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん及および一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじんに関かんする法律ほうりつが制定せいていされた^[3]。同時どうじに一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん及および一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじんに関かんする法律ほうりつ及および公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじん及および公益こうえき財団ざいだん法人ほうじんの認定にんてい等とうに関かんする法律ほうりつの施行しこうに伴ともなう関係かんけい法律ほうりつの整備せいび等とうに関かんする法律ほうりつ（整備せいび法ほう）が制定せいていされた（公益こうえき法人ほうじん制度せいど改革かいかく）。

平成へいせい20年ねん(2008年ねん)12月1日にちに施行しこうされた整備せいび法ほうの規定きていにより、中間なかま法人ほうじん法ほうは廃止はいしされ、これまでに設立せつりつされた中なか間あいだ法人ほうじんは一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんに移行いこうすることになった。

有限ゆうげん責任せきにん中間なかま法人ほうじん - 設立せつりつに際さいし、最低さいてい300万まん円えん以上いじょうの基金ききんを必要ひつようとする。基金ききんの拠出きょしゅつ者しゃは、法人ほうじんの債務さいむに関かんして対外たいがい的てきな責任せきにんを負おわない。
公益こうえき法人ほうじん制度せいど改革かいかく3法ほう施行しこう後ご（平成へいせい20年ねん12月がつ以降いこう）は、有限ゆうげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんは一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんとみなされるが、施行しこう日びを含ふくむ事業じぎょう年度ねんどが終了しゅうりょうした後のち（最長さいちょうで平成へいせい21年ねん11月がつ末まつで終了しゅうりょうする事業じぎょう年度ねんど、一般いっぱん的てきに多おおいとされる三さん月がつ決算けっさん法人ほうじんは平成へいせい21年ねん3月がつ末まつの事業じぎょう年度ねんど終了しゅうりょう後ご）、最初さいしょに招集しょうしゅうされる定時ていじ社員しゃいん総会そうかいの終結しゅうけつの時ときまでに、その名称めいしょうに「一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん」という文字もじを使用しようする旨むねの定款ていかんの変更へんこうを行おこなう必要ひつようがある。
無限むげん責任せきにん中間なかま法人ほうじん - 設立せつりつに際さいし、最低さいてい基金ききん総額そうがくの制限せいげんは無ない。設立せつりつの際さいに社員しゃいんとして登記とうきされたものは、無限むげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんの債務さいむに対たいして、法人ほうじんと連帯れんたいして債権さいけん者しゃに責任せきにんを負おう事こととなる。形態けいたいとしては、合資ごうし会社かいしゃ・合名ごうめい会社かいしゃの無限むげん責任せきにん社員しゃいんと同等どうとうである。
公益こうえき法人ほうじん制度せいど改革かいかく3法ほう施行しこう後ご（平成へいせい20年ねん12月がつ以降いこう）に、無限むげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんは平成へいせい21年ねん11月がつまでに一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんに移行いこうしなければならなくなった。なお、無限むげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんは、平成へいせい20年ねん12月がつ以降いこうは特例とくれい無限むげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんとみなされ（ただし、表記ひょうき上じょうは無限むげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんのまま）、平成へいせい21年ねん11月がつまでに総そう社員しゃいんの合意ごうい、定款ていかんの改定かいてい、債権さいけん者しゃ保護ほご措置そち、移行いこうの登記とうきを行おこなうことにより、一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんに移行いこうすることができた。平成へいせい21年ねん11月の期限きげんまでに、一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん設立せつりつ登記とうきの申請しんせいをしなかった場合ばあいは、その特例とくれい無限むげん責任せきにん中間なかま法人ほうじんは解散かいさんしたものとみなされ、清算せいさん手続てつづきに移行いこうする（関係かんけい法律ほうりつ整備せいび法ほう37条じょう）。

銀行ぎんこう振込ふりこみで使つかう略称りゃくしょうはいずれも「チユウ」。

出典しゅってん

^ ^a ^b ^c ^d ^e 星野ほしの英一ひでかず『民法みんぽう概論がいろん I 改訂かいてい版ばん』良書りょうしょ普及ふきゅう会かい、124頁ぺーじ。ISBN 978-4656300110。
^ 河上かわかみ正二しょうじ『民法みんぽう総則そうそく講義こうぎ』日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、144頁ぺーじ。ISBN 978-4535515963。
^ ^a ^b 河上かわかみ正二しょうじ『民法みんぽう総則そうそく講義こうぎ』日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、132頁ぺーじ。ISBN 978-4535515963。